| 【発明の名称】 |
ヒューム管及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 良文
【氏名】出口 敏行
【氏名】矢ヶ崎 房夫
【氏名】服部 公一
【氏名】石井 義章
【氏名】柴田 哲保
【氏名】野口 雅弘
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| 【要約】 |
【課題】経常的に発生する焼却灰の処理の途を広げて廃棄処分量を減少させるとともに、廃棄物の有効利用を図ることができ、且つ、環境破壊を防ぎ、加えてヒューム管を製造するコンクリートとして必要な性質である強度、ワーカビリティ及び製品の内面の平滑度を得るヒューム管及びその製造方法の提供。
【解決手段】下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を骨材の一部に代えてセメント量に対して15%(重量%以下同じ)以内の量を添加し、且つ、水セメント比を35〜50%としたコンクリートをもって遠心成形する。使用する焼却灰は、二酸化ケイ素(SiO2)40〜55%、酸化カルシウム(CaO)5〜10%、ブレーン値8000cm2/g以上を含むものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を骨材の一部に代えて混入したコンクリートをもって遠心成形してなるヒューム管。 【請求項2】 二酸化ケイ素 (SiO2) 40〜55%酸化カルシウム(CaO) 5〜10%酸化第二鉄(Fe2O3) 5〜12%酸化アルミニウム(Al2O3) 13〜25%酸化マグネシウム(MgO) 5〜10%五酸化リン(P2O5) 5〜15%酸化ナトリウム(Na2O) 0.5〜 3%塩化物 100mg/kg以下ブレーン値 8000cm2/g以上を含む下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を、セメント量に対して15%以内の量を混入してなる請求項1に記載のヒューム管。 【請求項3】下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を骨材の一部に代えて混入したコンクリートをもって遠心成形するヒューム管製造方法。 【請求項4】下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を、セメント量に対して15%以内の量を添加し、且つ、水セメント比を35〜50%とする請求項3に記載のヒューム管製造法。 【請求項5】 二酸化ケイ素 (SiO2) 40〜55%酸化カルシウム(CaO) 5〜10%酸化第二鉄(Fe2O3) 5〜12%酸化アルミニウム(Al2O3) 13〜25%酸化マグネシウム(MgO) 5〜10%五酸化リン(P2O5) 5〜15%酸化ナトリウム(Na2O) 0.5〜 3%塩化物 100mg/kg以下ブレーン値 8000cm2/g以上を含む焼却灰を使用する請求項3若しくは4に記載のヒューム管製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、下水処理場にて常時発生する下水汚泥を焼却した焼却灰を原料の一部として含むヒューム管及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、下水処理施設では、経常的に下水から除去した有機質を多量に含む下水汚泥が発生する。この下水汚泥は、多くの場合焼却処理され、これによって発生する焼却灰は、従来産業廃棄物として埋め立て処理されている。 【0003】一方ヒューム管は、遠心成形用の筒状成形型内に網鉄筋を配筋し、これを回転させつつコンクリートを注入し、遠心力によってコンクリートを成形型内面に張り付けた状態で内面を仕上げて成形されており、その主原料は砂等の細骨材、砕石等の粗骨材、セメント及び水である。また、ヒューム管は、その用途に応じた強度が保たれる必要があり、管径に応じて強度が規格化されている。 【0004】更に、ヒューム管の内面は水をスムーズに流すために平滑度が求められる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述した下水処理施設では、これが稼働している限り下水汚泥が発生し、これを焼却した灰は、下水処理場が稼働する限り、永久に発生し続けるものであり、その焼却灰の処理を埋め立てのみに頼っていたのでは、何れは埋め立て処理施設が行き詰まり、下水処理が成り立たなくなってしまう。 【0006】更に、ヒューム管を製造するための骨材は天然に産出するものを使用しており、これらの採取は専ら河川の採掘か山の掘削に頼っており、近年、環境破壊につながる問題として大きな社会問題となっている。 【0007】本発明は、このような状況に鑑み、経常的に発生する焼却灰の処理の途を広げて廃棄処分量を減少させるとともに、廃棄物の有効利用を図ることができ、且つ、環境破壊を防ぎ、加えてヒューム管を製造するコンクリートとして必要な性質である強度、ワーカビリティ及び製品の内面の平滑度を得るヒューム管及びその製造方法の提供を目的としてなされたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための本発明に係るヒューム管及びその製造方法の特徴は、下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を骨材の一部に代えて混入したコンクリートをもって遠心成形することにある。 【0009】尚、下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を、セメント量に対して15%(重量%以下同じ)以内の量を添加し、且つ、水セメント比を35〜50%とすることが好ましく、また、使用する焼却灰は次ぎの成分を含むことが好ましい。 【0010】 二酸化ケイ素 (SiO2) 40〜55%酸化カルシウム(CaO) 5〜10%酸化第二鉄(Fe2O3) 5〜12%酸化アルミニウム(Al2O3) 13〜25%酸化マグネシウム(MgO) 5〜10%五酸化リン(P2O5) 5〜15%酸化ナトリウム(Na2O) 0.5〜 3%塩化物 100mg/kg以下ブレーン値 8000cm2/g以上【0011】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について説明する。 【0012】一般に、下水に含まれる汚泥の成分は全国的に略同様な成分からなっているが、これを下水から分離する工程の違い、即ち使用する添加物の違いや、下水から沈降分離した汚泥をケーキ化する際の脱水処理方法の違いによって、これを焼却した後に残る焼却灰の成分が異なる。 【0013】使用する焼却灰本発明で使用する焼却灰は、下水処理材に石灰や塩化第二鉄を使用せずに、高分子凝集剤を使用して得られた汚泥を焼却処理した際に発生するものを使用する。 【0014】本発明で使用する焼却灰の例として東京都の処理場で発生した焼却灰A及びBの成分分析結果は第1表の通りであった。 【0015】第1表 【0016】フレッシュなコンクリートを用いて構造物を製作する時、常に製造者の念頭にあることは、1.所定(目的)の強さを保つこと2.製作された構造物のコンクリートが永久に変質しないこと3.製作する時のコンクリートの作業性(ワーカビリティ)が適性値であること4.製作された構造物の外観がきれいであることである。 【0017】いずれも重要な要素であるが、このうちワーカビリティについては特に重要であり、ワーカビリティを良くする(フレッシュコンクリートの流動性を高める)ために水の添加を多くすることは品質の低下と耐久性の低下につながり、厳密に管理されなければならない。 【0018】従って、コンクリートを製作する時の材料と配合設計時には、これに多くの配慮をする。もし、強度等を満足する材料が見出だせなくてもワーカビリティを損なう性質を保有している材料はコンクリート材料として不適な材料である。ワーカビリティを損なう材料としての骨材としては、吸水率の良い材料が代表例としてある。 【0019】本発明に使用した焼却灰以外に、下水汚泥処理材として石灰を用いた焼却灰があるが、これは焼却灰の成分に水酸化カルシウムが多量に含まれ吸水率が高く、フレッシュコンクリートのワーカビリティを損ない、本発明に使用した焼却灰と同量の焼却灰を用いて同じワーカビリティを得るためには水量を多く使用しなければならず、当然、強度、耐久性について劣るコンクリートとなる。 【0020】一般的にコンクリートを扱う技術者は、日常的にコンクリート中の水セメント比を小さくし、水量を減らし、いかに良質のコンクリートを製作するかに腐心する。 【0021】また、焼却灰を混入したコンクリートで製造したヒューム管の内面は、通常のコンクリートに比べ平滑な内面となる。これは、遠心力成形した場合に、コンクリート中の微粒子が、比重の違いにより内面におしだされ、遠心力によって貼り付いているものである。これは通常セメントはブレーン値が4000cm2/g又は高炉スラブのブレーン値が4000〜6000cm2/gに対し、焼却灰のブレーン値が8000cm2/g以上ある物質のためである。 【0022】次に表1に示した焼却灰を用いてコンクリート中の焼却灰の混入率を変化させた試験例を示す。 【0023】使用材料以下に述べる試験例において使用した材料は次ぎの通りである。 【0024】 セメントC:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製ρc=3.16) 細骨材S1:砕砂(埼玉県児玉郡上里町産ρs1=2.60,F.M=2.96) 細骨材S2:天然砂(埼玉県児玉郡上里町産ρs2=2.64,F.M=3.09) 粗骨材G:砕石6号(埼玉県児玉郡上里町産ρG=2.70,F.M=5.91) 膨張剤GP:アサノジプカル(太平洋セメント社製ρGP=3.00) 減水剤M150RX:マイティー150RX(高性能減水剤)(花王社製) 焼却灰B:東京都新河岸処理場産(東京都下水道局ρashB=2.60) モルタルのワーカビリティ上記焼却灰を骨材に代えて添加した場合に、モルタルのワーカビリティに与える影響について試験した。 【0025】一定のモルタルワーカビリティを得るための水セメント比について試験を行った結果、セメントに対する添加率(以下単に添加率と記す)5,7,10及び20%の各割合で焼却灰を添加し場合に、フロー値が一定(目標フロー値:210mm±20mm)となるためのモルタル配合は第2表の如くであった。 【0026】尚、表中W/Sは水セメント比、S/Cは骨材セメント比、Wは水である(以下同じ)。 【0027】第2表 【0028】また、同様に一定のワーカビリティを得るための減水剤の影響について試験を行った結果、フロー値(目標フロー値:210mm±20mm)及び水セメンと比を一定とした場合のモルタル配合は第3表の如くであった。 【0029】第3表 【0030】上記各試験結果から、モルタルにおける焼却灰使用率と水セメンと比及び減水剤添加率との関係は第1図に示す如くである。 【0031】上記第1表及び第2表に示した配合における練混ぜ時間について試験した結果は第4表の如くであった。 【0032】第4表 【0033】尚、上記練混ぜ試験におけるモルタルの練混ぜは、10リッターモルタルミキサーを使用し、練鉢内にセメント、砂、焼却灰、水及び減水剤を一度に投入し、30秒間練混ぜてから一旦機械を停止させ、パドルと練鉢の周りについたモルタルを掻き落し、その後60秒間練混ぜてからフロー値を測定した。また、モルタルの練混ぜ状況によって最終練混ぜ時間を延長した。 【0034】配合No.1−0〜No.2−15についてはフロー値は許容範囲に収まったが、配合No.2−20(焼却灰利用率20%)では減水剤を増加したにもかかわらず所定のワーカビリティーは得られなかった。 【0035】また、減水剤を増加させた配合では焼却灰利用率が10%を超えると所要練混ぜ時間が増加した。 【0036】コンクリートのワーカビリティ上記焼却灰を骨材に代えて添加した場合に、コンクリートのワーカビリティに与える影響について試験した。 【0037】一定のセメントワーカビリティを得るための水セメント比について試験を行った結果、セメントに対する添加率5,7,10及び20%の各割合で焼却灰を添加し場合に、スランプが一定(目標スランプ:8cm±2cm)となるためのコンクリート配合は第5表の如くであった。 【0038】尚、表中S/aは細骨材粗骨材比である。 【0039】第5表 【0040】また、同様に一定のワーカビリティを得るための減水剤の影響について試験を行った結果、スランプ(目標スランプ:8cm±2cm)及び水セメンと比を一定とした場合のコンクリート配合は第6表の如くであった。 【0041】第6表 【0042】上記各試験結果から、コンクリートにおける焼却灰使用率と水セメンと比及び減水剤添加率との関係は第2図に示す如くである。 【0043】上記第5表及び第6表に示した配合における練混ぜ時間及びコンクリートの練混ぜ状況について試験した結果は第7表の如くであった。 【0044】第7表 【0045】尚、上記練混ぜ試験におけるコンクリートの練混ぜは、パン型強制練ミキサー(最大練混ぜ容量55リッター)を用い練混ぜ量は45リッターとした。該ミキサー内にセメント、砂、焼却灰を投入してから30秒間空練りし、水及び減水剤を投入してから30秒間練混ぜてモルタルとし、一旦ミキサーを停止して砂利を投入し、更に60秒間練混ぜた。また、コンクリートの練混ぜ状況によって最終練混ぜ時間を延長した。 【0046】スランプを一定とするには、焼却灰使用率の増加とともに水セメンと比及び減水剤の添加率は増加する傾向にあり、焼却灰使用率が10%付近から急激に増加する。 【0047】以上の結果からモルタル及びコンクリート共、焼却灰の利用率が10%を超えると所要のワーカビリティーを得るために必要な減水剤の添加率は増加し、急激に増加し、なおかつコンクリートの粘性が増加するため作業性も悪化する。このため、焼却灰の使用に伴うワーカビリティを確保するためには、減水剤の増加よりも単位水量の増加によるのがよく、特に使用焼却灰率15%以内、水セメンと比40〜46%が好ましい。 【0048】ヒューム管の製造試験焼却灰の利用がヒューム管の遠心成形性に与える影響について試験を行った。 【0049】上述したコンクリート配合No.a−0〜No.a−20及びNo.b−0〜No.b−20について、所要高速締固め時間と、内面の締固まり性状について試験した結果、第8表の如くであった。 【0050】第8表 【0051】この結果から、焼却灰の使用率の増加に伴って締固め時間が増加し、減水剤を用いてワーカビリティを改善させたもの程その傾向が強い。また、配合No.a−20及びNo.b−10〜b−20では締固め時間を増加させても内面の締固まり性は悪い。水セメント比を増加させてワーカビリティを改善させた配合にあっては、焼却灰使用率15%以内がヒューム管として使用に耐えるものであるが、同使用率5〜7パーセントがより好ましいことが判明した。 【0052】焼却灰の使用がヒューム管強度に及ぼす影響について試験を行った。 【0053】前述したコンクリート配合No.a−0、No.a−5、No.a−15の各配合毎に呼び径250、400、700及び900のヒューム管を製造し、その強度を規格値と、及び通常のヒューム管の内面の平滑度と比較した結果、第9表の如くであった。尚、規格値とは弾性強度によって計算された通常のコンクリートでの強度である。 【0054】また、平滑度は目視の観測によった。 【0055】第9表 【0056】この結果から、焼却灰の使用率がセメントに対して15%以内であれば、ヒューム管の規定値を何れも上回り、焼却灰不使用のヒューム管と差異がなかった。 【0057】考察上述した各種の試験結果から、汚泥の処理工程において脱水ケーキ製造工程に高分子凝集剤を使用する方式により発生する焼却灰の場合、その成分は概ね次ぎの如くであり、且つ、内面を平滑にできる物質としてヒューム管製造時のワーカビリティ及び強度に影響を与えることなく使用しうる。 【0058】 二酸化ケイ素 (SiO2) 40〜55%酸化カルシウム(CaO) 5〜10%酸化第二鉄(Fe2O3) 5〜12%酸化アルミニウム(Al2O3) 13〜25%酸化マグネシウム(MgO) 5〜10%五酸化リン(P2O5) 5〜15%酸化ナトリウム(Na2O) 0.5〜 3%塩化物 100mg/kg以下ブレーン値 8000cm2/g以上また、モルタル及びコンクリートのワーカビリティーにより、焼却灰の使用率がセメントに対して15%以内、水セメンと比が35%〜50%であることが好ましい。 【0059】更に、ヒューム管の強度に与える影響は、焼却灰の使用率がセメントに対して15%以内である場合には、充分に規定値を上回り、焼却灰不使用のものと変わりない強度が得られる。 【0060】 【発明の効果】上述のように、本発明に係るヒューム管及びその製造方法は、下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を骨材の一部に代えて混入したコンクリートをもって遠心成形するようにしたことにより、従来埋め立て処理されていた下水汚泥の焼却灰を再利用することができることとなり、焼却灰の廃棄処分量を少なくでき、自然の骨材の採取より発生する環境破壊を防ぐことができる。 【0061】また、下水汚泥を焼却して得られる焼却灰を、セメント量に対して15%以下添加し、水セメント比を35〜50%とすることにより、ヒューム管製造時のワーカビリティー及び品質が許容可能な範囲となるとともに、内面の平滑度が良く、ヒューム管として充分に使用に耐え得る強度が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000229667 【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社 【識別番号】000120146 【氏名又は名称】羽田ヒューム管株式会社 【識別番号】390025999 【氏名又は名称】中川ヒューム管工業株式会社 【識別番号】000220675 【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月20日(1999.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089886 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 雅雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−173845(P2001−173845A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−361843 |
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