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【発明の名称】 集合住宅における雑排水管の更生方法
【発明者】 【氏名】星川 勤

【氏名】石澤 朝裕

【要約】 【課題】集合住宅における雑排水管を更生するに当たって、雑排水管の内部に異物が引っかかったり堆積物が付着し易いような段差または継ぎ目部分をなくすと共に、更生作業を効率よく行うことができるようにすること。

【解決手段】建築物内に配管された立て主管と該立て主管から継手部を介して分岐した複数の横枝管とからなる排水管を更生するものであって、該排水管内部を乾燥させる乾燥工程と、該排水管内部に付着しているスケール、油脂成分を含む汚れの堆積物を除去し清掃する研磨工程と、前記立て主管を無溶剤型の二液性エポキシ樹脂にて管内面に所定厚さの塗膜を形成する工程とを含み、前記横枝管は、各横枝管の経路毎に端末側から無溶剤型二液性エポキシ樹脂を一括して投入し、該投入された無溶剤型二液性エポキシ樹脂は、圧縮空気を送気し変成スラグ環状流として分岐点近傍まで流動させて塗膜を形成し、その形成された塗膜をサギングさせて管内面に管内形状に対応した樹脂製内管を形成する集合住宅における雑排水管の更生方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 建築物内に配管された立て主管と該立て主管から継手部を介して分岐した複数の横枝管とからなる排水管を更生するものであって、該排水管内部を乾燥させる乾燥工程と、該排水管内部に付着しているスケール、油脂成分を含む汚れの堆積物を除去し清掃する研磨工程と、前記立て主管を無溶剤型の二液性エポキシ樹脂にて管内面に所定厚さの塗膜を形成する工程とを含み、前記横枝管は、各横枝管の経路毎に端末側から無溶剤型二液性エポキシ樹脂を一括して投入し、該投入された無溶剤型二液性エポキシ樹脂は、圧縮空気を送気し変成スラグ環状流として分岐点近傍まで一気に流動させて塗膜を形成し、その形成された塗膜をサギングさせて管内面に管内形状に対応した樹脂製内管を形成することを特徴とする集合住宅における雑排水管の更生方法。
【請求項2】 塗膜をサギングさせた後に、硬化促進のために熱風または乾燥空気を送気させて加温する請求項1に記載の集合住宅における雑排水管の更生方法。
【請求項3】 圧縮空気の送気は、変成スラグ環状流が分岐点近傍へ到達したか否かを検知して制御する請求項1に記載の集合住宅における雑排水管の更生方法。
【請求項4】 変成スラグ環状流の到達検知は、塗料投入側および/または立て主管側の圧力変動を検知して行う請求項1または3に記載の集合住宅における雑排水管の更生方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集合住宅等の建築物内に配設された立て主管と、該立て主管から継手部を介して分岐した複数の横枝管を含む既設雑排水管の内部に、連続した樹脂製内管を形成して雑排水管を更生する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種の雑排水管に関する更生方法としては、例えば、特開平11ー156272号公報に開示された管の内面をライニングして更生させるものが従来例として公知である。
【0003】この従来例の技術は、配管内部を回転しながら移動するブラシ状の回転塗布具を用いると共に、該回転塗布具と一緒に移動するライニング剤の供給ホースを用い、これらを一緒にして更生しようとする配管の一端側から他端側まで挿入し、供給ホースからライニング剤を吐出させながら供給ホースを引き出し、移動する回転塗布具のブラシで吐出されたライニング剤を順次配管内面に塗り付けて塗布し、その塗布後に、管内径よりも小径のピグと称するボールを一端側からエアーにより管内面に吹き込んで転動させ、先に塗布されたライニング剤を押し伸ばして表面を平坦化し、管内面に所定厚の塗膜を形成するものである。
【0004】また、ピグと称するボールは回転塗布具の後方に連結して引きずられるようにし、回転塗布具でライニング剤を塗布した直後に、その塗布ライニング剤をボールによって引き伸ばすことで表面を平坦化し、管内面に所定厚の塗膜を形成するというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来例の更生方法によれば、ブラシ状の回転塗布具は、ナイロンブラシをフレキシブルシャフトによって電動モータの駆動軸に連結したものであって、ライニングの対象とする排水管は、立て主管から分岐した横枝管であるが、ライニング剤を供給ホースで供給しながらナイロンブラシで塗布することから、供給ホースの引き出し速度とライニング剤の供給量とをキチット調整し且つ回転ブラシの移動とをマッチさせなければならないので、作業手順に時間がかかり、しかも、可使時間が長くて粘性の低いライニング剤を使用しないとナイロンブラシでの塗布が困難であるという問題点を有している。
【0006】また、この従来例におけるライニング剤の塗布は、管内面に対する塗膜厚さを均一にしようとするために、回転ブラシとボールとで行うものであるが、例えば横枝管の分岐点部分にクラックがあったり腐食孔があいていたりすると、却って均一に塗布しようとする動作によって、そのクラックや腐食孔を充分に埋めることができないという問題点を有している。
【0007】従って、前記従来例においては、厚手の塗膜を形成させるために、可使時間が短くて且つ粘性の高いライニング剤を使用してもライニング作業ができるようにすること、及び分岐点部分に発生しているクラックや腐食孔を充分に埋めることができるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、建築物内に配管された立て主管と該立て主管から継手部を介して分岐した複数の横枝管とからなる排水管を更生するものであって、該排水管内部を乾燥させる乾燥工程と、該排水管内部に付着しているスケール、油脂成分を含む汚れの堆積物を除去し清掃する研磨工程と、前記立て主管を無溶剤型の二液性エポキシ樹脂にて管内面に所定厚さの塗膜を形成する工程とを含み、前記横枝管は、各横枝管の経路毎に端末側から無溶剤型二液性エポキシ樹脂を一括して投入し、該投入された無溶剤型二液性エポキシ樹脂は、圧縮空気を送気し変成スラグ環状流として分岐点近傍まで一気に流動させて塗膜を形成し、その形成された塗膜をサギングさせて管内面に管内形状に対応した樹脂製内管を形成することを特徴とする集合住宅における雑排水管の更生方法を提供するものである。
【0009】また、本発明においては、塗膜をサギングさせた後に、硬化促進のために熱風または乾燥空気を送気させて加温すること;圧縮空気の送気は、変成スラグ環状流が分岐点近傍へ到達したか否かを検知して制御すること;及び変成スラグ環状流の到達検知は、塗料投入側および/または立て主管側の圧力変動を検知して行うこと;を付加的な要件として含むものである。
【0010】本発明においては、雑排水管の内面に連続形状の樹脂製内管を形成したことにより、異物の引っ掛かりまたは堆積が減少し、速やかな排水ができると共に、分岐部を含む管全体における腐食進行が防止されて長期に使用できるのである。
【0011】また、特に、横支管において、立て主管との継手部にクラックまたは腐食孔があいていても、サギングによってそれらクラックまたは腐食孔を埋めて漏水が防げ、且つ強度的に優れた堆積物が生じにくい樹脂製内管が得られるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明を図示の実施例により更に詳しく説明する。図1はマンション等の集合住宅における一部の雑排水管の状況を略示的に示したものであり、その雑排水管1は、伸張通気管を含む立て主管2が最上階の屋上から地下まで配設され、その下端部は外部排水のために横主管3が配管されている。そして、その立て主管2に対して各階における個別の住宅毎、あるいは、図示していないが結合通気連結部毎に、TY継ぎ手等の継手部4を介して分岐した横枝管5または通気管が配管されている。
【0013】各個別の住宅においては、分岐した横枝管5に対して流し台6が排水トラップ7を介して接続されている。その他に、各個別の住宅においては、風呂、洗濯機及び洗面台用の排水管も別個に配管されている場合があるが、これらの排水管を含めて更生する方法である。
【0014】排水には油汚れや種々雑多の汚れ成分・異物が多く、流し台6が接続された雑排水管1は、立て主管2と分岐した横枝管5の内面にスケールの付着や油脂成分を含む汚れの堆積物が付着し、排水の流れを阻害すると共に、排水管の部所によっては、特に、継手部4の近傍が腐食して腐食孔が開いたりクラックが生じたりしている場合がある。
【0015】このような状況にある雑排水管1の再生を行う場合には、まず、雑排水管1の内部を清掃する必要がある。この場合の清掃は、雑排水管内部の堆積物の付着の程度、即ち汚れの程度によって、予備的に、その清掃工程が選択される。汚れの程度が著しい場合には、従来から行われている管洗浄装置(例えば、特開平9−29192号公報)を用いて、回転するボールと高圧洗浄水の噴射とによって大半の堆積物を除去し、その除去後に、例えば、温風または熱風を送気して雑排水管1の内部を加温・乾燥させ、続いて圧縮空気によって砂状物質を通過させることにより研磨工程を遂行し、脱落し難いスケールも除去し、その後に砂状物質を混入しない圧縮空気を導入して全体的に清掃した状態にする。
【0016】また、汚れの程度が少ない場合(通常の場合)には、まず、温風または熱風を送気して雑排水管内部の堆積物を適度に乾燥させ、続いて、圧縮空気によって砂状物質を通過させることにより研磨工程を遂行し、脱落し難いスケールを含む乾燥した堆積物を除去し、その後に圧縮空気のみを導入して清掃するのである。いずれの研磨工程においても、圧縮空気に対する砂状物質の供給は、連続または断続的に行われ、且つ研磨工程は一方向または往復で行われるものである。
【0017】このように内部が清掃された状態の雑排水管1において、まず、立て主管2のライニングについては、伸張通気管を含む立て主管2はその上端が最上階の屋上から下端が地下の横主管3まで配管されており、下端の横主管3側からライニングを行うものである。なお、このライニングの仕方は、先になした特許出願2000−29084号の出願明細書及び図面に記載された手段がそのまま適用できるものである。
【0018】そこで、横枝管5から継手部4までの塗装について図2〜図4を用いて説明する。横枝管5の端部に接続されている排水トラップ7を外した後に、例えば、作業管10等を取り付け、該作業管10に所定量の無溶剤型二液性エポキシ樹脂塗料を投入する。この場合の投入量は、予め横支管5の径と長さに基づいて塗膜厚さを算出した量に、更に3〜5割程度多く加えた量であり、且つ使用時のTi値が5以下で可使時間の比較的短いものである。
【0019】なお、供給される樹脂塗料は、例えば、無溶剤型のエポキシ樹脂系の塗料であり、一例として特開平9−183941号公報に記載されたものが使用できる。また、投入量を多くする理由は、配管を繋いだ段差部或はTY継手における継手部4、及びその近傍の腐食した腐食孔またはクラック部分を埋めるために多くとられたりすることで、余分な塗料が必要になるからである。
【0020】この一括して投入された塗料は、圧縮空気を供給することによって作業管10から一気に押し出される。即ち、コンプレッサー等の圧縮空気生成装置11からバルブ12及び圧力計13を介して設定された圧力及び流速の圧縮空気が作業管10に供給され、該圧縮空気によって作業管10の内部にある塗料が一気に押し出されるのである。
【0021】この場合に、圧縮空気の流速は例えば略30〜80m/secの範囲であり、圧縮空気で押し出された塗料は、変成スラグ流となって流動し一気に継手部4の近傍にまで達し(図2参照)、その変成スラグ流の先端部が弾け更に環状流となって継手部4に達する(図3参照)。このように塗料が流動した後の横支管5の内壁面には所定厚さの塗膜14が形成される。なお、使用される塗料の粘度によって圧縮空気の流量・流速が選択される。
【0022】圧縮空気によって押し出された塗料が、継手部4に達したか否かの検出は、塗料供給側における圧縮空気流の圧力変動によって検出できる。即ち、一気に変成スラグ流として一括して押し出された塗料は、管の内壁面に付着して徐々にその量が少なくなって、変成スラグ流から環状流に変化したとき、つまり、変成スラグ流の先端が弾けた時に圧縮空気流の圧力変動が生じ、その圧力変動波形を検出することにより塗料の到達が検出できるのである。
【0023】また、検知手段としては、その他に、例えば、立て主管2側の端部近傍に所定の圧力計を設けておき、横枝管5の塗装工程で、変成スラグ流の先端が弾けた時に立て主管2の内部に圧力変動が生じ、その圧力変動波形を検出することによっても検知することができる。従って、立て主管2及び横枝管5の両方で圧力検知を行うことで二重のチェックができるのである。
【0024】このように塗料の到達検知を行って、塗料が横枝管5から継手部4に到達したことを検知し、バルブ12を制御して圧縮空気の送出を弱める方向で調整し、環状流が一気に立て主管2側に吹き抜けないようにする。つまり、圧縮空気流の圧力及び流量を抑制することで、塗料の環状流がゆっくりと立て主管2に達することになり、継手部4の部分には比較的厚手の塗膜14aが形成される。なおバルブ12は、手動でも自動でも制御できるのである。
【0025】圧縮空気流の圧力及び流量・流速の抑制は、初期の値から略10〜20%程度軽減するものであり、それによって塗料は環状流を維持しながらその流速が遅くなるだけであり、継手部4において厚手の塗膜14aとなるのである。そして、その抑制する時間は数分であり、その後は塗料が流動しない程度の更に弱い空気流を流し続ける。
【0026】この状態で厚手に形成された塗膜14aは、サギング (Sagging)現象を起こし、継手部4において発生しているクラックや腐食孔等に入り込んでそれらを効果的に埋めるのである。また、仮に、クラックや腐食孔が少ない場合でも、それらを埋めると共に、腐食などが生じないように予防的に厚手の塗膜を形成した方が良いのである。
【0027】所定の時間(5分以内)サギングを行わせた後に、塗膜14の硬化促進を図るために、横支管5内に加熱空気(温風)を送気させる。この加熱空気の送気においても塗膜14が流動しない範囲で行い、好ましくは加熱空気と冷気(室温)とを交互に送気した方が良い。このようにして、横支管5の長さ全体に渡って連続形状の樹脂内管を形成できるのである。そして、更生の作業、即ち、乾燥工程、研磨(清掃)工程及び塗装工程が容易で且つライニング時間が短縮されるので、仮設排水配管を行うことなく同日施工(更生)が可能になるのである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る集合住宅における雑排水管の更生方法は、建築物内に配管された立て主管と該立て主管から継手部を介して分岐した複数の横枝管とからなる排水管を更生するものであって、該排水管内部を乾燥させる乾燥工程と、該排水管内部に付着しているスケール、油脂成分を含む汚れの堆積物を除去し清掃する研磨工程と、前記立て主管を無溶剤型の二液性エポキシ樹脂にて管内面に所定厚さの塗膜を形成する工程とを含み、前記横枝管は、各横枝管の経路毎に端末側から無溶剤型二液性エポキシ樹脂を一括して投入し、該投入された無溶剤型二液性エポキシ樹脂は、圧縮空気を送気し変成スラグ環状流として分岐点近傍まで流動させて塗膜を形成し、その形成された塗膜をサギングさせて管内面に管内形状に対応した樹脂製内管を形成するものであって、サギングにより分岐点の継手部における腐食孔、クラック等を埋めて漏水が防止できる樹脂製内管が形成できると共に腐食進行が防止されて長期に使用できるという優れた効果を奏する。
【0029】また、構成しようとする配管に無溶剤型二液性エポキシ樹脂を一括して投入し圧縮空気を供給して変性スラグ環状流として流動させることで塗膜を形成し、その塗膜を乾燥して連続形状の樹脂製内管を形成するので、異物の引っ掛かりまたは堆積が減少し、速やかな排水ができると共に、ライニングによる更生作業の施工が同日で行えるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】393011407
【氏名又は名称】日本設備工業株式会社
【出願日】 平成12年3月1日(2000.3.1)
【代理人】 【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功 (外1名)
【公開番号】 特開2001−241593(P2001−241593A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−55669(P2000−55669)