トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 差込み式管継手
【発明者】 【氏名】岡崎 義郎

【要約】 【課題】管を差込み後に引戻す手間を省略できて接続作業性の向上を図れ、また管の差込み不足の問題を解消できる差込み式管継手を提供する。

【解決手段】継手本体1内のロックリング3と受口6と管端ストッパー部7との間に、差し込まれる管Pを抜出し方向に押圧付勢する圧縮コイルばね5を内装する。管Pの端部を受口6より差し込んで圧縮コイルばね5を圧縮させた後、管Pより手を離すと圧縮コイルばね5の力で管Pが押し戻され、ロックリング3が管Pのロックリング用溝13に引っ掛かって管の抜止め機能を発揮する。管Pの差込み不足のときは、ロックリング用溝13がロックリング3の手前に位置するので、手を離すと圧縮コイルばね5の力で管Pが押し戻されてロックリング用溝13が見える。したがって管Pの差込み直しを促すことになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状の継手本体の軸心方向両端に、端部の外周面にロックリング用溝を設けた管の前記端部が差し込まれる受口を開口するとともに、この受口の内奥部内周に管端ストッパー部を設けており、前記受口の内部に、この受口に差し込まれる前記管の端部に外嵌され、該端部の前記ロックリング用溝に係合する拡縮径自在なロックリングが組み込まれており、前記ロックリングの内接する受口の内周には、差し込まれた前記管が抜出し方向に移動したときに前記ロックリングに縮径方向の力を作用させる外窄まり状のテ−パ面が設けられており、継手本体内の前記ロックリングと管端ストッパー部との間には、差し込まれる前記管を抜出し方向に押圧付勢する圧縮コイルばねが内装されており、前記管の端部末端からロックリング用溝までの距離は、最も短く若しくはこれに近い状態に圧縮変形されたときにおける前記圧縮コイルばねのロックリングに対向する側の端部から前記テ−パ面の最奥部にあるロックリングまでの距離よりも短く設定し、自由状態にあるときにおける前記圧縮コイルばねの前記端部から前記受口の開口端面までの距離以上に設定していることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項2】 前記管の端部の外周面にチェックラインが付けられ、このチェックラインと前記管の端部末端との間の距離は、前記ロックリング用溝と管の端部末端との間の距離よりも大きく設定され、かつ、最も短く圧縮変形したときにおける前記圧縮コイルばねのロックリングに対向する側の端部から受口の開口端面までの距離よりも短く設定されている請求項1記載の差込み式管継手。
【請求項3】 継手本体内の前記ロックリングの内奥側に、差し込まれる管の端部外周面に密接するシールリングが組み込まれ、このシールリングと前記ロックリングとの間に環状のリテーナが組み込まれている請求項1又は2記載の差込み式管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷温配水管などの管の端部どうしを連通状に接続する差込み式管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の差込み式管継手として、例えば、図5に示すようなものが提案されている。そこでは、筒状の継手本体1の軸心方向両端に管Pの端部が差し込まれる受口6,6を開口し、この受口6の内周面に外窄まり状のテ−パ面9を形成し、受口6の内奥部内周には管端ストッパー部7を設けている。継手本体1の受口6の内部には拡縮径自在なロックリング3と、このロックリング3より内奥側に配されたゴム製のシールリング2とが組み込まれている。一方、この管継手で接続される薄肉ステンレス鋼管など管Pの端部の外周面にはチェックライン12をマーキングするとともに、このチェックライン12より端部末端寄り側に前記ロックリング3に抜止め係合させるためのロックリング用溝13を設けている。
【0003】そして、管Pを接続するに際しては、受口6に管Pの端部をチェックライン12が受口6内に入ってしまうまで差し込んで管端ストッパー部7に突き当てて差込み操作を止める。このとき、丁度、ロックリング3がロックリング用溝13に引っ掛かって管Pの抜止め状態が得られることが望まれるが、上記管継手には公差があるため、管Pに付けられたロックリング用溝13と管継手のロックリング3の位置とを正確に合わすことは実際に困難である。
【0004】そこで、この改善策として、一旦、図6に示すごとく管Pを管端ストッパー部7に突き当たるまで差し込んだ後、図7に示すごとくチェックライン12が受口6から出て見える位置にまで管Pを少し引張り出し、この引張り出し途上でロックリング3がロックリング用溝13に引っ掛かって管Pの抜止め機能を発揮するようにしたものが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記構造の差込み式管継手では管Pを差込み後に該管Pを人手操作により引き戻すという煩わしい手間が必要となる。また、管Pが最も奥に差込まれたか否かをチェックライン12により確認するにしても確実性に欠きやすいため、ややもすれば、図8に示すごとく管Pが差込み不足でロックリング3がロックリング用溝13に引っ掛からないままにされ、管Pの抜け出し事故を引き起こすという問題があった。
【0006】本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたもので、管を差込み後に引戻す手間を省略できて接続作業性の向上を図れ、また管の差込み不足の問題を解消できる差込み式管継手を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1ないし図3に例示するごとく、筒状の継手本体1の軸心方向両端に、端部の外周面にロックリング用溝13を設けた管Pの前記端部が差し込まれる受口6,6を開口するとともに、この受口6の内奥部内周に管端ストッパー部7を設けており、前記受口6の内部に、この受口6に差し込まれる前記管Pの端部に外嵌され、該端部のロックリング用溝13に係合する拡縮径自在なロックリング3が組み込まれており、前記ロックリング3の内接する受口6の内周には、差し込まれた前記管が抜出し方向に移動したときに前記ロックリング3に縮径方向の力を作用させる外窄まり状のテ−パ面9が設けられており、継手本体1内の前記ロックリング3と管端ストッパー部7との間には、差し込まれる前記管Pを抜出し方向に押圧付勢する圧縮コイルばね5が内装されており、前記管Pの端部末端P1 からロックリング用溝13までの距離aは、最も短く若しくはこれに近い状態に圧縮変形されたときにおける前記圧縮コイルばね5のロックリング3に対向する側の端部5bから前記テ−パ面9の最奥部にあるロックリング3までの距離bよりも短く設定し、自由状態にあるときにおける前記圧縮コイルばね5の前記端部5bから受口6の開口端面6aまでの距離c以上に設定していることに特徴を有するものである。
【0008】上記管Pの端部の外周面にはチェックライン12を付けることが好ましく、この場合、チェックライン12と管Pの端部末端P1 との間の距離dは、上記ロックリング用溝13と管Pの端部末端P1 との間の距離aよりも大きく設定され、かつ、最も短く若しくはこれに近い状態に圧縮変形したときにおける上記圧縮コイルばね5のロックリング3に対向する側の端部5bから受口6の開口端面6aまでの距離eよりも短く設定される。上記継手本体1内のロックリング3の内奥側には、必要に応じて、差し込まれる管Pの端部外周面に密接するシールリング2が組み込まれ、このシールリング2と上記ロックリング3との間に環状のリテーナ4が組み込まれる。
【0009】
【作用】管の接続に際し、管を手に持ってその端部を受口より差し込み、この管端部を最も奥まで差し込んで該管端部で圧縮コイルばねを圧縮させると、ロックリング用溝がロックリングよりも内奥に位置する。この場合、管端部により圧縮コイルばねを圧縮する強い抵抗を感じるので、これにより管端部が奥まで差し込まれたことを確認できるが、管端部にチェックラインが付けられていると、このチェックラインが受口に入るまで差込むことで管端部が奥まで差し込まれたことをより確実に確認することができる。しかる後、管より前記手を離すと圧縮コイルばねの力で管が自動的に押し戻され、この押戻し途上でテ−パ面で縮径作用を受けるロックリングがロックリング用溝に引っ掛かって管の抜止め機能を発揮する。この場合、管端部にチェックラインが付けられていると、管の押戻しに伴いそのチェックラインが受口の開口端面から露出して見えるため、ロックリングがロックリング用溝に係合する所定位置にまで押し戻されたことを容易に確認することができる。
【0010】管の差込み不足のときは、ロックリング用溝がロックリングの手前に位置するので、圧縮コイルばねの力で管が押し戻されるとロックリング用溝が受口の開口端面から露出して見える。したがって、これを確実容易に確認することができて管の差込み直しを促すことになる。この場合、管端部にチェックラインが付けられていると、このチェックラインをも受口の開口端面から露出して見えることになる。
【0011】また圧縮コイルばねは、施工後に地震や高温熱などにより管が伸びるようなことがあってもこれを吸収する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面に基づき説明する。図1は差込み式管継手と管の半欠截断面図、図2は図1の差込み式管継手に管を最も深く差込んだ時の状態の半欠截断面図、図3は図1の差込み式管継手に管を抜止め状態に差込み終えた時の状態の半欠截断面図である。
【0013】図1において、この差込み式管継手は、継手本体1と、内周に襞状片2aを有するゴム製のシールリング2と、内周にエッジ部3aを有する金属製の拡縮径自在なロックリング3、金属製の環状のリテーナ4、及び円筒形の圧縮コイルばね5とを備えている。
【0014】継手本体1は金属短管をプレス加工することにより段付きの筒状に形成され、これの軸心方向両端部に管Pの端部が差し込まれる受口6,6を開口し、軸心方向中央付近に当該箇所を細く絞る形で環状の管端ストッパー部7を設け、かつ受口6の内周にシールリング収容空間部8を径方向外方に膨出する形で形成するとともに、この収容空間部8より軸心方向外方に連続して外窄まり状のテ−パ面9を形成している。
【0015】継手本体1のシールリング収容空間部8に前記シールリング2が、テ−パ面9の内周に前記ロックリング3がそれぞれ嵌め込まれるとともに、これらシールリング2とロックリング3との間に前記リテーナ4が嵌め込まれる。継手本体1内の管端ストッパー部7とシールリング2との間には、差し込まれる管Pを抜出し方向に押圧付勢する前記圧縮コイルばね5が内装される。この圧縮コイルばね5は、これの一端部5aを管端ストッパー部7に接着剤で接着することによって、管Pの差し込み作業時までに不用意に受口6の方へ出てこないように定位置に保持しておくことが好ましい。その圧縮コイルばね5の定位置保持手段としては、それ以外に、例えば、シールリング2の内周の襞状片2aを、圧縮コイルばね5の外径よりも小さい内径に形成し、この襞状片2aを利用して圧縮コイルばね5の他端部5bを受止めることにより圧縮コイルばね5が受口6の方へ出てこないようにすることもできる。
【0016】上記構成の差込み式管継手により接続される管Pは、薄肉ステンレス鋼管等よりなって端部にチェックライン12とこのチェックライン12より端部末端寄り側に位置するロックリング用溝13とを設ける。図1及び図2に示すように、管Pの端部末端P1 からロックリング用溝13までの距離aは、継手本体1内の圧縮コイルばね5が図2に示すごとく最も短く若しくはこれに近い状態に圧縮変形されたときにおける該圧縮コイルばね5のロックリング3に対向する側の他端部5bから、テ−パ面9の最奥部にあるロックリング3までの距離bよりも短く設定し、また圧縮コイルばね5が自由状態にあるときにおける該圧縮コイルばね5の他端部5bから受口6の開口端面6aまでの距離c以上に設定している。一方、チェックライン12と管Pの端部末端P1 との間の距離dは、前記距離aよりも大きく設定され、かつ図2に示すごとく最も短く若しくはこれに近い状態に圧縮変形したときにおける圧縮コイルばね5の他端部5bから受口6の開口端面6aまでの距離eよりも短く、前記距離cよりも長く設定される。
【0017】この管Pの接続に際しては、図2に示すように、管Pを手に持ってその端部を受口6よりチェックライン12が受口6内に入ってしまうまで差し込んで該管端部で圧縮コイルばね11を圧縮させる。このとき、管Pの端部末端P1 からロックリング用溝13までの距離aは、圧縮状態の圧縮コイルばね5の他端部5bからテ−パ面9の最奥部にあるロックリング3までの距離bよりも短く設定してあるので、ロックリング用溝13はロックリング3よりも内奥に位置することになる。したがって、この後、管Pより手を離すと、図3に示すごとく、圧縮コイルばね5の力で管Pが押し戻され、この押戻し途上でテ−パ面9で縮径作用を受けるロックリング3のエッジ部3aがロックリング用溝13に引っ掛かって係合し管Pの抜止め機能を発揮する。この状態は、管Pの押戻しに伴いチェックライン12が受口6の開口端面6aから露出して見えるため、容易に確認することができる。また、この管Pの抜止め状態と同時に、管Pの端部の外周面にシールリング2の内周の襞状片2aが圧縮状に密接することにより受口6の内周面と管Pの端部外周面との間のシール状態が得られる。
【0018】施工後、地震などにより管Pが抜き出し方向に引っ張られるようなことがあっても、管Pと共に同一方向に移動するロックリング3の外周面がテ−パ面9によりロックリング3が更に縮径してロックリング用溝13への食込みが増すことになるため、管Pの端部が受口6から抜け出るのを確実に防止できる。
【0019】管Pの接続に際し、継手本体1に対して管Pが差込み不足であるとき、つまりロックリング用溝13がロックリング3よりも手前に位置するといった差込み不足状態であるときは、ロックリング用溝13及びチェックライン12は管Pの端部末端P1 との間の距離a,dをそれぞれ、無負荷の自由状態にある圧縮コイルばね5の他端部5bから受口6の開口端面6aまでの距離c以上に設定してあるので、管Pから手を離すと同時に圧縮コイルばね11の力で図4に示すごとく管Pが押し戻されることによりロックリング用溝13とチェックライン12が受口6の開口端面6aから露出して見える。したがって、それらロックリング用溝13及びチェックライン12を視認することで差込み不足を容易に認識することができ、再度管Pを差込み直すことになる。なお、図示省略するが、継手本体1の他端部の受口6にも同様に別の管Pの端部が差し込まれる。
【0020】地震や高温熱などにより管Pが伸びるようなことあっても、この管Pの端部により圧縮コイルばね5に圧縮荷重が加えられ、圧縮コイルばね5が圧縮して管Pの伸びを吸収することができる。したがって、図5に示すごとく圧縮コイルばね5が組み込まれていない管継手の場合のように管Pの伸びによりその端部が管端ストッパー部7に突き当たって変形するような不具合は未然に防止できる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、管の差込み後は圧縮コイルばねで該管が自動的に押し戻されるので、手による管の引戻し手数を省略できて接続作業性の向上を図ることができる。また、管の差込み不足のときは管が圧縮コイルばねで押し戻されたときに少なくともロックリング用溝が受口から露出して見えるようにしてあるので、差込み不足を確実容易に確認することができ、差込み不足の問題を解消できて有利である。加えて、施工後高温熱等による管の伸びも圧縮コイルばねで対応できるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−173840(P2001−173840A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−360649