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【発明の名称】 冷媒の輸送管
【発明者】 【氏名】渡部 充彦

【氏名】加藤 武志

【氏名】藤上 純

【要約】 【課題】輸送管における断熱層の損傷を検知できる冷媒の輸送管構造を提供するを提供する。

【解決手段】液体窒素と液体酸素とを主成分とする冷媒の輸送管であって、窒素ガスの流路20を具える。窒素ガスの流路20は、冷媒の輸送管を構成する真空断熱層10の外部でも内部でもいずれに設けても良い。輸送管の冷媒流路13と共に窒素ガスの流路20が破壊されると、窒素ガスの流路20内にN2とO2の混合気体が侵入する。それにより、窒素ガス流路20内の圧力やガス組成が変化するため、これを圧力計41やガスの組成分析器により監視することで輸送管の損傷を検知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体窒素と液体酸素とを主成分とする冷媒の輸送管であって、前記冷媒の輸送管に沿って窒素ガスの流路を具えることを特徴とする冷媒の輸送管。
【請求項2】 輸送管は真空断熱層を具え、この断熱層の外周に窒素ガスの流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の冷媒の輸送管。
【請求項3】 輸送管の冷媒通路内に窒素ガスの流路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の冷媒の輸送管。
【請求項4】 窒素ガスの流路に循環装置を設け、窒素ガスの循環路を構成したことを特徴とする請求項2または3に記載の冷媒の輸送管。
【請求項5】 窒素ガスの循環路に圧力計を設けたことを特徴とする請求項4に記載の冷媒の輸送管。
【請求項6】 窒素ガスの循環路に気体の組成分析器を設けたことを特徴とする請求項4に記載の冷媒の輸送管。
【請求項7】 輸送管の長手方向において、窒素ガスの循環路を複数区間形成したことを特徴とする請求項4に記載の冷媒の輸送管。
【請求項8】 輸送管は真空断熱層を具え、この断熱層に圧力計を具えることを特徴とする請求項1に記載の冷媒の輸送管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体窒素と液体酸素とを主成分とする冷媒の輸送管に関するものである。特に、輸送管における断熱層の損傷を検知できる冷媒の輸送管構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導ケーブルなど、超電導機器の冷媒としては液体窒素(凝固点63k)が広く知られている。一方、液体空気(凝固点57k)に代表される液体窒素と液体酸素の混合冷媒は液体窒素に比べて凝固点が低いと言う特徴がある。そのため、このような冷媒は冷凍機を用いて容易に低温液体状態を実現でき、超電導機器の大容量化などの利点を有することが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、液体窒素と液体酸素の混合冷媒は、酸素濃度が高くなったときに火気があると爆発する危険性を有しており、実用化への大きな障害となっていた。
【0004】通常、液体窒素と液体酸素の混合冷媒の供給には真空断熱層を持つ輸送管が利用されている。この断熱層が事故により損傷した場合、冷媒温度が上昇して沸点の低い窒素が先に気化し、液体冷媒中の酸素濃度が高くなる。一般に酸素濃度が30体積%を超えると火気により爆発の危険性がある。また、酸素濃度の高い冷媒は化学活性が強く、炭化水素系の化学物質と結合して爆発することもある。
【0005】一方、断熱層の損傷事故が起こった場合に、これを検出する有効な手段は提案されていない。輸送管は通常長尺であるため、損傷を検知するセンサを長手方向に多数設置することが非現実的なためである。
【0006】従って、本発明の主目的は、輸送管における断熱層の損傷を検知できる冷媒の輸送管構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、輸送管に窒素ガス流路を付加することで上記の目的を達成する。すなわち、本発明は、液体窒素と液体酸素とを主成分とする冷媒の輸送管であって、窒素ガスの流路を具えることを特徴とする。
【0008】窒素ガスの流路は、輸送管の冷媒流路が何らかの損傷を受けた場合にほぼ同時に破壊されるような構成とすることが望ましい。輸送管の冷媒流路と共に窒素ガスの流路が破壊されると、窒素ガスの流路内にN2とO2の混合気体が侵入する。それにより、窒素ガス流路内の圧力やガス組成が変化するため、これを監視することで輸送管の損傷を検知することができる。また、輸送管の冷媒流路が損傷して冷媒の漏出が起こると、冷媒温度が上昇し、液体窒素の優先的な気化と、冷媒中の酸素濃度の上昇が起こる。これに対しては窒素ガス流路から供給される窒素ガスにより、漏出個所周辺の窒素濃度を上げることで対処する。液体空気からの窒素の優先的な気化は、周囲の大気の窒素濃度に依存する。そのため、冷媒漏出個所に液体窒素を供給することで、その周辺の窒素濃度を上げ、冷媒からの優先的な窒素の気化を抑制して、結果的に冷媒中の酸素濃度の上昇を抑える。
【0009】通常、輸送管は内外管からなる真空断熱層を具えており、その内管の内部が冷媒流路となっている。窒素ガス流路は、真空断熱層外部と内部のいずれに設けても良い。すなわち、輸送管を三重構造とし、内層と中間層との間を真空断熱層とし、中間層と外層との間を窒素ガスの流路とする。あるいは、真空断熱層における内管の内部に別のパイプを挿入し、このパイプを窒素ガス流路としても良い。
【0010】窒素ガスの流路には循環装置を設け、窒素ガスの循環路を構成することが好ましい。循環装置としては、圧送用のポンプ等が利用できる。そして、この循環路には、圧力計、気体の組成分析器の少なくとも一方を設けることが望ましい。
【0011】また、輸送管の長手方向において、窒素ガスの循環路を複数区間形成することが好適である。区間毎に輸送管の損傷を監視でき、事故区間の特定をし易くするためである。
【0012】さらに、輸送管の真空断熱層に圧力計を設けても良い。真空断熱層が破壊されれば、その内部に冷媒が侵入して気化することで真空度が全長に亘って低下する。この真空度の変化を圧力計(真空計)で計測することで輸送管の損傷を監視することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1、図2は本発明輸送管の概略構成図である。いずれの輸送管も真空断熱層10を具えている。この真空断熱層10は、内管11と外管12とから構成され、両管の間はスーパーインシュレーション(図示せず)が配置されて真空引きされている。内管の内部が冷媒(液体空気)流路13となる。スーパーインシュレーションは、例えばアルミ箔とメッシュ状の樹脂を交互に積層した断熱材である。
【0014】図1はこのような真空断熱層10の外周に窒素ガス流路20を形成した構成である。すなわち、外管12の外にさらにもう一層パイプ(最外管21)を設け、最外管21と外管12との間を窒素ガス流路20としている。このような輸送管の端部においては、図3に示すように、最外管21の外周に窒素ガスの供給孔22を構成すれば良い。
【0015】一方、図2は真空断熱層10の内部に窒素ガス流路20を構成した構成である。すなわち、内管の内部に際にもう一層パイプ(最内管23)を設け、最内管23の内部を窒素ガス流路20としている。このような輸送管の端部においては、図4に示すように、真空断熱層10を冷媒容器30に接続し、最内管23は冷媒容器30を介して外部に引き出され、窒素ガスの供給孔24が形成される。
【0016】このような輸送管を用いて損傷監視を行うには、図5に示すように圧力計や組成分析器ならびに真空計を用いる。図5は輸送管を用いた冷媒循環路の構成図で、ここでは図1に示した輸送管を例に示している。窒素ガスの流路20はループ状に形成されて、その途中には圧送ポンプ40および圧力計41が具えられている。窒素ガスは圧送ポンプ40により窒素ガス流路内を循環される。また、圧力計41は、この流路内の圧力を測定する。圧力計41の代わりに、または圧力計41と共に流路内のガス組成分析器(図示せず)を接続しても良い。
【0017】一方、冷媒輸送管は端部に冷媒圧送ポンプ50が接続され、冷媒51の循環を行うと共に、真空断熱層10に真空計52を設けて、断熱層内の真空度を測定する。つまり、冷媒の循環路13と窒素ガスの流路20は独立した系統として構成されている。
【0018】ここで、何らかの原因により真空断熱層10が破壊されるとする。このとき、断熱層内には冷媒である液体空気が流入し、気化することにより内部の圧力が高まって真空度が低くなる。従って、真空度の変化を真空計52により計測することで輸送管の損傷を検知することができる。
【0019】続いて、断熱層内の圧力上昇により窒素ガス流路20も破壊されて、窒素ガス流路に窒素と酸素の混合気体が侵入する。そのとき、窒素ガス流路内の圧力が上昇すると共にガス組成が変化する。従って、この圧力変化を圧力計41で計測したり、組成変化をガス組成分析器で監視することで、輸送管の損傷を監視することができる。
【0020】また、真空断熱層10および窒素ガス流路20の破壊により、真空断熱層10の破壊個所には窒素ガス流路20から窒素ガスが供給される。液体空気からの窒素の優先的な気化は、周囲の大気の窒素濃度に依存する。そのため、冷媒漏出個所に液体窒素を供給することで、その周辺の窒素濃度を上げ、冷媒からの優先的な窒素の気化を抑制して、結果的に冷媒中の酸素濃度の上昇を抑える。
【0021】なお、窒素ガス流路20は、図6に示すように、輸送管の長手方向において、複数の区間に区切って設けることが好ましい。窒素ガスの流路20が複数区間設けられていれば、いずれの区間で輸送管に損傷が起こったかを容易に判別でき、事故区間の特定を一層容易にすることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、液体窒素と液体酸素とを主成分とする冷媒輸送管において、窒素ガスの流路を冷媒流路と独立して設けることで、輸送管の損傷を容易に検知することができる。特に、輸送管損傷時に窒素ガスが供給されて、冷媒からの窒素の優先的気化を抑制できるため、冷媒の酸素濃度の上昇も抑制でき、爆発の危険性を回避できる。
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成11年12月15日(1999.12.15)
【代理人】 【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173886(P2001−173886A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−356667