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【発明の名称】 螺旋管形成用の帯状体および螺旋管
【発明者】 【氏名】栗田 亨

【要約】 【課題】嵌合部の開口端内縁に形成したシール材が剥がれず、すぐれた水密性や気密性を有するとともに、機械的強度にすぐれた螺旋管を得ることができる螺旋管形成用の帯状体を提供すること。

【解決手段】一側縁に二股状の嵌合部2を有し、他側縁に矢尻状の係止部3を有する帯状体を螺旋状に巻き付け、隣接する嵌合部2と係止部3を嵌合することによって螺旋管Pを形成するための螺旋管形成用の帯状体において、巻き付けるときに外面側となる帯状体の嵌合部2の開口端内縁に、シール材25が帯状体1の抜け止め部21の凹溝211内に食い込んで一体化されている螺旋管形成用の帯状体1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一側縁に二股状の嵌合部を有し、他側縁に矢尻状の係止部を有する帯状体を螺旋状に巻き付け、軸方向に隣接する嵌合部と係止部を嵌合することによって筒状の螺旋管を形成するための螺旋管形成用の帯状体において、巻き付けるときに外面側となる前記帯状体の嵌合部の開口端内縁に、シール材が帯状体の全長にわたって食い込んで一体化されていることを特徴とする螺旋管形成用の帯状体。
【請求項2】帯状体が硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、シール材が可塑剤としてトリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルを含有した軟質塩化ビニル樹脂製のものである請求項1記載の螺旋管形成用の帯状体。
【請求項3】請求項1記載の螺旋管形成用の帯状体から形成されてなる螺旋管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、螺旋管形成用の帯状体およびこの帯状体から形成される螺旋管に関する。
【0002】
【従来の技術】帯状に押出成形された硬質塩化ビニル樹脂製の帯状体を螺旋状に巻き付け、隣接する部分同士を嵌合させることで製造される螺旋管は、伸縮性や可撓性にすぐれているので、広範囲の分野にて利用されている(たとえば実公昭41−16849号公報を参照)。この帯状体の一つとして、たとえば一側縁に二股状の嵌合部を有し、他側縁に矢尻状の係止部を有するものが使用されている。
【0003】そして、この帯状体の成形は、一側縁に二股状の嵌合部を有し、他側縁に矢尻状の係止部を有する帯状体を金型より押し出し、この帯状体を賦形装置にて賦形しながら水槽内にて帯状体全体を均一に冷却したのち、巻取機にてドラムに巻き取ることで行われている。
【0004】なお、通常はドラムに巻き取って仕掛かり品として在庫しているが、巻取機に巻き取ることなく、たとえば特開平1−269786号公報や特開平2−182430号公報に開示されている螺旋管製造用の製管機を用いて、冷却したのち引取機にて引き取られる帯状体をそのまま螺旋状に巻き付けて螺旋管の製管を行う場合もある。
【0005】ところで、この螺旋管を電力ケーブルや通信ケーブルなどの保護管として用いる場合、圧縮および引張強度、耐衝撃性などの機械的物性に加えて、高度の水密性や気密性が要求される。
【0006】このため、帯状体を押出成形する際に、一般的に、帯状体の二股状の嵌合部の開口端内縁に、たとえば軟質塩化ビニル樹脂などのエラストマー製のシール材を、帯状体の全長にわたって共押出して形成している。
【0007】ところで、螺旋管を製管する際に、帯状体は製管用のマンドレルに強制的に螺旋状に巻き付けられるので、螺旋管の管壁内部において周方向に歪みが必然的に発生することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記帯状体のように、嵌合部の開口端内縁に単にシール材を共押出ししたものでは、螺旋管の製管時にシール材が開口端内縁から剥がれ、水密性や気密性が損なわれるという問題があった。特に、製管される螺旋管の口径が小口径のものである場合、二股状の嵌合部内に矢尻状の係止部を押し込んで嵌合させる際に、シール材がより剥がれ易くなるという現象があった。
【0009】また、シール材が軟質塩化ビニル樹脂の場合、添加される可塑剤の移行性の大小、つまり、可塑剤の種類によって上記シール材の剥がれ易さが加速されるとともに、螺旋管の耐衝撃強度が低下するという問題があった。
【0010】本発明の目的は、嵌合部の開口端内縁に形成したシール材が剥がれず、すぐれた水密性や気密性を有するとともに、機械的強度にすぐれた螺旋管を得ることができる螺旋管形成用の帯状体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、一側縁に二股状の嵌合部を有し、他側縁に矢尻状の係止部を有する帯状体を螺旋状に巻き付け、軸方向に隣接する嵌合部と係止部を嵌合することによって筒状の螺旋管を形成するための螺旋管形成用の帯状体において、巻き付けるときに外面側となる前記帯状体の嵌合部の開口端内縁に、シール材が帯状体の全長にわたって食い込んで一体化されているものである。
【0012】そして、本発明における帯状体の材質としては、軟化温度が80℃以上で、溶融温度が130℃以下の硬質塩化ビニル樹脂や塩素化された塩化ビニル樹脂が好ましい。また、シール材の材質としては、軟質塩化ビニル樹脂などのエラストマーが好ましく、トリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルなどのトリメリット酸系可塑剤を含有したものが良好である。
【0013】請求項3記載の本発明は、請求項1または2記載の帯状体を用いて製造される螺旋管である。
【0014】(作用)請求項1記載の本発明では、巻き付けるときに外面側となる帯状体の嵌合部の開口端内縁に、シール材が帯状体の全長にわたって食い込んで一体化されているので、螺旋管を成形する際に発生する曲げやねじりなどの外力が作用しても、シール材が帯状体から剥がれることがない。このため、土圧や輪荷重によって嵌合接続部からの水の浸入を防止することができる螺旋管を得ることができる。
【0015】請求項2記載の本発明では、帯状体が硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、しかも、シール材が移行性の低いトリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルを含有した軟質塩化ビニル樹脂製のものであるので、嵌合部の開口端内縁とシール材との接着性が損なわれにくく、シール材が剥がれない。また、帯状体の強度低下が生じないので、機械的強度にすぐれた螺旋管が得られる。
【0016】したがって、請求項3記載の本発明の螺旋管は、電力ケーブルや通信ケーブルなどの埋設保護管として好適なものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の螺旋管形成用の帯状体の一例を示す断面図である。
【0018】図1において、帯状体1は、硬質塩化ビニル樹脂から押出成形されてなるものであり、その全長にわたって略Y字状の断面形状を有している。帯状体1は一側縁に二股状の嵌合部2を有し、他側縁に嵌合部2内に摺動可能に嵌入係止される係止部3を有している。嵌合部2の開口端内縁には抜け止め部21,22が対向して設けられている。抜け止め部21,22の開口端面は末広がり状のテーパ面23,24とされている。係止部3の先端には矢尻状の突起31が設けられている。
【0019】そして、巻き付けるときに外面側となる帯状体1の嵌合部2の開口端内縁の抜け止め部21には、軟質塩化ビニル樹脂製のシール材25が帯状体1の全長にわたって共押出されて一体化されている。このシール材25はその一部が、図2に示すように、抜け止め部21に形成された凹溝211内に帯状体1の全長にわたって食い込んで一体化されている。凹溝211の幅は抜け止め部21の幅の約1/3とされている。シール材25は可塑剤としてトリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルを含有している。軟質塩化ビニル樹脂と可塑剤の比率は、重量比で約1:1である。
【0020】上記帯状体1を使用して螺旋管を製造するには、たとえば特開平2−182430号公報に開示された製管機を用いて螺旋状に巻き付けながら、二股状の嵌合部2内に、テーパ面23,24を利用して、隣接する係止部3の矢尻状の突起31を押し込んで嵌合させることによって、図3に示す螺旋管Pが製造される。
【0021】この実施例の場合、図2に示すように、シール材25の一部が抜け止め部21の凹溝211内に食い込んで一体化されているので、凹溝211が存在していない場合に比べて、抜け止め部21に対するシール材25の接着面積は約1.6倍となる。この結果、抜け止め部21に対するシール材25の接着強度は約1.6倍となる。しかも、シール材25中に含まれる可塑剤が、移行性の低いトリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルであるので、硬質塩化ビニル樹脂製の帯状体1の衝撃強度に影響を及ぼすことがない。
【0022】このようにして製造された螺旋管は、地中埋設管として使用され、土圧や輪荷重などの繰り返し荷重が作用しても、割れなどが発生するおそれがなく、安定的に使用することができる。
【0023】
【発明の効果】請求項1記載の本発明においては、巻き付けるときに外面側となる帯状体の嵌合部の開口端内縁に、シール材が帯状体の全長にわたって食い込んで一体化されているので、螺旋管を成形する際に発生する曲げやねじりなどの外力が作用しても、シール材が帯状体から剥がれることがなく、土圧や輪荷重によって嵌合接続部からの水の浸入を防止することができる螺旋管を得ることができる。
【0024】請求項2記載の本発明では、帯状体が硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、しかも、シール材が移行性の小さいトリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシルを含有した軟質塩化ビニル樹脂製のものであるので、嵌合部の開口端内縁とシール材との接着性が損なわれずシール材が剥がれない。また、帯状体の強度低下が生じないので、機械的強度にすぐれた螺旋管が得られる。
【0025】したがって、請求項3記載の本発明の螺旋管は、電力ケーブルや通信ケーブルなどの埋設保護管として好適に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年10月26日(1999.10.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−124251(P2001−124251A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−304172