トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 可とう性管状体
【発明者】 【氏名】中谷 政史

【氏名】後藤 信弘

【要約】 【課題】管状体自体の可とう性を維持しながら、耐熱性・耐圧性を付与する。

【解決手段】低弾性樹脂からなる管状体1に、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材2を、管状体1に対して螺旋状(または管状体1の周方向に平行なリング状)に設けるとともに、その線状補強部材2を管状体1に一体化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 低弾性樹脂からなる管状体に、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材が、管状体に対して螺旋状または管状体の周方向に平行なリング状に設けられ、その線状補強部材が管状体に一体化されていることを特徴とする可とう性管状体。
【請求項2】 ノルボルネン系樹脂を得るノルボルネン系モノマーとしてシクロペンタジエンが用いられていることを特徴とする請求項1記載の可とう性管状体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成樹脂製の可とう性管状体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋳鉄管に比べて軽量で耐食性に優れる管として合成樹脂製の管が各種用途に使われている。合成樹脂製の管を、狭い場所や入り組んだ場所に施工する場合、あるいは土中の他の管をまたぐ必要がある場所に施工する場合はもちろんのこと、管路には必ず曲がり管が必要とされる。曲がり管には可とう管が用いられている。
【0003】可とう管としては、柔軟で変形しやすい低弾性合成樹脂またはゴム製の管に、硬質塩化ビニルやポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂からなる線材、あるいは、鉄、ステンレス等の金属製の線材を補強部材として螺旋状に巻回した管が知られている(例えば特開平10−696号公報)。このような補強部材を設けることで、可とう性を維持しながら、管の直径方向に作用する圧力による変形を抑えることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑性合成樹脂製の線材を補強部材として設けた可とう管によれば、補強部材が硬質塩化ビニルやポリエチレンである場合、材料として本質的に熱変形温度が低いという問題があり、耐熱性を必要とする用途には用いることができない。例えば、管路内に熱水が流れた場合や、管路内に通された電線ケーブルが発熱して補強部材の熱変形温度以上になった場合には、土圧等の外部からの圧力によって直径方向に管が変形してしまい、管として十分な機能を果たせなくなる。
【0005】また、金属製の線材を補強部材として設けた可とう管によれば、金属材料が塑性変形しやすい材料であるため、管の直径方向に一定以上の圧力が加わった場合には、金属製の補強部材が塑性変形してしまい、圧力が取り除かれた後も管が扁平したままの状態になってしまう可能性がある。さらに、金属線材に予めコイル形状の癖を与えてから管に巻きつけるという方法で製造しているので(特開昭57−57634号公報参照)、製造装置が複雑になる。また、コイル形状が常に一定ではないことから製品の品質が安定しないという問題もある。
【0006】本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、良好な可とう性を有し、しかも耐熱性・耐圧性にも優れた可とう性管状体の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の可とう性管状体は、低弾性樹脂からなる管状体に、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材が、管状体に対して螺旋状または管状体の周方向に平行なリング状に設けられ、その線状補強部材が管状体に一体化されていることによって特徴づけられる。
【0008】本発明の可とう性管状体において、ノルボルネン系樹脂を得るノルボルネン系モノマーとしてシクロペンタジエンを用いることが好ましい。
【0009】なお、本発明の可とう性管状体には、パイプ、継手、ホースを初めとするくだ状の物の全てが含まれる。
【0010】本発明の可とう性管状体の詳細を以下に説明する。
【0011】本発明の可とう性管状体の具体的な構造としては、図1〜図5に例示するように、低弾性樹脂からなる管状体1の外周面に、架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材2、21を設けた構造(図1、図2)、低弾性樹脂からなる管状体11、12の管壁内部に架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材22を埋設した構造(図3、図4)、あるいは低弾性樹脂からなる管状体1の内周面に架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材23を設けた構造(図5)などを挙げることができる。これらの構造のいずれを採用してもよく、実用化する場合、管状体の用途、要求される曲げ剛性・圧縮強度、コスト等を考慮して最適な構造を選択すればよい。
【0012】例えば、本発明品を、電線ケーブルや通信ケーブル管として用いる場合には、図1〜図4のように、管状体の内周面がフラットになるように線状補強部材を設けることで、管内にケーブルを通す際にケーブルをスムーズに通すことができ、施工性が向上する。
【0013】本発明の可とう性管状体においては、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材を、図1のように管状体1に対して螺旋状に設けるか、図2のように管状体1の周方向に平行に設ける必要がある。補強部材を他の形態で設けた場合には、本発明の効果を十分に発現することができない。
【0014】例えば、線状補強部材を管長手方向に平行に設けた場合には、可とう性が悪くなってしまい、さらには直径方向の圧力に対しても十分な補強効果が現れない。また、面状の補強部材で管全体を覆ってしまった場合、本発明の可とう性管状体よりも可とう性が悪くなってしまう。
【0015】なお、線状補強部材のピッチは必ずしも均等でなくてもよく、必要とする可とう性・耐圧性・耐熱性に応じて適宜設計すればよい。特に、耐圧性が必要とされる部分や、ツルハシによる耐衝撃性が必要な部分については、ピッチを狭くすると効果的である。また、線状補強部材の形状・大きさついても、管状体の肉厚等の条件を含めて要求されるスペックに応じて設計すればよい。
【0016】本発明において、管状体に用いる低弾性樹脂としては、軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体、エチレン−酢酸ビニル共集合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、及び、これらの水素化物、さらにはノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0017】低弾性樹脂の弾性率は、必要とする形状の管状体を作製したときに、容易に手曲げできる弾性率であればよいが、具体的には1.3GPa以下であることが好ましい。
【0018】線状補強部材として用いるノルボルネン系樹脂は、耐衝撃性及び耐熱性の観点から架橋していることが好ましい。架橋ノルボルネン系樹脂は、少なくとも3環体以上のノルボルネン系モノマーを含む1種類以上のノルボルネン系モノマーをメタセシス重合触媒により、開環メタセシス重合させることにより得ることができる。
【0019】ノルボルネン系モノマーとしては、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及び、これらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)はもちろんのこと、エポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基を有する誘導体が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】以上列記したノルボルネン系モノマーのうち、入手の容易さ、反応性及び耐熱性等の物性バランスが優れている点から、ノルボルネン型モノマーを用いることが好ましい。ジシクロペンタジエンの融点は34℃程度であるので、融点以上に加熱した状態で型に導入すればよい。
【0021】また、上記ノルボルネン系モノマーの1種以上と共に開環重合可能なシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンあるいはインデン、クマロン、クマロン−インデン系コモノマーのようなメタセシス重合活性を有する環状モノマーなどを、本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0022】メタセシス重合触媒としては、例えばタングステン、モリブデン、タンタル、ルテニウム、レニウム、オスミウム、チタンなどのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げられる。プロセスとして空気中で重合を行う必要がある場合には、空気中での経時安定性に優れる触媒を選択すればよい。具体的には、下記の一般式(I)のルテニウムカルベン触媒や、一般式(II)のルテニウムビニリデン触媒が好ましい。
【0023】
【化1】

【0024】式中、R1及びR2は、互いに独立に、水素、C2〜C20−アルケニル、C1〜C20−アルキル、アリール、C1〜C20−カルボキシレート、C1〜C20−アルコキシ、C2〜C20−アルケニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20−アルコキシカルボニル、C1〜C20−アルキルチオ(これらは、C1〜C5−アルキル、ハロゲン、C1〜C5−アルコキシによって必要に応じて置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキル、ハロゲン、C1 〜C5−アルコキシによって置換されたフェニルによって必要に応じて置換されていてもよい)、フェロセン誘導体を意味し、また、式中、X1 及びX2 は、互いに独立に、任意のアニオン性配位子を意味し、L1 及びL2 は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を意味している。そして、X1 、X2 、L1 及びL2 の2個または3個は、一緒に多座キレート化配位子を形成してもよい。
【0025】更に好ましくは、一般式(I)及び一般式(II)の式中において、R1及びR2が、互いに独立に、水素、メチル、エチル、フェニル、フェロセニル、または、メチル、エチル、フェニルもしくはフェロセニルによって必要に応じて置換されたビニルであり、X1及びX2が、互いに独立に、Cl、Brであり、L1及びL2が、互いに独立に、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリフェニルホスフィン、またはトリシクロヘキシルホスフィンである、ルテニウムカルベン触媒やルテニウムビニリデン触媒である。
【0026】なお、ルテニウムビニリデン触媒の具体的な例として、下記の構造式(III)の触媒を挙げることができる。
【0027】
【化2】

【0028】上記メタセシス触媒の添加量は触媒の活性によって異なるので、一概には言えないが、全モノマーに対して1/5〜1/500000モル当量であることが好ましい。1/5当量よりも多いと得られる樹脂の分子量が上がらず、1/500000当量よりも少ないと重合速度が遅くなるので好ましくない。
【0029】そして、本発明の可とう性管状体には、酸化防止剤、充填材、補強材、発泡剤、消泡剤、揺変性付与剤、帯電防止剤、分子量調整剤、高分子改質剤、難燃剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、エラストマー等の種々の添加剤を配合することができる。
【0030】充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、クレー、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ガラスバルーン、シリカバルーン、熱膨張性塩化ビニリデン粒子等が挙げられる。
【0031】補強材の種類としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の有機繊維が挙げられる。
【0032】エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体、EPDM、エチレン−酢酸ビニル共集合体、及び、これらの水素化物が挙げられる。
【0033】本発明の可とう性管状体において、管を曲げた後の形状保持性能を高めたい場合には、塑性変形部材を管状体に埋め込むか、あるいは管状体表面に設けることにより達成できる。塑性変形部材としては、鉄やアルミニウム等の金属類や結晶性の低いプラスチック部材が挙げられる。塑性変形部材を設ける場所及び塑性変形部材の形状・厚さについては、必要とされる管状体の性能に応じて適宜設定すればよい。
【0034】本発明の可とう性管状体を成形するプロセスとしては、RIM成形、注型、押出、RI等の一般的な成形法への展開が可能であるが、製品形状、生産性等を考慮して最適なプロセスを選定すればよい。その成形法の具体例を以下に示す。
(1)注型型内にセットした低弾性樹脂からなる管状体の外周面に、触媒と混合したノルボルネン系樹脂組成物を流し込み、硬化させるとともに一体化させることにより、低弾性樹脂製の管状体の外周面に架橋ノルボルネン系樹脂製の線状補強部材を設ける方法を挙げることができる。この方法の場合、低弾性樹脂がポリエチレンやスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体等のオレフィン系樹脂であると、架橋ノルボルネン系樹脂の重合発熱によって低弾性樹脂製管状体と線状補強部材が良好に融着一体化する。
(2)架橋ノルボルネン系樹脂の線状部材を、硬化途中の柔らかい状態で低弾性樹脂製管状体の外周面に巻き付けた後、完全硬化させて一体化させる方法。
(3)予め型内に架橋ノルボルネン系樹脂の線状補強部材をセットした後、その周囲に液状の低弾性樹脂を流し込んで硬化一体化させることで可とう性管状体とする方法。
【0035】ここで、可とう管としての信頼性を高めるためには、低弾性樹脂製の管状体と架橋ノルボルネン系樹脂製の線状補強部材とが良好に接着一体化していることが望ましい。
【0036】接着性を高める方法としては、予め接着良好なプライマー処理を行うか、あるいは接着剤を用いて接着する等の方法がある。プライマー・接着剤は、低弾性樹脂とノルボルネン系樹脂の双方に接着良好なものであれば、特に限定されないが、好ましくはエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系、メタクリレート系のものがよい。このようなプライマー・接着剤は、必要に応じて多層構造とすることもできる。また、塗布厚さ等についても、必要に応じて適宜選択すればよい。
<作用>本発明によれば、低弾性樹脂からなる管状体に、ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材を設けているので、管状体自体の可とう性を維持しながら耐圧性を付与することができる。しかも、ノルボルネン系樹脂は熱変形温度が高いので、耐熱性にも優れた可とう性管状体とすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の可とう性管状体の実施形態を図1〜図5に示す。
【0038】図1の可とう性管状体P1 は、低弾性樹脂からなる管状体1の外周面に、架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材2が螺旋状に巻付けられており、その線状補強部材2が管状体1に一体化されているところに特徴がある。
【0039】図2の可とう性管状体P2 は、低弾性樹脂からなる管状体1の外周面に、架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材21・・21が、管状体1の周方向と平行に巻付けられており、その各線状補強部材21・・21が管状体1に一体化されているところに特徴がある。
【0040】図3の可とう性管状P3 は、低弾性樹脂からなる管状体11の管壁内部に、架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材22が螺旋状に埋設されているところに特徴がある。
【0041】なお、管状体の管壁内部に線状補強部材を埋設する場合、図4に示すように、管状体12の外周面を波形状とし、線状補強部材22を設ける部分の肉厚を厚く、その他の部分を薄くするという形態も考えられる。また、管状体の管壁内部に線状補強部材を埋設する場合、線状補強部材を管状体の周方向と平行に設けてもよい。
【0042】図5の可とう性管状体P4 は、低弾性樹脂からなる管状体1の内周面に、架橋ノルボルネン系樹脂からなる線状補強部材23が螺旋状に設けられており、その線状補強部材23が管状体1に一体化されているところに特徴がある。このように、線状補強部材23を管状体1の内周面に配置する場合においても、線状補強部材を管状体の周方向と平行に設けてもよい。
【0043】
【実施例】本発明の実施例を、以下、比較例とともに説明する。
<実施例1>・低弾性樹脂製管状体材質:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体弾性率:4.2MPa管形状:外径60mm、肉厚約3mm・線状補強部材ノルボルネン系モノマー:ジシクロペンタジエンメタセシス重合触媒:ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド形状:螺旋状で直径5mm、ピッチ20mmノルボルネン型モノマーとしてジシクロペンタジエンを用い、トルエン200部に、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド10部を溶解させた溶液を、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドのジシクロペンタジエンに対するモル比が1/10000になるように、40℃で混合攪拌して重合性樹脂組成物とした。
【0044】次に、60℃に温調した内径5mmの軟質塩化ビニル製チューブに上記重合性樹脂組成物を流し込み、1分後に脱型を行って、この時点では完全硬化せずに柔軟な状態にあるジシクロペンタジエン樹脂の線状体を取り出した。取り出した線状体をすぐさまスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体樹脂製の管状体の外周面に螺旋状に巻き付け、その後、60℃で10分間加熱硬化させて一体化させることで、可とう性管状体(図1)を得た。なお、トータルの成形時間は17分であった。
【0045】得られた可とう性管状体の曲げ剛性を測定したところ、3kgmであった。
【0046】また、得られた可とう性管状体から長さ10cmのサンプルを切り出し、そのサンプルの直径方向に3kgfの加重を加えて耐圧試験を行ったところ、25℃雰囲気では加重方向の変位量が約5mmであり、90℃雰囲気においては加重方向の変位量が約6mmであった。加重除去後は25℃、90℃いずれにおいても変位量が0mmとなり元通りの形状に戻った。なお、耐圧試験は一般的な引張−圧縮試験器で行い、管の変位量はクロスヘッドの変位量とした。
<実施例2>・低弾性樹脂製管状体材質:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体弾性率:4.2MPa管形状:外径60mm、肉厚約3mm・線状補強部材ノルボルネン系モノマー:ジシクロペンタジエンメタセシス重合触媒:ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド形状:螺旋状で直径5mm、ピッチ20mmノルボルネン型モノマーとしてジシクロペンタジエンを用い、トルエン200部に、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド10部を溶解させた溶液を、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドのジシクロペンタジエンに対するモル比が1/10000になるように、40℃で混合攪拌して重合性樹脂組成物とした。
【0047】次に、60℃に温調した注型型内にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体樹脂製の管状体をセットし、型内に上記重合性樹脂組成物を流し込み、10分後に脱型することにより、外周面に周方向に平行に線状補強部材が一体化した可とう性管状体(図2)を得た。なお、トータルの成形時間は12分であった。
【0048】得られた可とう性管状体の曲げ剛性を測定したところ、3kgmであった。
【0049】また、得られた可とう性管状体から長さ10cmのサンプルを切り出し、そのサンプルの直径方向に3kgfの加重を加えて耐圧試験を行ったところ、25℃雰囲気では加重方向の変位量が約5mmであり、90℃雰囲気においても加重方向の変位量は約5mmであった。加重除去後は25℃、90℃いずれにおいても変位量が0mmとなり元通りの形状に戻った。なお、耐圧試験は一般的な引張−圧縮試験器で行い、管の変位量はクロスヘッドの変位量とした。
<比較例1>・低弾性樹脂製管状体材質:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体弾性率:4.2GPa管形状:外径60mm、肉厚約3mm・補強部材 なしスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体樹脂製の管状体単体で、以下の性能評価を行った。
【0050】曲げ剛性を測定したところ、2.5kgmであった。また、管状体から長さ10cmのサンプルを切り出し、そのサンプルの直径方向に3kgfの加重を加えて耐圧試験を行ったところ、25℃雰囲気では加重方向の変位量が約21mmであり、90雰囲気での加重方向の変位量は約32mmであった。加重除去後は25℃雰囲気で変位量が0mmとなり元通りの形状に戻ったが、90℃では変位量が約15mmで扁平してしまった。なお、耐圧試験は一般的な引張−圧縮試験器で行い、管の変位量はクロスヘッドの変位量とした。
<比較例2>・低弾性樹脂製管状体材質:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体弾性率:4.2GPa管形状:外径60mm、肉厚約3mm・補強部材材質:ポリエチレン形状:螺旋状で直径5mm、ピッチ20mmスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体樹脂製の管状体の周囲に、ポリエチレン製の線状体を巻き付け、溶剤型のスチレンブタジエン/スチレンイソプレン系接着剤で接着一体化させ、25℃で24時間放置して管状体を得た。なお、巻き付け作業は、予め90℃に加熱して柔軟化させたポリエチレン製線状体を用いた。
【0051】得られた可とう性管状体の曲げ剛性を測定したところ、3kgmであった。
【0052】また、得られた可とう性管状体から長さ10cmのサンプルを切り出し、そのサンプルの直径方向に3kgfの加重を加えて耐圧試験を行ったところ、25℃雰囲気では加重方向の変位量は約6mmであったが、90℃雰囲気での加重方向の変位量は約19mmであった。加重除去後は、25℃で変位量が約1mmとなり、ほぼ元通りの形状に戻ったが、90℃では変位量が約11mmで扁平してしまった。なお、耐圧試験は、一般的な引張−圧縮試験器で行い、管の変位量はクロスヘッドの変位量とした。
<比較例3>・低弾性樹脂製管状体材質:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体弾性率:4.2GPa管形状:外径60mm、肉厚約3mm・補強部材材質:綱線形状:直径1.5mm、ピッチ20mmスチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体樹脂製の管状体の周囲に、鋼線を巻き付け、溶剤型のスチレンブタジエン/スチレンイソプレン系接着剤で接着一体化させて25℃で24時間放置した。さらに鋼線の上から幅約10mmのビニールテープを巻きつけて補強することにより、可とう性管状体を得た。
【0053】得られた可とう性管状体の曲げ剛性を測定したところ、3kgmであった。
【0054】また、得られた可とう性管状体から長さ10cmのサンプルを切り出し、そのサンプルの直径方向に3kgfの加重を加えて耐圧試験をしたところ、25℃雰囲気では加重方向の変位量が約4mmであり、90℃雰囲気においては加重方向の変位量が約6mmであった。加重除去後は25℃雰囲気では変位量が約2mmとなり、僅かではあるが扁平し、90℃では変位量が約4mmとなり扁平してしまった。なお、耐圧試験は、一般的な引張−圧縮試験器で行い、管の変位量はクロスヘッドの変位量とした。
【0055】以上の実施例1及び2と、比較例1〜3の各測定結果を、下記の表1にまとめて示す。
【0056】
【表1】

【0057】以上の表1に示す結果から、本発明の可とう性管状体は、未補強のものと同等の可とう性をもち、管直径方向に圧力が加わったときの扁平が少なくて、90℃の高温時においても25℃の常温時と変わらない耐熱性を有していることが確認できた。さらに、圧力を除加した後も扁平することなく、元の形状に戻ることも確認できた。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、可とう性が良好な低弾性樹脂からなる管状体を、物性が良好なルボルネン系樹脂からなる線状補強部材で補強しているので、可とう性が良好で、耐熱性・耐圧性にも優れた軽量な可とう性管状体を提供することができる。
【0059】本発明による可とう性管状体は、高密度ポリエチレン管では展開が困難である、耐熱性が要求される電力・通信管にも展開可能である。さらに、ノルボルネン系樹脂はオレフィンであることから、サーマルリサイクル性に優れている。
【0060】本発明による可とう性管状体は、複雑な成形設備を用いることなく、簡易な設備、プロセスで短時間に作製することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−241574(P2001−241574A)
【公開日】 平成13年9月7日(2001.9.7)
【出願番号】 特願2000−49819(P2000−49819)