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【発明の名称】 配管用ヘッダー
【発明者】 【氏名】西岡 明

【要約】 【課題】継手に対するパイプの差し込みのチェックを通水の可否で行うことができるとともに、使用しない継手に対する閉栓処置が不要であり、漏水事故の発生を防止することが可能な配管用ヘッダーを提供する。

【解決手段】パイプ7を固定するためのロック手段20とシール手段21、21とが下流部16に設けられている継手10を複数有する配管用ヘッダー5、6であって、前記継手10の上流部17に安全弁23を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パイプを固定するためのロック手段とシール手段とが下流部に設けられている継手を複数有する配管用ヘッダーであって、前記継手の上流部に安全弁が設けられていることを特徴とする配管用ヘッダー。
【請求項2】 前記安全弁が、弁座と、この弁座に対して上流側から当接可能であるパッキンを有する弁体とを有しており、前記継手にパイプを接続していないときには、継手の上流側の水圧により前記安全弁が閉じた状態となり、継手にパイプを接続しているときには、接続されたパイプによって前記弁体が上流側へ付勢され、前記安全弁が開いた状態となる請求項1に記載の配管用ヘッダー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数本の配管を分岐接続するための配管用ヘッダーに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば給水と給湯の配管工事に際して、一般には、給水主管を分岐して、一方の配管を給湯設備に接続し、この給湯管と他方の給水管とを屋内に引き込んで、これを給湯用と給水用の配管用ヘッダーに接続し、この配管用ヘッダーから取り出した湯水を送るためのパイプを、台所や洗面所、浴室の水栓や洗濯機、トイレのタンクなどに接続するようにしている。
【0003】このような配管工事に用いられる従来の配管用ヘッダーは、パイプを固定するためのロック手段とシール手段とを設えた継手を具備しており、前記パイプを継手に差し込むだけで、パイプが継手に固定されるという構成になっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の構成からなる従来の配管用ヘッダーでは、前記パイプを継手の所定の位置まで差し込まなくても、一時的には抜けなくなり、かつ通水可能となるため、継手に対するパイプの差し込みが浅いかどうかを通水の可否で明確に判断することができなかった。そして、前記差し込みが不完全な状態で配管用ヘッダーが使用され続けると、時間の経過とともに継手によるパイプの固定が緩んだり、前記パイプの下流側から加わった衝撃などによって、継手からパイプが外れてしまい、漏水事故などが生じるおそれがあった。
【0005】また、上記の構成からなる従来の配管用ヘッダーでは、パイプが接続されない継手をその状態で放っておくと、そこから水が漏れるため、キャップを被せるなどの閉栓処置を行う必要があった。そして、上記のような閉栓処置が不完全であったり、閉栓処置を忘れたりすると、やはり漏水事故などが生じるおそれがある。
【0006】本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、継手に対するパイプの差し込みのチェックを通水の可否で行うことができるとともに、使用しない継手に対する閉栓処置が不要であり、漏水事故の発生を防止することが可能な配管用ヘッダーを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の配管用ヘッダーは、パイプを固定するためのロック手段とシール手段とが下流部に設けられている継手を複数有する配管用ヘッダーであって、前記継手の上流部に安全弁を設けた(請求項1)。
【0008】また、前記安全弁が、弁座と、この弁座に対して上流側から当接可能であるパッキンを有する弁体とを有しており、前記継手にパイプを接続していないときには、継手の上流側の水圧により前記安全弁が閉じた状態となり、継手にパイプを接続しているときには、接続されたパイプによって前記弁体が上流側へ付勢され、前記安全弁が開いた状態となるとしてもよい(請求項2)。
【0009】上記の構成により、継手に対するパイプの差し込みのチェックを通水の可否で行うことができるとともに、使用しない継手に対する閉栓処置が不要であり、漏水事故の発生を防止することが可能な配管用ヘッダーを提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を、図を参照しながら説明する。図1および図2は、本発明の第一実施例に係る配管用ヘッダー5,6の構成を概略的に示す斜視図および一部切断平面図である。1は給水主管、2は給湯設備であり、給湯設備2には、給水主管1からの分岐管3が接続されている。そして、給水主管1と給湯設備2からの給湯主管4とを屋内に引き込んで、それぞれを給水用と給湯用の配管用ヘッダー5、6に接続している。なお、配管用ヘッダー5、6は、たとえばクランプなどによって床部材などに固定される。
【0011】前記給水用の配管用ヘッダー5には、4本のパイプ7、7…が接続され、各パイプ7が、台所、洗面所、浴室、洗濯機に備えた水栓8、8、8、8とトイレのタンク9とに接続されている。また、前記給湯用の配管用ヘッダー6には、3本のパイプ7が接続され、各パイプ7が上記の各水栓8に接続されている。
【0012】前記給水用の配管用ヘッダー5と給湯用の配管用ヘッダー6の構成は、ほとんど同じであり、相違点は、給水用の配管用ヘッダー5が継手10(詳細は後述する)を4つ備えているのに対し、給湯用の配管用ヘッダー6が継手10を3つ備えている点のみであることから、前記給湯用の配管用ヘッダー6の説明は、省略する。なお、前記給水用の配管用ヘッダー5が有する継手10の個数は4つに限るものではなく、前記給湯用の配管用ヘッダー6が有する継手10の個数は3つに限るものではない。
【0013】前記給水用の配管用ヘッダー5は、内部に形成された中空部をヘッダー室11とするほぼ筒状の本体12と、この本体12の前面に設けられた5つの継手10、10…とから構成されている。
【0014】前記本体12のヘッダー室11は、一端側に、前記給水主管1の接続口13を有し、他端側に、プラグ用の接続口14を有している。また、ヘッダー室11の前面には、5つの継手接続口15、15…が一列に設けられており、各継手接続口15には、前記水栓8などへのパイプ7を接続するための前記継手10が設けられる。
【0015】図3および図4は、パイプ7の接続前および接続後の前記継手10の構成を概略的に示す横断面図である。前記継手10は、ほぼ筒状であり、下流部16と上流部17とからなる。
【0016】前記下流部16は、ほぼ筒状で外周の上流部分に雄ねじ部18aが形成された第一筒体18と、同じくほぼ筒状で、前記雄ねじ部18aが螺着する雌ねじ部19aが内周の下流部分に形成され、また、雄ねじ部19bが外周の上流部分に形成された第二筒体19と、前記第一筒体18と第二筒体19とによって挟持されるロック手段20とからなる。また、前記第一筒体18と第二筒体19の内壁には、それぞれシール手段として、たとえばOリング21が設けられている。なお、16’はシール部材である。
【0017】前記ロック手段20は、弾性金属板の中央に穴を有し、この穴の周縁がぎざぎざである二つのロックリング20a、20aと、二つのロックリング20a、20aの間に位置するスペーサ20bとからなる。なお、下流部16は、上記の構成に限るものではない。
【0018】前記上流部17は、前記第二筒体19の雄ねじ部19bが螺着する雌ねじ部22aが内周の下流部分に形成されたほぼ筒状の第三筒体22と、この第三筒体22の内部に設けられた安全弁23とからなる。なお、22’はシール部材である。
【0019】前記安全弁23は、前記パイプ7が接続されていない状態の継手10を通水不能とし、パイプ7が接続されている状態の継手10を通水可能とする機能を有している。そして、安全弁23は、下流部分に弁座24を有するほぼ筒状の弁座保持体25と、前記弁座24に対して上流側から当接可能である環状のパッキン26を有する弁体27と、この弁体27を下流側へ付勢する弾性部材であるスプリング28を保持するための弾性部材保持体29とから構成される。なお、25’はシール部材である。
【0020】前記弁体27は、前記パッキン26と、このパッキン26を挟持する二つの挟持体30、31とからなる。
【0021】前記挟持体30は、前記弁座24を挿通する円柱部分30aと、この円柱部分30aの下流端に連設され、複数のスリットS、S…を有する円盤部分30bと、この円盤部分30bの周縁から下流側に向けて設けられた円筒部分30cと、前記円柱部分30aの中央部に設けられた大径部分30dと、前記円柱部分30aの上流部に設けられた雄ねじ部分30eとからなる。なお、前記円筒部分30cは、前記第二筒体19の内壁によってガイドされることになる。
【0022】前記挟持体31は、挟持体30の上流側に設けられており、下流側から順に、大径部分31a、中径部分31b、小径部分31cが連設されている。前記大径部分31aには、前記パッキン26を挿入可能な凹入部31dが設けられており、また、前記中径部分31bには、前記挟持体30の雄ねじ部分30eが螺着される雌ねじ部分31eが形成されている。
【0023】上記の構成からなる弁体27は、パッキン26を介して、前記挟持体30の雄ねじ部分30eと挟持体31の雌ねじ部分31eを螺着することで組み立てられている。
【0024】前記弾性部材保持体29は、中央に円形の穴32aを有する正面視が円形の円形部材32と、この円形部材32の円形の穴32aの周縁から下流側に向けて設けられた環状突起33と、前記円形部材32の周縁付近から下流側に向けて設けられ、外径が、前記弁座保持体25の内径とほぼ同じとなる環状突起34とからなる。なお、前記円形部材32には、穴32aから円形部材32の周縁にかけて複数のスリットS’、S’…が形成されており、水は、前記穴32aと前記複数のスリットS’、S’…を通って自由に円形部材32の上流側から下流側へ移動することができる構成となっている。
【0025】そして、前記弾性部材保持体29は、前記環状突起34が前記弁座保持体25の上流側の内壁に嵌め込まれた状態となっている。また、前記環状突起33内を、前記弁体27の挟持体31の小径部分31cが挿通可能となっている。
【0026】前記スプリング28は、前記弁体27の中径部分31bの外周から、前記弾性部材保持体29の環状突起33の外周にかけて設けられている。
【0027】上記の構成からなる安全弁23は、継手10の内壁に沿って摺動するが、下流側へは、前記パッキン26の下流側の面が前記弁座24の上流側の面に当接するまで移動でき、上流側へは、前記挟持体31の中径部分31bの上流側の面が、前記弾性部材保持体29の環状突起33の下流端に当接するまで移動することができる。
【0028】前記パイプ7は、たとえば架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの樹脂パイプなどであり、パイプ7を継手10へ差し込む場合、パイプ7の変形を防止するために、真鍮などの金属で形成されたほぼ円筒状のコア7’がパイプ7の上流端部に嵌め込まれる。
【0029】次に、前記継手10の動作について説明する。パイプ7が接続される前の継手10は、図3に示すように、前記弁体27が前記スプリング28によって下流側へ付勢された状態にあり、この状態では、継手10の上流側の水の水圧と前記スプリング28の付勢とによって、前記パッキン26が弁座24に当接し、安全弁23は閉じた状態となる。このため、継手10の上流側から下流側へ水が流れることはない。
【0030】そして、パイプ7を継手10に差し込むと、図4に示すように、パイプ7の上流端部によって前記挟持体30の円筒部分30cが上流側へ付勢され、この付勢が、前記継手10の上流側の水の水圧とスプリング28の付勢よりも大きくなると、安全弁23が上流側へ押されることになり、弁座24に当接していたパッキン26が、弁座24から離れ、安全弁23が開いた状態となる。尚、パイプ7の外周面は、ロックリング20a、20aの穴周縁に設けたぎざぎざ部分に係止し、パイプ7はロックされる。このような状態になって初めて継手10の上流側から下流側へ水が流れることになる。従って、前記継手10に対するパイプ7の差し込みが不完全な状態では、継手10の下流側に水が流れないため、継手10に対するパイプ7の差し込みが不完全であることから生じる漏水事故を未然に防ぐことができる。
【0031】また、パイプ7が接続されない継手10から水が漏れることが無いため、使用しない継手10に対して、キャップなどを被せる閉栓処理を施す必要がない。
【0032】
【発明の効果】以上説明したような構成からなる本発明によって、継手に対するパイプの差し込みのチェックを通水の可否で行うことができるとともに、使用しない継手に対する閉栓処置が不要であり、漏水事故の発生を防止することが可能な配管用ヘッダーを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000144072
【氏名又は名称】株式会社三栄水栓製作所
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
【公開番号】 特開2001−82666(P2001−82666A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−264547