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【発明の名称】 コネクタ
【発明者】 【氏名】宮島 敦夫

【氏名】坂崎 一茂

【要約】 【課題】雌要素と相手部材である雄要素とをシール性を確保して接続できると共に、部品点数を少なくしてコストを削減できる、簡単でコンパクトなコネクタを提供する。

【解決手段】樹脂又は金属からなる管状の雌要素40の受入端部内に筒状の弾性体50が装着保持され、管状の雄要素30を挿入したとき雌要素40の第1の径部41内で弾性体50の隆起部53が拡径しながら、雄要素30の環状突出部31が係止内周溝56に係止される。雌要素40の第2の径部43内に収容された弾性体50の他端側のシール部54によって、雄要素30と雌要素40の間がシールされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管状の雌要素の一端に形成された筒状の受入端部の受入穴内に装着保持された筒状の弾性体によって管状の雄要素を該雌要素に一緒に止着させたコネクタであって、前記管状の雄要素は、ストレートに延びる先端部と該先端部の後に隣接された環状突出部とを備えた挿入端部を具備し、前記筒状の弾性体は、その一端側に前記管状の雄要素の該環状突出部をスナップ入りせしめて該環状突出部を収容するのに適した環状の係止内周溝を有する筒状の隆起部を備える一方、他端側に該管状の雄要素の該先端部の外周面と流体密に係合する内周面をもつ該隆起部に隣接された円筒状のシール部を備え、前記管状の雌要素は、前記隆起部を受入れるために、前記受入端部の一端側に前記弾性体の該円筒状のシール部の外径よりも大きい内径をもつ第1の穴を有する第1の径部を備えると共に、該第1の径部の入口に、前記管状の雄要素と前記管状の雌要素の間に引き抜き力が作用したとき、前記筒状の弾性体の前記隆起部の一端外表面と係合する、前記管状の雄要素の該環状突出部の外径よりも僅かに大きい内径を有する、該第1の径部の内周面から半径方向内方に延出した環状の規制リブを備える一方、他端側に前記円筒状のシール部を受入れるのに適した第2の穴を有する第2の径部を備え、前記筒状の弾性体の該筒状の隆起部の該係止内周溝に前記管状の雄要素の該環状突出部をスナップ入りさせるために、前記第1の径部の該第1の穴において、該第1の径部と該隆起部との間に前記筒状の隆起部を拡径できる空間を有していることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】 前記管状の雌要素の第2の径部が、前記筒状の弾性体の他端側への動きを規制するための段差を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】 前記筒状の雌要素が一定肉厚の金属パイプで一体に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】 前記管状の雌要素の該第1の径部の入口に形成された該環状の規制リブが、半径方向外方に延びる補強部を備えていることを特徴とする、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】 前記筒状の弾性体の該隆起部に形成された係止内周溝が一端側に、挿入された前記管状の雄要素の該環状突出部と係止する環状のロック面を有し、該環状のロック面を形成するために、該筒状の隆起部の一端開口部に肉厚部を備え、該肉厚部の内周面が他端側に向かって漸次小径となる案内面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】 前記筒状の弾性体が、使用された特性の異なる材料の相違により定められた、前記筒状の隆起部及び該隆起部に隣接された該円筒状のシール部の一端部側とからなる第1の領域と、該シール部の一端部側と隣接した該円筒状のシール部の他端部側からなる第2の領域とを備え、該第1の領域が低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成される一方、第2の領域が低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成されているか、若しくは第1の領域が低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成される一方、第2の領域が低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成されているか、のいずれかの1つであることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】 前記第1の領域と前記第2の領域とが一体に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】 前記第1の領域と前記第2の領域とが独立分離していることを特徴とする、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項9】 前記低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーがNBR(ニトリルゴム)、NBRPVC(ニトリルゴムとポリ塩化ビニルの混合物)、及びFVMQ(フロロシリコンゴム)から選ばれた1種であり、前記低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーがFKM(フッ素ゴム)であることを特徴とする、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項10】 前記筒状の弾性体の該隆起部に設けた該係止内周溝がチャンネル形状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料、オイル、水、及びエア等の各種流体を移送するため、例えば樹脂チューブと金属パイプとを接続するコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の各種ホースやパイプ等を相互に連結するために、各種のコネクタが知られている。その代表的なものの一つに、図12に示すものがある。このコネクタは、金属パイプ等の管状の雄部材10と、一端に雄部材10の端部を収納する大径部を有し、他端に樹脂チューブ等を挿着するためのチューブ挿着部21を有する筒状のハウジング部材20と、ハウジング部材20の一端開口から挿入されてハウジング部材20に係止されると共に、雄部材10の環状突出部11を係合してハウジング部材20に連結させる係止部材25とを備え、更にハウジング部材20の中央部内周には雄部材10の外周面との間をシールするOリング等の環状のシール部材12、及びシール部材12を所定位置に保持するための環状のブッシュ13やカラー14を備えている。
【0003】この種のコネクタでは、係止部材25が変形可能部分と変形不能部分とで構成され、その少なくとも一箇所を軸方向に切り欠くことで弾性変形可能になっている。従って、係止部材25はハウジング部材20内に縮径しながら挿入され、その係止部26がハウジング部材20に設けた窓部22にスナップ係止するようになっている。ハウジング部材20に係止された係止部材25は、その半径方向斜めに延びる変形不能部分25aが変形可能部分により雄部材10の環状突出部11とスナップ係合して、雄部材10をハウジング部材20に連結することができる。また、係止部材25の一端には一対の操作アーム部27が一体的に設けてあり、この操作アーム部27を径方向内方に押して全体を縮径させることで、雄部材10を係止部材25及びハウジング部材20から取り外すことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のコネクタを用いた接続構造体においては、部品点数が多いためコスト削減に限界があるうえ、軸方向の全長が長くコンパクト化が難しいという問題があった。即ち、図12に示すように、操作アーム部27を有する略筒状の係合部材25及びブッシュ13をハウジング部材20の内部に収納する必要があるうえ、ハウジング部材20の一端開口から挿入した相手部材10の環状突出部11を係合部材25の他端で係止して接続するため、必然的にコネクタ部分の軸方向の全長が極めて長くならざるを得なかった。
【0005】また、GB2022727Aには、雄要素(燃料噴射ノズル)が、雌要素の入口部の穴内に弾性スリーブによって挿入止着された接続構造が開示されている。この弾性ブリーブは一端に半径方向外方に突出した外方突出部及び内方に突出した内方突出部を備えたビード部を具備し、他端に半径方向内方に突出したリブを備えた導入端部を具備している。そして、雄要素が挿入端部に半径方向突出部と係合する係合外周溝を備え、雌要素が穴の内周面に外方突出部と係合する環状溝を備え、この弾性スリーブのビード部の壁の厚みは係合外周溝と環状溝とで形成された隙間よりも僅かに大きく形成されている。また、この弾性スリーブの導入端部のリブの厚みは、これと対応する雄要素と穴とで形成された隙間よりも大きく形成されている。従って、この燃料噴射ノズルのための接続構造は、雄要素を雌要素の入口部の穴内に圧入することにより、雄要素は弾性スリーブのビード部により雌要素の入口部の穴内に止着でき、且つ弾性スリーブの導入端部に形成されたリブによりシールされる。
【0006】かかる接続構造では、雄要素を弾性スリーブのビード部により雌要素の入口部の穴内に強く止着するためには、ビード部の厚みは上記した隙間よりも十分大きく形成する必要があり、弾性スリーブを雄要素の係合外周溝に予め組立てた後、雄要素を雌要素の入口部の穴内に挿入させ、弾性スリーブのビード部を環状溝に外れないように確実に係合させる必要があった。しかしながら、両者が確実に係合したかどうかを感知することが困難で、両者の係合が不完全な場合、使用中に両者が外れる心配があり、しかも比較的強い力で雄要素を挿入させる必要があった。また、雄要素を雌要素から容易に離脱することが困難であり、更に弾性スリーブを雄要素の係合外周溝に予め組立てておかなければならないため、露出した状態の弾性スリーブが雌要素への挿入前に損傷を受ける危険があった。
【0007】本発明は、このような従来の事情に鑑み、部品点数を少なくしてコストを削減すると共に、軸方向において更にコンパクト化を図り、且つシール部材の損傷を防いで、強い挿入力を要することなく雄要素を雌要素に容易に且つ確実に接続できるコネクタを提供することを第1の目的とする。好ましくは、雌要素に接続された雄要素を、雌要素からリリース具を用いて容易に離脱することができるコネクタを提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明が提供するコネクタは、管状の雌要素の一端に形成された筒状の受入端部の受入穴内に装着保持された筒状の弾性体によって管状の雄要素を該雌要素に一緒に止着させたコネクタであって、前記管状の雄要素は、ストレートに延びる先端部と該先端部の後に隣接された環状突出部とを備えた挿入端部を具備し、前記筒状の弾性体は、その一端側に前記管状の雄要素の該環状突出部をスナップ入りせしめて該環状突出部を収容するのに適した環状の係止内周溝を有する筒状の隆起部を備える一方、他端側に該管状の雄要素の該先端部の外周面と流体密に係合する内周面をもつ該隆起部に隣接された円筒状のシール部を備え、前記管状の雌要素は、前記隆起部を受入れるために、前記受入端部の一端側に前記弾性体の該円筒状のシール部の外径よりも大きい内径をもつ第1の穴を有する第1の径部を備えると共に、該第1の径部の入口に、前記管状の雄要素と前記管状の雌要素の間に引き抜き力が作用したとき、前記筒状の弾性体の前記隆起部の一端外表面と係合する、前記管状の雄要素の該環状突出部の外径よりも僅かに大きい内径を有する、該第1の径部の内周面から半径方向内方に延出した環状の規制リブを備える一方、他端側に前記円筒状のシール部を受入れるのに適した第2の穴を有する第2の径部を備え、前記筒状の弾性体の該筒状の隆起部の該係止内周溝に前記管状の雄要素の該環状突出部をスナップ入りさせるために、前記第1の径部の該第1の穴において、該第1の径部と該隆起部との間に前記筒状の隆起部を拡径できる空間を有していることを特徴とする。
【0009】また、上記本発明のコネクタにおいては、前記管状の雌要素の第2の径部が前記筒状の弾性体の他端側への動きを規制するための段差を備えていることを特徴とする。また、前記筒状の雌要素が一定肉厚の金属パイプで一体に形成されていることを特徴とし、前記管状の雌要素の該第1の径部の入口に形成された該環状の規制リブが半径方向外方に延びる補強部を備えていることを特徴とする。
【0010】更に、上記本発明のコネクタにおいては、前記筒状の弾性体が、使用された特性の異なる材料の相違により定められた、前記筒状の隆起部及び該隆起部に隣接された該円筒状のシール部の一端部側とからなる第1の領域と、該シール部の一端部側と隣接した該円筒状のシール部の他端部側からなる第2の領域とを備え、該第1の領域が低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成される一方、第2の領域が低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成されているか、または第1の領域が低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成される一方、第2の領域が低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成されているか、のいずれかの1つであって良い。また、前記第1の領域と前記第2の領域とは、一体に形成されていても良いし、独立分離していても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明が提供するコネクタは、部品点数が多く複雑な構造を有する従来のコネクタ(図8参照)において独立したシール部材やシール部材を保持するためのブッシュ等を省略し、雌要素内に装着保持された筒状の弾性体に雄要素を接続するための係止作用と、シール部材としてのシール作用とをもたせたものである。尚、雄要素と接続するための樹脂チューブ等は、上記雌要素の他端側外周に圧入などにより接続される。
【0012】本発明のコネクタの一具体例を図1〜5に基づいて詳しく説明する。まず、雄要素30は、通常の金属パイプなどであってよく、図1に示すように、ストレートに延びる先端部30aと該先端部30aの後方に隣接して外周面から半径方向外方に突き出た環状突出部31とを備える挿入端部を具備している。環状突出部31の形状は、図示するようにビード形状でもよいし、挿入を容易にするため先端部30a側にテーパー面を設けることもできる。
【0013】雌要素40は、樹脂又は金属若しくは金属の外周に樹脂を被覆したものからなり、好ましくは一定肉厚の金属パイプで一体に形成されている。雌要素40は、図1及び図2に示すように、受入端部40aの一端側に後述する弾性体50の隆起部53を受入れる第1の穴41aを有するように径方向外方に拡径した第1の径部41を備えると共に、受入端部40aの他端側には弾性体50の円筒状のシール部54を受入れるのに適した第2の穴43aを有する第2の径部43を備えている。この雌要素40の第1の径部41における第1の穴41aは、挿着保持された弾性体50の隆起部53と第1の径部41との間に、隆起部53を拡径できる空間を有している。従って、第1の径部41はシール部54の外径よりも十分大きい内径を有している。
【0014】上記雌要素40の第1の径部41は、その入口に、雄要素30の環状突出部31の外径よりも僅かに大きい内径を有する半径方向内方に延出した環状の規制リブ42を備えている。そして、雄要素10と雌要素40との間に引き抜き力が作用したとき、規制リブ42により形成された傾斜した内表面が弾性体50の隆起部53の一端外表面と当接して係合し、雄要素が雌要素から外れるのを阻止すると共に、弾性体50の隆起部53の拡径を阻止するようになっている。また、雌要素40の第2の径部43は、その他端側に弾性体50の他端側への動きを規制するための段差44を備えている。
【0015】筒状の弾性体50は、図1及び図3に示すように、NBRPVC(ニトリルゴムとポリ塩化ビニルの混合物)のような弾性変形可能な材料からなり、上記管状の雌要素40の受入端部40a内に収納保持される。弾性体50の一端側には、管状の雄要素30の環状突出部31をスナップ入りせしめて環状突出部31を収容するのに適した環状の係止内周溝56を有する筒状の隆起部53が設けてある。弾性体50の隆起部53に隣接して延長した他端側には、雄要素30の先端部30aの外周面と流体密に係合する内周面をもつ円筒状のシール部54を備えている。そして、このシール部54の外周部が受入端部40aの第2の径部43の内周面に流体密に係合している。尚、弾性体50の隆起部53に設けた係止内周溝56の内径は、シール部54の内径よりも大きく形成されている。
【0016】弾性体50の隆起部53に形成された係止内周溝56は、その一端側が環状のロック面56aとなっていて、挿入された雄要素30の環状突出部31と係止して、雄要素30の引き抜きを防止する。このロック面56aを形成するため、隆起部53の一端開口部に肉厚部52を備えている。そして、肉厚部52の内周面を他端側に向かって漸次小径となる案内面51に形成することができる。
【0017】上記雌要素40に雄要素30を接続する際には、まず、雌要素40の受入端部40aの一端開口から筒状の弾性体50を嵌め込み、弾性体50の隆起部53を第1の径部41の第1の穴41a内に位置せしめると共に、弾性体50のシール部54を第2の径部43の内周面に添わせて収納する。このように内部に筒状の弾性体50を装着保持した状態の雌要素40に、その受入端部40aの一端開口から雄要素30の挿入端部を挿入すると、図4に示すように、環状突出部31が案内面51に沿って弾性体50の肉厚部52及び隆起部53を径方向外方に押し広げて拡径しながら進入する。尚、雄要素30を挿入する際、弾性体50はシール部54の他端が雌要素40の段差44に当接するので、他端側に押し込まれることがない。
【0018】このようにして雌要素40に挿入された雄要素30は、図1に示すように、環状突出部31が弾性体50の隆起部53の内側に設けた係止内周溝56内に嵌め込まれて係止される。このとき同時に、弾性体50の隆起部53は、雌要素40の第1の径部41に設けた第1の穴41a内に収納されている。このため、図5に示すように、雄要素30に矢印方向の引き抜き力を加えても、環状突出部31が弾性体50の係止内周溝56の環状のロック面56aに当接し、且つ弾性体50の肉厚部52及び隆起部53が外側の雌要素40の規制リブ42に当接係合されるので、雄要素30を引き抜くことができず、接続状態を保持することができる。
【0019】また、このコネクタのシール性は、雄要素30の挿入端部30aと、雌要素40の第1の径部41から他端側に延長した第2の径部43との間に挟持された筒状の弾性体50のシール部54によって確保される。弾性体50によるシール性を更に高めるため、シール部54に適当な間隔をおいて複数の環状節部55を設けることができる。環状節部55の断面形状は特に限定されず、図示した球形のほか、三角形、矩形などであってよい。
【0020】上記のごとく接続したコネクタから雄要素30を取り外す場合には、図6に示すように、軸方向に2分割された円筒体61からなるリリースツール60を使用する。即ち、図7に示すように、リリースツール60の2分割された各円筒体61を雄要素30の外周に嵌め、鍔部63を押して円筒体61のテーパー面62を有する先端を雌要素40の受入端部40aの一端開口から内側に差し込むと、先端のテーパー面62が弾性体50の案内面51に沿って進入しながら、肉厚部52と一緒に隆起部53を雌要素40の第1の径部41の第1の穴41a内で半径方向外方に押し上げる。このとき、弾性体50の案内面51の内周端が雄要素30の環状突出部31の外周端よりも外側に拡径されるので、雄要素30を一端側(図7の矢印方向)に引き抜くことができる。
【0021】本発明におけるコネクタの他の具体例を図8〜9に示す。この具体例のコネクタでは、雌要素70がポリアミドなどの樹脂で構成され、それぞれ別体の第1の径部材71と第2の径部材72とからなっている。即ち、筒状の第1の径部材71は、前記した具体例(図1〜5参照)と同様に弾性体50の隆起部53を収容保持する第1の穴71aを備え、その一端側に規制リブ74を有すると共に、他端側には係合周壁部75が形成してあり、この係合周壁部75には周方向に沿って等間隔に複数の係合孔75aが設けてある。
【0022】一方、筒状の第2の径部材72には、その一端側の筒壁76の外周面に複数の係合爪76aが周方向に沿って等間隔に突設してあり、他端側には樹脂チューブなどを圧入して接続するためのニップル部77が設けてある。この第2の径部材72の筒壁76を前記第1の径部材71の係合周壁部75内に挿入することにより、筒壁76に設けた係合爪76aが係合周壁75の係合孔75aに係合して、第1の径部材71と第2の径部材72が同軸的に連結される。
【0023】この具体例のコネクタにおいては、雌要素70が上記のごとく別体の第1の径部材71と第2の径部材72で構成される以外、他の部分は前記した具体例と実質的に変わりがない。ただし、図8から分るように、この具体例では、筒状の弾性体50の係止内周溝56がチャンネル形状に形成してあり、係止内周溝56の一端側のロック面56a及び他端側のストッパ面56bが共に軸方向に対してほぼ直角になっている。尚、係止内周溝56のストッパ面56bにより、挿入された雄要素30の環状突出部31が当接して、雄要素30の位置決めをより正確に行なうことができる。また、第2の径部材72の筒壁76とニップル部77の間の内周面には、弾性体50の押し込みを防止する段差78が形成されている。
【0024】本発明のコネクタにおいては、図10及び図11に示すように、管状の雌要素40の一端に、環状の規制リブ42から半径方向外方に延びる補強部45a又は45bを設けることができる。補強部45a、45bを設けることによって、雌要素40に接続した雄要素30に過大な引き抜き力が加わったときでも、雌要素40の受入端部42が広がって雄要素30が抜けるのを防止することができる。尚、補強部の形状は図10及び図11に限定されるものではない。
【0025】また、本発明における筒状の弾性体50は、通常は全体を1種の材料で構成するが、筒状の隆起部53及び該隆起部53に隣接された該円筒状のシール部54の一端部側とからなる第1の領域と、該シール部54の一端部側と隣接した該円筒状のシール部54の他端部側からなる第2の領域とを、それぞれ異なる材料により構成することもできる。この場合、弾性体50の第1の領域と第2の領域とは、接着などにより一体に形成することもできるが、図10に示すように、第1の領域54aと第2の領域54bとを別体に形成し、雌要素40の第2の径部43における第2の穴43a内に分離して配置することも可能である。
【0026】このように筒状の弾性体50を2つの領域に分けて、それぞれ異なる特性の材料を使用する場合、第1の領域を低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成する一方、第2の領域を低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成するか、又は第1の領域が低ガソリン透過性のゴム又はエラストマーで構成する一方、第2の領域が低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーで構成するか、のいずれであっても良い。低温下でのシール性に優れたゴム又はエラストマーとしては、NBR(ニトリルゴム)、NBRPVC(ニトリルゴムとポリ塩化ビニルの混合物)、及びFVMQ(フロロシリコンゴム)から選ばれた1種を用いることが好ましい。また、ガソリン耐透過性のゴム又はエラストマーとしては、FKM(フッ素ゴム)が好ましい。
【0027】上記した本発明のコネクタでは、雄要素と雌要素とを雌要素の受入端部に装着保持させた筒状の弾性体とを用いて接続し、この雌要素の他端側に樹脂チューブなどを接続できる。この筒状の弾性体は雄要素と雌要素との間を確実にシールできるうえ、弾性体は雌要素と共働して雄要素の係止部材として作用する。従って、通常のOリング等シール部材やこのシール部材を保持するために配置されるブッシュやカラーを使用する必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0028】尚、本発明のコネクタでは、雌要素と筒状の弾性体とが共働して雄要素を係止する機構に第1の特徴があるため、この係止機構に関する部分以外は上記各具体例に限定されるものではない。例えば、上記各具体例では、雌要素40の第2の径部43は他端側に延長している部分(樹脂チューブなどを接続するためのニップル部)の内径が、雄要素30の挿入端部の先端部30aの外径とほぼ同一である場合を例示したが、他端側に延長している部分は一定内径のまま筒状部として延長しても良いし、雄要素30の先端部30aの外径よりも更に小さく縮径させることもできる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、雌要素と雄要素との接続において、雌要素と雌要素の内部に装着保持された筒状の弾性体に雄要素を接続するための係止作用とシール部材としてのシール作用とを兼備させることによって、構造を簡単にして部品点数を少なくし、コストの削減を図ると共に、筒状の弾性体がその一端側に雄要素の環状突出部をスナップ入りさせる係止内周溝を有する一方、雌要素の受入端部が第1の穴において第1の径部と弾性体の隆起部との間に隆起部を拡径できる空間を有しているので、雄要素を雌要素に接続する際に環状突出部を係止内周溝に強い挿入力を要することなく容易に且つ確実に止着させることができる。
【0030】また、本発明のコネクタにおける筒状の弾性体は、雌要素の内部に予め装着保持されているため損傷を受けることがなく、雌要素と雄要素との間を確実にシールすることができるうえ、弾性体の移動を防ぐためのブッシュやカラーの挿着を省略することができる。しかも、本発明のコネクタでは雌要素と雄要素との結合部を減らすことができ、シール性に対する信頼性をより一層向上させることができる。また、好ましい形態では、筒状の弾性体の隆起部の一端開口部に肉厚部を備え、この肉厚部の内周面が他端側に向かって漸次小径となる案内面を有しているので、雄要素を更に容易に止着できると共に、リリースツールを用いて雄要素を容易に解除することができる。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【代理人】 【識別番号】100083910
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 正緒
【公開番号】 特開2001−200963(P2001−200963A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−320246(P2000−320246)