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【発明の名称】 電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手
【発明者】 【氏名】高橋 勉

【要約】 【課題】径年漏水がなく垂れ変形を抑制し流路抵抗が少ない電熱融解接合部を有する2層構成樹脂パイプの樹脂継手を提供する。

【解決手段】中空の継手本体は管状体とリング状部分を備える基部とリング状部分内方遠隔部のストッパとを有し、非架橋熱可塑性樹脂又は架橋熱可塑性樹脂から成る管状体は開口端部内方位置とリング状部分側面との間に環状凹部を有し、基部の少なくともパイプ挿入側のリング状部分側面部は管状体と異なる非架橋熱可塑性樹脂であり、電熱融解接合部は連続電熱線の非架橋熱可塑性樹脂被覆線の螺旋巻回コイルのボビン状中空体であり、ボビン状中空体を管状体凹部内に配置し中空体の端の1巻回樹脂被覆線を全周にわたりリング状部分基部側面と接触させた樹脂パイプ継手。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる中空の継手本体と、該継手本体の内方に離隔配置する2個以上の電熱融解接合部と、該電熱融解接合部それぞれの内側に、表層が非架橋熱可塑性樹脂から成る樹脂製パイプを挿入する空間とを備える樹脂パイプ継手において、上記継手本体は、2箇所以上の開口部からパイプを挿入する管状体と、該管状体開口部内方の内面に接合し、各パイプ挿入側に1個以上のリング状部分を備える基部と、該基部のリング状部分内方遠隔部から中空空間に向け突出して、挿入する複数本のパイプそれぞれを係止するストッパとを有し、管状体は、複数本パイプを挿入する各開口端部の内方位置と、該内方位置に対向するリング状部分基部側面との間にわたる複数個の環状凹部を有し、管状体は、非架橋熱可塑性樹脂及び架橋熱可塑性樹脂のいずれか一方の樹脂から成り、基部は、少なくともパイプ挿入側のリング状部分側面部が管状体とは異なる非架橋熱可塑性樹脂から成り、上記2個以上の電熱融解接合部それぞれは、1本以上の連続電熱線を非架橋熱可塑性樹脂により被覆した樹脂被覆線の螺旋巻回コイルのボビン状中空体から成り、各ボビン状中空体を管状体の各凹部内に配置すると共に、各ボビン状中空体の端の1巻回樹脂被覆線を全周にわたりリング状部分基部側面と接触させて成ることを特徴とする、電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手。
【請求項2】 基部は、外周面とリング状部分側面のうち少なくとも外周面に管状体との接合面を有し、かつ、リング状部分基部は、ボビン状中空体との接触側面にボビン状中空体の端の1巻回樹脂被覆線の全側面を覆う凹凸面を有する請求項1に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項3】 リング状部分基部は、隣合う凹部の外径以上の直径をもつ外周面を有する請求項1又は2に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項4】 ストッパは、リング状部分基部から円周方向に連続して突出する形状を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項5】 ストッパは、リング状部分基部から円周方向に断続して突出する形状を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項6】 ストッパは、挿入するパイプの最小内径以上の内径を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項7】 各ボビン状中空体は、丸形断面形状を有する樹脂被覆線の密着螺旋巻回コイルと、該コイルの隣合う樹脂被覆線相互間の、少なくとも表面側凹部に同種樹脂を補充した補充樹脂部材とを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項8】 各ボビン状中空体は、四角形断面形状を有する樹脂被覆線の密着螺旋巻回コイルを有する請求項1〜6のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項9】 複数個のボビン状中空体は、管状体の各樹脂パイプ挿入開口部の内径以下の最小内径を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項10】 管状体は、非架橋熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂から成る請求項1〜9のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項11】 管状体は、架橋熱可塑性樹脂として、架橋ポリエチレン及び放射線架橋ポリプロピレンのいずれか一方の樹脂から成る請求項1〜9のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項12】 基部の少なくともパイプ挿入側のリング状部分側面部、ストッパ及び電熱線被覆樹脂それぞれは、非架橋熱可塑性樹脂として、非架橋ポリエチレン及びアイソタクチック構造のポリ1−ブテンのいずれか一方の樹脂から成る請求項1〜11のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【請求項13】 継手本体の管状体は、単一形態の直管及び曲がり管並びに複合形態のT字管のうちから選ぶ一つの形態を有する請求項1〜12のいずれか一項に記載した樹脂パイプ継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手、より詳細には、水用又は温水用導管として用い、表層に非架橋熱可塑性樹脂を有する2本以上の樹脂パイプを電熱融解接合部との接合を介して連結する継手に関し、特に、接合部における十分な接合強度と優れた耐漏水性を保持した上で、継手内の流水抵抗を大幅に低減させた樹脂パイプ継手に関する。
【0002】
【従来の技術】水用又は温水用導管としての樹脂パイプには、通常の大気圧下で融点が発火点より高く、耐熱性に優れ、かつ、十分な強度を有する架橋ポリエチレンなどの架橋ポリオレフィンパイプが用いられている。この種の樹脂パイプは、他の材質の継手は元よりのこと、同種樹脂の継手といえども十分な接着強度を得ることができない。
【0003】また、水用又は温水用パイプは使用圧力が高く、特に温水用パイプは常に高温度状態下にあるため、2本以上の樹脂パイプ相互の連結は、圧縮によるシールなどの機械的な手段を有する継手、例えば金属継手に依らざるを得ない。
【0004】しかし、このような機械的な手段を有する継手は、複雑な構造と、その結果として樹脂パイプ連結における作業性の低下とををもたらす上、使用時間の経過と共に樹脂パイプ及びシール材の応力緩和によるシール性の低下が生じ、結局、漏水を引き起こす不具合点を有する。
【0005】そこで、上記不具合を解消したエレクトロフュージョン継手が用いられるようになった。すなわち電熱融解接合部を有するこの種の継手は、薄ゲージの非架橋ポリエチレン層を表層に適用し、表層より厚ゲージの架橋ポリエチレン層を内側本体層に適用した2層構成の樹脂パイプを用いることで、長期間にわたり漏水を阻止することができ、かつ、樹脂パイプとの間で十分な接合強度を得ることができる構成を有している。
【0006】しかし、上記のエレクトロフュージョン継手でも、薄肉の樹脂パイプの連結に際し、接合部の樹脂パイプ部分が熱により内側に垂れ変形する問題点を有するとして、この問題点解決のため、特公平9ー2704990号公報は、図6の断面図に示すように、継手本体31の挿入溝32に挿入した樹脂パイプ33の内面を支持する支持層34を設けた、エレクトロフュージョン部35を有する継手36を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報が開示する継手36においては、いかに薄肉の樹脂パイプ33とは言え、内側へ向かう変形を阻止するため、支持層34はしかるべきゲージを有するものでなければならない。このことは、継手36部分にて、支持層34が水又は温水の流れを妨げ、流路抵抗を著しく増加させる不具合をもたらす。特に、小さな口径の樹脂パイプ33の継手36においては、温水を使用する間での継手36部分の閉塞事故が生じたり、そこまでいかずとも温水の温度で継手36部分が内側に変形して流量が極端に減少するなど、流路抵抗の著しい増加が問題になっている。
【0008】従って、この発明の請求項1〜13に記載した発明は、表層に薄ゲージの非架橋ポリエチレン層などの非架橋ポリオレフィン層を適用し、より厚ゲージの架橋ポリエチレン層などの架橋ポリオレフィン層を内層本体に適用した2層構成のポリエチレンなどのポリオレフィンの複数本樹脂パイプを相互に連結する継手を前提とし、十分な接合強度と長期間使用での優れた耐久性とを有し、漏水などの不具合を伴わずに流路抵抗を最小限度に抑制することができる、電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明の請求項1に記載した発明は、熱可塑性樹脂からなる中空の継手本体と、該継手本体の内方に離隔配置する2個以上の電熱融解接合部と、該電熱融解接合部それぞれの内側に、表層が非架橋熱可塑性樹脂から成る樹脂製パイプを挿入する空間とを備える樹脂パイプ継手において、上記継手本体は、2箇所以上の開口部からパイプを挿入する管状体と、該管状体開口部内方の内面に接合し、各パイプ挿入側に1個以上のリング状部分を備える基部と、該基部のリング状部分内方遠隔部から中空空間に向け突出して、挿入する複数本のパイプそれぞれを係止するストッパとを有し、管状体は、複数本パイプを挿入する各開口端部の内方位置と、該内方位置に対向するリング状部分基部側面との間にわたる複数個の環状凹部を有し、管状体は、非架橋熱可塑性樹脂及び架橋熱可塑性樹脂のいずれか一方の樹脂から成り、基部は、少なくともパイプ挿入側のリング状部分側面部が管状体とは異なる非架橋熱可塑性樹脂から成り、上記2個以上の電熱融解接合部それぞれは、1本以上の連続電熱線を非架橋熱可塑性樹脂により被覆した樹脂被覆線の螺旋巻回コイルのボビン状中空体から成り、各ボビン状中空体を管状体の各凹部内に配置すると共に、各ボビン状中空体の端の1巻回樹脂被覆線を全周にわたりリング状部分基部側面と接触させて成ることを特徴とする、電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手である。
【0010】請求項1に記載した発明に関し、請求項2に記載した発明のように、基部は、外周面とリング状部分側面のうち少なくとも外周面に管状体との接合面を有し、かつ、リング状部分基部は、ボビン状中空体との接触側面にボビン状中空体の端の1巻回樹脂被覆線の全側面を覆う凹凸面を有する。
【0011】請求項1、2に記載した発明に関し、請求項3に記載した発明のように、リング状部分基部は、隣合う凹部の外径以上の直径をもつ外周面を有する。
【0012】また、請求項1〜3に記載した発明に関し、請求項4に記載した発明のように、ストッパは、リング状部分基部から円周方向に連続して突出する形状を有する。
【0013】請求項4に記載した発明とは別に、請求項1〜3に記載した発明に関し、請求項5に記載した発明のように、ストッパは、リング状部分基部から円周方向に断続して突出する形状を有する。
【0014】請求項1〜5に記載した発明に関し、請求項6に記載した発明のように、ストッパは、挿入するパイプの最小内径以上の内径を有する。
【0015】また、請求項1〜6に記載した発明に関し、請求項7に記載した発明のように、各ボビン状中空体は、丸形断面形状を有する樹脂被覆線の密着螺旋巻回コイルと、該コイルの隣合う樹脂被覆線相互間の、少なくとも表面側凹部に同種樹脂を補充した補充樹脂部材とを有する。
【0016】請求項7に記載した発明とは別に、請求項1〜6に記載した発明に関し、請求項8に記載した発明のように、各ボビン状中空体は、四角形断面形状を有する樹脂被覆線の密着螺旋巻回コイルを有する。
【0017】請求項1〜8に記載した発明に関し、請求項9に記載した発明のように、複数個のボビン状中空体は、管状体の各樹脂パイプ挿入開口部の内径以下の最小内径を有する。
【0018】請求項1〜9に記載した発明に関し、請求項10に記載した発明のように、管状体は、非架橋熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂から成る。また、これとは別に、請求項11に記載した発明のように、管状体は、架橋熱可塑性樹脂として、架橋ポリエチレン及び放射線架橋ポリプロピレンのいずれか一方の樹脂から成る。
【0019】請求項1〜11に記載した発明に関し、請求項12に記載した発明のように、基部の少なくともパイプ挿入側のリング状部分側面部、ストッパ及び電熱線被覆樹脂それぞれは、非架橋熱可塑性樹脂として、非架橋ポリエチレン及びアイソタクチック構造のポリ1−ブテンのいずれか一方の樹脂から成る。
【0020】請求項1〜12に記載した発明全体に関し、請求項13に記載した発明のように、継手本体の管状体は、単一形態の直管及び曲がり管並びに複合形態のT字管のうちから選ぶ一つの形態を有するものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図1〜図5に基づき説明する。図1〜図3は、この発明による樹脂パイプ継手の中心線を含む平面による断面図であり、図4及び図5は、図1に示す樹脂パイプ継手左半の一部拡大断面である。
【0022】図1〜図3において、樹脂パイプ継手1は、中空の継手本体2と、2個以上の電熱融解接合部3−1、3−2、3−3(図3のみに示す)と、各電熱融解接合部3−1、3−2、3−3の内側に2本以上の樹脂パイプ(二点鎖線で示す)4を挿入する中空空間5−1、5−2、5−3(図3のみに示す)とを備える。これら内部空間5−1、5−2、5−3は、継手本体2中央部の空間6を介し相互に連通する。樹脂パイプ4は口径50mm以下の小径パイプが好適に適合する。
【0023】電熱融解接合部3−1、3−2、3−3は、継手本体2の内方に離隔配置する。継手本体2は熱可塑性樹脂からなる。樹脂パイプ4は、2層構成を有し、表層4aが非架橋熱可塑性樹脂からなり、内層4bは架橋熱可塑性樹脂からなる。表層4aのゲージは0.2〜0.6mmの範囲内であり、内層4bのゲージは1.2〜7.5mmの範囲内である。
【0024】継手本体2は、管状体10と基部11とストッパ12とを有する。管状体10は、互いに連結する樹脂パイプ4の本数に対応した2箇所以上の開口部を有し、各開口部から樹脂パイプ4を挿入する。図1及び図2に示す管状体10は2箇所の開口部を有し、図3に示す管状体10は3箇所の開口部を有する。図1に示す管状体10は直状に延びる単一形状体であり、図2に示す管状体10は中央部が湾曲状をなし両側端部が直状をなして延びる単一形状体であり、そして図3に示す管状体10はT字状をなして直状に延びる複合形状体である。
【0025】基部11は、管状体10の開口部内方の内面に接合し、各樹脂パイプ4挿入側にリング状部分13を備える。図1に示す基部11は、全幅にわたる1個のリング状部分13を有する。図2に示す基部11は、その両側端部に2個のリング状部分13(片面を二点鎖線で示す)を備える。図3に示す基部11は、2個の対向するリング状部分13(片面を二点鎖線で示す)と、1個のリング状部分13(片面を二点鎖線で示す)とを備える。
【0026】ストッパ12は、基部11のリング状部分13内方遠隔部から管状体10の中空空間に向け突出し、挿入する複数本の樹脂パイプ4それぞれを係止する。ストッパ12をリング状部分13の内方遠隔部から突出させることが重要な第一の点である。すなわち、ストッパ12の突出位置は、リング状部分13の外方端から内方に向け可能な限り遠く隔てた位置とすることである。
【0027】また、管状体10は、2本以上の樹脂パイプ4を挿入する各開口端部の内方位置と、この内方位置に対向する基部11のリング状部分13側面との間にわたる複数個の環状凹部14を有する。図1及び図2に示す管状体10は2個の環状凹部14を有し、図3に示す管状体10は3個の環状凹部14を有する。
【0028】以下、図4及び図5を合わせ参照し、2個以上の電熱融解接合部3−1、3−2、3−3それぞれは、1本以上の連続する電熱線15を非架橋熱可塑性樹脂16により被覆した樹脂被覆線17の螺旋巻回コイルを有するボビン状中空体18により形成する。これ以外に電熱融解接合部3−1、3−2、3−3は、ボビン状中空体18の端の樹脂被覆線17を管状体10に埋設した端子20に接続するリード線を有する。なお、電熱線15は一般の電熱用ニッケルクロム線が適合する。
【0029】ボビン状中空体18は、隣合う樹脂被覆線17相互間に隙間が存在してはボビン形状が成り立たないので、図5及び図6に示すように樹脂被覆線17の密着螺旋巻回により形成するのが有利で良い。電熱線15の被覆非架橋熱可塑性樹脂には比較的低温度で完全に融解する樹脂を適用する。
【0030】また、先に述べた管状体10は非架橋熱可塑性樹脂により形成する場合と、架橋熱可塑性樹脂により形成する場合との双方を可とする。一方、基部11は、少なくとも樹脂パイプ4挿入側のリング状部分13側面部を管状体10とは異なる非架橋熱可塑性樹脂により形成する。なぜなら、管状体10には、優れた耐熱性と十分な強度とを有する樹脂パイプ4と同様な特性を有する樹脂を適用する必要があるのに対し、基部11は、少なくとも樹脂パイプ4挿入側のリング状部分13側面部が、後述する比較的低温度で完全に融解する特性を有する必要があるからである。各図では、基部11全体を、ストッパ13も含め、管状体10とは異なる非架橋熱可塑性樹脂により形成する例を示す。
【0031】各ボビン状中空体18は、管状体10の各環状凹部14内に配置する。そして、各ボビン状中空体18の端の1巻回樹脂被覆線17Lを全周にわたり基部11のリング状部分13側面に接触させることが重要な第二の点である。1巻回樹脂被覆線17Lが接触するリング状部分13側面とは、上記の樹脂パイプ4挿入側のリング状部分13側面部の面である。
【0032】以上述べた構成を有する樹脂パイプ継手1は、以下に述べる作用で各樹脂パイプ4を相互に連結する。すなわち、各樹脂パイプ4を管状体10内に挿入してストッパ13に係止する。この係止を保持した状態で、端子20を介しボビン状中空体18の電熱線15に電力を供給する。通電により発熱した電熱線15は、ボビン状中空体18の非架橋熱可塑性樹脂を融解し、同時に各樹脂パイプ4の表層4aの非架橋熱可塑性樹脂と、1巻回樹脂被覆線17Lと接触しているリング状部分13側面周辺部の非架橋熱可塑性樹脂を融解する。
【0033】この電熱融解接合部3−1、3−2、3−3の融解作用により、電熱線15の被覆樹脂16と、1巻回樹脂被覆線17Lと接触していた側のリング状部分13の樹脂と、樹脂パイプ4の表層4aの樹脂とが一体化する。この一体化により各樹脂パイプ4は樹脂パイプ継手1を介し互いに強固に連結する。
【0034】電熱線15の被覆樹脂16、表層4aの樹脂及びリング状部分13の樹脂が完全に融解すると、これらの樹脂は熱膨張し、容積が増加する。容積が増加した樹脂は、その膨張圧により各凹部14とインジケータホール21との間の薄い隔膜を破りインジケータホール21の内部を埋めて盛り上がる。これにより各部の十分な融解接合を目視で確認することができる。
【0035】ここで、かってのボビン状中空体18の樹脂16と管状体10の樹脂とが融解接合していなくとも、1巻回樹脂被覆線17Lと接触していた側のリング状部分13の樹脂と、凹部14に充満する樹脂16とが互いに完全に融解接合しているので、樹脂パイプ4内部の高圧水乃至高圧温水が外部に漏水することはない。このことが、漏水を生じさせない要である。
【0036】また、高温度に基づく樹脂パイプ4の中空空間内側への垂れ変形は、樹脂パイプ4の切断端の先端に生じる。しかし、この樹脂パイプ継手1は、ストッパ12をリング状部分13の内方遠隔部から突出させ、ストッパ13に係止する樹脂パイプ4の先端と、ボビン状中空体18の端の1巻回樹脂被覆線17Lとの間の離隔距離を可能な限り長くとるので、図6に示すように樹脂パイプ33の内面を支持する支持層34などの支持体を設けずに樹脂パイプ4の先端の垂れ変形を防止することができる。
【0037】全般に、建物などの給水、給湯に使用する樹脂パイプ継手は或る一つの流路に沿って多数個設けるので、特に、樹脂パイプ4が50mm以下の小口径の場合、樹脂パイプ4の内部に位置する垂れ変形防止用支持体の流路抵抗は無視し得ない。しかしこの発明の樹脂パイプ継手1を用いれば、継手1内部に流路抵抗を形成する余分な物は存在せず、従って、所期の流量(m3/min 、cm3/sec)を確保することができ、かつ、元の水圧や温水圧を余分に高める必要はなく、円滑な給水・給湯が可能となる。
【0038】以下、樹脂パイプ継手1の細部を説明する。まず、基部11は、外周面とリング状部分13側面のうち少なくとも外周面に管状体10との接合面を有する。すなわち、図1〜図4に示す基部11は、その外周面のみに管状体10との接合面を有し、図5に示す基部11は、その外周面及びリング状部分13側面の一部に管状体10との接合面を有する。図5に示す基部11の接合形態は、管状体10と基部11との樹脂が異種であり、接合力が低い場合に適合する。
【0039】また、基部11のリング状部分13は、ボビン状中空体18との接触側面にボビン状中空体18の端の1巻回樹脂被覆線17Lの全側面を覆う凹凸面を有する。このようにすれば、リング状部分13のリード線引出しを含め、リング状部分13側面と樹脂被覆線17Lとの全面接触を保証することができる。
【0040】次ぎに、基部11のリング状部分13は、隣合う凹部14の外径以上の直径をもつ外周面を有する。このケースは、図2、図3及び図5に示すリング状部分13である。
【0041】次ぎに、ストッパ12は、基部11のリング状部分13から円周方向に連続して突出する形状を有する。この典型例は図1に示すストッパ12である。ただし図2及び図3に示すストッパ12も円周方向に連続して突出する形状を有するものであることを可とする。
【0042】次ぎに、ストッパ12は、基部11のリング状部分13から円周方向に断続して突出する形状を有する。この典型例は図2及び図3に示すストッパ12である。図2、3において、ストッパ12が円周方向に断続するありさまは二点鎖線で示す。しかし図1に示すストッパ12も断続させることを可とする。ストッパ12の一つの役割は樹脂パイプ4の挿入位置決めであるから、必ずしも円周方向に連続させる必要はない。このようにすれば、使用樹脂の量は低減し、低コスト化に寄与する。この意味で、図2、3に示すストッパ12は管状体10の長手方向に切欠くのが好ましい。この切欠も二点鎖線で示す。
【0043】次ぎに、図1〜図4を参照し、各ボビン状中空体18は、丸形断面形状を有する樹脂被覆線17の密着螺旋巻回コイルを有する。この場合は、コイルの隣合う樹脂被覆線17相互間の少なくとも表面側凹部に、電熱線15の被覆樹脂16と同じ樹脂を補充し、各ボビン状中空体18の表面を略平滑にする。このようにすれば、後述する樹脂パイプ継手1の射出成形の際、管状体10の樹脂の一部が各ボビン状中空体18内面に流入することを阻止することができる。安全をみて内側凹部にも同じ樹脂を補充しても良い。
【0044】この樹脂補充の手間を省くためには、図5に示すように、各ボビン状中空体18を、四角形断面形状を有する樹脂被覆線の密着螺旋巻回コイルで形成する。この場合は樹脂補充工数が少ない分だけ製造コストが安くて済む利点を有する。
【0045】複数個のボビン状中空体18は、管状体10の各樹脂パイプ4の挿入開口部の内径以下の最小内径を有する。一般に管状体10の開口部は樹脂パイプ4の外径に対し0.1〜0.4mm程度のクリアランスを有する。大きなクリアランスの場合に、管状体10の開口部内径にボビン状中空体18の最小内径を合わせると、樹脂パイプ4と電熱融解接合部3−1、3−2、3−3との相互融解接合が不十分となるので、ボビン状中空体18の最小内径は管状体10の開口部内径以下としなければならない。なお、最小内径とは、各ボビン状中空体18に丸形断面形状を有する樹脂被覆線17を適用するときのことである。
【0046】次ぎに、樹脂の種類に関して述べる。管状体10の樹脂には、実用上好適には、非架橋熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを適用する場合と、架橋熱可塑性樹脂として架橋ポリエチレン及び放射線架橋ポリプロピレンのいずれか一方の樹脂を適用する場合との双方が適合する。
【0047】基部11の少なくとも樹脂パイプ4挿入側のリング状部分13側面部、ストッパ12及び電熱線15の被覆樹脂16それぞれには、非架橋熱可塑性樹脂として非架橋ポリエチレン及びアイソタクチック構造のポリ1−ブテンのいずれか一方の樹脂を適用するのが実用上好適に適合する。各図に示す基部11は、その全体を上記のいずれか一方の樹脂で統一している。また、上述のように基部11の一部を上記のいずれか一方の樹脂とする場合、残余の基部11には管状体10と同じ樹脂を適用することができる。いずれの場合も、ストッパ12に連なる基部11とストッパ12とは同一樹脂とするのが生産上好都合である。
【0048】次ぎに、継手本体2の管状体10は、図1に示すような単一形態の直管、図2に示すような単一形態の曲がり管、図3に示すような複合形態のT字管が適合する。また、図示は省略したが、管状体10に曲がり管としてU字管を適用することもできる。これら継手本体2を有する樹脂パイプ継手1は、直管はソケット継手、曲がり管はエルボ継手、そしてT字管はチィーズ継手の呼び名をもつ。
【0049】最後に、樹脂パイプ継手1の製造方法を簡単に説明する。まず、円柱形状の心金に樹脂被覆線17を螺旋状に相互に密着させながら巻回してボビン状中空体18を成型する。このとき、図1〜図3でボビン状中空体18の両側に端子20をもたないものは、連続した樹脂被覆線17にて2個のボビン状中空体18を成形する。樹脂被覆線17が断面丸形であれば隣接樹脂被覆線17の少なくとも表面側凹部に同じ樹脂を補充し中空体18をボビン形状に仕上げる。ボビン状中空体18のリード線は端子20に接続する。
【0050】次ぎに、樹脂被覆線17の螺旋巻回用心金が射出成形用心金を兼ねる場合は、ストッパ12の成型に必要な凹部を形成した心金と、この心金の外側に基部11を成形する外金型とを用い、射出成型によりリング状部分13を含む基部11とストッパ12とを成型する。このときリング状部分13の側面は、ボビン状中空体18の端の1巻回樹脂被覆線17Lの全側面を覆う凹凸面を形成する。
【0051】引き続き、ボビン状中空体18と、ストッパ12及びリング状部分13を含む基部11とを心金上に位置させた状態で、これらを外金型で覆い、適用樹脂を射出成型機に供給し、射出成型により管状体10を成型する。このときインジケータホール21も形成する。なお管状体10の樹脂が架橋ポリエチレンの場合は、予めポリエチレンにシランなどの架橋剤をブレンドした樹脂材料を射出成型機に供給する。これで樹脂パイプ継手1の成型は完了し、その後、外金型を開き、心金を管状体10の開口部側に引き抜き、成型完了の樹脂パイプ継手1を取り出す。
【0052】管状体10の樹脂が架橋ポリエチレンの場合は、取り出した管状体10に架橋反応を行わせるための熱処理が必要である。架橋剤の種類により熱処理条件は異なり、例えば架橋剤にシランを用いる場合は、80℃の雰囲気で10時間程度曝す。これで樹脂パイプ継手1は完成である。加熱源は温水又は蒸気である。基部11又はその一部と電熱線被覆樹脂16とが非架橋ポリエチレンの場合は、この架橋反応の際に管状体10と基部11又はその一部及び電熱線被覆樹脂16とのポリエチレンは相互に強固に結合する利点を有する。
【0053】これに対し、管状体10の樹脂がポリプロピレンである場合は、外金型から取り出し、心金を引き抜いた状態で樹脂パイプ継手1は完成である。よって、この場合は、上記のような後処理を省くことができ、高生産性で低コストの利点を有する。管状体10の樹脂が放射線架橋ポリプロピレンの場合は、取り出した管状体10に放射線を照射して樹脂パイプ継手1は完成する。この場合も短時間の放射線照射で済むため高生産性の利点を有する。
【0054】
【発明の効果】この発明の請求項1〜13に記載した発明によれば、十分な接合強度と長期間使用での優れた耐久性との下で、漏水などの不具合を伴わずに流路抵抗を最小限度に抑制した上で、表層に薄ゲージの非架橋ポリオレフィン層を用い、より厚ゲージの架橋ポリオレフィン層を内層本体に用いる2層構成の樹脂パイプを相互に連結することが可能な、電熱融解接合部を有する樹脂パイプ継手を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】599147780
【氏名又は名称】高橋 勉
【出願日】 平成11年10月20日(1999.10.20)
【代理人】 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
【公開番号】 特開2001−116182(P2001−116182A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−297949