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【発明の名称】 管継手
【発明者】 【氏名】広田 源昭

【要約】 【課題】合成樹脂管との連結に適した、プッシュオン形の管継手を提供する。

【解決手段】受口4の内面に形成された環状テーパ溝5と、この溝に嵌め込まれるグリップリング6及びセットスプリング7とからなる。グリップリング6は内周面が鋸歯面11で、外周面がテーパ面12であり、リングの1箇所に切り割り10があって、径の拡縮変形が自在である。更に、グリップリング6の外周面の環状溝13には、バネリング14が嵌め込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受口の内面に形成された環状テーパ溝と、このテーパ溝に嵌め込まれるグリップリングと、グリップリングの背面に嵌め込まれるセットスプリングとからなり、グリップリングは内周面が歯面で、外周面がテーパ面であり、また、グリップリングには切り割りが設けられていて、そのリング径が拡縮自在であり、更に、リングの外周面に形成された環状溝にはバネリングが嵌め込まれて、形状保持されるようになっている管継手。
【請求項2】 グリップリングが硬質合成樹脂製で、切り割りが1箇所に形成されている請求項1記載の管継手。
【請求項3】 グリップリングが金属製であり、切り割りは3箇所に設けられていて、3分体でリング構成され、更に外周面の環状溝が傾斜状に形成されていて、嵌め込まれたバネリングが溝縁によって外方から係止されるようになっている請求項1記載の管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管端を挿し込むだけで連結可能な、いわゆるプッシュオン形の管継手の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】プッシュオン形の管継手は、従来から種々の形態のものが多数提案されており、その一例として、特開平5−263972号がある。ここに示された管継手は、継手受口の内面にテーパ付き環状溝が設けられていて、この溝にはゴムリングが嵌め込まれ、かつ、このゴムリングの内面には数個の金属製歯体が半埋設された構造である。そして、この管継手では、管端の挿し込み時には、ゴムリングの拡径によって挿入を許し、管端の抜き出しに対しては、溝のテーパによるゴムリングの縮径と、管壁への歯体の喰い込みによって、管の抜け出しを阻止する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の管継手は、鋳鉄管などの金属管用として、開発されたものであり、金属管には適するが、ポリエチレン樹脂管や塩化ビニール樹脂管などの合成樹脂管用には適さない。なぜなら、この管継手では、ゴムリングの内面に埋め込んだ数個の歯体に力を集中させて、管の壁面に歯を喰い込ませて固定保持する方式である為、壁面が硬くて強い金属管の場合には、丁度良いが、壁面が柔らかであったり、脆かったりする合成樹脂管の場合には、管壁が変形したり、破損したりして、充分な固定保持力を得ることができない。この為、従来は連結する管の種類に合わせて、継手を変えなければならず、この結果、例えば、継手組み付け形のバルブ等を製造する場合には、異なった継手の付いたバルブを何種類も作らなければならないという問題があった。
【0004】本発明は、このような点に鑑み、合成樹脂管に適する、プッシュオン形式の管継手を提供するにある。また、本発明は、従来の金属管用の管継手を、リングのみの取替えで合成樹脂管用に簡単に改造できる管継手を提供するにある。更に本発明は、柔らかなポリエチレン樹脂管にも、また、硬い塩化ビニール樹脂管にも利用できる管継手を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の継手の技術的手段は、受口の内面に形成された環状テーパ溝と、このテーパ溝に嵌め込まれるグリップリングと、グリップリングの背面に嵌め込まれるセットスプリングとからなり、グリップリングは内周面が歯面で、外周面がテーパ面であり、また、グリップリングには切り割りが設けられていて、そのリング径が拡縮自在であり、更に、リングの外周面に形成された環状溝にはバネリングが嵌め込まれて、形状保持されるようになっていることにある。
【0006】また、グリップリングを硬質合成樹脂製とし、切り割りを1箇所に形成するようにしてもよい。更に、グリップリングを金属製とし、切り割りを3箇所に設けて、3分体でリングを構成し、更に外周面の環状溝を傾斜状に設けて、嵌めたバネリングを溝縁によって外方から係止するようにしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の管継手の実施の形態を、図面の実施例に基づいて説明する。図1は水道用ソフトシール仕切弁に利用した例である。1は弁本体、2、3は左右の継手部であり、両継手部2、3は同一構造である。また、Aは連結する合成樹脂管の管端である。
【0008】次に、継手部2の詳細について説明する。4は受口で、弁本体1の壁面と一体的に連設されている。この受口4の内面には、テーパ付き環状溝5が設けられていて、この溝5の底面には、出口に向かって径が小さくなるようなテーパが付されている。6はグリップリングで、テーパ溝5に嵌着される。7はグリップリングの背面に押圧力を付与するセットスプリングである。なお、8は水密ゴム輪で、受口4のより奥の方に設けられた環状溝に嵌着されている。
【0009】グリップリング6の第1実施例が図2、図3に示されている。このグリップリング6は、1箇所に切り割り10を有するリング状で、その材質は多少の弾性を持った硬質合成樹脂製である。このリングの内周面には、全面に互って抜け止め用の鋸歯11が形成されている。また、リング6の外周面は、テーパ面12になっていて、このテーパ角は前記のテーパ溝5の傾斜と同じである。更にリング6の外周面には環状に溝13が設けられ、この溝13にはバネリング14が嵌め込まれている。このバネリング14は、1箇所に切り割り15を有する割りリング状で、このリングの弾性縮径力によって、グリップリング6を外方から締め付け、形状保持を行う。
【0010】セットスプリング7の詳細は、図4、図5に示されている。このセットスプリング7は、1箇所に切り割り16を有する座金状で、その材質はバネ材である。このセットスプリング7には、本体面17から複数個(図示例では4個)の押え片18が伸び出していて、この押え片18の弾性押圧力によって、グリップリング6の背面を押す。
【0011】前記のグリップリング6及びセットスプリング7を、受口4に装填するには、先ず、セットスプリング7を、切り割り16を利用して、大きく縮径させて、受口4のテーパ溝5に嵌め込む。続いて、グリップリング6にバネリング14を嵌めた上で、切り割り10を利用して、グリップリング6を大きく縮径させ、受口4のテーパ溝5のセットスプリング7の手前に嵌め込む。この状態で、グリップリング6はセットスプリング7の押え片18によって背面から常時押されるようになるので、位置的に安定する。
【0012】このようにしてグリップリング6とセットスプリング7とを装填し、次に連結しようとする管Aの管端を受口4に挿し込む。グリップリング6はバネリング14の弾性力によって縮径していて、その内径は管Aの外径よりも僅かに小さいが、挿し込み方向が鋸歯11に対して順方向であるので、強く押し込むと、グリップリング6が拡径し、管端を挿し込むことができる。挿し込み完了状態では、バネリング14の力によってグリップリング6は縮径し、鋸歯11が管Aの壁面に接触すると共に、セットスプリング7の力によってグリップリング6のテーパ面12はテーパ溝5と接触した状態となる。
【0013】受口に挿し込んだ管Aに引き抜き方向の力が加わると、鋸歯11が管壁に引掛って、グリップリング6も抜け出し方向に移動しようとする。このグリップリング6は受口内にテーパ面で支持されているので、この移動に伴って、グリップリング6は縮径し、鋸歯11が管Aの壁面に喰い込むようになり、管Aは強く固定保持され、抜け出しは阻止される。また、管Aの挿込連結状態では、水密ゴム輪8が管壁に密着した状態となるので、連結部から水洩れすることはない。なお、第1実施例のグリップリング6は材質が合成樹脂であるので、ポリエチレン樹脂管のような材質の柔らかな管の連結に適する。
【0014】図6、図7にはグリップリングの第2実施例が示されている。このグリップリング20の材質は、銅合金である。リングは3箇所に切り割り22が設けられていて3個の分体21からなる。その内の1個の分体21aは角が面取り23されていて、リング組付を容易に行えるように配慮されている。このグリップリング20は前記第1実施例のものと同様に、その内周面には、全面に互って鋸歯24が形成され、また、外周面はテーパ面25になっている。更に、リング20の外周面には環状溝26が設けられ、ここにバネリング27が嵌め込まれている。ただし、この第2実施例の環状溝26は傾斜状に設けられていて、バネリング27嵌込状態では図示のように溝縁28がバネリング27の外側を係止するようになる。この結果、3個の分体21の組付状態での保持力は高く、不用意な離脱を起さない。
【0015】このグリップリング20を受口4に取付けるには、先ず、角が面取り23された分体21aを除いた他の2個の分体21だけを先にテーパ溝5に嵌め込む。なお、この際、バネリング27は取付けておく。次に、残った分体21aを、リングの中央位置から外方に強く押付けるようにして、2分体の間に押し込む。分体21aの角が面取り23されているので、比較的小さな力で押込むことができる。嵌め込み後は、バネリング27による縮径力が各分体21に働くので、各分体21はリング形状を安定的に保持し、容易に脱落することはない。この第2実施例のグリップリング20の管Aに対する抜け止め作用は、前記第1実施例のものと同じである。ただ、第2実施例のグリップリング20は材質が銅合金で、鋸歯24が強靱であるので、管Aの材質が硬いもの、例えば、塩化ビニール樹脂管などの場合にも利用可能である。
【0016】本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自由に変形実施可能である。グリップリング6、20の細部形状、鋸歯11、24の形状、環状溝13、26の細部形状などは自由である。
【0017】
【発明の効果】本発明の管継手は、グリップリングの内周全面に形成した歯面で、連結する管の外壁を係止するので、合成樹脂管に対しても、その管壁を傷付けることなく、しっかりと、抜け出さないように連結保持できる。また、受口の形状は、従来の鋳鉄管用と同じであるから、グリップリングの取替えだけで、合成樹脂管用に改造可能であり、実用上、極めて有益である。更に、グリップリングは、構造が簡単であるので、廉価に製造でき、受口への嵌め込みも容易である。
【0018】請求項2のものは、特に、ポリエチレン樹脂管などのような材質の柔らかな合成樹脂管用に適する。
【0019】請求項3のものは、柔らかなポリエチレン樹脂管の他、硬くて脆い塩化ビニール樹脂管など、ほとんどの種類の合成樹脂管に利用可能である。また、グリップリングは3分割されているが、傾斜した溝にバネリングを嵌めて、形状保持を行っているので、リング分体が不用意に脱落することがなく、取扱い易い。
【出願人】 【識別番号】000147291
【氏名又は名称】株式会社清水合金製作所
【出願日】 平成11年10月25日(1999.10.25)
【代理人】 【識別番号】100076495
【弁理士】
【氏名又は名称】竹田 明弘
【公開番号】 特開2001−124263(P2001−124263A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−302227