| 【発明の名称】 |
摩擦溶融接合用継手及びそれを用いた熱可塑性樹脂管の接合方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小口 貴士
【氏名】伊藤 良輔
【氏名】原田 浩次
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| 【要約】 |
【課題】より安定な状態で摩擦溶融接合を行うことが可能で、耐熱・耐圧・耐腐食配管に用い得る高強度の接合体を得ることのできる溶融継手及びこれを用いた熱可塑性合成樹脂管の接合方法。
【解決手段】熱可塑性樹脂管の管端を挿入し摩擦溶融して接合する管受け口を1個以上備えた熱可塑性樹脂製の管継手であって、管の接合対象部20の外径が25mm〜100mm 以下であり、上記管受け口が管受け口端面に開放されたガイド部10とガイド部に続いて管受け口の奥側に設けられた接合部30とから構成され、上記ガイド部10の内壁が受け口端面側から接合部30に向かって徐々に縮径する傾斜状とされ、上記接合部30の軸方向に沿った内壁面が管受け口の軸と平行、又はガイド部に設けられた傾斜面の角度より緩やかな角度で奥側に徐々に縮径する傾斜面とされ、接合部30の内径と接合対象部20の外径との差が、0.3mm〜2mm である摩擦溶融継手、及びこの継手の接合部30に管の接合対象部20を挿入した後で継手を回転し継手と管とを摩擦溶融して接合する熱可塑性樹脂管の接合方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂管の管端を挿入し摩擦溶融して接合する管受け口を1個以上備えた本体形状が短円筒状の熱可塑性樹脂製の管継手であって、挿入される管の管端部外径が25mmより大かつ100mm以下であり、上記管受け口が管受け口端面に開放されたガイド部とガイド部に続いて管受け口の奥側に設けられた接合部とから構成され、上記ガイド部の内壁が受け口端面側から接合部に向かって徐々に縮径する傾斜面とされ、上記接合部の軸方向に沿った内壁面が管受け口の軸と平行とされ、挿入される管の管端部の外径と接合部の内径との差が、0.3mm以上かつ2mm以下であることを特徴とする摩擦溶融接合用継手。 【請求項2】 熱可塑性樹脂管の管端を挿入し摩擦溶融して接合する管受け口を1個以上備えた本体形状が短円筒状の熱可塑性樹脂製の管継手であって、挿入される管の管端部外径が25mmより大かつ100mm以下であり、上記管受け口が管受け口端面に開放されたガイド部とガイド部に続いて管受け口の奥側に設けられた接合部とから構成され、上記ガイド部の内壁が受け口端面側から接合部に向かって徐々に縮径する傾斜面とされ、上記接合部の軸方向に沿った内壁面がガイド部に設けられた傾斜面の角度より緩やかな角度で徐々に縮径する傾斜面とされ、挿入される管の管端部の外径と接合部の内径との差が、0.3mm以上かつ2mm以下であることを特徴とする摩擦溶融接合用継手。 【請求項3】 継手の接合部に管の管端を挿入した後で継手を回転し継手と管とを融着接合する事を特徴とする請求項1又は2記載の摩擦溶融接合用継手を用いた熱可塑性樹脂管の接合方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂管と継手とを摩擦溶融接合させて、耐熱・耐圧・耐腐食配管に用い得る高強度の管路となすことのできる管継手及びそれを用いた熱可塑性樹脂管の接合方法に関する。 【0002】 【従来の技術】摩擦溶融接合によって管と管、又は管とエルボ、チーズ、レジューサー、又はインクリーザー等の配管部材(以下、継手という)とを接合する場合、管と管、又は管と継手とのそれぞれの端面同士を突き合わせて圧接し継手若しくは管を回転させて摩擦溶融接合させる方法(いわゆるバット融着)、接合される管の管端外径よりやや小さい内径の継手に管を圧入し継手若しくは管を回転させて摩擦溶融接合させる方法、接合面がテーパー状とされた管継手に管端外周を該継手のテーパー面に整合したテーパー面とされた管の管端を挿入して圧接し継手若しくは管を回転させて摩擦溶融接合させる方法等が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】管と管、又は管と継手とのそれぞれの端面同士を突き合わせて圧接し継手若しくは管を回転させて摩擦溶融接合させる方法では、当接している接合部の面積は管の断面積または継手の断面積とのいずれか小さい方と等しいので、接合部の強度が管又は継手と同等とはなりにくく、接合毎に強度ばらつきが発生する恐れがある。従って高い耐圧強度を要求される用途に使用することはできなかった。また、管や継手は、規格上、その径にある程度の幅が認められているためにそれぞれ同じ呼び径でもその径が完全に一致しているわけではなく、断面は真円以外にも楕円状等歪曲した形状である場合があるので接合面に段差を生じてしまう恐れがあり、これも接合強度にばらつきが発生する原因の一つになっている。 【0004】この問題を解決するために、継手側の端面接合部をテーパー状とし、管側の端面接合部をこれに対応したテーパー状として接合する方法が提案されている(特公昭38−5432号公報参照)。しかしこの方法においては、現場において管の端部にテーパーをつけるための切削工程が増えるという問題や、接合面積を大きくするためにはテーパーを緩やかにする必要があるので、元の肉厚より薄い部分が長くなり、特に小口径管では薄肉管であるために切削すると、突き合わせた際、管の剛性が低下しているために面圧が立たずに接合が困難になるという問題、更には、高強度の接着を得るために高い圧力で当接面同士を圧接させるとテーパーに沿って管又は継手がずれ、一方が他方の内部に潜り込むという問題があった。 【0005】突き合わせにおけるこの問題を解決する手段として、継手の管受け口に管を差込んで管受け口内面と管外面とを面合わせし、この合わせた面を摩擦溶融して接合する方法が知られている。この方法では、継手側の接合部面とこの接合部に差し込まれる管側の接合部面とが接触していなければ、接合部内周面および管端外周面との間に摩擦熱が発生しない。従って、接合部および管端の界面が溶融せず接合が不完全になる。 【0006】継手管受け口が単純な筒状であれば、上述のように管の外径には大小があるために、継手の管受け口内径が一様であれば、管受け口内径より管端外径が大きいと管端を管受け口内に挿入できず、管端の外径が小さすぎると、管受け口内面と管端外面とが接触せず、うまく摩擦溶融させることができないという問題があった。 【0007】特開昭50−151275号公報には、接合部を継手入り口から奥部に向かって徐々に縮径する筒状に形成し、接合対象部の外径が異なっても、規格内の径差であれば、接合できるようにした継手構造が開示されている。また100mm以下の中小口径の管と継手の摩擦接合では、管の外径より小さい内径の継手管受け口に管を挿入するので挿入された管端が強い圧縮応力を受ける上に、さらに溶融軟化が進むことで管の剛性が低下して挫屈するという問題があった。 【0008】しかし、本発明者の検討によれば、上記特開昭50−151275号公報の継手構造には以下のような問題がある。即ち、接合部がテーパー形状になっているため、管端を接合長さ分だけ継手に挿入すると、管端が接合部内周面から強い圧縮応力を受ける。そして、この状態で加熱され柔らかくなると、挿入された管端がその形状を保持できなくなり挫屈し易くなるという問題が新たに生じる。また、挫屈を生じないまでも継手、特に管には多大な残留応力があるために強度の低下が生じる。 【0009】特に、管端の外径と継手管受け口の内径との大小差が大きい場合には、継手の長さを短くしようとすると、接合部のテーパー角度を大きくせざるを得ないが、テーパー角度を大きくすると、高強度を得るために必要な接合長さだけ管を挿入した際、接合部内面と接触している管の接合対象部の大部分には過剰な圧縮応力を生じており、回転中に摩耗して管路内面にはみ出したり、接合部の強度が低下したり、更にひどい場合として、継手の管受け口の強度との対比で管端を挿入中に管端が挫屈し易くなる傾向が強くなるという問題がある。 【0010】一方、接合強度を高めるには、接合しろを大きくすればよいが、挫屈や強度低下させずに接合しろを大きくするには、テーパー角度を小さくしなければならない。すなわち、テーパー角度の小さい方が周方向強度均一化に寄与する。これは、テーパーによる隙間を楕円化等歪曲により生じる隙間に比べ大きくし過ぎないことによって、溶融樹脂をより周方向へ流し込むためである。しかし、テーパー角度を小さくすると圧縮応力を小さくできるが、接合対象部の径の大小を吸収するために、継手を長くせざるを得ない。 【0011】この問題を解決するために、特開昭52- 121680号公報では、回転する架橋樹脂からなる管受け口内径Dの継手内に架橋樹脂よりなる外径D0の管を挿入して接合する方法において、好ましくはDが5mmから250mmの範囲に対して0.2mm≦(D0−D)≦3mmにする方法が提案されている【0012】本発明者の検討によれば、上記特開昭52- 121680号公報の継手構造には以下のような問題がある。即ち、外径D0が25mmを超え100mm以下の管に適用した場合、管の挿入端に挫屈を生じる場合もあり、挫屈を生じずとも残留応力が大きく、強度が低下しており、外力が加わった状態での管路としての使用には不適であることが分かった。また回転後挿入を行うために、摩耗した樹脂や溶融した樹脂が管路内部にかき出され、はみ出てしまったり、接合面に面圧が立ちにくくなり強度バラツキが生じるという問題の発生があった。さらに継手内面形状は実施例に記載のように筒状では配管材が継手内に入り難い若しくは入らない場合が発生したことも問題である。 【0013】また、この方法では、継手を回転させその中に管を挿入するが、接合部の樹脂が継手外に掻き出されつつ管が挿入されるので、挫屈の現象が発生することは多少減少するが、接合面に残存する溶融樹脂量が減少するために接合面での当接圧力が低下し、強度が低下するという問題が発生した。 【0014】本発明は、上記従来の管と継手の摩擦接合における問題に対処できて、より安定な状態で摩擦溶融接合を行うことが可能で、耐熱・耐圧・耐腐食配管に用い得る高強度の接合体を得ることのできる摩擦溶融接合用継手及びこれを用いた熱可塑性樹脂管の接合方法とを提供することを目的としている。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の摩擦溶融接合用継手(発明1)は、熱可塑性樹脂管の管端を挿入し摩擦溶融して接合する管受け口を1個以上備えた本体形状が短円筒状の熱可塑性樹脂製の管継手であって、挿入される管の管端部外径が25mmより大かつ100mm以下であり、上記管受け口が管受け口端面に開放されたガイド部とガイド部に続いて管受け口の奥側に設けられた接合部とから構成され、上記ガイド部の内壁が受け口端面側から接合部に向かって徐々に縮径する傾斜面とされ、上記接合部の軸方向に沿った内壁面が管受け口の軸と平行とされ、挿入される管の管端部の外径と接合部の内径との差が、0.3mm以上かつ2mm以下であることを特徴とする摩擦溶融接合用継手である。 【0016】本発明の請求項2記載の摩擦溶融接合用継手(発明2)は、熱可塑性樹脂管の管端を挿入し摩擦溶融して接合する管受け口を1個以上備えた本体形状が短円筒状の熱可塑性樹脂製の管継手であって、挿入される管の管端部外径が25mmより大かつ100mm以下であり、上記管受け口が管受け口端面に開放されたガイド部とガイド部に続いて管受け口の奥側に設けられた接合部とから構成され、上記ガイド部の内壁が受け口端面側から接合部に向かって徐々に縮径する傾斜面とされ、上記接合部の軸方向に沿った内壁面がガイド部に設けられた傾斜面の角度より緩やかな角度で徐々に縮径する傾斜面とされ、挿入される管の管端部の外径と接合部の内径との差が、0.3mm以上かつ2mm以下であることを特徴とする摩擦溶融接合用継手である。 【0017】本発明の請求項3記載の熱可塑性樹脂管の接合方法(発明3)は、継手の接合部に管の管端を挿入した後で継手を回転し継手と管とを融着接合する事を特徴とする発明1又は2の摩擦溶融接合用継手を用いた熱可塑性樹脂管の接合方法である。 【0018】本発明において継手とは、円筒状本体に1個以上の管受け口が設けられてある熱可塑性樹脂製の摩擦溶融接合用継手である。管端とは、特に限定されないが例えば、上記管受け口に挿入され得る管又は継手等(以降、管等という)の端部をいい、接合対象部とは管端部の外周面をいう。上記管受け口とは、端部から管又は継手等を挿入される継手の部分をいい、ガイド部と接合部とから構成される。ガイド部とは、接合に際し管端を継手管受け口に挿入するときに管端の端縁が当接する継手内面部分で、管受け口端面から所定の長さを有する部分である。接合部とは、継手のガイド部より奥部内面であって、接合対象部が継手に接合される部分をいう。 【0019】ガイド部の管受け口端面側の内径は、管端の外径規格の最大値以上とされ、ガイド部と接合部の境界での内径は管端の外径規格の最小値以下とされる。 【0020】管の接合対象部および継手の接合部を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が好適であり、たとえば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル、架橋ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。また、継手の製造方法としては特に限定されないが、形状面で問題がなければ、成形コストの面から射出成形が良いと考えられる。 【0021】摩擦溶融接合方法としては、特に限定されないが、例えば、継手軸を中心にして継手又は管を回転させる方法や、継手軸方向の振動、もしくは継手軸方向を中心とした正転、逆転方向の振動、またそれらの組み合わせ方向へ振動させる方法が挙げられる。 【0022】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1は、発明1又は2の摩擦溶融接合用継手1のガイド部10及び接合部30におけるテーパー形状の例を示す断面図であり、テーパー形状は、そのテーパー角度が変化していない直線上のものの他、途中でテーパー角度が多段に変化したものや、曲線状で連続的にテーパー角度が減少するような広義に径が変化する形状も挙げられる。すなわち、(a)はテーパー形状が直線状でテーパー角度が変化していない一例、(b)はテーパー形状が直線状でテーパー角度が変化している一例、(c)はテーパー形状が直線状に変化している他の一例、(d)はテーパー形状が曲線状に変化している一例を示している。 【0023】尚、本発明の摩擦溶融接合用継手と管等との接合には、例えば、図2に示すような接合装置3が用いられる。接合装置3を用いて継手と管等とを接合する方法は後述する。また、図3は発明1又は2の摩擦溶融接合用継手と管2との関係で説明するための断面図であり、本図は代表として、発明1の接合部の内壁面が継手本体の管軸方向と平行であるソケット形継手の一例を示してある。 【0024】図3においては、継手1には継手両側に設けられた管受け口端面側から順に、ガイド部10、接合部30が備えられており、その両側の管受け口に管2の管端20が挿入される筒状になっていている。即ち、ガイド部10は、接合部30に連続して設けられていて、その最小直径部の直径が管2の接合対象部20の規格値の最小直径より小径で、最大直径部の直径が管2の接合対象部20の規格値の最大直径より大径になっているとともに、管受け口端面から奥側に向かって、継手3の本体の管軸に平行に延びる筒状に形成されている。 【0025】接合部30の内径Dと接合対象部20の外径D0との差は、管等の材質と厚さによって適宜変更されて用いられれば良いが、例えば一例として、接合部30の内径Dと接合対象部20の外径D0との差は、少なくとも最小0.3mm以上、好ましくは0.4mm以上更に好ましくは0.5mm以上であり、同時に最大2.0mm以下好ましくは1.8mm以下更に好ましくは1.6mm以下とされている。なお、接合部30の内径Dとは接合部30の最小直径部の直径をいう。 【0026】接合部30の内径Dと接合対象部20の外径D0との差が0.3mm未満であれば、融着接合時の継手の回転による摩擦発熱量が少なくて融着が不十分となる可能性があり、2mmを超えると継手1と管2との接合部30における圧縮応力が強くなりすぎて、溶融した樹脂が管2若しくは継手1の内部に漏れだしてしまう恐れがある上、継手1の回転時に多大な回転トルクが必要となり同時に管2の把持力を多大としなければならず、更に接合部30に管2を挿入する際に強大な挿入力が必要となって、接合時に消費されるエネルギーが大きくなってしまう。 【0027】接合部30の内径Dと接合対象部20の外径D0の関係については、例えば、主にガスや水道用途に用いられているポリエチレン管の如き、外径(mm)と管厚さ(mm)との比が15以下のものへの適用は、(D0−D)が0.3mm以上かつ2mm以下の範囲で可能であるが、ポリエチレンより硬質のもので外径と管厚さとの比が15を超えるもの等においては、(D0−D)は0。3mmに近い方が好ましく、いずれの場合でも(D0−D)は0.3mmから2.0mmの範囲にあることが好ましい。 【0028】この継手1は、以上のように、接合部30の管受け口端面側にガイド部10が設けられているとともに、接合部30が、ガイド部10との境界部から奥側に向かって平行に延びる筒状に形成されているので、継手1の長さを長くすることなく、管端20である管端部の挫屈を押さえることができる。即ち、継手1の管受け口全てではなく継手1の管受け口端面側からある位置までをガイド部10としてテーパーを付与し、それ以降の奥部を接合部30として継手1本体の管軸に対して平行にすることで、挫屈を抑え、無駄に継手を長くすることなく接合対象部20の外径の大小や歪曲に起因する不都合を吸収することができ、また、接合部30の内壁面が、ガイド部のテーパー角度より緩い角度又は管軸と平行な筒状に形成されているので、管受け口に管を挿入した際、接合対象部が受ける圧縮応力を大幅に減少する効果があり、このため接合中に樹脂が軟化したことで生じ易くなる挫屈現象や、挫屈せずとも接合部に残留応力として残ることによる強度低下を改善することが可能となる。 【0029】更に、上記接合部30の内径Dの値を管2の接合対象部20の外径D0に対して特定の関係を有するものとしたことと相俟って、継手1と管2とを高強度にしかも確実に、安定的に接合することが可能となる。また接合強度についても接合部の長さにより、接合面積を変えられるので設計が容易になる。 【0030】また、図1の(b)に示す継手1は、図3に示した継手1と同様に、継手1の両側の管受け口端面からガイド部10、接合部30を順に備えているが、ガイド部10は接合部30のテーパー角度より大きいテーパー角度で徐々に縮径している(後述の実施例3参照)点で、図3に示した継手1と異なる。接合部30についてみれば、接合部30は管受け口端面側から奥側に向かって継手1の本体の管軸に対して0度以上のテーパー角で徐々に縮径している。接合部30の内径Dと管2の接合対象部20の外径D0との差は、前述の図3における摩擦溶融接合用継手1の場合と同様であるので、再度説明はしない。 【0031】この継手1は、以上のように、接合部30の管受け口端面側にガイド部10が設けられているとともに、接合部30が、ガイド部10との境界部からガイド部のテーパ角度より小さいテーパ角度で徐々に縮径しつつ奥側に向かって延びる筒状に形成されているので、管2の接合対象部20を管受け口内へ導く際の作業性がより良好になされる点で好都合である。また、継手1の管受け口全てではなく継手1の管受け口端面側からある位置までをガイド部10としてテーパーを付与し、それ以降の奥部を接合部30として継手1本体の管軸に対して平行にすることで、挫屈を抑え、無駄に継手1を長くすることなく接合対象部20の外径の大小や歪曲に起因する不都合を吸収することができるという上記作用を、より一層確実に奏すると共に、上記接合部30の内径Dの値を管2の接合対照部20の外径D0に対して特定の関係を有するものとしたことと相俟って、継手1と管2とを、より高強度にしかも確実に安定的に接合することが可能となった。但し、接合部30を、上記ガイド部10との境界部からガイド部10のテーパ角度より小さいテーパ角度で徐々に縮径しつつ奥側に向かって延びる筒状に形成した関係上、工業生産面では図3に示した継手1よりも高度の技術を必要とする。 【0032】継手1と管2との接合に用いられる接合装置3としては、例えば一例として、図2に示す接合装置3が用いられる。この装置を用いて継手1と管2とを接合する方法を次に説明する。 【0033】装置3は、熱可塑性樹脂製の管2をそれぞれ把持し、リンク16,16で接合された2つのクランプ11a,11bと、ソケットタイプの摩擦溶融接合用継手1を把持した状態で回転自在な継手回転治具12と、タイミングベルト13を介して継手回転治具12を回転させるモータ14と、一方のクランプ11aに接合され、このクランプ11aを継手回転治具12の方向へ進退させるとともに、リンク16,16を介してクランプ11bも継手回転治具12の方向へ進退させるようになっているエアーシリンダ15とを備えている。 【0034】そして、この接合装置3によって、継手1と管2とを接合するには、継手1を継手回転治具12に把持させるとともに、クランプ11a,11bにそれぞれ管2を把持させる。次に、エアーシリンダ15を作動させてクランプ11a,11bを継手回転治具12方向に移動させて、継手1の内側に、両側から管2,2を挿入し始めて継手中央突出部に接するまで挿入する。その後、モータ14を駆動させて継手回転治具12とともに、継手1を回転させ、その間、管2に継手1への挿入方向(管軸に平行)の力を加えて、管2が抜け出るのを保持するのである。 【0035】(作用)摩擦溶融接合用の継手1の接合部30の内径Dとその長さとの間には、接合対象部20の外径D0に対して図4のような設計領域が存在する。即ち、高強度で安定した接合強度を得るために、接合部30の内径Dは、溶融量限界による上限と変形限界による下限との間にする必要がある。溶融量限界とは、摩擦溶融中に発生する溶融樹脂量および熱量の最低必要量で、接合部30の内径Dがこの限界値以下では、接合部30と接合対象部20との間にできる隙間を溶融樹脂で埋めることができず、また熱量が不足すれば、継手1の接合部30の樹脂分子と管2の接合対象部20の樹脂分子との絡み合いが不十分となり、接合箇所の強度が不十分となったり漏れなどの原因となる。溶融量限界は接合部30の長さとも関連しており、接合部30の内径が同じであれば接合部30の長さが短い方が溶融樹脂量の最小値は小さくなる。 【0036】変形限界とは、管受け口に接合対象部20を挿入した時又は摩擦溶融中に接合対象部20が挫屈する時若しくは挫屈せずとも大きい残留応力が残ることにより強度低下を引き起こす限界である。接合部30の内径Dは接合対象部20の外径D0より小さいので、管受け口に接合対象部20を挿入した際に接合対象部20は圧縮の応力を受けている。接合部30の内径Dが小さすぎれば、接合対象部20は接合部30に挿入できないか、又は挿入された段階で接合対象部20は大きな圧縮応力を受けており、挫屈限界を超えると挫屈する。 【0037】挿入された段階での挫屈がなくとも、摩擦溶融中に接合対象部20が加熱され軟化することで剛性は低下する。加熱により圧縮の応力も緩和されるが、剛性の低下の度合いが大きいと接合対象部20はやはり挫屈する。加えて、接合部30の軟化した層の厚さが薄く、管2の全体の剛性を下げるに至らなかった場合には挫屈を生じないが、管挿入部には大きな残留応力が残った状態となっている。 【0038】変形限界は接合部30の長さも関連しており、接合部30の内径が同じであれば接合部30の長さが長い方が挫屈しやすい。通常、接合対象部の厚さが薄いほど挫屈し易く、接合対象部の厚さが厚くなる即ち、接合対象部の外径が大きい管ほど挫屈は生じにくくなる。従って、変形限界は内径の小さい方にシフトして設計領域は広がる。 【0039】接合部30の長さは必要とする強度により異なり、必要強度が発現する長さ以上あればよく、あまり長くしすぎても意味はないので用途、使用環境に併せて適宜設計される。また、ガイド部10を設けることにより、継手1の管受け口に管2の接合対象部20を挿入する際に、接合対象部20がガイド部10によってガイドされて管2の管軸を継手1の本体の管軸に一致させることができる。 【0040】テーパーは継手1の接合部30に設けるのみで、管2の接合対象部20に設ける必要はないので、現場での切削工程が不要となる。継手1の管受け口内面を単純なテーパー形状から、ガイド部10及び接合部30の異なる機能を有する2つの部位に分離し、接合部30の内壁面を、その管軸が継手1の本体管軸と平行な壁面若しくはガイド部のテーパー角度より緩やかなテーパー角度を持つ壁面としたので、接合対象部20の挿入負荷が減少でき、また継手1に摩擦溶融させる動力源の出力を小さくでき、装置の小型化、低価格化が可能となる。 【0041】又、接合部30に接合対象部20を挿入後管を把持固定し継手を回転させるので、接合部30における面圧が維持されて接合ばらつきがなく強度が安定した接合が可能となる。 【0042】次に、本発明による継手を用いた接合の実施の一例を、その比較例と対比させつつ具体的に説明する。 (実施例1)熱可塑性樹脂管である架橋ポリエチレンパイプ(積水化学社製、エスロペックス;外径60±0.3mm、平均外径60±0.1mm、肉厚4.5mm、長さ80cm)2と、各部寸法が図5に示される継手(架橋ポリエチレン製)3とを上記接合装置3にセットし、接合対象部20の端面が継手のガイド部10に当たった時点で継手1を回転速度0.75m/秒で回転させると同時に挿入圧力1.5MPaで挿入し、接合対象部20の端面が管受け口端面から45mm挿入された時点で挿入圧力を0.5MPaに落とした。回転開始から20秒後に回転を停止し、十分に冷却した後装置から接合品を取り外し、計16本の接合品を得た。接合時には、管2を継手1内に挿入する際には、管2の接合対象部20を継手1のガイド部10に軽く当接させつつスムーズに管受け口内へ導くことが出来た。接合部30内で接合対象部20は挫屈を生じていなかったが、樹脂が継手1の内部にはみ出していた。 【0043】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えた(以下、内圧振動試験という)ところ、全て100万回の繰り返し後にも異常は発生しなかった。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ7本は300時間後に管が破壊したが、3本はそれ以前に接合部から漏れを生じた。 【0044】(実施例2)図6に示した継手を用いた他は実施例1と同様にし、計16本の接合品を得た。接合時には、管2を継手1内に挿入する際には、管2の接合対象部20を継手1のガイド部10に軽く当接させつつスムーズに管受け口内へ導くことが出来た。接合部30内で接合対象部20は挫屈を生じていなかったが、樹脂が継手1の内部に大きくはみ出していた。 【0045】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回の繰り返し後にも異常は発生しなかった。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ7本は300時間後に管が破壊したが、3本はそれ以前に接合部から漏れを生じた。 【0046】(実施例3)図7に示した継手を用いた他は実施例1と同様にし、計16本の接合品を得た。接合時には、管2を継手1内に挿入する際には、管2の接合対象部20を継手1のガイド部10に軽く当接させつつスムーズに管受け口内へ導くことが出来た。接合部30内で接合対象部20は挫屈を生じていなかったが、樹脂が継手1の内部に大きくはみ出していた。 【0047】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回の繰り返し後にも異常は発生しなかった。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ9本は300時間後に管が破壊したが、1本はそれ以前に接合部から漏れを生じた。 【0048】(実施例4)実施例1と同じ継手及び管を用い、継手の管受け口に両側から圧力2.5MPaで挿入し、挿入圧力を0.5MPaに落とした後、継手を回転速度0.75m/秒で15秒間回転させ、充分に冷却した後装置から取り外し、計16本の接合品を得た。接合時には、管2を継手1内に挿入する際には、管2の接合対象部20を継手1のガイド部10に軽く当接させつつスムーズに管受け口内へ導くことが出来た。接合部30内で接合対象部20は挫屈を生じていなかったが、樹脂も継手1の内部への漏れだしは微少であった。 【0049】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回の繰り返し後にも異常は発生しなかった。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ全て300時間後に管が破壊した。 【0050】(比較例1)図8に示した継手を用いた他は実施例1と同様にして、計16本の接合品を得た。接合時、管を継手内に挿入する際にはガイド部によりスムーズに継手内へ管が導かれた。接合部において接合対象部は挫屈しておらず、継手内側への樹脂の漏れだしも小さかった。 【0051】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て接合部から漏水した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回以前に接合部から漏水した。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ全て300時間以前に接合部から漏水した。 【0052】(比較例2)図9に示した継手を用いた他は実施例1と同様にして接合品を得た。しかし、接合部30内で接合対象部20が挫屈しているものや継手内側に樹脂が大きくはみ出しているものがあり、挫屈を生じていないもの計16本の接合品を選び出した。 【0053】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回以前に接合部から漏水した。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ全て300時間以前に接合部から漏水した。 【0054】(比較例3)図10に示した継手を用い実施例1と同じ管を用いたが、管を管受け口に挿入することが出来なかった。 【0055】(比較例4)図11に示した継手を用い、溶融量が実施例1の継手と同様になるように継手の長さを設計したところ、継手の長さは実施例1の継手の長さの4倍以上となった。管は実施例1と同様のものを使用し、実施例1と同じ接合条件で、計16本の接合品を得た。接合時、管を継手内に挿入する際にはテーパーによりスムーズに継手内へ管が導かれた。接合部において接合対象部には挫屈を生じていなかったが、樹脂が継手内側にはみ出していた。 【0056】得られた16本の接合品の内、任意の3本の接合品に破壊水圧試験(JISK 6769)をしたところ全て管から破壊した。更に別の任意の3本の接合品に、内圧1.3MPaを負荷した状態で継手部分に振幅80mmの繰り返し振動を与えたところ、全て100万回後でも異常がなかった。残りの10本の接合品を、内圧0.72MPaで熱間内圧試験(JIS K 6769)したところ7本は300時間後に管が破壊したが、3本はそれ以前に接合部から漏水した。 【0057】以上の実施例及び比較例について、挫屈の発生の有無、その他の特性を表1に示す。なお、表中の項目「管受け口」については、テーパー付きガイド部と接合部とを備えたものを「有」、テーパーを持たないものを「ストレート」、テーパー部のみのものを「単純テーパー」と表し、「管径差、歪曲の吸収性」については、目視で吸収性が認められたもの「○」、管受け口に端を挿入出来なかったものを「挿入できず」と表し、「継手の長さ」については、100mm以下のものを「短」、100mmより大のものを「長」と表し、「挫屈の有無」については、目視で挫屈したと判断出来たものを「×」、挫屈しなかったものを「○」と表し、「継手内面への樹脂漏れ量」については、融着接合時に目視で継手内部に漏れた溶融樹脂量が多いものを「大」、少ないものを「小」、ないものを「なし」と表し、「破壊水圧試験」については、前記試験条件で管が破壊したものを「○」、接合部から漏れたものを「漏れ」と表し、「内圧振動試験」については、前記試験条件で異常がなかったものを「○」、漏れを生じたものを「漏れ」と表し、「熱間内圧試験」については、前記試験条件で管が破壊したものの割合が70%以上の場合を「○」、90%以上の場合を「◎」、漏れを生じたものを「漏れ」と表してある。又、実施出来なかった項目については「−」を記してある。 【0058】 【表1】
【0059】 【発明の効果】本発明に係る熱可塑性樹脂製継手は、以上のように構成されており、内面に傾斜を有するガイド部を設けているため、管等の接合対象部の外径の大小を吸収し、接合対象部がガイド部によってガイドされて管等の管軸を継手本体の管軸に一致させることが可能となり、継手の長さを長くすることなく、接合対象部の挫屈を防止することができ、更に接合部の最小内径Dの値を管等の接合対象部の外径D0に対して特定の関係を有するものとしたことと相俟って、継手と管等とを高強度に接合することができる。 【0060】従って、例えばガス用、上水道用、給水給湯用等の耐熱・耐圧が要求される配管や温泉用等の耐腐食が要求される配管の接合に好適に使用できる。一方、テーパーは継手の管受け口にのみ設け、管等の接合対象部には必要ないので、現場での切削工程が不要となる。 【0061】また、ガイド部の傾斜角度より小さい傾斜を有する接合部を設けた場合は、管等を接合する際の作業性がより良好なものとなり、加えて、継手の長さを長くすることなく、接合対象部の挫屈を防止することができるという上記効果をより一層確実に奏することができる。 また、継手の管受け口内面を、ガイド部及び接合部の異なる機能を有する2つの部位に分離し、接合部の内壁面を、その管軸が継手の本体管軸と平行な壁面若しくはガイド部の傾斜角度より緩やかな傾斜角度を持つ壁面としたので、管等の接合対象部の挿入負荷が減少でき、また継手に摩擦溶融させる動力源の出力を小さくでき、装置の小型化、低価格化が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002174 【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月21日(1999.12.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−173870(P2001−173870A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−362874 |
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