| 【発明の名称】 |
潤滑油供給装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山中 隆司
【氏名】神野 秀基
【氏名】本田 修一郎
【氏名】亀井 武
【氏名】小笠原 光彦
【氏名】遠藤 薫
【氏名】加藤 圭司
|
| 【要約】 |
【課題】モータの主軸の軸受に潤滑油を供給できる簡単な構造の潤滑油供給装置を提供すること。
【解決手段】モータ10の主軸11の回転を主軸11に直結する回転軸30から減速機構20を介して低速軸41に伝達して低速軸41側に取り付けたインペラを回転駆動する。主軸11と回転軸30と低速軸41とを立てた状態で接合し、各軸11,30,41の内部に上下方向に延びるように設けた中空部11a,30a,41a同士を連通する。主軸11の軸受17に位置する部分に中空部11aとその外部とを連通する連通部11bを設ける。油溜り部Rから低速軸41に設けた連通部41bを介して中空部41a内に供給された潤滑油を、各軸11,30,41の回転による遠心力によって中空部11a,30a,41aの内周面を伝って上昇させて連通部17から軸受17に供給する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータの主軸の回転を直接又は主軸に直結する他の回転軸によって減速機構に伝達し、更に減速機構から低速軸に伝達することで低速軸側に取り付けた被駆動部材を回転駆動する構造の回転機械において、前記主軸を上側として立てた状態で、主軸又は回転軸の端面と低速軸の端面とを接続することで、前記各軸の内部に上下方向に延びるように設けた中空部同士を連通し、更に前記主軸の軸受に位置する部分に中空部とその外部とを連通する連通部を設け、前記低速軸を浸漬するように設けた油溜り部から低速軸に設けた連通部を介して低速軸の中空部に供給された潤滑油が、各軸の回転による遠心力によって中空部の内周面を伝って上昇して主軸に設けた連通部を介して主軸の軸受に供給されることを特徴とする潤滑油供給装置。 【請求項2】 前記主軸の軸受の上部に、前記連通部から供給される潤滑油を流入する油溜りを設けたことを特徴とする請求項1記載の潤滑油供給装置。 【請求項3】 前記主軸と回転軸を直結する部分にも、中空部とその外部とを連通する連通部を設け、主軸と回転軸を直結する軸継手に潤滑油を供給することを特徴とする請求項1又は2記載の潤滑油供給装置。 【請求項4】 前記低速軸を浸漬するように設けた油溜り部には、前記各軸の回転による油溜り部の潤滑油の油面の変動を抑制する油面変動抑制部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の潤滑油供給装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モータによってインペラなどの被駆動部材を回転駆動する回転機械に用いて好適な潤滑油供給装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、例えばエアレータ(曝気装置)や水中モータポンプなどの各種回転機械は、モータの高速回転を減速機によって低速に落としてインペラ等を回転駆動するように構成されている。即ちこの種の回転機械は、モータの主軸に直接又は他の回転軸を介して減速機構を接続し、減速機構の出力側の駆動軸にインペラ等を接続して構成されている。 【0003】ところで前記モータの主軸や駆動軸は、通常その上下二箇所が転がり軸受などの軸受によって軸支されている。 【0004】そして前記駆動軸の軸受と減速機構は、これらを油溜り部内に浸漬することでその潤滑が行われる。一方モータの主軸の軸受は、前記減速機構や駆動軸のかなり上方に位置するため、前記油溜り部内の潤滑油によっては潤滑できず、別途これを強制的に潤滑する潤滑油供給装置が必要であった。 【0005】しかしながら従来、モータの主軸の軸受に簡単な構成で潤滑油を給油できる潤滑油供給装置はなかった。 【0006】特にモータの主軸を他の回転軸に直結し、この回転軸を減速機構に接続する場合があるが、このような場合はモータの主軸の軸受への給油の他に、主軸と回転軸を直結する軸継手の部分への給油も必要となり、さらに複雑な潤滑油給油装置が必要となっていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、モータの主軸の軸受に潤滑油を供給できる簡単な構造の潤滑油供給装置を提供することにある。 【0008】また本発明の目的は、モータの主軸の軸受の他に、主軸とこれに直結する回転軸の軸継手の部分にも潤滑油を供給できる簡単な構造の潤滑油供給装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため本発明は、モータの主軸の回転を直接又は主軸に直結する他の回転軸によって減速機構に伝達し、更に減速機構から低速軸に伝達することで低速軸側に取り付けた被駆動部材を回転駆動する構造の回転機械において、前記主軸を上側として立てた状態で、主軸又は回転軸の端面と低速軸の端面とを接続することで、前記各軸の内部に上下方向に延びるように設けた中空部同士を連通し、更に前記主軸の軸受に位置する部分に中空部とその外部とを連通する連通部を設け、前記低速軸を浸漬するように設けた油溜り部から低速軸に設けた連通部を介して低速軸の中空部に供給された潤滑油が、各軸の回転による遠心力によって中空部の内周面を伝って上昇して主軸に設けた連通部を介して主軸の軸受に供給されるように構成した。 【0010】ここで前記主軸の軸受の上部に、前記連通部から供給される潤滑油を流入する油溜りを設けることが好ましい。 【0011】また前記主軸と回転軸を直結する部分にも、中空部とその外部とを連通する連通部を設け、主軸と回転軸を直結する軸継手に潤滑油を供給せしめることが好ましい。 【0012】なお前記低速軸の軸受及び前記減速機構は、何れも前記油溜り部内の潤滑油内に浸漬しておくことが好ましい。 【0013】また前記低速軸を浸漬するように設けた油溜り部には、前記各軸の回転による油溜り部の潤滑油の油面の変動を抑制する油面変動抑制部材を設けることが好ましい。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明を適用するエアレータの一例を示す一部断概略側面図である。同図に示すようにこのエアレータは、モータ10の下部に減速機構20を取り付け、更にその下にモータ10の駆動によって回転するインペラ113を取り付け、一方インペラ113を囲むように吸込ケーシング115を取り付け、また吸込ケーシング115の上部に吐出ケーシング117を取り付けて構成されている。 【0015】吐出ケーシング117の上部には、この吐出ケーシング117内に空気を供給する給気管119が接続されている。給気管119は図示しない吸気パイプに接続され空気が供給される。エアレータ全体は吊り下げ金具121によって汚水中に吊り下げられる。 【0016】ここで図2は前記モータ10から減速機構20の下側部分までを拡大して示す概略断面図である。同図に示すように、モータ10の中央には、主軸11が貫通しており、主軸11の上下は軸受(図では下側の軸受17のみ示している)によって回動自在に軸支されている。主軸11の中央にはロータ19が固定され、その周囲にステータ21が設置されている。 【0017】主軸11の下端は軸継手25によって回転軸30に直結されており、回転軸30の下部には歯車31が設けられている。この歯車31の歯には複数の遊星歯車33が噛み合っており、さらに遊星歯車33の歯にはその外側に設けたリング状の内歯歯車35が噛み合っている。内歯歯車35はこの減速機構20を囲むケースに固定されている。 【0018】遊星歯車33の軸37は、支持板39に回動自在に固定され、支持板39は低速軸41の上端に一体に回転するように固定されている。なお前記回転軸30の下端は、支持板39との間に設けた軸受43によって回動自在に軸支されている。 【0019】低速軸41はその上下を軸受45,47によって回動自在に軸支されることでその上端面を回転軸30の下端面に接合している。つまり主軸11と回転軸30と低速軸41とは、主軸11を上側にしてその全体を立てた状態で各端面を接続して設置されている。なお回転軸30と低速軸41の接合面には、接合面の摺動を円滑に行うための摺動板を介在させても良い。そして低速軸41の下部にはシール機構110を介してインペラ113(図1参照)が取り付けられる。 【0020】減速機構20及び両軸受45,47及び軸受43の部分はその外周を囲むケーシングによって油溜り部Rが形成され、何れも油溜り部R内の潤滑油に浸漬されている。また油溜り部Rに溜まっている潤滑油の油面の少し下方には、板状の油面変動抑制部材60がケーシングの内周面に固定されることで設置されている。 【0021】一方前記主軸11と回転軸30と低速軸41の内部には、それぞれ上下方向に延びる中空部11a,30a,41aが設けられている。中空部11aはその下端面から前記軸受17近傍位置まで延びている。中空部30aは回転軸30を貫通している。中空部41aはその上端面から軸受45の下方まで延びている。 【0022】そしてこれら中空部11a,30a,41aは、それぞれの端面において接続され、連通している。また中空部11aの上端近傍にはこの中空部11aとその外部とを連通する連通部11bが設けられており、一方中空部41aの下端近傍にもこの中空部41aとその外部とを連通する連通部41bが設けられている。さらに主軸11と回転軸30の両端面の間に隙間を設けることで中空部30a(11a)と外部とを連通する連通部30bが設けられている。 【0023】図3は前記連通部11bの周辺部分を拡大して示す要部断面図である。同図に示すように連通部11bは軸受17の上部に設けた油溜り50に開口している。油溜り50は軸受17と、軸受17を支えるスリーブ51と、スリーブ51と主軸11間を密閉するオイルシール53とによって囲まれる空間で形成される。 【0024】以上のように構成されたエアレータにおいて図1に示すモータ10を駆動すると減速機構20で減速された回転数でインペラ113が回転され、吸込ケーシング115側から吐出ケーシング117側に向けて汚水が流れ、吐出口125から吐出される。その際同時に給気管119から吐出ケーシング117内に空気が供給されて微細な気泡となって前記吐出される汚水中に溶け込む。 【0025】ここで図2においてモータ10の駆動によってモータ10の主軸11と回転軸30は一体に高速に回転し、一方減速機構20の後段の低速軸41は低速で回転するが、その際油溜り部R内にある減速機構20及び両軸受45,47及び軸受43は、何れも潤滑油に浸漬されている。 【0026】一方前記潤滑油は、連通部41bを通して静止状態では中空部41a内と中空部30aの下部とに充填されているが、低速軸41と回転軸30と主軸11の回転によって、中空部41a及び中空部30a内の潤滑油に遠心力が生じてその表面が略放物線状となって中空部30a,11aの内周面を伝って上昇して主軸11に設けた連通部11bを介して油溜り50に供給され、軸受17を潤滑する。 【0027】ここで本発明の場合、低速軸41の上に高速回転する回転軸30及び主軸11を接合しているが、低速軸41は回転が遅いのでそれほど潤滑油を上昇させることはできないが、その代わりにその内部に多量の潤滑油を保持することができる。一方回転軸30及び主軸11は高速回転するので潤滑油を高い位置まで上昇させることはできるが、その代わりにその内部の潤滑油は遠心力によって薄い層となってその内部に多量の潤滑油を保持することはできない。そこで本発明では、低速軸41の中空部41a内に多量の潤滑油を溜めておき、この潤滑油を回転軸30及び主軸11の高速回転によって上方まで上昇させ、これによって軸受17に十分な潤滑油を供給するようにしている。 【0028】そして軸受17に給油された潤滑油は、軸受17から落ちて再び油溜り部Rに戻る。なお油溜り50の上部はオイルシール53によってシールされているので、この油がモータ10の内部に浸入することはない。 【0029】同時に中空部30aの内周面を伝って上昇した潤滑油の一部は、連通部30bの部分から軸継手25に供給され、その潤滑が行われる。軸継手25に供給された潤滑油も下に落ちて再び油溜り部Rに戻る。 【0030】ところで上記実施形態において油面変動抑制部材60を設置した理由を図4を用いて説明する。即ちもし油面変動抑制部材60を設置しないと、図4(a)に示すように各軸11,30,41が回転した際に油溜り部R内の潤滑油も回転してその遠心力で油面は略放物線形状となる。このためその中央部の油面位置が低下し、これに合わせて中空部41a,30a内の潤滑油の油面位置も低下するので、結局中空部41a,30a内の潤滑油を高い位置まで供給できなくなる。これに対して油面変動抑制部材60を設置した場合は、図4(b)に示すように各軸11,30,41が回転した際に油溜り部R内の潤滑油も回転してその遠心力で油面が略放物線形状となろうとするが、これを前記油面変動抑制部材60が抑制し、ほぼ油面を平面状に保つことができる。このため油溜り部R内の潤滑油の中央部の油面位置が低下することはなく、これに合わせて中空部41a,30a内の潤滑油の油面位置も低下しないので、結局中空部41a,30a内の潤滑油を高い位置まで供給することができるからである。 【0031】上記実施形態の油面変動抑制部材60は平板状であったが、それ以外の各種形状であっても良く、また網などの他の構造であっても良い。要は各軸11,30,41の回転による油溜り部Rの潤滑油の油面の変動を抑制する油面変動抑制部材であれば、どのような形状・構造であっても良い。 【0032】以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。 【0033】例えば上記実施形態では、モータ10の主軸11に回転軸30を接続しているが、回転軸30を省略して主軸11を直接減速機構20に連結しても良い。また逆に二本以上の回転軸30を直結しても良い。 【0034】上記実施形態では本発明をエアレータに適用した例を示したが、本発明はこの実施形態に限定されず、水中モータポンプ等の他の各種回転機械にも適用できる。また減速機構や軸受や軸継手の構造も種々の変形が可能であることは言うまでもない。 【0035】 【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば、主軸や低速軸自体に設けた中空部を用いるという簡単な構造で、低速軸の軸受や減速機構などを浸漬する油溜り部の潤滑油を用いて、モータの主軸の軸受も容易に潤滑することができるという優れた効果を有する。 【0036】また本発明によれば、モータの主軸の軸受の他に、主軸に直結する回転軸の軸継手の部分にも同時に潤滑油を供給することができるという優れた効果を有する。 【0037】また本発明によれば、主軸の軸受の上部に連通部から供給される潤滑油を流入する油溜りを設けたので、軸受への潤滑油の供給が確実に行える。 【0038】また油面変動抑制部材を設けた場合は、各軸が回転しても油溜り部内の潤滑油の油面位置が低下することはなく、結局中空部内の潤滑油を高い位置まで供給することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000239 【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
|
| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087066 【弁理士】 【氏名又は名称】熊谷 隆 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−241595(P2001−241595A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−51511(P2000−51511) |
|