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【発明の名称】 ディスク式スチームトラップ
【発明者】 【氏名】西川 佳弘

【要約】 【課題】バイメタル環が弁ディスクに叩かれ難くする。

【解決手段】内外輪弁座6,7と蓋部材5とにより形成する変圧室4内に弁ディスク11を配置し、外輪弁座7の外周に形成した円錐状の斜面部12に有端のバイメタル環13を配置すると共に、弁ディスク11とバイメタル環13の間に環状板14を配置する。弁ディスク11は、その外径が外輪弁座7の外径よりも大きく、外周に上下を連通する12個の通孔15を有する。通孔15は、夫々その一部が外輪弁座7の内周と外周との間に位置する。外輪弁座7と弁ディスク11の間を高速に通過する蒸気は、弁ディスク11の突起15の間の空き間16から変圧室4に廻り込むことができるので、環状板14と弁ディスク11の間を通過する量が少なくなる。そのため、環状板14が上方に吸寄せられ難くなり、バイメタル環13が環状板14を介して弁ディスク11に叩かれ難くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内外輪弁座と蓋部材とにより形成する変圧室内に弁ディスクを配置し、外輪弁座の外周に形成した円錐状の斜面部に有端のバイメタル環を配置すると共に、弁ディスクとバイメタル環の間に環状板を配置し、斜面部と温度変化によるバイメタル環の拡開縮閉作用との協働によって低温時に環状板を介して弁ディスクを内外輪弁座から離座せしめてエアバインディングを解消するディスク式スチームトラップにおいて、弁ディスクの外径を外輪弁座の外径よりも大きく形成し、弁ディスクの外周に上下を連通する通孔を設けて通孔の一部を外輪弁座の内周と外周との間に位置させたことを特徴とするディスク式スチームトラップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変圧室すなわち熱力学的蒸気室の圧力変化に応じて弁ディスクが開閉することにより、蒸気配管系に発生する復水を自動的に排出するディスク式スチームトラップに関し、特にバイメタルを用いてエアバインディングを解消できるようにしたものに関する。
【0002】ディスク式スチームトラップは内外輪弁座からなる弁座面に対して離着座する弁ディスクを、弁ディスクの背後に形成した変圧室の圧力変化によって自力的に制御して開閉弁させ復水を自動的に排出するものである。このものにおいては、始動時に空気が流入してきても、蒸気の場合と同様に瞬時に閉弁してしまい、一旦閉弁すると空気は蒸気と異なり凝縮作用を起こさないので、その後は開弁できない、いわゆるエアバインディングが起こる。そこで、従来からバイメタルを用いてこのエアバインディングを解消することが行なわれている。すなわち、バイメタルの温度変化による湾曲作用を利用して、低温時に弁ディスクを強制的に持上げて開弁させ、高温時に弁ディスクに干渉しない様にしたものである。
【0003】
【従来の技術】この一例が特公昭50−8809号公報に示されている。ここに開示されたものは、外輪弁座の外周に形成した円錐状の斜面部に有端のバイメタル環を配置すると共に、弁ディスクとバイメタル環の間に環状板を配置し、斜面部と温度変化によるバイメタル環の拡開縮閉作用との協働によってエアバインディングを解消するものである。すなわち、バイメタル環は低温時に斜面部に沿って上動し、環状板を介して弁ディスクを持上げて内外輪弁座から離座開弁させるもので、高温時には斜面部に沿って下動し、弁ディスクに干渉しなくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のものでは、斜面部に摺接するバイメタル環の下部が摩耗したり、バイメタル環が破損したりする問題がある。すなわち、ディスク式スチームトラップは、蒸気が内外輪弁座と弁ディスクの間を高速に通過することによって内外輪弁座と弁ディスクの間の圧力が低下し、また蒸気が変圧室に廻り込むことによって変圧室の圧力が上昇することによって閉弁するのであるが、蒸気が変圧室に廻り込むときに環状板と弁ディスクの間を高速に通過するために、環状板が上方に吸寄せられ、環状板を介してバイメタル環が弁ディスクに叩かれるためである。従って本発明の技術的課題は、バイメタル環が弁ディスクに叩かれ難くすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、内外輪弁座と蓋部材とにより形成する変圧室内に弁ディスクを配置し、外輪弁座の外周に形成した円錐状の斜面部に有端のバイメタル環を配置すると共に、弁ディスクとバイメタル環の間に環状板を配置し、斜面部と温度変化によるバイメタル環の拡開縮閉作用との協働によって低温時に環状板を介して弁ディスクを内外輪弁座から離座せしめてエアバインディングを解消するディスク式スチームトラップにおいて、弁ディスクの外径を外輪弁座の外径よりも大きく形成し、弁ディスクの外周に上下を連通する通孔を設けて通孔の一部を外輪弁座の内周と外周との間に位置させたことを特徴とするディスク式スチームトラップにある。
【0006】
【発明の実施の形態】エアバインディングの解消は、バイメタル環が低温時に斜面部に沿って上動し、環状板を介して弁ディスクを持上げて内外輪弁座から離座開弁させることによって行なわれる。バイメタル環は高温時に拡開して斜面部を下動し、このバイメタル環の下動に伴って環状板も下動し、バイメタル環と環状板は弁ディスクに干渉しなくなる。この高温時において、外輪弁座と弁ディスクの間を高速に通過する蒸気は、弁ディスクの通孔から変圧室に廻り込むことができるので、環状板と弁ディスクの間を通過する量が少なくなる。そのため、環状板が上方に吸寄せられ難くなり、バイメタル環が環状板を介して弁ディスクに叩かれ難くなる。
【0007】
【実施例】上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1と図2参照)。本体1に同一軸上に入口2と出口3を形成し、この入口2及び出口3と連通する変圧室4を蓋部材5と本体1とで形成する。入口2と出口3の変圧室4側開口端に内輪弁座6と外輪弁座7を同心円状で同一平面に形成してその間に環状溝8を形成する。入口2と変圧室4は内輪弁座6に形成した入口通路9を介して連通し、変圧室4と出口3は環状溝8の一部から形成した出口通路10を介して連通する。
【0008】内外輪弁座6,7に離着座する円板状の弁ディスク11を変圧室4内に配置する。外輪弁座7の外周に円錐状の斜面部12を形成し、有端のバイメタル環13を配置すると共に、バイメタル環13と弁ディスク11の間に環状板14を配置する。弁ディスク11は、その外径が外輪弁座7の外径よりも大きく、外周に上下を連通する12個の通孔15を有する。通孔15は、夫々その一部が外輪弁座7の内周と外周との間に位置する。
【0009】上記実施例の作動を説明する。トラップ本体が低温の場合、バイメタル環13は縮閉して斜面部12を上動し、環状板14を介して弁ディスク11を持上げて、弁ディスク11を内外輪弁座6,7から離座開弁状態にし、低温の復水や空気を出口通路10から出口3に排出する。高温復水が流入してくると、図2に示すようにバイメタル環13は拡開して斜面部12を下動し、このバイメタル環13の下動に伴って環状板14も下動し、バイメタル環13と環状板14は弁ディスク11の動作に干渉しなくなる。
【0010】この高温時において、入口通路9を介して弁ディスク11に作用する入口2側の流体圧力により、弁ディスク12は内外輪弁座6,7から離座開弁し、高温復水を出口通路10から出口3に排出する。高温復水が排出されて蒸気が内外輪弁座6,7と弁ディスク11の間を高速に通過することによって内外輪弁座6,7と弁ディスク11の間の圧力が低下し、また蒸気が変圧室4に廻り込むことによって変圧室4の圧力が上昇することによって、弁ディスク11が内外輪弁座6,7に着座閉弁して出口通路10を閉止する。このとき、蒸気は弁ディスク11の通孔15から変圧室4に廻り込むことができるので、環状板14と弁ディスク11の間を通過する量が少なくなる。そのため、環状板14が上方に吸寄せられ難くなり、バイメタル環13が環状板14を介して弁ディスク11に叩かれ難くなる。そして、変圧室4内の蒸気が放熱等により凝縮しその蒸気圧力が低下してくると、弁ディスク11は内外輪弁座6,7から離座開弁する。このような開閉弁のサイクルを繰り返す。
【0011】
【発明の効果】上記のように本発明は、弁ディスクの外径を外輪弁座の外径よりも大きく形成し、弁ディスクの外周に上下を連通する通孔を設けて通孔の一部を外輪弁座の内周と外周との間に位置させたものであるので、外輪弁座と弁ディスクの間を高速に通過する蒸気が弁ディスクの通孔から変圧室に廻り込み、環状板と弁ディスクの間を通過する量が少なくなる。そのため、環状板が上方に吸寄せられ難くなり、バイメタル環が環状板を介して弁ディスクに叩かれ難くなる。そのため、バイメタル環の摩耗や破損を少なくすることができ、長期間に渡って良好なエアバインディング解消機能を維持できるディスク式スチームトラップを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−82690(P2001−82690A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−261410