| 【発明の名称】 |
配管系の応答解析方法および装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】飯島 唯司
【氏名】浪田 芳郎
【氏名】小野 悟
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| 【要約】 |
【課題】配管系に用いられる各種配管の形状要素を取り入れた解析や配管が塑性する条件での解析を経済的になせるようにする。
【解決手段】配管系に用いられる各種配管についてそれぞれの剛性に関するパラメータごとに荷重と変形量の関係のデータを予め取得し、これを荷重−変形量データベースに保存しておき、実際に配管系の応答解析を行う際には、この荷重−変形量データベースから読み込んだ荷重−変形量データにより解析対象の配管系における各配管の剛性特性を設定することで、有限要素からなる解析モデルを作成する。そのための応答解析装置は、解析データ入力装置26、データ処理装置27、情報表示装置28、荷重−変形量データ入力装置29および荷重−変形量データベース30からなり、そのデータ処理装置27は解析データ作成手段27aと応答計算手段27bからなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有限要素法により配管系の解析モデルを作成し、この解析モデルに基づいて応答解析を行なう配管系の応答解析方法において、配管系に用いられる各種配管の剛性に関するパラメータごとに予め取得して荷重−変形量データベースに保存されている荷重と変形量の関係のデータを用いるものとし、この荷重−変形量データベースから読み込んだ荷重−変形量データにより解析対象の配管系における各配管の剛性特性を設定することで、有限要素からなる解析モデルを作成することを特徴とする配管系の応答解析方法。 【請求項2】 配管が塑性する条件での解析をなす場合には、荷重−変形量データベースに保存するデータとして、荷重と変形量の関係を線形剛性と線形減衰に置換したデータを用い、これにより線形解析を行えるようにした請求項1に記載の配管系の応答解析方法。 【請求項3】 配管系の有限要素法による解析モデルを作成するのに必要な荷重条件データや解析条件データを入力するための解析データ入力装置と、前記解析モデルを作成するためのデータ処理装置とを少なくとも備えた配管系の応答解析装置において、配管系に用いられる各種配管についてそれぞれの剛性に関するパラメータごとに予め取得した荷重と変形量の関係のデータを保存する荷重−変形量データベースを備え、この荷重−変形量データベースから読み込んだ荷重−変形量データを前記解析データ入力装置で入力したデータとともに用いることで、有限要素からなる解析モデルを前記データ処理装置が作成するようになっていることを特徴とする配管系の応答解析装置。 【請求項4】 配管が塑性する条件での解析をなす場合には、荷重−変形量データベースに保存するデータとして、荷重と変形量の関係を線形剛性と線形減衰に置換したデータが用いられる請求項3に記載の配管系の応答解析装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種プラント施設の配管系が、地震等の事象による負荷を受けたときの応答評価のための応答解析に関し、特に、配管系に用いられる各配管の形状要素を取り入れた解析や配管が塑性する条件での解析を線形解析でなせるようにした応答解析に関する。 【0002】 【従来の技術】各種プラント施設の配管系が、地震等の事象による負荷を受けたときの応答を評価する場合、有限要素法を用いて配管系をモデル化して応答解析を行なうことが有効である。有限要素解析で配管系の全体的な応答を評価する場合、配管系全体の解析モデルを作成する必要がある。この解析モデルは、モデル化に伴う作業量、その解析モデルによる計算のコストなどの観点から、一般的にはビーム要素を用いることが経済的である。ビーム要素でモデル化するためには、通常、配管の口径と肉厚から計算される断面積、断面2次モーメントおよび2次極モーメントを計算し、剛性を定義する。しかし実際の配管系は、直管の他に曲管や分岐管等のさまざまな形状の配管で構成されており、ビーム要素ではこれらの形状の特徴を厳密にはモデル化できない。一方、有限要素法で上記のような配管の形状の特徴をモデル化するためには、シェル要素やソリッド要素などを用いて、形状を詳細にモデル化する方法が考えられる。あるいは、例えばHibbitt, Karlsson &Sorensen, Inc.が提供している有限要素解析プログラム「ABAQUS」では、曲管の変形挙動を模擬するための有限要素が利用可能であり、そのマニュアル「ABAQUS/Standard User's Manual, Volume I,II, Version 5 」(1995)に記載されている。その他には、配管の材質が弾性範囲の場合に、フレキシビリティファクタと呼ばれる剛性の補正係数により配管の形状効果を考慮する方法が、例えばASME Boiler and Pressure Vessel Code Section III などで提案されており、各種プラント施設の配管系の耐震設計に使用されている。 【0003】また配管の材質が塑性する場合、つまり配管に塑性変形を生じるような荷重条件を前提とする場合には、配管に作用する荷重と変形量の関係は線形関係でない。そのため応答評価には、例えば直接積分による時刻歴応答解析法などの非線形解析が必要となる。このような非線形解析は、一般的に線形解析に比べて計算量が多く、計算コストが大きなものとなる。配管の材質が塑性する場合の簡易的な応答評価方法としては、例えば特開平11−211553号公報に開示の例がある。この応答評価方法は、配管の塑性部位をばね要素でモデル化し、塑性した部材の特性を線形近似した剛性と減衰で表現する方法である。この応答評価方法は、簡易評価法としては有効であるが、これを実際に適用するためには、さまざまな配管の形状や寸法に応じて、塑性した各配管の特性、あるいはそれを線形近似したデータを使用する。なお応答解析に直接関係するものではないが、配管の設計に関して、例えば特開平7−21231号公報に開示のような技術があり、また配管の熱応力モニタリングに関して、例えば特開平8−15115号公報に開示のような技術がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の応答解析手法には、実際の配管系に現れる直管以外の曲管や分岐管等の形状効果までは厳密にはモデル化できないか、またはできたとしても解析のための作業量が膨大になるという問題がある。すなわち作業量が比較的少なくて済むビーム要素による解析モデルを用いる場合には、ビーム要素が口径と肉厚から計算される断面積、断面2次モーメントおよび2次極モーメントのみで剛性が定義されることから形状効果までは厳密にはモデル化できないし、一方形状効果の厳密なモデル化を可能とするシェル要素やソリッド要素などを用いる場合には作業量が膨大なものとなる。また従来の応答解析手法であると、配管の材質が塑性して配管における荷重と変形量の関係が線形関係でない条件での解析が非線形解析にならざるをえず、その作業量が膨大になるという問題もある。 【0005】したがって本発明の目的は、配管系に用いられる各配管の形状要素を取り入れた解析や配管が塑性する条件での解析を経済的になせるようにした応答解析装置および方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、有限要素法により配管系の解析モデルを作成し、この解析モデルに基づいて応答解析を行なう配管系の応答解析方法において、配管系に用いられる各種配管の剛性に関するパラメータごとに予め取得して荷重−変形量データベースに保存されている荷重と変形量の関係のデータを用いるものとし、この荷重−変形量データベースから読み込んだ荷重−変形量データにより解析対象の配管系における各配管の剛性特性を設定することで、有限要素からなる解析モデルを作成することを特徴としている。 【0007】また上記目的を達成するために本発明では、配管系の有限要素法による解析モデルを作成するのに必要な荷重条件データや解析条件データを入力するための解析データ入力装置と、前記解析モデルを作成するためのデータ処理装置とを少なくとも備えた配管系の応答解析装置において、配管系に用いられる各種配管についてそれぞれの剛性に関するパラメータごとに予め取得した荷重と変形量の関係のデータを保存する荷重−変形量データベースを備え、この荷重−変形量データベースから読み込んだ荷重−変形量データを前記解析データ入力装置で入力したデータとともに用いることで、有限要素からなる解析モデルを前記データ処理装置が作成するようになっていることを特徴としている。 【0008】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態について説明する。それにあたってまず本発明の背景となる事項を説明する。本明細書において配管系とは、さまざまな形状を有する複数の配管と、これを支持する支持構造物から構成される構造物を意味する。図1には、そのような配管系の一部として、曲管1の両端に直管2が接続されてなる部分における変形状態の例を示す。このような配管系が地震等の事象により荷重を受けた際には、曲管1は曲管3のように変形する。この変形量がある一定量を越えると、例えば部位4周辺のひずみが材料の弾性限界を越えて、塑性変形する。図2に、応力−ひずみ曲線の例を示す。配管に発生する応力が弾性限界である降伏応力5を越え、曲線6の領域に入ったときに、材料は塑性する。配管の材質が塑性した場合、配管に作用する荷重と変形量の関係は、線形関係ではなくなる。 【0009】図3に、配管に作用する繰返し型の荷重の例を示す。この繰返し型荷重は、例えば荷重の時刻歴波形が曲線7のように変化する。図4に、このような繰返し型荷重を受ける場合の配管の荷重と変形量の関係を示す。配管の材質が塑性した場合の変形量と荷重の関係は、例えば曲線8のようなループとなる。配管系の応答評価では、このような配管系を形成する各配管の荷重と変形量の関係をモデル化することが必要となる。ここで配管に作用する荷重は、変形方向によって、例えば曲げモーメント、ねじりモーメント、軸力、せん断力などとなり得る。変形量も同様に、変形方向により配管の曲げ角度、捩り角度、軸方向変形量、せん断変形量などとなり得る。 【0010】図5は、配管系の一例を模式化して示す図である。各種プラント施設の配管系は、直管9、曲管10、分岐管11、レデューサ12それにアンカー13などのさまざまな形状の配管と、配管支持構造物14、15などから構成されている。この例から分かるように、配管系を構成する配管にはさまざまな形状の配管が含まれており、これらの全てについて荷重−変形量関係を理論的に定式化し、モデル化することは一般的には困難である。形状の効果を考慮する方法としては、各種配管の形状を有限要素法によりソリッド要素またはシェル要素などで詳細にモデル化する方法がある。図6にシェル要素16を用いた解析モデル例を示し、図7にソリッド要素17を用いた解析モデル例を示す。しかし図5に示したようなさまざまな形状の配管から構成される実際の配管系を、ソリッド要素やシェル要素でモデル化することは、モデル作成に費やす作業量、計算コスト等を考慮した場合、効率的ではない。たとえ、詳細にモデル化する範囲を直管9を除く曲管10や分岐管11などに限定したとしても、モデル作成に費やす作業量、計算コストは、依然として大きい。そのため例えばビーム要素やばね要素のような経済的な要素だけで、曲管や分岐管などの形状も考慮してモデル化できることが望まれることになる。本発明ではこれを可能とするものであり、さらには有限要素法のための要素としてビーム要素やばね要素さえ用いなくても解析モデルの作成を可能とするものである。なおビーム要素18を用いた解析モデル例は図8のようになる。 【0011】図9に、配管系の応答解析で一般的に用いられるビーム要素とばね要素からなる解析モデルの一例を示す。図中の点19は、有限要素法により対象モデルを有限要素に分割したときの節点を表す。この例では、配管20をビーム要素でモデル化し、配管支持構造物21をばね要素でモデル化している。ただしモデル化におけるビーム要素やばね要素の使い方はこの限りではなく、例えば曲管部分や分岐管部分を回転ばね要素でモデル化することも可能である。図10には、曲管部や分岐管部を回転ばね要素でモデル化した場合の一例を示す。この例では、曲管部24と分岐管部25のモデル化にばね要素を用いている。従来における各種プラント施設の配管系の耐震設計では、ビーム要素とばね要素を用いて配管系をモデル化する場合に、配管の材質が塑性しないことを条件にして、フレキシビリティファクタと呼ばれる剛性の補正係数によって剛性を補正することで簡易的に形状の効果を考慮している。しかしフレキシビリティファクタを用いる方法は、比較的に粗い近似であり、必ずしも高精度な解析を行えるとはいえないし、特に配管の材質が塑性した場合には、さまざまな配管形状の効果を定式化し、ビーム要素あるいはばね要素によるモデル化に反映することは、一般的に困難である。これに対し、以下に説明するように本発明によれば、配管に作用する荷重と変形量の関係のデータを予め試験や解析などによって取得してデータベース化しておき、このデータを用いて有限要素法でモデル化した各要素(これは上記のようにビーム要素やばね要素とされる場合もあるが、本発明の原理によれば必ずしもそうする必要はない)の剛性特性に反映するようにしているので、形状効果を有効に取り入れることができる。また配管の材質が塑性する条件の場合でもデータベース化するデータを線形解析に適する形態とすることが可能であるので、形状効果を有効に取り入れた解析を線形解析で行うことが可能となる。 【0012】図11に、一実施形態による配管系の応答解析装置を示す。この応答解析装置は、解析データ入力装置26、データ処理装置27、情報表示装置28、荷重−変形量データ入力装置29および荷重−変形量データベース30からなり、そのデータ処理装置27は解析データ作成手段27aと応答計算手段27bからなる。解析データ入力装置26は、例えば配管系の配置の座標データ、各配管の肉厚や口径および曲管の曲率半径等の配管形状データと、固定部などの境界条件データ、地震荷重、内圧荷重等の荷重条件データおよび応答解析方法等の解析条件データとを入力するのに用いられる。この解析データ入力装置26としては、例えばキーボードやマウスなどを使用する。解析データ作成手段27aは、解析モデルを作成し、また応答計算のための解析データを作成する。この処理には解析データ入力装置26により入力した上記のようなデータが用いられ、特に解析モデルの作成には後述する荷重−変形量データベース30から読み込まれる荷重−変形量データも併せて用いられる。応答計算手段27bは応答計算を行なう。この計算には解析データ作成手段27aが作成した解析データが用いられる。解析データ作成手段27aと応答計算手段27bで構成されるデータ処理装置27には、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータなどの計算機を使用する。このデータ処理装置27の解析データ作成手段27aとしては、例えば市販されているプリ/ポストプロセッサを利用することも可能である。また応答計算手段27bには有限要素解析プログラムを用いることができる。情報表示手段28は、各装置で行われるデータの入力、処理の過程、それに結果などを必要に応じて表示する。情報表示手段28としては、例えばディスプレイによる画面表示、プリンタによる出力などがある。 【0013】荷重−変形量データ入力装置29は、荷重−変形量データを荷重−変形量データベース30に入力するのに用いられ、荷重−変形量データベース30はこれを保存する。荷重−変形量データは、例えば実際に配管に加振試験を施して得たり、あるいはソリッド要素やシェル要素によって形状を詳細にモデル化した有限要素解析により取得することができる。また文献調査などを行って、そこからデータを引用することも考えられる。すなわち、その取得方法が何れであっても、形状や寸法さらには内圧などの配管の剛性に関するパラメータに基づいて区分けして各種配管ごとに荷重−変形量データを予め取得してデータベース化しておき、これを解析に用いるという点に本発明は特徴を持つものである。したがってこのような荷重−変形量データは随時取得することができ、取得した場合には荷重−変形量データ入力装置29により荷重−変形量データベース30に追加したり、あるいは既存のデータを補正したりする。荷重−変形量データベース30には、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのハードディスクなどのデータ記憶装置を使用する。荷重−変形量データ入力装置29には、解析データ入力装置26と同様に、例えばキーボードやマウスなどを使用する。したがってこの荷重−変形量データ入力装置29には、解析データ入力装置26と同じ装置を兼用するようにしても良い。また荷重−変形量データ入力装置29による入力情報や、荷重−変形量データベース30のデータは、必要に応じて情報表示手段28で表示できるようにする。 【0014】以下に、荷重−変形量データベース30に保存するデータについて説明する。図25には、荷重−変形量データベース30を作成する手順を示す。荷重−変形量データベース30にデータベース化する荷重−変形量データは、上述したように試験や解析などにより取得する(図25のステップ67)。取得する荷重と変形量としては、例えば、配管に作用する荷重の内で最も主要なものである曲げモーメントとそれによる変形量である曲がり角度が考えられる。図12に、曲管を含む部分配管系の曲げモーメントと曲げ角度の関係の例を示す。この例では、曲管を含む配管系に対して、曲管で構成される平面内に曲げモーメントが作用して、曲げ角度が生じている。曲管以外に直管や分岐管等についても同様に、曲げモーメントと曲げ角度が取得するデータとなり得る。曲管と分岐管の場合には、曲管または分岐管が構成する平面の内外について、それぞれ曲げモーメントと曲げ角度が定義できる。このようなデータを取得する場合のモーメントなどの荷重条件は、時間に対して、単調に増加させる場合または正弦波的に増減させる場合が考えられる。図13には、配管に繰り返し型の荷重が作用した場合の1サイクル分のモーメントと回転角の関係曲線34を一例として示す。図14には、単調増加型の荷重が作用した場合の関係曲線35を一例として示す。荷重−変形量データベース30では、ここに示した例のような荷重と変形量の関係を配管の剛性に関するパラメータに基づいて分類してデータベース化する。 【0015】試験や解析などにより得た荷重−変形量データをデータベース化するについては上記のような曲線をそのまま用いることも可能である。しかしその場合にはデータ量が多くなり過ぎ、上記した解析データ作成手段27aの通常的な処理能力を上回ってしまう場合が多い。そこで曲線を直線で近似することにより数値に表現してデータベース化するのが適当である(図25のステップ68)。以下、これについて説明する。図15には、単調荷重条件で得られた荷重−変形量関係曲線35を直線で近似して数値に表現する一例を示す。試験や解析で得た荷重−変形量関係曲線35を例えば直線36と直線37からなる2直線で近似する。この場合、直線36は剛性Ke、直線37は剛性Kp、そしてこれらの2直線の境界はモーメントMp38として数値表現できる。あるいは図16に示すように、さらに簡単に、第2剛性Kpを0とし、いわゆる完全弾塑性型の2直線39と40で近似しても良い。この場合には、弾性剛性Keと塑性モーメントMp41で表現できる。繰り返し型の荷重条件で得られる荷重−変形量関係も同様に、完全弾塑性型を含む直線近似とすることが可能である。図17には曲線を直線近似した例を示す。この場合も単調荷重の場合と同様に、試験や解析などで得た荷重−変形量曲線34は、弾性剛性Keで定義される直線42と、塑性後の剛性Kpで定義される直線43、そして塑性モーメントMp44で近似的に数値表現できる。このような直線による近似方法は、当然、2直線に限らず、多直線による近似方法も可能である。さらに多直線による近似方法以外に、滑らかな曲線で近似する方法も可能である。そのようなループ形状の定義方法としては、例えば WenモデルやRamberg-Osgoodモデル等の方法が提案されており、利用可能である。この場合には、ループ形状を定義する幾つかのパラメータをデータベース化することになる。 【0016】以上のような配管の荷重−変形量データを荷重−変形量データ入力装置29により荷重−変形量データベース30に入力する(図25のステップ69)。ただ、配管の荷重−変形量データは、配管の形状や寸法などの配管の剛性に関するパラメータにより異なる。そのため配管の荷重−変形量データのデータベースは、これらのパラメータにより分類する必要がある。分類のためのパラメータの例を次に示す。 (1)配管の形状(2)口径(3)肉厚(4)曲管の場合は、曲率半径(5)分岐管ならば、母管と枝管の口径比(6)内圧これらのパラメータの内、(2)〜(5)は寸法に関連するパラメータであり、一般的に言えば、配管の剛性に関するパラメータには形状と寸法および内圧が主要なものとしてある。ただし具体的な個々のパラメータとしては上記に限らず、必要に応じたパラメータを用いることができる。また配管の口径、肉厚等の数値データは、そのままデータベース化せずに、例えば直径と肉厚の比というように無次元量で表す方法も有効である。さらに、データの根拠が分かるように、解析と試験の区別、試験ならば試験の日時、場所、試験者(機関)、試験方法、解析ならば解析日時、解析方法、解析プログラムなどを記録しておいても良い。図18から図20には、荷重−変形量データベースの例を幾つか示す。 【0017】図18は、配管形状が直管の場合のデータベースの一例である。この例では配管のパラメータとして、配管形状45、直径46、肉厚47、直径と肉厚の比48および内圧49を用いている。これらのパラメータに対して、データベース化している内容は降伏モーメント50と2次剛性51である。図19には、曲管のデータベースの一例を示す。曲管の場合には、直管に比べて曲率半径52の項目が追加されている。図20には、分岐管のデータベースの一例を示す。分岐管の場合には、例えば母管53と枝管54を区別し、それぞれの直径46a、46bと肉厚47a、47bをパラメータとする。さらに母管と枝管の直径比55をパラメータにすることが考えられる。これらのデータベースは、2直線近似した場合の例であるが、多直線近似ならば、直線の数に応じてモーメントと剛性をデータベース化することになる。 WenモデルやRamberg-Osgoodモデルなどによってループ形状を近似する場合には、それぞれのループ形状を定義するパラメータの数値をデータベース化する。このようなデータベースのデータを用いるについては、対象の配管のパラメータがデータベース化された値と必ずしも一致していない場合でも、内挿あるいは外挿により、求めたいデータは容易に得ることができる。 【0018】以上に述べたようにしてデータベース化される各種配管ごとの荷重−変形量データは、解析対象の配管系における各配管の弾性特性または弾塑性特性をモデル化するのに用いられ、それにより得られる解析モデルに基づいて応答解析を行うことができる。その応答解析は、配管が塑性しない条件の場合であれば線形解析となり、配管が塑性する条件の場合であれば非線形解析となる。非線形応答解析方法としては、例えば直接積分による時刻歴応答解析法が代表的である。 【0019】しかし非線形解析は一般的には計算コストは大きくなる。一方、解析モデルが線形ならば、より経済的な線形解析で応答解析を行なうことが出来る。そこで本発明では、上記のように予め取得してデータベース化してあるデータを用いるという本発明の原理を利用することで、配管が塑性する条件の場合でも線形応答解析を行えるようにする。そのために本発明では、配管の材質が塑性して非線形になっている荷重−変形量関係を線形近似し、線形剛性と線形減衰でモデル化する方法を用いる。線形応答解析方法としては、例えばモード解析を利用したモーダル時刻歴応答解析法、モーダル応答スペクトル解析法等が代表的である。図21により、線形化による近似方法を説明する。曲線56は、試験または解析で得る塑性後の荷重−変形量関係を示している。弾性域の荷重−変形量関係を表す直線57の剛性Keに比べて、塑性後には剛性は低下する。さらに荷重−変形量関係は、曲線56のようにループを構成する。このループにより囲まれる部分58の面積で表されるエネルギーΔEが配管の塑性変形によって1サイクルごとに散逸され、これにより減衰の増加を生じる。したがって弾性剛性を低下させた線形剛性と、弾性域の減衰を増加させた線形減衰により、弾塑性特性を近似することが可能である。 【0020】弾塑性特性を近似するための剛性と減衰の設定方法の例を説明する。近似的に線形化した剛性を計算する方法には、例えば、次のような方法がある。 剛性の計算方法1:ループを構成する荷重−変形量関係の最大変形点間、あるいは一方の最大変形点と原点を結んだ直線の傾きを剛性とする方法。 剛性の計算方法2:数1により剛性Keqを計算する方法。この剛性の計算方法は一般的にCaugheyの方法と呼ばれる。 【数1】
ここでXは最大変形量、Fはループ形状を表す関数である。図21には、ループ曲線56を、その最大変形点間を結んだ直線59により近似した例を示す。減衰も同様に、例えば、次のような方法がある。 減衰の計算方法1:荷重−変形量関係のループ曲線で囲まれる面積から、1サイクル当たりの散逸エネルギーΔEを求め、数2により配管の減衰比heqを導出する。 【数2】
ここでhは弾性域の減衰比を表す。 減衰の計算方法2:数3により減衰比Keqを計算する方法。この方法は一般的にCaugheyの方法と呼ばれる。 【数3】
ここでKeは弾性域の剛性を表す。ここまでの例では、試験や解析で得た荷重−変形量関係の曲線から、直接に線形剛性と線形減衰を導出する方法を示した。この方法の他に、はじめに荷重−変形量関係の曲線を多直線により近似し、この多直線を定義するモーメントと剛性から間接的に線形剛性と線形減衰を設定することも可能である。以下には、荷重−変形量関係の曲線を2直線近似して降伏モーメントMpと2次剛性Kpで表した場合に、上記の剛性の計算方法1と減衰の計算方法1によって線形近似した剛性Keqと減衰比heqを評価する計算式の例を示す。 【数4】
【数5】
以上に述べたような線形近似方法は、一般的には等価線形化法と呼ばれる。そして、この等価線形化法により導出した剛性と減衰は等価剛性や等価減衰と呼ばれる。 【0021】図22には、線形近似を行なう場合の応答解析装置の一例を示す。この応答解析装置は、基本的には図11の応答解析装置と同様で、解析データ入力装置26、解析データ作成手段27aと応答計算手段27bからなるデータ処理装置27および情報表示装置28を備え、図11の応答解析装置との相違点としては、図11の応答解析装置における荷重−変形量データ入力装置29と荷重−変形量データベース30がそれぞれ線形剛性・線形減衰データ入力装置60と線形剛性・線形減衰データベース61で置き換えられていることである。つまり材質が塑性する条件でのデータベース化のための荷重−変形量データとして予め線形剛性と線形減衰に置換したデータが用いられるという点で相違している。 【0022】線形剛性・線形減衰データベース61には、これまで述べたような方法で導出した線形剛性・線形減衰データがデータベース化される。線形剛性・線形減衰データベース61のデータには、線形剛性・線形減衰データ入力装置60によりデータの追加、あるいは既存データの修正がなされる。このような線形剛性・線形減衰データベース61のデータと解析データ入力装置26で入力されたデータを用いて、解析データ作成手段27aは線形解析モデルと、応答計算のための解析データを作成する。そして応答計算手段27bで線形応答計算を行なう。線形剛性・線形減衰データベース61としては、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのハードディスクなどのデータ記憶装置を使用する。線形剛性・線形減衰データ入力装置60としては、例えばキーボードやマウスなどを使用する。この線形剛性・線形減衰データ入力装置60は、解析データ入力装置26と同じ装置を利用しても良い。また線形剛性・線形減衰データ入力装置60による入力情報や線形剛性・線形減衰データベース61のデータは、必要に応じて、情報表示手段28で表示できるようにすることが望ましい。図26には、線形剛性・線形減衰データベース61の作成手順をまとめてある。 【0023】図23には、線形剛性・線形減衰データベース61の一例を示す。この例では、等価剛性62と等価減衰63がデータベース化されている。これらの等価剛性や等価減衰は、図24に示すように最大変形量65に依存するため、最大変形量と対応して等価剛性や等価減衰を評価する。この場合、配管の曲げ角度や軸方向変形量などの最大変形量と直接に対応させて、データベース化しても良い。図23の例では、塑性率と呼ばれる無次元量64を用いてデータベース化している。塑性率とは、降伏するときの変形量66に対する最大変形量の比で定義される。以上、線形剛性・線形減衰データベースの一例を示したが、対象の配管のパラメータがデータベース化された値と一致していない場合でも、内挿あるいは外挿により、求めたいデータは容易に得ることが出来る。以上に述べた方法により、線形解析モデルを作成し、線形解析を行なうことが可能となる。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、配管設計での応答評価のための配管の解析モデルを、精度良くかつ経済的な応答解析ができるように作成でき、このモデルにより応答解析を行うことで、配管の応答予測を効率よく実施できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成11年11月2日(1999.11.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093872 【弁理士】 【氏名又は名称】高崎 芳紘
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| 【公開番号】 |
特開2001−132900(P2001−132900A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−311956 |
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