| 【発明の名称】 |
ベンド管およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】越賀 博
【氏名】西村 信一
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| 【要約】 |
【課題】従来のベンド管における性能上の問題、加工上の問題、製造コスト上の問題を解決した耐摩耗性に優れたベンド管及びその製造方法を新しく提供することを課題とする。
【解決手段】上記の課題は、入口11と出口12とを有し、入口および出口を連通する内面を備えた湾曲する管体から成るベンド管であって、この管体は、管体の中心軸を含む平面に対して垂直で、しかも管体の中心軸に沿っており、さらに入口11および出口12を横断しないように広がる曲面によって2分割されていて、入口11および出口12のうちの少なくとも一方を有する第一分割部2と、第二分割部3とから成り、管体の内面のうちの少なくとも外側に湾曲する部分には、自溶合金を溶射溶着することによって耐摩耗性溶着層4が形成されており、この耐摩耗性溶着層を形成した後に、第一分割部2と第二分割部3とを会合して溶接接合されていることを特徴とするベンド管とすることによって解決される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入口と出口とを有し、前記入口および前記出口を連通する内面を備えた湾曲する管体から成るベンド管であって、前記管体は、前記管体の中心軸を含む平面に対して垂直で、しかも前記管体の中心軸に沿っており、さらに前記入口および前記出口を横断しないように広がる曲面によって2分割されていて、前記入口および前記出口のうちの少なくとも一方を有する第一分割部と、第二分割部とから成り、前記管体の内面のうちの少なくとも外側に湾曲する部分には、自溶合金を溶射溶着することによって耐摩耗性溶着層が形成されており、前記耐摩耗性溶着層を形成した後に、前記第一分割部と前記第二分割部とを会合して溶接接合されていることを特徴とするベンド管。 【請求項2】 前記第一分割部は、外側に湾曲しており、しかも前記入口と前記出口の両方を有していることを特徴とする請求項1に記載のベンド管。 【請求項3】 さらに、前記入口及び前記出口のうち少なくとも前記入口の縁端部にも前記耐摩耗性溶着層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベンド管。 【請求項4】 入口と出口とを有し、前記入口および前記出口を連通する内面を備えた湾曲する管体から成るベンド管の製造方法であって、前記管体を、前記管体の中心軸を含む平面に対して垂直で、しかも前記管体の中心軸に沿っており、さらに前記入口および前記出口を横断しないように広がる曲面によって切断して、前記入口および前記出口のうちの少なくとも一方を有する第一分割部と、第二分割部とに分離し、前記管体の内面のうち少なくとも外側に湾曲している部分に、自溶合金を溶射溶着することによって耐摩耗性溶着層を形成し、しかる後に、前記第一分割部と前記第二分割部とを会合させて溶接することを特徴とするベンド管の製造方法。 【請求項5】 前記第一分割部は、外側に湾曲しており、しかも前記入口と前記出口の両方を有していることを特徴とする請求項4に記載のベンド管の製造方法。 【請求項6】 さらに、前記入口及び前記出口のうち少なくとも前記入口の縁端部にも前記耐摩耗性溶着層が形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のベンド管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管製ベンド管の内面に、自溶合金を溶射溶着することにより耐摩耗性溶着層を形成させたベンド管、さらに詳しくは、中径管以下のベンド管に関するものである。本発明によるベンド管は、合成樹脂ペレットを搬送するパイプラインなどの産業分野での使用に適している。 【0002】 【従来の技術】従来、粉粒体やスラリーを輸送するパイプラインに使用されるベンド管は、耐摩耗性向上のため様々な対策がとられてきた。すなわち、古くからベンド管内面に耐摩耗性金属を肉盛溶接する方法がある。しかし、この方法は、大口径ベンド管では比較的容易に内面への肉盛溶接ができるものの、口径が15cm以下の中小口径のベンド管では、内面への肉盛溶接が不可能である。そこで、中口径以下のベンド管では、内面への肉盛溶接を容易にするため、例えば図4に示す方法がある。この方法は、管体1をその曲率円の中心方向に切断して、いくつかの横割りされた分割部(21、22…)をつくり、得られた分割部の内面に耐摩耗性金属を肉盛溶接した後、切断面を再び合せ溶接接合して一体化する方法をとっている。しかしながら、この方法では、外側に湾曲する管体の内面にも溶接接合個所ができる。この溶接部の内面での耐摩耗性金属肉盛層は一体化が不十分であったり、段差ができるなどしている。しかも、この外側に湾曲する管体の内面は、ベンド管を通過する物体が最も激しく衝突する部分である。従って、ここに溶接部が形成されると、ここから摩耗が進行するので、ベンド管の寿命を十分に延長できない。また、多数の分割部を一体化するための溶接個所が多くなると、製造コストも高くなるなどの問題がある。一方、例えば図5に示すように、管体1を中心軸を含む平面に垂直で、しかもその中心軸を含む曲面に沿って切断し、2つの分割部に分離し、これらの分割部の内面に耐摩耗性金属を肉盛溶接した後、これらの分割部を会合させて溶接して一体化する方法がある。しかし、この方法は、耐摩耗性金属を肉盛溶接することにより大きな変形を生じ、元の形状に復元するのに非常な加工手間を要する。さらに、端部が真円になっていないので、フランジ取付が困難であるなどの問題がある。また、管体の中心軸を含む平面で、管体を分割する方法もある。しかしながら、この方法で得られたベンド管には、外側に湾曲する部分に溶接部が形成されるので、ベンド管の耐摩耗性を十分に向上することはできないという問題がある。 【0003】このような問題を回避するため、ベンド鋼管を切断しないで、例えば特公昭62−4598では、図6に示すように、湾曲する管体1の外側に溶接または鋳かけ等により耐摩耗性金属の硬化肉盛層25を形成し、さらに、この硬化肉盛層を強化プラスチックからなる被覆層で覆う方法が開示されている。この方法では、外側から耐摩耗性金属の肉盛溶接等を行うため、上記の内面への肉盛溶接上の問題は解消される。しかしながら、この方法で得られたベンド管の内面には、硬さの低いベンド管素材があるため、初期摩耗が激しく、その時に発生する摩耗粉などが、その中を通過する粉粒体やスラリー等に混入する。このため、輸送する物質によっては、汚染が問題となることがある。さらに、この方法では、硬化肉盛層の外側に強化プラスチックの保護層が必要なため、その加工に手間を要するなどの問題がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来の耐摩耗性ベンド管では、上記従来の技術で記載したとおり、ベンド管の性能上の問題、加工上の問題、製造コスト上の問題などがある。そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記の問題を全て解決した耐摩耗性に優れたベンド管及びその製造方法を新しく提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題を解決するため種々検討を重ねた結果、入口および出口を有し、前記入口と前記出口とを連通する内面を備えた湾曲する管体から成るベンド管であって、前記管体は、前記管体の中心軸を含む平面に対して垂直でしかも前記管体の中心軸を含み前記入口および前記出口を横断しない曲面に沿って切断して分離されていて、前記入口および前記出口のうちの少なくとも一方を有する第一分割部と、第二分割部とから成り、少なくとも外側に湾曲する前記管体の内面には、自溶合金を溶射溶着することによって耐摩耗性溶着層が形成されており、前記耐摩耗性溶着層を形成した後に、前記第一分割部は前記第二分割部と会合して溶接されていることを特徴とするベンド管とすることによって解決できることを見いだした。 【0006】また、上記の第一の分割部は、外側に湾曲しており、しかも入口と出口の両方を有していることが好ましい。さらに、上記の耐摩耗性溶着層は、少なくとも入口の縁端部にも形成されていることが好ましい。以下に本発明をさらに詳細に説明する。 【0007】図1は本発明の一実施例によるベンド管の製造方法を示す図である。まず、図1(a)に示すように、入口11および出口12を有し、この入口と出口とを連通する内面を備えた湾曲する管体1を用意する。なお、本発明においては、この管体は、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼など自溶合金を溶射溶着することにできる材料であれば、如何なる材料から構成されていてもよい。 【0008】次に、図1(b)に示すように、管体1を、湾曲する管体の中心軸13を含む平面に対して垂直で、しかも管体の中心軸13に沿っており、さらに入口11および出口12を横断しないように広がる曲面に沿って切断する。これによって、管体1は、外側に湾曲する分割部2と、内側に湾曲する分割部3とに分離される。これら分割部2及び3の内面に対して、後述する好適な溶射角度で自溶合金を溶射することができる。上記の曲面は、管体の中心軸13を含む平面に対して垂直であり、しかも管体の中心軸13を含んでいるので、本発明によるベンド管は、管体の内面のうちの最も激しい摩耗部分である外側に湾曲した部分には溶接部が形成されない。また、上記の曲面は、管体1の入口11および出口12を横断しないので、管体の入口及び出口の近傍には溶接部が形成されない。 【0009】ここで、本発明に従って管体1を切断すると、管体1は以下のいずれかの形態で分割されている。 (1)入口11および出口12の両端部を有する外側に湾曲する分割部2と、内側に湾曲する分割部3(図2(b1)) (2)外側に湾曲する分割部2と、入口11および出口12の両端部を有する内側に湾曲する分割部3(図2(b2) (3)入口11を有する外側に湾曲する分割部2と、出口12を有する内側に湾曲する分割部3(図2(b3)) (4)出口12を有する外側に湾曲する分割部2と、入口11を有する内側に湾曲する分割部3(図2(b4)) 本発明は、上記のいずれの場合であっても所期の目的を達成することができるが、好ましくは、図2(b1)又は図2(b3)のように分割することが好ましく、更に好ましくは図2(b1)のように分割することが好ましい。 【0010】本発明においては、入口11および出口12を含む端部の長さは特に限定されないが、好ましくは、この端部の長さは、管体の内径の1/2〜2倍になっている。これによって、後述する好適な溶射角度で自溶合金を溶射することができる。 【0011】次に、外側に湾曲した分割部2および内側に湾曲した分割部3の内面に、自溶合金を溶射溶着することによって耐摩耗性溶着層4を形成する。 【0012】自溶合金の溶射溶着層の形成方法は、通常、母材となる鉄鋼素材面に、ガスフレーム溶射機またはプラズマ溶射機を用い、自溶合金粉末を溶射し、溶射皮膜を形成させる溶射工程と、その後、溶射皮膜の溶融温度まで該皮膜および母材を加熱して、皮膜内の気孔が消滅して、緻密化し、かつ母材と冶金的に結合した自溶合金の溶着層を形成させる溶着工程からなる。本発明では、この方法を用いているので、自溶合金溶着層を形成する際に生じる変形を極めて小さくすることができる。また、自溶合金溶着層は耐摩耗・耐食性に優れ、その厚さは均一で、表面も平滑であるので、ベンド管内面に均一かつ平滑な耐摩耗性溶着層を形成することができる。 【0013】本発明では、前記のとおり管体を外側に湾曲した分割部と内側に湾曲した分割部とに分割してあるので、この切割により作られた開放口から自溶合金を溶射することができる。健全な溶射皮膜を形成するためには、通常10〜25cmの長さの溶射距離を必要とし、かつ母材面に対して垂直方向から45°以内の溶射角度で溶射を行う必要があるが、この条件を満たす溶射距離および溶射角度でこれらの分割部内面に自溶合金を溶射することができる。本発明で使用する自溶合金粉末は市販品の中から選択できる。好適な自溶合金粉末としては、0〜20%のCr、2〜4%のB、2.5〜5%のSi、0〜1%のC、0〜5%のFeおよび残部Niの粉末が挙げられる。また、この粉末に炭化タングステン粉末や炭化タングステン‐コバルト合金粉末を混合した粉末を使用してもよい。 【0014】本発明によると、自溶合金から成る耐摩耗性溶着層は、少なくとも外側に湾曲した分割部の内面に形成されていれば十分であるが、より好ましくは、内側に湾曲した分割部の内面にも形成される。この場合、内側に湾曲する分割部の耐摩耗性溶着層は、外側に湾曲する分割部の耐摩耗性溶着層よりも、薄くなっていてもよい。また、内側に湾曲する分割部の耐摩耗性溶着層は、外側に湾曲する分割部の耐摩耗性溶着層と、異なる材料から構成されていてもよい。 【0015】また、図3に拡大して示すように、好ましくは、管体の縁端部14、特に管体の入口11側の縁端部14にも耐摩耗性溶着層4は形成されている。管体1の縁端部14から摩耗が進行するのを防止することができる。 【0016】その後、外側に湾曲する分割部2に、内側に湾曲する分割部3を、それらの切断面を合わせて会合して溶接接合してベンド管を得る。本発明によると、分割部2および3は、殆ど変形することなく耐摩耗性溶着層が形成されるので、従来は必要であった形状を復元する作業を省略して溶接接合ができる。そして必要に応じてベンド管の両端に、パイプラインを構成する他の直管やベンド管との結合を容易化するためのフランジ6が取り付けられる。本発明によると、ベンド管の端部は略真円のままであるので、この端部へのフランジ6の取付は極めて容易である。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。管体として、外径100mmおよび内径83mmを有し、曲率半径500mmのステンレス鋼管(JIS SUS304)を用意した。このステンレス鋼管は、両端に直管部100mmを有している。そして、ステンレス鋼管の入口側の端部から80mmのところで、湾曲する管体の内側から管体の中心軸まで切断し、次いでこの中心軸に沿って管体を半截し、このステンレス鋼管の出口側の端部から80mmのところで、湾曲する管体の内側に向かって切断した。この切断には、レーザ切断法を用いた。そして、切断により得られた2個の分割部の内面に、アルミナグリットによってブラスト処理を行った後、ガスフレーム式粉末溶射機を用いて自溶合金を溶射した。 【0018】この実施例において使用した自溶合金粉末は、Cr;17%、B;3.5%、Si;4.5%、C;0.7%、Fe;3.5%、Mo;2.0%、Cu;2.5%、Ni;残部の組成を有するJIS SFNi4種に相当する粉末であり、その粒度は45〜105μmのものである。外側に湾曲した分割部の内面において約1.5mm、また内側に湾曲した分割部において約0.7mmの厚さの溶射皮膜を形成した。所定の厚さに溶射された皮膜は、剥離や亀裂などの欠陥はなく、健全な皮膜であることが確認された。次いで、内面に自溶合金が溶射された分割部をアルゴン雰囲気電気炉中に入れ、炉内を徐々に昇温して1050℃で30分間保持した後、電源を切り、炉中で冷却した。この溶着工程により得られた分割部の溶射皮膜は外観上は溶融されており、平滑な表面状態を呈しており、母材であるベンド鋼管との間で剥離もなく、健全な耐摩耗性溶着層の形成が観察された。また、ここで、分割部を切断して内部構造を顕微鏡観察したが、耐摩耗性溶着層には、粗大な気孔やピンホールなどは確認されず、またこの溶着層は母材のステンレス鋼管との間に合金層を形成して冶金的に結合していることが確認された。さらにまた、この溶着層の硬さを測定した結果、そのビッカース硬さは、Hv650〜750を示し、この種の自溶合金溶射溶着層の本来の硬さを所持していることがわかった。そして、2個の分割部の切断面を会合させて、溶接棒(JIS SUS 304)を用い、TIG溶接により溶接接合5を行って、分割部を一体化させた。この溶接を行う前に、切断面を予めグラインタで削って溶接開先を作った。その後、外側に湾曲した分割部に内側に湾曲した分割部をはめ込んで、内側に湾曲した分割部の両端および中央部の3ヵ所にバイスを使用して、両分割部を締め付けた。この際、両分割部の変形によって中央部に僅かな隙間が確認されたが、バイスの締め付けで容易に密着させることができた。その後、ステンレス鋼管の両端にフランジ6を溶接した。 【0019】このようにして得られたベンド管を、ガラス繊維30〜50%の入ったナイロン樹脂ペレット輸送用のパイプラインにおいて3年以上使用したが、ベンド管の内面には目立った摩耗は確認されなかった。なお、内面に自溶合金溶射溶着層が施されていないステンレス鋼(JIS SUS 304)のみのベンド鋼管の寿命は6ヶ月〜1年程度であることから、本発明によるベンド管は、寿命を3倍〜6倍に延長できることが分かった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500001068 【氏名又は名称】日本オーバー・レイ工業株式会社 【識別番号】000239426 【氏名又は名称】福田金属箔粉工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月23日(2000.5.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068032 【弁理士】 【氏名又は名称】武石 靖彦 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−241587(P2001−241587A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月7日(2001.9.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−150938(P2000−150938) |
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