トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 差込み式管継手
【発明者】 【氏名】西田 秀平

【氏名】岡崎 義郎

【要約】 【課題】地震や熱などにより管が伸びた場合も管や継手を塑性変形させたり、管の外面の防食被覆層を剥離することなく、その膨脹による圧縮代を吸収できるという差込み式管継手を提供する。

【解決手段】継手本体1内の受口7と管端ストッパー部8との間に、圧縮コイルや皿ばね等よりなる圧縮代吸収部材5を装着する。これにより地震や熱などにより管Pの端部が線膨脹して圧縮代吸収部材5に圧縮荷重が加えられると、圧縮代吸収部材5が圧縮し、圧縮代を吸収する。したがって、管Pの端部が縮径したり、継手本体1が拡径するような塑性変形を防止でき、また管Pの外面の防食被覆層P2 が剥離することが無くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状の継手本体の軸心方向両端に、管の端部が差し込まれる受口を開口し、この受口の内奥部に管端ストッパー部を設けてある差込み式管継手において、前記受口と管端ストッパー部との間に、前記管の線膨脹に伴い該管の端部が当接することで圧縮荷重を受けて圧縮する圧縮代吸収部材が装着されていることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項2】 筒状の継手本体の軸心方向両端に、管の端部が差し込まれる受口を開口し、この受口の内奥部に管端ストッパー部を設け、前記受口と管端ストッパー部との間に前記管の端部外周面に密接するシールリングと前記端部外周面に食込み係合するロックリングとが組み込まれている差込み式管継手において、前記受口と管端ストッパー部との間に、前記管の線膨脹に伴い該管の端部が当接することで圧縮荷重を受けて圧縮する圧縮代吸収部材が装着されていることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項3】 筒状の金属製の継手本体の軸心方向両端に、金属製の管の端部が差し込まれる受口を開口し、この受口の内奥部に管端ストッパー部を継手本体と一体に設けてある差込み式管継手において、前記受口と管端ストッパー部との間に、前記管の線膨脹に伴い該管の端部が当接することで圧縮荷重を受けて圧縮する金属製の圧縮代吸収部材が装着されていることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項4】 筒状の金属製の継手本体の軸心方向両端に、金属製の管の端部が差し込まれる受口を開口し、この受口の内奥部に管端ストッパー部を継手本体と一体に設け、前記受口と管端ストッパー部との間に前記管の端部外周面に密接するシールリングと前記端部外周面に食込み係合するロックリングとが組み込まれている差込み式管継手において、前記受口と管端ストッパー部との間に、前記管の線膨脹に伴い該管の端部が当接することで圧縮荷重を受けて圧縮する金属製の圧縮代吸収部材が装着されていることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項5】 前記圧縮代吸収部材がばねからなる請求項1ないし4のいずれかに記載の差込み式管継手。
【請求項6】 前記圧縮代吸収部材が圧縮コイルばねからなる請求項1ないし4のいずれかに記載の差込み式管継手。
【請求項7】 前記圧縮代吸収部材が皿ばねからなる請求項1ないし4のいずれかに記載の差込み式管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力や通信用のケーブルなどが通される管の端部どうしを連通状に接続する差込み式管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の差込み式管継手として、例えば、図10に示すようなものが公知である。そこでは、筒状の継手本体1の軸心方向両端に管Pの端部が差し込まれる受口7,7を開口し、この受口7の内部にロックリング3と、このロックリング3より内奥側に配されたゴム製のシールリング2とが組み込まれるとともに、継手本体1のシールリング2より内奥部には内径を少し細く絞る形で管端ストッパー部8を設けている。受口7の内周面のロックリング2が位置する箇所には外窄まりテ−パ状の押圧面11が形成されている。そして、管Pの接続に際し管Pの端部を受口7より管端ストッパー部8に突き当たるまで差し込むと、シールリング2が管Pの外周面に密接して気密状にシールされ、また管Pが抜け出し方向に移動したときにロックリング3がテ−パ状の押圧面11に当接して縮径することにより管Pの外周面に強く食い込んで管Pの抜止め状態が得られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前出の差込み式管継手では、管Pの接続施工後に地震や熱などにより管Pが線膨脹して伸びたとき、この管Pの端部が管端ストッパー部8に強く当接して圧縮荷重を加えられ、この圧縮荷重により管Pの端部が管端ストッパー部8の内径部に無理やりに入り込もうとするが、このとき管Pの外面に樹脂被覆されている防食被覆層P2 が剥離するため、この剥離によって管Pの端部が管端ストッパー部8の内径部に無理やりに入り込んで縮径変形したり、またその無理な入り込みにより継手本体1が拡径変形することを防ぐことができる。しかし、これでは管Pの防食被覆層P2 が剥離して防食機能を喪失ないし低下するという犠牲を余儀なくされているため、好ましい現象とはいえない。
【0004】かかる管端部及び継手が拡縮径する塑性変形や防食被覆層の剥離を解消する施工法として、図11に示すごとく、継手本体1内において管Pの端部と管端ストッパー部8との間に所定の隙間(圧縮代)Aを形成しておくという施工法がある。この施工に際しては、先ず、管Pの端部を継手に差し込む前に管Pの端部から所定長さ位置にマジック(登録商標)等で標線をマーキングしておき、次いで継手本体1に管Pを前記標線の位置まで差し込むことでもって、管Pの端部を管端ストッパー部8に突き当てることなく、該管Pの端部と管端ストッパー部8との間に所定の隙間(圧縮代)Aを形成するのであるが、これでは管Pの差し込む前に標線のマーキング作業を要して面倒であるばかりか、管端部を管端ストッパー部8に突き当てずにその手前の所定位置で正確に止めることは熟練を要し、甚だ困難な作業であった。
【0005】本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、地震や熱などにより管が線膨脹するときも管端部や継手を塑性変形させたり、管の防食被覆層を剥離するのを防止できる差込み式管継手を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、筒状の継手本体の軸心方向両端に、管の端部が差し込まれる受口を開口し、この受口の内奥部に前記管の端部が突き当たる管端ストッパー部を設けてある差込み式管継手において、前記受口と管端ストッパー部との間に、前記管の線膨脹に伴い該管の端部が当接することで圧縮荷重を受けて圧縮する圧縮代吸収部材が装着されていることに特徴を有するものである。この場合において、上記継手本体内の受口と管端ストッパー部との間には、前記管の端部外周面に密接するシールリングと前記端部外周面に食込み係合するロックリングとを組み込むことができる。また、上記継手本体及び管はそれぞれ金属製のものとし、圧縮代吸収部材としては金属製の圧縮コイルや皿ばねなどのばねを用いることができる。
【0007】
【作用】管の接続に際し、管の端部を受口より差し込み、その管端部が圧縮代吸収部材に当たって抵抗を感じると、管の端部と管端ストッパー部との間に所定の圧縮代が得られるので、このとき管の差し込みを終えればよいことになる。
【0008】地震や熱などにより管が線膨脹すると、該管の端部により圧縮代吸収部材に圧縮荷重が加えられ、圧縮代吸収部材が圧縮して圧縮代を吸収する。したがって、管の端部が縮径変形したり、継手が拡径変形するようなことがなく、また管の外面に防食被覆層が形成されている場合もその防食被覆層が剥離することも無くなる。
【0009】金属製の継手本体内の受口と管端ストッパー部との間に、金属製の管の端部が当接することで圧縮する金属製の圧縮代吸収部材が装着されていると、金属製の管の端部と金属製の継手本体の内面とが金属製の圧縮代吸収部材を介して常に接触した電気導通可能な状態が得られるので、それら金属製の管及び継手本体が地中に埋設された場合も犠牲陽極を使用して管又は継手本体に防食電流を通ずることによって管及び継手本体の防食をはかることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】(第1実施例)本発明の第1実施例を図面に基づき説明する。図1は差込み式管継手を管の差込み完了状態で示す断面図、図2はその差込み式管継手をこの内部の圧縮代吸収部材に圧縮荷重が加えられた時の状態で示す断面図である。
【0011】図1及び図2において、この差込み式管継手は、継手本体1と、ゴム製のシールリング2と、ロックリング3、支持用弾性リング4、及び圧縮代吸収部材5とを備えている。
【0012】継手本体1は金属製で筒状に形成され、この外周が樹脂よりなる防食筒体6で一体に被覆されている。この継手本体1はこれの軸心方向両端部に管Pの端部が差し込まれる受口7を開口し、軸心方向中央付近に当該箇所を細く絞る形で管端ストッパー部8を継手本体1と一体に設け、かつ防食筒体6の軸方向両端部6a,6aは継手本体1の両端より軸心方向外方に張出し形成し、この防食筒体6の軸方向両端部6a,6aのそれぞれの内周に第1凹溝9を形成するとともに、この第1凹溝9と管端ストッパー部8間の中間部を外方に膨出する形で当該箇所の内周にテ−パ面10aを有する第2凹溝10を形成している。
【0013】かくして、継手本体1の第1凹溝9に前記シールリング2が嵌め込まれ、第2凹溝10に前記ロックリング3がテ−パ面10aに面するよう支持用弾性リング4により受止め支持される状態に嵌め込まれる。継手本体1内の管端ストッパー部8とロックリング3との間には、差し込まれる管Pの端部の圧縮代を吸収するためのばね等の金属製の圧縮代吸収部材5が装着される。圧縮代吸収部材5は必要な圧縮荷重と圧縮代によりその形状や大きさ等が決定されるが、図示例では円筒形の圧縮コイルばねからなっている。圧縮代吸収部材5は、これの一端部5aを管端ストッパー部8に導電性の接着剤で接着することによって、管Pの差し込み作業までに不用意に受口7の方へ出てこないように定位置に保持しておくことが好ましい。その圧縮代吸収部材5の定位置保持手段としては、その他に図3に示すごとく支持用弾性リング4の内周に、圧縮代吸収部材5の外径より小さい内径の内向き鍔部4aを設け、この鍔部4aで圧縮代吸収部材5の他端部5bを受止めることにより圧縮代吸収部材5が受口7の方へ出てこないようにすることもできる。
【0014】上記構成の差込み式管継手により鋼管等金属管P1 の外面に樹脂よりなる防食被覆層P2 を形成してなる管Pを接続する。この接続に際しては、管Pの端部を継手本体1の一端部の受口7より差し込み、その管端部が圧縮代吸収部材5に当たって抵抗を感じると、管Pの端部と管端ストッパー部8との間に所要の圧縮代が得られるので、このとき管Pの差し込みを終えればよい。図示省略するが、継手本体1の他端部の受口7にも同様に別の管Pの端部が差し込まれる。
【0015】図2に示すように、管Pの端部が継手本体1の受口7に圧縮代吸収部材5に当たるまで差し込まれると、管Pの端部の外周面にシールリング2が圧縮状に密接し、このシールリング2により受口7の内周面と管Pの端部外周面との間が気密にシールされる。また、このときロックリング3の内周部が管Pの端部の外周面に軽く食込み係合する。管Pが抜き出し方向に引っ張られると、管Pと共に同一方向に移動するロックリング3の外周面が第2凹溝10のテ−パ面10aと当接することにより、ロックリング3が縮径して管Pの外周面への食込みが増すことになり、管Pの端部が受口7から抜け出るのを確実に防止できる。
【0016】地震や熱などにより管Pが線膨脹して伸びると、図2に示すように、この管Pの端部により圧縮代吸収部材5に圧縮荷重が加えられ、圧縮代吸収部材5が圧縮して圧縮代を吸収することになる。したがって、このとき管Pの端部が縮径したり、継手本体1が拡径するような塑性変形を来すようなことが無くなるため、管Pの端部の縮径変形による管P内の電力や通信用ケーブルの損傷や継手本体1の拡径変形による強度低下を防止でき、また管Pの防食被覆層P2 の剥離を防止することもできる。
【0017】継手本体1及び管Pのそれぞれが金属製である場合、管Pの端部と継手本体1の内面とが金属製の圧縮代吸収部材5を介して常に接触した電気導通可能な状態になる。したがって、それら管P及び継手本体1が地中に埋設されている場合も、継手本体1又は管Pに犠牲陽極(図示せず)を接続して防食電流を通ずることによって管P及び継手本体1の腐食を抑制することができる。流電陽極となるべき低電位金属としては亜鉛やマグネシウム等が使用される。
【0018】(第2実施例)第1実施例では圧縮代吸収部材5を構成する圧縮コイルばねとして円形断面のコイルよりなるものが使用されるが、これに代えて図4に示すごとく角形断面のコイルよりなる圧縮コイルばねで構成された圧縮代吸収部材5を使用することもできる。この場合、圧縮代吸収部材5が管Pの差し込み作業までに不用意に受口7の方へ出てこないように定位置に保持する手段として、第1実施例の場合と同様に圧縮代吸収部材5の一端部5aを管端ストッパー部8に導電性接着剤で接着したり、支持用弾性リング4で受け止めする以外に、圧縮代吸収部材5の外径を継手本体1の内径より僅かに大きくして継手本体1内に押し込むという締りばめ手段を採用することもできる。この場合、圧縮代吸収部材5のコイルにナイロン等のポリオレフィン系樹脂を粉体塗装しておけば、圧縮代吸収部材5は継手本体1の内面に対してもスムースに摺動して伸縮動作するし、圧縮代吸収部材5の外面と継手本体1の内面が錆びて固着することもない。ただし、粉体塗装した金属製コイルによる圧縮代吸収部材5を使用する場合、その圧縮代吸収部材5の、管Pの端部と接触する端部と、管端ストッパー部8と接触する端部5aの両端面のみは金属面を露出させて、管Pの端部および管端ストッパー部8にそれぞれ接触させることになる。なお、この第2実施例のその他の構成は第1実施例の場合と同様であるため、同一部材に同一符号を付するをもってその説明を省略する。
【0019】(第3実施例)図5及び図6は第3実施例を示しており、この実施例では、継手本体1内の管端ストッパー部8と管Pの端部との間の圧縮代が5mm程度に短くて足りる場合において、皿ばねにより構成した圧縮代吸収部材5を1枚または2枚以上使用するものである。図6は圧縮代吸収部材5に圧縮荷重が加えられた場合の状態を示している。この第3実施例の場合、圧縮代吸収部材5を定位置に保持する手段としては、図7に示すごとく圧縮代吸収部材5として欠円部5cを有する皿ばねを使用する場合その皿ばねの外径を継手本体1の内径より僅かに大きくして継手本体1内に押し込むという締りばめ手段を採用することができる。図8に示すごとく圧縮代吸収部材5として欠円部無しのエンドレスの皿ばねを使用する場合はその大径側の端部5aを管端ストッパー部8に導電性接着剤で接着すればよい。なお、この第3実施例のその他の構成については第1実施例の場合と同様であるため、同一部材に同一符号を付するをもってその説明を省略する。
【0020】以上の説明で明らかなように、上記圧縮代吸収部材5は、あくまでも管Pの接続時にその圧縮代を確保でき、施工後に管Pが地震や熱などの外的作用により伸びたときにこれを吸収できるものであればよく、管Pの伸びにより圧縮した後に該管Pを押し戻すばね効果は必ずしも必要でない。したがって、圧縮代吸収部材5としては、上記ばね以外に、図9(a)の正面図、同図(b)の側面図、同図(c)の一部拡大断面図に示すごとき押戻しばね効果のない菊座金等のようなものであってもよい。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、管の端部の差し込みに際しその管端部が圧縮代吸収部材に当たる感触によってその差し込みを終えればよいことになるため、管の端部の圧縮代を確保できる差し込み作業の容易化を図ることができる。
【0022】また、地震や熱などにより管の端部が線膨脹して圧縮代吸収部材に圧縮荷重が加えられると、圧縮代吸収部材が圧縮し、圧縮代を吸収するので、管の端部が縮径したり、継手が拡径するような塑性変形を防止でき、また管の外面に防食被覆層が形成されている場合もその防食被覆層が剥離することが無くなるという効果を奏する。
【0023】金属製の圧縮代吸収部材を使用することにより金属製の管の端部と継手本体の内面とが常に接触した電気導通可能な状態が得られるので、それら管及び継手本体が地中に埋設された場合も、管又は継手本体に犠牲陽極を接続して防食電流を通ずることによって管及び継手本体の電気防食をはかることができる。
【出願人】 【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【出願日】 平成12年9月11日(2000.9.11)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−241580(P2001−241580A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−274661(P2000−274661)