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【発明の名称】 金属パイプ
【発明者】 【氏名】久保田 公

【氏名】佐伯 正

【要約】 【課題】両端部が拘束された金属パイプに変形が生じても、フランジ取付部等の拘束部に過大な集中応力が発生しない金属パイプを提供すること。

【解決手段】両端が部材に拘束されて取り付けられ、上記部材間の変位によって変形し応力が発生する金属パイプ(10)において、該金属パイプ(10)の長さ方向の中央部付近の肉厚を他の部分より薄くされ、弾性変形し易された薄肉部(12)が形成された金属パイプである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端が部材に拘束されて取り付けられ、上記部材間の変位によって変形し応力が発生する金属パイプにおいて、該金属パイプの長さ方向の中央部付近の肉厚を他の部分より薄くされ、弾性変形し易された薄肉部が形成された金属パイプ。
【請求項2】 少なくとも一端側にフランジが固着され、このフランジにより部材に拘束された請求項1に記載の金属パイプ。
【請求項3】 少なくとも一端がエンジンに拘束されて取り付けられ、エンジンの流体搬送に使用される請求項1又は請求項2に記載の金属パイプ。
【請求項4】 薄肉部はその外径を、上記他の部分の外形より小さく形成した請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の金属パイプ。
【請求項5】 薄肉部はその内径を、上記他の部分の内径より大きく形成した請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の金属パイプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属パイプに係り、特に両端が拘束されて取り付けられ、応力が作用する金属パイプに関する。
【0002】
【従来の技術】上述した金属パイプとして、自動車エンジンのEGR装置用パイプがある。このEGR装置用パイプは、エンジンの排気ガスの一部を吸気系に戻し、混合気中のH2 、O、N2 、CO2 等の不活性の割合を増してエンジン内の燃焼温度を低下させ、外部に排出されるNOx量の低減を図るものである(特開平8−218950号参照)。
【0003】このようなEGR装置は、図7に示すように、エンジン51の一端側には吸気マニホールド52が接続され、他端側には排気マニホールド53が接続されている。
【0004】エンジン51への吸気54は、吸気マニホールド52からエンジン51に供給され燃料と混合されて燃料が燃焼し、排気マニホールド53から排気ガス55が排出される。
【0005】この例のEGR装置では、排気マニホールド53と吸気マニホールド52との間にはEGRパイプ56が接続されており、且つ該EGRパイプ56の途中にはエンジン51の回転数と負荷に基づいて制御装置(図示していない)の信号によって開閉されるEGRバルブ57が設けられている。
【0006】そして、エンジン51の回転数と負荷に基づいて排気ガス55を吸気マニホールド52に循環させるべき運転状態にあることが制御装置によって判断され、制御装置からの信号によりEGRバルブ57が開かれる。すると、排気マニホールド53から排気ガスの一部がEGRパイプ56を通じて吸気マニホールド52に戻され、この排気ガスがエンジン内での燃料の燃焼を制御して燃焼温度を下げ、NOxの発生を低減できるようにしている。
【0007】なお、図7中符号58はエンジンのヘッドカバー、符号59,60は上記EGRパイプ56の両端に溶接で取り付けられたフランジ、61,62は両フランジ59,60を両マニホールド52,53に取り付けるボルト、63はエキゾーストブレーキバルブを示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のようなEGR装置に使用されるパイプには、パイプやエンジンの寸法誤差に基づいて発生する取付時のパイプの変形、排気マニホールドの熱変形により発生する排気マニホールドへのパイプ位置の移動によるパイプの変形、更にエンジンの不等振動によって発生するパイプの変形によって、パイプには応力が発生する。
【0009】この応力は図8に示すように、EGRパイプが均等な肉厚のときには、フランジの溶接部65,66に集中することとなり、この応力がパイプの許容応力を越えるときには、パイプに亀裂が生じるおそれがある。
【0010】これに対応するため、従来では、パイプの肉厚を全体的に薄くしたり、パイプを小径化することでパイプの柔軟性を増し、パイプの変形による集中応力の値が許容応力を越えないものとしている。また、パイプの変形に対応して図9に示すように一様な肉厚のEGRパイプ56の中間部にベローズ70をEGRパイプ56に一体形成したり、EGRパイプに溶接して取り付けるものとしている(特開平8−218950号参照)。
【0011】しかしながら、近年排気ガスの流量を多くするためパイプを大径としたり、パイプの肉厚を薄くしたり、パイプ長を短かくすることでフランジ間の寸法を少なくしたEGRパイプでは、パイプの柔軟性を確保できない他、パイプの肉厚を薄くすると、フランジへの溶接時にパイプ端部が溶けてしまい溶接が良好にできないおそれがある。
【0012】また、ベローズを使用したEGRパイプにあっては、パイプの柔軟性を確保することはできるものの、エキゾーストブレーキを作動させた場合での圧力変動の繰り返しや、パイプの大きな変形に対して構造的に弱く、亀裂が生じるおそれがある。
【0013】本発明はこのような実状にかんがみてなされたものであり、両端部が拘束された金属パイプに変形が生じても、フランジ取付部等の拘束部に過大な集中応力が発生しない金属パイプを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明の手段は、以下のとおりである。
【0015】請求項1に記載の発明は、両端が部材に拘束されて取り付けられ、上記部材間の変位によって変形し応力が発生する金属パイプにおいて、該金属パイプの長さ方向の中央部付近の肉厚を他の部分より薄くされ、弾性変形し易くされた薄肉部が形成された金属パイプである。
【0016】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属パイプの少なくとも一端側にフランジが固着され、このフランジにより部材に拘束されたものである。また、この発明では、フランジは、金属パイプの両端に固定することができる。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の金属パイプの少なくとも一端がエンジンに拘束されて取り付けられ、エンジンの流体搬送に使用されるものである。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の金属パイプの薄肉部はその外径を、上記他の部分の外形より小さく形成したものである。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の金属パイプ薄肉部はその内径を、上記他の部分の内径より大きく形成したものである。
【0020】〔作用〕請求項1に記載の発明によれば、金属パイプの中間部に肉厚を他の部分より薄くした薄肉部を設けたので、薄肉部において柔軟性が増し、パイプの変形時に拘束部に発生する応力の集中を緩和することができる。また、パイプの両端部は、所定の肉厚として差し支えないから、溶接でフランジ等を取り付けるのにパイプが溶けてしまう等の不具合は発生しない。更に、ベローズを設ける必要がなく、作成費用を低減させることができる。
【0021】また、請求項2に記載の発明によれば、少なくとも一端側にフランジが固着された金属パイプであるので、パイプの端部に設けたフランジを用いてボルトで必要な個所に容易に取り付け、取り外すことができる。
【0022】また、請求項3に記載の発明によれば、金属パイプはエンジンの流体搬送用に使用される金属パイプであり、振動や熱変動の多いエンジンに使用するEGRパイプ、冷却水搬送、その他の流体搬送に最適である。
【0023】更に、請求項4に記載の発明によれば、薄肉部の外径を、上記他の部分の外形より小さく形成した金属パイプであるので、パイプ製造時において、均一肉厚のパイプを外部から加工して薄肉部を形成することができ、製造コストを低いものとすることができる。
【0024】そして、請求項5に記載の発明によれば、薄肉部の内径を、上記他の部分の内径より大きく形成した金属パイプであるので、外観上均一の肉厚のパイプと同一のものとすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る金属パイプの実施の形態を説明する。
【0026】〔第1の実施の形態〕図1ないし図4は本発明に係る金属パイプの第1の実施の形態を示すものである。本例の金属パイプは従来の技術で示したものと同様に、車両エンジンのEGR装置に使用されるEGRパイプとして用いられる。なお、この例では、EGRパイプは排気ポートから吸気ポートまでを複数本のパイプを接続して構成するものであり、この例ではそのうちの排気ポートに取り付けられる金属パイプ(以下EGRパイプ10という)を示しており、EGRパイプ10のパイプ本体11の一端に溶接固定されたフランジ21が排気ポート(図示していない)にボルト止めされ、他の一端に溶接固定されたフランジ22が延長パイプ(図示していない)にボルト止めされる。
【0027】また、図1、図2は、図3及び図4に示している湾曲するEGRパイプ10の中心線(C−C)に沿っての断面図概略図であり、パイプ本体11の厚みは誇張して描いてある。本例では、EGRパイプ10はステンレス鋼製のパイプ本体11とパイプ本体11の一端に溶接17して固着されたステンレス鋼製のフランジ21と、パイプ本体11の他端に溶接18して固着されたステンレス鋼製の受け管23付きのフランジ22とからなる。
【0028】パイプ本体11はその外径を一定のものとし、且つその長さ方向の中間部に肉厚(図1、図2中t1 )をパイプ本体11の両端部13,14の肉厚(図1、図2中T1 )より薄くした薄肉部12が一体成形されて設けられている。この薄肉部12は、その内径d1 を両端部13,14の内径D1 より大きなものとして同軸に形成されている。更に、この薄肉部12と両端部13,14との間には、その内径をd1 からD1 へと徐々に変化させる拡径部15,16が形成されている。
【0029】そして、上記両端部13,14の端部に上記両フランジ21,22が溶接されている他、図4に示すように、パイプ本体11の周囲には断熱材31としてグラスウール32とインシュレータ33とが巻き付けてある。
【0030】更にフランジ21,22には取付ボルト貫通穴24,25が設けられている他、一方のフランジ21にはステー26が取り付けられている。
【0031】この実施の形態に係るEGRパイプ10によれば、EGRパイプ10をエンジンに取り付けるときの寸法誤差によるパイプ本体11の変形や、排気マニホールドの熱変形による移動、その他エンジンの振動等よってのパイプ本体11の変形によっても、図5に示すように、薄肉部が撓むことにより、パイプ本体11のの両端の溶接17,18の端縁部に加わる集中応力の値を小さくできる。
【0032】したがって、EGRパイプ10に作用する最大応力が金属パイプの許容応力を越えることなく、パイプの溶接部に亀裂が生じるおそれがなくなる。
【0033】また、パイプ本体11の両端部は、必要な肉厚とできるので、溶接でフランジ等を取り付けるのにパイプが溶けてしまう等の不具合は発生しない。更に、ベローズを設ける必要がなく、作成費用を低減させることができる。
【0034】〔他の実施の形態〕図6は本発明に係る金属パイプ40の他の実施の形態を示すものである。本例のパイプ本体41は、その内径を一定のものとし、且つその長さ方向の中間部に肉厚(図6中t2 )をパイプ本体41の両端部43,44の肉厚(図6中T2 )より薄くした薄肉部42が一体成形されて設けられている。この薄肉部42は、その外径d2 を両端部43,44の外径D2 より小さなものとして同軸に形成されている。更に、この薄肉部42と両端部43,44との間には、その外径をd2 からD2 へと徐々に変化させる拡径部45,46が形成されている。
【0035】本例では、上述したパイプ本体41の形状の他の構成は、上述した実施の形態に係る金属パイプと同一であるので詳細な説明は省略する。
【0036】また、上記第1の実施例では、パイプ本体11の両端にフランジを溶接した例について説明したが、フランジはパイプ本体11の一方にだけ設け、他の一方を他の手段例えば溶接で拘束してもよいし、両端とも他の手段で拘束するようにしてもよい。
【0037】また、上記例では、金属パイプを自動車エンジンのEGRパイプとして使用した例について説明したが、自動車の他の部位における流体搬送パイプ、自動車以外の用途に使用できる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、パイプの中間部に肉厚を他の部分より薄くした薄肉部を設けたので、薄肉部において柔軟性が増し、パイプの変形時に拘束部に発生する応力の集中を緩和することができる。また、パイプの両端部は、所定の肉厚として差し支えないから、溶接でフランジ等を取り付けるのにパイプが溶けてしまう等の不具合は発生しない。更に、ベローズを設ける必要がなく、作成費用を低減できるという効果を奏する。
【0039】また、請求項2に記載の発明によれば、少なくとも一端側にフランジが取り付けられた金属パイプであり、フランジは、金属パイプの両端に取り付けることができ、またパイプの端部に設けたフランジを用いてボルトで必要な個所に取り付けることができるという効果を奏する。
【0040】また、請求項3に記載の発明によれば、エンジンの流体搬送用に使用される金属パイプであり、振動や熱変動の多いエンジンに使用するEGRパイプ、冷却水搬送、その他の流体搬送に最適である。
【0041】更に、請求項4に記載の発明によれば、薄肉部の外径を、上記他の部分の外形より小さく形成した金属パイプであるので、パイプ製造時において、均一肉厚のパイプを外部から加工して薄肉部を形成することができ、製造コストを低いものとできるという効果を奏する。
【0042】そして、請求項5に記載の発明によれば、薄肉部の内径を、上記他の部分の内径より大きく形成した金属パイプであるので、外観上均一の肉厚のパイプと同一のものとできるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】595041442
【氏名又は名称】江崎工業株式会社
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100075199
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 皓
【公開番号】 特開2001−124247(P2001−124247A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−309524