| 【発明の名称】 |
提灯の火袋骨格材および提灯 |
| 【発明者】 |
【氏名】中村 泰朗
【氏名】山口 昇
【氏名】山本 洋一
【氏名】山本 亮
【氏名】小林 利章
【氏名】松本 健次
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| 【要約】 |
【課題】軽量性に優れ、火袋骨格を作製する際の取扱性、作業性、形状保持性、保存性に優れ、強度が高く、火袋を形成する紙、フィルム、布帛等の火袋用材料との接着性に優れ、完全に焼却でき、焼却時の有害ガスを発生しない提灯の火袋骨格材、該骨格材を用いてなる提灯の火袋及び提灯の提供。
【解決手段】合成樹脂モノフィラメント、合成樹脂フィラメント集束体またはそれらを被覆層で被覆したものよりなる引張強度30kg/mm2以上、初期弾性率950kg/mm2以上及び短径が0.2mm以上の線材から提灯の火袋骨格材、該骨格材を用いてなる火袋及び提灯であり、該線材は断面充実度が70%以上であることが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる、引張強度が30kg/mm2以上、初期弾性率が950kg/mm2以上および短径が0.2mm以上の線材からなることを特徴とする提灯の火袋骨格材。 【請求項2】 前記線材を構成する合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体の断面充実度が70%以上である請求項1に記載の提灯の火袋骨格材。 【請求項3】 前記線材が、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体よりなる請求項1または2に記載の提灯の火袋骨格材。 【請求項4】 前記線材を構成するポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体の見かけ密度が1.15g/cm3以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の提灯の火袋骨格材。 【請求項5】 被覆層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の提灯の火袋骨格材。 【請求項6】 被覆層が、火袋骨格材への紙、フィルムまたは布帛の巻き付け、および/または火袋骨格材への合成樹脂のコーティングにより形成されている請求項5に記載の提灯の火袋骨格材。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の火袋骨格材を用いて形成した提灯の火袋。 【請求項8】 請求項7の火袋を有する提灯。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は提灯における火袋の骨格を形成するための火袋骨格材、該骨格材を用いて形成した火袋および前記火袋を有する提灯に関する。より詳細には、本発明は、特定の合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる提灯の火袋骨格材および被覆層により被覆されている前記火袋骨格材、並びに前記骨格材を用いて形成した提灯の火袋および該火袋を有する提灯に関するものである。本発明の提灯の火袋骨格材は、軽量性に優れ、火袋骨格を作製する際の作業性に優れていて、通常のハサミで切断可能であり、火袋用の紙を切断する際にカミソリの刃こぼれなどが生じず、形状保持性に優れており、その上サビの発生やカビの発生がなく、虫がつかず、保存性に優れており、しかも強度が高く、火袋を形成する紙、フィルム、布帛などの材料との接着性にも優れている。 【0002】 【従来の技術】日本の伝統的な照明具である提灯、行灯、灯籠などの火袋における骨格材としては、これまで竹ひごが使用されてきたが、生産性の低さ、加工の難しさ、加工職人の減少などによって鋼線などに代替され、その使用量が減少している。提灯の火袋骨格材に用いられる鋼線は、火袋を形成する紙との接着性の向上、錆の発生防止、鋼線の地色を白色化するなどの目的で、多くの場合に表面加工が施されている。その代表例としては、鋼線を白色顔料を含有する塩化ビニル樹脂で被覆し、さらに紙との接着性向上のために紙縒を全面に巻き付けたものが挙げられる(実公昭45−16378号公報など)。前記のような表面加工を施した鋼線製の骨格材は、火袋骨格への紙の張り付け作業で紙の余分な部分を剃刀で切除する際に、剃刀の刃が鋼線に直接接触することがなくなるため刃こぼれが防止され、また表面に巻き付けた紙縒によって剃刀の刃による鋼線や樹脂被覆層の損傷が防止されて錆の発生や鋼線地金色の出現が抑制される。 【0003】提灯はその大半が紙などの可燃物から形成されているために、その廃棄処分に当たっては通常焼却処理が行われるが、上記表面加工を施した鋼線を骨格材とする提灯は、鋼線が焼却されずに残るため、別途その処理が必要であり、問題となっている。しかも、鋼線の被覆に用いた塩化ビニル樹脂は、焼却時にダイオキシンなどの有害ガスを発生し易いという問題がある。 【0004】そこで、提灯の軽量化、生産性の向上、焼却処分時における有害ガスの発生防止などの観点から、提灯の火袋の骨格材として、竹ひごや鋼線の代わりにポリエステル、ポリオレフィン、ナイロンなどの合成樹脂モノフィラメントを用いることが提案されている(実公昭44−14066号公報、実公昭46−7561号公報、特開平11−89912号公報)。しかしながら、従来の合成樹脂モノフィラメント製の骨格材は、曲げ剛性が不足しており、そのために火袋の骨格を形成する際の作業性に劣ったり、形成された火袋骨格の形状が不良であったり変形し易いという欠点がある。しかも、火袋を形成する紙、フィルム、布帛などの材料との接着性に劣り、充分に満足のゆくものではない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、提灯における火袋骨格を作製する際の作業性および取り扱い性に優れる火袋骨格材であって、且つ該骨格材を用いて形成した火袋骨格の形状が良く、しかも火袋骨格が変形しにくくて形状保持性に優れ、保存性にも優れ、さらには強度、軽量性に優れる提灯の火袋骨格材を提供することである。さらに、本発明の目的は、火袋を形成するために火袋骨格に貼付される紙、フィルム、布帛などの材料との接着性に優れ、さらに焼却処理した際に、完全に焼却でき、しかもダイオキシンなどの有害ガスを発生せず安全性に優れる提灯の火袋骨格材を提供することである。さらに、本発明の目的は、前記の骨格材を用いて形成した火袋および該火袋を有する提灯を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく本発明者らが種々検討を重ねた結果、提灯の火袋骨格材として、特定値以上の引張強度および初期弾性率を有する合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材を用いると、提灯の火袋骨格を形成する際の作業性および取り扱い性が良好であり、しかも該線材を用いて形成した提灯は、形が良好であり、型くずれせず形状保持性に優れ、強度が高く変形や破損を生じにくく、且つ軽量性に優れていることを見出した。さらに、本発明者らは、前記合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材として、特定の断面充実度を有し、および/または見かけ密度を有する合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなるものを用いると、火袋骨格を形成する際の取り扱い性および作業性が一層良好になり、且つ得られる火袋の形状が一層良くなり、火袋の変形が生じず形状保持性に優れ、しかも強度などに一層優れ、その上防サビ、防カビ、防虫などの保存性の点でも優れていることを見出した。そして、本発明者らは、提灯の火袋骨格を構成する前記線材として、上記した特定の物性を備えるポリビニルアルコール系重合体製のモノフィラメントまたは集束体よりなる線材を用いると、前記した種々の優れた特性に加えて、火袋を形成する紙との接着性、焼却処理時の有毒ガスの発生防止性などの点で一層優れていることを見出した。 【0007】また、本発明者らは、前記した火袋骨格材を被覆層で被覆すると、火袋の形成に用いる紙、フィルム、布帛などの材料との接着性が一層向上すること、火袋の製造時に骨格材が剃刀の刃で損傷されにくくなること、火袋骨格材の引張強度や曲げ剛性などの力学的特性がより良好になり且つ火袋骨格材の断面充実度や直径のコントロールが容易になるため、火袋を製造する際の取り扱い性や作業性が一層向上し、しかも該火袋骨格材を用いて形成した提灯の耐久性が向上すること、被覆層に着色剤、芳香剤、消臭剤などを付与しておくことにより一層高機能化された提灯が得られることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。 【0008】すなわち、本発明は、(1) 合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる、引張強度が30kg/mm2以上、初期弾性率が950kg/mm2以上および短径が0.2mm以上の線材からなることを特徴とする提灯の火袋骨格材である。 【0009】本発明は、(2) 前記線材を構成する合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体の断面充実度が70%以上である前記(1)の提灯の火袋骨格材;(3) 前記線材が、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体よりなる前記(1)または(2)の提灯の火袋骨格材;(4) 前記線材を構成するポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体の見かけ密度が1.15g/cm3以上である前記(1)〜(3)のいずれかの提灯の火袋骨格材;を好ましい態様として包含する。 【0010】さらに、本発明は、(5) 被覆層を有する前記(1)〜(4)のいずれかの提灯の火袋骨格材;および、(6) 被覆層が、火袋骨格材への紙、フィルムまたは布帛の巻き付け、および/または火袋骨格材への合成樹脂のコーティングにより形成されている前記(5)の提灯の火袋骨格材;を包含する。 【0011】そして、本発明は、(7) 前記(1)〜(6)のいずれかの骨格材を用いて形成した提灯の火袋;および、(8) 前記(7)の火袋を有する提灯;である。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明する。本発明で言う「提灯」とは、線材から形成した骨格に紙、フィルム、布帛などの材料(以下これらを総称して「火袋用材料」ということがある)を貼り付けて形成した火袋を有する提灯、行灯および灯籠の総称であり、用途としては、照明器具、および宣伝、装飾、納涼、お盆などの各種行事において色々な思いを込めたシンボルとして使用される。したがって、本発明は、提灯、行灯および灯籠の火袋を形成するのに用いる骨格材、該骨格材を用いて形成した提灯、行灯および灯籠の火袋、並びに該火袋を有する提灯、行灯および灯籠を包含する。また、本発明でいう「火袋」とは、骨格材にて形状を形作っているものをさし、この骨格材の内外表面の一部または全部に紙、フィルム、布帛などの火袋用材料を張ったものや、骨格材のみで紙などの覆いがないものを含む。さらに、「火袋」の内部または付近に蝋燭や電球などからなる光源が有っても無くても構わない。火袋骨格材の形状としては、略円柱体、略球体、略多角形、円錐、角錐、さらにこれらの組み合わせ形状やこれらの一部分を切り出したような形状など、火袋骨格材で形成可能なあらゆる形状が挙げられる。提灯に用いる火袋用材料(覆い)としては、骨格材に貼り付けたり付着できるものであれば特に制限はなく、具体例としては和紙や意匠紙などの一般的な紙類、合成紙、各種繊維からなる織物、編物、不織布、合成樹脂からなるフィルムやシートなどや、またはこれらの積層体などの平面状物を挙げることができる。また、本発明の提灯には、骨格材を火袋用材料(覆い)で覆わずに、骨格材に紐、糸、棒など付けたものも含まれる。 【0013】本発明では、提灯の火袋を形成する骨格材が、合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材からなっており、それによって、従来の鋼線製の火袋骨格材におけるような錆の発生がなく、軽量性に優れており、しかも焼却処分した際に鋼線が後に残留するという問題がない。 【0014】本発明では、火袋骨格材である合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の引張強度が30kg/mm2以上であることが必要であり、それによって、火袋骨格を製作する際の作業性および得られる火袋の形状が良好になり、しかも形成された火袋は変形がなく形状保持性に優れるものとなり、且つ火袋骨格への紙の貼着作業が円滑に行われ、その上得られる火袋の強度などが良好になる。提灯の火袋骨格材を構成する線材の引張強度が30kg/mm2未満であると、強度が低いことにより、火袋骨格を作製する際に線材の破断などを生じ易く、その取り扱い性、火袋骨格の作製性が劣るようになり、しかも得られる火袋骨格の強度、形状保持性などが低下する。火袋骨格材として用いる線材は、その引張強度が40kg/mm2であることが好ましく、45kg/mm2以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、火袋骨格材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の引張強度の測定方法は、以下の実施例の項に記載するとおりである。 【0015】さらに、本発明では、火袋骨格を製作する際の作業性を良好にし、得られる火袋の形状を良好で且つ変形しにくいものとし、更には火袋骨格への紙の貼着作業を円滑にし、また単独または集合保管時の保管性などを良好なものにするために、火袋骨格材である合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の初期弾性率が950kg/mm2以上であることが必要である。火袋骨格材として用いる線材の初期弾性率が950kg/mm2未満であると、火袋骨格の作製時に変形し易くなり、所定形状の火袋骨格を形成できなくなり、しかも得られた火袋骨格は変形し易く形状保持性に劣る。合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる火袋骨格用の線材の初期弾性率は、1000kg/mm2以上であることが好ましく、1200kg/mm2以上であることがより好ましく、1500kg/mm2以上であることが更に好ましい。線材の初期弾性率の上限値は制限されないが、あまり高くなり過ぎると、火袋骨格を作製する際に湾曲加工を行いにくくなるので50,000kg/mm2以下であることが好ましい。なお、本明細書において、火袋骨格材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の初期弾性率の測定方法は、以下の実施例の項に記載するとおりである。 【0016】さらに、本発明では、火袋骨格材として用いる前記線材の短径が0.2mm以上である。すなわち、1本の合成樹脂モノフィラメントをそのまま火袋格材を形成するための線材として用いる場合は、合成樹脂モノフィラメント自体の短径を0.2mm以上とする。また、複数本の合成樹脂フィラメントを集束した集束体を火袋骨格を形成するための線材として用いる場合は、該集束体の短径を0.2mm以上とする。火袋骨格材として用いる線材の短径が0.2mm未満であると、火袋骨格を作製する際の作業性や作製した火袋骨格の形状保持性が低下し、変形し易くなる。 【0017】提灯の火袋骨格の作製に当たっては、通常、線材をのせる(架ける)ための多数の溝を背の部分に設けた張型と称される板を組んだものを使用し、組んだ張型の溝に沿って線材を螺旋状に巻き付けてゆく方法が採用される。線材の短径は、火袋作製時の作業性、および火袋骨格に紙を貼った後に製品として提灯の形状を保ち且つ提灯としての優雅な形状を表現できるだけの力学的性能などの点から決定される。そのため、火袋骨格を形成する線材の短径は、提灯の大きさや形などに応じて調節・決定される。一般的な大きさの提灯は火袋の直径が約30cm前後であり、そのような提灯に使用される線材の短径は通常約0.7mm程度である。本発明では、製造しようとする提灯の火袋の大きさや形状、火袋骨格の作製に用いる張型の溝の幅や深さなどに応じて、火袋骨格を構成する線材の短径を上記した0.2mm以上の範囲から決めることができ、一般的には線材の短径を、従来使用の型枠を使用可能にするために、0.4〜3mm程度にしておくことが好ましい。 【0018】合成樹脂フィラメント集束体を火袋骨格を形成するための線材として用いる場合は、線材としての剛性を発現させるために、各フィラメントの太さはなるべく太い方が望ましい。一般には、集束体を構成する各フィラメントの直径が10〜600μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましく、そのような合成樹脂フィラメントを複数本束ねて短径が上記した0.2mm以上の集束体を形成する。 【0019】また、本発明では、火袋骨格材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の断面充実度が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。ここで、本明細書における線材の断面充実度とは、火袋骨格材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体などからなる線材の横断面の円形度を意味し、その測定法の詳細は以下の実施例の項に記載するとおりである。線材の断面充実度が高いほど、該線材の横断面形状は円形に近い形状を有する。火袋骨格材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材の断面充実度が70%以上であると、該線材の横断面がより円形に近い形状となるため、火袋骨格を作製する際に張型の溝に線材を固定し易くなって作業性および形状保持性が良好になる。しかも、火袋の製作時に火袋骨格に貼付される紙、フィルム、布帛などの火袋用材料と線材との接着面積が高くなって、火袋骨格と火袋用材料との接着が強固になる。その上、線材に角がないために、火袋用材料が破れる危険が少ない。 【0020】1本の合成樹脂モノフィラメントをそのまま火袋格材を形成するための線材として用いる場合は、その断面充実度が70%以上であって円形により近い横断面形状を有する合成樹脂モノフィラメントを使用すればよい。また、複数本の合成樹脂フィラメントの集束体を火袋骨格を形成するための線材として用いる場合は、集束体の横断面形状を円形に保つために(断面充実度を70%以上にするために)、撚糸や樹脂含浸による形態固定を行うのがよい。集束体では、それを構成する各フィラメントの横断面形状も円形またはそれに近いものであることが望ましく、それによって断面充実度の高い集束体(円形に近い横断面形状を有する集束体)が得られ易くなる。 【0021】複数本の合成樹脂フィラメントを撚糸して集束体(集束糸)を形成する場合には、撚糸の内容は集束体の横断面が円形またはそれに近い形状となり且つ各フィラメントがばらけない程度の撚りであればよい。限定されるものではないが、例えば全合成樹脂フィラメントを同時に片方へ撚って形成した集束体、複数本の合成樹脂フィラメントを幾つかのグループに分けて先ず別々に同方向(S撚りまたはZ撚り)の下撚りを施した後にそれらを合わせて下撚りと逆方向の上撚りをかけて撚りの解舒トルクによる解繊が起こらないようにして形成した集束体などを挙げることができる。それらの撚糸における前記片撚りまたは下撚りの撚り数は、一般的には30〜300T/m程度としておくことが望ましい。しかしながら、場合によっては実質的に撚りを加えることなく集束体としてもかまわない。 【0022】合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材では、火袋骨格材としての剛性を得るために、集束体に撚りがかかっているか否かに拘わらず、集束体に樹脂などを被覆および/または含浸させて硬化することが好ましい。その際の樹脂としては、集束体を構成する合成樹脂フィラメントおよび提灯の火袋を形成するための紙、フィルム、布帛などの火袋用材料を貼り付けるのに用いる糊料との接着性が良く、且つ集束体に剛性を付与できるものであればいずれでもよく特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。その際の樹脂の付着量は特に制限されない。特に、火袋骨格を形成する線材として、ポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体を用いる場合は、各ポリビニルアルコール系重合体フィラメントの太さを15〜600μm、特に50〜500μmとしてするのがよい。その際の集束本数は用いるポリビニルアルコール系重合体フィラメントの1本の太さ、製造しようとする集束体の太さなどに応じて決めることができる。また、集束体における撚り数や樹脂付着量なども、使用するフィラメントの太さや目的とする集束体の太さなどに応じて異なり得るが、例えば、各フィラメント直径が100μmの場合は、50〜12T/mの片撚りをかけ、その後に樹脂を約5〜15重量%付着させるとよい。もちろん実質的に撚りを施すことなく樹脂を付着させてもかまわない。付着する樹脂としては、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂などの1種または2種以上が好ましく用いられる。 【0023】火袋骨格を形成する線材として用いる合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体を構成する合成樹脂としては、モノフィラメント状に紡糸可能で、引張強度が30kg/mm2以上、初期弾性率が950kg/mm2以上および短径が0.2mm以上のモノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体を形成することのできる合成樹脂が用いられ、そのうちでも焼却処理したときにダイオキシン、シアンガスなどの有害ガスを発生しない合成樹脂が好ましく用いられる。合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体を構成する合成樹脂例の好ましい例としては、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリルアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体などを挙げることができる。そのうちでも、本発明の火袋骨格材は、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体からなっていることがより好ましい。ポリビニルアルコール系重合体製のモノフィラメントまたはフィラメント集束体よりなる火袋骨格材は、軽量性、火袋骨格を作製する際の取り扱い性、作業性、作製した火袋骨格の形、形状保持性、保存性、強度、火袋骨格に紙を貼り付けるのに用いる糊料の接着性、火袋を形成するための紙、フィルム、布帛などの火袋用材料との接着性などの諸特性に極めて優れている。 【0024】そこで、本発明における火袋骨格材として好ましく用いられる、ポリビニルアルコール系重合体製モノフィラメントまたはポリビニルアルコール系重合体フィラメント集束体よりなる線材について説明する。モノフィラメントまたはフィラメント集束体を構成するポリビニルアルコール系重合体は、繊維化が可能なものであれば特に制限されず、例えば、ビニルアルコール単位のみからなる重合体、主鎖または側鎖にビニルアルコール単位以外の共重合単位を有するビニルアルコール共重合体やポリビニルアルコールの変性物、シンジオタクト部位を主鎖に有するポリビニルアルコール系重合体などのいずれからなっていてもよい。ビニルアルコール系共重合体の場合は、主鎖中での他の共重合単位の割合が20モル%以下であることが好ましい。その際の他の共重合単位としては、例えば、エチレン、イタコン酸、アクリル酸、無水マレイン酸またはその閉環物、アリールスルホン酸、ピバリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル、ビニルピロリドン、前記単量体のイオン性基の一部または全部の中和物などのような不飽和単量体に由来する単位を挙げることができる。ビニルアルコール系共重合体は、前記した共重合単位の1種または2種以上を有していることができる。そのうちでも、本発明では、火袋骨格を形成するための線材として好ましく用いられるビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたはフィラメント集束体が、ビニルアルコール単独重合体、またはエチレン・ビニルアルコール共重合体であることが、力学的物性などの点からより好ましい。 【0025】ポリビニルアルコール系重合体の平均重合度は、乾式紡糸によってポリビニルアルコール系重合体フィラメントを製造する際の紡糸原液または含水チップの取り扱い性に優れ、且つ得られるフィラメントの繊維物性が良好になる点から4000以下であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。また、ポリビニルアルコール系重合体のケン化度は、耐水性の向上、力学的物性の発現などの点から98モル%以上であることが好ましく、99.5モル%以上であることがより好ましい。 【0026】ポリビニルアルコール系重合体フィラメントを製造するための紡糸方法は特に制限されず、ポリビニルアルコール系フィラメントの製造に従来から用いられている紡糸法、例えば、湿式紡糸法、乾式紡糸法、紡糸ノズルと凝固浴の間に空気または不活性ガス雰囲気のギャップを介在させる乾湿式紡糸法(ゲル紡糸法も含む)などにより製造することができる。そのうちでも、乾式紡糸法が、直径(単繊維繊度)の大きなフィラメントを容易に製造できることから好ましく採用される。乾式紡糸を行うに当たっては、水を溶媒とするポリビニルアルコール系重合体の含水チップまたは紡糸原液を用いて行うことが好ましく、ポリビニルアルコール系重合体の含水チップを用いることがより好ましい。 【0027】ポリビニルアルコール系重合体の含水チップまたは紡糸原液を用いて乾式紡糸を行うに当たっては、ポリビニルアルコール系重合体の濃度が30〜60重量%である含水チップまたは紡糸原液を一般的な紡糸ノズルから90〜130℃の温度で紡出した後に、50〜180℃に段階的に加熱された乾燥機に糸篠を導いて約4.0重量%以下の水分率になるまで乾燥して乾燥原糸を製造する方法が好ましく採用される。これにより得られた乾燥原糸を乾熱延伸し、次いで熱処理することによって、火袋骨格を形成するための線材として用いるフィラメント集束体用のポリビニルアルコール系重合体フィラメントが製造される。乾燥原糸の前記した乾熱延伸は、フィラメントに所望の機械的性質を発現させるために、延伸温度を200〜250℃、特に210〜240℃とし、延伸倍率を5倍以上、特に8倍以上、更には9倍以上とすることが好ましい。 【0028】延伸時の加熱方式としては延伸炉中で熱風による加熱する方式が好ましく採用され、延伸炉内での滞留時間は約20秒〜3分間程度とすることが好ましい。延伸後の熱処理は、延伸温度よりも0〜20℃程度高い温度で行うことが望ましい。延伸倍率によっても異なり得るが、フィラメントの熱処理装置への導入速度を熱処理装置からの取り出し速度よりも高くしながら熱処理を行って、約2〜30%程度の収縮が生ずるようにして熱処理を行うことが好ましい。前記収縮を伴う熱処理を行うことによって、モノフィラメントの耐曲げ折れ性が向上して、火袋の作製時にループや結び目など形成する際にモノフィラメントの折れが円滑に防止される。モノフィラメントが過度に引き伸ばされた状態になっていると、耐曲げ折れ性が低くなり、火袋の作製時に折れなどを生じ易くなる。 【0029】火袋骨格を形成するための線材を構成するポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体は、火袋の作製容易性、取り扱い性、火袋の形、形状保持性、火袋の形成に用いる紙、フィルム、布帛などの火袋用材料との接着性などの点から、上述のように、その断面充実度が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。乾式紡糸法によって太いポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを製造する場合(例えば単繊維繊度が300デニール以上のモノフィラメントを製造する場合)は、紡糸ノズルから紡出した糸篠は通常ローラー型乾燥設備を使用して乾燥され、その乾燥工程で糸篠がローラー面に押し付けられた状態で乾燥が行われるために、乾燥後のポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの横断面形状が偏平型となっていることが多く、断面充実度が80%以上、特に85%以上であるような、円形度の高いモノフィラメンをそのまま直接得ることが困難である。 【0030】そのため、集束することなく1本でそのまま火袋骨格用の線材としてより有効に用い得る断面充実度80%以上のポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを得るためには、上記した方法において、特に次のような条件を採用してポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを製造するのよい。以下の方法による場合は、極めて高い断面充実度(断面充実度80重量%以上、特に85重量%以上)を有する円形度のより高い太いポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを円滑に製造することができる。すなわち、乾式紡糸したポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの上記乾燥工程において、完全乾燥せずに残存水分率が0.5〜4.0重量%の範囲になるように乾燥を止め、それに引き続いて215〜250℃の熱風による乾熱延伸工程に導いて短時間で急速に乾熱延伸することで残存水分をモノフィラメント内で気化・発泡させ、それによってモノフィラメントの膨張・円形断面化を促し、断面充実度が80%以上、特に85%以上の円形またはそれに一層近い横断面形状を有するポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを得ることができる。 【0031】より詳細に説明する。乾式紡糸したポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを、その残存水分率が0.5〜4.0重量%、特に1.0〜2.5重量%の範囲になるようにして乾燥する。次いで、その含水モノフィラメントを、215〜250℃、特に220〜235℃の加熱温度で短時間(通常2分以下)に急激に加熱して乾熱延伸して、延伸前と延伸後とでモノフィラメント中の水分率に余り差が生じないようにしながらモノフィラメント中の水分をモノフィラメント内に閉じ込めた状態で発泡させて、モノフィラメントの延伸と発泡によるモノフィラメントの膨張・横断面円形化を同時に行って、断面充実度が80%以上の高い円形度を有する延伸モノフィラメントを製造する。その際の延伸倍率は、モノフィラメントの横断面円形化に必要な張力を発生させ且つモノフィラメントの引張強度を高くするために、6倍以上であることが好ましく、9倍以上であることがより好ましい。乾熱延伸時の加熱媒体としては、空気などの加熱ガスを用いるのがエネルギー伝達が大きく、モノフィラメントの温度制御が容易であるので好ましい。また、乾熱延伸後のモノフィラメントの太さは、その短径が0.2mm以上であることが好ましく、繊度では300デニール以上であることが好ましく、1000デニール以上であることがより好ましく、1500デニール以上であることがさらに好ましい。なお、モノフィラメントの太さ領域(繊度範囲)は、その断面形状、中空度、見かけ比重などに応じて変えることができる。 【0032】乾熱延伸後のポリビニルアルコール系重合体モノフィラメント中に前記した0.5〜4.0重量%程度の水分がそのまま含まれていることにより、乾熱延伸後の熱処理工程(収縮熱処理工程)時にも該水分の気化によって発泡が生ずることがあるが、この発泡によるモノフィラメントの横断面形状の変化は乾熱延伸工程時ほど大きくない。正確な理由は不明であるが、乾熱延伸を経たモノフィラメントは、分子配向度や結晶化度が高くなっており、構造そのものが完成度が高くなっていて融点上昇が生じているために、熱処理工程での発泡による横断面形状の変化へに影響が少ないものと考えられる。しかしながら、熱処理時の設定条件によっては、横断面形状の変化を生じさせてその断面充実度(円形度)をさらに高めることも可能である。熱処理温度は、乾熱延伸温度乃至該温度よりも20℃程度高い温度範囲とすることが好ましい。熱処理時のモノフィラメントの収縮率が大きいほど発泡による影響度が大きく、熱処理時の収縮率を2〜20%にすると、モノフィラメントの断面充実度(円形度)を一層高めると共に耐熱性を向上させることができる。 【0033】乾式紡糸に用いるポリビニルアルコール系重合体の含水チップまたは水溶液(紡糸原液)に硼酸を添加すると、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの乾熱延伸性を向上させると共に引張強度を高くすることができる。含水チップまたは紡糸原液への硼酸の添加量は、0.1〜1.0重量%が好ましく、0.2〜0.6重量%がより好ましい。含水チップまたは紡糸原液に添加した硼酸は、含水チップまたは紡糸原液を紡糸ノズルから吐き出すまでの工程や、紡糸ノズルから吐き出した糸篠を熱風紡糸筒および乾燥装置中を移動させている間にポリビニルアルコール系重合体の架橋などの化学結合を生じさせて、これがモノフィラメントの乾熱延伸性の向上や引張強度の向上をもたらすものと考えられる。また、含水チップまたは紡糸原液への硼酸の添加は、乾熱延伸時の上記した水分気化・発泡にも影響を有しており、モノフィラメント横断面の円形度(断面充実度)を向上させる傾向を有する。 【0034】上記によって得られるポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントは、その表面が平滑であり、その横断面を光学顕微鏡で観察すると芯鞘型の二重構造または中空構造が観察される。芯鞘型の二重構造のものでは、芯部は光学顕微鏡で暗く観察され、鞘部は明るく観察され、芯部および鞘部の両方に微細な空隙が存在する。また、中空構造のものでは、中心部には大きな気泡が集中して不規則な状態で中空化し、周囲には小さな空隙が散在している。前記中空部はモノフィラメントの長さ方向に連続しているが、その大きさや形状は変化している。 【0035】上記において、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの乾熱延伸工程および/または熱処理(熱収縮処理)工程での処理条件を上記した範囲から選択することによって、最終的に得られるポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの断面充実度を85%以上、さらには90%以上にすることもできる。しかも、ポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントの乾熱延伸および熱処理を上記した条件下で実施することにより、引張強度が30kg/mm2以上で且つ初期弾性率が950kg/mm2以上のポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントを円滑に得ることができる。 【0036】熱処理後のポリビニルアルコール系重合体モノフィラメントは、必要に応じて、表面処理用の油剤処理や樹脂加工を施してもよい。例えば、巻き取り時や提灯の火袋製造工程での工程通過性を高めるために、帯電防止、摩擦係数低下、火袋用紙への接着性向上などを目的とした油剤を付着してもよい。また、モノフィラメントの横断面形状を一層丸形にするために(断面充実度を一層高めるために)、モノフィラメントの表面に樹脂を付着させ、それを円形穴を通過させ、次いで該樹脂を皮膜状に硬化または固化するなどの加工を行ってもよい。その際に付着させる樹脂としては、ポリビニルアルコール、その変性物、ポリ酢酸ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを用いることができる。また、湿度に対する骨格材の寸法安定性を増加させるために、ポリビニルアルコール系重合体フィラメントに対して、湿式紡糸したビニロン繊維において一般的に行われているフォルマール化処理やジアルデヒド類により架橋処理を行って、その水酸基を封鎖・疎水化してもよい。かかる骨格材を用いて火袋および提灯を製造すればよいが、製造コスト、形態安定性、曲げ加工性などの点からは合成樹フィラメント集束体よりもモノフィラメントであるのが好ましく、なかでも照明光がきれいな白色となる点からはL*が80以上の白色繊維であるのが好ましい。ポリビニルアルコール系繊維は、強度、糊料との接着性が良好である点などから骨格材として好適に使用されるが、色が黄色になり易い傾向がある。しかしながら、上記のように製造工程で水分を発泡させて得られるポリビニルアルコール系繊維は、繊維内部の空隙により光散乱が生じて白色となるので、この点からも骨格材として好ましく用いられる。もちろん、白色顔料またはその他の色の着色剤を添加したり、コーティングにより着色させることも可能である。加工工程を簡便にしたり、繊維性能が損なわれにくく時間が経過しても色の変化が生じにくくしたい場合は、着色剤などを用いない方法を採用するとよい。 【0037】上記した火袋骨格材は、骨格材の断面充実度や直径のコントロール、火袋を形成するための紙、フィルム、布帛などの火袋用材料との接着性の向上、骨格材の引張強度や曲げ剛性などの力学的特性の向上、火袋や提灯を製造する際の取り扱い性や作業性の向上、提灯製造時の刃物による骨格材の損傷防止などの点から、被覆層によって被覆してもよい。例えば、大きい提灯を製造するためには直径の大きな火袋骨格材が必要となるが、この場合に火袋骨格材の表面に設ける被覆層の厚さ、被覆層を形成する材料の種類などを調節することにより、大きい提灯に適する直径の大きな火袋骨格材を得ることができる。しかも、その場合に被覆層によって火袋骨格材の断面充実度をコントロールする(例えば高くする)ことによって、火袋や提灯を製造する際の作業性の向上を図ることができる。 【0038】また、提灯の主たる用途であるお盆提灯は、通常屋内で使用されることから、雨に対する耐水性や耐候性は一般にそれほど求められず、むしろ意匠性や装飾性に対する要望が高く、火袋用材料としては、意匠効果が装飾効果を発揮し易い紙や絹織物等の布帛が使用される。そのため、お盆提灯などの通常の提灯においては、紙や前記布帛などとの接着性が良好になる点から、火袋骨格材の表面は親水性が高い方が好ましい。一方、屋外使用が主となる提灯もあるが、この場合は、火袋には耐水性や耐候性が要求されることから、火袋用材料としては、風雨などによって破れにくい合成樹脂フィルム、合成紙(例えばポリエステル系繊維やポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維を用いた紙材)などの疎水性材料が主に使用されている。そのため、屋外用の提灯に用いられる火袋骨格材の表面は、前記した疎水性の火袋用材料との接着性を良好にするために、疎水性であることが好ましい。このように、提灯の使用目的や用途などに応じて、火袋骨格材の表面特性をコントロールすることが好ましいが、火袋骨格材の表面を被覆層で覆い、その被覆層として各々の使用目的や用途に適したものを選択することによって、所望の特性を有する火袋骨格材を得ることができる。また、場合によっては、火袋骨格材の表面に設ける被覆層中に着色剤、芳香剤、消臭剤などの機能性化合物を付与しておくことにより、火袋骨格材、ひいては提灯を高機能化してもよい。 【0039】火袋骨格材への被覆層の形成方法は特に制限されず、火袋骨格材(線材)への紙、フィルムまたは布帛の巻き付け、火袋骨格材(線材)への合成樹脂のコーティング、前記巻き付けとコーティングの併用などを挙げることができる。火袋骨格材(線材)への被覆層の形成に当たっては、紙、フィルムまたは布帛の巻き付ける方法が好適であり、特に紙、フィルムまたは布帛を細帯状(縒状)にし、それを火袋骨格材(線材)に巻き付ける方法がより好ましく採用される。またさらに、紙、フィルム、布帛などを巻き付けた後に、これらと接着性の良好な糊剤を付着し乾燥させることで固定化してもかまわない。これらの方法による場合は、被覆する紙、フィルムまたは布帛の種類、組成、成分などを任意に選定することが可能であり、また火袋骨格材(線材)と被覆する材料との親和性が小さい場合であっても、巻き付け方法によって火袋骨格材に被覆層を強固に固定することができ、合成樹脂をコーティングする場合等に比して被覆材料の選択範囲を広げることができる。 【0040】また、火袋骨格材に合成樹脂をコーティングして被覆層を形成する場合は、例えば、ポリビニルアルコール系重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体系重合体、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂などの1種または2種以上が好ましく用いられる。コーティング方法は特に制限されず、例えば、ディッピング(浸漬)法、しごき塗り法、ローラ塗装法、スプレー塗装法などを採用して行うことができる。 【0041】合成樹脂モノフィラメント、合成樹脂フィラメント集束体または被覆層で被覆された前記材料よりなる本発明の火袋骨格材を用いて火袋および提灯を形成する方法は特に制限されず、線材を用いて火袋および提灯を形成する従来技術と同様の方法により行うことができる。限定されるものではないが、例えば、以下の方法で製造することができる。先ず提灯の火袋を形成するために、骨格材を火袋形状に配置する張型を組み、張輪を張型の上下にはめて固定する。張型は火袋の形状や大きさによって異なり、8、10、12枚組などがある(現在主流の直径が約30cm前後の提灯では10枚組の張型が通常用いられている)。次いで、上部張輪と張型上部の穴に骨格材となる合成樹脂モノフィラメント、合成樹脂フィラメント集束体または被覆層を形成してなるものよりなる線材を入れて留め、続いて張型の背の部分に刻まれた溝に沿って線材を螺旋状に巻いてゆく。張型の下部まで巻き終わると、線材を留めるための余裕を持たして切断し、下部張輪と張型下部の穴に線材を入れて留める。次いで、線材全体に糊料を刷毛で塗る。糸(木綿糸が主流)を張型の上部から下部にかけて張型の上に載せかけ、これを全ての張型の部分に行う。この糸は火袋の伸び過ぎを防止して、火袋紙の破損や変形を防ぐためのものである。次に、火袋となる紙、フィルム、布帛などの火袋用材料を貼る。先ず、上下の張輪から4〜5本目までの線材部分に火袋用材料を貼って(腰貼り)、火袋用材料の破損を防止するための補強を行う。続いて、張型間に火袋用材料を貼り、刷毛で撫でてしっかり接着させる。その後、余分な火袋用材料を剃刀で切り落とす。この火袋用材料の貼り作業を全面に行い、最後に乾燥させる。乾燥後に、張型を分解して火袋から抜き、ヘラで火袋の骨格材の間に折り目をつけて畳む。これにより得られた火袋に、常法にしたがって上下の枠体、および必要に応じて取っ手やその他の部品を取り付けることによって提灯を製造する。 【0042】 【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などにより何ら制限されない。以下の例において、紡糸−乾燥工程後に得られた延伸前のポリビニルアルコールフィラメントの含水率、並びに火袋骨格の形成に用いた線材(ポリビニルアルコールモノフィラメント、ポリビニルアルコールフィラメント集束体、被覆層を有するポリビニルアルコールモノフィラメントまたは鋼線)の長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度、見かけ密度並びにL*は下記の方法で求めた。 【0043】(1)ポリビニルアルコールフィラメントの含水率:乾燥機出口から採取した試料を、160℃で4時間以上乾燥した重量G(mg)の秤量瓶に入れ、直ちに秤量瓶ごとの重量Wa(mg)を精秤する。その後、熱風恒温乾燥器に秤量瓶のまま105℃で24時間、引き続いて160℃で90分乾燥し、デシケーター中で吸湿しないようにして50℃に冷却し、秤量瓶ごとの重量Wb(mg)を測定し、次の数式によりの含水率(%)を算出した。 【0044】 【数1】PVAフィラメント含水率(%)={(Wa−Wb)/(Wb−G)}×100【0045】(2)線材の長径および短径線材(モノフィラメント、フィラメント集束体、被覆層を有するモノフィラメントまたは鋼線)の横断面を光学顕微鏡で50倍に拡大して写真撮影して、その拡大写真から線材の長径および短径(mm)を求めた。なお、長径とは繊維横断面における最小外接円の直径、小径とは繊維横断面における最大内接円の直径である。 【0046】(3)線材の引張強度、初期弾性率および伸度:線材(モノフィラメント、フィラメント集束体、被覆層を有するモノフィラメントまたは鋼線)を、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置して予め調湿した後、長さ20cmの試料を採取し、インストロン試験機を使用して、引張速度10cm/分の条件下に引っ張り試験を行って、線材の引張強度、初期弾性率および伸度を測定した。なお、線材の伸度は、下記の数式により求めた。 【0047】 【数2】線材の伸度(%)={線材の破断時の伸び(cm)/把持長(20cm)}×100【0048】(4)線材の断面充実度:線材(モノフィラメント、フィラメント集束体、被覆層を有するモノフィラメントまたは鋼線)の横断面を光学顕微鏡で拡大してその写真撮影し、線材の横断面積が4〜9cm2になるように拡大描写してその面積F(mm2)を求めた。次いで、その横断面において最も広い幅(長径)B(mm)を直径とする円を描き、その断面積(1/4πB2)(mm2)を求め、下記の数式により線材の断面充実度を算出した。 【0049】 【数3】線材の断面充実度(%)={4F/(πB2)}×100【0050】(5)線材の見かけ密度:線材(モノフィラメント、フィラメント集束体、被覆層を有するモノフィラメントまたは鋼線)を105℃の恒温乾燥器中で一昼夜乾燥させた後、吸湿させないようにして長さ100cmの試料を採取してその重量(Wc)(g)を測定し、下記の数式により線材の見かけ密度を求めた。 【0051】 【数4】線材の見かけ密度(g/cm3)={4Wc/(0.01×πB2)}×100[式中、Bは線材の最大直径(長径)(mm)を示す。] 【0052】(6)L*:JIS Z 8722−1994、Z8729に準じて測定した。L*が大きいほど白色を呈しているといえる。 【0053】《実施例1》 (1)火袋骨格材(モノフィラメントよりなる線材)の製造:ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の紡糸用含水チップ(ポリビニルアルコール含量50重量%)を押出機に投入し、4.0mm径の丸形穴ノズルから除湿された空気中に110℃でモノフィラメント状に紡出して乾式紡糸を行い、引き続いて60℃から180℃まで段階的に加熱したローラーを用いた熱風乾燥機中を連続的に通過させてモノフィラメント中の水分を徐々に除去し含水率が0.1重量%以下になるまで乾燥した。このモノフィラメントを235℃の熱風延伸炉を通過させて10倍に乾熱延伸し、引き続いて245℃の熱風炉で熱処理して5%収縮させた後に巻き取って、火袋骨格材として用いるポリビニルアルコールモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度並びに見かけ密度を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すとおりであり、力学的特性に優れ、しかも断面充実度が高くて円形度の高いものであった。 【0054】(2)火袋および提灯の作製:(i) 上記(1)で得られたポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる火袋骨格用の線材を、木またはジュラルミンを主体とした10枚組の張型に固定した上部張輪と張型上部の穴に入れて留めた後、張型の背の部分に刻まれた溝に沿って線材を螺旋状に巻き、張型の下部まで巻き終わった時点で線材を切断して、張型に固定した下部張輪と張型下部の穴に線材を入れて留めた。次いで、線材全体に糊料(澱粉を主成分とする混合物)を刷毛で塗り、その上に木綿糸を張型の上部から下部にかけて全体に巻き付けた後、和紙を上下の張輪から5本目までの線材部分に貼り(腰貼り)、続いて上下の腰貼り間にも紙を貼りつけ、刷毛で撫でてしっかり接着させた後、余分な紙を剃刀で切り落とした。次いで、それを乾燥した後に張型を分解して得られた火袋から抜き、火袋の骨格材の間にヘラで折り目をつけて畳んで、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、ポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる火袋骨格用の線材が、下記の表1に示すように、引張強度が30kg/mm2以上(57.2kg/mm2)、初期弾性率が950kg/mm2以上(2,050kg/mm2)であり、長径0.71mm、短径0.54mmであり、さらに断面充実度が70%以上(78%)であってその横断面形状が円形に近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性が良好で、得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。しかも、火袋骨格を構成する線材と火袋の紙との接着が良好で線材からの紙の剥離が全くなかった。 (ii) 上記(i)で得られた火袋の上下に常法にしたがって枠体を取り付け、さらに上部枠体に取っ手を付けて提灯を作製した。 【0055】《実施例2》 (1)火袋骨格材(表面被覆モノフィラメントよりなる線材)の製造:実施例1の(1)で得られたポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる線材を、ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の10重量%水溶液中に浸漬通過させてポリビニルアルコールモノフィラメントの表面にポリビニルアルコール水溶液を付着させた後、板に設けた1.0mm径の円形穴を通過させて過剰のポリビニルアルコール水溶液を除去し、次いで220℃の熱風乾燥炉に導いて表面に塗布したポリビニルアルコール水溶液を乾燥させて、ポリビニルアルコールモノフィラメント表面にポリビニルアルコール樹脂皮膜層を有する表面被覆ポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる火袋骨格用の線材を製造した。これにより得られた表面被覆モノフィラメントの長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度並びに見かけ密度を上記した方法で求めたところ下記の表1に示すとおりであり、引張強度、初期弾性率が高く、しかも断面充実度が実施例1よりも更に高く、その横断面形状が円形により近いものであった。 【0056】(2)火袋および提灯の作製:(i) 上記(1)で得られた表面被覆ポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる火袋骨格用の線材を用いて、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、表面被覆ポリビニルアルコールモノフィラメントよりなる火袋骨格用の線材が、下記の表1に示すように、引張強度が30kg/mm2以上(42.5kg/mm2)、初期弾性率が950kg/mm2以上(1,330kg/mm2)であり、長径0.74mm、短径0.68mmであり、さらに断面充実度が87%であってその横断面形状が円形により近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性がより良好であり、得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。しかも、火袋骨格を形成している線材と火袋の紙との接着が良好で、線材からの紙の剥離が全くなかった。 (ii) 上記(i)で得られた火袋の上下に常法にしたがって枠体を取り付け、さらに上部枠体に取っ手を付けて提灯を作製した。 【0057】《実施例3》 (1)火袋骨格材(フィラメント集束体よりなる線材)の製造:(i) ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の紡糸用含水チップ(ポリビニルアルコール含量50重量%)を押出機に投入し、1.0mm径の丸形穴ノズルから除湿された空気中に115℃でモノフィラメント状に吐出して乾式紡糸を行い、引き続いて60℃から175℃まで段階的に加熱したローラーを用いた熱風乾燥機中を連続的に通過させてモノフィラメント中の水分を徐々に除去し含水率0.1重量%以下になるまで乾燥した。このモノフィラメントを235℃の熱風延伸炉を通過させて11倍に乾熱延伸し、引き続いて240℃の熱風炉で熱処理して20%収縮させた後に巻き取った。これにより得られたポリビニルアルコールモノフィラメントの単繊維繊度は500デニールであった。 (ii) 上記(i)で得られたポリビニルアルコールモノフィラメントを10本引き揃えて80T/mの撚糸を行って集束体を製造した後、それをポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の10重量%水溶液中に浸漬通過させてポリビニルアルコールフィラメント集束体の表面およびフィラメント間にポリビニルアルコール水溶液を含浸付着させた後、板に設けた1.0mm径の円形穴を通過させて過剰のポリビニルアルコール水溶液を除去し、次いで200℃の熱風乾燥炉に導いて含浸付着したポリビニルアルコール水溶液を乾燥させて、ポリビニルアルコールフィラメント集束体よりなる火袋骨格用の線材を製造した。これにより得られたポリビニルアルコールフィラメント集束体の長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度並びに見かけ密度を上記した方法で求めたところ下記の表1に示すとおりであり、引張強度、初期弾性率が高く、しかも断面充実度がより高くて、その横断面形状が円形に近いものであった。 【0058】(2)火袋および提灯の作製:(i) 上記(1)で得られたポリビニルアルコールフィラメント集束体よりなる火袋骨格用の線材を用いて、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、ポリビニルアルコールフィラメント集束体よりなる火袋骨格用の線材が、下記の表1に示すように、引張強度が30kg/mm2以上(45.7kg/mm2)、初期弾性率が950kg/mm2以上(1,280kg/mm2)であり、長径0.71mm、短径0.67mmであり、さらに断面充実度が89%であってその横断面形状が円形により近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性がより良好であり、得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。しかも、火袋骨格を形成している線材と火袋の紙との接着が良好で、線材からの紙の剥離が全くなかった。 (ii) 上記(i)で得られた火袋の上下に常法にしたがって枠体を取り付け、さらに上部枠体に取っ手を付けて提灯を作製した。 【0059】《実施例4》 (1)火袋骨格材(モノフィラメントよりなる線材)の製造:ポリビニルアルコールの重量に対して硼酸0.45重量%を含有するポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の紡糸用含水チップ(ポリビニルアルコール含量50重量%)を押出機に投入し、4.0mm径の丸形穴ノズルから除湿された空気中に105℃でモノフィラメント状に吐出して乾式紡糸を行い、引き続いて60℃から175℃まで段階的に加熱したローラーを用いた熱風乾燥機中を連続的に通過させてモノフィラメント中の水分を徐々に除去し含水率1.2重量%になるまで乾燥した。このモノフィラメントを232℃の熱風延伸炉を通過させて10倍に乾熱延伸し、引き続いて235℃の熱風炉で熱処理して3%収縮させた後に巻き取って、火袋骨格材として用いるポリビニルアルコールモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度並びに見かけ密度を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すように、力学的特性に優れ、しかも断面充実度が極めて高くて、その横断面形状が円形に極めて近いものであった。 【0060】(2)火袋および提灯の作製:(i) 上記(1)で得られたポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材を用いて、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、ポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材が、下記の表1に示すように、引張強度が30kg/mm2以上(43.9kg/mm2)、初期弾性率が950kg/mm2以上(1,570kg/mm2)であり、長径0.72mm、短径0.68mmであって断面充実度が88%と高く、その横断面形状が円形に一層近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性がより良好であり、しかも得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。その上、火袋骨格を形成している線材と火袋の紙との接着が良好で線材からの紙の剥離が全くなかった。 (ii) 上記(i)で得られた火袋の上下に常法にしたがって枠体を取り付け、さらに上部枠体に取っ手を付けて提灯を作製した。 【0061】《比較例1》 (1) 直径0.4mmの鋼線の表面に塩化ビニル樹脂被覆を行った後、和紙製の幅5mmの短冊状紙縒をこの被覆鋼線の全面に螺旋状に巻き付けて、直径0.65mmの火袋骨格用の線材を製造した。 (2) 上記(1)で得られた線材を用いて、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性および得られた火袋の形状が良好であったが、焼却処理時にダイオキシンなどの有害ガスを発生する危険が大きく、また炉の中に鋼線が残り、焼却物の取り扱い性に劣っていた。 【0062】《比較例2》 (1)火袋骨格材(モノフィラメントよりなる線材)の製造:ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度99.9%)の紡糸用含水チップ(ポリビニルアルコール含量50重量%)を押出機に投入し、3.5mm径の丸形穴ノズルから除湿された空気中に105℃でモノフィラメント状に吐出して乾式紡糸を行い、引き続いて60℃から180℃まで段階的に加熱したローラーを用いた熱風乾燥機中を連続的に通過させてモノフィラメント中の水分を徐々に除去し含水率0.1重量%以下になるまで乾燥した。このモノフィラメントを225℃の熱風延伸炉を通過させて7倍に乾熱延伸し、引き続いて230℃の熱風炉で熱処理して10%収縮させた後に巻き取って、火袋骨格材として用いるポリビニルアルコールモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの長径および短径、引張強度、初期弾性率、伸度、断面充実度並びに見かけ密度を上記した方法で求めたところ、下記の表1に示すように、引張強度および初期弾性率が共に低い値であった。 【0063】(2)火袋および提灯の作製:(i) 上記(1)で得られたポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材を用いて、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この火袋作製作業では、ポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材が、下記の表1に示すように、引張強度が30kg/mm2未満(25.0kg/mm2)であって、本発明の要件を満たしていないことにより、得られた火袋の形状が不良で、張型が接触していた部分で線材の変形が生じ、火袋を張輪側からみると全体で10角形になっており、円形をなしていなかった。 【0064】 【表1】
【0065】《実施例5》実施例4の(1)で得られたポリビニルアルコールモノフィラメントの全面に、和紙製の幅5mmの短冊状紙縒を螺旋状に巻き付け、さらに澱粉を主体とする糊剤を塗布して巻き付けた紙縒を固定し、モノフィラメントの表面を完全に被覆した。その後、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。この和紙で被覆したポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材は、長径0.95mm、短径0.93mmであり、断面充実度が90%と高く、その横断面形状が円形に一層近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性がより良好であり、しかも得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。その上、火袋骨格を形成している線材と火袋の紙との接着が極めて良好で線材からの紙の剥離が全くなかった。 【0066】《実施例6》実施例4の(1)で得られたポリビニルアルコールモノフィラメントの全面に、幅5mmの短冊状のポリエステルフィルム(厚さ50μm)を螺旋状に巻き付けて、モノフィラメントの表面を完全に被覆した。その後、糊剤としてエポキシ樹脂系接着剤を用い、また火袋用材料としてポリエステル繊維からなる合成紙を使用した以外は、実施例1の(2)と同様にして、直径が約30cmの提灯用の火袋を作製した。このポリエステル系合成紙で被覆したポリビニルアルコールフィラメントよりなる火袋骨格用の線材は、長径0.95mm、短径0.81mmであり、断面充実度が87%と高く、その横断面形状が円形に近いことにより、火袋作製時の張型への線材の巻き付け時の作業性がより良好であり、しかも得られた火袋の形状が良く且つ型くずれがなく形状保持性に優れていた。その上、火袋骨格を形成している線材と火袋の合成紙との接着が極めて良好で線材からの合成紙の剥離が全くなかった。 【0067】 【発明の効果】引張強度が30kg/mm2以上および初期弾性率が950kg/mm2以上である合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材からなる本発明の火袋骨格材は、提灯の火袋骨格を形成する際の作業性および取り扱い性が良好であり、しかも該線材を用いて形成した提灯は、形が良好であり、型くずれせず形状保持性に優れ、サビの発生、カビの発生がなく、虫がつかず保存性に優れ、強度が高く変形や破損を生じにくく、且つ軽量性に優れており、特に合成樹脂モノフィラメントはかかる効果がかなり顕著に得られることから優れた効果が奏され、なかでもL*の大きい繊維を用いたものはきれいな白色の照明光が得られる。特に、前記した30kg/mm2以上の引張強度および950kg/mm2以上の初期弾性率と共に、断面充実度が70%以上である合成樹脂モノフィラメントまたは合成樹脂フィラメント集束体よりなる線材から構成される火袋骨格材は、火袋骨格を形成する際の取り扱い性および作業性が一層良好であり、且つ得られる火袋の形状が一層良くなり、火袋の変形が生じず形状保持性に優れ、保存性に優れ、しかも強度などに一層優れる。そのうちでも、上記した特定の物性を備えるポリビニルアルコール系重合体製のモノフィラメントまたは集束体よりなる線材から構成される火袋骨格材は、前記した種々の優れた特性に加えて、火袋を形成する紙との接着性、焼却処理時の有毒ガスの発生防止性などの点で一層優れている。 【0068】さらに、前記した本発明の火袋骨格材を被覆層で被覆してなる火袋骨格材は、火袋の形成に用いる紙、フィルム、布帛などの火袋用材料との接着性が一層良好であり、火袋の製造時に骨格材が剃刀の刃で損傷されにくい。しかも、火袋骨格材の引張強度や曲げ剛性などの力学的特性がより良好であり且つ火袋骨格材の断面充実度や直径のコントロールが容易であるため、火袋を製造する際の取り扱い性や作業性が一層良好であり、その上、該火袋骨格材を用いて形成した提灯の耐久性に優れている。また、該被覆層に着色剤、芳香剤、消臭剤などの機能性物質を付与してなる火袋骨格材では、一層高機能化された提灯が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001085 【氏名又は名称】株式会社クラレ 【識別番号】594042479 【氏名又は名称】株式会社中村製紙所 【識別番号】592244778 【氏名又は名称】株式会社ヤマグチ
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| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093377 【弁理士】 【氏名又は名称】辻 良子
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| 【公開番号】 |
特開2001−76503(P2001−76503A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願2000−51167(P2000−51167) |
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