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【発明の名称】 ボイルオフガス(BOG)の冷却方法とその装置
【発明者】 【氏名】熊澤 稔雄

【氏名】小川 知孝

【氏名】穂苅 弘一

【氏名】浅 昌也

【氏名】吉澤 宏幸

【氏名】實原 定幸

【氏名】大久保 正和

【氏名】宇根 浩

【要約】 【課題】本発明は、ボイルオフガスの流れの方向および、ここに噴射されるLNGの液滴の噴射方向を設定して、LNGの液滴を完全に気化させてボイルオフガスに対する冷却効率の向上を図ったボイルオフガスの冷却方法とその装置を提供する。

【解決手段】ボイルオフガスの冷却装置において、縦型筒体からなりその下部に設けられる流入口11からボイルオフガスを流入させ上部に設けられる流出口12から流出させる冷却器10と、この冷却器内に配置され、ボイルオフガスの流れの中で、かつガス流れの方向へ向けてLNGの液滴を噴射する複数個のスプレーノズル14と、これら複数個のスプレーノズルに対して、噴射するスプレーノズルの個数制御をなす制御装置17とを具備した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却方法において、昇温した上記ボイルオフガスを下部側から上部側に向かって流通させ、このボイルオフガスの流れの中で、かつこのガス流れ方向に向けてLNGの液滴を噴射することを特徴とするボイルオフガスの冷却方法。
【請求項2】ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却装置において、縦型筒体からなり、その下部に設けられる流入口からボイルオフガスを流入させ、上部に設けられる流出口から流出させる冷却器と、この冷却器内に配置され、ボイルオフガスの流れの中で、かつこのガス流れ方向に向けてLNGの液滴を噴射する噴射手段と、を具備したことを特徴とするボイルオフガスの冷却装置。
【請求項3】上記噴射手段は、ここから噴射するLNGの液滴粒子径が、その液滴粒子の終末速度に対してボイルオフガスの流速を越えないように設定されたスプレーノズルであることを特徴とする請求項2記載のボイルオフガスの冷却装置。
【請求項4】上記ボイルオフガスの流れは、上記噴射手段から噴射されるLNGの液滴粒子径に対して、その液滴粒子の終末速度以上の流速に制御されることを特徴とする請求項2記載のボイルオフガスの冷却装置。
【請求項5】ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却装置において、縦型筒体からなり、その下部に設けられる流入口からボイルオフガスを流入させ上部に設けられる流出口から流出させる冷却器と、この冷却器内に配置され、ボイルオフガスの流れの中で、かつガス流れの方向へ向けてLNGの液滴を噴射する複数個のスプレーノズルと、これら複数個のスプレーノズルに対して、噴射するスプレーノズルの個数制御をなす制御手段と、を具備したことを特徴とするボイルオフガスの冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において、昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LNGから発生するボイルオフガス(BOG)を圧縮して、気化したLNGと混合させ、たとえば発電用の燃料として供給する装置があり、ここで圧縮にともなって昇温するボイルオフガスを冷却するシステムが構築されている。
【0003】すなわち、ボイルオフガス流通路に沿って、プレクーラと、圧縮機と、アフタクーラが設けられ、上記各クーラへ冷却水を供給するポンプが備えられる。ボイルオフガスはプレクーラで海水を用いて冷却されたあと、圧縮機で加圧・圧縮される。圧縮されて高温になったボイルオフガスは、アフタクーラで海水を用いて冷却されたあとLNGの送ガスラインに導かれる。なお、温度上昇した冷却水は、海水もしくは外気と熱交換して再冷却され、循環利用される。
【0004】このように、従来のボイルオフガス冷却システムでは、プレクーラとアフタクーラでの冷却に海水を利用するため送水設備やポンプ動力が必要であり、設備費が膨大になる。また、冷却水を再冷却するため海水を用いる場合は、海洋生物により伝熱面が汚れ易く、伝熱性能維持のためのメンテナンスが必要でランニングコストがかかる。冷却水によるガス冷却を行っているため、冷却目標温度は冷却水温度以下とすることができず、目標温度範囲の設定に制約がある。
【0005】そこで、本出願人は、特開平11−82893号公報に記載されるような、圧縮ガスの冷却システムを開発し出願した。これを図2に示し、以下、概略説明をなす。
【0006】ブレクーラ1内に、送ガス高圧ポンプ5からLNG気化器4に送られるLNGの一部を導き、クーラ内を流れるボイルオフガスに直接噴射することにより、ボイルオフガスは冷却される。
【0007】そのあと、圧縮機2に導かれて加圧・圧縮され、高温になったボイルオフガスは、アフタクーラ3において送ガス高圧ポンプ5から送られるLNGの一部を直接噴射することにより冷却される。LNGはガス化しボイルオフガスと混合した後、LNG気化器4で気化したガスと一緒に送ガスラインに送られ、発電用の燃料に供される。
【0008】このような冷却システムを採用することにより、冷却水が不要となりポンプなどの送水設備や、そのンテナンスが不用な冷却ができ、圧縮機の動力が低減するなどの種々の有効条件が得られるようになった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】その反面、未だ解決すべき課題が残っていて、その1つにボイルオフガスの流れ方向の設定と、このボイルオフガス流れ方向に対するLNG液滴の噴射方向の設定がある。
【0010】すなわち、ボイルオフガスは各クーラ内において所定の流速で円滑に流通させなければならないし、ボイルオフガスに対する冷却効率を確保する意味から、液滴状態でボイルオフガス中に噴射されるLNGをクーラ出口から流出するまでに完全に気化させ、液滴のままでは流出させないような設定が必要である。
【0011】本発明は、上記事情にもとづいてなされたものであり、その目的とするところは、ボイルオフガスの流れの方向および、ここに噴射されるLNGの液滴の噴射方向を設定し、LNGの液滴を完全気化させてボイルオフガスに対する冷却効率の向上を図ったボイルオフガスの冷却方法とその装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を達成するため本発明は、請求項1として、ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却方法において、昇温した上記ボイルオフガスを下部側から上部側に向かって流通させ、このボイルオフガスの流れの中で、かつこのガス流れ方向に向けてLNGの液滴を噴射することを特徴とする。
【0013】上記課題を解決し目的を達成するため本発明は、請求項2として、ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却装置において、縦型筒体からなりその下部に設けられる流入口からボイルオフガスを流入させ上部に設けられる流出口から流出させる冷却器と、この冷却器内に配置されボイルオフガスの流れの中で、かつこのガス流れ方向に向けてLNGの液滴を噴射する噴射手段とを具備したことを特徴とする。
【0014】請求項3として、請求項2記載のボイルオフガスの冷却装置において上記噴射手段は、ここから噴射するLNGの液滴粒子径を液滴粒子の終末速度がボイルオフガスの流速を越えないように設定することを特徴とする。
【0015】請求項4として、請求項2記載のボイルオフガスの冷却装置において上記ボイルオフガスの流れは、上記噴射手段から噴射されるLNGの液滴粒子径に対してその液滴粒子の終末速度以上の流速に制御されることを特徴とする上記課題を解決し目的を達成するため本発明は、請求項5として、ボイルオフガス(BOG)を圧縮する過程において昇温したボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却装置において、縦型筒体からなり、その下部に設けられる流入口からボイルオフガスを流入させ上部に設けられる流出口から流出させる冷却器と、この冷却器内に配置され、ボイルオフガスの流れの中で、かつガス流れの方向へ向けてLNGの液滴を噴射する複数個のスプレーノズルと、これら複数個のスプレーノズルに対して、噴射するスプレーノズルの個数制御をなす制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0016】このような課題を解決する手段を備えることにより、請求項1および請求項2の発明によれば、ボイルオフガスの流れの方向と、ここに直接噴射されるLNG液滴の噴射方向とが一致して、LNG液滴の完全気化をなす。
【0017】請求項3および請求項4の発明によれば、LNG液滴の粒子径に対応する終末速度から、噴射するLNG液滴粒子径の設定もしくはボイルオフガスの流速の設定をなすことにより、LNG液滴を上方へ向けて噴射しても落下することなく完全気化させる。
【0018】請求項5の発明によれば、スプレーノズルを複数個として、噴射するノズルの個数制御をなすことから、ボイルオフガスの流量が少なく必要なLNG噴射量が極く少ない場合でも、噴射による冷却作用を確保する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1にもとづいて説明する。LNGから発生するボイルオフガス(BOG)中にLNGの液滴を直接噴射し、LNGの冷熱を利用してボイルオフガスを冷却するボイルオフガスの冷却装置であり、先に図2で示したアフタクーラ3もしくはプレクーラ1が該当する。
【0020】図中10は、縦型筒体からなる冷却器であり、内径が約250mmに設計されている。この冷却器10の上下端部は密閉されており、かつ下部に流入口11が設けられ配管Paが接続される。上部には流出口12が設けられ配管Pbが接続される。
【0021】冷却器10がアフタクーラ3の場合、流入口11に接続される配管Paは圧縮機2に連通し、流出口12の接続される配管PbはLNGの送ガスラインに連通する。冷却器10がプレクーラ1の場合、流入口11に接続される配管Paはボイルオフガス供給源に連通し、流出口12に接続される配管Pbは圧縮機2に連通する。
【0022】冷却器10内の配管Paが接続される位置の上部には、噴射手段をなす複数個(ここでは3個)のスプレーノズル14が、互いに同一高さで、かつ等間隔に収容配置されている。各スプレーノズル14はフルコーン型をなし、この噴射面は上方に向けられていて、下部から上方へ向けて噴射するようになっている。
【0023】また、各スプレーノズル14に接続される配管15は、それぞれ冷却器10外部においてエアシリンダ式開閉弁16が設けられていて、制御手段をなす制御装置17と電気的に接続されている。この制御装置17は、流入口11の配管Paに設けられる流量検出器18から検出信号を受けて、その流量に対応するよう開閉弁16の開閉制御をなす。
【0024】開閉弁16が設けられるそれぞれの配管15は1本に合流し、先に図2で説明したLNGの送ガス高圧ポンプ5とLNG気化器4とを連通する配管に接続される。すなわち、送ガス高圧ポンプ5から送られるLNGの一部を上記配管15に分流させ、それぞれ開閉弁16を介してスプレーノズル14に導けるようになっている。
【0025】このようにして構成されるボイルオフガスの冷却装置であって、供給源から導かれるボイルオフガスは流入口11から冷却器10内に導入され、下部側から上部側に向かって冷却器10内を流通する。
【0026】冷却器10内における流通途中で、スプレーノズル14からボイルオフガスの流れの中にLNGの液滴が直接噴射される。スプレーノズル14の噴射面の方向設定から、LNG液滴は下部から上方へ向けて噴射され、ボイルオフガスの流れに乗ってガス化しながら流れる。
【0027】スプレーノズル14から噴射されるLNGの液滴は、ボイルオフガスの流れの中に直接噴射されるとともに、この噴射方向がボイルオフガスの流通方向と同じであるところから、液滴は気化してボイルオフガスと混合する。
【0028】結果として、LNGの冷熱でボイルオフガスを確実に冷却することとなり、温度低下したボイルオフガスは流出口12から配管Pbを介して冷却器10外へ円滑に導かれる。
【0029】そして、ボイルオフガスの流速と、スプレーノズル14から噴出されるLNG液滴の粒子径を、以下に述べるような条件にもとづき設定するところから、LNG液滴を完全気化させ、この落下を阻止した状態でボイルオフガスの冷却が行われる。
【0030】上記冷却器10は、たとえば6.4MPaで190℃であり、かつ60.000m(Normal)/hのボイルオフガスを冷却するためのものとする。これに対して、各スプレーノズル14は、円錐形の噴射形状をなす最小の流量時に粒子径約4500μmの液滴を約50リットル/minで噴射するよう設計されている。
【0031】上記液滴粒子径に対応する終末速度は1.4m/sであり、したがって6.4MPaで190℃のボイルオフガスの場合に、約10.000m(Normal)/hの流量以上であるならば液滴が落下することなくボイルオフガスを冷却できることになる。
【0032】定格60.000m(Normal)/hのボイルオフガスを冷却する際は、ボイルオフガスの流速が10m/sであるのに対して、ボイルオフガス冷却に必要なLNG流量を3個のスプレーノズル14で確保する構成であるので、LNG粒子径は約1900μmになる。このときの終末速度は約1m/sとなり、粒子径に対応する終末速度以上のガス流速を確保することとなる。
【0033】このように、上記スプレーノズル14は、ここから噴射するLNGの液滴粒子径が、その液滴粒子の終末速度に対してボイルオフガスの流速を越えないように設定している。
【0034】また、逆に、スプレーノズル14から噴射するLNG液滴の粒子径がはじめから固定されている場合は、ボイルオフガスの流れを、その液滴粒子の終末速度以上の流速になるよう制御してもよい。
【0035】上記制御装置17はボイルオフガスの冷却器10への流入量を検出する流量検出器18の検出信号を受けて演算し、その結果からエアシリンダ式開閉弁16に制御信号を送って、流入量に対応する最適なスプレーノズル14の個数制御をなす。
【0036】したがって、冷却器10に流入するボイルオフガスの流量が極く少く、必要とするLNGの噴射流量の少ない場合においても、少なくとも1個のスプレーノズル14での噴射を確保してボイルオフガスの冷却をなす。
【0037】このスプレーノズル14の必要個数は3個に限定されるものではなく、冷却器10の容量と、ボイルオフガスの流量およびLNG液滴の噴射量もしくは終末速度ほかの設定条件から求められる。
【0038】そして、複数のスプレーノズル14であっても、必ずしも同一孔径のものを揃える必要はなく、最小流量に適応する異なる孔径のものを用いてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ボイルオフガス中に噴射されるLNGの液滴は、ボイルオフガスの流れに乗ってガス化しながら流れることとなり、液滴のままで落下することなく完全に気化してボイルオフガスを冷却し、冷却効率の向上を図れるという効果を奏する。
【0040】また、複数個のスプレーノズルを用いて、その個数制御を行うところから、ボイルオフガスの流量が少なく必要LNGの噴射流量の少ないところでのスプレー噴射が可能となるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成11年11月1日(1999.11.1)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開2001−132897(P2001−132897A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−311160