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【発明の名称】 旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽
【発明者】 【氏名】吉原 健雄

【氏名】山口 秀弘

【要約】 【課題】LNG貯蔵用地下式貯槽において、旋回挙動型メンブレン構造のコルゲーションによる円滑な旋回収縮挙動の連続性が損なわれることなく、LNGの貯蔵効率をアップし、貯槽建設費の削減を実現させる。

【解決手段】槽底部13に、LNG払出し用ポンプのポンプバレル部に対応させて窪み15を設け、この窪みを全体に方形状に形成するとともに、窪みの隣接するピット側面21,21´間の稜線部に、並行する一対のコルゲーション間隔と同じ幅の細長い稜線面22を設ける一方、この窪みでのメンブレン構造を、底部メンブレン12の一方向コルゲーション17と他方向コルゲーション18を延伸させて構成し、ピット側面21及び21´,ピット底面23,稜線面22での方形平板部20を囲繞したコルゲーション17,18の格子状配置と、ピット底面23上の隅角部に三角平板部30を囲繞した三角形状のコルゲーション配置とした旋回挙動型メンブレン構造とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2条のコルゲーションからなる一方向コルゲーションが同様に2条のコルゲーションからなる他方向コルゲーションをその中途で非交叉裡に遮断して両コルゲーション間に平板部を形成し、これらコルゲーションの熱収縮挙動に伴って平板部を旋回して熱収縮を吸収するようにした旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽において、貯槽本体の槽底部に、その槽底部に向けて垂下したLNG払出し用ポンプのポンプバレル部に対応させて窪みを設け、その窪みを、槽底部に設ける底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションに沿って四方にピット側面を設けて全体に方形状に形成するとともに、その方形窪みの隣接する側面間の稜線部に、並行する一対の前記コルゲーション間隔と同じ幅の細長い稜線面を設ける一方、底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションをそれぞれ延伸させて窪みのピット側面とピット底面に平板部が方形状になるように格子状に配設し、稜線面とピット底面間に有する短手方向稜線と、その短手方向稜線と連続するピット側面とピット底面間に有する稜線をそれぞれ跨ぐように2条のコルゲーションを設けるとともに、底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションをそれぞれ延伸させて稜線面の長手方向稜線をそれぞれ跨ぐように2条のコルゲーションを設け、これらコルゲーションを、その長さ方向下部が直交するピット底面のコルゲーションとつないで連続配置し、該コルゲーションと前記稜線面の短手方向稜線を跨いだコルゲーションによって三角形状に囲繞して三角平板部を設けたことを特徴とする旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、地下に埋設してLNGを貯蔵するための地下式貯槽に適用し得る。詳しくは、2条のコルゲーションからなる一方向コルゲーションが同様に2条のコルゲーションからなる他方向コルゲーションをその中途で非交叉裡に遮断して両コルゲーション間に平板部を形成し、これらコルゲーションの熱収縮に伴って平板部を旋回して熱収縮を吸収するようにした旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽に係る技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】 従来、この種のLNG貯蔵用地下式貯槽では、貯蔵材料であるLNGの収縮熱挙動を許容する、所謂メンブレン構造のものが広く採用されている。そして、このようなメンブレン構造とした地下式貯槽の中に、2条のコルゲーションからなる一方向コルゲーションが同様に2条のコルゲーションからなる他方向コルゲーションをその中途で非交叉裡に遮断して配設したパネルを液密裡に溶接接合し、これらコルゲーションの熱収縮挙動に伴って平板部を旋回して熱収縮を吸収するようにした、所謂旋回挙動型のものがある(特公昭56―53678号公報,特公昭58―6113号公報参照)。
【0003】ところで、そのようなLNG貯蔵用地下式貯槽には、その槽側壁に沿いLNG払出し用ポンプのポンプバレル部を垂下し、このポンプによりLNGの払い出しを行っている。そして、このポンプを、LNGの吸い込みを可能にすべく、槽底部に設ける底部メンブレンから所要の間隔をあけた高さ位置に設置した構成にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 ところが、従来のLNG貯蔵用地下式貯槽では、そのようにポンプを底部メンブレンから所要の間隔をあけて設置した構成であるため、その間隔のあいた容量分だけ槽底部にLNGの払出し残しを発生してしまう。それゆえ、LNGの所要の払出し容量を確保すべく、払出し残しの分だけ貯槽自体を大型に構築している。その結果、従来では、LNGの貯蔵効率が悪く、貯槽の建設費が高くなってしまうという課題があった。
【0005】ところで、これらの課題は、上記LNG払出し用ポンプに対応する個所でのみ貯槽の槽底部に窪みを設け、LNG払出し用ポンプを底部メンブレンまで延伸させてLNGの払出し効率を上げることで解決できそうである。
【0006】しかしながら、旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽では、底部メンブレンから旋回収縮挙動を滑らかに連続させながら窪みにも旋回挙動型メンブレンを設置することは極めて困難であるという課題が残されている。
【0007】そこで、本発明の目的は、そのような課題を解決し、旋回挙動型メンブレン構造のコルゲーションによる円滑な旋回収縮挙動の連続性が損なわれることなく、LNGの貯蔵効率をアップし、貯槽建設費の削減を実現させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】 上記目的は、2条のコルゲーションからなる一方向コルゲーションが同様に2条のコルゲーションからなる他方向コルゲーションをその中途で非交叉裡に遮断して両コルゲーション間に平板部を形成し、これらコルゲーションの熱収縮挙動に伴って平板部を旋回して熱収縮を吸収するようにした旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽において、貯槽本体の槽底部に、その槽底部に向けて垂下したLNG払出し用ポンプのポンプバレル部に対応させて窪みを設け、その窪みを、槽底部に設ける底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションに沿って四方にピット側面を設けて全体に方形状に形成するとともに、その方形窪みの隣接する側面間の稜線部に、並行する一対の前記コルゲーション間隔と同じ幅の細長い稜線面を設ける一方、底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションをそれぞれ延伸させて窪みのピット側面とピット底面に平板部が方形状になるように格子状に配設し、稜線面とピット底面間に有する短手方向稜線と、その短手方向稜線と連続するピット側面とピット底面間に有する稜線をそれぞれ跨ぐように2条のコルゲーションを設けるとともに、底部メンブレンの一方向コルゲーションと他方向コルゲーションをそれぞれ延伸させて稜線面の長手方向稜線をそれぞれ跨ぐように2条のコルゲーションを設け、これらコルゲーションを、その長さ方向下部が直交するピット底面のコルゲーションとつないで連続配置し、該コルゲーションと前記稜線面の短手方向稜線を跨いだコルゲーションによって三角形状に囲繞して三角平板部を設けたことにより達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】 以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】図1に、本発明によるLNG貯蔵用地下式貯槽の旋回挙動型メンブレン構造を示す。このLNG貯蔵用地下式貯槽は、外側のコンクリート躯体10に、硬質ウレタン等からなる保冷材11を介して内側のタンクメンブレンを固設してなる。図中符号12は、この貯槽の槽底部13に設ける該タンクメンブレンの底部メンブレンである。
【0011】また、この貯槽には、図示省略したが、その側部のメンブレンに沿って複数のLNG払出し用ポンプ、例えばサブマージドポンプのポンプバレル部をそれぞれ垂下し、底部メンブレン12に近接設置してLNGの払い出しを行えるようにしている。一方、槽底部13には、LNG払出し用ポンプのポンプバレル部に対応する個所で、その数だけコンクリート躯体10を掘り下げて窪み15を設けてなる。
【0012】底部メンブレン12は、一方向コルゲーション17と、それと直交する向きの他方向コルゲーション18を配置し、これらによって囲繞される平板部が正方形状になるように構成している。そして、タンクの他部のメンブレン同様、たとえば図2および図3に示すような方形パネル19等を用い、これらピースメンブレンを液密裡に溶接接合して旋回挙動型メンブレン構造を構成している。
【0013】方形パネル19は、たとえばステンレス等の金属薄板材からなる四角い平板をプレス成形する。そして、コルゲーション17が平板の中央部にて他方の同一間隔の長軸なコルゲーション18を直会して交叉することなく遮断するように成形してコルゲーション17,18の波山間および周囲に平板部20を残置するようにつくる。コルゲーション17,18は、それぞれ横断面半円状の2条のコルゲーションを、その熱収縮量に対応させた所定間隔を介して平行に並べ、コルゲーションの長さ方向端部でそれぞれ滑らかに閉塞して長軸コルゲーション対を形成する。そうして、これら方形パネル19等を用い、図1に示すように、コルゲーション17,18が方形平板部20を縦横に割設するように、ほとんどを格子状(市松模様)に形成している。
【0014】一方、LNG払出し用の窪み15は、上述した底部メンブレン12の一方向コルゲーション17と他方向コルゲーション18に沿って四方にピット側面21を設けて全体に方形状に形成する。また、この方形窪み15の隣接するピット側面21,21´間の稜線部に、底部メンブレン12の並行するコルゲーション間隔と同じ幅の細長い稜線面22を設け、全体に側面部を8面体で構成する。したがって、ピット底面23は、8角形状とする。
【0015】そして、本発明の貯槽では、この窪み15にも全面に亘って旋回挙動型メンブレン構造を施す。つまり、底部メンブレン12における一方向コルゲーション17を延伸し、ピット側面21の上側の開口縁で適宜半径の半円状に屈曲させてピット側面21を垂下させ、ピット底面23と直交する稜線部にて更に適宜半径の半円状に屈曲させてピット底面23を水平に直進させて配設する。更に、この一方向コルゲーション17を延伸し、ピット底面23が反対側のピット側面21と直交する稜線部にて同様に半円状に屈曲させてピット側面21を垂直に立ち上げ、そのピット側面21の上側の開口縁で半円状に屈曲させて、底部メンブレン12の一方向コルゲーション17に繋げて連続配置する。
【0016】同様に、底部メンブレン12における他方向コルゲーション18を、窪み15のピット側面21´、ピット底面23さらに反対側のピット側面21´に延伸し、底部メンブレン12の他方向コルゲーション18に繋げて連続配置する。更に、ピット側面21,21´と稜線面22には、平板部20が方形状になるように水平方向にコルゲーションを廻して周回配置する。
【0017】さて、各稜線面22にも、底部メンブレン12における一方向コルゲーション17と他方向コルゲーション18をそれぞれ延伸し、稜線面22の左右に平行な長手方向稜線をそれぞれ跨ぐように垂下させて、各々2条のコルゲーション25,26を設ける。さらに、コルゲーション25,26を、その長さ方向下部が直交するピット底面23のコルゲーション27,28と繋いで連続配置する。
【0018】また、ピット側面21,21´とピット底面23間に有する稜線には、その稜線を跨ぐように各々2条のコルゲーション29を水平方向に廻して配置する。そして、コルゲーション29を、各稜線面22のピット底面23との間に有する短手方向稜線をもそれぞれ跨ぐように連続させて、周回配置する。しかして、ピット底面23上の各隅角部において、稜線面22の短手方向稜線上でのコルゲーション29と、ピット底面23上のコルゲーション27,28によって三角形状に囲繞された三角平板部30を設ける。
【0019】なお、この窪み15の上側開口縁に、そこの稜線を跨ぐように水平方向に廻して2条のコルゲーション31を周回配置する。そして、該コルゲーション31は、稜線面22と底部メンブレン12間での稜線部において、隣り合う会合部32,32で遮断されない側のコルゲーションを他方の会合部の方向に湾曲させて配置する。
【0020】上述のように、この地下式貯槽では、LNG払出し用の窪み15でのメンブレン構造を、ピット側面21及び21´,ピット底面23,稜線面22での方形平板部20を囲繞したコルゲーションの格子状配置と、ピット底面13上の各隅角部に三角平板部30を囲繞した三角形状のコルゲーション配置とした旋回挙動型のメンブレン構造とする。
【0021】なお、この地下式貯槽では、メンブレン構造を2条のコルゲーションからなるコルゲーション対で構成するため、払出し用の窪み15でも、一方向コルゲーション対と他方向コルゲーション対の多数にある会合部の中心を、必要な個所で、温度変化を受けないタンク板面に適宜固定アンカーすることができる。
【0022】そして、上述した地下式貯槽では、LNGの貯留に伴う冷却熱収縮に対し、コルゲーションの熱収縮挙動に伴って方形平板部20を旋回して槽全体に亘って熱収縮を吸収する。そのとき、このコルゲーションの熱収縮挙動は、窪み15にも連続し、特に、窪み15の各隅角部においても、コルゲーション27,28,29の熱収縮挙動に伴って三角平板部30を旋回して熱収縮を吸収することができる。
【0023】ところで、上述した地下式貯槽では、隣接するピット側面21,21´間に稜線面22を設けたが、そのような稜線面22を、ピット底面23とピット側面21,21´との4ヶ所の稜線部にも設け、更にピット底面のそれらの板面が集合する隅角部に三角形状の平板部を設けても、同様なコルゲーション配置による旋回挙動型のメンブレン構造とすることもできる。
【0024】
【発明の効果】 本発明によれば、旋回挙動型メンブレン構造のLNG貯蔵用地下式貯槽において、槽底部に、LNG払出し用ポンプのポンプバレル部に対応させて窪みを設け、ポンプバレル部を槽底部位置まで延伸させてLNGの払出し残しをほとんど発生させない構成とすることにより、従来のようにLNGの所要の払出し容量を確保すべく貯槽を大型に構築する必要がなく、これにより、LNGの貯蔵効率をアップし、貯槽建設費の削減を実現させることができる。
【0025】また、本発明では、この窪みを全体に方形状に形成するとともに、その方形窪みの隣接するピット側面間の稜線部に、並行する一対のコルゲーション間隔と同じ幅の細長い稜線面を設ける一方、この窪みでのメンブレン構造を、ピット側面,ピット底面,稜線面での方形平板部を囲繞したコルゲーションの格子状配置と、ピット底面上の隅角部に三角平板部を囲繞した三角形状のコルゲーション配置とした旋回挙動型メンブレン構造とすることにより、この旋回挙動型メンブレンのコルゲーションによる円滑な旋回収縮挙動の連続性がLNG払出し用の窪みにおいて損なわれることがなく、特に、この窪みの各隅角部においてもコルゲーションによる旋回収縮挙動を連続させて熱収縮を効果的に吸収することができる。
【出願人】 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100062269
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 義雄 (外1名)
【公開番号】 特開2001−65790(P2001−65790A)
【公開日】 平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願番号】 特願平11−236955