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【発明の名称】 真空断熱体
【発明者】 【氏名】藤山 守

【氏名】拝田 寛

【氏名】鈴木 新

【要約】 【課題】必要に応じて所望領域を後加工可能とする。

【解決手段】金属製板状体1の内部に形成される略平板状の空間内にスペーサ2を配設し、該スペーサ2を厚肉領域と薄肉領域とを有する構成とする。そして、真空引き時、該薄肉領域で、金属製板状体1の内面が接触することを防止すると共に、後加工で所望形状に変形可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製板状体の内部に形成される略平板状の空間内にスペーサを配設し、該スペーサを厚肉領域と薄肉領域とを有する構成とし、真空引き時、前記薄肉領域で、金属製板状体の内面が接触することを防止すると共に、後加工で所望形状に変形可能としたことを特徴とする真空断熱体。
【請求項2】 前記金属製板状体は、0.05〜0.5mmのほぼ均一な厚さを有し、真空引き後、スペーサの薄肉領域に於ける全体厚さが0.15〜4mmとなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱体。
【請求項3】 前記金属製板状体の内部空間を真空引きするための排気部は、真空引き後に切除可能に構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空断熱体。
【請求項4】 前記排気部は、金属製板状体の縁部からの延設部分に形成し、金属製板状体内に配設したスペーサへの真空引き用の通路は、延設部分の対向面のうち、少なくともいずれか一方に形成した凸部、凹部又はその両方により構成したことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の真空断熱体。
【請求項5】 前記排気部の切除後であっても内部空間を真空に維持するために形成した溶接部の近傍に、溶接時の発熱で活性化するゲッターを配設したことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の真空断熱体。
【請求項6】 前記金属製板状体とスペーサとの間に、金属箔を配設したことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の真空断熱体。
【請求項7】 前記金属製板状体は、1枚の金属製平板を折り曲げ、その間にスペーサを配設した後、縁部を溶接することにより内部空間を密封してなる構成としたことを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の真空断熱体。
【請求項8】 内外に配設した略筒状の金属製薄板の間にスペーサを配設し、該スペーサの所望領域を他の領域よりも薄肉とし、真空引き時、該薄肉領域で、金属製板状体の内面が接触することを防止すると共に、後加工で内側に折り曲げ可能としたことを特徴とする真空断熱体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空断熱体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、真空断熱構造を備えたものとして次のようなものが提案されている。
【0003】すなわち、特開平11−11454号公報には、箱状部にスペーサを配設し、外板で蓋をし、気密溶接後に内部を真空引きした金属製容器が記載されている。
【0004】また、特開昭61−241595号公報には、第1パネル面材に凹部を形成し、この凹部に充填材を充填した後、第2パネル面材を一体化し、気密溶接後に内部を真空引きした真空断熱パネルが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の構成では、箱形状以外には加工不可能であり、汎用性に乏しい。また、後加工が不可能であり、使用用途の制限が非常に大きい。
【0006】また、後者の構成では、後加工は可能ではあるが、せいぜい切り離したり、略円筒状とする等の限られた範囲内での変形に過ぎない。
【0007】そこで、本発明は、必要に応じて所望領域を後加工可能な真空断熱体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するための手段として、真空断熱体を、金属製板状体の内部に形成される略平板状の空間内にスペーサを配設し、該スペーサを厚肉領域と薄肉領域とを有する構成とし、真空引き時、前記薄肉領域で、金属製板状体の内面が接触することを防止すると共に、後加工で所望形状に変形可能な構成としたものである。
【0009】この構成により、スペーサの薄肉領域であれば、所望形状に変形させることができるため、配設スペースや用途に対して柔軟に対応することが可能となる。
【0010】前記金属製板状体は、0.05〜0.5mmのほぼ均一な厚さを有し、真空引き後、スペーサの薄肉領域に於ける全体厚さが0.15〜4mmとなるように構成すればよい。
【0011】前記金属製板状体の内部空間を真空引きするための排気部は、真空引き後に切除可能に構成すると、より一層容易な後加工が可能となる点で好ましい。
【0012】前記排気部は、金属製板状体の縁部からの延設部分に形成し、金属製板状体内に配設したスペーサへの真空引き用の通路は、延設部分の対向面のうち、少なくともいずれか一方に形成した凸部、凹部又はその両方により構成してもよい。
【0013】前記排気部の切除後であっても内部空間を真空に維持するために形成した溶接部の近傍に、溶接時の発熱で活性化するゲッターを配設すると、溶接と同時に内部空間の真空度を高めることができる点で好ましい。
【0014】前記金属製板状体とスペーサとの間に、金属箔を配設すると、より一層断熱性等を高めることが可能となる点で好ましい。
【0015】前記金属製板状体は、1枚の金属製平板を折り曲げ、その間にスペーサを配設した後、縁部を溶接することにより内部空間を密封してなる構成とすると、加工性を高めることが可能となる点で好ましい。
【0016】また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、真空断熱体を、内外に配設した略筒状の金属製薄板の間にスペーサを配設し、該スペーサの所望領域を他の領域よりも薄肉とし、真空引き時、該薄肉領域で、金属製板状体の内面が接触することを防止すると共に、後加工で内側に折り曲げ可能な構成としたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。図1は、本実施形態に係る真空断熱体を示す。この真空断熱体は、金属製板状体1の内部に形成される略平板状の内部空間に、略同形状のスペーサ2、金属箔3及びゲッター材4を配設し、真空引きした構成である。
【0018】金属製板状体1は、2枚の金属製薄板1a,1bを重ね合わせ、あるいは、1枚の金属製薄板1cを2つ折りにすることにより形成される。金属製薄板1a,1b,1cには、板厚が0.05mmから0.5mmのステンレス、鉄、チタン等が使用できる。金属製薄板1a,1b,1cの外縁は、スペーサ2が収容された後、シーム溶接等の圧着接合方法、TIG溶接等の突き合わせ溶接、MIGブレージング等によって接合される。1枚の金属製薄板1cを2つ折りにすれば、接合範囲が少なくて済む。金属製板状体1の角部の後加工で切除される領域(スペーサ2が1枚だけ位置する領域)には排出部5が形成される。排出部5は、開口部を形成するだけでもよいし、チップ管を接合した構成であってもよい。開口部であれば、真空引き後、ガラスロウ材等によって熱封止すればよい。この場合、排出部5は後加工で切除することなく、そのまま使用することも可能である。
【0019】スペーサ2には、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の織布又は不織布、あるいは、マイカ板等を使用できる。ここでは、非圧縮状態で0.1から15.0mmの厚みを有するスペーサ2を複数枚重ねて使用する。重ね合わせたスペーサ2のうち、1枚は他のスペーサ2に比べて大判のものを使用することにより、後加工で変形を希望する領域(図1では、側縁部)まで延在させる。なお、前記スペーサ2には、内部空間の真空度を高めるために、不織布を使用するのが好ましい。また、真空引き時に加熱(例えば、450℃)しても損傷しないような、例えば、セラミック材料を使用するのが好ましい。
【0020】金属箔3には、厚さ5〜20μmの銅又はアルミ製のものが使用できる。
【0021】ゲッター材4は、真空引き後に内部空間に発生するガス等を吸収し、所望の真空度を維持するために使用される。ジルコニウムを主成分とし、約250℃以上の温度で活性化する高温活性化型のものを使用するのが好ましい。
【0022】続いて、前記真空断熱体の製造方法について説明する。まず、金属製板状体(2枚の金属製薄板1a,1b、あるいは、2つ折りした金属製薄板1c)の間に、複数枚重ね合わせたスペーサ2、金属箔3及びゲッター材4を配設し、外縁部をシーム溶接等で接合する。そして、予めチップ管等により金属製板状体1の角部に形成した排出部5を介して内部空間を真空引きする。その後、排出部5を封止して排出部5の近傍(図1中、1点鎖線で示す。)を接合し、その外縁側(図1中、2点鎖線で示す。)で排出部5を切除することにより、真空断熱体を完成する。この結果、真空断熱体の側縁部の肉厚を、0.15〜4mm、好ましくは、0.15〜2mmに抑えることができ、後加工による変形を容易に行うことが可能となる。
【0023】このようにして完成した真空断熱体では、複数枚のスペーサ2を重ね合わせた領域(厚肉領域)では、金属製板状体1を含めた全体の厚さが約10mm程度となり、一般に使用されている真空断熱パネルと同様な断熱性能を有する。また、1枚のスペーサ2のみが位置する領域(薄肉領域)では、対向面の距離は僅かであるが、スペーサ2の存在により互いに接触することなく、所定の真空度を維持し、次の断熱性能試験から、実用に供する所定の断熱性能を有することが分かった。すなわち、断熱性能試験は、20℃の雰囲気中において、真空断熱体の下面中央部に100℃の水蒸気を当てた状態で、上面中央部での温度を測定することにより行った。その結果は、図4のグラフに示す通りである。このグラフから明らかなように、本実施形態に係る真空断熱体によれば、真空引きしていないものに比べて格段の優れた断熱性能を発揮し、十分に実用性のあることが分かった。また、厚みが3.1mmであれば、それ以上の厚みを有するものとそれ程断熱性能に差がないことが分かった。さらに、厚さが2mm以下の、例えば0.8mmのものでは、3.1mmのものに比べて若干断熱性能は劣るが、後加工しやすく、狭い領域であっても余裕を持って配設することが可能であった。さらにまた、95℃の雰囲気中に6日間放置することを繰り返す、いわゆるエイジング(aging)試験を行ったところ、断熱性能が維持され、電気ポット等の高温環境で使用する場合にも何等問題のないことが分かった。
【0024】前記真空断熱体によれば、薄肉領域の範囲を広めに設定し、ジグザグに折り曲げる等、配設スペースに応じて自由に大きさを変更することができる。また、冷蔵庫、電気温水器、自動販売機等に使用する場合、図5に示すように、真空断熱体を各側面に配設し、各コーナーで側縁部が互いに重なるように配設することにより、保温性能をそれ程悪化させることなく対応することができる。
【0025】なお、前記実施形態では、金属製板状体1に略矩形状のものを使用したが、三角形等であってもよく、その形状は用途に応じて自由に得ることができる。
【0026】また、図7に示すように、金属製板状体1の縁部を延在した部分に排出部5を設ければ、切除後、矩形状等の利用しやすい形状とすることができる点で好ましい。この場合、金属製板状体1内に配設したスペーサ2への真空引き用の通路は、延設部分の対向面のうち、少なくともいずれか一方に形成した凸部、凹部又はその両方により構成すればよい。
【0027】また、前記実施形態では、略平板状から後加工により所望の形状を得るようにしたが、図6に示すように、予め略筒状に形成しておくことも可能である。
【0028】すなわち、用途に応じて円筒や角筒(4角に限らない。)に形成したサイズの異なる筒体を内外に配設し、その間に形成される空間にスペーサ2を収容する。そして、上下縁部を接合した後、予め下端部に設けた排出部5を介して内部空間を真空引きする。これにより、用途が電気ポットや電気温水器等の特定のものに限られていれば、後加工を必要とすることもなく、そのまま採用することが可能である。この場合、上方又は下方開口部の少なくともいずれか一方に薄肉領域を形成することにより、この領域を内側に向かって折り曲げて電気ポット等の胴部のみならず、上面又は下面の保温をも行うことが可能となる。なお、前記排出部5は、前記同様、その近傍を接合した後、切除することが可能である。
【0029】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、金属製板状体の内部空間に配設するスペーサの所望領域を他の領域よりも薄肉としたので、後加工により、この薄肉領域を変形させることが可能となる。しかも、薄肉ではあっても、スペーサの存在により、変形させても、金属製板状体の対向内面が互いに接触することがなく、真空状態に維持することができる。
【0030】また、金属製板状体の内部空間を真空引きするための排気部は、真空引き後に切除可能に構成したので、後加工する際、排気部のない略平板状の部分のみを取り扱えばよく、より一層加工性を高めることが可能となる。
【0031】また、前記排気部は、金属製板状体の縁部からの延設部分に形成し、金属製板状体内に配設したスペーサへの真空引き用の通路は、延設部分の対向面のうち、少なくともいずれか一方に形成した凸部、凹部又はその両方により構成したので、スペーサのない領域で溶接することができる。
【0032】また、前記排気部の切除後であっても内部空間を真空に維持するために形成した溶接部の近傍に、溶接時の発熱で活性化するゲッターを配設したので、ゲッターを活性化させるための工程を省略でき、加工性を高めることが可能となる。
【0033】また、前記金属製板状体とスペーサとの間に、アルミ箔や銅箔等の金属箔を配設したので、より一層保温性を高めることが可能となる。
【0034】また、前記金属製板状体は、1枚の金属製平板を折り曲げ、その間にスペーサを配設した後、縁部を溶接することにより内部空間を密封してなる構成としたので、溶接時間を短縮して加工効率を高めることが可能となる。
【0035】また、内外に配設した略筒状の金属製薄板の間にスペーサを配設し、該スペーサの所望領域を他の領域よりも薄肉とし、真空引き時、該薄肉領域で、金属製板状体の内面が接触することを防止すると共に、後加工で内側に折り曲げ可能としたので、特定用途に適した構成を簡単に得ることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開2001−311497(P2001−311497A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−129781(P2000−129781)