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【発明の名称】 可撓継手
【発明者】 【氏名】亀岡 均

【氏名】村松 建夫

【要約】 【課題】可撓継手本体自体に伸縮性を付与することによって、函体スパン間の相対変位に対する追従性を向上させ、ひいてはたるみ部を不要として、生産性、施工性を向上させた可撓継手を提供する。

【解決手段】函体スパン相互間に設けられる可撓継手において、可撓継手本体を弾性材料と補強繊維との積層体とし、かつ、補強繊維に高伸縮性能を有するものを採用した。また、好ましくは、可撓継手本体を蛇腹状のたるみのない平坦状のものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 函体スパン相互間に設けられる可撓継手において、可撓継手本体が、弾性材料と補強繊維との積層体からなり、かつ、前記補強繊維が、高伸縮性能を有するものであることを特徴とする可撓継手。
【請求項2】 前記可撓継手本体が、蛇腹状のたるみのない平坦状となっていることを特徴とする請求項1に記載の可撓継手。
【請求項3】 前記可撓継手本体の中央部が、両端部に比較して厚肉となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓継手。
【請求項4】 前記可撓継手本体の中央部が、補強繊維を積層することによって厚肉とされていることを特徴とする請求項3に記載の可撓継手。
【請求項5】 前記可撓継手本体の中央部が、補強繊維同士の中間に弾性材料を挿入することによって厚肉とされていることを特徴とする請求項3に記載の可撓継手。
【請求項6】 前記可撓継手本体の中央部が、外面の弾性材料の厚みを増すことによって厚肉とされていることを特徴とする請求項3に記載の可撓継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボックスカルバート等のトンネルを構成する函体スパン相互の継目部分に使用される可撓継手に関するものであり、特に、函体スパン間の相対変位に対する追従性を向上させた可撓継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、函体スパン相互の継目部分には、函体内外の水圧に対する水密性を確保しつつ、継目部分に発生する変位に対応できる変形能力を持った可撓継手が使用されている。すなわち、可撓継手はゴムメンブレン等で止水性と可撓性を確保するもので、函体スパン間の相対変位を拘束することが最も少ない構造となっている。このため、函体スパン相互間の軸力、せん断力、曲げモーメントの伝達がほとんどないという特徴を有する。
【0003】そして、このような機能を有する従来の可撓継手は、図5に示すような構造のものであった。すなわち、ゴムの間に補強繊維を挟んだ積層体から可撓継手本体21を構成し、その両端を、函体22に埋め込まれたアンカー23とナット24とによって押え板25を介して固定することで、函体の外側に可撓継手を設けたものである。ここで、従来の可撓継手に使用されている補強繊維は伸縮性を有するものではない。そのため、継目部分に発生する変位に追従させるべく、可撓継手本体21の両端付近に蛇腹状のたるみ部21Aを形成し、もっぱら、たるみ部21Aの変形によって対処していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、函体22が埋設された状態では可撓継手本体21の上面全体にわたり土圧等が作用する。したがって、可撓継手本体21の中央部21Bにおいて函体22との摩擦力が過大となり、継目部分に変位が発生しても中央部21Bが拘束される結果たるみ部21Aによる変形機能が発揮されず、函体22の変位に対する追従性が低下するという問題があった。
【0005】また、たるみ部21Aは可撓継手本体21の製作時に予め形成しておく必要があることから生産性に問題があり、しかも、継目部分を中心にその両側にたるみ部21Aが配置されるように位置合わせをしなければならないことから、施工性にも問題のあるものであった。
【0006】そこで本発明は、このような従来の可撓継手を改良したものであって、たとえ蛇腹状のたるみ部の変形が不可能な状態になったとしても、可撓継手本体自体に伸縮性を付与することによって、函体スパン間の相対変位に対する追従性を向上させ、ひいてはたるみ部を不要として、生産性、施工性を向上させた可撓継手を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであって、その要旨は、可撓継手本体が弾性材料と補強繊維との積層体からなり、かつ、前記補強繊維が高伸縮性能を有する可撓継手に係るものである。また、補強繊維の高伸縮性能によって可撓継手本体自体が伸縮性を有するものとなるので、蛇腹状のたるみを不要とし、平坦状とすることができる可撓継手に係るものである。そして、好ましくは可撓継手本体の中央部が両端部に比較して厚肉となっているものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、可撓継手本体は可撓性部材であって、具体的には弾性材料と補強繊維との積層体である。すなわち、一般的には内面ゴムと外面ゴムとの間に補強繊維を挿入したものである。ここで、弾性材料はゴムの他に軟質樹脂等も使用することができ、弾性材料の材質や厚み、補強繊維の材質や積層数等は、函体の大きさ、継目の間隔、予想される函体スパン間の相対変位、土圧等を考慮して適宜選択される。
【0009】ただし、本発明における補強繊維は、高伸縮性能を有するものであることが必須である。たとえ蛇腹状のたるみ部の変形が不可能な状態になったとしても、可撓継手本体自体に伸縮性を付与することによって、函体スパン間の相対変位に対する追従性を向上させるためである。ここで、高伸縮性能とは、切断時の伸びが50〜100%であり、使用時は切伸の半分程度の伸びを期待するものをいい、具体的には伸び方向の繊維にたるみを持たせて編み込んであるもの、繊維自体が伸縮性を有するスパンデックスからなるもの等を使用することができる。
【0010】すなわち、横糸に対し縦糸をたるみを持たせつつ交互に編み込むことにより、縦糸のたるみの分だけ伸びを期待できるもの、高弾性ポリウレタン繊維(スパンデックス)の織布のように、それ自体で伸びを期待できるもの等である。なお、高弾性ポリウレタン繊維を縦糸にのみ使用し、縦糸方向にだけ伸びるようにしてもよい。
【0011】また、本発明における可撓継手本体の形状は、従来と同様、両端付近に蛇腹状のたるみ部を形成し、たるみ部および中央の平坦部の両方で変位に対する追従性を持たせることもできるが、補強繊維の伸縮性能と函体スパン間の相対変位との兼ね合いによっては蛇腹状のたるみ部を省略し、可撓継手本体の全体を平坦状とすることもできる。
【0012】なお、可撓継手本体の中央部は両端部に比較して厚肉とすることが好ましい。可撓継手本体の中央部は函体スパン間の継目部分に位置し、高い土水圧が作用するので、剛性を上げる必要があるからである。ここで、厚肉とするには、中央部に多く補強繊維を積層する、可撓継手本体に補強繊維が複数積層されている場合にあっては、補強繊維同士の中間にゴム等の弾性材料を挿入する、外面の弾性材料の厚みを増す等すればよい。ただし、中央部に補強繊維を追加する場合には、追加する補強繊維も高伸縮性能を有するものとすることが好ましい。函体スパン間の相対変位に対する追従性を低下させないようにするためである。
【0013】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施の形態を図面により説明する。図1は、本発明の可撓継手の一例を示す断面図である。ここで、可撓継手は可撓継手本体1を函体スパン2,2にアンカー3で固定したものであり、固定力と止水性能が確保されるようになっている。なお、可撓継手本体1とナット4との間には押え板5が挿入されている。
【0014】ここで、第1実施例の可撓継手本体1は、外面ゴム11と内面ゴム12との間に補強繊維13を一層挟んだ積層体から構成されており、蛇腹状のたるみのない平坦状のものである。そして、補強繊維13は横糸13Aに縦糸13Bをたるみを持たせて交互に編み込んだものであり、縦糸13Bのたるみの分だけ伸びを期待できる高伸縮性能を有するものとなっている。したがって、可撓継手本体1の上面全体にわたり土圧等が作用し、内面ゴム12と函体スパン2との間に摩擦力が働いた場合であっても、可撓継手本体1が全体的に少しづつ伸びることによって、函体スパン2,2間の変位に追従する。
【0015】図2は、本発明の可撓継手の第2実施例を示す断面図である。ここで、外面ゴム11は中央部が厚くなっており、可撓継手本体1の中央部は両端部に比較して厚肉とされている。したがって、中央部の剛性が高くなっており、函体スパン2,2間が離れるような変位が発生した場合であっても、可撓継手本体1が目地部2Aに落ち込むことがない。
【0016】図3は、第2実施例の可撓継手において、函体スパン2,2間に上下方向の変位が生じた場合の可撓継手本体1の伸び変形状態を示す断面図である。図3に示すように、中央部における補強繊維の縦糸13Bのたるみが伸び、函体スパン2の変位に追従している。ここで、第2実施例の可撓継手は蛇腹状のたるみ部がなく可撓継手本体1が平坦状となっているので、土砂による拘束は小さく、変位追従性のよいものとなっている。
【0017】また、可撓継手本体1の全体で変位に追従するため、従来のように蛇腹状のたるみ部のみで変位に追従する場合と比べて許容変位を大きくすることが可能であり、可撓継手本体1のサイズを小さくすることができている。さらに、可撓継手本体1の中央部が厚肉とされていることから、土水圧が作用した際の目地部2Aへの落ち込みが少なくなり、優れた可撓性能を発揮することができるものとなっている。
【0018】図4は、第2実施例の可撓継手において、可撓継手本体1の外側が洗掘された状態で目地部2Aから内圧が作用した場合の変形状態を示す断面図である。すなわち、可撓継手本体1に対する内圧が外圧を越えるような場合であっても、可撓継手本体1の中央部における補強繊維の縦糸13Bのたるみが伸びて円筒形状に変形し、耐圧曲率半径が小さくなることで縦糸13Bに発生する張力が過大とならず、可撓継手本体1の破壊が防止されるのである。
【0019】ここで、図4に示すように可撓継手本体1が円筒形状に変形した場合における押え板5,5間の道のりL0は、一応の目安として、1.1(L+△L)≦L0≦1.4(L+△L)となる。ただし、Lは、函体スパン2,2間に変位が生じていない場合における可撓継手本体1の押え板5,5間の距離(図2参照)であり、△Lは、函体スパン2の水平方向の変位量である。
【0020】
【発明の効果】本発明は、高伸縮性能を有する補強繊維を採用したことにより、可撓継手本体の全体で函体スパンの変位に追従することができ、相対変位に対する追従性を向上させることが可能となった。また、従来のように蛇腹状のたるみ部のみで変位に追従する場合と比べ、許容変位を大きくすることが可能となるので、可撓継手本体のサイズを小さくすることができる。
【0021】特に、可撓継手本体を平坦状にして蛇腹状のたるみ部を省略すれば、土砂による拘束が小さくなり、変位追従性が一層向上する。しかも、平坦状であることから、生産性、施工性をも向上させることができる。また、可撓継手本体の中央部を厚肉とすることにより、土水圧が作用した際の目地部への落ち込みを少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成11年10月18日(1999.10.18)
【代理人】 【識別番号】100086896
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 悦郎
【公開番号】 特開2001−116174(P2001−116174A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−294662