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【発明の名称】 ボイルオフガスの再液化方法
【発明者】 【氏名】入江 俊和

【氏名】幡中 宣夫

【氏名】三橋 孝司

【氏名】富永 栄治

【氏名】大竹 和彦

【氏名】岡 勝

【氏名】中村 守孝

【氏名】大森 元裕

【要約】 【課題】メタン等の有用分の排出を抑えつつ、不純物としての窒素を効率的に除去することが可能なBOGの再液化方法を提供する。

【解決手段】液化ガスの貯槽1から発生するボイルオフガスを、圧縮機2並びに冷却器3にて液化した後、一旦気液分離用ドラム6に導き、ここで得られた液のみを貯槽に戻すボイルオフガスの再液化方法において、気液分離用ドラムで得られた液を、圧縮機の上流側に設けたミスト分離用ドラム5に環流し、その液中に含まれる窒素を減圧によりボイルオフガス中にフラッシュさせた上で、貯槽に戻すものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液化ガスの貯槽から発生するボイルオフガスを、液化手段にて液化した後に気液分離を行い、ここで得られた液を前記貯槽に戻すボイルオフガスの再液化方法であって、前記気液分離により得られた液を、前記液化手段の上流側に設けたドラムに環流し、このドラム内で減圧により窒素をボイルオフガス中にフラッシュさせた上で、前記貯槽に戻すことを特徴とするボイルオフガスの再液化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液化ガスの貯蔵・運搬において貯槽から発生するボイルオフガスを再液化するための再液化方法に関し、特に液化手段にて液化した後に気液分離を行い、ここで得られた液のみを貯槽に戻すようにした再液化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】LNGの貯槽から発生するボイルオフガス(以下、BOGと呼称する)の再液化を行う際に、BOGを熱交換器で飽和状態まで冷却して液化した後、一旦気液分離ドラムに導き、ここで分離された液のみを貯槽に戻す方法が知られている(特開平7−157782号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この方法では、気液分離ドラム内のガス体に、メタン等の炭化水素の未凝縮分と、不純物としての窒素を主体とした非凝縮分とが含まれ、その取り扱いが問題となる。すなわち、単に廃ガスとしてボイラー等で処理したのでは、有用な炭化水素を放出することになり、経済性の面で望ましくなく、他方、炭化水素の回収を優先させて圧縮機の上流等へ合流させるようにすると、不純物としての窒素により圧縮機や冷却器での処理量を徒に増加させる不都合が生じる。
【0004】本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、メタン等の有用分の排出を抑えつつ、不純物としての窒素を効率的に除去することが可能なBOGの再液化方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たすために、本発明においては、液化ガスの貯槽から発生するBOGを、液化手段にて液化した後に気液分離を行い、ここで得られた液を貯槽に戻すようにしたBOGの再液化方法において、気液分離により得られた液を、液化手段の上流側に設けたドラムに環流し、ここで液中に含まれる窒素を減圧によりBOG中にフラッシュさせた上で、その液をドラム下部よりポンプによって貯槽に戻すものとした。
【0006】これによると、BOG中にフラッシュした窒素は、BOGと共に圧縮機や冷却器等からなる液化手段に送られ、この液化手段や気液分離用のドラムとこれらの連絡配管等で構成される再液化装置内に窒素が濃縮される。そして、気液分離により得られたガス体はボイラーで燃焼させることによって系外に排出され、これによりメタン等の有用分の排出を抑えつつ、不純物としての窒素を効率的に除去することが可能となる。しかも、液化手段上流のドラムに環流された液が貯槽からのBOGと接触することにより、BOG温度を液化手段の入口で一定に保持することができるため、BOG発生量の増減による負荷変動に対するBOG液化装置内の温度制御が容易になる。なお、窒素分をフラッシュさせるためのドラムは、貯槽からのBOGに同伴する液滴を除去するために液化手段上流に設けられるミスト分離用ドラムと兼用することが構成を簡略化する上で望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。
【0008】図1は、本発明が適用されたBOGの再液化を行う冷却システムの概略構成を示している。ここでは、液化ガスとしてのLNGの貯蔵・運搬においてLNGタンク1から発生するBOGが、BOGコンプレッサ2により圧縮された後、熱交換器3により冷却されて再液化するようになっている。
【0009】BOGコンプレッサ2の上流には、ドラム内にデミスタを備えた構造のミスト分離用ドラム5が設けられており、LNGタンク1から送られてくるBOGに含まれる液滴が除去され、これによりBOGコンプレッサ2への液滴の同伴を防止している。
【0010】熱交換器3の下流側には、気液分離用ドラム6が設けられている。この気液分離用ドラム6では、熱交換器3にてBOGを飽和状態まで冷却して得られた液から、炭化水素の未凝縮分、並びに不純物としての窒素を主体とした非凝縮分を含むガス体が分離され、適宜にバルブ7を開放させることでガス体を抜き出すことができる。
【0011】他方、気液分離用ドラム6内の飽和状態の液は、バルブ8を開放させてLNGタンク1に戻される他、制御バルブ10にて気液分離用ドラム6内の液面を一定に保持しながら連絡配管9を経てミスト分離用ドラム5に環流される。ここで、飽和液は減圧され、その中に含まれる窒素が、LNGタンク1から送られてきたBOG中にフラッシュして液から分離される。BOG中にフラッシュした窒素は、BOGと共にBOGコンプレッサ2に送られる。ミスト分離用ドラム5に残留する液は、返送ポンプ11により引き抜かれてLNGタンク1へ圧送される。
【0012】これにより、BOGコンプレッサ2、熱交換器3、ミスト分離用ドラム5、気液分離用ドラム6、並びにこれらの連絡配管で構成される再液化装置内に窒素分が濃縮され、気液分離用ドラム6内のガス体をバルブ7の開放によりボイラーで燃焼させて系外に排出することで、メタン等の有用分の排出を抑えつつ、不純物としての窒素を効率的に除去することができる。他方、液体は不純物量が減少して濃縮された状態でLNGタンク1ヘ戻される。そして、ミスト分離用ドラム5に環流された液がLNGタンク1からのBOGと接触することにより、BOG温度をBOGコンプレッサ2の入口で一定に保持することができるため、BOG発生量の増減による負荷変動に対してBOG再液化装置内の温度制御が容易になる。
【0013】熱交換器3においてBOGを液化するための冷熱は、窒素を冷媒としたクローズドエキスパンダサイクルによる窒素冷凍サイクル13により供給される。この窒素冷凍サイクル13では、熱交換器3を出た冷媒窒素が、窒素コンプレッサ14〜16、並びにインタクーラ17・18及びアフタクーラ19により冷却されながら圧縮される。
【0014】アフタクーラ19を出た冷媒窒素は、さらにブースタコンプレッサ20で圧縮され、ついでアフタクーラ21で冷却された後、熱交換器3へ送られる。熱交換器3では、窒素冷却部22において冷媒窒素が低温窒素との熱交換により冷却される。熱交換器3を出た冷媒窒素は、エキスパンダ23に送られ、ここで減圧により膨張してBOG再液化に要する冷熱を生成し、熱交換器3に送られる。エキスパンダ23での冷媒窒素を減圧する際の仕事でブースタコンプレッサ20が駆動される。
【0015】なお、本実施形態においては、LNGを例に説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、この他の液化ガス、例えばLPGにも適用することができる。
【0016】
【実施例】以下に、本発明による方法をLNGのボイルオフガスの再液化に適用した際の非凝縮ガス中の窒素含有量に関する算出結果を示す。また比較のために従来の方法による値も併記する。なお、ここでは、ボイルオフガス中の窒素濃度を2.5%、5%、10%とした3ケースに分け、各ケース毎に非凝縮ガス量を50kgmol/h、100kgmol/h、150kgmol/hとした例を示す。
【0017】まず、ボイルオフガス中の窒素濃度が2.5%の場合の例を次の表1、表2及び表3に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】次に、ボイルオフガス中の窒素濃度が5%の場合の例を、次の表4、表5及び表6に示す。
【0022】
【表4】

【0023】
【表5】

【0024】
【表6】

【0025】さらに、ボイルオフガス中の窒素濃度が10%の場合の例を、次の表7、表8及び表9に示す。
【0026】
【表7】

【0027】
【表8】

【0028】
【表9】

【0029】以上の例から明らかなように、本発明による方法によれば、従来方法に比較して非凝縮ガス中の窒素濃度が高まり、本発明の有効性が確認された。
【0030】
【発明の効果】このように本発明によれば、BOGを液化した後に気液分離を行って得られた液中の窒素分を液化手段上流のドラムでフラッシュさせることにより、再液化装置内に窒素分を濃縮させることができ、これによりメタン等の有用分の排出を抑えつつ、不純物としての窒素を効率的に除去することが可能となる。しかも、BOG温度を液化手段の入口で一定に保持することができるため、BOG液化装置内の温度制御が容易になるので、制御システムを簡略化することができる。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【識別番号】000232818
【氏名又は名称】日本郵船株式会社
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】000003285
【氏名又は名称】千代田化工建設株式会社
【出願日】 平成11年11月8日(1999.11.8)
【代理人】 【識別番号】100089266
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一
【公開番号】 特開2001−132896(P2001−132896A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−317182