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【発明の名称】 管継手
【発明者】 【氏名】小武 尚之

【要約】 【課題】Oリングが無潤滑であっても、ソケットとプラグの着脱性が良好であると共に、両者の密封シール性を保持すること。

【解決手段】ソケット本体1の施錠ボール7とプラグ本体2の外周溝7aを介してソケット本体1とプラグ本体2との接続過程において、プラグ本体2の外周面に形成した円周溝17にOリング18を装着し、このOリング18がソケット本体1の開口部円周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリング18の変形量を吸収できる空間部Xを円周溝17の壁面に形成した管継手である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソケット本体の係止部材とプラグ本体の係合部を介してソケット本体とプラグ本体との接続過程において、プラグ本体の外周面に形成した円周溝にOリングを装着し、このOリングが前記ソケット本体開口部の内周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリングの変形量を吸収できる空間部を前記円周溝の壁面に形成したことを特徴とする管継手。
【請求項2】 前記ソケット本体の内周面には、前記Oリングを介してソケット本体の内周面とプラグ本体の外周面を密封シールする際に、このOリングを変形させる傾斜面が形成されており、前記プラグ本体には、前記円周溝のプラグ本体後端側の外周壁を底壁面に向って広がった傾斜面に形成し、当該Oリングがソケット本体の内周面を摺動するとき、このOリングを前記傾斜面に沿って押圧されて該傾斜面と底壁面とによって形成された空間部に吸収されて、より少ない摩擦抵抗で接続できるようにした請求項1に記載の管継手。
【請求項3】 ソケット本体の係止部材は、ソケット本体の接続側に設けた複数個の施錠ボールを求遠心方向に出没させたものであり、プラグ本体の係合部は、プラグ本体の筒状外周面に形成した外周溝であり、この施錠ボールを前記外周溝に係合離脱させてソケット本体とプラグ本体を着脱させると共に、両者を接続したときに開放し、かつ、離脱したときに閉止するバルブをソケット本体とプラグ本体にそれぞれ内蔵した請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】 ソケット本体の係止部材とプラグ本体の係合部を介してソケット本体とプラグ本体との接続過程において、ソケット本体に設けた内周溝にOリングを装着し、このOリングが前記プラグ本体の外周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリングの変形量を吸収できる空間部を内周溝の壁面に形成したことを特徴とする管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、半導体製造プロセスに用いる薬液等の搬送配管に好適なソケットとプラグから成る管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の管継手は、ソケットにプラグを挿入接続するとき、ソケットの内周面或はプラグの外周面に装着したOリングを介して両者を密封シールするようにしている。特に、プラグの外周面側に装着したOリングの場合は、Oリングの摩擦抵抗を小さくするために、Oリングにグリス等の潤滑剤を塗布したり、Oリングにふっ素樹脂等をコーティングしたり或は含浸させる等の対応策を施すことによりOリングの摩擦抵抗を小さくするようにしている。
【0003】その他の対応策として、ソケットの摺動内周面に、例えば、ふっ素樹脂製等の摩擦抵抗の小さい筒体を装着し、この筒体の内周面をOリングが摺動するときに摩擦抵抗を低減させるようにした方法も採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この管継手を例えば、半導体製造プロセスに用いる液薬等の搬送配管に使用する場合は、上述のような潤滑剤を使用したり、コーティングOリングや含浸Oリングを使用すると、流体内に潤滑剤が溶出したり、Oリングからコーティングが剥離して流体内にパーティクルが混入するため、クリーン性を要求されるこの種の管継手には不向きであった。また、ソケットの内周面に摩擦抵抗の小さい筒体を設ける場合は、却って、構造を複雑化してコストアップの要因ともなっていた。
【0005】そこで、無潤滑でコーティングや含浸処理をしていないOリングを用いることになるが、この場合は、図5に示すように、Oリング28が押圧されて変形する時、ベクトルU’が発生し、Oリング28を溝27の側面29へ押し付ける荷重が働らく。そのため、Oリング28が変形するためには、摩擦抵抗が発生し、順次摩擦抵抗が増大する。特に、ソケット1の内周面26側にOリング28を変形させるためのテーパ部25が設けられているが、この位置で、Oリング28との摩擦抵抗が増大するため、ソケット1とプラグ24の着脱性が極めて悪くなり、しかも、この部位でOリング28が破損しやすく、パーティクルが発生するおそれもあり、流体に悪影響を与える結果となる。一方、ソケット1側のこのテーパ部25を緩く長いテーパ部にすることも考えられるが、この場合は、ソケットの長さ方向が不必要に長くなってしまい、そのため、ソケットに内蔵したバルブは、その長さに対応した別のバルブを設ける必要がある等の課題を有していた。
【0006】本発明は、従来の実情に鑑みて開発に至ったものであり、Oリングが無潤滑であっても、小さな力でソケットとプラグとが接続できると共に、両者の密封シール性を保持する管継手を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ソケット本体の係止部材とプラグ本体の係合部を介してソケット本体とプラグ本体との接続過程において、プラグ本体の外周面に形成した円周溝にOリングを装着し、このOリングが前記ソケット本体開口部の内周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリングの変形量を吸収できる空間部を前記円周溝の壁面に形成した管継手である。
【0008】請求項2に係る発明は、前記ソケット本体の内周面には、前記Oリングを介してソケット本体の内周面とプラグ本体の外周面を密封シールする際に、このOリングを変形させる傾斜面が形成されており、前記プラグ本体には、前記円周溝のプラグ本体後端側の外周壁を底壁面に向って広がった傾斜面に形成し、当該Oリングがソケット本体の内周面を摺動するとき、このOリングを前記傾斜面に沿って押圧されて該傾斜面と底壁面とによって形成された空間部に吸収されて、より少ない摩擦抵抗で接続できるようにした管継手である。
【0009】請求項3に係る発明は、ソケット本体の係止部材は、ソケット本体の接続側に設けた複数個の施錠ボールを求遠心方向に出没させたものであり、プラグ本体の係合部は、プラグ本体の筒状外周面に形成した外周溝であり、この施錠ボールを前記外周溝に係合離脱させてソケット本体とプラグ本体を着脱させると共に、両者を接続したときに開放し、かつ、離脱したときに閉止するバルブをソケット本体とプラグ本体にそれぞれ内蔵した管継手である。
【0010】請求項4に係る発明は、ソケット本体の係止部材とプラグ本体の係合部を介してソケット本体とプラグ本体との接続過程において、ソケット本体に設けた内周溝にOリングを装着し、このOリングが前記プラグ本体の外周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリングの変形量を吸収できる空間部を内周溝の壁面に形成した管継手である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における管継手の各実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図4は、本発明における管継手の一例を示したものであり、図1において、1はソケット本体で、2はプラグ本体であり、ソケット本体1の筒状主体1aの外周面には、スリーブ3がスプリング4を介して摺動自在に設けられている。このスリーブ3には、先端内側に施錠ボール逃げ部5と押圧面5aを有し、筒状主体1の先端近傍に形成した複数個のテーパ孔6に施錠ボール(係止部材)7を出没自在に設けている。前記施錠ボール7に換えてロールピン等であってもよい。なお、このスリーブ3は、ストップリング8によって筒状主体1aより外方へ飛び出さないように係止される。
【0012】図中9は、ソケット本体1に内蔵したバルブで、弁体9aに設けたシール部材10を保持部材9bで挟持して構成され、このバルブ9は、前記ソケット本体1内に設けたバルブ爪12に摺動自在に装着され、スプリング11によって弁座1cに当接シールするように設けられ、また、ソケット本体1の後端のおねじ部1bに配管用接続部材13をシール部材14を介して接続している。また、ソケット本体1にプラグ本体2を挿入する開口部Aの内周面16にテーパ部15を設けている。
【0013】図1及び図2において、プラグ本体2の構造を具体的に説明すると、プラグ本体2の筒状主体2aの先端側の外周面に円周溝17を形成し、この円周溝17にOリング18を装着して、ソケット本体1の内周面16とプラグ本体2の外周面を密封シールしている。また、図3及び図4に示すように、この円周溝17は、プラグ本体2の後端側外周壁を底壁面に向って広がった傾斜面19に形成し、この傾斜面19と前記底壁面とによって空間部Xがより大きく形成されている。このように形成された円周溝17内のOリング18がソケット本体1の内周面16を摺動するとき、傾斜面19によりOリング18を少ない摩擦抵抗で押圧しやすいように設けている。また、プラグ本体2の中央位置の外周面には、ソケット本体1側の施錠ボール7と係合する外周溝(係合部)7a設け、後端側には、配管接続用の雌ねじ2bを設けている。
【0014】図中、20は、プラグ本体20に内蔵したバルブであり、弁体20aにシール材21が設けられ、このバルブ20は、プラグ本体2内に設けたバルブ爪23に摺動自在に装着されたスプリング22によって弁座2cに当接シールするように設けられている。
【0015】次に、上記実施形態の作用を説明する。ソケット本体1とプラグ本体2を接続するには、ソケット本体1のスリーブ3を引くと、スリーブ3の先端内側に形成されたボール逃げ部5に施錠ボール7が位置して施錠ボール7を遠心方向へ移動自在になった所で、プラグ本体2を図1及び図3に示すように、ソケット本体1の開口部Aに挿入すると、ソケット本体1の内周面16に形成したテーパ部15でプラグ本体2の円周溝17内に装着されているOリング18が傾斜面19に沿って内径方向へ押圧される。このOリング18は、図5に示した円周溝27内に装着されたOリング28よりも少ない荷重で押圧できる。
【0016】即ち、図4において、ソケット本体1の内周面16に形成したテーパ部15によりOリング18が押圧されるときに、同図に示すベクトルUが発生する。この場合、円周溝17には、プラグ本体2の後端側の外周壁を底壁面に向って広がった傾斜面19に形成しているので、底壁面と傾斜面19とによって形成された空間部Xは、図5に示す従来構造の空間Yに比較して、図4において、ベクトルUの方向に空間部Xが大きく形成されるため、Oリング18が変形する時に、変形量が空間部Xに吸収されるので、抵抗が少なく変形しやすいことになる。
【0017】しかも、この円周溝17は、ベクトルUと略同方向に傾斜面19が形成されているので、Oリング18が傾斜面19によって押し付けられる抵抗を低減するため、図5に示すように、軸心線に対して垂直に形成された側面29に比べて摩擦抵抗が少なく、ソケット本体1の内周面とプラグ本体2の外周面との接続性が極めて良好となる。図4及び図5において、θ12の関係にある。
【0018】更に、プラグ本体2を挿入していくと、ソケット本体1の内周面16のOリング18が図2に示す状態になると、バルブ9とバルブ20が完全に押し合って流路を開放すると共に、施錠ボール7が係合溝7aに落ち込み、かつ、スリーブ3が旧位に復帰して押圧面5aで施錠ボール7を押圧し、ソケット本体1とプラグ本体2とがロック状態で接続される。次に、両者を離脱させる場合は、スリーブ3を引いて、プラグ本体2をソケット本体1より引き抜くことによって離脱する。
【0019】図6は、本発明における管継手の他例を示したものである。同図において、ソケット本体30の施錠ボール(係止部材)31とプラグ本体32の外周溝(係合部)33を介してソケット本体30とプラグ本体32を着脱させる。この接続過程において、ソケット本体30の開口部Aに設けた内周溝34にOリング35を装着し、このOリング35がプラグ本体32の先端外周面によって押圧されて変形した時に、その変形する略反対側方向にOリング35の変形量を吸収できる空間部Xを内周溝34の壁面37に形成している。なお、図中、36はソケット本体30とプラグ本体32を接続したときに、開放するソケット本体30側の設けたバルブで、39はプラグ本体32側に設けたバルブである。なお、30aはソケット本体30の内部に設けた弁座、36aはバルブ36に設けたシール部材、36bはバルブ爪36cに装着したスプリングであり、32aはプラグ本体32の内部に設けた弁座、39aはバルブ39に設けたシール部材、39bはバルブ爪39cに装着したスプリングである。本例における管継手は、上記の一例に示した部分と同一部位については、その説明を省略し、本例における管継手の着脱操作とOリング35等の作用については、上記の一例に示した作用と同一であると共に、その効果も同一であるから、説明を省略する。
【0020】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明によると、無潤滑のOリングであっても、Oリングの変形面の略反対側に空間を形成することによって、摩擦抵抗を低減させることができるため、例えば、半導体プロセス用などの管継手に好適であり、その着脱性が極めて良好であり、操作性の向上を図ることができると共に、ソケット本体とプラグ本体との密封性も図ることができる。また、Oリングの円周溝に形成した傾斜面の機能と相俟ってソケット本体とプラグ本体の着脱性を向上させることができる等の効果がある。
【出願人】 【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
【公開番号】 特開2001−124277(P2001−124277A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−308533