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【発明の名称】 フロート式ドレントラップ
【発明者】 【氏名】玉水 陽規

【要約】 【課題】多量の低温ドレンを素早く排出できると共に、低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って閉弁遅れを生じることなく使用できるフロート式ドレントラップを提供する。

【解決手段】弁室3の下部側壁に第1弁孔7及び第1弁座8を形成すると共に常開のオリフィス16を形成する。第1弁孔の出口6側に、第1弁孔よりも小径の第2弁孔9を有し第1弁座8に密着した位置で第1弁孔を閉じると共に絞り部材17がオリフィスの通過面積を絞る第2弁座10を進退可能に配置する。第2弁座10の背面に弁室3から連通する入口室12を形成し、温度応動部材としてのコイル状の形状記憶合金13を配置する。第2弁座が出口側から第1弁孔を開いた状態で第1弁孔を開閉し、第2弁座が出口側から第1弁孔を閉じた状態で第2弁孔を開閉するフロート15を弁室内に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入口と出口を有するケーシング内に弁室を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を開けた弁座を弁室下部に設け、弁室内に配置したフロートで弁部材を駆動して弁孔を開閉するものにおいて、弁室と出口を連通するオリフィスを弁室下部に設け、第1弁孔を有し弁室に固定的に設けた第1弁座と、第1弁孔よりも小径の第2弁孔を有しオリフィス及び第1弁孔の出口側に配され出口側から第1弁孔を開閉すると共にオリフィスの通過面積を変化させる第2弁座とから弁座を形成し、入口側の流体温度に応動して低温時に第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくし高温時に第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞るように第2弁座に温度応動部材を連結し、第2弁座が第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくした状態でフロートが第1弁孔を開閉し、第2弁座が第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞った状態でフロートが第2弁孔を開閉することを特徴とするフロート式ドレントラップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体と液体の比重差を利用して開放又は密閉のフロートで弁手段を駆動して弁孔を開閉することにより、蒸気や圧縮空気及びガス配管系に発生する復水や凝縮水等のドレンを自動的に排出するフロート式ドレントラップに関し、特に、弁孔とは別に常開のオリフィスを設けてドレン排出容量を大きくすると共に、配管系の流体圧力が低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って使用できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】弁孔とは別に常開のオリフィスを設けたフロート式ドレントラップは、例えば特開平10−141593号公報に示されている。当該公報から理解されるように、入口と出口を有するケーシング内に弁室を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を開けた弁座を弁室下部に設け、弁室内に配置したフロートで弁部材を駆動して弁孔を開閉するものにおいて、弁室と出口を連通する常開のオリフィスを弁室下部に設けたものである。
【0003】また、低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って使用できるフロート式ドレントラップは、例えば、特公平3−35560号公報に示されている。当該公報から理解されるように、入口と出口を有するケーシング内に弁室を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を開けた弁座を弁室下部に設け、弁室内に配置したフロートで弁部材を駆動して弁孔を開閉するものにおいて、第1弁孔を有し弁室に固定的に設けた第1弁座と、第1弁孔よりも小径の第2弁孔を有し第1弁孔を貫通して進退可能に配され第1弁孔を弁室側から開閉する第2弁座とから弁座を形成し、フロートで第2弁孔を開閉すると共に、フロートの自重と入口側の流体圧力によって開弁作用ばねに抗して第2弁座で第1弁孔を開閉するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の特開平10−141593号公報に示されたフロート式ドレントラップは、ドレン排出容量を大きくでき優れたものであるが、オリフィスの通過面積が一定であるために、特に配管系の初期立ち上げ時のように低温のドレンが多量に発生する場合にドレン排出に時間が掛かると言う問題点があった。
【0005】また、上記の従来の特公平3−35560号公報に示されたフロート式ドレントラップは、低圧蒸気配管系に使用された場合に蒸気漏れを生じる危険があると言う問題点があった。すなわち、復水の排出によってフロートが降下すると、先ず第2弁孔がフロートによって閉じられ、次にフロートによって第2弁孔が閉じられた第2弁座によって第1弁孔が閉じられるものであるので、第1弁孔の閉弁遅れを生じる危険があるためである。
【0006】従って、本発明の技術的課題は、多量の低温ドレンを素早く排出できると共に、低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って閉弁遅れを生じることなく使用できるフロート式ドレントラップを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための技術的手段】上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、入口と出口を有するケーシング内に弁室を形成し、弁室と出口を連通する弁孔を開けた弁座を弁室下部に設け、弁室内に配置したフロートで弁部材を駆動して弁孔を開閉するものにおいて、弁室と出口を連通するオリフィスを弁室下部に設け、第1弁孔を有し弁室に固定的に設けた第1弁座と、第1弁孔よりも小径の第2弁孔を有しオリフィス及び第1弁孔の出口側に配され出口側から第1弁孔を開閉すると共にオリフィスの通過面積を変化させる第2弁座とから弁座を形成し、入口側の流体温度に応動して低温時に第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくし高温時に第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞るように第2弁座に温度応動部材を連結し、第2弁座が第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくした状態でフロートが第1弁孔を開閉し、第2弁座が第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞った状態でフロートが第2弁孔を開閉することを特徴とするフロート式ドレントラップにある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のフロート式ドレントラップは、入口側の流体温度に応動する温度応動部材によって、入口側の流体温度が低温すなわち入口側の流体圧力が低圧であるときは、第2弁座が出口6側から第1弁座の第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくしている。そして、フロートがその浮上降下によって第1弁孔を開閉する。入口側の流体温度が高温すなわち入口側の流体圧力が高圧であるときは、第2弁座が出口6側から第1弁座の第1弁孔を出口側から閉じると共にオリフィスの通過面積を絞っている。そして、フロートがその浮上降下によって第1弁孔よりも小径の第2弁孔を開閉する。このように、低温すなわち低圧時には第2弁座が出口6側から第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくした状態でフロートが第1弁孔を開閉し、高温すなわち高圧時には第2弁座が出口6側から第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞った状態でフロートが第1弁孔よりも小径の第2弁孔を開閉するものであるので、多量の低温ドレンを素早く排出できると共に、低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って閉弁遅れを生じることなく使用できる。
【0009】
【実施例】図1に本発明のフロート式ドレントラップの実施例の断面図を示す。本実施例はフリーフロート式スチームトラップに適用したものである。フリーフロート式スチームトラップのケーシングは本体1とこの本体1に締結した蓋体2とで形成し、内部に弁室3を有する。本体1は入口4と出口通路5と出口6を有し、入口4は弁室3の上部に連通する。
【0010】弁室3の下部側壁に第1弁孔7を開けた第1弁座8を形成すると共に常開のオリフィス16を形成する。弁室3の下部は第1弁孔7及びオリフィス16から出口通路5を介して出口6に連通する。第1弁孔7及びオリフィス16の出口6側に、第1弁孔7よりも小径の第2弁孔9を開けると共に絞り部材17を設けた第2弁座10を進退可能に配置する。第2弁座10は弁室3側に変位して第1弁座8に密着した位置で第1弁孔7を閉じると共に絞り部材17がオリフィス16の通過面積を絞る。弁室3の下部は第2弁孔7及び絞られたオリフィス16から出口通路5を介して出口6に連通する。
【0011】第2弁座10の背面に弁室3から連通路11を介して入口4側の流体を導入する入口室12を形成し、入口室12に温度応動部材としてのコイル状の形状記憶合金13を配置する。形状記憶合金13は、その両側を夫々第2弁座10とプラグ14に連結し、低温時に収縮して第2弁座10を第1弁孔7から開弁させると共にオリフィス16の通過面積を大きくし、高温時に伸長して第2弁座10を第1弁孔7に閉弁させると共にオリフィス16の通過面積を絞る。温度応動部材としては形状記憶合金の他にバイメタルやサーモワックスあるいは液封ベローズ等を用いることもできる。弁室3内に中空球形のフロート15を自由状態で配置する。フロート15は、第2弁座10が第1弁孔7を開くと共にオリフィス16の通過面積を大きくした状態で第1弁孔7を開閉し、第2弁座10が第1弁孔7を閉じると共にオリフィス16の通過面積を絞った状態で第2弁孔9を開閉する。
【0012】上記実施例のフリーフロート式スチームトラップの動作は下記の通りである。入口4側の流体温度が低温すなわち入口4側の流体圧力が低圧であるときは、形状記憶合金13が収縮して第2弁座10をプラグ14側に変位させ、第2弁座10が出口6側から第1弁座8の第1弁孔7を開くと共にオリフィス16の通過面積を大きくしている。そして、フロート15の浮上降下によって第1弁孔7を開閉してドレンを自動的に出口6に排出する。入口4側の流体温度が高温すなわち入口4側の流体圧力が高圧であるときは、形状記憶合金13が伸長して第2弁座10を弁室3側に変位させ、第2弁座10が出口6側から第1弁座8の第1弁孔7を閉じると共にオリフィス16の通過面積を絞っている。そして、フロート15の浮上降下によって第1弁孔7よりも小径の第2弁孔9を開閉してドレンを自動的に出口6に排出する。
【0013】上記実施例では、本発明をフリーフロート式スチームトラップに適用したが、レバーフロート式スチームトラップにも適用することができる。またフロート式スチームトラップだけでなく、フロート式エアートラップやフロート式ガストラップにも適用することができる。
【0014】
【発明の効果】上記のように本発明は、低温すなわち低圧時には第2弁座が出口側から第1弁孔を開くと共にオリフィスの通過面積を大きくした状態でフロートが第1弁孔を開閉し、高温すなわち高圧時には第2弁座が出口側から第1弁孔を閉じると共にオリフィスの通過面積を絞った状態でフロートが第1弁孔よりも小径の第2弁孔を開閉するものであるので、多量の低温ドレンを素早く排出できると共に、低圧から高圧まで広い圧力範囲に亘って閉弁遅れを生じることなく使用できると言う優れた効果を生じる。
【出願人】 【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−82693(P2001−82693A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−261414