トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 可撓性管状体
【発明者】 【氏名】中谷 政史

【氏名】後藤 信弘

【氏名】石田 敬一

【要約】 【課題】優れた可撓性や形状保持性を発現するので現場施工性に優れ、且つ、ツルハシ衝撃のような局部的衝撃にも耐え得る優れた耐衝撃性や優れた耐熱性等を兼備する可撓性管状体を提供する。

【解決手段】ノルボルネン系樹脂から成り、且つ、管壁に波形形状1が形成されていることを特徴とする可撓性管状体7。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノルボルネン系樹脂から成り、且つ、管壁に波形形状が形成されていることを特徴とする可撓性管状体。
【請求項2】 ノルボルネン系樹脂がジシクロペンタジエン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の可撓性管状体。
【請求項3】 管内側の管壁に形成された波形形状の山部分に、管長手方向に対して平行な平面形状が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可撓性管状体。
【請求項4】 波形形状が管状体の周方向に対して平行に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の可撓性管状体。
【請求項5】 波形形状が螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の可撓性管状体。
【請求項6】 管状体の可撓性が必要な部分にのみ波形形状が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の可撓性管状体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可撓性、耐衝撃性、耐熱性等に優れる可撓性管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋳鉄管に比べて軽量で耐食性に優れる管状体として合成樹脂製の管状体が各種用途に広く使用されている。特に最近では、環境に対する好ましくない影響を極力抑制するという観点から例えばポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂から成る管状体が注目され、その施工実績も増加しつつある。
【0003】一方、狭い場所や入り組んだ場所あるいは土中にある既設の他の管状体を跨ぐ必要のある場所に施工する場合は勿論のこと、一般的に管路の施工には必ず曲がり管、即ち、可撓性を有する管状体が必要とされる。
【0004】このような可撓性を有する管状体として、例えば、特公平7−69031号公報では、「拡径受口部を含む全長に亙って波形を形成すると共に、一方端に外側への折り返し部が形成された平滑管を、上記拡径受口部の内面に挿設してなるコルゲート管(可撓性管状体)」が開示されている。
【0005】しかし、上記開示にあるような従来の合成樹脂製波付き管(可撓性管状体)には、例えば100〜200mmφ以上の大口径になると曲げ難くなり、施工が困難になるという問題点がある。
【0006】例えば、従来から実用化されている硬質塩化ビニル樹脂製の波付き管の場合、大口径製品では可撓性が不十分なため現場施工時の手曲げ加工が困難となったり、低温時の耐衝撃性が劣るという問題点がある。
【0007】また、ポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂製の波付き管の場合、結晶性樹脂であるポリエチレン樹脂が曲げ加工前の状態に復元しようとするので、曲げ加工品の経時安定性や信頼性が不十分になるという問題点がある。さらに、ポリエチレン樹脂は、ある程度の耐衝撃性は有しているものの、例えばツルハシ衝撃のような局部的衝撃を受けると貫通してしまうという問題点や、本質的に耐熱性が不十分であるという問題点がある。
【0008】このため、従来から優れた可撓性、耐衝撃性、耐熱性等を兼備する合成樹脂製可撓性管状体が要望されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、優れた可撓性や形状保持性を発現するので現場施工性に優れ、且つ、ツルハシ衝撃のような局部的衝撃にも耐え得る優れた耐衝撃性や優れた耐熱性等を兼備する可撓性管状体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明(以下、「本発明1」と記す)による可撓性管状体は、ノルボルネン系樹脂から成り、且つ、管壁に波形形状が形成されていることを特徴とする。
【0011】請求項2に記載の発明(以下、「本発明2」と記す)による可撓性管状体は、本発明1による可撓性管状体において、ノルボルネン系樹脂がジシクロペンタジエン系樹脂であることを特徴とする。
【0012】請求項3に記載の発明(以下、「本発明3」と記す)による可撓性管状体は、本発明1または本発明2による可撓性管状体において、管内側の管壁に形成された波形形状の山部分に、管長手方向に対して平行な平面形状が形成されていることを特徴とする。
【0013】請求項4に記載の発明(以下、「本発明4」と記す)による可撓性管状体は、本発明1〜本発明3のいずれかによる可撓性管状体において、波形形状が管状体の周方向に対して平行に形成されていることを特徴とする。
【0014】請求項5に記載の発明(以下、「本発明5」と記す)による可撓性管状体は、本発明1〜本発明3のいずれかによる可撓性管状体において、波形形状が螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0015】また、請求項6に記載の発明(以下、「本発明6」と記す)による可撓性管状体は、本発明1〜本発明5のいずれかによる可撓性管状体において、管状体の可撓性が必要な部分にのみ波形形状が形成されていることを特徴とする。
【0016】上記本発明1〜本発明6で言う可撓性管状体とは、パイプ、継手、ホースを始めとする全ての管状体を包含する。
【0017】本発明1の可撓性管状体は、ノルボルネン系樹脂から成ることが必要である。
【0018】上記ノルボルネン系樹脂とは、1種もしくは2種以上のノルボルネン系モノマーをメタセシス重合触媒により開環メタセシス重合させて得られる、可撓性や耐衝撃性に富み、耐熱性にも優れる熱可塑性樹脂である。
【0019】上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体;テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体;トリシクロペンタジエンなどの五環体;テトラシクロペンタジエンなどの七環体;及び、これらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体等);アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体等);アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体等);並びに、これらにエポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基が導入された誘導体等が挙げられ、好適に用いられるが、なかでもジシクロペンタジエンもしくはジシクロペンタジエンを含有するノルボルネン系モノマーがより好適に用いられる。これらのノルボルネン系モノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0020】また、上記ノルボルネン系モノマーは、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、該ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能な他のモノマーと共重合されても良い。
【0021】上記ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンや、インデン、クマロン、クマロンインデン系コモノマーなどのようなメタセシス重合活性を有する環状モノマー等が挙げられ、好適に用いられる。これらのノルボルネン系モノマーと開環共重合可能な他のモノマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0022】ノルボルネン系モノマーを開環メタセシス重合させるためのメタセシス重合触媒としては、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル、ルテニウム、レニウム、オスミウム、チタンなどの金属のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩等が挙げられ、好適に用いられる。これらのメタセシス重合触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0023】ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合を空気中で行う場合には、上記メタセシス重合触媒のなかでも、空気中での経時安定性に優れるメタセシス重合触媒を選択することが好ましく、具体的には、下記一般式(1)で表されるルテニウムカルベン触媒や、下記一般式(2)で表されるルテニウムビニリデン触媒等が好適に用いられる。これらのルテニウムカルベン触媒やルテニウムビニリデン触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1 及びR2 は、互いに独立した水素;アリール基;アリールオキシ基;炭素数1〜20のアルキル基、カルボキシレート基、アルコキシ基、アルキルチオ基;炭素数2〜20のアルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシカルボニル基;フェロセン誘導体を示す。これらは、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基やアルコキシル基によって置換されていても良いし、また、ハロゲン基、炭素数1〜5のアルキル基やアルコキシル基によって置換されたフェニル基によって置換されていても良い。
【0027】また、上記一般式(1)及び一般式(2)中、X1 及びX2 は、互いに独立した任意の所望のアニオン性配位子を示し、L1 及びL2 は、互いに独立した任意の所望の中性電子供与体を示す。尚、上記X1 、X2 、L1 及びL2 の2個もしくは3個は、一緒に多座キレート化配位子を形成していても良い。
【0028】上記ルテニウムカルベン触媒やルテニウムビニリデン触媒のなかでも、より好ましい触媒は、一般式(1)及び一般式(2)において、R1 及びR2 が互いに独立した水素、メチル基、エチル基、フェニル基、フェロセニル基またはメチル基、エチル基、フェニル基もしくはフェロセニル基によって置換されたビニル基であり、X1 及びX2 が互いに独立したCl、Brであり、L1 及びL2 が互いに独立したトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィンまたはトリシクロヘキシルホスフィンである触媒である。
【0029】ノルボルネン系モノマーの開環メタセシス重合時における上記メタセシス重合触媒の使用量は、メタセシス重合触媒の種類や活性によって異なるので一義的には言えないが、一般的には、全モノマーに対して1/5〜1/500万モル当量であることが好ましい。全モノマーに対するメタセシス重合触媒の使用量が1/5当量を超えると、得られるノルボルネン系樹脂の分子量が十分に上がらず、逆に全モノマーに対するメタセシス重合触媒の使用量が1/500万当量未満であると、重合速度が遅くなる。
【0030】本発明1で用いられるノルボルネン系樹脂は、得られる可撓性管状体の耐衝撃性や耐熱性等をより向上させるために、架橋されていることが好ましい。
【0031】一般的に、少なくとも三環体以上のノルボルネン系モノマーを含有する1種もしくは2種以上の前記ノルボルネン系モノマーを上記メタセシス重合触媒により開環メタセシス重合させる際には、ノルボルネン系モノマーの重合と架橋とが同時に起こり進行するので、得られるノルボルネン系樹脂は架橋ノルボルネン系樹脂となり、この架橋ノルボルネン系樹脂から成る可撓性管状体はより優れた耐衝撃性や耐熱性等を発現する。
【0032】ノルボルネン系樹脂は、ポリエチレン樹脂のような結晶性樹脂ではないので、曲がった状態を塑性変形によりある程度保持し得る性質、即ち、ある程度の形状保持性を発揮し得るという利点を有するが、この形状保持性をさらに高めたい場合には、塑性変形部材を可撓性管状体中に埋め込んだり、可撓性管状体表面に設けることが好ましい。
【0033】上記塑性変形部材としては、例えば、鉄やアルミニウム等の金属系部材や低結晶性プラスチック系部材等が挙げられ、好適に用いられる。これらの塑性変形部材は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0034】塑性変形部材を設ける場所や塑性変形部材の形状、厚み等は、特に限定されるものではなく、可撓性管状体に要求される性能や品質水準(スペック)等に対応して適宜設定されれば良い。
【0035】塑性変形部材を可撓性管状体中に埋め込んだり、可撓性管状体表面に設ける方法としては、例えば、成形型内に予め塑性変形部材をセットしておいて、この成形型内に前記ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合触媒と共に導入する方法が挙げられ、このような方法を採ることにより、ノルボルネン系樹脂と塑性変形部材とを容易に一体化させることが出来る。
【0036】また、本発明1の可撓性管状体中には、必須成分である前記ノルボルネン系樹脂及び必要に応じて設けられる上記塑性変形部材以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、充填材、補強材、エラストマー類、高分子改質剤、分子量調整剤、揺変性付与剤、軟化剤、可塑剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料、染料)、発泡剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていても良い。
【0037】充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、クレー、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ガラスバルーン、シリカバルーン、熱膨張性塩化ビニリデン樹脂粒子等が挙げられ、好適に用いられる。これらの充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】補強材としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維やアラミド繊維等の有機繊維等が挙げられ、好適に用いられる。これらの補強材は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】エラスマー類としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体並びにこれらの水素添加物等が挙げられ、好適に用いられる。これらのエラストマー類は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】また、本発明1の可撓性管状体は、管壁に波形形状が形成されていることが必要である。
【0041】図1は本発明1の可撓性管状体の管壁に形成された波形形状の一例を示す断面図である。図1中、(a)は曲面形状から成る波形形状を示す断面図であり、(b)は平面形状から成る波形形状を示す断面図であり、(c)は曲面形状と平面形状とから成る波形形状を示す断面図である。
【0042】本発明1の可撓性管状体の管壁に形成される波形形状1は、上記(a)で示されるような曲面形状から成る波形形状2であっても良いし、上記(b)で示されるような平面形状から成る波形形状3であっても良いし、また、上記(c)で示されるような曲面形状と平面形状とから成る波形形状4であっても良く、可撓性管状体に要求される曲げ剛性、圧縮強度、コスト等を考慮して適宜設定されれば良い。
【0043】可撓性管状体の管壁に波形形状1を形成することにより、可撓性管状体を曲げた時に、管壁の圧縮側では波形形状1の波の間隔(ピッチ)が小さくなり、管壁の引張側では波形形状1の波の間隔(ピッチ)が大きくなって、管壁の伸縮を吸収する機能を発揮するので、優れた可撓性を容易に発現し得る管状体を得ることが出来る。
【0044】上記波形形状1の波の高さ、幅、間隔(ピッチ)や管状体本体の肉厚等は、可撓性管状体に要求される性能や品質水準(スペック)等に対応して適宜設定されれば良い。
【0045】本発明1の可撓性管状体の成形方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、RIM成形法、注型成形法、引抜き成形法、RI成形法等の一般的な成形方法が挙げられるが、可撓性管状体の製品形状や生産性等を考慮して、これら成形方法のなかから最適の成形方法を選定すれば良い。
【0046】また、管壁に波形形状1を形成するだけでは可撓性の発現が不十分である場合には、ノルボルネン系モノマーと前記他のモノマーとの共重合や、前記エラストマー類や軟化剤、可塑剤等の添加等の手段を用いて、ノルボルネン系樹脂の構造面とノルボルネン系樹脂組成物の配合面とを組み合わせることにより、可撓性管状体に要求される性能や品質水準(スペック)等に対応して最適の製品設計を行えば良い。
【0047】次に、本発明2の可撓性管状体は、上述した本発明1による可撓性管状体において、ノルボルネン系樹脂がジシクロペンタジエン系樹脂であることが必要である。
【0048】上記ジシクロペンタジエン系樹脂とは、前記メタセシス重合触媒の存在下、ジシクロペンタジエンモノマー単独を開環メタセシス重合させて得られる単独重合体、または、ジシクロペンタジエンモノマーと該ジシクロペンタジエンモノマーと開環共重合可能な前記他のモノマーとを開環メタセシス共重合させて得られる共重合体を言う。
【0049】ジシクロペンタジエンモノマーは、入手が容易であり、且つ、反応性に富み、融点も34℃程度であるので、融点以上の温度まで若干の加熱を行った状態で成形型に導入すれば良く、成形性も良好である。
【0050】上記ジシクロペンタジエン系樹脂から成る本発明2の可撓性管状体は、耐熱性と可撓性や耐衝撃性等の物性バランスにより優れたものとなる。
【0051】次に、本発明3の可撓性管状体は、本発明1または本発明2による可撓性管状体において、管内側の管壁に形成された波形形状の山部分に、管長手方向に対して平行な平面形状が形成されていることが必要である。
【0052】図2は本発明3の可撓性管状体の管内側の管壁に形成された波形形状の一例を示す断面図である。図2中、(a)は波形形状の山部分に形成された管長手方向に対して平行な平面形状を示す断面図であり、(b)は波形形状の山部分に形成された管長手方向に対して平行なリブを示す断面図である。
【0053】本発明3の可撓性管状体の管内側の管壁に形成された波形形状1の山部分に形成される管長手方向に対して平行な平面形状は、上記(a)で示されるような波形形状1の山部分に形成された管長手方向に対して平行な平面形状5であっても良いし、上記(b)で示されるような波形形状1の山部分に形成された管長手方向に対して平行なリブ6であっても良く、可撓性管状体に要求される性能や品質水準(スペック)等に対応して最適の製品設計を行えば良い。
【0054】本発明3の可撓性管状体は、管内側の管壁に形成された波形形状1の山部分に管長手方向に対して平行な上記平面形状5、6が形成されているので、例えば、電線ケーブル管や通信ケーブル管等として用いる場合、管内にケーブルを通す際にケーブルが波形形状1の谷間部分に入り難くなって、ケーブルを円滑に通すことが可能となり、現場施工性が著しく向上する。
【0055】次に、本発明4の可撓性管状体は、本発明1〜本発明3のいずれかによる可撓性管状体において、波形形状が管状体の周方向に対して平行に形成されていることが必要である。
【0056】図3は本発明4の可撓性管状体の波形形状を示す断面図である。
【0057】本発明4の可撓性管状体7においては、図3に示すように、波形形状8が管状体7の周方向に対して平行に形成されている。上記波形形状8の幅(ピッチ)は均等であっても良いし、不均等であっても良く、また、最も変位の大きい部分の幅(ピッチ)を狭くしても良く、可撓性管状体7に要求される可撓性や耐衝撃性、曲げ剛性等に対応して適宜設定すれば良い。
【0058】次に、本発明5の可撓性管状体は、本発明1〜本発明3のいずれかによる可撓性管状体において、波形形状が螺旋状に形成されていることが必要である。
【0059】図4は本発明5の可撓性管状体の波形形状を示す断面図である。
【0060】本発明5の可撓性管状体7においては、図4に示すように、波形形状9が螺旋状に形成されている。上記螺旋状の波形形状9の幅(ピッチ)は均等であっても良いし、不均等であっても良く、また、最も変位の大きい部分の幅(ピッチ)を狭くしても良く、可撓性管状体7に要求される可撓性や耐衝撃性、曲げ剛性等に対応して適宜設定すれば良い。
【0061】次に、本発明6の可撓性管状体は、上述した本発明1〜本発明5のいずれかによる可撓性管状体において、管状体の可撓性が必要な部分にのみ波形形状が形成されていることが必要である。
【0062】図5は本発明6の可撓性管状体の波形形状を示す断面図である。
【0063】本発明6の可撓性管状体7においては、図5に示すように、管状体7の可撓性が必要な部分にのみ波形形状1が形成されている。
【0064】管状体7の可撓性が必要な部分にのみ波形形状1を形成することにより、例えば、波形形状1が形成された部分の肉厚を薄くした場合でも、ツルハシ衝撃のような局部的衝撃による波形形状1形成部分の破損を低減することが可能となる。
【0065】
【作用】本発明の可撓性管状体は、ノルボルネン系樹脂から成り、且つ、管壁に波形形状が形成されている。従って、例えばポリエチレン樹脂管に比較して、優れた可撓性を発現するので現場施工性に優れ、且つ、ツルハシ衝撃のような局部的衝撃にも耐え得る優れた耐衝撃性や優れた耐熱性等を兼備する。
【0066】また、ノルボルネン系樹脂は非結晶性樹脂であり、エラストマー的な性質を有しているので、ある程度の塑性変形性を有し、曲げた状態を保持(形状保持)することが出来る。従って、本発明の可撓性管状体は、形状保持性も有している。
【0067】特に、上記ノルボルネン系樹脂としてジシクロペンタジエン系樹脂を用いることにより、上記諸性能は一段と向上する。
【0068】さらに、管壁に形成された波形形状の山部分に管長手方向に対して平行な平面形状を形成したり、波形形状を管状体の周方向に平行に形成したり、波形形状を螺旋状に形成したり、或いは、上記波形形状を管状体の可撓性が必要な部分にのみ形成する等のバリエーションを付与することにより、上記優れた諸性能を兼備し、且つ、幅広い用途や性能、品質水準(スペック)等に対応し得る可撓性管状体を得ることが出来る。
【0069】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0070】(実施例1)ノルボルネン系モノマーとしてジシクロペンタジエンモノマーを用い、メタセシス重合触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを用い、このメタセシス重合触媒10重量部をトルエン200重量部に溶解させたメタセシス重合触媒のトルエン溶液を、ジシクロペンタジエンモノマーに対するメタセシス重合触媒のモル比が1/10000となるように添加し、40℃で攪拌混合して、成形用組成物を調製した。次いで、この成形用組成物を予め60℃に温調された注型用成形型に流し込み、10分間の成形を行った後に脱型して、可撓性管状体を作製した。得られた可撓性管状体は、外径120mm、内径100mm、肉厚1.5mmであった。また、この可撓性管状体の管壁には、高さ10mm、幅(ピッチ)10mmの螺旋状の波形形状が形成されていた。
【0071】(実施例2)実施例1で調製した成形用組成物を用い、実施例1の場合と同様の操作を行って、可撓性管状体を作製した。得られた可撓性管状体は、外径120mm、内径100mm、肉厚1.5mmであった。また、この可撓性管状体の管壁には、高さ10mm、幅(ピッチ)10mmの管状体の周方向に対して平行な波形形状が形成されていた。
【0072】(比較例1)可撓性管状体の作製において、ノルボルネン系樹脂を用いることなく、高密度ポリエチレン樹脂(メルトフローレート0.2g/10分)を200℃で押出成形して、可撓性管状体を作製した。得られた可撓性管状体は、外径120mm、内径100mm、肉厚1.5mmであった。また、この可撓性管状体の管壁には、高さ10mm、幅(ピッチ)10mmの螺旋状の波形形状が形成されていた。
【0073】実施例1及び実施例2、及び、比較例1で得られた可撓性管状体の性能(■曲げ剛性、■形状保持性)を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0074】■曲げ剛性:図6は曲げ剛性の測定方法を示す模式図である。図6に示すように、長さ1mに切り出した可撓性管状体7の一端を固定して片持ち梁の状態にし、その自由端10に管長手方向に対して垂直な荷重Pを加え、自由端10の変位量が100mmとなった時の荷重Pを求め、それを曲げ剛性(kg・m)とした。
【0075】■形状保持性:可撓性管状体を手で曲げて、曲げられた可撓性管状体の形状の復元状態を目視で観察し、下記判定基準により形状保持性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥一人の手で曲げることが出来た。また、曲げられた可撓性管状体の形状は容易に復元しなかった。
×‥‥一人の手で曲げることが出来なかった。また、機械的荷重により曲げられた可撓性管状体の形状は荷重を除くと直ちに復元した。
【0076】また、実施例1で調製した成形用組成物(実施例2の成形用組成物と共通)及び比較例1で用いた高密度ポリエチレン樹脂から厚み3mmの平板(試料)を作製し、この平板(試料)の性能{■耐熱性(熱変形温度)、■耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)}を以下の方法で評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0077】■耐熱性(熱変形温度):JIS K−7207「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」のA法(曲げ応力:181.3N/cm2 )に準拠して、試料の熱変形温度(℃)を測定した。
【0078】■耐衝撃性(アイゾット衝撃強度):JIS K−7110「硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法」に準拠して、試料のノッチ付きアイゾット衝撃強度(kJ/m2 )を測定した。
【0079】
【表1】

【0080】表1から明らかなように、本発明による実施例1及び実施例2の可撓性管状体は、曲げ剛性、形状保持性、耐熱性(熱変形温度)及び耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)の全てについて優れており、優れたバランスの物性を発現した。
【0081】これに対し、成形用樹脂として、ノルボルネン系樹脂を用いることなく、高密度ポリエチレン樹脂を用いた比較例1の可撓性管状体は、実施例1の可撓性管状体の場合と同様の波形形状が管壁に形成されていたにもかかわらず、耐熱性(熱変形温度)及び耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)が劣っており、形状保持性も乏しかった。
【0082】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の可撓性管状体は、優れた可撓性や形状保持性を発現すると共に、局部的衝撃にも耐え得る優れた耐衝撃性や優れた耐熱性等を兼備するので、例えば電線ケーブル管用や通信ケーブル管用を始め、各種現場施工用の可撓性管状体として好適に用いられる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−241575(P2001−241575A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−49815(P2000−49815)