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【発明の名称】 合成樹脂管用通電加熱管継手
【発明者】 【氏名】岡本 元太

【氏名】伊藤 一博

【氏名】小向 茂

【要約】 【課題】合成樹脂管を高強度で、簡単且つ確実に接合することができる通電加熱管継手及び該通電加熱管継手による合成樹脂管の接合方法を得る。

【解決手段】通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する樹脂と相溶性のある透明な合成樹脂を用いて構成してなることを特徴とする管継手、通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性を有する未架橋の架橋性樹脂を該管継手の内面層に設けてなることを特徴とする管継手、等。
【特許請求の範囲】
【請求項1】通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性のある透明な合成樹脂を用いて構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項2】通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性を有する未架橋の架橋性樹脂を該管継手の内面層に設けてなることを特徴とする管継手。
【請求項3】通電加熱管継手であって、砂等の不純物に対して接着性を有する添加剤を該管継手の内面層に混ぜてなることを特徴とする管継手。
【請求項4】通電加熱管継手であって、その構成材料である合成樹脂層中の通電加熱用の抵抗線を熱で変形を起こす形状記憶合金で構成し、合成樹脂管の接合時に、該管継手による融着時の熱で該形状記憶合金に変形を起こさせることにより、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂との融着部の非破壊検査に影響のない位置に当該形状記憶合金を移動させるように構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項5】通電加熱管継手であって、その構成材料である合成樹脂の内面に融着時の熱で変形を起こす材料を配置し、合成樹脂管の接合時に、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂との融着界面を流動させるように構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項6】上記合成樹脂の内面に配置された融着時の熱で変形を起こす材料が、多数の穴をあけて構成された材料である請求項5に記載の管継手。
【請求項7】通電加熱管継手であって、該管継手を融着時の熱で収縮する合成樹脂で構成し、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂が融着界面を流動するように構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項8】通電加熱管継手であって、該管継手の内面から外面へ貫通孔をあけて構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項9】通電加熱管継手であって、該管継手の内面を凹凸等の複雑な形状に構成してなることを特徴とする管継手。
【請求項10】通電加熱管継手により接合すべき合成樹脂管を接合するに際して、該管継手の抵抗線に通電するとともに、接合すべき管の外面と該管継手の内面の融着界面に音波をあてることにより、融着界面における接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂を強制流動させることを特徴とする合成樹脂管の接合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規且つ有用な合成樹脂管用通電加熱管継手及び該通電加熱管継手による合成樹脂管の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂製の管(本明細書中適宜「合成樹脂管」という)同士の接合手段として通電加熱管継手を用いるものがある。これは合成樹脂製の管継手の内層に導電線(抵抗線)を埋め込んだもので、この抵抗線に電気を供給することで加熱して接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の樹脂を加熱溶融することにより、通電加熱管継手を介して、合成樹脂管同士の接合を行うものである。
【0003】図1はその1例を示す図である。図1(a)のとおり、接合すべき管1、1′と同種の合成樹脂からなる管継手2が、互いにつき合わせた管端部が挿入されるように円筒形状に形成され、管継手2内における管端部の挿入部分には、通電によって発熱する導電線3が埋め込まれている。図1(b)は接合前の外観を示し(接合後も同じ)、図1(c)は、図1(b)における○印の部分の融着界面の層構造を模式的に示した図である。図1(c)のとおり、層構造は接合前でも接合後でも変わりはない。
【0004】ところが、このような技術では、管継手の材料と接合すべき管の材料とが同一種の合成樹脂であるか、または相溶性があるものであるのが前提であり、相溶性がない樹脂や融着界面に砂やほこり等の異物が存在する場合には、目的とする強度で融着することは不可能であった。また管継手の材料は不透明な合成樹脂が用いられており、このため合成樹脂管の接合時あるいは接合後の接合状態を知る上で、管継手内面との接合界面を観察することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、以上の現状に鑑み、接合すべき合成樹脂管と通電加熱管継手との関係につき各種実験、検討し、接合すべき合成樹脂管を強固に、簡単且つ確実に接合できる新規且つ有用な合成樹脂管用通電加熱管継手及び該通電加熱管継手を用いる合成樹脂管の接合方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は(1)通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性のある透明な合成樹脂を用いて構成してなることを特徴とする管継手を提供し、また本発明は(2)通電加熱管継手であって、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性を有する未架橋の架橋性樹脂を該管継手の内面層に設けてなることを特徴とする管継手を提供し、また本発明は(3)通電加熱管継手であって、砂等の不純物に対して接着性を有する添加剤を該管継手の内面層に混ぜてなることを特徴とする管継手を提供する。
【0007】本発明は(4)通電加熱管継手であって、その構成材料である合成樹脂層中の通電加熱用の抵抗線を熱で変形を起こす形状記憶合金で構成し、合成樹脂管の接合時に、該管継手による融着時の熱で該形状記憶合金に変形を起こさせることにより、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂との融着部の非破壊検査に影響のない位置に当該形状記憶合金を移動させるように構成してなることを特徴とする管継手を提供する。
【0008】本発明は(5)通電加熱管継手であって、その構成材料である合成樹脂の内面に融着時の熱で変形を起こす材料を配置し、合成樹脂管の接合時に、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂との融着界面を流動させるように構成してなることを特徴とする管継手を提供する。この発明においては、上記合成樹脂の内面に配置された融着時の熱で変形を起こす材料を、多数の穴をあけて構成してもよい。
【0009】本発明は(6)通電加熱管継手であって、該管継手を融着時の熱で収縮する合成樹脂で構成し、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂が融着界面を流動するように構成してなることを特徴とする管継手を提供し、また本発明は(7)通電加熱管継手であって、該管継手の内面から外面へ貫通孔をあけて構成してなることを特徴とする管継手を提供し、また本発明は(8)通電加熱管継手であって、該管継手の内面を凹凸等の複雑な形状に構成してなることを特徴とする管継手を提供する。
【0010】さらに本発明は(9)通電加熱管継手により接合すべき合成樹脂管を接合するに際して、該管継手の抵抗線に通電するとともに、接合すべき管の外面と該管継手の内面の融着界面に音波をあてることにより、融着界面における接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂を強制流動させることを特徴とする合成樹脂管の接合方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする接合すべき合成樹脂管としてはポリエチレン製、ポリプロピレン製、ポリブテン製等の中空管が挙げられる。本発明では、それら合成樹脂管を通電加熱管継手により接合する。本発明の通電加熱管継手は合成樹脂製の管継手に電流を通すことにより発熱する導電線(抵抗線)を埋め込むことで構成される。抵抗線の材料としては、本発明(4)では形状記憶合金を用いるが、他の発明では電流を通すことで発熱する材料であれば使用でき、例えばニクロム線その他、従来知られた材料を使用することができる。
【0012】本発明(1)においては、通電加熱管継手を、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性のある透明な合成樹脂を用いて構成する。図2はこの態様例を示す図である。管継手2の構成材料として、接合すべき管を構成する樹脂と相溶性があり且つ透明な合成樹脂を用いる。このような樹脂の例としては、■メタロセン触媒を用いて均一結晶サイズになるように合成されたポリエチレン、■ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等の透明樹脂にポリエチレン鎖をブロック重合あるいはグラフト重合させたもの等が挙げられる。これら樹脂は透明であるため、本通電加熱管継手による接合すべき合成樹脂管の加熱融着時あるいは融着後の接合界面の検査が目視で行える。これにより簡単且つ確実な配管施工ができる。
【0013】本発明(2)においては、通電加熱管継手を、接合すべき管を構成する合成樹脂と相溶性を有する未架橋の架橋性樹脂を該管継手の内面層に設けて構成する。図3はこの態様例を示す図である。図3中、4が該未架橋の架橋性樹脂の層である。管継手2の内面に接合すべき管を構成する樹脂と相溶性がある未架橋の架橋性樹脂層4を設け、通電加熱による熱で融着界面を架橋させる。図3では未架橋の架橋性樹脂を管継手2の内面層、すなわちライナー部のみに設けているが、継手全体を未架橋の架橋性樹脂で構成してもよい。管を構成する樹脂と相溶性を有する未架橋の架橋性樹脂の例としては、シラン架橋剤入りのポリエチレンなどが挙げられる。これら樹脂は接合時の熱で架橋が進行し、接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の融着部の強度が向上するため、高強度で、簡単且つ確実な配管施工ができる。
【0014】本発明(3)においては、通電加熱管継手を、砂等の不純物に対して接着性を有する添加剤を該管継手の内面層に混ぜることにより構成する。図4はこの態様例を示す図である。図4中、5が該添加剤を混ぜた内面層である。管継手2を、その内面層5に、砂、ほこり、ごみ、機械油等の不純物すなわち異物に対して接着性を有する添加剤を混ぜて構成し、抵抗線への通電加熱による熱で融着接合するとともに、添加剤成分がブリードアウトし、砂等の不純物に接着する。
【0015】上記添加剤の例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸塩などが挙げられる。これら添加剤の管継手内面層への混ぜ方としては(1)管継手を構成する合成樹脂に混練する、(2)管継手を構成する合成樹脂にグラフト重合させる、等により行うことができる。図4では添加剤を管継手2の内面層5、すなわちライナー部のみに混ぜているが、管継手全体に混ぜてもよい。これら添加剤は、砂やほこり等の異物がある場合には、融着時の熱によって、これら添加剤成分が異物側にブリードアウトされ、接着される。このように異物による悪影響を少なくして融着部の強度を向上させることができ、簡単且つ確実な配管施工ができる。
【0016】本発明(4)においては、通電加熱管継手を、その構成材料である合成樹脂層に埋め込む抵抗線(ワイヤー)を熱で変形を起こす形状記憶合金で構成し、該管継手による融着時の熱で該形状記憶合金に変形を起こさせることにより、該形状記憶合金が、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂との融着界面を移動させるように構成する。これにより融着時に融着界面を流動させる。この場合、ワイヤーは融着界面以外まで移動させてもよいが、融着界面以外まで移動させなくても検査に影響がない位置まで移動するようにすればよく、これにより融着領域における融着状態に関する超音波等での非破壊検査を容易にすることができる。また抵抗線自体に熱変形の作用を兼用させているので管継手としての構造も簡単である。
【0017】本発明(5)においては、通電加熱管継手を、その構成材料である合成樹脂の内面に融着時の熱で変形を起こす材料を配置して構成し、合成樹脂管の接合時に、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂が融着界面を流動するようにする。ここで、融着時の熱で変形を起こす材料とは、本通電加熱管継手による接合すべき合成樹脂管の加熱融着時において、抵抗線への通電加熱による熱で変形、すなわち曲がりや収縮等の変形を起こす材料であり、その例としては、TiーNi合金等の形状記憶合金、ポリノルボルネン等の形状記憶ポリマー、FEP樹脂などが挙げられる。このうち形状記憶合金は加熱用ワイヤーを兼ねさせることができ、上記発明(4)がこの場合に相当している。
【0018】この発明(5)では、上記管継手の構成材料である合成樹脂の内面に配置される材料について、これを多数の穴をあけて構成することができ、これにより融着界面における合成樹脂の流動をさらに容易にすることができる。
【0019】図5は、上記発明(5)において融着時の熱で変形を起こす材料として形状記憶合金を用いた態様例を示す図である。図5中、6が管継手の内面層にスパイラル状に巻かれた線状の形状記憶合金である。融着時の通電加熱による熱で形状記憶合金が変形し融着面を横断するように移動する。これにより接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の樹脂、すなわち融着界面の分子の拡散促進効果が得られるため、接合すべき管の外面と管継手の内面との界面に砂やごみ等の異物が存在しても、管継手の内面と接合すべき管の外面との接合が強固に行われ、また簡単且つ確実な配管施工ができる。
【0020】本発明(6)においては、通電加熱管継手を、その材料として融着時の熱で収縮する合成樹脂で構成し、合成樹脂管の接合時に、接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂が融着界面を流動するように構成する。抵抗線への通電加熱による熱で管継手を構成する熱収縮性合成樹脂が収縮する。熱収縮性合成樹脂としては、融着時の熱で収縮する合成樹脂であれば使用できるが、その例としてはフッ素樹脂、例えば熱収縮性のテトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP樹脂)などが挙げられる。これにより、接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の樹脂、すなわち界面分子の拡散促進効果に加えて、両樹脂がかみ合うことによる機械的強度が得られる。この場合、接合すべき管の外面と管継手の内面との界面に砂やごみ等の異物が存在しても、異物は流動し、管継手の内面と接合すべき管の外面との接合が強固に行われ、また簡単且つ確実な配管施工ができる。
【0021】本発明(7)においては、通電加熱管継手を、その内面から外面へ貫通孔をあけて構成する。図6はこの態様例を示す図である。図6中、7が貫通孔である。抵抗線への通電加熱による熱で管継手を構成する樹脂が融解、膨張する。これにより接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の樹脂、すなわち界面分子の拡散促進効果が得られ、接合すべき管の外面と管継手の内面との界面に砂やごみ等の異物が存在しても、異物は流動して貫通孔を通して管継手内の外面方向へ押し出される。また、両樹脂のかみ合いによる機械的強度が得られるため、管継手の内面と接合すべき管の外面との接合が強固に行われる。
【0022】本発明(8)においては、通電加熱管継手を、その内面を凹凸等の複雑な形状に構成する。図7はこの態様例を示す図である。図7中、8が凹凸である。抵抗線への通電加熱による熱により、接合すべき合成樹脂管の表面と管継手の内面の樹脂、すなわち界面分子の拡散促進効果が得られるのに加え、管継手内面の凹凸により樹脂の流動が促進される。また、両樹脂すなわち界面分子がかみ合うことによる機械的強度が得られるため、管継手の内面と接合すべき管の外面との接合が強固に行われる。
【0023】本発明(9)においては、通電加熱管継手により接合すべき合成樹脂製の管を接合するに際して、該管継手の抵抗線に通電するとともに、接合すべき管の外面と該管継手の内面の融着界面に音波をあてることにより、融着界面における接合すべき管を構成する合成樹脂と該管継手を構成する合成樹脂を強制流動させる。図8はこの態様例を示す図である。図8中、9が音波の照射手段である。音波としては上記合成樹脂を強制流動をさせ得る波長の音波を用いるが、例えば周波数1〜20kHz程度の音波が用いられる。通電加熱時に管継手の内面と接合すべき管の外面との界面に音波を集中させることにより融着界面を流動させ、これにより樹脂の拡散を促進させ、融着部の強度を向上させることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。
【0025】《実施例1》市販のポリエチレン製の板A(厚さ5mm)とメタロセン触媒を用いて均一結晶サイズになるように合成されたポリエチレン製の板B(厚さ5mm、三菱化学社製、商品名:低密度ポリエチレン カーネル)を用意した。ポリエチレン製の板Bは透明で、ポリエチレン製の板Aと相溶性を有する。両板をその間に砂をまぶして重ねた後、その上下面から電熱加熱により加熱して両板を接合させた。図9は、その接合後、透明ポリエチレン製の板B側から見た写真である。図9中、黒い点は砂粒である。ポリエチレン製の板Bは透明であるためポリエチレン製の板Aとの接合部における接合状態、またその界面における異物の有無や存在状態を目視により観察することができる。
【0026】《実施例2》図10は本実施例2の概略を示す図である。本実施例2は前記発明(5)の実施例に相当している。ニクロム線を埋め込んだポリエチレン製の通電加熱管継手2の内面に図10(b)に示すように多数の穴をあけた熱収縮性素材(熱収縮性FEP)を配置して構成した。熱収縮性FEPは融着時の熱で収縮する合成樹脂である。接合する合成樹脂管として2本の中空ポリエチレン管(日本鋼管社製、商品名:ガス用PE管1号ー呼び50)1、1′を用い、それらの端部の表面と管継手の内面の間、すなわち融着界面に厚さ約20ミクロンの異物(アルキド樹脂系白ペンキ)を塗布した後、図10(a)のようにセットしてニクロム線に通電して加熱し融着させた。
【0027】一方、比較例として、通電加熱管継手2の構成材料として上記中空ポリエチレン管と同質の合成樹脂を用い、図10(b)に示すような熱収縮性素材を入れない(配置しない)点を除き、上記と同様にして通電加熱管継手による合成樹脂管同士の接合を実施した。
【0028】次いで、上記実施例及び比較例で接合された合成樹脂管について、引張試験による融着界面のせん断破壊強度試験を実施した。試験片として、管継手により融着され接合された実施例及び比較例で接合された合成樹脂管から、それぞれ、図11に示すように20mmの幅で切り出した各試験片を用いた。これら各試験片に対して50mm/minの引張速度を付加し、破断に至る強度を測定した。測定強度は、引っ張破断時の荷重を融着部の面積(6cm2≒幅20mm×融着長さ約30mm)で割った値であり、融着部の界面強度である。
【0029】この結果、比較例の試験片は合成樹脂管の表面と管継手の内面の融着面が13kgf/cm2で剥離してしまった。これに対して、実施例の試験片の融着面は30kgf/cm2でも剥離しなかった。図12は試験片の断面の写真であり、図13は図12の写真を図面化したものである。図12〜13のとおり、合成樹脂管表面の樹脂が管継手の穴を通して移動して管継手内面の樹脂に食い込いでいることが観察される。図10(c)は、この事実を基にして作成して模式図である。通電加熱により溶融した合成樹脂管の合成樹脂(ポリエチレン)が通電加熱継手管内面の熱収縮性素材の穴を通して管継手内面の樹脂に食い込み、これにより上記のような高強度が達成されたものと解される。
【0030】《実施例3》通電加熱管継手を、ニクロム線を螺旋状に埋め込んだポリエチレン管(日立金属社製、商品名:ガス用PE、EFソケット呼び100)に対して、図6に示すように、その内面から外面へ貫通孔をあけて構成した。接合する合成樹脂管として2本の中空ポリエチレン管(日本鋼管社製、商品名:ガス用PE管1号ー呼び50)を用意した。これらを図6のようにセットしてニクロム線に通電して加熱し融着させた。図14は接合部の断面を観察した結果を示す図である。図14のとおり、合成樹脂管表面の樹脂が管継手の貫通孔に食い込むとともに、その樹脂の一部が貫通孔を通して管継手内の外面方向へ流動している。これにより改善された高い接合強度が達成されている。
【0031】《実施例4》通電加熱管継手を、ニクロム線を螺旋状に埋め込んだポリエチレン(日立金属社製、商品名:ガス用PE、EEソケット呼び50)で構成し、その内面に、図7に示すように多数の凹凸(断面ジグザグ状:深さ1mm、ピッチ1mm)を形成した。接合する管として2本の中空ポリエチレン管(日本鋼管社製、商品名:ガス用PE管1号ー呼び50)を用意した。これらを図7のようにセットしてニクロム線に通電して加熱し融着させた。図15は試験片の接合部の断面の写真であり、図16は図15の写真を図面化したものである。図15〜16のとおり、合成樹脂管表面の樹脂が管継手内面の凹凸に食い込いでいることが観察される。これにより改善された高い接合強度が達成されている。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、接合すべき合成樹脂管同士を高強度で、簡単且つ確実に接合することができる。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【出願日】 平成11年10月5日(1999.10.5)
【代理人】 【識別番号】100103159
【弁理士】
【氏名又は名称】加茂 裕邦
【公開番号】 特開2001−108179(P2001−108179A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−284927