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【発明の名称】 排水パイプ
【発明者】 【氏名】西岡 武美

【氏名】森島 雅樹

【氏名】海老澤 英雄

【要約】 【課題】土中に埋設して雨水等を排水するためのパイプであって、下方への撓みを防止して排水が円滑に行なわれ、それ以外の方向に対しては施工性を良くするため適度な可撓性を持たせ、且つ簡便で安価な方法により製造できる排水パイプの提供。

【解決手段】熱可塑性樹脂からなる円筒状の内層、例えば平行に間隔3をあけて円筒状に配置された複数の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランド2からなる内層と、上記円筒状内層の外側に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂からなる凹凸部、例えば中空棒状ストランド4が螺旋状に巻き回されて形成された凹凸部5、6を有する外層とからなる排水パイプ本体の周方向の少なくとも1箇所に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂製帯状補強材8を接着させてなる排水パイプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる円筒状の内層と上記円筒状内層の外側に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂からなる凹凸部が形成された外層とからなる排水パイプ本体の周方向の少なくとも1箇所に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂製帯状補強材を接着させてなる排水パイプ。
【請求項2】 円筒状の内層が、軸方向に平行に間隔をあけて円筒状に配置された複数の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランドからなる内層である請求項1記載の排水パイプ。
【請求項3】 凹凸部が熱可塑性樹脂の中空棒状ストランドが螺旋状に巻き回されて形成されたものである請求項1または2に記載の排水パイプ。
【請求項4】 熱可塑性樹脂製帯状補強材が一方の帯状補強材と対向する位置にも接着されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の排水パイプ。
【請求項5】 1箇所当たりの帯状補強材の合計巾が、全円周の2%〜30%である請求項1ないし4のいずれかに記載の排水パイプ。
【請求項6】 排水パイプ本体と異なる色の帯状補強材が接着されている請求項1ないし5のいずれかに記載の排水パイプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排水パイプに関する更に詳しくは、上下方向の可撓性を制限し、その他の方向には適度の可撓性を保たせ、重力による変形が少なく、排水の勾配を保つための整地が多少荒くとも排水管の勾配が保たれ、又、宙吊する場合はその間隔を広げることが可能であり、施工が容易である排水パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】宅地、農地、グラウンドあるいはトンネル、道路等の土木構築物造成地において、排水パイプを土中に傾斜して埋設し、雨水や湧水を排水することが行なわれている。
【0003】排水パイプには目的に応じて各種のタイプのものがあり、材料及び構造の違いにより、可撓性のない剛直なパイプから可撓性のパイプまで種々のものが使用されている。また単にパイプの上部入口から下部出口まで排水する密閉型のパイプのほか、表面に多数の開口部を設け、土中の水をパイプ内に集めパイプを伝って排水させるものもある。可撓性の排水パイプとしては、円筒状の内層と、この円筒状内層の外側に、軸方向に沿って凹凸部が形成された外層とからなる二重管タイプのものが多く用いられている。
【0004】このような外層に凹凸部が形成された二重管タイプの排水パイプとして、先に本発明の出願人は、長手方向に平行に間隔をあけて配置された複数の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランドと、上記フィルム状ストランドの外側に、螺旋状に巻き回された熱可塑性樹脂の中空棒状ストランドとからなる排水パイプを提案した(特開昭58−24012号公報、及び特公平1−60612号公報)。
【0005】外層に凹凸部が形成された二重管タイプの排水パイプは、軽量で且つ耐圧強度が大きく、また水の流れる内層部分が平滑なフィルム状ストランドであるため、流水性能が良い等の優れた性質を有している。また可撓性も優れている。
【0006】しかしこのような可撓性を有する排水パイプは、施工に便利であるという反面、長尺の排水パイプを支える各支点の中間部分で重力により下方に撓みやすく、そのため排水のために傾斜を設けても、場合によっては傾斜に沿った排水が円滑に行なわれない虞れがある。またこのような撓み部分を少なくして、排水のための傾斜を保とうとすると、支点を多数設けて宙吊りの間隔を狭くする必要があり、配管作業が煩雑で、工事費も高くなる。又、排水パイプを土中に埋設あるいは排水溝に設置する場合は、埋設溝あるいは排水溝の勾配を保つために充分な整地を行なう必要があるという欠点があった。。
【0007】上記の問題を解決するための方法として外表面に軸方向に沿って凹凸部を設けたパイプの一部に、上記凹凸部に嵌合する突起部を有する屈曲規制片を軸方向に沿って直線状に嵌め込んだ可撓管が提案されている(特開平8−303652号公報)。
【0008】しかしながら、このような屈曲規制片を嵌め込んだパイプでは、■パイプとは別に屈曲規制片をあらかじめ成形しておく必要がある。
■パイプの凹部の間隔及びパイプ径に合わせて屈曲規制片を各種製作する必要がある。
■多数の屈曲規制片をパイプに嵌めこむ作業が必要となり、またこれをパイプの軸方向に直線状に嵌めこむのが困難である。
等の問題があり、上記■〜■の問題はいずれも作用が煩雑であり、かつ費用もかかる。このためパイプの製作費用以外に作業工程に時間がかかるとともに、多額のコストを必要とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の発明者らは、比較的容易な方法により下方への撓みを効果的に制限し、且つそれ以外の方向に対しては適度な可撓性を保持し、作業が簡単で施工性に優れた排水パイプを得ることを検討した結果、パイプの周方向の少なくとも1個所に撓みを防止するための帯状補強材を軸方向に沿って取りつけることにより上記問題点を解決できることを見出した。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、熱可塑性樹脂からなる円筒状の内層と上記円筒状内層の外側に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂からなる凹凸部が形成された外層とからなる排水パイプ本体の周方向の少なくとも1箇所に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂製帯状補強材を接着させてなる排水パイプである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の排水パイプを図面により説明する。図1は本発明の排水パイプの一例の見取り図である。図1の排水パイプは、内層が、軸方向に平行に間隔をあけて円筒状に配置された複数の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランドからなり、また外層の凹凸部は熱可塑性樹脂の中空棒状ストランドが螺旋状に巻き回されて形成されている。図2はその断面図である。図1、図2において軸方向に平行に間隔3をあけて、複数本の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランド2が配置され、排水パイプの内層が円筒状に形成されている。図1、2の排水パイプはこのような構造のため、このフィルム状ストランド間の隙間が開口部となって、ここから土中の水をパイプ内に集め、パイプを通って排水するようになっているが、本発明の排水パイプの内層はこのような構造に限られるものではなく、単にパイプの上部入口から下部出口まで排水する目的だけに用いるのであれば、図3の4のよな隙間のない一本の円筒状で形成すれば良い。
【0012】外層には上記熱可塑性樹脂からなる円筒状の内層の外周に、軸方向に沿って熱可塑性樹脂からなる凹凸部が形成されている。図1においては、円筒状内層の外側に、熱可塑性樹脂の中空棒状ストランド5を螺旋状に巻き回して凹部6、凸部7が形成されている。凹凸部を有する外層としては、図1のように中空棒状ストランドを螺旋状に巻き回して形成されたものの他、図3のような凹部6、凸部7を有するコルゲート管8等を外層として用いることもできる。上記の如き各種構造の内層と外層が接着され排水パイプ本体を構成している。
【0013】内層と外層の接着方法は押出し一体成形により融着させるのが、簡便で且つ高い接着力が得られるので最も好ましいが、ホットメルトによる接着も可能である。円筒状内層と、その外側に螺旋状に巻き回された中空棒状ストランドとの一体成形は、内層部分を押し出す固定ダイスと、螺旋部分を押し出す回転ダイスとを同心円状に配置させた回転ダイス方式の押出機を用いて押出し成形により容易に成形することができる。
【0014】排水パイプの直径はその用途によって適宜決められるが、通常40mm〜500mm、特に50mm〜150mmのものが多く用いられる。
【0015】内層を構成するフィルム状ストランドの厚みはパイプの口径によっても異なるが、500mm口径のパイプで0.3mm〜1.5mm程度の厚みのものが好ましい。
【0016】また排水パイプ内に開口部を設けるために、内層として、複数の熱可塑性樹脂のフィルム状ストランドを軸方向に平行に間隔をあけて配置する場合、一本のフィルム状ストランドは通常巾3mm〜30mmの物が用いられ、隣接するフィルム状ストランドとの間隔(隙間)は、通常、1mm〜6mmであり、この隙間から、雨水や湧水を土中からパイプ中へ流出、排水させる。
【0017】排水パイプ本体の外層の凹凸部の大きさは通常、高さが3mm〜30mm、隣接する凸部と凸部の間隔が5mm〜20mmである。中空棒状ストランドを螺旋状に巻き回すことにより、凹凸部を形成する場合、中空棒状ストランドとしては、通常外径3mm〜30mm、内径2mm〜25mmの断面円形のものが用いられるが、目的に応じ、断面が正方形、長方形、その他の多角形、楕円形のものを用いることもできる。
【0018】螺旋の軸方向に対する傾斜角度αは、70〜87度が好ましい。また螺旋のピッチはパイプの口径によっても異なるが、500mm口径のパイプで10mm〜20mm程度とするのが好ましい。巻き回す中空棒ストランドは一本又は二本以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】内層を構成するフィルム状ストランドと、外層を形成する凹凸部の何れも、材料は熱可塑性樹脂であり、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができるが、耐蝕性耐候性、耐圧強度、軽量、価額等の点から特にポリプロピレン、高密度ポリエチレン等のポリオレフィンが好ましい。また、内層及び外層を構成する熱可塑性樹脂は同種であっても、異種であっても良い。例えば排水パイプの柔軟性と剛性のバランスをとるために,内層を構成する熱可塑性樹脂の密度,剛性を低くしておいても良い。
【0020】本発明においてはこの排水パイプ本体の外側に、軸方向に沿って帯状補強材9を接着させたものである。帯状補強材は、排水パイプの下部への撓みを防止するため、図2(a)のように排水パイプ本体の周方向の少なくとも1箇所A(排水パイプを土中に埋設した時の上部又は下部)に取りつけることが必要であるが、図2(b)のようにAと対向する位置Bにも取りつけ、撓み防止効果を更に強化することもできる。
【0021】帯状補強材は取りつける1箇所当たり図2(a)及び図2(b)のように1本、又は図2(c)のように近接して複数本設けることができる。1箇所当たりの帯状補強材の巾(複数本の場合は合計巾)は、パイプの全周(360度)に対し5%〜30%(18〜108度)、好ましくは7%〜10%とするのが好ましい。巾が広すぎると、上下方向以外への可撓性が小さくなり、施工性が悪くなる。また巾が小さすぎると下方への撓み防止効果が小さくなり、本発明の目的を達成することができない。実寸法はパイプ口径によって異なるが、100mm口径のパイプで通常5〜50mm程度の巾の帯状補強材を取りつける。
【0022】また帯状補強材の厚さは通常0.5〜5mmであり、薄すぎると下方への撓み防止効果が小さく、また厚すぎると上下方向以外への可撓性が失われる虞がある。
【0023】帯状補強材は熱可塑性樹脂製であり、排水パイプ本体の材質と同一材料でも異種材料であっても良い。成形の容易さ及び成形後の変形等の点を考慮すると同一材料を用いるのが好ましいが、撓み防止効果をあげるために、排水パイプ本体より可撓性の小さい別の材料を選択することもできる。
【0024】また帯状補強材は排水パイプ本体と同一色のものとしても良いが、本発明の排水パイプの目的は、帯状補強材を上部、下部又は上下両部に取りつけて、下方への撓みを防止することにあり、施工の際、設置方向の識別を容易にするためには、両者を異なる色にした方が使いやすい。
【0025】排水パイプ本体と、帯状補強材との接着は任意の方法で行なうことができる。例えば排水パイプ本体の成形時に、同時に帯状補強材を押出成形し、そのまま両者を融着させる同時押出し成形を用いれば、最も簡便に成形することができ、また強固に融着しており、簡単にはがれないので好ましい。またホットメルト剤を介してパイプ本体と帯状補強材とを接着することもできる。またフィルム状ストランド及び帯状補強材を押し出す固定ダイスと、螺旋部分を押し出す回転ダイスとを同心円状に配置させた回転ダイス方式の押出機を用いて押出し成形することにより内層と外層と帯状補強材との同時一体成形も可能である。
【0026】上記構造を有する本発明の排水パイプは、帯状補強材が取りつけられた部分を上又は下にし、ゆるい傾斜を設けて土中に埋設する。土中の水は排水パイプ上部入口から排水パイプを通って下部出口から排水されるほか、内層にフィルム状ストランド間の隙間のような開口部を設けた排水パイプにおいては、土中の水をパイプ内に集めパイプを通って排水される。開口部を設けた排水パイプは埋設の際、その下部に不織布等を敷いて排水パイプの途中からの水の流出を防ぐ。
【0027】
【実施例】[実施例1]高密度ポリエチレン製、巾10mm、厚さ1mmのフィルム状ストランドが2mmの間隔を設けて配置された円筒状内層と、高密度ポリエチレン製、直径10mmの断面円形の中空ストランドを上記フィルム状ストランドからなる円筒状内層の外側に巻き回した外層とからなる口径100mmの排水パイプ本体に、周方向において対向する2箇所に、高密度ポリエチレン製、巾25mm、厚さ0.5mmの帯状補強材が軸方向に沿って融着された長さ4mの帯状補強材つき排水パイプを一体押出成形により製造した。この排水パイプを、長さ2mの距離を置いて設けた2つの支点の上に、帯状補強材が上下になるようにして載せ、中間部の垂れ下がり長さを測定したところ、0.2cmであった。また、帯状補強材が左右になるようにして同様の方法で下方への垂れ下がり長さを測定したところ、30cmであった。
【0028】[実施例2]実施例1において、周方向の1箇所のみに実施例1と同じ帯状補強材を1枚融着させた以外は実施例1と同様にして、口径100mm、長さ4mの帯状補強材つき排水パイプを一体押出成形により製造した。この排水パイプを、実施例1と同じ方法で、長さ2mの距離を置いて設けた2つの支点の上に、帯状補強材が上になるようにして載せ、中間部の垂れ下がり長さを測定したところ、0.4cmであった。また、帯状補強材が横になるようにして同様の方法で下方への垂れ下がり長さを測定したところ、30cmであった。
【0029】[比較例1]実施例1で用いた排水パイプ本体に、帯状補強材を取りつけないで実施例1と同じ方法で排水パイプの下方への垂れ下がり長さを測定したところ、30cmであった。
【0030】以上の結果から明らかなように、本発明の排水パイプは帯状補強材が設けられた方向に対して、これを設けないパイプに比べ可撓性が著しく制限され、下方への撓み防止効果が大きいことがわかる。またこのような帯状補強材を設けても、横方向に対しては充分な可撓性を保持しており、施工性が損なわれることはない。
【0031】
【発明の効果】本発明の排水パイプは、円筒状内層と、その外側にの外側に、軸方向に沿って凹凸部が形成された外層とからなる排水パイプ本体の外側の上部及び/又は下部に、帯状補強材を接着させたことにより、■下方への撓みが制限され、排水は排水溝の整地が多少荒くとも、傾斜に沿ってほぼ直線状に流れ、排水が円滑に行なわれる。
■上下以外の方向には可撓性が保持されているので、曲線状の埋設位置にも柔軟に対応でき、施工が容易である。
■帯状補強材はパイプ成形時に一体成形できるので、屈曲規制片を嵌めこんでいく方法のような作業の煩雑さがなく、経済的にも有利である。
■帯状補強材は一体成形によりパイプ本体と融着させることができ、簡単にはがれない。
■パイプ本体と帯状補強材との材質を同一にも異質にもできるので、目的に応じ補強材としての材質を選択できるまた色を違えることにより、施工の際、設置方向の識別が容易となる。
■帯状補強材はパイプ外部に取りつけられているので、排水パイプ内部の流量には影響を与えない。
■排水パイプを宙吊りする場合は、傾斜を保つための宙吊りの間隔を広げることができる。
等の優れた効果を有する。
【0032】このため本発明の排水パイプは、宅地、トンネル道路等の土木工事構造物周辺の土地、農地、グラウンド等の排水パイプとして有用である。
【出願人】 【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
【出願日】 平成11年12月16日(1999.12.16)
【代理人】 【識別番号】100070493
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173848(P2001−173848A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−356796