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【発明の名称】 オイルエア供給装置
【発明者】 【氏名】杉田 澄雄

【氏名】森田 康司

【要約】 【課題】潤滑装置へのオイルエアの供給状態の適否を、確実に判定自在とする。

【解決手段】ハウジング16のシリンダ孔17内に、透明な材料により造った可動ピストン21を嵌装する。潤滑油を、この可動ピストン21内の導油通路25内に一度溜めてから、給気通路29を流れる圧縮空気中に送り込み、オイルエアとする。上記可動ピストン21に隣接して設けた光学式センサ42により、上記導油通路25内に潤滑油が、十分に溜められたか否かを判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮空気源から潤滑すべき部分に向けて圧縮空気を供給する為の給気通路と、この給気通路内に所定量の潤滑油を送り込む為の給油弁とを備えたオイルエア供給装置に於いて、この給油弁と上記給気通路との途中に、光透過性の材料により造られて、内部にこの給油弁から給気通路に向けて送り込む潤滑油を流通させる為の導油通路を設けた導油部材を設け、この導油部材に隣接して設けた光学式センサにより、上記導油通路内に潤滑油が存在するか否かを確認自在とした事を特徴とするオイルエア供給装置。
【請求項2】 導油部材はハウジング内に軸方向移動自在に嵌装された可動ピストンであり、この可動ピストンは、このハウジング内に設けた給油通路内の油圧が低下した状態で軸方向一端側に変位して導油通路内の潤滑油を給気通路側に吸い出され、上記給油通路内の油圧が上昇した状態で軸方向他端側に変位してこの給油通路内の潤滑油を、給油弁である定量弁を介して導油通路内に供給されるものである、請求項1に記載したオイルエア供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のオイルエア供給装置は、工作機械の主軸等、高速で回転する軸を支承する転がり軸受を潤滑する為のオイルエアを供給する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】工作機械の主軸は、使用時に高速回転する。従って、この様な主軸は、転がり軸受により回転自在に支持すると共に、主軸の回転時にはこの転がり軸受の内部に、十分な量の潤滑油を供給する必要がある。この様な、主軸をハウジングの内側に回転自在に支持する転がり軸受に潤滑油を送り込む為の装置として、特開平10−299784号公報には、図3に示す様な構造の転がり軸受用潤滑装置が記載されている。この転がり軸受用潤滑装置は、転がり軸受1内に、外輪間座2内に設けた潤滑油通路3を通じて潤滑油を送り込み自在としたものである。上記転がり軸受1を構成する内輪4は、その外周面に内輪軌道5を有し、使用時に高速回転する上記主軸(図示せず)に外嵌固定する。又、上記転がり軸受1を構成する外輪6は、その内周面に外輪軌道7を有し、上記ハウジング(図示せず)に内嵌支持する。又、上記内輪軌道5と外輪軌道7との間には複数個の転動体8を、保持器9により保持した状態で転動自在に設けている。
【0003】又、上記主軸の周囲には上記内輪4に隣接した状態で第一、第二の内輪間座10、11を、この内輪4の側から順に設けている。一方、上記ハウジングの内側には、上記外輪6に隣接した状態で、上記外輪間座2を設けている。この外輪間座2の内側には上記潤滑油通路3を設けており、この潤滑油通路3内に送り込まれた潤滑油を、上記内輪4の外周面と上記外輪6の内周面との間で上記複数の転動体8を設置した軸受内部空間15内に、供給自在としている。即ち、上記潤滑油通路3内に送り込まれた潤滑油を、上記外輪間座2に設けたノズル孔13から吹き出し、この外輪間座2の内周面と上記第一の内輪間座10の外周面との間に設けた給油隙間14の端部開口から、上記転がり軸受1の内部で上記転動体8を設けた軸受内部空間15内に吐出する。
【0004】上述の様に構成し作用する転がり軸受用潤滑装置により上記軸受内部空間15内に送り込む潤滑油として一般的に、空気中に微量の潤滑油飛沫を混入させたオイルエア(オイルミストを含む)を使用する。従って、上記潤滑油通路3には、図示しないオイルエア供給装置からオイルエアを供給する。この様なオイルエア供給装置は、コンプレッサ等の圧縮空気源から潤滑すべき部分に向けて圧縮空気を供給する為の給気通路と、この給気通路内に所定量の潤滑油を送り込む為の給油弁とを備える。この給油弁からこの給気通路内に送り込まれた(吸引された)潤滑油は、この給気通路内で微細な飛沫となって上記圧縮空気中に拡散し、オイルエアとなってから、上記潤滑油通路3内に送り込まれる。
【0005】上記転がり軸受用潤滑装置により上記転がり軸受1の潤滑を確実に行なう為には、上記潤滑油通路3内に確実にオイルエアが送り込まれる様にしなければならない。言い換えれば、上記潤滑油通路3内に送り込まれる圧縮空気中に潤滑油が混入していないか、混入量が極端に少ない場合には、上記転がり軸受1の潤滑が不良となり、焼き付き等の損傷が発生する。この為に従来から、オイルエア供給装置と上記潤滑油通路3とを結ぶ配管の途中を透明にし、この部分に光学式センサを配置して、この配管内を送られる微小な油滴の有無を検出し、上記オイルエアの供給状態の適否を判定する様にしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に、オイルエア自体を光学式センサにより観察してオイルエアの供給状態の適否を判定する方法では、必ずしも信頼性の高い判定を行なえない。何となれば、オイルエアを構成する為に圧縮空気中に潤滑油を混入する作業は、この潤滑油を圧縮空気の流れに向けて間欠的に供給する事で行なうが、一度に供給する量は0.01cc程度の微小量である。従って、上記オイルエア中に混入する油滴の量も非常に少なく、この油滴を光学式センサにより確実に検出する事は難しい。本発明は、この様な事情に鑑みて、オイルエアの供給状態の適否の判定を高い信頼性で行なえるオイルエア供給装置を実現すべく発明したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のオイルエア供給装置は、従来から知られているオイルエア供給装置と同様に、圧縮空気源から潤滑すべき部分に向けて圧縮空気を供給する為の給気通路と、この給気通路内に所定量の潤滑油を送り込む為の給油弁とを備える。特に、本発明のオイルエア供給装置に於いては、この給油弁と上記給気通路との途中に、光透過性の材料により造られて、内部にこの給油弁から給気通路に向けて送り込む潤滑油を流通させる為の導油通路を設けた導油部材を設けている。そして、この導油部材に隣接して設けた光学式センサにより、上記導油通路内に潤滑油が存在するか否かを確認自在としている。
【0008】
【作用】上述の様に構成する本発明のオイルエア供給装置によれば、圧縮空気中に潤滑油が送り込まれているか否か、送り込まれているとすればその量が十分であるか否かを、上記潤滑油が(圧縮空気中に油滴として拡散する以前の)液体の状態で判定できる。この為、確実な判定をして、オイルエア供給装置からのオイルエアの供給不良に基づく故障の発生を有効に防止できる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態の1例を示している。オイルエア供給装置を構成するハウジング16にシリンダ孔17を、このハウジング16の両端面同士を互いに連通させる状態で形成している。上記シリンダ孔17は、一端側(図1〜2の下端側)に存在する小径部18と中間部乃至他端側(図1〜2の上端側)に存在する大径部19とを段部20により連続させて成る。尚、図面では上記一端側が下側に位置するが、実際の使用状態では、上記シリンダ孔17を水平方向に配置する事が好ましい。
【0010】上述の様なシリンダ孔17内には、導油部材である可動ピストン21を、軸方向(図1〜2の上下方向)の移動自在に嵌装している。この可動ピストン21は、アクリル等の光透過性を有する(透明な)合成樹脂により造られたもので、上記シリンダ孔17の小径部18に密に内嵌自在な小径部22と、同じく大径部19に密に内嵌自在な大径部23とを、段部24により連続させて成る。この様な可動ピストン21の内部には、導油通路25を設けている。この導油通路25の一端(図1〜2の下端)は上記可動ピストン21の直径方向片側面(図1〜2の右側面)に、他端(図1〜2の上端)はこの可動ピストン21の直径方向両側面に、それぞれ開口している。又、この可動ピストン21の小径部22及び大径部23のそれぞれ2個所位置ずつ、合計4個所位置で、それぞれ上記導油通路25の端部開口を軸方向両側から挟む位置には、それぞれ係止溝26a、26bを全周に亙って形成している。そして、これら各係止溝26a、26bに係止したOリング27a、27bの外周縁を、上記シリンダ孔17の小径部18及び大径部19に摺接させている。
【0011】又、上記シリンダ孔17の他端開口部に螺合固定したプラグ35と上記可動ピストン21の他端面との間に圧縮コイルばね36を設けて、外力が働かない限り、この可動ピストン21が上記シリンダ孔17の一端側に変位する様にしている。又、上記プラグ35の内面(図1〜2の下面)中央部には突起37を形成して、上記外力が働いた場合でも、上記可動ピストン21の他端側への変位が制限される様にしている。
【0012】又、前記ハウジング16内で上記シリンダ孔17を径方向両側から挟む位置には、上記導油通路25内に所定量の潤滑油を送り込む為の定量弁28と、この導油通路25内の潤滑油を取り込むべき圧縮空気を流通させる為の給気通路29とを設けている。この給気通路29の上流端(図1〜2の上端)は、この給気流路29よりも大径の圧縮空気流路30を介して、コンプレッサ等の図示しない圧縮空気源に通じさせている。又、上記給気通路29の下流端(図1〜2の下端)は、前述の潤滑油通路3(図3)に向けてオイルエアを吐出する為のオイルエア吐出口31としている。
【0013】又、上記ハウジング16内で上記定量弁28に隣接する部分に、図示しない給油源に通じる給油通路32を設けている。そして、この給油通路32と上記定量弁28の入口ポートとを第一の導油路33により、この給油通路32と前記シリンダ孔17の段部20部分とを第二の導油路34により、それぞれ連通させている。そして、上記定量弁28の出口ポートと上記シリンダ孔17の大径部19とを、第三の導油路38により連通させている。
【0014】これに対して、上記給気通路29の上流端寄り部分と上記シリンダ孔17の大径部19とを吸気通路39により、同じく下流端寄り部分と小径部18とを油吐出通路40により、それぞれ連通させている。これら吸気通路39と油吐出通路40との間隔(ピッチ)は、前記導油通路25の両端開口部の間隔(ピッチ)とほぼ等しくしている。又、上記大径部19の軸方向に関する上記吸気通路39の開口位置は、上記第三の導油路38の開口位置よりも、上記小径部18側に片寄らせている。
【0015】この構成により上記可動ピストン21は、上記給油通路32内の油圧が上昇した状態で、図1に示す様に軸方向他端側に変位する様にしている。即ち、上記給油通路32内の油圧が上昇し、この油圧が前記第二の導油路34を介して上記段部20部分に存在する油圧室41部分に導入された場合には上記可動ピストン21が、前記圧縮コイルばね36の弾力に抗して前記突起37に突き当たるまで他端側に変位する様にしている。そして、この様に上記可動ピストン21が他端側に変位した状態では、前記第三の導油路38の下流端開口と前記導油通路25の他端側開口とが整合し、この導油通路25の両端開口と上記吸気通路39の下流端開口及び油吐出通路40の上流端開口とがずれる様に、各部の寸法を規制している。
【0016】又、前記ハウジング16内で、上記可動ピストン21が他端側に変位し切った状態で上記導油通路25の一端部に対向する部分に、光学式センサ42を設けている。この光学式センサ42は、潤滑油の反射率とハウジング16を構成する材料の反射率との差等を利用して、上記導油通路25の一端部に潤滑油が存在するか否かを検出するものである。
【0017】一方、上記給油通路32及び上記油圧室41内の油圧が低下し、上記可動ピストン21が上記圧縮コイルばね36の弾力により他端側に、前記段部20、24同士が当接する状態にまで変位した状態では、上記導油通路25の両端開口と上記吸気通路39の下流端開口及び油吐出通路40の上流端開口とが互いに整合する様に、各部の寸法を規制している。
【0018】上述の様に構成する本発明のオイルエア供給装置は、次の様に作用して、前述の図3に示した様な転がり軸受の潤滑装置を構成する潤滑油通路3内にオイルエアを供給する。先ず、上記給油通路32内に圧油を供給し、図1に示す様に、上記可動ピストン21を他端側に変位させる。この状態でこの可動ピストン21の導油通路25内に潤滑油が、上記給油通路32から第一の導油路33、定量弁28、第三の導油路38を通じて所定量だけ送り込まれる。上記導油通路25の容積は、この所定量と同じか、少しだけ大きい程度である。又、元々この導油通路25内に存在した空気は、この導油通路25内に送り込まれた圧油により圧縮されて容積を減少させた状態で、この導油通路25の上部に溜まる。従って、この導油通路25は、上記潤滑油によりほぼ満たされた状態となる。
【0019】この状態で、前記光学式センサ42により、上記導油通路25の一端部に潤滑油が存在するか否かを判定する。前述した様に、この導油通路25は水平方向に配置されており、この導油通路25内への潤滑油の送り込みは、この導油通路25の他端側から行なう為、この導油通路25の一端側に潤滑油が存在すれば、この導油通路25には十分に潤滑油が存在すると判定できる。又、この導油通路25内に存在する潤滑油は、油滴状ではなく液状の潤滑油そのものであるから、潤滑油が存在するか否かの判定は確実に行なえる。この段階で潤滑油の供給不良が分かったならば、警報を発し、必要に応じて工作機械等を停止する。
【0020】これに対して、上記導油通路25内に所定量の潤滑油を送り込み、上記光学式センサ42によりその事実を確認したならば、上記給油通路32への圧油の送り込みを停止する。この結果、この給油通路32及び前記油圧室41の油圧が低下し、図2に示す様に、上記可動ピストン21が前記圧縮コイルばね36の弾力により一端側に変位する。この結果、上記導油通路25の両端開口と前記吸気通路39の下流端開口及び油吐出通路40の上流端開口とが互いに整合し、上記導油通路25内に溜められていた潤滑油が、前記吸気通路29内に吸い出される。そして、この吸気通路29内を流通する圧縮空気と混ざり合う事でオイルエアとなってから、前記転がり軸受の潤滑装置を構成する潤滑油通路3内に送られる。
【0021】
【発明の効果】本発明のオイルエア供給装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、オイルエアの供給状態の適否の判定を高い信頼性で行なって、転がり軸受に焼き付き等の損傷が発生する事を有効に防止し、工作機械等、回転支持部を有する各種機械装置の信頼性向上に寄与できる。
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100087457
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−311499(P2001−311499A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−129209(P2000−129209)