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【発明の名称】 挿口突部の傷付防止機能を有する耐震管継手
【発明者】 【氏名】久保 俊裕

【氏名】清水 嘉平

【要約】 【課題】管接続時にロックリングによる挿口突部の損傷を防止し、しかも施工後傷付き防止のための治具を回収する必要がなく管接続を簡略化することを課題とする。

【解決手段】耐震管継手の受口11内面に取付けられるロックリング13に受口開口側面13aから前記ロックリング内面13cに至る内面を一様に覆うテーパ筒状体2が被せられ、管接続時、挿口1の挿口突部1aが、前記テーパ筒状体2を介して前記ロックリング13に接触して通過するようにされてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】耐震管継手の受口内面に取付けられるロックリングに受口開口側面から前記ロックリング内面に至る内面を一様に覆うテーパ筒状体が被せられ、管接続時、挿口の挿口突部が、前記テーパ筒状体を介して前記ロックリングに接触して通過するようにされてなる挿口突部の傷付防止機能を有する耐震管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、挿口突部の傷付防止機能を有する耐震管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】ダクタイル鋳鉄管などの金属管の管継手として、図9に示すような耐震管継手が知られている。この耐震管継手10は、受口11の内面にシール用ゴム輪収納溝11aとロックリング収納溝11bとを形成し、図示のようにシール用ゴム輪12をシール用ゴム輪収納溝11aに、芯出ゴム14及びロックリング13をロックリング収納溝11bに装着した後、先端部に挿口突部1aを有する挿口1を前記ロックリング13部分を越えて挿入し、継手部10に脱け出し力が働いたとき、前記挿口突部1aとロックリング13とを係合させて脱け出し防止を図ったものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記耐震管継手10を接合する場合、図10に示すように挿口突部1aは、ロックリング13をテーパ部1bで押し広げつつ受口11奥方へと挿入されるとき、ロックリング13と強く摩擦接触するので、テーパー部1b外面の防蝕塗装に傷が付き、挿口突部1aの防蝕上不都合を生じるといった問題があった。
【0004】このような問題を解消するため、受口11へ挿口1を挿入する場合、図11に示すように挿口1の開口部にポリエチレンシートや薄い金属ばねなど滑りの良い柔軟な介挿部材15を配置し、この介挿部材15ごと挿口1を受口11(図9、図10)内へ挿入し、挿口突部1aを介挿部材15で包皮させてロックリング13部分を通過させることによって、挿口突部1aに傷が付くのを予防し、次いで予め結止した引抜紐16を引いて回収することが行なわれる場合がある。
【0005】しかし、この場合、介挿部材15の引抜作業が管接続作業後に必要となり、作業工数が増える問題があった。この発明は、上記問題を解消し、管接続時にロックリングによる挿口突部の損傷を防止し、しかも施工後傷付き防止のための治具を回収する必要がなく管接続を簡略化することを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1の発明は、耐震管継手の受口内面に取付けられるロックリングに受口開口側面から前記ロックリング内面に至る内面を一様に覆うテーパ筒状体が被せられ、管接続時、挿口の挿口突部が、前記テーパ筒状体を介して前記ロックリングに接触して通過するようにされてなる。
【0007】従って、この発明によれば、挿口の挿入時に挿口突部と接するロックリング内面はテーパ筒状体で覆われ、これが保護カバーとなって挿口突部表面が損傷から保護される。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明のロックリングカバーの説明斜視図、図2は実施の形態である挿口突部の傷付防止機能を有する耐震管継手の断面図、図3以下は接続状態を示す工程説明図である。
【0009】図1において、2はロックリングカバーを示し、図2に示すように、ロックリング13の受口開口側13aに沿う側面2aからロックリング13の傾斜面13bに沿う傾斜面2bを経てロックリングの内面13cに沿う内面2cよりなるテーパ筒状をなす形状とされ、全体が図1に示すように一つ割りとされ、ロックリング13と共に縮径拡径変形が出来るようにされている。
【0010】また、ロックリングカバー2の受口開口側の側面2a部分は、前記挿口挿入時の摩擦により割り部分で側面2aが変形しまたは捻転しないよう軸方向の肉厚Tを厚くすることにより補強されている。この補強のための肉厚Tとしては、例えば、径φ100cmのロックリングの場合、T=5mm前後とされる。
【0011】また、ロックリング13の内面部分13cに沿って延在する筒状部2cの肉厚t(図1)は200〜500μmとされる。この理由は、200μmより薄いと、筒状部2cが薄すぎて挿口突部1aの挿入時に破れるおそれがあり、また500μmより厚いとその厚みでロックリング13が収納溝11b側の外径方向へ押し付けられ、挿口突部1aとの係合量が十分で無くなって離脱防止機能が損なわれるからである。
【0012】そして、上記ロックリングカバー2は、全体がポリエチレン樹脂など滑りの良い樹脂で一体成形されている。次に、挿口突部の傷付防止機能を有する耐震管継手の接続状態を説明する。図3に示すように、受口10内面のロックリング収納溝11bに芯出ゴム14を装着したあと、ロックリングカバー2を嵌合したロックリング13を装着する。
【0013】次いで、図4に示すように挿口1を挿入するが、このとき、挿口突部1aの表面はロックリングカバー2のテーパ部2b、内面部2cを介してロックリング13と接する。従って、ロックリング13による挿口突部1a外面の傷付きが防止され、図5に示すように挿口1を挿入した後、挿口突部1a外面にロックリング13との接触による防蝕層の損傷が確実に防止できる。
【0014】また、このとき、ロックリングカバー2には、管受口奥方へ引き込もうとする強大な摩擦力が加わるが、開口端側の側面2aの補強用肉厚部がこれに対抗し、引き込まれたり捻転したりすることがない。ロックリングカバー2は、挿口1を接続した後もロックリング13外面に嵌合したまま受口11内面に留置されるが、内面部2cの肉厚が薄いので継手の抜き出し防止機能に対しては何らの弊害も及ぼさない。
【0015】従って、この実施の形態のロックリングカバーによれば、挿口突部1a表面を損傷することなく挿口1を受口11内へ挿入することが可能となり、また接続後にロックリングカバー2を放置しておいても管継手の離脱防止機能には何等の弊害もないため、接続作業時に除去する必要もなく、管接続作業が迅速に終了する。
【0016】上記の実施の形態として、ロックリングカバー2全体をポリエチレン樹脂のようなプラスチックで一体成形した場合を示したが、図6(a)(b)に示すように開口端側の側面2aの肉厚部内にリング状の金属製補強体3を埋入する構成としても良い。なお、図6(a)は傾斜部2bまで埋入されるテーパ部を有した金属補強体3の場合、同(b)は側面2aのみにリング状の金属補強体3を埋入した場合を示す。
【0017】この場合、開口端側の側面2aの強度がかなり向上するので、この部分の肉厚を薄くすることができる。さらに、ロックリング13の外周に配置される芯出ゴム14は、リング体14aの内面に内径方向の接触子14bを多数突設した構成とされるので、ロックリングカバー2の前端側に、図7、図8に示すように上記接触子14b間に延出する係合爪部2dを形成し、この係合爪部2dをロックリング13の外周縁部に引っ掛けるようにし係合力をより確実にする構成としても良い。
【0018】また、ロックリングによる脱け出し防止を図る構造の管継手で、挿口挿入時にロックリングを押し広げて挿入する形式の耐震管継手あれば、上記実施の形態として図示したような管継手のみならず、他の種類のものであっても同様に実施できる。
実施例次にこのロックリングカバーの実施例を説明する。
【0019】径φ100mmのロックリングに対し、側面2aの肉厚T=5mm、ロックリングの内面13cに沿う内面部2cの肉厚t=200〜500μmとしたポリエチレン製のロックリングカバーを5種類成形した。次いで、図3に示したように受口10内面のロックリング収納溝11bに芯出ゴム14を装着したあと、ロックリングカバー2を嵌合したロックリング13を装着し、受口10内に挿口1を挿入し接続した。
【0020】一方、比較例として、ロックリングの内面13cに沿う内面部2cの肉厚150μmとしたポリエチレン製のロックリングカバーを同様にしてロックリングに装着し管継手の接続を行なった。この結果、実施例のものは、すべて挿口突部の防蝕塗膜に傷をつけることなく接続できたが、比較例のものは筒状部が破断し、あるいは挿口突部と共に受口内へ引きずり込まれてしまった。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のロックリングカバーによれば、挿口突部表面を損傷することなく挿口の接続が可能となり、また接続後ロックリングカバーを放置しておいても管継手の離脱防止機能には何等の弊害もないため、接続作業時に除去する必要もなく、従って従来必要であった介在部材の引抜作業も全く不要となり、管敷設工事が簡単となる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2001−173852(P2001−173852A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−360064