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【発明の名称】 地中埋設物標識
【発明者】 【氏名】尾崎 伸一

【氏名】村田 清

【氏名】中野 洋二

【氏名】島村 敏和

【要約】 【課題】生産性が良好で、掘削工具等の打撃にも耐えうる防護機能と標識機能を併せ持つ地中埋設物標識を提供する。

【解決手段】長さ方向に折り畳まれて形成された重ね合わせ部12,12…を有する標識シート10と、該標識シート10の片面に配設された保護シート20とを有する地中埋設物標識1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地中埋設物の近傍に埋設されて該地中埋設物の存在を示す地中埋設物標識において、長さ方向に折り畳まれて形成された重ね合わせ部を有する標識シートと、該標識シートの片面に配設された防護シートとを有することを特徴とする地中埋設物標識。
【請求項2】 前記標識シートと前記防護シートとが、溶着もしくは縫製によって部分的に接合されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設物標識。
【請求項3】 前記標識シートの表面には、地中埋設物の存在を示す表示部が、前記重ね合わせ部に隠れることなく形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の地中埋設物標識。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め地中埋設物の近傍に埋設しておくことにより、地面の掘削作業に際して作業者に埋設物の存在を知らしめる地中埋設物標識に関する。
【0002】
【従来の技術】地中に埋設されたガス管、上下水道管、電力線、通信線等の種々の地中埋設物を修理したり、あるいは既設の地中埋設物の近傍に新たな地中埋設物を埋設したりする場合には、改めて地面を掘り起こす作業が必要となる。このような掘り起こし作業において、パワーショベル等の掘削工具により地中埋設物が損傷を受けたり破損したりする場合があった。そこで、従来より地中埋設物の上方の地中に、地中埋設物標識を埋設しておき、この標識により作業者に注意を喚起して地中埋設物の損傷や破損を防止するようにしている。
【0003】この種の地中埋設物標識としては、地中埋設物の名称や、注意を促すための語句やマーク、埋設時期などを印刷したフィルムと、高密度ポリエチレン製のフラットヤーンを平織してなる織布とを張り合わせ、さらに、これらを図3に示すように、部分的に重ね合うようにして折り畳んだものが知られている。ここで、折り畳んで重ね合わせ部31,31,…を形成したのは、掘削作業にあたってこの地中埋設物標識30を掘りあてた際、重ね合わせ部31,31,…が伸びて地表に現れて地中埋設物の存在位置を作業者に確実に知らせるためである。なお、地中埋設物標識30の折り畳まれて重ね合わされた部分は、埋設時の作業性を高めるために、その形状を保持すべく熱溶着して溶着部32を形成したり、またはミシン縫製などで固定されている。
【0004】従来、ガス管などの地中埋設物を道路などに埋設する場合は、道路法施行令で地表から1.2m以上と定められており、地中埋設物標識30は、例えば、図4に示すように、地表から60cm、ガス管40から60cmのところに埋設されていた。ところが、最近、埋設基準が緩和され、ガス管40などの地中埋設物は、図5に示すように、地表から60cmのところに埋設できるようになった(浅埋工法)。これに伴って、地中埋設物標識30は地表から30cm、ガス管40から30cmところに埋設されるようになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この浅埋工法では、地中埋設物標識30とガス管40などの地中埋設物との間の距離が短いために、掘削作業でこの地中埋設物標識30を掘りあてた際、パワーショベル等の掘削工具の先端がガス管40など地中埋設物に到達する可能性が大きい。また、従来の地中埋設物標識30は、薄手の1枚の織布から構成されているだけであり、地中埋設物標識30自身には直接的な打撃から地中埋設物を保護するための防護機能が十分ない。そのため、パワーショベル等の掘削工具により地中埋設物が損傷を受ける可能性が大きくなった。
【0006】掘削工具からの打撃から地中埋設物を防護するためには、地中埋設物標識に使用する織布を厚手のものにすることが考えられる。しかしながら、織布を厚手のものにすると、織布を折り畳み難くなり、生産性が悪くなるという問題があった。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされたもので、生産性が良好で、掘削工具等の打撃にも耐えうる防護機能と標識機能を併せ持つ地中埋設物標識を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の地中埋設物標識は、地中埋設物の近傍に埋設されて該地中埋設物の存在を示す地中埋設物標識において、長さ方向に折り畳まれて形成された重ね合わせ部を有する標識シートと、該標識シートの片面に配設された防護シートとを有することを特徴とするものである。また、前記標識シートと前記防護シートとは、溶着もしくは縫製によって部分的に接合されていることが好ましい。また、前記標識シートの表面には、地中埋設物の存在を示す表示部が、前記重ね合わせ部に隠れることなく形成されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。図1は、本発明の地中埋設物標識の一例を示す斜視図である。この地中埋設物標識1は、帯状のシート11をその長さ方向に部分的に重なるようにして折り畳んで形成した重ね合わせ部12,12,…を有する標識シート10と、該標識シート10の片面に部分接合された防護シート20とを具備して概略構成される。
【0010】前記防護シート20は、図2に示すように、合成樹脂製のフラットヤーン21を編織してなる編織布である。防護シート20の織り方は、特に限定されず、平織、朱子織でもよく、綾織でもよい。また、編織に用いる織機も、ズルーザー織機、レピア織機、ウォータージェット織機などの従来の織機等を用いることができる。
【0011】防護シート20のタテおよびヨコの打ち込み密度は、掘削工事に使用される掘削工具の種類等に対応させて適宜選択すればよく、特に限定はされないが、5〜20本/2.54cmであることが好ましい。打ち込み密度が5本/2.54cm未満では、フラットヤーン間の隙間が大きくなり、防護性が不十分となるおそれがあり、打ち込み密度が20本/2.54cmを超えると、編織が困難になるおそれがある。
【0012】フラットヤーン21は、合成樹脂をインフレーション法などの公知の押出成形法によって溶融押出してフィルムとし、このフィルムをスリットし、ついで延伸することによって製造されるものである。合成樹脂としては、特に限定はされないが、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロンなどが用いられる。また、これら合成樹脂には、必要に応じて、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、タルク、マイカ、硫酸バリウム、アルミナなどの無機充填材、滑剤、顔料などの着色剤等が添加されていてもよい。
【0013】フラットヤーン21の強度は延伸倍率により調節することができる。延伸倍率を高めることで強度を高めることができるが、あまり延伸倍率を高くすると延伸切れしやすくなる傾向がある。フラットヤーン21製造時の延伸倍率は、好ましくは7〜10倍である。
【0014】フラットヤーン21の繊度は、掘削工事に使用される掘削工具の種類等に対応させて適宜選択すればよく、特に限定はされないが、1000〜4000デニール(111〜444テクス)の範囲が好ましい。フラットヤーン21の繊度が1000デニール未満では、防護性が不十分となるおそれがあり、4000デニールを超えると、編織が困難となるおそれがある。
【0015】なお、図示例の防護シート20は、単層のものであるが、特にこれに限定されるものではない。本発明における防護シートとしては、掘削工事に使用される掘削工具の種類等に対応させて、防護シート20を2層以上積層したものを用いてもよい。また、防護シートは、防護機能を有するものであれば、図示例のものに限定されるものではない。防護シートとしては、フラットヤーンを編織してなる編織布以外に、モノフィラメント、マルチフィラメントを編織してなる編織布、あるいはフエルト、不織布を用いることもできる。
【0016】前記標識シート10は、作業者に注意を喚起して埋設物の損傷や破損を防止するように、埋設物の名称や、注意を促すための語句やマーク、埋設時期などを印刷したフィルムと織布とを貼りあわせて構成されており、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂が用いられる。
【0017】なお、標識シート10の表面に印刷される地中埋設物の存在等を示す表示は、その表示内容が掘削時の作業者にわかるように、重ね合わせ部12,12,…に隠れることなく印刷されていることが好ましい。また、標識シート10の表面には、地中埋設物が浅埋工法によって埋設されていることがわかるように、工法名や埋設物までの距離などを印刷しておくことが好ましい。
【0018】前記標識シート10の重ね合わせ部12、および標識シート10と防護シート20は、重ね合わせ部12の形状を保持するため、および標識シート10と防護シート20とを部分的に接合するために、溶着部13において熱融着されている。なお、重ね合わせ部12の接合、および標識シート10と防護シート20との接合は、図示例の熱融着に限定はされず、例えば、ミシン縫製、超音波、高周波、接着剤等によって行うことができる。
【0019】次に、地中埋設物標識1の使用方法について説明する。地中埋設物標識1は、地中埋設物の上方に地中埋設物と共に埋設される。その後、地面を掘り起こす必要が生じた際、ショベル等の掘削工具で地面を掘削すると、地中埋設物の上方に埋設されている地中埋設物標識1が掘削工具に引っかけられる。地面を掘り起こす際、地中埋設物が浅埋されていれば、掘削工具が地中埋設物まで到達することもあるが、地中埋設物の上方には、地中埋設物標識1が地中埋設物を防護するように埋設されているので、地中埋設物は地中埋設物標識1の防護シート20によって掘削工具の打撃から防護される。
【0020】地中埋設物標識1が引っかけられて上方に引き上げられると、その引上げ力によって、防護シート20が破断され、防護シート20と標識シート10が分離すると共に、標識シート10の重ね合わせ部12,12…の溶着部13が解けて標識シート10が伸びる。伸びた標識シート10は地表に現れて地中埋設物の存在位置を作業者に確実に知らせる。
【0021】このような地中埋設物標識1にあっては、長さ方向に折り畳まれて形成された重ね合わせ部12,12…を有する標識シート10を具備しているので、地面を掘り起こした場合に、地中埋設物標識1が掘削工具に引っかかり、引き上げられた際に該標識シート10が伸び、地中埋設物の存在位置を作業者に確実に知らせることができる。また、標識シート10の片面に防護シート20が配置されているので、地面を掘り起こす際の掘削工具の打撃から地中埋設物を防護することができる。
【0022】また、防護シート20が防護機能を担っているので、標識シート10に使用するシート11を厚手のものにする必要がなく、シート11をその長さ方向に折り畳むことが容易であり、生産性も高い。また、標識シート10と防護シート20とが、溶着もしくは縫製によって部分的に接合されているので、これらは容易に分離する。すなわち、地中埋設物標識1が引っかけられて上方に引き上げられると、標識シート10は防護シート20が破断すると、すぐにはずれて伸びることができるので、地中埋設物の存在位置を作業者に瞬時に、かつ確実に知らせることができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳しく説明する。まず、高密度ポリエチレン(HDPE)製のテープヤーン(繊度:222テクス)を編織して、タテおよびヨコの打ち込み密度が15本/2.54cmである編織布(防護シート)を製造した。この防護シートの引張強力は、タテ2156N/3cm、ヨコ2107N/3cmであった。ついで、印刷が施された低密度ポリエチレン(LDPE)製の表示フィルム(50μm厚)の印刷面に、青色の顔料で着色した編織布(テープヤーンの繊度:111テクス、タテおよびヨコの打ち込み密度:10本/2.54cm)をLDPEのサンドラミネート(30μm厚)で貼り合わせて標識シートを製造した。この標識シートの引張強力は、タテ568N/3cm、ヨコ530N/3cmであった。標識シートを長さ方向に折り畳み、この折り畳まれた標識シートを防護シートの片面に配置し、標識シートの重ね合わせ部と防護シートとを、スポット溶着によって同時に接合して、掘削工具等の打撃にも耐えうる防護機能と標識機能を併せ持つ地中埋設物標識を製造した。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の地中埋設物標識は、長さ方向に折り畳まれて形成された重ね合わせ部を有する標識シートと、該標識シートの片面に配設された防護シートとを有しているので、生産性が良好で、掘削工具等の打撃にも耐えうる防護機能と標識機能を併せ持つ。このような地中埋設物標識は、浅埋工法用の地中埋設物標識として好適に用いることができる。また、標識シートと防護シートとが、溶着もしくは縫製によって部分的に接合されていれば、地中埋設物標識が引き上げられた際、標識シートは防護シートが破断すると、すぐにはずれて伸びることができるので、地中埋設物の存在位置を作業者に瞬時に、かつ確実に知らせることができる。また、前記標識シートの表面には、地中埋設物の存在を示す表示部が、前記重ね合わせ部に隠れることなく形成されているので、作業者が掘削時に地中埋設物標識の種類等を確実に把握できる。
【出願人】 【識別番号】000206163
【氏名又は名称】平成ポリマー株式会社
【出願日】 平成11年10月21日(1999.10.21)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−124244(P2001−124244A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−300192