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【発明の名称】 電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法
【発明者】 【氏名】佐々木 勇

【要約】 【課題】装着作業性がよく、且つ、低コストに作製することができる電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法。

【解決手段】ステンレス鋼管側の直管部11に対し、長手方向に切り込み部15cが条設された半割り状の絶縁スリーブ15を、切り込み部15cの口径を広げて展開状態とし、広げられた切り込み部15cを介して絶縁スリーブ15を直管部11に着脱可能に装着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステンレス鋼管の一端側の直管部に、異種金属製の袋ナットをフレア端部などを介して抜け止めを図りつつ遊嵌自在に取付けるステンレス鋼管の製造において、ステンレス鋼管側の直管部に対し、長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブを、切り込み部を介して絶縁スリーブの口径を広げて展開状態とし、広げられた切り込み部を介して絶縁スリーブを直管部に着脱可能に装着することを特徴とする電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法。
【請求項2】 長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブは、直管部に装着される円筒体状のスリーブであることを特徴とする請求項1の電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法。
【請求項3】 長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブは、直管部に装着される円筒体のスリーブであると共に、この円筒体の端部より張設されたフランジが設けられていることを特徴とする請求項1の電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、従来に比して装着作業性がよく、且つ、低コストに作製することができる電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高耐久性による赤水の発生防止や、地震,恒常的な振動,地盤の沈下などによる変位の吸収性などの観点から、蛇腹部を有するフレキシブルなステンレス鋼管が、水道配管として多く採用されてきている。
【0003】また、このような水道配管は、公道に埋設されている給水配管からサドル分水栓,継手類を介してステンレス鋼管の一端側が接続され、ステンレス鋼管の他端側は継手類を介して止水栓,量水栓などが接続され、宅地内へと分岐配管されている。
【0004】しかして、このような配管作業を迅速かつ簡便に行うために、次のような端部構造のステンレス鋼管が多用されている。すなわち、図6に示すように、蛇腹部1aを有するステンレス鋼管1の一端側をフレア端部3とした直管部2として形成し、この直管部2に異種金属製の袋ナット4を遊嵌自在に取付けるとともに、この袋ナット4の内周溝4aに挿嵌されている止め線5がフレア端部3のフランジ3aに当接して袋ナット4の抜け止めを行い、袋ナット4の内周面に形成されているメネジ4bに継手類など他部材のオネジを螺合させ、工事現場での配管接続作業を容易に行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この袋ナット4をステンレス製のもとして形成した場合には、著しくコスト高になるため、従来はステンレス鋼管とは異種金属である黄銅製の袋ナットが用いられているが、黄銅製の袋ナット4とステンレス鋼管1との間では異種金属同士による電蝕が発生するという不具合がある。
【0006】異種金属同士による電蝕の発生を防止するためには、両者間に絶縁シールを施せばよく、例えば実開平7−20497号公報に開示されたような絶縁可撓体などがある。しかしながら、この種のステンレス鋼管はその直管部にフレア加工を施した場合には、素材組織に変形を生じるため素材組織の変形を矯正するために焼鈍を行う必要があり、絶縁スリーブなどを予め直管部に先付けておくと絶縁スリーブが焼鈍の際の熱で破損してしまう。
【0007】また、絶縁スリーブなどを直管部に後付ける場合には、絶縁スリーブの内通孔はその口径よりも大きい径のフレア端部などを挿通させることができないため、部品点数が増えたり製造工程が増えたりし、容易にまた低コストに絶縁スリーブを直管部に装着することができなかった。
【0008】この発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、従来に比して装着作業性がよく、且つ、低コストに絶縁スリーブの装着処理を行うことができる電蝕防止用のステンレス鋼管継手の製造方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記のような目的を達成するために、請求項1記載のように、ステンレス鋼管の一端側の直管部に、異種金属製の袋ナットをフレア端部などを介して抜け止めを図りつつ遊嵌自在に取付けるステンレス鋼管の製造において、ステンレス鋼管側の直管部に対し、長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブを、切り込み部を介して絶縁スリーブの口径を広げて展開状態とし、広げられた切り込み部を介して絶縁スリーブを直管部に着脱可能に装着することを特徴とする。
【0010】また、請求項2記載のように、長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブは、直管部に装着される円筒体であることを特徴とし、請求項3記載のように、長手方向に切り込み部が条設された半割り状の絶縁スリーブは、直管部に装着される円筒体状のスリーブであるとともに、この円筒体の端部より張設されたフランジが設けられていることを特徴とする。
【0011】
【作用】この発明によれば、ステンレス鋼管における端部を形成する直管部やフレア端部の外周面に、着脱自在に絶縁スリーブを後付けで装着して被覆するので、装着作業性がよく、且つ、低コストに絶縁スリーブの装着処理を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、この発明に係る第1の実施例を示す説明用断面図である。
【0013】同図において、10は蛇腹部10aを有するフレキシブルなステンレス管であり、このステンレス管10の一端側は、直管部11とフレア端部12によって形成されている。12aはフレア端部12におけるフランジである。
【0014】13は通常使用されている黄銅製の袋ナットであり、その内周面にはメネジ13aが形成されているとともに、止め線14を挿嵌する内周溝13bが形成されている。袋ナット13の内周の径は、フランジ12aの径よりもやや大径に形成されているので、袋ナット13はフランジ12aに邪魔されることなくフレア端部12側から直管部11へと挿嵌され、直管部11に遊嵌自在に取り付けられる。
【0015】また、袋ナット13の内周面に形成されている内周溝13bに止め線14を挿嵌すると、内周溝13bより突出した止め線14がフレア端部12のフランジ12aに当設して袋ナット13の抜け止めが行われる。
【0016】15は絶縁スリーブであり、この絶縁スリーブ15は、図2および図3に示すように、直管部11の外周面を被覆する円筒部15aと、円筒部15aの一端に設けられたフランジ15bとにより形成されるが、長手方向に切り込み部15cが条設された片割れ状のスリーブとして形成されており、挿嵌時にはこの切り込み部15cから強制的に展開して装着する。
【0017】なお、この絶縁スリーブ15は、この実施例では、ポリプロピレン樹脂により形成され、800kgの荷重に耐えるように形成されているが、上記のような作用をなすものであればいずれの材料でもよい。
【0018】また、この絶縁スリーブ15のフランジ15bの外周は、フレア端部のフランジ12aよりもやや大径に形成されており、これによりフランジ12aの外周面と袋ナット13の内周面との間に生ずる間隙が密封される。
【0019】さらに、絶縁スリーブ15のフランジ15bの外周から短円筒部15dを突出形成し、フランジ12aの外周面と袋ナット13の内周面との間に生ずる間隙内にこの短円筒部15dを挿嵌するように構成してもよい。
【0020】また、荷重などや絶縁スリーブ15の材質,形成厚みなどの関係により、止め線14の形状は球形のみならず、例えば楕円形のものとし押圧力の均等化を図るように形成してもよい。
【0021】この実施例によれば、予め袋ナット13が遊嵌自在に取り付けられているステンレス鋼管10の直管部11に、切り込み部15cを展開しつつ拡げて絶縁スリーブ15を容易に後付けることができ、この絶縁スリーブ15により直管部11とフレア端部12との外周面を被覆し、絶縁スリーブ15を介してステンレス鋼管10と異種金属製である袋ナット13との間における電蝕を防ぐことができる。
【0022】次に、図5における第2の実施例について説明する。この実施例はフレキシブル継手として使用される。すなわち、蛇腹部20aを有するフレキシブルなステンレス鋼管20は、その外周が金属編形のブレード21により覆われており、かつその両端側は直管部22,23として形成されている。
【0023】直管部22側は、その端部にフランジ24aを有するフレア端部24とされるとともに、その外周にステンレス製のスリーブ25が取り付けられている。このこのスリーブ25は、その外周に環状溝25aが形成され、この環状溝25a内においてブレード21の端部がプレスリング26によって押圧され、かしめられてステンレス鋼管20からのスリーブ25の抜け止めが防止される。
【0024】27は袋ナットであり、この袋ナット27は、その内周面にメネジ27aが形成され、仕切弁やサドル分水栓などの他部材のオネジと螺合し接続される。また、27bは内周溝であり、この内周溝27b内に止め線28が挿嵌され、この止め線28がフレア端部24のフランジ24aと当設することにより、袋ナット27の抜け止めが図られる。
【0025】一方、直管部23の外周にはシモク29が取り付けられており、このシモク29の内周面には環状溝29aが形成され、外周面にも環状溝29bが形成されている。30はOリングであり、直管部23に形成された膨出部23aにより押圧される。また、31はプレスリングであり、ブレード21の端部がプレスリング31によって押圧され、かしめられてステンレス鋼管20からシモク28の抜け止めが防止される。32は、シモク28の外周に形成されたオネジであり、33は、ゴム製のカバーである。
【0026】この実施例においても上記実施例と同様、ステンレス鋼管20と異種金属である袋ナット27との間における電蝕を防ぐことができ、良好なフレキシブル継手を提供することができる。いずれにせよ、この発明においては、ステンレス鋼管における端部を形成する直管部やフレア端部の外周面に、着脱自在に絶縁スリーブを後付けで装着して被覆することができるので、装着作業性がよく、且つ、低コストに絶縁スリーブの装着処理を行うことができる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、展開自在に形成された絶縁スリーブを、ステンレス鋼管の接続端部などに対して着脱自在に簡便に後付けることができるので、ステンレス鋼管と異種金属製の袋ナットとの間における電蝕を図る電蝕防止用のステンレス鋼管継手を、装着作業性がよく、且つ、低コストに絶縁スリーブの装着処理を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】592123853
【氏名又は名称】株式会社昭和螺旋管製作所
【出願日】 平成7年5月16日(1995.5.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−173856(P2001−173856A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願2000−350261(P2000−350261)