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【発明の名称】 分岐取出し継手
【発明者】 【氏名】藤巻 輝明

【氏名】堤 千秋

【氏名】遠山 康

【氏名】星野 光義

【要約】 【課題】割継手に対して流体管の外形寸法のばらつきが大きい鋳鉄管であっても信頼性の高いシールが得られる分岐取出し管継手を提供すること。

【解決手段】流体管Pに全周にわたる外嵌状態で締付け締結するための一対の割継手1、2と、この割継手1、2の一方又は双方に分岐管P1を接続するための筒体4を設け、この筒体4の通路3を囲む状態で前記割継手に流体管Pの外面と密着シールする第1シール部材5を設け、割継手1と2を締結する軸線方向の合わせ部を密着シールする第2シール部材6を設け、割継手1と2の軸線方向両側において流体管Pの外周面と周方向に密着シールする第3シール部材7とを設け、第2シール部材と第3シール部材の硬度は、第1シール部材の硬度より柔らかいシール部材を用いてシールし、密封空間S内にゴム状弾性体を注入充填する分岐取出し継手である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体管Pに全周にわたる外嵌状態で締付け締結するための一対の割継手と、この割継手の一方又は双方に分岐管を接続するための筒体を設け、この筒体の通路を囲む状態で前記割継手に流体管の外面と密着シールする第1シール部材を設け、前記一対の割継手を締結する軸線方向の合わせ部を密着シールする第2シール部材を設け、前記割継手の軸線方向両側において流体管の外周面と周方向に密着シールする第3シール部材を設け、前記第2シール部材と第3シール部材の硬度は、前記第1シール部材の硬度より柔らかいシール部材を用いてシールし、流体管に外嵌した割継手と第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材により形成される密封空間内に粘弾性充填材を注入充填することを特徴とする分岐取出し継手。
【請求項2】 前記一対の割継手を締結する合わせ部にピンが突出した第2シール部材装着部を設け、該第2シール部材装着部に前記ピンに嵌合する第2シール部材を装着してあることを特徴とする請求項1記載の分岐取出し継手。
【請求項3】 前記第2シール部材と前記第3シール部材の硬度はJISA硬度で0〜30の低硬度ゴムからなることを特徴とする請求項1乃至2記載の分岐取出し継手。
【請求項4】 前記割継手の軸線方向両側に周方向の第3シール部材装着溝を設け、該装着溝に、前記割継手の締結方向の締め代よりも割継手の合わせ面方向の締め代が大きくなるように周方向の断面寸法を変えた前記流体管の外周面とシールする第3シール部材を装着したことを特徴とする請求項1乃至3記載の分岐取出し継手。
【請求項5】 前記第3シール部材装着溝に装着する第3シール部材の幅寸法は、前記割継手の締結方向断面の幅よりも割継手の合わせ面方向断面の幅を大きくしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の分岐取出し継手。
【請求項6】 前記第3シール部材装着溝に装着する第3シール部材の高さ寸法は、前記割継手の締結方向断面の高さよりも割継手合わせ面方向断面の高さを大きくしたことを特徴とする請求項1乃至4記載の分岐取出し継手。
【請求項7】 前記第2シール部材と第3シール部材は嵌合部を設けて両者を一体に組み立てたことを特徴とする請求項1乃至6記載の分岐取出し継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガス導管において管内にガス等流体が流通している既設の配管から分岐管を取り出し配管する分岐取出し継手のシール部材に関するものである。詳しくは、流体管に全周にわたる外嵌状態で締付け連結する一対の鞍形割継手の一方又は双方に分岐管を接続するための筒体を突出して設け、この筒体の通路を囲む状態で前記割継手に流体管外面と密着シールする第1シール部材を設け、前記一対の割継手を締結する合わせ部において軸線方向に密着シールする第2シール部材を設け、前記一対の割継手の軸線方向両側部において流体管の外周面と密着シールする第3シール部材とを設け、流体管に外嵌した一対の割継手と第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材とにより形成される密封空間内にゴム状弾性体を注入充填する分岐取出し継手におけるシール部材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開昭58−113693号公報で示されるように、流体管に全周にわたる外嵌状態で締付け連結する一対の割継手の一方又は双方に分岐管を接続するための筒体を設け、この筒体の通路を囲む状態で前記割継手に流体管外面と密着シールする第1シール部材を設け、前記一対の割継手を締結する合わせ部において軸線方向に密着シールする第2シール部材を設け、前記一対の割継手の軸線方向両側において流体管の外周面と密着シールする第3シール部材とを設け、流体管に外嵌した一対の割継手と第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材により形成される密封空間内に、ゴム状弾性体を注入充填する分岐取出し継手が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の分岐取出し継手は、流体管と信頼性が高いシール性を実現するものである。しかしながら実際の配管現場において上記割継手を用いて分岐管を取出しする元配管の流体管は鋳鉄管が用いられており、この鋳鉄管の外形寸法はばらつきが大きく、また鋳鉄管の種類によっても同じ口径で外形寸法が異なり、最大径から最小径を引いた外形寸法の差が大きいもので約13mmも異なるものがある。このため上記第1〜第3シール部材のゴム硬度が同一の場合、例えば流体管が最大径の場合では、第1シール部材が圧縮されてシール状態であっても第2、第3シール部材が圧縮シールされなかったりする。また流体管が最小径の場合では、第2、第3シール部材が割継手で圧縮されてシール状態であっても割継手の合わせ部でつかえて第1シール部材が鋳鉄管の表面と圧縮されずシールされなかったりする場合が生じ、全体として流体管が鋳鉄管の場合は外形寸法のばらつきが大きくシール機能が不十分になる欠点があった。
【0004】本発明の目的は、割継手に対して流体管の外形寸法のばらつきが大きい鋳鉄管であっても信頼性の高いシール性を実現できるようにした分岐取出し継手を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、流体管Pに全周にわたる外嵌状態で締付け締結するための一対の割継手1、2と、この割継手1、2の一方又は双方に分岐管P1を接続するための筒体4を設け、この筒体4の通路3を囲む状態で前記割継手に流体管Pの外面と密着シールする第1シール部材5を設け、前記割継手1と2を締結する軸線方向の合わせ部を密着シールする第2シール部材19を設け、前記割継手1と2の軸線方向両側において流体管Pの外周面と周方向に密着シールする第3シール部材7とを設け、前記第2シール部材と第3シール部材の硬度は、前記第1シール部材の硬度より柔らかいシール部材を用いてシールし、流体管Pに外嵌した割継手1と2及び第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材により形成される密封空間S内に粘弾性充填材を注入充填することを特徴とする分岐取出し継手である。上記において、前記一対の割継手を締結する合わせ部にピンが突出した第2シール部材装着部を設け、該第2シール部材装着部に前記ピンに嵌合する第2シール部材を装着してあることを特徴とする。上記において、前記第2シール部材と前記第3シール部材の硬度はJISA硬度で0〜30の低硬度ゴムからなることを特徴とする分岐取出し継手である。
【0006】また上記において、前記割継手の軸線方向両側に周方向の第3シール部材装着溝を設け、該装着溝に、前記割継手の締結方向の締め代よりも割継手合わせ面方向の締め代が大きくなるように周方向の断面寸法を変えた前記流体管の外周面とシールする第3シール部材を装着したことを特徴とする。上記において、前記第3シール部材装着溝に装着する第3シール部材の幅寸法は、前記割継手の締結方向断面の幅よりも割継手合わせ面方向断面の幅を大きくしたことを特徴とする。上記において、前記第3シール部材装着溝に装着する第3シール部材の高さ寸法は、前記割継手の締結方向断面の高さよりも割継手合わせ面方向断面の高さを大きくしたことを特徴とする。上記において、前記第2シール部材と第3シール部材は嵌合部を設けて両者を一体に組み立てたことを特徴とする分岐取出し継手である。
【0007】
【作用】本発明は上記の構成であって、割継手に設けた分岐管を接続するための筒体の通路を囲む状態で流体管の外面とシールする第1シール部材5に対し、割継手一対を締結する軸線方向の合わせ部を密着シールする第2シール部材19及び割継手の軸線方向両側において流体管の外周面と密着シールする第3シール部材7の硬度は、第1シール部材の硬度より柔らかい材質のシール部材を用いている。
【0008】従って割継手の周囲をシールする第2、第3シール部材は、低硬度で柔らかく、小さな割継手の締付け力でも、締付け力に追随して容易に変形する。このため流体管の外形寸法が規定値より小径であっても、割継手の筒体通路を囲み流体管の表面とシールする第1シール部材の圧縮力が、第2、第3シール部材の圧縮抵抗によって邪魔され十分な締付けが行えず第1シール部材の圧縮力が得られなくなる問題が無い。また流体管が規定値より大径であっても第2、第3シール部材の圧縮代寸法を大きくできるので、第2シール部材及び第3シール部材も確実に流体管の表面に圧縮されてシールされる。
【0009】従ってガス等流体管内の流体に最も近い部分でシールする第1シール部材のシール性が常に確保され、流体管が鋳鉄管等で外形寸法のばらつきが大きく、最小寸法でも割継手の締付け力が確保されて安定したシール性能が確保される。また最大寸法であっても割継手の周囲を密封する第2、第3シール部材のゴム硬度が柔らかいから圧縮代を大きく取れ、確実にシールできる。第2シール部材と第3シール部材のゴム硬度は、第1シール部材の硬度に比較して硬度差がある低硬度のものが用いられ、JISAゴム硬度で0〜30程度のものが用いられる。望ましくは10〜25程度のものが好適である。また第2シール部材と第3シール部材とを嵌合部を設けて一体に組み立てることができ、取り扱いが容易になる。
【0010】割継手の周方向をシールする第3シール部材は、割継手の締結方向の締め代よりも割継手の合わせ面方向の締め代が大きくなるようにシール部材の断面寸法を割継手の装着溝に対して変えて設けてある。従って2つの割継手を締結すると、締結方向においては装着溝内の第3シール部材が締め代に準じて圧縮量が増加する。しかし装着溝の合わせ面方向は割継手締め代を増しても縮径の締め代が作用しないが、第3シール部材の合わせ面方向の締め代が大きくなるように断面寸法を設けてある。このため割継手の合わせ面方向も流体管表面と確実に圧縮量が得られ、従って合わせ面方向に縮径する締め代が働かなくとも確実に圧縮され、流体管の周方向全体に渡って確実なシールが行われる。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例を図1ないし図3を参照して説明する。流体管Pに全周にわたって外嵌する一対の割継手1、2のフランジ部1A、2Aを、ボルト13で流体管Pに対して締結できるように形成し、フランジ部1A、2A同士の間は、夫々の割継手1、2の合わせ部内周側に設けたパッキン装着段部18に装着した帯状の第2シール部材19が圧縮されてシールするように設けてある。また割継手1、2の軸線方向両側部にはパッキン溝9を設けて流体管Pの外周面と密着シールする第3シール部材7を装着し、このシール部材7、19を装着した状態の割継手1、2を流体管Pに嵌着して割継手1、2の全周囲にわたってシールするように設けてある。また上記シール部材7、19は夫々の割継手1、2に接着剤を用いて張り合わせ接着してある。
【0012】第2、第3シール部材7、19の材質は低硬度のエチレンプロピレンゴム(EPDM)からなる。本実施例では特にエチレンプロピレンゴムの硬度をJISA硬度15〜20程度に設け、前記第1シール部材5の材質をニトリルゴムの硬度JISA硬度60〜65と比較して大幅に低硬度に設けた。割継手1には中央部に筒体4を設けてあり、筒体4内の通路3を囲む状態で第1シール部材5を割継手1に設けた楕円状の溝6に嵌着し、この第1シール部材5によって割継手1の内面と流体管Pの表面と密着シールする。
【0013】上記割継手1、2に設けた第2シール部材19と第3シール部材7で割継手の周囲を密封し、第1シール部材によって割継手中央部筒体4の通路3を囲む流体管P表面との間で密封しており、この密封された空間Sにはゴム状粘弾性体Aが割継手1、2の注入穴10、10から注入充填され、割継手1、2と流体管Pとの間がゴム状粘弾性体Aの固化によって完全に一体化され、ボルト16、16で閉止される。また割継手1、2に設けたボルト12を流体管Pの表面に締め付けて、割継手1、2と流体管Pとが周方向及び軸線方向に位置づれしないように設けてある。
【0014】筒体4の上端には弁(図示せず)を装着し、弁の上端に固定した穿孔機(図示せず)によって流体管Pに分岐口14が穿孔される。穿孔した後、弁から穿孔機が取り外され、代わりに弁の端部に供給先へ配管する分岐管が接続される。筒体4の端部に弁を設けることで、流体管Pに穿孔した後の筒体4が閉止状態に保てるので、流体管P内にガス流体が流通状態のままで、ガス流体が外部へ噴出するのを最小限に抑制した状態で、流体管Pから分岐管を取出し配管作業が行える。
【0015】図4は第2、第3シール部材の別の実施例を示すもので、第2シール部材19と第3シール部材7を一体に形成してあり、材質は低硬度のエチレンプロピレンゴム(EPDM)でゴム硬度はJISA硬度で15〜20程度に設けた。フランジ1Aと2A間をシールする第2シール部材19は、軸線方向両側で流体管Pとシールする第3シール部材7、7と連結しており、第3シール部材7、7は円周上の一部に切り欠き20を設けて、切り欠き20を開いて流体管Pに容易に装着できるようにしてある。この場合は、一方の割継手1にこのシール部材を装着して、他方の割継手2との間で圧縮されてシールされる。
【0016】図5は第2、第3シール部材の更に別の実施例を示すものである。第2シール部材30は割継手1、2のパッキン装着段部18に設けた複数本の突出ピン21に嵌合する嵌合孔31、32を設けて嵌合される。また第2シール部材30の両側に割継手のパッキン装着溝9の入口部分に入る挿入部32を設けてある。挿入部32は装着溝9の幅より大きく、また装着溝9の底面から流体管Pの外周面に接する高さよりも十分高い寸法に設け、割継手の装着溝9に挿入された挿入部32の締め代を大きく形成して、装着溝9内で流体管Pとの圧縮が十分に行われるようにしている。又これにより第2シール部材が割継手1、2に固定される。
【0017】パッキン装着溝9内に装着される第3シール部材35は、上記第2シール部材の挿入部32の端面と圧縮して接する様に、円周方向の長さを上記の挿入部32を足した長さより少し長く設けてある。また幅寸法W、及び装着溝9底面からの高さ寸法Hを、割継手の底面部に位置する寸法W1、H1に比べて割継手の合わせ面方向での断面寸法W2、H2を大きく設けてある。これにより割継手が締結された際、割継手の周方向の装着溝9内に装着された第3シール部材が、合わせ面方向でも流体管Pの表面と十分に圧縮して確実なシールが行われる。又第2シール部材と第3シール部材との当接部に互いに嵌合するアリ型嵌合部36、36を設けて両者を一体に組み立て、取り扱いを容易に設けてある。
【0018】
【発明の効果】以上説明の通り本発明の分岐取出し継手は、割継手の周囲に装着した第2、第3シール部材の硬度を、割継手の筒体通路を囲み流体管の表面とシールする第1シール部材の硬度より低硬度で柔らかくしたため、割継手の筒体通路を流体管の表面とシールする第1シール部材が、第2、第3シール部材の圧縮抵抗によって邪魔されて十分な圧縮力が得られなくなる問題が無く、流体管内のガスに最も近い部分でシールする第1シール部材のシール性が確実に確保される。また流体管の外形寸法のばらつきが大きい鋳鉄管等でも割継手の締付け力が十分確保され、また第2、第3シール部材が流体管表面と確実に圧縮されて安定したシール性能が得られる。又、割継手の周方向をシールする第3シール部材は、割継手の締結方向の締め代よりも割継手の合わせ面方向の締め代が大きくなるようにシール部材の断面寸法を割継手の装着溝に対して変えて設けてあるため、装着溝内の第3シール部材が締結方向において締め代に準じて圧縮され、また装着溝の合わせ面方向も確実にシール部材の圧縮量が得られる。従って合わせ面方向のシール性が低下せず、周方向全体に渡ってシールが確実に行われる
【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【出願日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173867(P2001−173867A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願2000−168644(P2000−168644)