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【発明の名称】 管路の分岐部の補修方法及びその補修装置
【発明者】 【氏名】北橋 直機

【氏名】秋元 栄器

【要約】 【課題】ポリエチレン樹脂素材による管路ライニング処理において、その分岐部並びに取付け管を同素材をもって一連かつ一体的にライニングする方法を確立するすること。

【解決手段】取付け管R内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体3と、この筒体の一端に設けられ熱可塑性合成樹脂素材よりなるフランジ部4とからなる補修管1を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋2に収納し、該保温袋2内に加熱媒体を送り込みつつ筒体の径を縮径状態となし、保温袋2とともに該筒体を本管Pより穿孔部Qを介して取付け管R内に引き入れる。穿孔部Qにおいては補修管1のフランジ部4を本管Pの内面に当接させ、補修管1の筒体3内より加熱及び加圧して筒体3を拡径膨張させる。フランジ部4は分岐部Qの内面に融着一体化させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】本管に穿孔部を介して取付け管が連通状に取り付けられ、少なくとも該本管の穿孔部回りの内面は熱可塑性合成樹脂素材が露出してなる分岐部において、当該分岐部並びに取付け管部分の止水を行う補修方法であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体と;この筒体の一端に設けられ前記穿孔径よりも大径にして前記本管の熱可塑性合成樹脂素材と同一材料よりなるフランジ部と;からなる補修管を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋に収納し、前記補修管を収納した保温袋を、該保温袋内に加熱媒体を送り込みつつ前記補修管の筒体の径を縮径状態となすとともに保温袋とともに該筒体を前記本管より前記穿孔部を介して前記取付け管内に引き入れるとともに、前記穿孔部において、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に当接させ、前記補修管の筒体内より加熱及び加圧して前記筒体を拡径膨張させるとともに、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に当接させた状態で、該フランジ部を融着一体化させる、ことを特徴とする管路の分岐部の補修方法。
【請求項2】請求項1において、本管の熱可塑性合成樹脂はポリエチレン樹脂である管路の分岐部の補修方法。
【請求項3】請求項1において、本管の内面部には熱可塑性合成樹脂素材のライニング層が施されてなる管路の分岐部の補修方法。
【請求項4】請求項1において、本管は人の出入りができない小口径管である管路の分岐部の補修方法。
【請求項5】請求項1において、加熱媒体は加熱蒸気あるいは加熱水である管路の分岐部の補修方法。
【請求項6】請求項1において、フランジ部には電熱線が埋め込まれ、該電熱線に通電することにより該フランジを溶解して融着一体化させる管路の分岐部の補修方法。
【請求項7】本管に連通孔を介して取付け管が連通状に取り付けられてなる管路の分岐部において、当該取付け管部分の止水を行う補修方法であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂製の筒体よりなる補修管を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋に収納し、前記補修管を収納した保温袋を、該保温袋内に加熱媒体を送り込みつつ前記補修管の筒体の径を縮径状態となすとともに該筒体を前記取付け管内に引き入れ、しかる後、前記補修管の筒体内より加熱かつ加圧して前記筒体を拡径膨張させる、ことを特徴とする管路の分岐部における取付け管部分の補修方法。
【請求項8】請求項7において、保温袋の取付け管内への引入れは、本管より連通孔を介してなされる管路の分岐部における取付け管部分の補修方法。
【請求項9】請求項7において、保温袋の取付け管内への引入れは、取付け管の開口より連通孔を介して本管へなされる管路の分岐部における取付け管部分の補修方法。
【請求項10】本管に穿孔部を介して取付け管が連通状に取り付けられ、少なくとも該本管の穿孔部回りの内面は熱可塑性合成樹脂素材が露出してなる分岐部において、当該分岐部並びに取付け管部分の止水を行う補修方法に使用される補修装置であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体と;この筒体の一端に設けられ前記穿孔径よりも大径にして電熱線が埋設され前記本管の熱可塑性合成樹脂素材と同一材料よりなるフランジ部と;からなる補修管と、前記補修管の筒体全体を包む気密状の保温袋と、からなることを特徴とする管路の分岐部の補修装置。
【請求項11】請求項10において、筒体の後部に気密を保って嵌合される取外し自在の栓体を有する管路の分岐部の補修装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、本管と該本管に連通する取付け管(枝管ともいう)とを有してなる管路の分岐部における止水性を保持する補修工法(方法及び装置を含む)に関し、特には、老朽化した本管の内面に更生管がポリエチレン製素材をもってライニングされ、この更生管と同系の素材を用いてなされる取付け管部の補修工法に関し、更に特別には、本管が小径口管の場合に適用される補修工法に関する。本発明の関連する技術分野は、本発明の技術的手段が適用される技術分野であれば、その用途に限定されない。すなわち、本発明は直接的には下水道管路を対象とするが、その他、水道管、ガス管、更には空気導管等がその対象に含まれる。本発明はまた、当該管路が地中のもの、地上のもの、更には建物内でのもの、等その設置の態様にも限定されない。
【0002】
【従来の技術】本出願人らは先に、下水道管に特定して、特開平5−126294号公報(以下「先行発明」という)において、この種の補修方法を提案した。すなわち、この先行発明の当該管の補修方法によれば、枝管を有する本管の内面に更生管を挿入して本管内面を更生する工程と、前記枝管と前記更生管を削孔処理にて接続する工程と、前記枝管内に挿入可能な筒体とこの筒体の一端に設けられ電線を埋設した合成樹脂製のフランジからなる止水部材を準備する工程と、前記止水部材の筒体を前記更生管内から前記枝管内へ挿入させ前記フランジを前記更生管内面に当接させる工程と、前記電線に通電して前記フランジを加熱しかつ前記更生管内面からの空気圧により前記フランジを前記更生管の内面に溶融圧着させる工程とを含む構成を採る。しかして、この先行発明によれば、一連の作業により、本管から枝管にわたって補修並びに止水処理が行え、補修が効率良くでき、止水処理も簡単かつ確実にできるという利便性がある。
【0003】しかしながら、当該先行発明においては、その止水部材における筒体の素材として熱硬化性樹脂を使用するものであるので、曲がりを有する取付け管に対して該筒体は十分な追従性を有さず、当該曲がり部内において褶曲変形が生じ、硬化に伴いその変形はそのまま残留するという問題がある。そこで、本発明者らは、筒体を熱可塑性樹脂として、また、ライニング管と同一素材としてポリエチレン樹脂を使用し、熱融着を図る試みをなしたが、硬質のままの筒体の引込みに困難があるうえ、加熱により軟質化した場合には牽引力により材料が許容量を超えて伸びてしまう、等の諸問題が見出された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、補修用素材として特にはポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用する技術的要請のもとに、上記の問題点を解消する新規な管路の分岐部の補修方法及びその補修装置を提供することを目的とする。本発明はこのため、補修管の筒体部を保温袋内で加熱軟質化するとともにこの保温袋を介して取付け管内に引き込むという基本的技術思想をもってこの問題の解消を図ったものである。本発明はこれにより、熱可塑性樹脂による当該管路の分岐部における一連の補修並びに止水処理技術を確立するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の管路の分岐部の補修方法及びその施工装置は、具体的には以下の構成を採る。すなわち、第1番目の発明は管路の分岐部の補修方法に係り、請求項1に記載のとおり、本管に穿孔部を介して取付け管が連通状に取り付けられ、少なくとも該本管の穿孔部回りの内面は熱可塑性合成樹脂素材が露出してなる分岐部において、当該分岐部並びに取付け管部分の止水を行う補修方法であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体と;この筒体の一端に設けられ前記穿孔径よりも大径にして前記本管の熱可塑性合成樹脂素材と同一材料よりなるフランジ部と;からなる補修管を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋に収納し、前記補修管を収納した保温袋を、該保温袋内に加熱媒体を送り込みつつ前記補修管の筒体の径を縮径状態となすとともに保温袋とともに該筒体を前記本管より前記穿孔部を介して前記取付け管内に引き入れるとともに、前記穿孔部において、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に当接させ、前記補修管の筒体内より加熱及び加圧して前記筒体を拡径膨張させるとともに、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に当接させた状態で、該フランジ部を融着一体化させることを特徴とする。本発明における熱可塑性合成樹脂は具体的には、以下の実施形態において示されるが、当該実施形態のものに限定されるものではない。すなわち、■本管もしくはライニング層があるときはそのライニング層がポリエチレン樹脂製であるとき、補修管のフランジ部はそれと同素材であり、また、筒体は同じく同素材か他の熱可塑性素材を採る。■本管もしくはライニング層があるときはそのライニング層がポリエチレン樹脂以外の熱可塑性合成樹脂製であるとき、補修管のフランジ部はそれと同素材であり、また、筒体は同じく同素材か他の熱可塑性素材を採る。また、上記構成において、以下の事項は選択的事項である。
■保温袋は補修管の筒体の拡径膨張に当たって除去されるか、又はそのまま残置されるかは適宜採り得る選択的事項である。
■保温袋への加熱媒体の供給は、保温袋の前部及び又は後部からなされる。このとき、該加熱媒体の供給とともに排出も考慮される。
■加熱媒体は加熱蒸気、あるいは加熱水等の適宜手段が採られる。
(作用)補修管の取付け管への引込みは保温袋を介してなされ、補修管に無理な力が作用せず、これにより伸び変形が生じない。そして本管が小口径であっても、穿孔部を介して取付け管への挿入が容易になされ、該取付け管の曲がりに良好に追従する。このようにして、穿孔部回りから取付け管内への一体かつ一連の止水作業を実施できる。
【0006】この方法の変形として、本管の内面が合成樹脂素材以外の材料、例えばコンクリート製であるとき、フランジ部は熱融着手段を採らず、その余の構成は先の構成に準じ、該フランジ部は本管の内面と接着接合される。具体的には、本管に穿孔部を介して取付け管が連通状に取り付けられてなる分岐部において、当該分岐部並びに取付け管部分の止水を行う補修方法であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体と;この筒体の一端に設けられ前記穿孔径よりも大径にして熱可塑性合成樹脂素材よりなるフランジ部と;からなる補修管を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋に収納し、前記補修管を収納した保温袋を、該保温袋内に加熱媒体を送り込みつつ前記補修管の筒体の径を縮径状態となすとともに保温袋とともに該筒体を前記本管より前記穿孔部を介して前記取付け管内に引き入れるとともに、前記穿孔部において、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に当接させ、前記保温袋を取り外すか、又はそのまま残置させ、前記補修管の筒体内より加熱及び加圧して前記筒体を拡径膨張させるとともに、前記補修管のフランジ部を前記本管の内面に固着させることを特徴とする。
【0007】第2番目の発明は同じく管路の分岐部における取付け管部分の補修方法に係り、請求項7に記載のとおり、本管に連通孔を介して取付け管が連通状に取り付けられてなる管路の分岐部において、当該取付け管部分の止水を行う補修方法であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂製の筒体よりなる補修管を、該補修管の筒体の全体を包む気密状の保温袋に収納し、前記補修管を収納した保温袋を、該保温袋内に加熱媒体を送り込みつつ前記補修管の筒体の径を縮径状態となすとともに該筒体を前記取付け管内に引き入れ、しかる後、前記補修管の筒体内より加熱かつ加圧して前記筒体を拡径膨張させることを特徴とする。この発明においても熱可塑性合成樹脂は具体的には、以下の実施形態において示されるが、当該実施形態のものに限定されるものではない。すなわち、■本管もしくはライニング層があるときはそのライニング層がポリエチレン樹脂製であるとき、補修管のフランジ部はそれと同素材であり、また、筒体は同じく同素材か他の熱可塑性素材を採る。■本管もしくはライニング層があるときはそのライニング層がポリエチレン樹脂以外の熱可塑性合成樹脂製であるとき、補修管のフランジ部はそれと同素材であり、また、筒体は同じく同素材か他の熱可塑性素材を採る。また、上記構成において、以下の事項は選択的事項である。
■保温袋は補修管の筒体の拡径膨張に当たって除去されるか、又はそのまま残置されるかは適宜採り得る選択的事項である。
■保温袋への加熱媒体の供給は、保温袋の前部及び又は後部からなされる。このとき、該加熱媒体の供給とともに排出も考慮される。
■加熱媒体は加熱蒸気、加熱水の適宜手段が採られる。
(作用)補修管の取付け管への引き込みは保温袋を介してなされ、補修管に無理な力が作用せず、これにより伸び変形が生じない。また、補修管が軟質化しているので、取付け管の曲がりに良好に追従する。
【0008】第3番目の発明は上記第1番目の管路の分岐部の補修方法に使用される補修装置に係り、請求項10に記載のとおり、本管に穿孔部を介して取付け管が連通状に取り付けられ、少なくとも該本管の穿孔部回りの内面は熱可塑性合成樹脂素材が露出してなる分岐部において、当該分岐部並びに取付け管部分の止水を行う補修方法に使用される補修装置であって、前記取付け管内に密着状に挿入可能な熱可塑性合成樹脂よりなる筒体と;この筒体の一端に設けられ前記穿孔径よりも大径にして電熱線が埋設され前記本管の熱可塑性合成樹脂素材と同一材料よりなるフランジ部と;からなる補修管と、前記補修管の筒体全体を包む気密状の保温袋とからなることを特徴とする。上記構成において、以下の事項は選択的事項である。
■保温袋には加熱気体及び又は加圧気体が封入される手段が付加されること。
■上記■に加え、それらの加熱気体及び又は加圧気体が排出される手段が付加される。
■筒体の後部に気密を保って栓体が取外し自在に嵌合されること。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の管路の分岐部の補修方法及びその補修装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11に本発明の管路の分岐部の補修方法並びにその補修装置の一実施形態を示す。すなわち、図1・図2及び図8は管路の分岐部の補修方法を実施する過程における全体的構成を示し、図3〜図7及び図9〜図11はその部分構成を示す。これらの図において、P,Rは本発明の対象となる地中に埋設された管路すなわち管渠並びに取付け管、Lは管渠P内に施されるライニングであって、管渠P・ライニングLと取付け管Rとは穿孔部(開口部)Qを介して連通する。しかして、この管渠P並びに取付け管R内に補修装置Sが配される。該補修装置Sは管渠Pから取付け管Rへ導き入れられる。以下の説明において、該補修装置Sの進行方向に合わせて、「前方」及び「後方」と定義する。
【0010】以下、更に詳しく説明する。図1において、Pは地盤Eに埋設された既設の管渠であって、本実施形態ではコンクリート製の小口径管をなし、その上下流側にはマンホール(図示せず)が設置されている。すなわち、該マンホールを介して地上部と管渠Pとは連通する。また、地表面部には枡Mが設置され、この枡Mと管渠Pとは取付け管Rを介して連通する。すなわち、地表の雨水・汚水等はこの枡Mを介し、取付け管Rを通して管渠Pに流れ込む。該取付け管Rは通常は陶管あるいは合成樹脂管(塩化ビニル管)よりなり、当然ながら管渠Pより小口径である。しかして、既設の管渠Pが老朽化し、脆弱化すると、その更生のために内面にライニング層としてのライニング管Lが挿入され、その取付け管Rとの分岐部において開口部Qが穿孔され、取付け管Rと再度連通する。そしてまた、取付け管Rも漏水などによる老朽化あるいは外力による破損等により、その更生が図られることになる。
【0011】以下、工程順に説明する。
(1) 本実施形態においては、既設管渠Pは人の出入りができない小口径(例えば口径φ250mm)の下水道管に付いて実施される。しかして、この既設管渠Pに対し、マンホール等を介して地上より該管渠Pの内面に密着する熱可塑性でかつ形状記憶性の合成樹脂、特にはポリエチレン(PE)製のライニング管Lを牽引挿入する。このとき、該ライニング管Lはその横断面をC型に変形させて断面を縮径させることにより容易に既設管P内に挿入される。しかる後、当該ライニング管Lに対し、その内部に加熱蒸気を送り込んで加熱するとともに圧縮空気をもって加圧し、該ライニング管Lを所定の径に復形させて該既設管渠Pの内面に密着させ、ライニング管Lが定置される。ここで、取付け管Rの分岐部においてはライニング管Lで塞がれた状態となっているので、既設管渠Pの内部から公知の穿孔装置(図示せず)を用いて穿孔し、開口Qを形成し、取付け管Rとの連通をなす。取付け管Rは管渠Pよりも小径であり、例えば口径φ150mmを採る。なお、場合によっては取付け管Rから削孔をなすことも可能である。
【0012】(2) 次いで、補修管1・保温袋2等を含む補修装置Sが準備され、取付け管R内へ装着される。すなわち、該補修装置Sは、取付け管Rの内面に挿入される補修筒3と該補修筒3の一端に連設されるフランジ部4とからなる補修管1と、該補修管1の補修筒3の全体を包む保温袋2とを含み、その他の附属部品を含む。
【0013】以下、本補修装置Sの各部材の細部構造に付いて説明する。
補修管1(補修筒3)補修管1の補修筒3は、熱可塑性の合成樹脂、特にはポリエチレンをもって形成され、定常状態で中空円筒状をなし、長さは取付け管Rよりも長尺とされ、その外径は取付け管Rの内面の径に合致する径とされる。該補修筒3の一端には円筒状の補修管用の栓体5が密嵌状に装着される。この補修筒3は他の熱可塑性合成樹脂素材、例えば塩化ビニル樹脂(PVC)より成形されることを除外するものではない。栓体5は円筒状の袋体をなし、空気をもって膨張するいわゆるエアープラグであって、その後面の中心に引抜き用ワイヤー6が固定され、該ワイヤー6に並んで空気導管7が袋体の内部に連通するように接続され、更には、蒸気抜き用の蒸気排管8が貫通状に装備される。引抜き用ワイヤー6、空気導管7及び蒸気排管8は十分な長さを保持する。なお、引抜き用ワイヤー6は栓体5にフック6aを取り付け、このフック6aに係合させてもよい。空気導管7も栓体5に短管7aを埋め込み、この短管7aに嵌め込んでもよい。また、蒸気配管8も前後を栓体5に突出させ、後部に弁体を設け、この弁体を遠隔操作をもって開閉させてもよい。栓体5はこの様態に限定されず、上記の機能を満たすものであれば形態を問わない。例えば、■袋体を球形状となす態様、■環状の膨張性の空気袋(浮輪形状)とこの環状体の内方の気密体とから栓体本体を形成し、気密体にワイヤー6及び蒸気排気バルブ8を配する態様、は適宜採りうる形態である。
【0014】(フランジ部4)フランジ部4は中央に円孔を有する円環体をなし、所要の肉厚をもってライニング管Lひいては補修筒3と同素材をもって形成されるとともに、該補修筒3に連設するとともに、その外径は該補修筒3の径より大径のものとして形成される。すなわち、該フランジ部4はポリエチレンをもって形成され、管渠Pの内面に当接するものとして、管渠Pの曲率に沿う形状とされる。フランジ部4は所定の厚さを有し、その外表面に電熱線10が上部を露出して埋設される。該電熱線10は1周もしくは複数周され、端部はそれぞれ端子11(11A,11B)に接続される。該端子11はフランジ部4の下面に突出もしくは露出する。電熱線10は図例では1重であるが、渦巻状に複数回捲回されてもよいことは勿論であり、また、電熱線10はその全てをフランジ部4の肉厚内に埋設されてもよい。更に、該電熱線10はフランジ部4より更に延設され、分岐部からマンホールを介して地上部まで達する長さともされうる。この場合、施工後、該電熱線10はフランジ部4の下面で切断除去される。補強筒3とフランジ部4とは本実施形態では一体に成形されたものであるが、別体に成形され、しかる後接合されてもよい。補強筒3とフランジ部4とが異種素材よりなるとき接合態様となる。
【0015】保温袋2保温袋2は、薄肉の耐力性の気密性素材よりなり、両端が開放された長尺の筒状に形成される。該保温袋2は所定の硬度をもって耐引張り性を示し、かつ可撓性を有し、高温に耐える。その一例として、繊維で編んだもの、もしくは該繊維に合成樹脂をコーティングしたホースが好適である。しかして、該保温袋2は補修管1の補修筒3の全体を包み込み、保温袋2の後端(基部)の内面と補修筒3の後端の外面とは気密を保持して固定される。この固定の一手段として、保温袋2は縫製により補修管1に縫い付け、熱融着により一体化する態様、あるいは縫合及び又は軽い熱融着固定により所定の力以内では外れない態様が採られる。保温袋2の補修筒3から突出する前端部は縮径され、その開口には保温袋用の栓体13が気密を保って装着される。栓体13の前面には索引ワイヤー14の一端が固定され、また、保温袋2内へ蒸気を送り込む蒸気導管15の一端が貫通状に埋込み設置される。なお、索引ワイヤー14の途中にスイベルジョイント14aを介装させ、該索引ワイヤー14のねじれを防止することが推奨される。索引ワイヤー14は栓体13にフック14bを取り付け、このフック14bに係合させてもよい。また、蒸気導管15も栓体13に短管15aを埋め込み、この短管15aに嵌め込んでもよい。15bは三方弁であって、蒸気の排出をこの部分でなし、蒸気の送り込みを調整する。
【0016】(2A)この補修装置Sの取付け管Rへの挿入が次のようにしてなされる。先ず、索引ワイヤー14並びに蒸気導管15を地上部の枡Mから取付け管R内を挿通して既設管渠P内に挿入し、作業空間が確保される場所、例えば下流側マンホールまで到達させる。一方、該マンホール部分には上述した状態の補修管1を収納した保温袋2を準備しておく。そして、該マンホール部分で該索引ワイヤー14並びに蒸気導管15と補修筒3を収納した保温袋2の前端に装着した栓体13とを接続する。
【0017】(2B)枡M側の地上部において、ウインチとボイラーが準備され、索引ワイヤー14はウインチに、蒸気導管15はボイラーに接続される。この状態で、蒸気導管15を介して保温袋2に加熱気体(蒸気)を送り込み、該保温袋2内で補修管1の補修筒3を加熱し、軟質化する。軟質化された補修筒3は後部を残してその余をC型または偏平させた状態となす。これにより、補修筒3は取付け管R内を通過し易くなる。このとき、蒸気排管8より保温袋2内に蒸気の排出もなし、蒸気の冷却化・液化を防止し、かつ補修筒3の縮小化を促進する。
【0018】(2C)しかる後、地上部の枡Mにおいて索引ワイヤー14及び蒸気導管15を引き戻し、補修管1を収納した保温袋2を既設管渠P内を移動させ、更には開口部Qを介して取付け管R内に引き込む。なお、蒸気導管15からは蒸気の供給が継続され、蒸気排管8からも蒸気の排出も適宜になされる。この過程で、取付け管Rの途中の曲がり部において、加熱により補修管1の補修筒3は柔らかくなっているので、曲がり部でも抵抗を受けず、容易に該曲がり部を通過できる。また、補修管1を保温袋2を介して牽引するので、補修管1には過大な力が作用せず、引張り力により伸びることはない。保温袋2内の温度は取付け管Rの状態によるが、約100℃から120℃程度の加熱が推奨される。
【0019】(3) 補修管1の取付け管R内への引き込みにより本補修装置Sの後端のフランジ部4が開口部Qに接近する。この状態において空気導管7を介して栓体5の空気を排出し、栓体5を補修管1から離脱させ、更に引抜き用ワイヤー6をマンホールのある地上部から引張り、栓体5をマンホールを介して地上部へ回収する。これとともに、本補修装置Sを補修袋2を介して更に引き上げ、フランジ部4を開口部Qに当接させ、牽引による引込み作業を終了する。
【0020】(4) しかる後、本補修装置Sと組み合わせて使用される補助装置Hが準備され、既設管渠Pを介して当該分岐部へ搬入される。
補助装置H(図8〜図10参照)
該補助装置Hは、分岐部においてフランジ部4との通電をなすものであり、そり状をなす基台18、該基台18の前後に配されるエアーパッカー19、これらのエアーパッカー19上に載置固定される仲介部材20、及び該仲介部材20上に重畳設置される鞍部21の主たる構成部材からなり、更には、該仲介部材20の下面から垂下される間隔保持体22を含む。そして、仲介部材20には可撓性の空気導管24並びに電線25が接続され、空気導管24をもって各エアーパッカー19に空気を供給し、電線25をもってフランジ部4の電熱線10の端子11に接続される。空気導管24及び電線25は長尺をなし、地上部まで延設される。該補助装置Hには、その牽引用のワイヤー、照明装置、更には端子11の位置決めを検出する撮像装置、等が適宜付加される。
【0021】もっと詳しくは、鞍部21は補修筒3のフランジ部4と相似体をなし、フランジ部4の下面に当接してフランジ部4の孔を閉塞する。仲介部材20と空気導管24及び電線25との関連に付いては、仲介部材20内に形成された空気導孔に空気導管24が接続され、空気導孔よりエアーパッカー19に連通する。電線25は仲介部材20より鞍部21に延設され、鞍部21の表面にその接点を露出し、上記したフランジ部4の下面の端子と接続される。この接続はワンタッチ式、あるいは線もしくは面的接続され多少の位置変位を許容できる。上記補助装置Hにおいて、仲介部材20と鞍部21とは一体的に形成されてもよいものであり、更には該仲介部材20を省略してもよい。該仲介部材20が省略される場合、空気導管24、電線25は直接的に配備される。エアーパッカー19は油圧シリンダ形式を採ることができる。間隔保持体22は省略されうる。当該補助装置Hは本発明において非本質的手段であり、この構成に限定されるものではなく、適宜の装置で代替しえる。
【0022】(4A)該補助装置Hの搬入において、エアーパッカー19を収縮した補助装置Hをマンホールを介して既設管渠P内へ持ち込み、分岐部へ移動させる。既設管渠P内はポリエチレン樹脂のライニングLによって被覆された状態となっているので、基台18は容易に滑動する。
(4B)補助装置Hが分岐部に到達すると、空気用ホース24を介してエアーパッカー19に空気を送り込み、エアーパッカー19を伸長させ、鞍部21を持ち上げる。鞍部21はフランジ部4の下面に当接し、該フランジ部4を押し上げる。このとき、鞍部21の電気的端子とフランジ部4の電気的端子11とは電気的に接合状態となる。これと同時に、本補修装置Sの保温袋2を介して地上の枡Mから引張り上げ、フランジ部4が取付け管Rの開口部Qに当接するようになす。この作業中は保温袋2内を加温した状態となす。
【0023】(5) 次に、蒸気導管15を介して保温袋2内に送り込まれる蒸気の供給を停止し、保温袋2の前部の栓体13を取り外し、保温袋2の先端が枡Mから突出した部分を切断し、補修管1の補修筒3を露出する。しかる後、保温袋2の中にある補修管1の補修筒3の端面を閉塞板30をもって閉塞状に取り付ける。閉塞板30がポリエチレン製の場合にはバット融着により一体的に取り付けられる。該閉塞板30には蒸気孔31及び空気導入孔32の2つの孔が開設され、これらの孔31,32に蒸気配管33及び空気配管34を連通し、該配管33,34の端部を地上部に配したボイラー及びコンプレッサーに接続する。なお、該閉塞板30を補修筒3の端部口部に嵌合する栓体に形成することができる。すなわち、補修筒3の端部口部を円形となし、この口部内に栓体を嵌合し、外周にバンドをもって固定する。要は、補修筒3の端面を後で送り込まれる蒸気等を封入する機能を果たすことができれば他の適宜手段を採ることができる。本態様では保温袋2は取付け管R内に残置されるものであるが、更に大きな引張り力をもって保温袋2をその基部から除去する態様も採りうる。
【0024】(6) 本補助装置Hにより補修装置Sの後端のフランジ部4を押し上げたままの状態を維持し、補修管1のフランジ部4に埋め込まれた電熱線10に通電し、該電熱線10による発熱をもってフランジ部4を溶かし、既設管渠Pの分岐部の内面と融着一体化させる。この溶着作業は通常では約2分程度要する。この作業において、本補助装置Hの鞍部21は本補修装置Sの補修筒3の後端をシールした状態になっている。なお、この工程(6) に先じて(4B)の工程に続けて実施してもよい。
【0025】(7) 次いで、地上に配したボイラーの作動により蒸気配管33を介して補修管1の補修筒3の内部へ加熱かつ加圧された蒸気を送り込み、補修筒3を加熱・加圧して円形に膨らます。この時、加熱・加圧条件は温度125℃程度を確保できる蒸気圧(約1kgf/cm2)とする。約5分程度で補修筒3が取付け管R内にほぼ張りつく。
(7A)次に蒸気を切って、補修筒1内の蒸気を排出する。該蒸気の排出は蒸気配管33の弁を開くか、あるいは補助装置Hの鞍部21を下げることによりなされる。
(7B)コンプレッサーと接続した空気配管34より補修管1の補修筒3に圧縮空気を入れ冷却と加圧を行い、補修筒3の拡径を維持し、取付け管Rの内壁面に密着状にライニングする。
【0026】(8) しかる後、補助装置Hを撤去し、枡M側の管口処理をして一連の作業が完了する。
【0027】(その他の態様)上記工程において以下の改変は適宜なされる設計的事項であり、本発明の実質的効果に変化を与えるものではない。
■工程(2A)において、索引ワイヤー14・蒸気導管15の配設はマンホールから本管を経由して取付け管R・枡Mに行ってもよい。
■工程(2B)において、加熱蒸気を本補修装置Sの後部より、すなわち栓体5を介して供給する態様を採りうる。
■工程(5)(7)において、蒸気及び加圧空気の供給を補修装置Sの後端から行うこと。
■工程(5)(7)において、蒸気配管33からの蒸気の供給のみでもよい。
■工程(6) において、通電融着作業は(5) 工程に先じて実施してもよい。
【0028】このように、本実施形態の管路の分岐部の補修方法は叙上の補修装置S並びに補助装置Hを使用して叙上の手順をもってなされるものであるので、作業者の出入りできない小口径の径年した既設埋設管渠をポリエチレンパイプで更生した後の当該分岐口部及び取付け管内の補修・止水処理が一連的かつ一体的に実施でき、実用的価値が確立される。
【0029】(実施形態の作用・効果)この実施形態の管路の分岐部の補修方法によれば、ポリエチレン製素材をもってなされた本管のライニング処理層に連設し、取付け管との分岐口部及び取付け管内を一体の補修管をもって全体的に止水・補修作業がなされ、ポリエチレン製素材による一連の作業が実施しえる。そして、本実施方法によれば、その補修筒にポリエチレン製素材を使用したので、耐食性、耐久性に優れ、従来の問題点であった臭いや曲がり部での褶曲変形の問題もなく、水場での信頼性も得られ、接着剤や樹脂を使用せずに簡単に接続でき、施工時間も早く、止水性が確保できる効果がある。
【0030】叙上の実施形態では小口径管に付いて述べたが、これに限定されるものではなく、大口径管に対しても適用できる。既設管渠Pにポリエチレン製のライニングLが施されたものであるが、ポリエチレン製の既設管渠Pであればそのまま本実施形態の方法を実施できる。
【0031】本発明は叙上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
■補助装置Hは本発明において必須の事項ではなく、省略しうる。
■ポリエチレン製のフランジ部4の本管への融着は、叙上の熱融着の外、超音波融着手段を採ることもできる。当該手段によればフランジ部4への電熱線等の付加手段を配する必要がなく、加工手間が不要である。
【0032】
【発明の効果】本発明の管路の分岐部の補修方法によれば、本管のみならず取付け管との分岐部及び取付け管の全体をその内面から一連かつ一体的に補修・止水でき、水の浸入を一切阻止できる。そして、その補修筒にポリエチレン製素材を使用したので、耐食性、耐久性に優れ、従来の問題点であった臭いや曲がり部での褶曲変形の問題もなく、水場での信頼性も得られ、接着剤や樹脂を使用せずに簡単に接続でき、施工時間も早く、止水性が確保できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【識別番号】592012650
【氏名又は名称】足立建設工業株式会社
【出願日】 平成11年10月21日(1999.10.21)
【代理人】 【識別番号】100086036
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 仁士
【公開番号】 特開2001−124243(P2001−124243A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−299070