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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】岩間 貴史

【氏名】伊東 誠

【要約】 【課題】リフレクタにレンズを係合状態に取着するために用いる弾性脚部の長さを自由に設計して弾性脚部での十分な弾性変形を可能にし、これにより係合突起と係合穴の係合を好適に行ってレンズを確実かつ容易にリフレクタに取り付けることを可能とする。

【解決手段】リフレクタ5と、リフレクタ5の前面開口に取着されるレンズ6とを備え、レンズ6にはリフレクタ5に設けた係合穴56に対向される位置に、レンズの周方向に沿って伸びる一端支持構造の弾性脚部64を有し、かつその弾性脚部64の先端部に係合穴56に係合する係合突起65が形成される。レンズ6を薄く形成したときでも弾性脚部64の円周方向の長さが制約されることはなく、係合突起65が係合穴56に係合するのに十分な弾性変形が可能な長さに形成することができ、係合突起65を係合穴56に確実にかつ容易に係合することができ、また、係合突起65を無理に係合しようとしても弾性脚部64が折損するようなこともない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リフレクタと、前記リフレクタの前面開口に取着されるレンズとを備え、前記レンズに設けた係合突起を前記リフレクタの前記前面開口の周縁部に設けた係合穴に係合して前記レンズを前記リフレクタに支持する車両用灯具であって、前記レンズには前記リフレクタの前記係合穴に対向される位置に、レンズの周方向に沿って伸びる一端支持構造の弾性脚部を有し、前記弾性脚部の先端部に前記係合突起が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】 前記リフレクタの係合穴と、前記レンズの弾性脚部及び係合突起は、それぞれ前記リフレクタ及びレンズの周方向の複数箇所にそれぞれ対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 前記レンズの周縁には、前記リフレクタの前面開口内に挿入されるほぼ円筒状をした円筒フランジが一体に形成され、前記円筒フランジの円周面に設けられたスリットにより前記弾性脚部が形成され、前記弾性脚部の外面に前記係合突起が外径方向に突出形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】 前記弾性脚部の周方向の長さは、前記円筒フランジの光軸方向の長さよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリフレクタにレンズを嵌合して取り付ける構造の車両用灯具に関し、特に光軸方向の寸法に制限を受ける灯具に適用して好適な車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両に用いるられる車両用灯具として、複数のランプを一体的に構成したコンビネーションランプがある。例えば、図2はフォグランプFGLにフロントターンシグナルランプFTSLを一体化したコンビネーションランプの平面方向の断面図であり、灯具ボディ1と、その前面開口11に取着されるレンズ(アウターレンズ)2とで灯室を構成する。前記灯具ボディ1内には複数個、ここでは2個のリフレクタ3,5が設けられており、一つのリフレクタ3には電球4が取着されており、電球4を点灯したときに出射される光をリフレクタ3で反射し、前記アウターレンズ2を通して自動車の前方を照明するフォグランプFGLとして機能する。また、小型に形成されている他のリフレクタ5の前面開口にはアンバー色をしたインナーレンズ6が取着され、背面側には電球7が配設され、電球7を点灯したときに出射される光をリフレクタ5で反射し、インナーレンズ6を通してアンバー色の色光とし、さらにアウターレンズ2を通して自動車の前方に向けて出射するフロントターンシグナルランプFTSLとして機能する。
【0003】このようなコンビネーションランプでは、灯具ボディ1の前面開口11に取着されるアウターレンズ2は、灯室内のシール性を保つために、シール剤を用いた取り付け構造が採用される。そのため、シール性が確保された灯室内に内装されるフロントターンシクナルランプFTSLのリフレクタ5に取着されるインナーレンズ6は、シール機能を有してはいない係合構造を用いた非防水型の取付構造を用いることが可能となる。このようなことから、従来では、図6に示すように、リフレクタ5のほぼ円筒型をした前面開口51の周縁部に周方向に配置した複数個の係合穴58を開設する一方、インナーレンズ6の周縁には円筒型のフランジ61を形成するとともに、この円筒フランジ61の周方向の複数箇所に、レンズ後面側に向けて突出される弾性脚部66を形成し、かつこれら弾性脚部66の先端部には前記係合穴58に嵌合される係合突起67を突出形成している。そして、インナーレンズ6の円筒フランジ61がリフレクタ5の前面開口に沿うようにしてリフレクタの前面開口51内に挿入して行くことにより、弾性脚部66は内径方向に弾性変形されながら前面開口51内に挿入され、所定位置まで挿入されると弾性脚部66の外径方向への弾性復帰力によって係合突起67が係合穴58に係合されるため、これによりインナーレンズ6をリフレクタ5に取着することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような灯具の構造、特にフロントターンシグナルランプFTSLを構成するリフレクタ5とインナーレンズ6の係合構造では、光軸方向に沿うインナーレンズ6の寸法、すなわちレンズの厚さ寸法が制約される場合には、これに伴って弾性脚部66の長さ寸法も制約されることになる。特に、前記したコンビネーションランプ全体を薄く形成しようとする場合には、灯室内の寸法に制約を受けるため、フロントターンシグナルランプFTSLのリフレクタ5及びインナーレンズ6の光軸方向の寸法を長くすることができなくなり、前記弾性脚部66の長さL12も短い寸法にせざるを得なくなる。前記弾性脚部66はインナーレンズ6の一部として樹脂により一体成形されており、その樹脂の有する弾力性によって弾性が付与されているものであるため、前記のように弾性脚部66の長さL12が短くなると、その弾性変形に十分なものが得られない状態となる。このため、従来では、係合突起67が係合穴58に係合されない状態が生じてインナーレンズの取り付けが困難になり、また無理に係合しようとしたときに弾性脚部66が折損してランプが不良品になる等の問題が生じることになる。
【0005】本発明の目的は、弾性脚部の長さを自由に設計して弾性脚部での十分な弾性変形を可能にし、これにより係合突起と係合穴の係合を好適に行ってレンズを確実かつ容易にリフレクタに取り付けることが可能な車両用灯具を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用灯具は、リフレクタと、前記リフレクタの前面開口に取着されるレンズとを備え、前記レンズに設けた係合突起を前記リフレクタの前記前面開口の周縁部に設けた係合穴に係合して前記レンズを前記リフレクタに支持する車両用灯具であって、前記レンズには前記リフレクタの前記係合穴に対向される位置に、レンズの周方向に沿って伸びる一端支持構造の弾性脚部を有し、前記弾性脚部の先端部に前記係合突起が形成されていることを特徴とする。ここで、前記リフレクタの係合穴と、前記レンズの弾性脚部及び係合突起は、それぞれ前記リフレクタ及びレンズの周方向の複数箇所にそれぞれ対向配置される。また、前記レンズの周縁には、前記リフレクタの前面開口内に挿入されるほぼ円筒状をした円筒フランジが一体に形成され、前記円筒フランジの円周面に設けられたスリットにより前記弾性脚部が形成され、前記弾性脚部の外面に前記係合突起が外径方向に突出形成されていることが好ましい。また、前記弾性脚部の周方向の長さは、前記円筒フランジの光軸方向の長さよりも大きく形成される。
【0007】本発明によれば、レンズに設けられる弾性脚部は、レンズの周方向に伸びる弾性脚部として構成されるので、レンズを薄く形成したときでも弾性脚部の円周方向の長さが制約されることはない。これにより、係合突起が係合穴に嵌合するのに十分な弾性変形が可能な長さの弾性脚部として構成することが可能となり、係合突起を係合穴に確実にかつ容易に係合することができ、また、係合突起を無理に係合しようとしても弾性脚部が折損するようなこともなく、これにより組み立て不良が防止された灯具が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明を図2に示したように、フロントターンシグナルランプFTSLを一体的に組み込んだフォグランプFGLに適用した実施形態の正面図であり、図2は既に概略を説明したが図1のAA線に相当する部分の断面図である。図1及び図2を参照すると、灯具ボディ1は樹脂成形により形成されており、その前面開口11には白色樹脂を成形したアウターレンズ2が取着されている。前記灯具ボディ1は、前面開口11の周縁に沿ってシール溝12が形成されており、前記アウターレンズ2の周縁に沿って形成されたシール脚部21を前記シール溝12内に内挿し、かつシール剤13により固定することで、前記アウターレンズ2は前記灯具ボディ1に取着され、灯具ボディ1内に灯室を構成している。前記灯具ボディ1内には、前記フォグランプFGLのリフレクタ(以下、FGリフレクタと称する)3が内装されており、図外の光軸調整機構によって前記FGリフレクタ3は上下方向に傾動可能とされている。また、前記FGリフレクタ3の背面にはバルブ取付穴31が開口されており、このバルブ取付穴31にはバルブソケット41によりフォグランプ用の電球4が取り付けられている。また、前記灯具ボディ1内には、前記FGリフレクタ3に隣接する位置に、フロントターンシグナルランプFTSLのリフレクタ(以下、FTリフレクタと称する)5が内装されており、前記灯具ボディ1に固定的に取り付けられている。また、前記FTリフレクタ5の前面開口にはアンバー色をしたインナーレンズ6が取り付けられている。前記FTリフレクタ5の背面開口には、前記灯具ボディ1の背面に設けたソケット取付穴14に取着されたバルブソケット71に支持されたターンシグナルランプ用の電球7が挿通され、前記FTリフレクタ5内に臨ませられている。
【0009】前記フロントターンシグナルランプFTSLを構成する前記FTリフレクタ5と前記インナーレンズ6の構造を説明する。図3は前記FTリフレクタ5とインナーレンズ6の分解斜視図であり、図4はその要部の拡大斜視図である。前記FTリフレクタ5は、ほぼ半球容器状に形成されており、大径をした前面側には前記前面開口51が開設され、球面に近い形状をした背面には背面方向に突出する小径の円筒部52が設けられ、かつこの円筒部52内には前記電球7が挿通される電球挿通穴52aが開口されている。また、前記背面の一箇所には、図3には現れないが背面方向に向けてステム53Aが突出されており(図5(a)参照)、また前記背面の他の箇所には外形方向に向けて支持片53Bが突出されており、これらステム53Aと支持片53Bにそれぞれ設けられたネジ挿通穴53aにより前記FTリフレクタ5を図外のネジにより前記灯具ボディ1に固定する構成とされている。
【0010】さらに、前記FTリフレクタ5の前面開口51の周縁部は、その断面形状が外径方向に向けてL字状をしたL字フランジ54としてが形成されるとともに、前記L字フランジ54の円周複数箇所、ここでは3箇所には、円周一部をさらに外径方向に突出させた係合部55(55A〜55C)が形成されている。前記3つの各係合部55は、円周方向の間隔が異なる位置に配設されており、これにより後述するように前記インナーレンズ6をFTリフレクタ5に取着する際に、インナーレンズ6の円周方向の位置を特定することができるようになっている。また、前記各係合部55には、前記L字フランジ54の側面から底面にわたる領域に矩形の係合穴56が貫通状態に形成されている。前記係合穴56は、前記各係合部55内において円周方向に偏った位置に形成されているが、ここでは2つの係合部55A,55Bでは同一円周方向に偏った位置に、他の1つの係合部55Cでは反対方向に偏った位置にそれぞれ形成されている。また、この実施形態では、各係合部55内における係合穴56が形成された円周方向の内面をテーパ面57として形成している。
【0011】また、前記インナーレンズ6は、前記FTリフレクタ5の前面開口51に対応したほぼ円形のアンバー色のレンズとして形成されており、その周縁には、前記FTリフレクタ5のL字フランジ54内に内挿される円筒状をした円筒フランジ61が背面方向に所要の寸法、すなわち前記L字フランジ54の高さよりも若干長い寸法で形成されている。また、前記インナーレンズ6の円周3箇所には、前記FTリフレクタ5の各係合部55に対応して外径方向に幾分突出された耳部62が形成されており、これに伴って前記円筒フランジ61も前記3箇所の耳部62において外径方向に膨らんだ形状とされ、かつその背面方向への突出寸法も他の円周部分よりも若干長くされている。そして、前記各耳部62では、前記円筒フランジ61に側面方向から見て逆L字状のスリット63が形成され、このスリット63により円周方向に伸びる一端支持構造の短冊型をした弾性脚部64(64A〜64C)が形成されている。前記弾性脚部64は前記円筒フランジ61の一部で形成されるために円周に沿って湾曲された状態にあり、かつその先端部の外面には外径方向に向けて突出され、かつ背面方向に向けて矢尻状をした係合突起65が一体に形成されている。なお、前記各耳部62における各弾性脚部65の先端部が向けられる円周方向は任意であるが、前記FTリフレクタ5に設けた3つの係合部55の各係合穴56に対応して、2つの弾性脚部64の先端部を同一円周方向に向け、他の1つの弾性脚部64の先端部は反対方向に向けられている。
【0012】以上の構成のFTリフレクタ5に対して前記インナーレンズ6を取着した状態を図5に示す。図5(a)は正面図、図5(b)はそのBB線矢視図、図5(c)はCC線拡大断面図である。ここで、インナーレンズ6を取着する際には、インナーレンズ6の3つの弾性脚部64が、FTリフレクタ5の3つの係合部55にそれぞれ対応するように両者の円周方向を位置合わせする。その上で、インナーレンズ6をFTリフレクタ5に向けて押圧し、インナーレンズ6の円筒フランジ61をFTリフレクタ5のL字フランジ54内に挿入する。このとき、外径方向に突出されているインナーレンズ5の各弾性脚部64は、L字フランジ54の内面に沿って内径方向に弾性変形されながら挿入が行われる。そして、所定の位置まで挿入されると、各弾性脚部64の係合突起65がFTリフレクタ5の各係合部55の係合穴56に対向位置されるため、弾性脚部64の弾性復帰力によって係合突起65がそれぞれ係合穴56に係合される。この係合状態では、図5(c)から判るように、係合突起65が矢尻状をしているため、係合穴56の内縁部に係止される状態となり、係合突起65が係合穴56から外れることが防止される。これにより、インナーレンズ6はFTリフレクタ5に係合状態に取着されることになる。このとき、インナーレンズ6の耳部63がテーパ面57に沿って案内されながら挿入されることになり、係合部55に対する位置合わせが自動的に行われる。この取付状態では、係合穴56が前記L字フランジ54の内面に形成されているため、係合突起65がFTリフレクタ5の側面に露呈されることはない。なお、インナーレンズ6をFTリフレクタ5から取り外すときには、L字フランジ54の外面側から係合穴56内に一部が覗いている係合突起65を内径方向に押圧することにより係合突起65を係合穴56から外すことができる。したがって、少なくとも2つの弾性脚部64の係合突起65についてこの離脱操作を行えば、インナーレンズ6の取り外しが可能になる。
【0013】このように、インナーレンズ6をFTリフレクタ5に取着するための弾性脚部64は、インナーレンズ6に設けた円筒フランジ61の一部を利用して円周方向に伸びる弾性脚部として構成されている。そのため、インナーレンズ6の全体を薄く形成したときに、円筒フランジ61の背面方向の突出寸法が短く設計された場合でも、弾性脚部64の円周方向の長さに制約を与えることはなくなる。したがって、弾性脚部64を、係合突起65が係合穴56に嵌合するのに必要とされる弾性変形が可能な十分の長さの一端支持片として構成することが可能となり、係合突起65が係合穴56に確実に係合できることになる。また、従来のように係合突起を無理に係合穴に係合しようとして弾性脚部が折損するようなこともなく、これにより組み立て不良が防止されたフロントターンシグナルランプが得られる。
【0014】すなわち、従来構造では図6に示したように、レンズ6に設けた係合部の弾性脚部66及び係合突起67の光軸方向の長さL12を所要の寸法にすると、係合部の光軸方向の長さL11は、前記長さL12に円筒フランジ61方向の長さを加えた長さになる。このため、係合部の長さL11を制限すると弾性脚部66の長さL12にも制約を受けることになる。これに対し、本発明では図3に示すように、係合部の弾性脚部64の周方向の長さL2は、円筒フランジ61の光軸方向の長さL1は、弾性脚部64の幅寸法以上であればよく、長さL2がL1の長さに制約を受けることがない。そのため、L2をL1よりも長く(L2>L1)することができ、逆に長さL2を長くしても長さL1が長くなることはなく、レンズ6の薄型化が可能になる。
【0015】ここで、前記実施形態では、本発明をフォグランプ内に組み込まれたフロントターンシグナルランプのリフレクタとレンズとの取着構造に適用した例で説明したが、これに限られるものではなく、リフレクタにレンズを係合状態で取着する構成の灯具であれば本発明を同様に適用することが可能である。また、係合部及び弾性脚部の個数についても、要求されるレンズの取着強度等に基づいて任意の数に設定可能である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、レンズにはレンズの周方向に沿って伸びる一端支持構造の弾性脚部を有し、この弾性脚部の先端部にリフレクタに設けた係合穴に係合する係合突起が形成されているので、レンズを薄く形成したときでも弾性脚部の円周方向の長さが制約されることはなく、係合突起が係合穴に嵌合するのに十分な弾性変形が可能な長さの弾性脚部として構成することが可能になる。これにより、レンズをリフレクタに取着する際には、弾性脚部の十分なる弾性変形によって、係合突起を係合穴に確実にかつ容易に係合することができ、また、係合突起を無理に嵌合しようとして弾性脚部が折損するようなこともなく、これにより組み立て不良が防止され、組み立て歩留りの高い灯具を得ることが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成11年10月1日(1999.10.1)
【代理人】 【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
【公開番号】 特開2001−101910(P2001−101910A)
【公開日】 平成13年4月13日(2001.4.13)
【出願番号】 特願平11−281048