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【発明の名称】 管継手及びその製法
【発明者】 【氏名】保田 秋生

【要約】 【課題】部品点数の少ない管継手を提供する。

【解決手段】継手本体2の被接続パイプP挿入用開口端1に於て、継手本体2に凹周溝11を一体状に形成する。凹周溝11内にシール材6を収納する。テーパ面9を内端側内周面に有するスペーサ7を収納する。テーパ面10によって縮径する抜止リング8を収納する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 継手本体2の被接続パイプP挿入用開口端1に於て、上記継手本体2に凹周溝11を一体状に形成し、該凹周溝11内に外部から内部へ順次、シール材6と、テーパ面9を内端側内周面に有するスペーサ7と、該テーパ面9によって縮径する抜止リング8と、を収納したことを特徴とする管継手。
【請求項2】 継手本体2の被接続パイプP挿入用開口端1に於て、上記継手本体2に凹周溝11を一体状に形成し、かつ、該凹周溝11はその溝底内周面の外端寄りにテーパ面9を有し、該テーパ面9によって縮径する抜止リング8を、上記凹周溝11に収納させたことを特徴とする管継手。
【請求項3】 被接続パイプPの外周面を締付けて抜止めする抜止リング8を収納するための凹周溝11を、開口端に有する継手本体2を備え、さらに、該継手本体2のベースブロック12に形成されたストレート状孔部13に、該ストレート状孔部13の一部を残して薄肉リング体14を挿入固着し、該薄肉リング体14の端面15と、上記ストレート状孔部13の内部の上記一部とをもって、上記凹周溝11の端面と底面とを構成したことを特徴とする管継手。
【請求項4】 継手本体2のベースブロック12にストレート状孔部13を形成し、該ストレート状孔部13に、該ストレート状孔部13の内部の一部を残して薄肉リング体14を挿入固着し、該薄肉リング体14の端面15と、上記ストレート状孔部13の内部の上記一部とをもって、抜止リング8用の凹周溝11の端面と底面とを形成することを特徴とする管継手の製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管継手及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、継手本体に組込まれたヒーター等を加熱することで、被接続パイプを継手本体に熱融着により接続するエレクトリック・フュージョン接続(EF接続)が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の継手では、継手本体にヒーター等を組込んでいるため高価なものとなる。また、ヒーターの熱融着に係る時間が長く、パイプ表面の劣化層を削り落とす処理が必要となり、接続作業に多くの手間を必要としている。さらに、作業のやり直しや補修の際、熱融着したパイプは交換できず、不便である。
【0004】そこで、本発明は、安価で、安全に短時間で作業ができ、パイプの接続作業が容易に行え、パイプの引き抜けとエアー漏れのない継手を提供することを目的とする。また、構成部品数の少ない継手を提供することを目的とする。さらに、簡単に製作することができる継手の製法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明に係る継手は、継手本体の被接続パイプ挿入用開口端に於て、上記継手本体に凹周溝を一体状に形成し、該凹周溝内に外部から内部へ順次、シール材と、テーパ面を内端側内周面に有するスペーサと、該テーパ面によって縮径する抜止リングと、を収納したものである。
【0006】また、継手本体の被接続パイプ挿入用開口端に於て、上記継手本体に凹周溝を一体状に形成し、かつ、該凹周溝はその溝底内周面の外端寄りにテーパ面を有し、該テーパ面によって縮径する抜止リングを、上記凹周溝に収納させたものである。
【0007】また、被接続パイプの外周面を締付けて抜止めする抜止リングを収納するための凹周溝を、開口端に有する継手本体を備え、さらに、該継手本体のベースブロックに形成されたストレート状孔部に、該ストレート状孔部の一部を残して薄肉リング体を挿入固着し、該薄肉リング体の端面と、上記ストレート状孔部の内部の上記一部とをもって、上記凹周溝の端面と底面とを構成したものである。
【0008】また、継手本体のベースブロックにストレート状孔部を形成し、該ストレート状孔部に、該ストレート状孔部の内部の一部を残して薄肉リング体を挿入固着し、該薄肉リング体の端面と、上記ストレート状孔部の内部の上記一部とをもって、抜止リング用の凹周溝の端面と底面とを形成する方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0010】図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態を示し、この管継手は、左右一対の開口端1,1を有し、開口端1に、塩化ビニル管やポリエチレン管等の樹脂管、合成樹脂被覆鋼管等から成るパイプPを挿入して、接続するのに用いられる。
【0011】そして、パイプP内部に、通信ケーブル(光ファイバーケーブルや電線等)をエアーにて通線し、通信ケーブルをこのパイプPにて保護する。本発明は、特に、情報ボックスの光ファイバー埋設向けのポリエチレン管に好適である。
【0012】図1は、(第1の実施の形態に於ける)管継手の使用状態を示す。継手本体2の被接続パイプP,P挿入用の左右開口端1,1の内、左側の開口端1には、パイプPが着脱可能に挿入され、右側の開口端1には、軸心Jを有するパイプPが離脱不可能に挿入される。
【0013】まず、左側のパイプPの挿入部について、説明する。3は、締付押しリングであって、継手本体2の左端外周面側に設けられる螺子部4と螺合する螺子部5を、右端内周面側に有する。
【0014】締付押しリング3を継手本体2に対して螺進させると、弾性体から成るシール材6を介して、スペーサ7を押圧し、C字型の抜止リング8を縮径させる。具体的には、スペーサ7のテーパ面9が、抜止リング8のテーパ面10を押圧することにより、抜止リング8が縮径する。
【0015】抜止リング8は、3条の爪部8a…を有し、この爪部8a…がパイプPの端部を締付けて、パイプPが継手から離脱するのを防ぐ。(すなわち、抜止めする。)締付押しリング3を、継手本体2から取外すと、パイプPを継手本体2から離脱することができる。
【0016】継手本体2は、内周面中央部に凸条17を有する。そして、この凸条17のパイプPの軸心J方向左右両側面に当接状に、円環状クッション部材18,18が配設される。一般に、パイプPの切断面は、正確にパイプPの軸心Jと垂直に切断するのは困難であって、傾斜面となっているが、クッション部材18が継手本体2の凸条17とパイプPとの間に介在するので、パイプPの切断面が傾斜していても、(凸条17とパイプPとの間に隙間を生じることがなく、)クッション部材18によって密封状態を保ち、かつ、パイプPのがたつきも吸収することができる。
【0017】なお、継手本体2の凸条17内周面の径D1 と、クッション部材18の内周面の径D2 とは、ともに、パイプPの内周面の径D0 と略同一に設定する。すなわち、(通信ケーブルを通線すべく、)パイプP内にエアーを流したときに、エアーは、継手によるパイプPの接続部にて乱流を発生することなく、常に層流状態となるので、(エアーの)エネルギー損失を最小限に押さえ、効率良く、かつ、スムーズに、通信ケーブルを通線することができる。
【0018】次に、(第1の実施の形態に於ける)継手の右側のパイプPの挿入部について、説明する。継手本体2は内周面右端寄りに凹周溝11を有する。凹周溝11内に外部から内部へ順次、シール材6と、テーパ面9を内端側内周面に有するスペーサ7と、テーパ面10によって縮径するC字型抜止リング8と、が収納される。抜止リング8は、3条の爪部8a…を有する。
【0019】継手本体2は、内周面の外端寄りにテーパ面2aを有するので、パイプPの挿入をスムースに誘導することができる。また、抜止リング8は内周面の外端寄りにテーパ面8bを有するので、パイプPの挿入をスムースに誘導することができる。
【0020】次に、(第1の実施の形態に於ける)継手の右側のパイプPの挿入部の製法について、説明する。まず、図2に示すように、継手本体2のベースブロック12に、ストレート状孔部13を形成する。次に、ストレート状孔部13に、ストレート状孔部13の一部を残して、図2の矢印A方向に、薄肉リング体14を挿入する。薄肉リング体14の外径D3 は、ストレート状孔部13の内径D4 と略同一に設定する。そして、薄肉リング体14を、熱融着、超音波融着、接着剤等にて、ベースブロック12の図2の2点鎖線の位置に固着する。
【0021】薄肉リング体14の端面15と、ストレート状孔部13の内部の一部と、継手本体2の段付部16とをもって、図1に示すように、抜止リング8用の凹周溝11の軸心J方向端面と底面とを形成する。
【0022】凹周溝11に、外部から内部へ順次、シール材6と、テーパ面9を内端側内周面に有するスペーサ7と、C字型抜止リング8と、を収納する。なお、抜止リング8、スペーサ7、及び、シール材6は、凹周溝11を形成する前───薄肉リング体14を挿入する前───に配設するも良い。
【0023】図3に、(第1の実施の形態に於ける)継手と、パイプPとの接続方法を示す。まず、図3(イ)に示すように、継手に、パイプPをA方向に挿入する。同図(ロ)は、パイプPの挿入が完了した状態を示す。このとき、スペーサ7と、抜止リング8とは、離間している。すなわち、テーパ面9と、テーパ面10とは、離間している。
【0024】図3(ハ)に示すように、パイプPが、継手から抜けるB方向に外力を受けると、パイプPの移動にともなって、抜止リング8もB方向へ移動する。そして、抜止リング8のテーパ面10は、スペーサ7のテーパ面9を押圧する。このとき、図4に示すような縮径方向の力Gを生ずる。
【0025】具体的には、図4に示すように、スペーサ7のテーパ面9と、抜止リング8のテーパ面10との間に、相互に作用・反作用の関係にある力Fと力Rとが作用する。すなわち、(B方向へ移動した)抜止リング8が、スペーサ7を押圧して、力Fを与え、その反力として、抜止リング8は、スペーサ7から力Rを受ける。
【0026】抜止リング8は、力Rの縮径方向の分力Gによって、縮径し、パイプPの外周面を締付けて抜止する。具体的には、分力Gは、抜止リング8の爪部8a…のそれぞれに、力N1 ,力N2 ,力N3 として作用する。なお、G=(N1 +N2 +N3 )なる関係式が成立する。
【0027】図5〜図8は、本発明の第2の実施の形態を示し、継手本体2の被接続パイプP挿入用の右側の開口端1に於て、図5に示すように、軸心J方向外部側に第1凹周溝11が、内部側に第2凹周溝19が、それぞれ、継手本体2に一体状に形成される。
【0028】(図5に示すように、)第1凹周溝11はその溝底内周面の外端寄りにテーパ面9を有し、テーパ面9によって縮径するように抜止リング8が、凹周溝11に収納される。また、第2凹周溝19には、シール材6が収納される。
【0029】次に、(第2の実施の形態に於ける)継手の製法について、説明する。まず、図6に示すように、継手本体2のベースブロック12に、ストレート状孔部13を形成する。次に、ストレート状孔部13に、ストレート状孔部13の一部を残して、図2の矢印A方向に、薄肉リング体14,14を、軸心J方向に離間させて、挿入する。そして、薄肉リング体14,14を、熱融着、超音波融着、接着剤等にて、ベースブロック12の図6の2点鎖線の位置に、それぞれ固着する。
【0030】右側薄肉リング体14のテーパ面9と、ストレート状孔部13の内部の一部と、左側薄肉リング体14の外端面20とをもって、図5に示すように、抜止リング8用の第1凹周溝11を形成する。
【0031】また、右側薄肉リング体14の内端面21と、ストレート状孔部13の内部の一部と、継手本体2の段付部16とをもって、図5に示すように、シール材6用の第2凹周溝19を形成する。
【0032】なお、抜止リング8を収納する第1凹周溝11と、シール材6を収納する第2凹周溝19とを、左右逆に形成するも良い。このとき、薄肉リング体14,14のうち、内部側の薄肉リング体14の内端面が、テーパ面9を有するものとなる。
【0033】なお、シール材6、薄肉リング体14、抜止リング8、薄肉リング体14の順に、継手本体2のストレート状孔部13へ挿入して、薄肉リング体14,14を孔部13の内面へ固着して、一体状とするも、自由である。
【0034】図7に、(第2の実施の形態に於ける)継手と、パイプPとの接続方法を示す。まず、図7(イ)に示すように、継手に、パイプPをA方向に挿入する。同図(ロ)は、パイプPの挿入が完了した状態を示す。このとき、抜止リング8のテーパ面10は、継手本体2のテーパ面9と、離間している。
【0035】図7(ハ)及び図8に示すように、パイプPが、継手から抜けるB方向に外力を受けると、パイプPの移動にともなって、抜止リング8もB方向へ移動する。そして、抜止リング8のテーパ面10は、継手本体2のテーパ面9を押圧する。抜止リング8は、継手本体2から力Rを受けて、力Rの縮径方向の分力Gによって、縮径し、パイプPの外周面を締付けて抜止する。
【0036】図9〜図12は、本発明の第3の実施の形態を示し、継手本体2の被接続パイプP挿入用の右側の開口端1に於て、図9に示すように、継手本体2に凹周溝11が一体状に形成され、凹周溝11に、弾性体から成るシール材6と、金属から成る抜止リング8とが、一体状とされて、収納される。
【0037】具体的には、シール材6の中に、抜止リング8が、埋設される。抜止リング8は、図9及び図10に示すように、円環状であって、使用状態に於て、パイプPに当接して、パイプPが継手本体2から離脱するのを防止する当接部22…を、内周面側に有する。当接部22の内端縁は、直接状であっても、円弧状(特に凸型円弧状)であっても良い。また、抜止リング8は、外周面側に(プレス加工によって)凸部23…を有し、抜止リング8の強度を高めている。また、抜止リング8の外周縁に切欠部25や貫孔(図示省略)を形成して、ゴム材から成るシール材本体と一体化を強固とし、または、凹周溝11への嵌込みを容易とするも好ましい。
【0038】シール材6は、例えば、略Yパッキン型であって、内周面側にリップ部6a…を有する。また、シール材6の外面外端側にテーパ面24が形成される。継手本体2は、テーパ面9を有する。
【0039】次に、(第3の実施の形態に於ける)継手の製法について、説明する。まず、図11に示すように、継手本体2のベースブロック12に、ストレート状孔部13を形成する。次に、ストレート状孔部13に、ストレート状孔部13の一部を残して、図11の矢印A方向に、薄肉リング体14を挿入する。そして、薄肉リング体14を、熱融着、超音波融着、接着剤等にて、ベースブロック12の図11の2点鎖線の位置に固着する。
【0040】薄肉リング体14のテーパ面9と、ストレート状孔部13の内部の一部と、継手本体2の段付部16とをもって、図9に示すように、シール材6に埋設された抜止リング8が収納される凹周溝11の軸心J方向端面と底面とを形成する。
【0041】図9に戻って、凹周溝11に、一体状とされたシール材6と、抜止リング8とを、収納する。このとき、薄板プレス成型品の抜止リング8とすれば、かつ、(前述の)切欠部25等によって弾性変形可能とすれば、抜止リング8埋込型のシール材6を、凹周溝11に容易に装着(収納)可能となる。なお、一体状とされたシール材6と、抜止リング8とを配設したあとに、薄肉リング体14を固着して、凹周溝11を形成するも良い。
【0042】図9及び図12に、(第3の実施の形態に於ける)管継手と、パイプPとの接続方法を示す。まず、図9に示すように、継手に、パイプPをA方向に挿入する。図12に示すように、パイプPが、継手から抜けるB方向に外力を受けると、パイプPの移動にともなって、シール材6に埋設された抜止リング8も、B方向へ移動する。
【0043】そして、シール材6のテーパ面24は、薄肉リング体14のテーパ面9を押圧し、シール材6は、縮径方向にパイプPに圧接する。このとき、シール材6に埋設される抜止リング8も、縮径方向に荷重を受けて、縮径し、パイプPの外周面を締付けて抜止する。
【0044】なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、継手本体2は、ベースブロック12と薄肉リング体14とを一体化した形状の一部材から成るものであっても良い。すなわち、工作機械での切削加工にて凹周溝11を形成するも良い。
【0045】また、継手の左右が逆であっても良い。すなわち、左側の開口端1には、パイプPが離脱不可能に挿入され、右側の開口端1には、パイプPが着脱可能に挿入されるように構成されるも良い。また、左右両方の開口端1,1に、パイプP,Pが離脱不可能に挿入されるも良い。
【0046】
【発明の効果】(請求項1によれば)構成部品数が少ないので、安価で、安全に短時間で作業ができる。また、パイプPの接続作業を容易に行うことができる。パイプPの引抜けとエアー漏れのおそれがない。また、継手本体2に薄肉リング体14を固着して、凹周溝11を形成すれば、簡単に製作することができる。
【0047】(請求項2によれば)さらに、部品点数を少なくすることができるので、製作容易であるとともに、安価に管継手を製作することができる。かつ、強固にパイプPの引抜けを防止することができる。
【0048】(請求項3,4によれば)中ぐり切削を行う必要がないので、容易に製作することができる。
【出願人】 【識別番号】000221638
【氏名又は名称】東尾メック株式会社
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【公開番号】 特開2001−124264(P2001−124264A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−305110