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【発明の名称】 樹脂管の融着接合構造及び樹脂管の融着接合方法
【発明者】 【氏名】藤藁 貴夫

【氏名】平林 秀雄

【要約】 【課題】融着接合した樹脂管や樹脂筒体に曲げ力が加わった場合に、樹脂筒体と樹脂管の外表面とによって形成されている入隅状の凹所を埋めている樹脂ビードによる応力分散作用を良好に発揮させる。

【解決手段】樹脂筒体2を樹脂管1に外嵌合して両者を重なり部分で融着接合する。樹脂筒体2の端面21と樹脂管1の外表面11との間の入隅状の凹所4を傾斜した外表面31を備える樹脂ビード3によって埋める。樹脂ビード3を、樹脂筒体2の端部樹脂層23及び樹脂管1の樹脂外層部12に融着によって接合する。樹脂ビード3は、樹脂筒体2の樹脂内層部22と樹脂管1の樹脂外層部12とを加熱溶融させた後でそれらを互いに圧入状に嵌合させたときに凹所4にはみ出してきた余剰樹脂によって形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂管とその相手方である樹脂筒体とのうちの一方側部材が他方側部材に外嵌合されて両者が重なり部分で融着接合され、一方側部材の端面と他方側部材の外表面とによって形成される入隅状の凹所が、上記一方側部材から他方側部材の外表面に向かって下がり勾配に傾斜した外表面を備える樹脂ビードによって埋められている樹脂管の融着接合構造であって上記樹脂ビードが、上記一方側部材の端部樹脂層及び上記他方側部材の樹脂外層部に融着によって接合されていることを特徴とする樹脂管の融着接合構造。
【請求項2】 上記一方側部材の端部樹脂層及び上記他方側部材の樹脂外層部に対する上記樹脂ビードの重なり個所の全体がそれらに融着によって接合されている請求項1に記載した樹脂管の融着接合構造。
【請求項3】 上記樹脂ビードが、上記一方側部材の樹脂内層部と上記他方側部材の樹脂外層部とを加熱溶融させた後でそれらを互いに圧入状に嵌合させるのに伴って上記入隅状の凹所にはみ出してきた余剰樹脂によって形成されている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管の融着接合構造。
【請求項4】 樹脂管とその相手方である樹脂筒体とのうちの一方側部材を他方側部材に外嵌合して両者を重なり部分で融着接合する樹脂管の融着接合方法であって、一方側部材の端部樹脂層と樹脂内層部とを加熱溶融させると共に他方側部材の樹脂外層部とを加熱溶融させた状態で、両部材を互いに圧入状に嵌合することによって一方側部材の溶融している樹脂内層部と他方側部材の溶融している樹脂外層部とを融着させることと、その嵌合に伴って生じる余剰樹脂を一方側部材の端面と他方側部材の外表面とによって形成される入隅状の凹所にはみ出させることによってその余剰樹脂を一方側部材の溶融している上記端部樹脂層及び一方側部材から突き出している他方側部材の溶融している上記樹脂外層部に融着させることと、上記余剰樹脂をその外表面が一方側部材から他方側部材の外表面に向かって下がり勾配に傾斜する形状に成形することとを行った後、各融着個所を硬化させることを特徴とする樹脂管の融着接合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂管の融着接合構造及び樹脂管の融着接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブテン管などの熱可塑性樹脂でなる樹脂管を、その樹脂管の構成樹脂と相溶性を持つ熱可塑性樹脂でなる他の樹脂管や樹脂継手に融着接合した場合の従来の融着接合構造や融着接合方法を図12〜図14に示してある。また、融着接合に用いられる工具やその使用状態を図9〜図11に示してある。
【0003】図14において、1は樹脂管、2は樹脂継手の接続口部によって形成された樹脂筒体であり、樹脂筒体2が樹脂管1に外嵌合されていると共に、両者1,2が破線で示した重なり部分イで融着接合されている。また、樹脂筒体2の端面21と樹脂管1の外表面11とによって形成されている入隅状の凹所4が樹脂ビード3によって埋まっている。なお、図14において、符号ロは樹脂筒体2の端面21と樹脂ビード3との重なり部分を示し、符号ハは樹脂管1の外表面11と樹脂ビード3との重なり部分を示している。
【0004】このような融着接合構造は次に説明する方法によって形成されている。この方法では図9〜図11に示したクランプ用治具5やゲージ用治具8が用いられる。クランプ用治具5は、樹脂管1を挟持させるためのクランプ片51を備えており、そのクランプ片51の筒形の先端部に外拡がりに傾斜したテーパ面57が備わっている。
【0005】クランプ用治具5は、ゲージ用治具8と共働して樹脂筒体2に対する樹脂管1の差込み代(嵌合長さ)Lや加熱用ヒータ(後述する)による加熱域長さaを適切に定めることに用いられる。差込み代Lを適切に定めるためには、図11のように、樹脂管1の先端部がゲージ用治具8の内端面81に突き当たるまで差し込むことと、そのゲージ用治具8の外端面82にクランプ用治具5のクランプ片51の先端56が当たるようにしてそのクランプ用治具5で樹脂管1を挟持させることとを行った後、ゲージ用治具8を樹脂管1から取り外すようにする。このようにすると、樹脂管1を挟持しているクランプ片51から樹脂管1の端部が上記長さLだけ突出し、その長さLが差込み代となる。
【0006】差込み代Lが適切に定められた樹脂管1には、図12のように加熱用ヒータ6がセットされる。このときには、樹脂管1を挟持しているクランプ片51によって加熱域長さaが定められる。すなわち、同図のように加熱用ヒータ6は樹脂管1に嵌合される筒状の樹脂管側加熱部62を備えており、その樹脂管側加熱部62が接触又は近接している樹脂管1の樹脂外層部12が加熱溶融される。また、同図のように、樹脂管側加熱部62はその先端がクランプ片51の先端56に当たるまで樹脂管1に嵌合される。そのため、加熱用ヒータ6による加熱域長さaと上記した差込み代Lとが略同一になる。一方、加熱用ヒータ6は、樹脂筒体2を加熱することにも用いられる。すなわち、加熱用ヒータ6には筒状の筒体側加熱部63が備わっており、その筒体側加熱部63が接触又は近接している樹脂筒体2の樹脂内層部22と端部樹脂層23とが加熱溶融される。このときの筒体側加熱部63による樹脂筒体2の加熱域長さbは、上記した樹脂管1の加熱域長さaと略同等に定められる。
【0007】こうして樹脂筒体2の樹脂内層部22及び端部樹脂層23の加熱溶融と、樹脂管1の樹脂外層部12の加熱溶融とが同時に行われた後、加熱用ヒータ6が取り外された樹脂筒体2が樹脂管1に圧入状に外嵌合される。このときには、図13のように、樹脂筒体2がクランプ片51の先端56に当たるまで差し込まれるので、樹脂管1の加熱溶融されている樹脂外層部12と樹脂筒体2の加熱溶融されている樹脂内層部22とが、樹脂管1と樹脂筒体2との重なり部分イで互いに融着される。また、樹脂筒体2を樹脂管1に圧入状に外嵌合するのに伴ってはみ出してきた余剰樹脂が上記した入隅状の凹所4を埋めて樹脂ビード3を形成する。この場合、入隅状の凹所4は、クランプ用治具5のテーパ面57によって塞がれているので、凹所4を埋めた樹脂ビード3の外表面31は、そのテーパ面57により、樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形に成形される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図14に示した樹脂筒体2と樹脂管1との重なり部分イでは、樹脂筒体2の溶融している樹脂内層部22と樹脂管1の溶融している樹脂外層部12とが重なり合って融合した状態で融着しているので信頼性の高い融着接合状態が得られる。同様に、樹脂筒体2の端面21と樹脂ビード3との重なり部分ロでも、その重なり部分ロが、樹脂筒体2の溶融している端部樹脂層23と溶融している樹脂ビード3とが重なり合って融合した状態で融着している場合には信頼性の高い融着接合状態が得られる。これらの重なり部分イ,ロに対し、樹脂管1の外表面11と樹脂ビード3との重なり部分ハでは、溶融している樹脂ビード3と溶融していない樹脂管1の外表面11とが重なりあっているだけであるので、見掛け上は融着接合されているように見えても樹脂同士が融合した状態にはなっておらず、信頼性の高い融着接合状態が得られにくい。これらのことを図面上で明確に示すために、図14では、融着接合されている重なり部分イ,ロを破線で示し、融着接合されていない重なり部分ハを実線で示してある。
【0009】図13や図14に示した融着接合構造を持つ配管系において、樹脂管1や樹脂筒体2に曲げ力が加わると、入隅状の上記凹所4のコーナ部分Xに力が集中しやすい。この力は、樹脂筒体2から突き出た樹脂ビード3が樹脂管1を取り巻いていることによって幾分かはその樹脂ビード3の長さ範囲内で分散されるけれども、樹脂ビード3と樹脂管1とは上記したように溶融樹脂同士が融着接合されているというものではないので、それらの重なり部分ハが剥離して樹脂ビード3による応力分散作用が十分に発揮されなくなり、ひどい場合には樹脂管1が上記コーナ部Xのところで折損するという事態を生じるおそれがあった。
【0010】本発明は以上の事態を改善するためになされたものであって、互いに融着接合された樹脂管や樹脂筒体に曲げ力が加わった場合に、一方側部材の端面と他方側部材の外表面とによって形成される入隅状の凹所を埋めている樹脂ビードによる応力分散作用が良好に発揮されて樹脂管に折損などの事態が生じることを回避することのできる樹脂管の融着接合構造を提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、そのような融着接合構造を形成することのできる樹脂管の融着接合方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る樹脂管の融着接合構造では、樹脂管とその相手方である樹脂筒体とのうちの一方側部材(樹脂筒体2)が他方側部材(樹脂管1)に外嵌合されて両者が重なり部分イで融着接合され、一方側部材の端面21と他方側部材の外表面11とによって形成される入隅状の凹所4が、上記一方側部材から他方側部材の外表面に向かって下がり勾配に傾斜した外表面31を備える樹脂ビード3によって埋められている。この構成は、図13及び図14で説明した従来の融着接合構造にも備わっている。
【0013】本発明では、上記樹脂ビード3が、上記一方側部材の端部樹脂層23及び上記他方側部材の樹脂外層部12に融着によって接合されている。ここで「融着」とは、溶融している樹脂同士が融合して融着している状態を意味している(以下、同じ)。
【0014】このようになっていると、一方側部材や他方側部材に曲げ力が加わったときに、その曲げ力が樹脂ビードの長さ範囲内で分散されて一個所に集中することがなくなる。そのため、樹脂管が折損するという事態を生じるおそれを回避することが可能になる。このような樹脂ビードによる応力分散作用は、上記一方側部材の端部樹脂層及び上記他方側部材の樹脂外層部に対する上記樹脂ビードの重なり個所の全体がそれらに融着によって接合されていることによって顕著に発揮される。
【0015】上記樹脂ビードが、上記一方側部材の樹脂内層部と上記他方側部材の樹脂外層部とを加熱溶融させた後でそれらを互いに圧入状に嵌合させるのに伴って上記入隅状の凹所にはみ出してきた余剰樹脂によって形成されていることが望ましい。
【0016】これによると、一方側部材と他方側部材とを圧入状に嵌合させるだけで樹脂ビードが形成されるので、溶接などで樹脂ビードを別途に形成する必要がない。
【0017】本発明に係る樹脂管の融着接合方法は、樹脂管とその相手方である樹脂筒体とのうちの一方側部材を他方側部材に外嵌合して両者を重なり部分で融着接合する方法に関する。
【0018】また、本発明に係る樹脂管の融着接合方法では、一方側部材の端部樹脂層と樹脂内層部とを加熱溶融させると共に他方側部材の樹脂外層部とを加熱溶融させた状態で、両部材を互いに圧入状に嵌合することによって一方側部材の溶融している樹脂内層部と他方側部材の溶融している樹脂外層部とを融着させることと、その嵌合に伴って生じる余剰樹脂を一方側部材の端面と他方側部材の外表面とによって形成される入隅状の凹所にはみ出させることによってその余剰樹脂を一方側部材の溶融している上記端部樹脂層及び一方側部材から突き出している他方側部材の溶融している上記樹脂外層部に融着させることと、上記余剰樹脂をその外表面が一方側部材から他方側部材の外表面に向かって下がり勾配に傾斜する形状に成形することとを行った後、各融着個所を硬化させる。
【0019】この方法によると、一方側部材と他方側部材の重なり部分、樹脂ビードと一方側部材の端面及び他方側部材の外表面との各重なり部分が、すべて溶融樹脂同士の融着個所になるので、各重なり部分が強固に融着接合された状態になる。したがって、この方法によって得られる融着接合構造によると、樹脂ビードの外表面が一方側部材から他方側部材の外表面に向かって下がり勾配に傾斜する形状に成形されることと相まって、樹脂ビードによる応力分散作用が顕著に発揮されるようになる。
【0020】なお、この欄の記載において図面の符号を参照したのは、内容の理解を助けるためであって、発明の内容を図示のものに限定する意図ではない。
【0021】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明に係る融着接合方法の実施形態を示している。また、図3はその方法によって得られた融着接合構造の要部を拡大して示している。
【0022】図2は上掲の図13に相応し、図3は上掲の図14に相応している。図2及び図3において、1は樹脂管、2は樹脂筒体、3は樹脂ビードをそれぞれ示している。
【0023】図2及び図3のように、樹脂筒体2は樹脂管1に外嵌合されていて、それら両者の重なり部分イでは、樹脂筒体2の樹脂内層部22と樹脂管1の樹脂外層部12とが互いに融合して融着接合されている。このことを図面上で明確に示すために、図2や図3では重なり部分イを破線で示してある。
【0024】樹脂ビード3は、樹脂筒体2の端面21と樹脂管1の外表面11とによって形成される入隅状の凹所4を埋めていて、その外表面31が樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜している。この樹脂ビード3は、樹脂筒体2の端部樹脂層23及び樹脂管1の樹脂外層部12の両方に融合して融着接合されている。このことを図面上で明確に示すために、図2や図3では、樹脂ビード3と樹脂筒体2の端部樹脂層23との重なり部分ロや、樹脂ビード3と樹脂管1の樹脂外層部12との重なり部分ハを、それぞれ破線で示してある。
【0025】さらに詳しく説明すると、樹脂ビード3は、樹脂筒体2の樹脂内層部22と樹脂管1の樹脂外層部12とを加熱溶融させた後でそれらを互いに圧入状に嵌合させるのに伴って上記入隅状の凹所4にはみ出してきた余剰樹脂によって形成されている。しかも、その樹脂ビード3は、樹脂筒体2の端部樹脂層23と樹脂管1の樹脂外層部12とが加熱溶融されているときに上記凹所4にはみ出してきた余剰樹脂により形成されていると共に、そのようにして凹所4にはみ出してきた溶融状態の余剰樹脂を押圧成形することにより、その余剰樹脂によって形成されている樹脂ビード3の外表面31を樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形状に形作っている。そのため、樹脂ビード3と樹脂筒体2の端部樹脂層23及び樹脂管1の樹脂外層部12との重なり個所ロ,ハでは、その重なり個所ロ,ハの全体が融合して融着接合している。
【0026】このように、樹脂管1とそれに圧入状に外嵌合された樹脂筒体2との重なり個所イで融着接合され、しかも、上記凹所4にはみ出してきた溶融状態の余剰樹脂によって形成された樹脂ビード3が上記重なり個所ロ,ハで融着接合されていると、それらの重なり個所イ,ロ,ハでは信頼性の高い融着接合状態が得られる。しかも、樹脂ビード3の外表面31が樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形になっているので、樹脂管1や樹脂筒体2に曲げ力が加わったときに、その力が樹脂ビード3の長さ範囲内で分散されるようになって、入隅状の上記凹所4のコーナ部分Xに力が集中するという事態が起こりにくくなる。そのため、樹脂管1が上記コーナ部Xのところで折損するという事態を生じるおそれはほとんどなくなる。
【0027】次に、図1及び図2を参照して、図3の融着接合構造を得るための融着接合方法についての実施形態を説明する。
【0028】この方法においては、図9〜図11で説明したクランプ用治具5やゲージ用治具8が用いられる。すなわち、図11で説明したところと同様にそのクランプ用治具5やゲージ用治具8を使って樹脂筒体2に対する樹脂管1の差込み代や加熱用ヒータによる加熱域長さaが適切に定められる。クランプ用治具5を用いて差込み代が適切に定められた樹脂管1には、図1のように加熱用ヒータ6がセットされ、クランプ用治具5によって加熱域長さaが定められる。
【0029】ここで用いられる加熱用ヒータ6には、クランプ用治具5によって定められる加熱域長さaを含んでそれよりも長い範囲で樹脂管1の樹脂外層部12を加熱溶融させ得る機能が求められる。この要求に対処するため、図例の加熱用ヒータ6では、筒状の樹脂管側加熱部62の先端に、クランプ用治具5のテーパ面57の内部に配備される先窄まり形状のリング状加熱部63が一体に備わっている。そして、図1のように、樹脂管側加熱部62がクランプ片51の先端56に当たるまで樹脂管1に嵌合され、同時に、リング状加熱部63がクランプ用治具5のテーパ面57の内部に配備される。そのため、樹脂管1の樹脂外層部12は、クランプ用治具5によって定められる加熱域長さaと上記リング状加熱部63の長さに相応する加熱域長さcとの両方を併せた範囲が加熱溶融される。一方、加熱用ヒータ6に備わっている筒体側加熱部63は、図12で説明したところと同様に、樹脂筒体2の樹脂内層部22と端部樹脂層23とを加熱溶融することに用いられ、そのときの筒体側加熱部63による樹脂筒体2の加熱域長さbは、上記した樹脂管1の加熱域長さaと略同等に定められる。
【0030】こうして樹脂筒体2の樹脂内層部22及び端部樹脂層23の加熱溶融と、樹脂管1の樹脂外層部12が加熱溶融とが同時に行われた後、加熱用ヒータ6が取り外された樹脂筒体2が樹脂管1に圧入状に外嵌合される。このときには、図2のように、クランプ用治具5のクランプ片51の先端56に当たるまで樹脂筒体2が圧入状に差し込まれるので、樹脂管1の加熱溶融されている樹脂外層部12と樹脂筒体2の加熱溶融されている樹脂内層部22とが、樹脂管1と樹脂筒体2との重なり部分イで互いに融合して融着される。
【0031】また、樹脂筒体2を樹脂管1に圧入状に外嵌合するのに伴ってはみ出してきた余剰樹脂が上記した入隅状の凹所4を埋めて樹脂ビード3を形成する。この場合、入隅状の凹所4は、クランプ用治具5のテーパ面57によって塞がれているので、凹所4を埋めた樹脂ビード3の外表面31は、樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形に成形される。これと共に、テーパ面57によって樹脂ビード3が押圧されることにより、溶融状態の樹脂ビード3と樹脂筒体2の加熱溶融されている端部樹脂層23及び樹脂管1の加熱溶融されている樹脂外層部12とが、図3に示したそれらの重なり個所ロ,ハの全体で融合して融着接合される。なお、上記した各重なり部分イ,ロ,ハでの各融着個所は、その後に硬化する。
【0032】この融着接合方法を行うことによって形成された融着接合構造によれば、互いに融着接合された樹脂管1や樹脂筒体2に曲げ力が加わった場合に、樹脂ビード3による応力分散作用が良好に発揮されて樹脂管1に折損などの事態が生じることが回避される。
【0033】図4及び図5は樹脂筒体2がその内周部に段付部25を備えている場合に、その樹脂筒体2と樹脂管1とを融着接合する方法を示している。この事例においても、樹脂筒体2に対する樹脂管1の差込み代や加熱用ヒータによる加熱域長さaが上記クランプ用治具5やゲージ用治具8(図11参照)によって適切に定められる。また、樹脂管1や樹脂筒体2の所定個所を加熱溶融させるためには、図1で説明したものと同様の構成の加熱用ヒータ6が用いられる。したがって、図4に示したように、樹脂筒体2についてはその端部樹脂層23と樹脂内層部22とが加熱溶融され、樹脂管1についてはその樹脂外層部12が加熱溶融される。
【0034】上記のようにして樹脂筒体2の樹脂内層部22及び端部樹脂層23の加熱溶融と、樹脂管1の樹脂外層部12が加熱溶融とが同時に行われた後、加熱用ヒータ6が取り外された樹脂筒体2が樹脂管1に圧入状に外嵌合される。このようにすると、図5のように、樹脂管1の加熱溶融されている樹脂外層部12と樹脂筒体2の加熱溶融されている樹脂内層部22とが、樹脂管1と樹脂筒体2との重なり部分イで互いに融合して融着される。また、樹脂筒体2を樹脂管1に圧入状に外嵌合するのに伴ってはみ出してきた余剰樹脂が上記した入隅状の凹所4を埋めて樹脂ビード3を形成する。余剰樹脂のはみ出しが適切に行われるようにするためには、樹脂筒体2の内周面を外拡がり状のテーパ面に形成しておくことが有効である。凹所4を埋めた樹脂ビード3の外表面31は、樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形に成形され、さらに、溶融状態の樹脂ビード3と樹脂筒体2の加熱溶融されている端部樹脂層23及び樹脂管1の加熱溶融されている樹脂外層部12とが、図3に示したそれらの重なり個所ロ,ハの全体で融合して融着接合される。なお、上記した各重なり部分イ,ロ,ハでの各融着個所は、その後に硬化する。この融着接合方法を行うことによって形成された融着接合構造によっても、互いに融着接合された樹脂管1や樹脂筒体2に曲げ力が加わった場合に、樹脂ビード3による応力分散作用が良好に発揮されて樹脂管1に折損などの事態が生じることが回避される。
【0035】図6〜図7は樹脂ビード3の外表面31の様々な形状を例示している。これらの図に示した樹脂ビード3の外表面31はいずれも樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形に成形されている点で共通しているけれども、図6の樹脂ビード3の外表面31は、樹脂管1の外表面11に対して略45°に傾斜したストレート面に成形され、図7の樹脂ビード3の外表面31は、樹脂管1の外表面11に対して45°よりも小さい角度に傾斜したストレート面に成形されている。また、図8の樹脂ビード3の外表面31は、凹入状に湾曲した傾斜面に形成されている。
【0036】このように、樹脂ビード3の外表面31を、樹脂筒体2から樹脂管1の外表面11に向かって下がり勾配に傾斜した形に成形しておくのは、樹脂ビード3の外表面31がそのような形になっていると、樹脂管1や樹脂筒体2に曲げ力が加わったときの樹脂ビード3による応力分散作用が顕著に発揮されるからである。
【0037】図1〜図14の説明では、説明を簡略にするために、同一又は相応する部分に共通の符号を付してある。
【0038】また、上記した実施形態では、樹脂筒体2として、樹脂継手の接続口部を例示してあるけれども、樹脂筒体2が樹脂管の端部であってもよい。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る融着接合構造によれば、互いに融着接合された樹脂管や樹脂筒体に曲げ力が加わった場合に、一方側部材の端面と他方側部材の外表面とによって形成される入隅状の凹所を埋めている樹脂ビードによる応力分散作用が良好に発揮されて樹脂管に折損などの事態が生じることを回避するが可能になる。
【0040】本発明に係る融着接合方法によれば、そのような融着接合構造を形成することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【出願日】 平成11年9月8日(1999.9.8)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82668(P2001−82668A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−254228