トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 線材束の保持具
【発明者】 【氏名】田中 恭介

【要約】 【課題】本発明は、線材束とパネル部材の解体作業の作業性を向上させることができるとともに、パネル部材のリサイクル率を大幅に向上させることができる線材束の保持具を提供するものである。

【解決手段】バンド部材13からパネル部材19の開口部19aに抜け止め係止される係合手段15を設け、この係合手段15を、突出方向基端部が開口された薄肉かつ球形状の本体16と、本体16の突出方向基端部から基端部外方に折り曲げられ、パネル部材19の開口部19a周縁に係止される折り曲げ部17と、本体16の突出方向先端部背面に設けられ、この背面から本体16の開口を通して外方に突出する棒状部材18とから構成し、さらに、バンド部材13の長手方向に亘って棒状部材18を外方に逃すためのスリット13bを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の線材からなる線材束を保持して該線材束をパネル部材に取付けるようにした線材束の保持具であって、前記線材束に巻回されることにより、前記線材束を保持可能な長尺なバンド部材と、該バンド部材の所定箇所から突出し、パネル部材の開口部に抜け止め係止される係合手段とを備え、前記係合手段が、突出方向基端部が開口された薄肉かつ球形状の本体と、該本体の突出方向基端部から該基端部外方に折り曲げられ、前記パネル部材の開口部周縁に係止される折り曲げ部と、前記本体の突出方向先端部背面に設けられ、該背面から前記本体の開口を通して外方に突出する棒状部材とを有し、前記バンド部材の長手方向に亘って前記棒状部材の逃し用のスリットが形成されたことを特徴とする線材束の保持具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線材束の保持具に関し、詳しくは、車体や電気機器等のパネルの所定位置にワイヤハーネス等の長尺な線材束を束ねて固定することができる線材束の保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車体や電気機器等のパネルの所定位置にワイヤハーネス等の線材束を固定するために保持具として結束バンドを用いることが知られており、この結束バンドとしては、例えば、図4〜6に示すようなものがある。
【0003】図4〜6において、1は結束バンドであり、この結束バンド1は、ワイヤハーネス2に巻回されるとともに延在方向に鋸状凹凸部3aが形成されたバンド部材3と、車体や電子機器等のパネル4に形成された開口部4aに挿入され、開口部4aの周縁に可動片5a、5bが当接することにより、パネル4に抜け止め係止される逆止係止体5と、この逆止係止体5を取り囲むようにしてバンド部材3の先端部から突出し、所定の弾発力を有する皿状部材6と、バンド部材3の基端部に形成され、バンド部材3の先端部から挿通可能な挿通孔7aおよびバンド部材3が挿通孔7aに挿通されたときに鋸状凹凸部3aに係合される係合爪7bを有するロック部材7と、から構成されている。
【0004】このような結束バンド1にあっては、ワイヤハーネス2にバンド部材3を巻回して、バンド部材3の先端部を挿通孔7aに挿通してワイヤハーネス2の径と略一致した時点で鋸状凹凸部3aを係合爪7bに係合させることにより、ワイヤハーネス2の径を吸収しつつワイヤハーネス2を強固に保持する。
【0005】次いで、ワイヤハーネス2をパネル4に取付ける際には、逆止係止体5をパネル4の開口部4aに挿入して可動片5a、5bの先端部をパネル4の一側面の開口部4a周縁に当接させる。このとき、皿状部材6がパネル4の他側面に逆止係止体5を引っ張ることにより、パネル4の厚みを吸収して、逆止係止体5の当接力がばらつくことが防止される。このようにして結束バンド1によってワイヤハーネス2がパネル4に取付けられる。
【0006】なお、逆止係止体5はワイヤハーネス2がパネル4から脱落しないように、通常10〜15kg程度の保持力を付与されるように設計されている。
【0007】また、ワイヤハーネス2は長尺であり、ワイヤハーネス2が車体パネル等に取付けられる場合には、図7に示すように、多数の箇所で結束バンド1が車体に取付けられ、ワイヤハーネス2の数が多い場合には、100〜200個の結束バンド1が必要になる場合がある。なお、図7において、8はワイヤハーネス2に取付けられたコネクターであり、結束バンド1の矢印で示す向きが結束バンド1が取付けられる方向を示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の結束バンド1にあっては、結束バンド1をパネル4に取付けたときに逆止係止体5が高い保持力でパネル4に抜け止め係止されるため、結束バンド1をパネル4から簡単に取り外すことができないという問題があり、このように簡単に結束バンド1を取り出すことができないと、以下に示すような不具合が発生してしまう。
【0009】近時のように、種々の製品材料のリサイクルを行なうような環境下にあっては、例えば、車両のリサイクルを行なう場合に、車体(パネル)を構成する鉄の純度を上げるためには、車体に装着された不要な金属を車体から取り外す必要がある。このとき、主に銅を使用しているワイヤハーネスが車体に装着されたままであると、当然のことながら鉄の純度が低下してしまい、リサイクルに不都合なものとなる。
【0010】したがって、従来のように結束バンド1をパネル4から容易に取り出すことができないと、ワイヤハーネス2がパネル4に装着されたままとなり、車体の純度を上げることができない大きな要因となってしまう。
【0011】そこで本発明は、線材束をパネル部材から簡単に取り外すことができるようにして、線材束とパネル部材の解体作業の作業性を向上させることができるとともに、パネル部材のリサイクル率を大幅に向上させることができる線材束の保持具を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記課題を解決するために、複数の線材からなる線材束を保持して該線材束をパネル部材に取付けるようにした線材束の保持具であって、前記線材束に巻回されることにより、前記線材束を保持可能な長尺なバンド部材と、該バンド部材の所定箇所から突出し、パネル部材の開口部に抜け止め係止される係合手段とを備え、前記係合手段が、突出方向基端部が開口された薄肉かつ球形状の本体と、該本体の突出方向基端部から該基端部外方に折り曲げられ、前記パネル部材の開口部周縁に係止される折り曲げ部と、前記本体の突出方向先端部背面に設けられ、該背面から前記本体の開口を通して外方に突出する棒状部材とを有し、前記バンド部材の長手方向に亘って前記棒状部材の逃し用のスリットが形成されたことを特徴としている。
【0013】その場合、線材束に保持具を取付けるには、線材束に棒状部材を通した後、バンド部材を線材束に巻回する。このとき、棒状部材の先端部がスリットを通してバンド部材の外方に突出するため、棒状部材がバンド部材を線材束に巻回する際の妨げになることがない。
【0014】次いで、保持部材をパネル部材に取付けるには、線材束を結束バンドで保持した後、係合手段の本体をパネル部材の開口部に挿通すると、折り曲げ部がパネル部材の開口部周縁に係止されることにより、本体がパネル部材に抜け止め係止される。この結果、線材束が保持手段を介してパネル部材に取付けられる。
【0015】一方、保持部材をパネル部材から取り外すには、棒状部材を把持して引っ張ると、薄肉形状の本体が棒状部材によって引っ張られることにより本体が捲れる。このため、折り曲げ部がパネル本体の開口部周縁から外れて本体がパネル部材から取り外される。
【0016】この結果、係合部材を介して線材束をパネル部材から簡単に取り外すことができ、線材束とパネル部材との解体作業の作業性を向上させることができるとともに、パネル部材のリサイクル率を大幅に向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1〜3は本発明に係る線材束の保持具の一実施形態を示す図である。
【0019】まず、構成を説明する。図1、2において、11は樹脂材料等から構成された結束バンド(保持具)であり、この結束バンド11は基端部から先端部に向かって延在するとともに延在方向に鋸状凹凸部13aが形成され、ワイヤハーネス(線材束)12を保持可能な長尺なバンド部材13を有している。
【0020】また、結束バンド11の先端部にはロック部材14が設けられており、このロック部材14の内部にはバンド部材13の基端部が挿通可能な挿通孔14aが形成されているとともに、この挿通孔14a内にバンド部材13の鋸状凹凸部13aに係合してバンド部材13をロック部材14に抜け止め係止する係合片14bが設けられている。
【0021】また、ロック部材14近傍のバンド部材13部分には係合手段15が設けられている。この係合手段15は突出方向基端部が開口された薄肉かつ球形状の本体16と、本体16の突出方向基端部から基端部外方に折り曲げられ、パネル部材19の開口部19a周縁に係止される折り曲げ部17と、本体16の突出方向先端部背面に設けられ、この背面から本体16の開口を通して外方に突出する棒状部材18とから構成されている。
【0022】また、バンド部材13の長手方向に亘ってスリット13bが形成されており、このスリット13bは棒状部材18をバンド部材13の外方に逃すために設けられている。
【0023】なお、本体16は棒状部材18を比較的強い外力(人の腕力等)で引っ張らないと捲れないような厚さおよび強度に設定されている。
【0024】次に、作用を説明する。
【0025】まず、結束バンド11をワイヤハーネス12に取付けるには、ワイヤハーネス12に棒状部材18を通した後、バンド部材13をワイヤハーネス12に巻回し、次いで、バンド部材13の基端部を挿通孔14aに挿通して鋸状凹凸部13aを係合片14bに係合させることにより、バンド部材13をロック部材14に抜け止め係止する(図2(b)参照)。このとき、棒状部材18の先端部がスリット13bを通してバンド部材13の外方に突出するため、棒状部材18がバンド部材13をワイヤハーネス12に巻回する際の妨げになることがない。
【0026】次いで、本体16を開口部19aに挿通して折り曲げ部17を開口部19a周縁に係合させることにより、結束バンド11を介してワイヤハーネス12をパネル部材19に取付ける(図3(a)参照)。
【0027】一方、ワイヤハーネス12をパネル部材19から取り外すには、棒状部材18を把持して引っ張ると、薄肉形状の本体16が棒状部材18によって引っ張られることにより本体16が捲れる。このため、折り曲げ部17が開口部19a周縁から外れて本体16がパネル部材19から取り外される(図3(b)参照)。
【0028】このように本実施形態では、バンド部材13からパネル部材19の開口部19aに抜け止め係止される係合手段15を設け、この係合手段15を、は突出方向基端部が開口された薄肉かつ球形状の本体16と、本体16の突出方向基端部から基端部外方に折り曲げられ、パネル部材19の開口部19a周縁に係止される折り曲げ部17と、本体16の突出方向先端部背面に設けられ、この背面から本体16の開口を通して外方に突出する棒状部材18とから構成し、さらに、バンド部材13の長手方向に亘って棒状部材18を外方に逃すためのスリット13bを設けたため、係合手段15を介してワイヤハーネス12をパネル部材19から簡単に取り外すことができ、ワイヤハーネス12とパネル部材19との解体作業の作業性を向上させることができるとともに、パネル部材19のリサイクル率を大幅に向上させることができる。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、係合部材を介して線材束をパネル部材から簡単に取り外すことができ、線材束とパネル部材との解体作業の作業性を向上させることができるとともに、パネル部材のリサイクル率を大幅に向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
【出願日】 平成11年10月26日(1999.10.26)
【代理人】 【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
【公開番号】 特開2001−124245(P2001−124245A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−303541