トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F17 ガスまたは液体の貯蔵または分配




【発明の名称】 超低温液化ガス容器の液量検出装置
【発明者】 【氏名】池田 顕蔵

【氏名】戸山 隆広

【要約】 【課題】機構が簡単でかつ安価であるというフロート方式の利点を生かしながらも、超低温液化ガス容器の残液量を誤指示ないし誤動作なく正確に検出することができ、かつ構造的にも故障を起こしがたい液量検出装置を提供することを目的とする。

【解決手段】超低温液化ガス容器(1) の外槽フランジ(2) には貫通孔(3) が設けられ、その外槽フランジ(2) の外部側には検出器室(4) が接続され、その検出器室(4) 内には歪みゲージ検出器(5) が設置される。そして、その歪みゲージ検出器(5) が、上記外槽フランジ(2) の貫通孔(3) 内を垂下する懸垂材(6) を介してフロート(7) と接続された構造を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】超低温液化ガス容器(1) の外槽フランジ(2) には貫通孔(3) が設けられ、その外槽フランジ(2) の外部側には検出器室(4) が接続され、該検出器室(4) 内には歪みゲージ検出器(5) が設置され、かつその歪みゲージ検出器(5) が、前記外槽フランジ(2) の貫通孔(3) 内を垂下する懸垂材(6) を介してフロート(7) と接続された構造を有していることを特徴とする超低温液化ガス容器の液量検出装置。
【請求項2】懸垂材(6) が、引張力および押し上げ力のうち引張力のみを有する非剛体の部材で構成されている請求項1記載の液量検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超低温液化ガス容器の残液量を誤指示ないし誤動作なく正確に検出することができると共に、構造的にも故障を起こしがたい液量検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈超低温液化ガス容器と液面計〉液化酸素、液化窒素、液化アルゴン、液化炭酸ガス、液化天然ガスなどの液化ガスを収容する超低温液化ガス容器は、熱侵入による液化ガスの蒸発を抑えるため真空断熱二重シェル構造になっており、容器内では、液化ガスはその蒸気圧に応じて超低温(−196℃から−140℃程度)の加圧状態下で貯留されている。超低温液化ガス容器の容量に関しては、それぞれの液化ガスの消費量に対応して、小容量の可搬式容器から大容量の定置式貯槽までがある。
【0003】超低温液化ガス容器の使用中は、ガスの供給切れを防止するため、常に容器内の残液量を把握することが求められる。そこで超低温液化ガス容器には、従来より、フロート式液面計(目視および信号発信)、静電容量式液面計(信号発信)、差圧式液面計(目視および信号発信)などの液面計が取り付けられている。
【0004】〈フロート式液面計〉これらのうち、特に小容量の可搬式超低温液化ガス容器に取り付けられている液量検出器として最も普及しているものは、機構が簡単でかつ安価なフロート式液面計である。そこで以下においては、このフロート式液面計について詳しく説明する。
【0005】図6に示したように、従来の代表的なフロート式液面計は、検出器本体(1')、操作具(2')、表示筒(3')、表示リング(4')、バネ(5')、連結棒(6')、フロート(7')などの部材で構成されている。
【0006】検出器本体(1')は、可搬式超低温液化ガス容器(図示していない)頂部の外槽フランジ(図示していない)に上向きにネジ込み接合され、フロート(7')と連結された操作具(2')が検出器本体(1')ボディ内を上下動できるように中空加工されており、容器内の超低温ガスが外部に洩れないような密閉構造をなし、容器内圧力(通常 1.4MPa 前後)に耐える強度を持っている。
【0007】フロート(7')、連結棒(6')および操作具(2')はそれぞれ同一軸上に連結され、操作具(内部ガイド、内部マグネット)(2')は検出器本体(1')内の中空域に収納されている。
【0008】フロート(7')は、容器取り付け時、容器内の超低温液化ガス中に位置し、超低温液化ガスに浸漬したフロート(7')部分の体積に比例した浮力(上向きの力)がフロート(7')〜操作具(2')に働くため、液量により、検出器本体(1')内の中空域での操作具(2')の高さ(位置)が変わることになる。
【0009】バネ(5')は、連結棒(6')を内挿する状態で取り付けられ、フロート(7')〜操作具(2')の重量(自重)を支えると共に、フロート(7')に生じる浮力を緩和する働き、つまり操作具(2')の移動距離を小さくする働きをする。
【0010】表示筒(3')および表示リング(4')は、検出器本体(1')の外周に取り付けられ、検出器本体(1')内の中空域を上下動し、操作具(2')頂部の位置と表示リング(4')の位置を磁力の付着力で同じ高さにする機構になっている。表示筒(3')は透明な樹脂製で、外部より表示リング(4')の位置を確認することができるようになっている。
【0011】また、容器内の液量を電気信号として外部に出力する場合には、たとえば特開平5−64737号公報や実公平6−33380号公報にも開示されているように、頂部表示筒(3')内の表示リング(4')あるいは操作具(2')の上下移動位置を、赤外線または磁力等により検知する方法も採られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】可搬式超低温液化ガス容器に付設されている従来のフロート式液面計にあっては、フロート式液面計が容器に鉛直状に取り付けられているため、下向きの力としては、フロート(7')〜操作具(2')の自重であるWが働き、一方上向きの力としては、残液量に応じて発生するフロート浮力Fと、バネ(5')の引張反力Pとが働くことになる。実際の操作具(2')にかかる力Aは、A=W↓−F↑−P↑ (i)となる。
【0013】フロート(7')〜操作具(2')は、上向きの力と下向きの力とが釣り合った高さ(A=0の位置)でとどまるため、残液量が多い場合には、フロート(7')の浸漬体積の増加によりフロート浮力Fが大きくなって、操作具(2')は頂部の表示筒(3')中空域の高い位置になり、逆に液量が少ない場合には、フロート浮力Fが小さくなって低い位置になる。
【0014】このようにフロート式液面計にあっては、容器内の超低温液化ガスの液量に応じて操作具(2')が上下動し、剛体である連結棒(6')を介して表示リング(4')が追従し、表示筒(3')の目盛にて表示リング(4')の位置を確認し、容器内の超低温液化ガスの液量を知らせることになる。
【0015】上記の従来のフロート式液面計は、容器内の液量(液面高さ)に応じて、フロート(7')の浮力が変化し、フロート(7')に一直線状に相互に固定連結された操作具(2')の高さ(位置)が移動(上下)する仕組みになっているが(つまり操作具(2')は連結棒(6')によって鉛直上向きに押し上げ可能に支えられている)、フロート(7')〜操作具(2')が、液面の揺れに対する保護のために取り付けてあるフロートガイドに引っ掛かったり、バネ(5')の歪み等により動かなくなったりして、誤指示を起こすことがある。
【0016】また、容器内の液面が激しく揺れることにより、操作具(2')の移動が急激に起こり、磁力の力で操作具(2')頂部に吸引支持された表示リング(4')が追従できずに脱落する現象が起こることがある。
【0017】さらに、超低温の雰囲気下で可動するバネ(5')を設け、このバネ(5')の反力が液量検知の重要な要素を持っているため、容器内の圧力条件が大きく変化する状態(温度も変化する)ではバネ(5')の反力(バネ定数)も変化し、必ずしも正確な液量検知が得られない傾向がある。
【0018】このように従来のフロート式液面計にあっては、各部品が一直線状に相互に固定接続されているフロート(7')〜操作具(2')を容器内の液面高さに応じて超低温の雰囲気で上下に動かすようになっているため、ここに問題発生の主因がある。
【0019】本発明は、このような背景下において、機構が簡単でかつ安価であるというフロート方式の利点を生かしながらも、超低温液化ガス容器の残液量を誤指示ないし誤動作なく正確に検出することができ、かつ構造的にも故障を起こしがたい液量検出装置を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の超低温液化ガス容器の液量検出装置は、超低温液化ガス容器(1) の外槽フランジ(2) には貫通孔(3) が設けられ、その外槽フランジ(2) の外部側には検出器室(4) が接続され、該検出器室(4) 内には歪みゲージ検出器(5) が設置され、かつその歪みゲージ検出器(5) が、前記外槽フランジ(2) の貫通孔(3) 内を垂下する懸垂材(6) を介してフロート(7) と接続された構造を有していることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下本発明を、図面を参照しながら、作用も含めて詳細に説明する。
【0022】図1は本発明の液量検出装置を組み込んだ容器全体の説明図である。図2は図1における液量検出装置の部分の詳細図である。
【0023】本発明においては、フロート(7) は基準錘の役割を果たしているので、従来とは異なりフロート(7) を上下に動かすことなく、浮力(上向きの力)の強弱のみを歪みゲージ検出器(5) に伝え、直接電気信号にて外部に出力するようにしている。
【0024】そのため本発明の液量検出装置にあっては、図1および図2に示すように、検出器室(4) 、歪みゲージ検出器(5) 、懸垂材(6) 、フロート(7) がこの順に連絡した構成を採用している。なお、図中、(8) は表示器、(9) は容器(1) の外槽フランジ(2) への接続用アダプタ、(10)はハーメチックシール、(11)はケーブルである。
【0025】上記の歪みゲージ検出器(5) は、懸垂材(6) およびフロート(7) を連結した状態で検出器室(4) 内部に固定され、懸垂材(6) が容器(1) の外槽フランジ(2) の貫通孔(3) を貫通するシンプルな構造となっている。ここで外槽フランジ(2) の材質は、通常は、超低温材料のうちでも構造強度と機械加工性にすぐれているSUS304が使用される。
【0026】本発明においては、フロート(7) の浮力Fa と、フロート(7) および懸垂材(6) の合計重量Wa との差Aa が、直接歪みゲージ検出器(5) に作用することになり、先に述べた式(i) とは異なる機構となっている。
Aa =Wa −Fa (ii)【0027】すなわち、Wa は一定値であるので、容器(1) 内の液量(液面高さ)に比例して浮力Fa は変化するため、歪みゲージ検出器(5) にかかる力Aa も変化する。
【0028】実際の動作としては、液面が最下位で浮力Fa がゼロのときに歪みゲージには最大の張力Aa (Max) =Wa が負荷され、液面が最上位の場合(保安面を考慮して、通常は容器内容積の90%充填時となる)に歪みゲージには最小の張力Aa(Min) =Wa −Fa (Max) が負荷されることになる。
【0029】本発明における歪みゲージ検出器(5) は、一般的にはロードセル(荷重変換器、電子秤)等の重量センサとして使用されているものと測定原理は同じであって、歪みゲージにかかった力に応じて電気抵抗が変化する機構となっているため、歪みゲージ検出器(5) にかかる力Aa の変化に相関した電気的信号を取り出すことができる、従って、現場表示、遠隔発信・表示など、自在に液量検出システムを構築することができる。
【0030】なお、上記の歪みゲージ検出器(5) としては、素子として一般的な電気抵抗歪みゲージや、起歪み部と一体成形された半導体歪みゲージなどが、いずれも使用できる。
【0031】本発明において、懸垂材(6) は、歪みゲージに対して張力の大小を伝達すればよいだけであり、公知の液面表示筒を上下移動させるときのような押し上げ力は必要としない。そこで必ずしも棒状の剛体である必要はなく、引張力および押し上げ力のうち引張力のみを有する非剛体の部材でできていてもむしろ有利に使用できる点が、従来公知のフロート式液面計とは異なっている。
【0032】ここで非剛体の部材としては、超低温下で強度変化を生じない材料であればよく、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、繊維強化樹脂(FRP)、ステンレス鋼(SUS)などでできた部材が例示できる。
【0033】懸垂材(6) の形状については、単糸または単線、それらを複数本撚り合わせた撚糸または撚線、中空管、鎖など、あるいはこれらの2以上を混成したものなどがあげられ、直線状または直管状に限定されない自由な形状で使用することができる。
【0034】また、懸垂材(6) が必ずしも剛体でなくてもよいので、大容量の超低温液化ガス貯槽などにおいては、滑車の如き適当な張力方向の変換機構を組み込むことにより、たとえば貯槽の胴体部分など取り付け作業の容易な位置に歪みゲージ検出器(5) を取り付けるというように、その取り付け方向を変えることも可能である。
【0035】また、歪みゲージ検出器(5) と直接的に接続する懸垂材(6) は、容器(1) 内部で超低温液化ガスの液相または気相(たとえば−196℃〜−140℃)に接しているため、冷熱の伝導を軽減しなければならないので、外槽フランジ(2) の金属材料(通常はSUS304)よりも熱伝導率の低い材料(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、繊維強化樹脂(FRP)など)を全面的に使用するか一部に使用して、冷熱の固体伝導をできるだけ遮断することが望ましい。
【0036】下記に、超低温下の液化酸素温度(沸点)における各種材料の熱伝導率の例をあげる。外槽フランジ(2) の構成金属材料であるSUS304と比較して、有機高分子材料であるPTFEやエポキシ樹脂の熱伝導率は1ケタ以上低いことがわかる。低温材料とその90Kにおける熱伝導率λ (W/cm・K)・SUS304: 0.0886・PTFE : 0.0025・エポキシ樹脂: 0.00135【0037】さらに、同一種の材料を使用する場合において、本発明においては剛体の使用を必ずしも必要としないという形状自由の利点を生かして、固体伝導による冷熱をできるだけ遮断するための方策としても、多点結束型の鎖やその一種であるボールチェーンなどを使用することも望ましい。
【0038】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0039】実施例1先に詳述した図1〜2の液量検出装置付きの超低温液化ガス容器(1) を準備した。超低温液化ガス容器(1) のSUS304製の外槽フランジ(2) には貫通孔(3) が設けられ、その外槽フランジ(2) の外部側には検出器室(4) が接続され、該検出器室(4) 内には歪みゲージ検出器(5) が設置され、かつその歪みゲージ検出器(5) が、前記外槽フランジ(2) の貫通孔(3) 内を垂下する懸垂材(6) を介してフロート(7) と接続されている。
【0040】懸垂材(6) としては、SUS304製の直径1mm、長さ230mmの可撓性のあるワイヤを使用した。フロート(7) としては、アルミニウム製の直径12mm、長さ1050mmの中空密閉円筒を使用した。
【0041】超低温液化ガス容器(1) として内容量175リットルの可搬式超低温液化ガス容器を使用し、該容器(1) には超低温液化ガスの一例としての液化酸素を充填しておいた。
【0042】容器(1) をロードセル型秤量器の上に載せて重量変化を測定しながら、容器(1) 内の液化酸素を重量比で85%充填時よりほぼ0%になるまで消費配管より順次放出し、歪みゲージ検出器(5) にて歪ゲージの出力(mV)を測定し、液化酸素の液面高さ比に相似する液量(%)との測定値を対比した。
【0043】図3のブロック回路図を使用して測定したときの充填量と歪ゲージ出力値との関係を図4に示す。図4の記号aに示す如く、懸垂材(6) としてSUS304製のワイヤを用いたときには、液量(%)と歪ゲージの出力(mV)は液体酸素の充填量の全範囲にわたって直線関係を示しており、本発明の液量検出装置が、超低温液化ガス容器(1) 内に貯留されている液化酸素の液量計(液面計)として正確かつ確実に機能していることが確認された。
【0044】実施例2,3懸垂材(6) の材質のみを、SUS304製の直径3mmの棒鋼に変更した場合(実施例2)、およびSUS製の直径3mmの中空球(結束線1mm)でできたボールチェーンに変更した場合(実施例3)について、実施例1と同様にして計測を行った。このときの充填量と歪ゲージ出力値との関係を図4に併せて示す。図4の記号bが実施例2、記号cが実施例3に相当する。
【0045】(図4の説明)図4の記号aにおいては、超低温液化ガスの充填量にかかわらず良好な直線性を示すのに対し、図4の記号bおよび記号cにおいては充填量が多くなるに伴い直線性を失っている。すなわち、充填量が多い場合、超低温液化ガスの液面が懸垂材(6) の下端近傍に位置するため、懸垂材(6) を経由する伝熱量が相対的に増加し、歪ゲージの温度降下を招来する。歪ゲージの出力はその特性上温度依存性があり、低温下においては同一負荷を受けても、大気温下での出力値とは同一にならないことを示しており、懸垂材(6) の使用材料としては、容器(1) 内部の超低温液化ガスの冷熱をできるだけ歪ゲージに熱伝導させない材質および形状とすることが望ましいことがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明においては、超低温液化ガス容器(1) 内の液量(液面高さ)に比例してフロート(7) に発生する浮力Fa の強弱を、従来のようにフロートを上下に動かすことなく、また従来のようにバネの反力を介することなく、直接に歪みゲージ検出器(5) で感知して電気信号として外部に出力するため、引っ掛かりなどの誤動作のおそれがない。
【0047】加えて、超低温液化ガスの液量を歪みゲージにより直接的に信号変換しているために、表示筒内部を機械的に上下移動する表示リング部分を追随検知して二次的に信号変換する従来の方式に比し、故障の要因が排除されている。
【0048】このように本発明の液量検出装置は、機構が簡単でかつ安価であるというフロート方式の利点を生かしながらも、超低温液化ガス容器の残液量を誤指示ないし誤動作なく正確に検出することができかつ故障を起こしがたい構造となっている。
【出願人】 【識別番号】000208167
【氏名又は名称】大陽東洋酸素株式会社
【出願日】 平成11年9月7日(1999.9.7)
【代理人】 【識別番号】100087882
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 征郎
【公開番号】 特開2001−74200(P2001−74200A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−252870