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【発明の名称】 配管支持装置
【発明者】 【氏名】原田 栄

【要約】 【課題】配管がサポート基礎と大きく相対変位しても、配管に強制荷重が掛からないようにする。

【解決手段】サポート基礎1上に配管支持枠体2を介して配管3を載置する。配管支持枠体2の内側に、配管拘束機構5を設ける。配管拘束機構5は先端部を上下に重ねて相対向させた2本のアーム7の溝9により形成された空間部10に、配管3に突設した丸棒6を挿入し、各アーム7の基端部をアーム保持部8を介してサポート基礎1に取り付けた構成とする。アーム保持部8はケーシング11内に配した渦巻きばね12に取り付けたピンをアーム7の基端部に連結し、アーム7を中立状態に保持できるようにする。配管3とサポート基礎1との相対変位量が小さい場合には、渦巻きばね12のばね力によりアーム7の回動を復原させて配管3の相対変位を拘束し、相対変位量が大となる場合には、丸棒6がアーム7の溝9から外れるようにして配管3の拘束を解く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サポート基礎の上面に、筒状の支持枠体を載置して、その上に配管を支持させるようにし、且つ上記支持枠体の内側におけるサポート基礎の上面に、水平状態に配したアームの基端部を水平方向に回動自在に支持させてばね力により該アームが常時配管の軸心方向と平行な中立位置にあるようにしてあるアーム保持部を、左右両側部に配設し、上記両アーム保持部に保持された各アームの先端部に、長手方向に延びる切欠き状の溝を設けて、該両アームの先端部を上下に重ねるよう相対向させ、上記配管の下面に下向きに突設した丸棒を、上記両アーム先端部の溝に通して係合させ、上記アーム保持部のばね力でアームを介し配管を拘束するようにした構成を有することを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】 アーム保持部に渦巻きばねを用い、該ばねの内周端をアームの回動中心となるピンを介してアームの基端部に固定すると共にばねの外周端をケーシングに固定して、アームにばね力が作用するようにした請求項1記載の配管支持装置。
【請求項3】 アーム保持部にレバー付きピンとコイルばねを用い、アームの基端部をピンに固定してアームとレバーを一体にし、該レバーとケーシング内壁の間にコイルばねを介装して、アームにばね力が作用するようにした請求項1記載の配管支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサポート基礎に配管を取り付けるために用いる配管支持装置に関するもので、特に、高レベルの地震時にサポート基礎が移動しても、配管に強制荷重が掛かることを防止できるようにした配管支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な配管支持装置としては、図5(イ)(ロ)に示す如く、固定されているサポート基礎a上に、横方向に延びる配管bを載置し、該配管bの長手方向所要間隔位置毎に配置したUボルトcを、配管bを跨ぐようにして両端部を上記サポート基礎aに取り付けることにより、配管bをサポート基礎aに固定するようにし、地震時の慣性力に対してUボルトcで配管bの軸方向と直角方向への動きを拘束するようにしたものがある。dはUボルトcをサポート基礎aに取り付けるときの締め付けナットを示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記Uボルトcにより配管を固定するようにした配管支持装置の場合は、配管bがUボルトcによりサポート基礎a上に強固に固定されていることから、液状化による地盤変状が発生するような高レベルの地震の発生時に、サポート基礎aが大規模に移動してしまうような場合であっても、配管bはサポート基礎aに固定されたまま該サポート基礎aと一体的に移動しようとするため、配管bに強制荷重が掛かることとなり、配管bの強度上好ましくないという問題がある。
【0004】そのため、通常の低レベルの地震に対しては堅固に配管bの拘束を行い、高レベルの地震に対しては配管bの拘束を解放するようにすることが望まれるが、従来、かかる要求を満たすようにした配管支持装置はない。
【0005】そこで、本発明は、通常の地震時の慣性力が作用する場合には、配管がサポート基礎に対して軸方向と直角な水平方向へ変位することを拘束することができ、又、高レベルの地震の発生時に地盤変状が発生するような場合には、配管の拘束を解放して配管に強制荷重が掛かることを防止することができるようにした配管支持装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、サポート基礎の上面に、筒状の支持枠体を載置して、その上に配管を支持させるようにし、且つ上記支持枠体の内側におけるサポート基礎の上面に、水平状態に配したアームの基端部を水平方向に回動自在に支持させてばね力により該アームが常時配管の軸心方向と平行な中立位置にあるようにしてあるアーム保持部を、左右両側部に配設し、上記両アーム保持部に保持された各アームの先端部に、長手方向に延びる切欠き状の溝を設けて、該両アームの先端部を上下に重ねるよう相対向させ、上記配管の下面に下向きに突設した丸棒を、上記両アーム先端部の溝に通して係合させ、上記アーム保持部のばね力でアームを介し配管を拘束するようにした構成とする。
【0007】地震時の慣性力により、サポート基礎が揺れて、配管とサポート基礎とが配管の軸方向と直角な水平方向に相対変位すると、配管に突設した丸棒が溝に挿入してある各アームが、基端部を中心に配管の軸方向と直角方向に回動させられるが、アーム保持部でアームの基端部にはばね力が作用していて、各アームは中立状態に戻されようとしているので、通常の地震では、サポート基礎の揺れに配管がアームを介して合わされるようになって両者の相対変位はなくされるようになる。又、高レベルの地震時の如きアームを回動させる荷重が増大すると、配管とサポート基礎との相対変位量が大きくなって、配管に突設した丸棒が各アームの先端溝から外れることによって配管の拘束が解かれ、配管に強制荷重がかかることが防止される。
【0008】又、アーム保持部に渦巻きばねを用い、該ばねの内周端をアームの回動中心となるピンを介してアームの基端部に固定すると共にばねの外周端をケーシングに固定して、アームにばね力が作用するようにしたり、アーム保持部にレバー付きピンとコイルばねを用い、アームの基端部をピンに固定してアームとレバーを一体にし、該レバーとケーシング内壁の間にコイルばねを介装して、アームにばね力が作用するようにしたした構成とすると、簡単な構成で且つばねのばね定数を変化させて、配管が拘束されなくなる地震の強度を自在に設定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0010】図1(イ)(ロ)(ハ)及び図2(イ)(ロ)は本発明の配管支持装置の実施の一形態を示すもので、サポート基礎1の上面に、所要高さとした四角筒状の配管支持枠体2を立てて載置し、その上に配管3を左右方向へ延びるように載置支持させて、サポート基礎1の上面と配管3との間に所要の間隔を保持させるようにすると共に、上記配管支持枠体2の前後両側部のサポート基礎1の上面に、ストッパ4を溶接等にて固定して、該ストッパ4により配管支持枠体2の前後方向の動きを拘束させるようにし、更に、上記配管支持枠体2の内側におけるサポート基礎1の上面に、配管3に作用する或る荷重までは配管3を拘束するが、それ以上の荷重が作用すると配管3の拘束を解放するようにしたばね式の配管拘束機構5を装備する。
【0011】上記配管拘束機構5は、配管3の下面に下向きに突出させた丸棒6と、該丸棒6に係合させる2枚の板状のアーム7と、該アーム7が変位しても常に中立位置に戻すようにする2つのアーム保持部8とからなり、上記2枚のアーム7は、各々先端部に長手方向に延びる切欠き状の溝9を有していて、該先端部の溝9が向き合って上下に重なるように水平方向に相対向させて配置され、各先端部の溝9が向き合って重ねられることにより形成される上下方向貫通の空間部10に、配管3に突設した丸棒6を挿入させて、各アーム7と丸棒6とを係合させるようにし、又、上記2つのアーム保持部8は、配管支持枠体2の内側におけるサポート基礎1上の左右位置に設置されたケーシング11内に、回転ばねとしての渦巻きばね12を配置し、該ばね12の外周端をケーシング11の内壁に固定すると共に、ばね12の内周端を、上端部をケーシング11より突出させるようにケーシング11内に回転自在に立てたピン13に固定した構成としてあって左右対称的に配置してあり、該ピン13に、上記アーム7の基端部を固定して、各アーム7が各々のアーム支持部8における渦巻きばね12の作用で常時中立位置に置かれて、丸棒6を介し配管3を拘束しているようにしてある。なお、上記渦巻きばね12は、通常の低レベルの地震時にサポート基礎1と配管3が相対変位してアーム7が回動しても、ピン13を介してアーム7を中立位置に戻すことができるような強さとしてある。
【0012】地震の発生がなくて配管3とサポート基礎1との相対変位がない状態では、配管拘束機構5のアーム保持部8における渦巻きばね12は中立状態にあり、且つ該渦巻きばね12の内周端にピン13を介して基端部が固定されているアーム7は、水平方向に回動することなく図1(ロ)に示す如く配管3の軸心方向と平行となるようにセットされた状態にあるようにしてあるので、図1(ロ)に示す如く、両アーム7は、上記渦巻きばね12により直線状に置かれた姿勢を保持して、各先端部の溝9同士で形成される空間部10に、配管3に固定された丸棒6が挿通された状態が維持されて、配管3は軸心方向と直角な水平方向への動きが拘束された状態になっている。
【0013】今、地震が発生してサポート基礎1と配管3とが前後方向(配管3の軸心方向と直交する水平方向)に相対変位して、アーム7を回動させるように荷重が増加してくると、配管3に突設した丸棒6を介して2枚のアーム7がケーシング11内の渦巻きばね12に抗してピン13とともに該ピン13を中心に図3(イ)に示す如く水平方向に回動させられるが、上記渦巻きばね12は、中立状態に復帰するようピン13を介してアーム7に付勢するので、通常の低レベル地震時の如き上記荷重が或る値までは、上記渦巻きばね12のばね定数によりピン13を介してアーム7を中立位置に戻すことによって、配管3を拘束し、サポート基礎1と配管3との相対変位をなくすようにする。
【0014】上記サポート基礎1と配管3との相対変位で配管3の丸棒6を介してアーム7をピン13とともに回動させる荷重が予め設定した値を超える如き高レベル地震が発生したときは、2枚のアーム7は渦巻きばね12の弾力に打勝って大きく回動させられる結果、図3(ロ)に示す如く、アーム7の溝9と丸棒6が外れて配管3の拘束が解放される。これにより配管3はサポート基礎1に対してフリーとなり、配管3は軸心方向と直角な方向に拘束されなくなり、配管系に強制荷重が加わることを防止できることになる。
【0015】なお、渦巻きばね12のばね定数を変化させることにより、アーム7が回動した場合に渦巻きばね12に発生する反発力の強度を変化させることができ、これにより、配管3が拘束されなくなる地震の強度を自在に設定することができる。
【0016】次に、図4(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態に用いるアーム保持部を示すもので、図1(イ)(ロ)(ハ)に示したものと同様の構成としてある配管支持装置におけるアーム保持部8aとして、図2(イ)(ロ)に示したアーム保持部8の渦巻きばね12の作用によりアーム7を中立位置に保持させるようにした形式に代えて、レバー16付きのピン15とコイルばね14によりアーム7を中立位置に保持させる形式としたものである。
【0017】すなわち、上記アーム保持部8aは、配管支持枠体2内におけるサポート基礎1上の左右位置に設置されたケーシング11内に、下端部にレバー16を水平方向に固定したピン15を、上端部を上方へ突出させて回転自在に立てて、該ピン15の上端部にアーム7の基端部を固定して、アーム7とレバー16が反対方向に延びるようにし、且つ該レバー16の先端部とケーシング11の前側及び後側の内壁とに、伸長及び収縮のいずれの場合にも復原力を発生する形式のコイルばね14の両端をそれぞれ連結し、アーム7にレバー16、ピン15を介してコイルばね14のばね力を作用させるようにした構成としてある。なお、上記コイルばね14は、通常の低レベルの地震時にサポート基礎1と配管3が相対変位してアーム7が回動しても、レバー16及びピン15を介してアーム7を中立位置に戻すことができるような強さとしてある。その他、図2(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0018】本実施の形態によれば、渦巻きばね12に代えてコイルばね14の弾力をレバー16及びピン15を介してアーム7に作用させることにより、各アーム7がばね力により配管3の軸心方向と平行な中立状態に保持されるようになることから上記実施の形態と同様な効果を得ることができ、又、コイルばね14のばね定数を変化させて、アーム7が回動した場合にコイルばね14に発生する反発力の強度を変化させ、配管3が拘束されなくなる地震の強度を自在に設定することができる。
【0019】なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、アーム保持部8,8aとしては、図2(イ)(ロ)では渦巻きばね12を、又、図4(イ)(ロ)ではコイルばね14を用いたものを示したが、ばね力によりアーム7を配管3の軸心方向に沿って中立状態に保持することができれば他の形式を採用することも可能であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の配管支持装置によれば、サポート基礎の上面に、筒状の支持枠体を載置して、その上に配管を支持させるようにし、且つ上記支持枠体の内側におけるサポート基礎の上面に、水平状態に配したアームの基端部を水平方向に回動自在に支持させてばね力により該アームが常時配管の軸心方向と平行な中立位置にあるようにしてあるアーム保持部を、左右両側部に配設し、上記両アーム保持部に保持された各アームの先端部に、長手方向に延びる切欠き状の溝を設けて、該両アームの先端部を上下に重ねるよう相対向させ、上記配管の下面に下向きに突設した丸棒を、上記両アーム先端部の溝に通して係合させ、上記アーム保持部のばね力でアームを介し配管を拘束するようにした構成としてあるので、通常の地震時には、その慣性力に対抗してサポート基礎に対する配管の軸心方向と直角な水平方向の相対変位を拘束することができ、一方、地盤変状が起こるような高レベルの地震の際には、配管をサポート基礎に対してフリーな状態として、配管に強制荷重が作用することを防止することができ、又、アーム保持部に渦巻きばねを用い、該ばねの内周端をアームの回動中心となるピンを介してアームの基端部に固定すると共にばねの外周端をケーシングに固定して、アームにばね力が作用するようにした構成としたり、アーム保持部にレバー付きピンとコイルばねを用い、アームの基端部をピンに固定してアームとレバーを一体にし、該レバーとケーシング内壁の間にコイルばねを介装して、アームにばね力が作用するようにした構成とすることにより、簡単な構成で且つ渦巻きばねやコイルばねのばね定数を変化させることにより配管が配管支持装置により拘束されなくなる地震の強度を自在に設定することができるという優れた効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年10月7日(1999.10.7)
【代理人】 【識別番号】100087527
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 光雄
【公開番号】 特開2001−108153(P2001−108153A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−286987