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【発明の名称】 差込み式管継手
【発明者】 【氏名】大須賀 昭一

【氏名】滝本 文徳

【氏名】平林 秀雄

【要約】 【課題】管の一端部をシール状にかつ抜止め状に簡易迅速に差し込むことができ、しかも弾性シールリングの組込みの容易化を図れる差込み式管継手を提供する。

【解決手段】継手本体1は軸心方向一端部に内外二重筒体5,6を有する。内筒体5は継手本体1と一体に形成され、外筒体6は、継手本体1とは別体に形成されて、内筒体5の外周との間に管差込み間隙12を形成するよう継手本体1に着脱可能にねじ込み結合される。この外筒体6のねじ込み前に、内筒体5の外周に、管差込み間隙12内に差し込まれる管Pの内周面に密接する弾性シールリング2が嵌め込まれる。外筒体6には、管Pの外周面に食い込む食込み歯17を有する拡縮径変形自在なロックリング3が内嵌される。外筒体6の内周面には、差し込まれた管Pが抜け出し方向に移動したときにロックリング3に縮径方向の力を作用させる外窄まりテ−パ状の押圧面19が形成される。ロックリング3はコレット4の中空軸15の先端に一体に形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状の継手本体と、弾性シールリング、及びロックリングとからなり、継手本体は軸心方向一端部に内外二重筒体を有しており、そのうち内筒体は継手本体と一体に形成され、外筒体は、継手本体とは別体に形成されて、内筒体の外周との間に管差込み間隙を形成するよう継手本体に着脱可能にねじ込み結合されており、前記内筒体の外周には、前記管差込み間隙内に差し込まれる管の内周面に密接する前記弾性シールリングが嵌め込まれており、前記外筒体の内周には、前記管の外周面に食い込む食込み歯を有する拡縮径変形自在な前記ロックリングが配備されており、前記外筒体の内周面には、差し込まれた管が抜け出し方向に移動したときに前記ロックリングに縮径方向の力を作用させる外窄まりテ−パ状の押圧面が形成されていることを特徴とする差込み式管継手。
【請求項2】 前記外筒体に内嵌され、差し込まれる管を内部に挿通するコレットを有し、このコレットは、円周に軸方向に沿う切り割りが列設された拡縮径変形自在な中空軸と、この中空軸の後端に張り出し形成されて外筒体の開口端の外部へ突出する鍔部とを有しており、このコレットの中空軸の先端に、前記ロックリングが一体に形成されており、前記外筒体の開口端部の外周面に雄ねじを切り、この雄ねじにロックナットが前記鍔部と接離するよう進退動自在に螺合されている請求項1記載の差込み式管継手。
【請求項3】 前記外窄まりテ−パ状の押圧面が、外筒体の内周面の奥部側に形成された径大押圧面と、この径大押圧面の外筒体開口端側に平行押圧面を介して連続形成された径小押圧面とからなる請求項1又は2記載の差込み式管継手。
【請求項4】 前記継手本体の外周一部に、管端末部視認用穴が管差込み間隙の内奥部と連通状に形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の差込み式管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給湯・給水配管などに用いられ、管の一端部をシール状にかつ抜止め状に簡易迅速に差し込むことができる差込み式管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の差込み式管継手は、例えば、特開平11−2377号公報や特開平11−118081号公報などに公知である。特開平11−2377号公報に開示されている差込み式管継手は、継手本体の内部に、差し込まれる管の外周面に密接するシール用ゴムリングと、管の外周面に食い込む食込み部を一体に形成したコレットとが組み込まれている。特開平11−118081号公報に記載された差込み式管継手においても継手本体の内部に、差し込まれる管の外周面に密接する弾性シールリング、及びコレットが組み込まれるが、管の外周面に食い込む食込み爪を有するロックリングはコレットとは別体に形成されて組み込まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前出のいずれの差込み式管継手においても、シール用ゴムリングまたは弾性シールリングを継手本体の内周に嵌め込まなければならず、この嵌め込みは容易でなかった。
【0004】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、管の一端部をシール状にかつ抜止め状に簡易迅速に差し込むことのできることを確保し得ながら、弾性シールリングの組込みの容易化を図れる差込み式管継手を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る発明は、図6に例示するように、筒状の継手本体1と、弾性シールリング2、及びロックリング3とからなり、継手本体1は軸心方向一端部に内外二重筒体5,6を有しており、そのうち内筒体5は継手本体1と一体に形成され、外筒体6は、継手本体1とは別体に形成されて、内筒体5の外周との間に管差込み間隙12を形成するよう継手本体1に着脱可能にねじ込み結合されており、前記内筒体5の外周には、前記管差込み間隙12内に差し込まれる管Pの内周面に密接する前記弾性シールリング2が嵌め込まれており、前記外筒体6の内周には、前記管Pの外周面に食い込む食込み歯17を有する拡縮径変形自在な前記ロックリング3が配備されてあり、前記外筒体6の内周面には、差し込まれた管Pが抜け出し方向に移動したときに前記ロックリング3に縮径方向の力を作用させる外窄まりテ−パ状の押圧面19が形成されていることに特徴を有するものである。
【0006】この請求項1に係る発明によれば、継手本体の組立てに際し外筒体を継手本体にねじ込み結合する前の状態では、内筒体の外周面が外部に露出状態にあるため、この内筒体の外周に弾性シールリングを容易に嵌め込むことができる。弾性シールリングの嵌め込み後、外筒体を継手本体にねじ込み結合すれば、この内外筒体間に管差込み間隙を形成するよう継手本体を組み上げることができる。
【0007】この組み上げた継手本体の管差込み間隙内に管の端部を差し込むと、弾性シールリングにて管の内周面と内筒体の外周面との間がシールされ、ロックリングの食込み歯が管の外周面に軽く食い込む。次いで管を抜き出し方向に引っ張ると、ロックリングの外周面が外筒体の外窄まりテ−パ状の押圧面に当接することにより、ロックリングが縮径して、管の外周面への食込み歯の食い込みが増す。これにより管が継手本体の管差込み間隙から抜け出るのを防止できる。
【0008】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の差込み式管継手において、外筒体6に内嵌され、差し込まれる管Pを内部に通すコレット4を有し、このコレット4は、円周に軸方向に沿う切り割り14が列設された拡縮径変形自在な中空軸15と、この中空軸15の後端に張り出し形成されて外筒体6の開口端の外部へ突出する鍔部16とを有しており、このコレット4の中空軸15の先端に、前記ロックリング3が一体に形成されており、前記外筒体6の開口端部の外周面に雄ねじ8を切り、この雄ねじ8にロックナット18が前記鍔部16と接離するよう進退動自在に螺合されたものである。
【0009】この請求項2に係る発明によれば、管の差し込み後、管を抜き出し方向に引っ張るとロックリング及びコレットが管と共にそれと同一方向に後退移動し、このコレットの後退により鍔部がロックナットから後方へ離れるが、このときロックナットを外筒体の外周面から抜け出る方向に回転移動させて鍔部に当接させる。これによりコレットが継手本体内に押し込み前進するのを防止できる。したがって、不慮の外力の作用によりコレットが継手本体内に押し込まれてロックリングの食込み歯の管への食い込みが解除されるのを防止でき、不慮に管が継手本体から抜け出るのを防止できる。差込みのやり直しなどに際して、管を継手本体から取り外すときは、ロックナットを外筒体の外周面上の元の位置に戻し、コレットを前進させることにより食込み歯の管への食込みが解除されるため、管を継手本体から取り外すことができる。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の差込み式管継手において、前記外窄まりテ−パ状の押圧面19が、外筒体6の内周面の奥部側に形成された径大押圧面19aと、この径大押圧面19aの外筒体開口端側に平行押圧面19bを介して連続形成された径小押圧面19cとからなるものである。
【0011】この請求項3に係る発明によれば、差し込まれる管の外径寸法が公差範囲内でばらつきがある場合も、管が公差範囲内で大径の場合は奥部の径大押圧面で、標準径の場合は平行押圧面で、小径の場合は径小押圧面でそれぞれロックリングの食込み歯を確実に食い込ませることができる。
【0012】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の差込み式管継手において、継手本体1の外周一部に、管端末部視認用穴20が管差込み間隙12の内奥部と連通状に形成されたものである。
【0013】この請求項4に係る発明によれば、管の差込み不足や引っ張り出し過ぎを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1は一実施例の差込み式管継手の半欠截断面図、図2はその差込み式管継手に組み込まれるコレットの断面図、図3は図1の差込み式管継手に管を差し込んだ直後の状態の半欠截断面図、図4は図3における要部の拡大断面図、図5は管を差し込み後に抜き出し方向に引っ張った状態の要部拡大断面図、図6は管の差込み完了状態の要部拡大断面図、図7は管を抜き出し可能にした状態の要部拡大断面図である。
【0015】図1及び図2において、この差込み式管継手は、継手本体1と、弾性シールリング2と、ロックリング3、及びコレット4とからなる。継手本体1は青銅鋳物製で筒状に形成されており、その軸心方向一端部に内外二重筒体5,6を有する構造としてある。そのうち、内筒体5は継手本体1と一体に形成されるが、外筒体6は、継手本体1とは別体に形成されて、その一端部内周に雌ねじ7を、他端部外周に雄ねじ8をそれぞれ切っている。継手本体1の内筒体5の付け根部の外周には外筒体保持ボス9を間隙10をおいて内筒体5と同心に突設し、この外筒体保持ボス9の外周に雄ねじ11を切り、この雄ねじ11に外筒体6の一端部の雌ねじ7をねじ込むことによって、外筒体6が内筒体5の外周との間に管差込み間隙12を形成するよう継手本体1に着脱可能にねじ込み結合される。その際、外筒体保持ボス9の内周と内筒体5の外周との間に形成される前記間隙10は管差込み間隙12の奥部と連通状態とされる。
【0016】内筒体5の外周にはシールリング溝13を1本または2本以上(図示例では2本)設け、このシールリング溝13に、管差込み間隙12内に差し込まれる管の内周面に密接するOリング等よりなる弾性シールリング2が嵌め込まれる。この嵌め込みは、外筒体6を継手本体1にねじ込み結合する前に行うことにより容易に行える。外筒体6は、弾性シールリング2の嵌め込み後に、継手本体1にねじ込み結合される。
【0017】ロックリング3とコレット4とは一体に形成されており、コレット4はステンレスまたは黄銅製のものであって、図2に示すように、円周に軸方向に沿う切り割り14が列設された拡縮径変形自在な中空軸15と、この中空軸15の後端に張り出し形成された鍔部16とを有しており、中空軸15の先端にロックリング3が一体に形成されている。ロックリング3の内周には管差込み間隙12内に差し込まれる管の外周面に食い込む食込み歯17を有し、ロックリング3の円周には前記切り割り14が延長する形の切り割り延長部14aが形成されている。
【0018】コレット4はロックリング3を外筒体6の内奥に挿入し、鍔部16を外筒体6の開口端の外部へ突出するよう外筒体6に内嵌される。外筒体6の開口端部の外周面の雄ねじ8にはダブルナットよりなるロックナット18が螺合される。
【0019】前記外筒体6の内周面には、外筒体6の開口端に向かい窄まる外窄まりテ−パ状の押圧面19が形成されている。その押圧面19は、外筒体6の内周面の奥部側に形成された径大押圧面19aと、この径大押圧面19aの外筒体開口端側に平行押圧面19bを介して連続形成された径小押圧面19cとからなる。
【0020】継手本体1の外周一部には管端末部視認用穴20が管差込み間隙12の内奥部と連通状に形成されている。コレット4の鍔部16の外周面16a及びロックナット18の外周面18aはこれらを指でつかんで操作するときに滑ることのないようにローレット加工などにより滑止めが施されている。
【0021】次に、図1に示す差込み式管継手の使用態様を図3ないし図7を参照にして説明する。図3及び図4に示すように、ポリブテン管等よりなる樹脂製の管Pの一端部を管継手の管差込み間隙12に差し込む。このとき、管端末部視認用穴20から管Pの端末部P´が所定深さにまで差し込まれていると、その端末部P´は視認用穴20から見えず、これにより管Pが所定深さにまで差し込まれていることを確認できる。
【0022】管Pの一端部が管継手の管差込み間隙12に所定深さにまで差し込まれると、管Pの内周面に弾性シールリング2が圧縮状に密接し、この弾性シールリング2により管Pの内周面と内筒体5の外周面との間がシールされる。また、このときロックリング3の食込み歯17が管Pの外周面に軽く食い込む。
【0023】次いで、図5に示すように、管Pを抜き出す方向aに引っ張ると、管Pと共に同一方向に移動するロックリング3の外周面が外筒体6の押圧面19と当接することにより、ロックリング3が縮径して、管Pの外周面への食込み歯17の食込みが増す。この場合、管Pが公差範囲内で大径の場合は奥部の径大押圧面19aで、標準径の場合は平行押圧面19bで、小径の場合は径小押圧面19cでそれぞれロックリング3の食込み歯17を確実に食い込ませることができる。このときは、管端末部視認用穴20から管Pの端末部P´を視認することで管Pの引っ張り出し過ぎを防止できる。このようにロックリング3の食込み歯17が管Pの外周面に食い込むことにより管Pの管差込み間隙12からの抜け出しが防止される状態となる。このとき、コレット4の鍔部16は外筒体6の開口端部及びロックナット18から後方へ離された状態となる。
【0024】このように管Pを引っ張った状態の下で、図6に示すように、ロックナット18を外筒体6の外周面から後方へ回転移動させてコレット4の鍔部16に当接させる。これによりコレット4が管差込み間隙12内に前進するのを防止できる。したがって、不慮の外力の作用によりコレット4が管差込み間隙12内に押し込まれ、ロックリング3の食込み歯17の管Pの外周面への食い込みが解除されるようなことがなく、不慮に管Pが継手本体1から抜け出るのを防止できる。
【0025】そして、管Pを継手本体1から取り外すときには、図7に示すように、ロックナット18を元の位置に戻し、鍔部16をつかんでコレット4を二点鎖線Qで示すごとく管差込み間隙12内に押し込み前進させると、ロックリング3の食込み歯17の管Pの外周面への食込みを外すことができるので、管Pを管差込み間隙12から取り外すことができる。なお、継手本体1の軸方向他端部の外周には雄ねじ21を切っており、この雄ねじ21には、金属製で雌ねじ付きの水栓やエルボなどがねじ込み接続される。
【0026】上記実施例ではロックリング3はコレット4と一体に形成されているが、これに代えて、前出の特開平11−118081号公報に記載された差込み式管継手のロックリングとコレットの場合と同様に、ロックリング3はコレット4とは別体に形成するものであってもよい。この場合、ロックリング3は円周一か所に切離部(切り割り)を有するC形に形成されて拡縮径変形自在に形成される。そして、管Pを継手本体1から取り外すときに、コレット4の先端でロックリング3を押圧することで食込み歯17の管Pの外周面への食い込みを解除することになる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、管の一端部をシール状にかつ抜止め状に簡易迅速に差し込むことができ、しかも継手本体に弾性シールリングを容易に組込むことができて組立て性にも優れる。
【出願人】 【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−124262(P2001−124262A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−309494