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【発明の名称】 潤滑油の給油方法
【発明者】 【氏名】中野 善夫

【要約】 【課題】高速回転する軸のベアリングやギヤなどに潤滑油を到達させる給油圧力を保持したまま必要最少限の給油量に削減することができる潤滑油の給油方法を提供すること。

【解決手段】容積型のオイルポンプ1から供給される潤滑油をオイルジェットにより給油する場合に、オイルポンプ1からオイルジェットに至る供給系10の圧力を調圧弁12の時定数及び固有心同数などを適切に設定して自励振動を生じさせ、これにより給油圧力を時間的に変化させ最高給油圧力を維持したまま給油する。これにより、給油圧力の脈動を利用し、給油圧力を時間的に変化させることで、総給油量の削減を図るようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】オイルポンプから供給される潤滑油をオイルジェットにより給油するに際し、前記オイルポンプから前記オイルジェットに至る供給系の圧力を自励振動により時間的に変化させるようにしたことを特徴とする潤滑油の給油方法。
【請求項2】前記給油系の圧力の自励振動を、当該給油系に設けた調圧弁により給油圧力に1次遅れを生じさせて脈動させて得るようにしたことを特徴とする請求項1記載の潤滑油の給油方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、潤滑油の給油方法に関し、航空機エンジンの主軸ベアリング室や補機を駆動するための補機駆動ギヤボックス(AGB)内のベアリングやギヤなどへの潤滑油の供給に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来から潤滑油を給油して潤滑する機器は多く、例えば航空機エンジンにあっても主軸ベアリング室のベアリングや補機類を駆動するための補機駆動ギヤボックス内のベアリングやギヤなども強制的な潤滑油の供給による潤滑が行われている。
【0003】このような航空機エンジンの潤滑油の給油方法は、図2に概略構成を示すように、ギヤポンプまたはベーンポンプなどの定容積型のオイルポンプ1が補機駆動ギヤボック2に取り付けられ、エンジン3の主軸4からの動力が補機駆動ギヤボックス2を介して伝達されて駆動され、エンジン3各部の主軸ベアリング室5や補機駆動ギヤボックス2内に給油されるようにしてある。
【0004】この航空機エンジンの潤滑油の給油対象となるエンジン3各部の主軸ベアリング室5や補機駆動ギヤボックス2内では、主軸4などが高速回転していることから通常、オイルジェット給油方式が採用され、高速回転に伴う空気流(Windage)を貫通して給油できるように給油圧力を5〜7kg/cm2 g と高くするとともに、オイルポンプ1の吐出側に調圧弁6またはリリーフ弁を設けて給油圧力を、図2(b)に示すように、一定に保つようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような潤滑油の給油方法では、給油圧力を一定に保持していることから、最も潤滑の必要な状態、例えば離着陸時にある程度の余裕を以て給油できるように給油量を設定しており、通常飛行状態などでは必要油量よりも多くの潤滑油がエンジン各部などに給油されている。
【0006】このため、大容量のオイルポンプを必要とするなど潤滑油供給系が大型化し、重量も増大するという問題がある。
【0007】また、余剰な潤滑油の存在により撹拌抵抗が増大し機械的な損失が増大するとともに、オイルポンプの駆動馬力も増大し、エンジンの効率低下を招いてしまうという問題もある。
【0008】この発明はかかる従来技術の有する課題を解決するためになされたもので、高速回転する軸のベアリングやギヤなどに潤滑油を到達させる給油圧力を保持したまま必要最少限の給油量に削減することができる潤滑油の給油方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課題を解決するためこの発明の請求項1記載の潤滑油の給油方法は、容積型のオイルポンプから供給される潤滑油をオイルジェットにより給油するに際し、前記オイルポンプから前記オイルジェットに至る供給系の圧力を自励振動により時間的に変化させ給油圧力を維持したまま給油量を削減するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】この潤滑油の給油方法によれば、容積型のオイルポンプから供給される潤滑油をオイルジェットにより給油する場合に、オイルポンプからオイルジェットに至る供給系の圧力を自励振動により時間的に変化させ給油圧力を維持したまま給油量を削減するようにしており、給油圧力の脈動を利用し、給油圧力を時間的に変化させることで、総給油量の削減を図るようにしている。
【0011】また、この発明の請求項2記載の潤滑油の給油方法は、前記請求項1記載の構成に加え、前記給油系の圧力の自励振動を、当該給油系に設けた調圧弁により給油圧力に1次遅れを生じさせて脈動させて得るようにしたことを特徴とするものである。
【0012】この潤滑油の給油方法によれば、給油系の圧力の自励振動を、給油系に設けた調圧弁により給油圧力に1次遅れを生じさせて脈動させて得るようにしており、調圧弁の時定数、固有振動数などを適切に設定することで自励振動が得られ、特に外部動力を必要とせず簡単に実現できるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の潤滑油の供給方法の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0014】図1はこの発明の潤滑油の供給方法を航空機エンジンに適用した一実施の形態にかかる概略構成図及び給油圧力の時間的変化の説明図である。
【0015】この潤滑油の給油方法では、航空機エンジン3の主軸ベアリング室5および補機駆動ギヤボックス2のベアリングやギヤが潤滑対象とされ、補機駆動ギヤボックス2に取り付けた容積型のオイルポンプ1をエンジン3の主軸4からの動力で駆動して給油するようにしてある。
【0016】このオイルポンプ1による潤滑油の給油系10は、図1に示すように、容積型のオイルポンプ1が、例えばベーンポンプで構成され、オイルタンク11の潤滑油を加圧して調圧弁12を介してエンジン3の主軸ベアリング室5および補機駆動ギヤボックス2のベアリングやギヤにオイルジェットにより給油するようになっており、オイルポンプ1の吐出側である調圧弁12の上流側に分岐管13が設けられて可変オリフィス14を介して調圧弁12と連通され、分岐管13に可変オリフィス15を介してアキュムレータ16が接続してある。
【0017】このように構成した潤滑油の供給系10では、オイルポンプ1の吐出側に設けた分岐管13に可変オリフィス14を介して調圧弁12が接続してあるので、調圧弁12のばね12aのばね定数やスプール12bの固有振動数などを適切に設定することで、スプール12bに一時遅れが生じて自励振動し、何等外部動力を必要とせずにオイルポンプ1からの給油圧力に脈動が生じることになり、オイルポンプ1の脈動分が可変オリフィス15を介してアキュムレータ16に吸収される。
【0018】このような調圧弁12の自励振動により、調圧弁12の吐出側の給油圧力が、図1(b)に示すように、脈動し、給油圧力が高くなるときにオイルジェットにより潤滑油が供給され、給油圧力が低いときにはオイルジェットによる潤滑油の供給が行われず、間欠給油状態となる。
【0019】そこで、最も潤滑の必要な状態、例えば離着陸時には、調圧弁12に脈動が生じないようにして従来と同様の一定給油圧力で、必要油量(従来に比べて少ない油量)での潤滑が行われるようにする一方、通常の飛行状態など、潤滑油によるベアリングやギヤなどの冷却の必要が減少する場合には、調圧弁12を脈動させて給油圧力が時間的に変化する間欠給油状態となるようにし、最大給油圧力を保持したまま潤滑油の給油量を減少させた必要油量で給油する。
【0020】なお、従来の潤滑油の給油方法では、供給圧力を高めて高圧で潤滑油を供給するため必要油量よりも多くの潤滑油量を給油するようにしていたので、エンジンの状態にかかわらず常に必要油量のみが供給されるように、調圧弁12に自励振動による脈動を生じさせ、常に間欠給油状態で最高給油圧力を保持したまま潤滑油を給油するようにしても良い。
【0021】これにより、オイルポンプの平均駆動馬力が、図1(b)中に斜線で示す間欠給油による時間的な変化分だけ減少し、エンジン3の効率向上となる。
【0022】また、この潤滑油の供給方法では、調圧弁12が自励振動で脈動する間、潤滑油の給油量を減少することができ、潤滑油の総循環油量の減少によりオイルタンクやオイルクラーなどを小形化し、潤滑油の給油・排油系を小型・軽量化することができる。
【0023】さらに、余剰な潤滑油が存在しないので撹拌抵抗による機械的な損失を減少することができる。
【0024】また、調圧弁12の時定数や固有振動数を適切に設定することにより自励振動が生じ、これにより給油圧力を脈動させることができ、外部動力を必要とせず、従来から給油系に設けてある調圧弁を変更調整することで簡単にこの潤滑油の給油方法を実現することができ、通常潤滑油を脈動させないようにすることが技術的に重要視されているが、逆に脈動を利用して潤滑油の給油量を削減するもので、これにより航空機エンジンの軽量化や高効率化を図ることができる。
【0025】なお、上記実施の形態では、航空機エンジンの主軸ベアリング室および補機駆動ギヤボックス内のベアリングやギヤを潤滑対象とする場合で説明したが、これに限らず、高速回転する軸のベアリングやギヤなどの潤滑油の給油に適用することができる。
【0026】
【発明の効果】以上、一実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載の潤滑油の給油方法によれば、容積型のオイルポンプから供給される潤滑油をオイルジェットにより給油する場合に、オイルポンプからオイルジェットに至る供給系の圧力を自励振動により時間的に変化させ給油圧力を維持したまま給油量を削減するようにしたので、給油圧力の脈動を利用し、給油圧力を時間的に変化させることで、総給油量を削減することができる。
【0027】これにより、高速回転する軸のベアリングやギヤなどに潤滑油を到達させる給油圧力を保持したまま必要最少限の給油量に削減して潤滑することができ、オイルポンプの平均駆動馬力を削減することができるとともに、エンジンの軽量化や高効率化を図ることができる。
【0028】また、この発明の請求項2記載の潤滑油の給油方法によれば、給油系の圧力の自励振動を、給油系に設けた調圧弁により給油圧力に1次遅れを生じさせて脈動させて得るようにしたので、調圧弁の時定数、固有振動数などを適切に設定することで自励振動を得ることができ、特に外部動力を必要とせず簡単に必要油量を供給して潤滑することが実現できる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月16日(1999.9.16)
【代理人】 【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82686(P2001−82686A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−261611