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【発明の名称】 樹脂管の穿孔方法及び穿孔装置
【発明者】 【氏名】岸本 裕司

【氏名】小峰 高志

【要約】 【課題】切削時の発熱や樹脂の軟化を抑えて切削屑が回転切削刃の刃部に絡みつくという事態の生じにくい樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置を提供する。切削後に管路に切削屑が残りにくい樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置を提供する。

【解決手段】仕切弁10の管状部12の一端側の管口部に、樹脂管の管壁100の穿孔予定箇所を取り囲む状態で管路分岐用管部材30を連結する。管状部12の他端側の管口部に穿孔装置本体50を取り付ける。穿孔装置本体50の回転切削刃を、管状部12と管部材30とによって形成される管路を通して穿孔予定箇所に対し出退可能とする。仕切り弁10を開状態に保ったまま、管部材30の水通路を経て穿孔予定箇所に水を供給しながら、穿孔装置本体50の回転切削刃で樹脂管の管壁100を穿孔する。切削屑を回転掘削刃の胴部内に回収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管状部を有しその管状部の水通路を開閉する機能を備えた仕切弁の上記管状部の一端側の管口部に、樹脂管の管壁の穿孔予定箇所を取り囲む状態でその管壁に水密に取り付けられた管路分岐用管部材を連結し、かつ、上記管状部の他端側の管口部に穿孔装置本体を取り付けることによって、その穿孔装置本体の回転切削刃を、上記管状部の水通路と上記管部材の内部の水通路とによって形成される管路を通して上記穿孔予定箇所に対し出退可能とし、上記仕切り弁を開状態に保ったまま、上記管部材の水通路を経て上記穿孔予定箇所に水を供給することと、上記穿孔装置本体の回転切削刃を上記穿孔予定箇所に突出させて上記管壁を穿孔することと、を併行させることによって上記穿孔予定箇所を水で濡らしながら穿孔することを特徴とする樹脂管の穿孔方法。
【請求項2】 上記仕切り弁を開状態に保ったまま、上記管部材の水通路を経て上記穿孔予定箇所に水を供給することと、上記穿孔装置本体の回転切削刃を上記穿孔予定箇所に突出させて上記管壁を穿孔することと、を併行させることによって上記穿孔予定箇所を水で濡らしながら穿孔した後、上記回転切削刃を上記管状部の一端側の管口部の外側に後退させて上記仕切り弁を閉状態に切り換え、その後、上記管状部の他端側の管口部から穿孔装置本体を取り外してその管状部の他端側の管口部を分岐管の取付口として用いる請求項1に記載した樹脂管の穿孔方法。
【請求項3】 上記回転切削刃が中空の胴部とその胴部の胴壁の端部に具備された刃部とを有し、上記胴壁に、水の流通が可能でかつその胴部の内側に回収した切削屑を捕捉可能な有孔部が備わっている請求項1又は請求項2に記載した樹脂管の穿孔方法。
【請求項4】 上記穿孔予定箇所に対する給水とその穿孔予定箇所からの排水とを連続して併行させながら穿孔を行う請求項1、請求項2、請求項3のいずれかに記載した樹脂管の穿孔方法。
【請求項5】 樹脂管の管壁の穿孔予定箇所を取り囲む状態でその管壁に水密に取り付けられる管路分岐用管部材と、一端側の管口部が上記管部材の端部に取り付けられる管状部を有しその管状部の内部の水通路を開閉する機能を備えた仕切弁と、上記管状部の他端側の管口部に取り付けられかつ上記管状部の開放状態の水通路と上記管部材の内部の水通路とによって形成される管路を通して上記穿孔予定箇所に対し出退可能な回転切削刃を有する穿孔装置本体と、上記管部材の上記水通路を経て上記穿孔予定箇所に水を供給するための給水手段と、を備えていることを特徴とする樹脂管の穿孔装置。
【請求項6】 上記管状部の他端側の管口部に、上記穿孔装置本体と分岐管との両方を択一的に取付け可能な取付部が備わっている請求項5に記載した樹脂管の穿孔装置。
【請求項7】 上記回転切削刃が中空の胴部とその胴部の胴壁の端部に具備された刃部とを有し、上記胴壁に、水の流通が可能でかつその胴部の内側に回収した切削屑を捕捉可能な有孔部が備わっている請求項5又は請求項6に記載した樹脂管の穿孔装置。
【請求項8】 上記給水手段が、上記管部材の水通路に連通する給水口と排水口とを備えている請求項5、請求項6、請求項7のいずれかに記載した樹脂管の穿孔装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂管の穿孔方法及び穿孔装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水道配管などに用いられている既設の樹脂管に、分岐管を接続する必要が生じた場合、ホールソーを用いて既設の樹脂管の管壁を穿孔するという工事が行われる。このホールソーは、回転切削刃が中空の胴部とその胴部の胴壁の端部に具備された刃部とを有しており、その刃部を樹脂管の管壁の穿孔予定箇所に押し付けることによって切削が行われるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂管の管壁をホールソーの回転切削刃で切削することによって穿孔すると、切削時の発熱による樹脂の軟化により、回転切削刃の刃部に切削によって生じた切削粉や帯片といた切削屑が溶着などの現象で絡みついて円滑な穿孔作業が阻害されやすい。
【0004】本発明は以上の状況下でなされたものであり、切削時の発熱や樹脂の軟化を抑えて切削屑が回転切削刃の刃部に絡みつくという事態の生じにくい樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、切削によって生じる切削屑が回収されるようになる工夫を講じて、切削後に管路に切削屑が残りにくくなる樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置を提供することを目的とする。
【0006】さらに、本発明は、穿孔作業が終了した後に、迅速に分岐管を接続することができるようになる樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る樹脂管の穿孔方法では、仕切り弁と、管路分岐用管部材と、ホールソーなどの穿孔装置本体とが用いられる。
【0008】仕切り弁は、管状部を有しその管状部の水通路を開閉する機能を備えている必要がある。管路分岐用管部材は、樹脂管の管壁の穿孔予定箇所を取り囲む状態でその管壁に水密に取り付けられている必要がある。穿孔装置本体は回転掘削刃を備えている必要がある。
【0009】本発明に係る樹脂管の穿孔方法では、仕切弁に具備されている管状部の一端側の管口部に管路分岐用管部材を連結し、かつ、管状部の他端側の管口部に穿孔装置本体を取り付け、そうすることによって、穿孔装置本体の回転切削刃を、管状部の水通路と管部材の内部の水通路とによって形成される管路を通して穿孔予定箇所に対し出退可能とする。そして、仕切り弁を開状態に保ったまま(すなわち管状部の水通路を開いたまま)、管部材の水通路を経て穿孔予定箇所に水を供給することと、穿孔装置本体の回転切削刃を穿孔予定箇所に突出させて樹脂管の管壁を穿孔することと、を併行させることによって上記穿孔予定箇所を水で濡らしながら穿孔する、という手順が採られる。
【0010】この方法によると、切削時の発熱や樹脂の軟化が、穿孔予定箇所に供給されてその箇所を濡らしている水によって防止されるので、切削屑が回転切削刃の刃部に溶着などの現象によって絡みつくという事態が生じにくくなる。また、穿孔予定箇所を濡らす水は、管部材の水通路を経て穿孔予定箇所に供給されるので、水が無駄に消費されにくくなる。
【0011】本発明に係る樹脂管の穿孔方法を行うに際しては、穿孔予定箇所に対する給水とその穿孔予定箇所からの排水とを連続して併行させながら穿孔を行うことが望ましい。これによれば、穿孔作業中には常に新しい水が穿孔予定箇所に供給されるようになるので、穿孔予定箇所を濡らしている水の温度が上がって切削屑が回転切削刃の刃部に絡みつくという事態が起こらない。
【0012】本発明に係る樹脂管の穿孔方法では、仕切り弁を開状態に保ったまま、管部材の水通路を経て穿孔予定箇所に水を供給することと、穿孔装置本体の回転切削刃を穿孔予定箇所に突出させて管壁を穿孔することと、を併行させることによって穿孔予定箇所を水で濡らしながら穿孔した後、回転切削刃を管状部の一端側の管口部の外側に後退させて仕切り弁を閉状態に切り換え、その後、管状部の他端側の管口部から穿孔装置本体を取り外してその管状部の他端側の管口部を分岐管の取付口として用いるようにすることが望ましい。
【0013】このようにすると、穿孔作業終了後に管状部の他端側の管口部から穿孔装置本体を取り外し、管状部の他端側の管口部を分岐管の取付口として、そこに分岐管を接続することが可能であり、そのようにすることによって、迅速に分岐管を接続することができるようになる。
【0014】さらに、本発明では、中空の胴部とその胴部の胴壁の端部に具備された刃部とを有し、胴壁に、水の流通が可能でかつその胴部の内側に回収した切削屑を捕捉可能な有孔部が備わっているような回転切削刃を備えた穿孔装置本体を用いることが望ましい。回転切削刃がこの構成を有していると、切削によって生じる切削屑が回転切削刃の胴部の内側に回収される。そのため、切削後に管路に切削屑が残って仕切り弁の管状部を詰まらせたりするといった事態が起こりにくい。
【0015】本発明に係る樹脂管の穿孔装置は、樹脂管の管壁の穿孔予定箇所を取り囲む状態でその管壁に水密に取り付けられる管路分岐用管部材と、一端側の管口部が上記管部材の端部に取り付けられる管状部を有しその管状部の内部の水通路を開閉する機能を備えた仕切弁と、上記管状部の他端側の管口部に取り付けられかつ上記管状部の開放状態の水通路と上記管部材の内部の水通路とによって形成される管路を通して上記穿孔予定箇所に対し出退可能な回転切削刃を有する穿孔装置本体と、上記管部材の上記水通路を経て上記穿孔予定箇所に水を供給するための給水手段と、を備えている。
【0016】この穿孔装置では、上記管状部の他端側の管口部に、上記穿孔装置本体と分岐管との両方を択一的に取付け可能な取付部が備わっていることが望ましい。また、上記回転切削刃が中空の胴部とその胴部の胴壁の端部に具備された刃部とを有し、上記胴壁に、水の流通が可能でかつその胴部の内側に回収した切削屑を捕捉可能な有孔部が備わっていることが望ましい。さらに、上記給水手段が、上記管部材の水通路に連通する給水口と排水口とを備えていることが望ましい。
【0017】このような穿孔装置によると、上述した本発明に係る穿孔方法を行うことが可能になる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態に係る樹脂管の穿孔装置を示した側面図、図2は樹脂管の管壁100と管路分岐用管部材30との連結構造を示した部分横断平面図、図3は図2のIII矢視方向から見た上記連結構造の部分縦断側面図、図4は穿孔装置本体50の要部を示した横断平面図である。
【0019】図1のように、この穿孔装置は、仕切り弁10と、管路分岐用管部材(以下「管部材」という)30と、穿孔装置本体50とを備えている。
【0020】図2及び図3に詳細に示されているように、管部材30は円弧状の一対のサドル31,32を備えている。そして、これらのサドル31,32で樹脂管100を抱き込ませ、その状態でそれぞれのサドル部31,32に設けられているフランジ部33,34をボルト・ナットなどの締結具35で締め付けることによって樹脂管の管壁100に取り付けられている。この場合、一対のサドル部31,32と管壁100との間にパッキン36が挟み込まれ、そのパッキン36によって管壁100の穿孔予定箇所イ(図2及び図3には穿孔予定箇所イが仮想線で示されている)が取り囲まれている。したがって、一方側のサドル部32に、管部材30は、樹脂管の管壁100の穿孔予定箇所イを取り囲む状態でその管壁イに水密に取り付けられている。一対の上記サドル31,32のうちの一方側のサドル32には、短管部37が一体に設けられており、この短管部37の端部にはフランジ部38が一体に設けられている。
【0021】図1のように、仕切り弁10は、弁箱11の一部が管状部12として形成されており、その管状部12の一端側の管口部にフランジ部13が具備され、その他端側の管口部にもフランジ部(取付部)14が具備されている。そして、一端側の管口部に具備されたフランジ部13が上記管部材30のフランジ部38にボルト・ナットなどの締結具15を介して取り付けられている。なお、フランジ部13,38の相互間にはパッキンが介在されてその箇所の水密性が保たれている。この仕切り弁10は、弁箱11の外側に突き出た操作部16が回転されると、その回転量又は回転方向に応じて、弁箱11に内蔵されている弁機構(不図示)の弁体が、管状部12によって形成されている水通路を閉じる位置と開く位置との間で変移するようになっている。水通路が開くときの弁体の具体的な開位置は、弁体の全体が管状部の水通路の外側へ完全に後退した位置であり、水通路が閉じるときの弁体の具体的な閉位置は、弁体が管状部の水通路に突き出てその水通路を遮断する位置である。また、この仕切り弁10において、管状部12は、上記した管部材30の内部によって形成される水通路と同一又は略同一の内径を有している。
【0022】図4に示したように、穿孔装置本体50は、筒状のハウジング51の先端にフランジ部52が設けられ、このフランジ部52が、上記管状部12の他端側の管口部に設けられているフランジ部14にボルト・ナットなどの締結具17を介して取り付けられている。また、ハウジング51には、バルブBを備えた給水口61と排水口62とが備わっており、給水口61から注水した水が、仕切り弁10の管状部12内の水通路18を経て管部材30によって形成されている水通路に供給されるようになっている(図1参照)。
【0023】この穿孔装置本体50の回転切削刃52は、中空の胴部53とその胴部53の胴壁54の端部に具備された刃部55とを有していると共に、胴壁54に、水の流通が可能でかつその胴部53の内側に回収した切削屑を捕捉可能な有孔部55が備わっている。有孔部55はどのような形態で胴壁54に具備させてもよいが、図例の回転切削刃52においては、有孔部55が、胴壁54の周方向の複数箇所に形成した開口部分に金属製ネットを取り付けることによって形成されている。この回転切削刃52は、図外のモータによって駆動される回転主軸58の先端にカップリング継手59を介して取り付けられている。そして、この回転切削刃52は、回転主軸59と共に、管状部12の水通路18と管部材30の内部の水通路とによって形成される管路を通して穿孔予定箇所イ(図2及び図3参照)に対し出退可能になっている。また、筒状のハウジング51はその基部が閉塞板63によって塞がれ、その閉塞板63に回転主軸58がグランドパッキンなどのシール材64を介して貫挿されている。
【0024】次に、上記穿孔装置を用いて行う穿孔方法を説明する。
【0025】図1などで説明したようにして、仕切弁10の管状部12の一端側の管口部に、樹脂管の管壁100に取り付けられた管部材30を連結し、管状部12の他端側の管口部に穿孔装置本体50を取り付ける。
【0026】この後、仕切り弁10を開状態にしてその弁機構の弁体を管状部12の水通路18から後退させたまま、給水口61から水を給送し、その水で穿孔装置本体50のハウジング51の内部空間、仕切り弁10の管状部12の水通路18、管部材30の水通路、さらには回転切削刃52の胴部53の内側空間を満たして穿孔予定箇所イに水を供給する。この場合、水は連続して供給し、余剰水を排水口62から排水する。これと併せて、穿孔装置本体50の回転切削刃52を穿孔予定箇所イまで突出させて樹脂管の管壁100を穿孔する。このようにすると、回転切削刃52が、水に濡れている穿孔予定箇所イを切削して管壁100を穿孔する。そのため、切削時の発熱や樹脂の軟化が、穿孔予定箇所イを濡らしている水によって防止されるので、粉状、ペレット状、筋状、帯状などの切削屑が回転切削刃52の刃部55に溶着などの現象によって絡みつくという事態が生じにくい。また、穿孔作業中には常に新しい水が穿孔予定箇所イに供給されるるので、穿孔予定箇所イを濡らしている水の温度が上がって切削屑が回転切削刃52の刃部55に絡みつくという事態も起こらない。
【0027】また、穿孔時の切削によって生じる切削屑は、胴部53の有孔部56によって捕捉されてその胴部53の内側に回収される。こうして回収された切削屑は、穿孔作業終了後に管状部12の他端側の管口部から穿孔装置本体50を取り外すときに、同時に、胴部53に捕捉されたまま管部材30や管状部12の水通路から取り出される。したがって、切削屑がそれらの水通路に残って仕切弁10の動作に悪影響を与えたりそれらの水通路を詰まらせたりする事態は起こりにくい。
【0028】図5は穿孔された樹脂管に分岐管200を分岐接続した場合の側面図である。同図では、穿孔装置本体が取り外された管状部12の他端側の管口部が分岐管200の取付口として利用されている。すなわち、分岐管200がその管端にフランジ部201を備えており、管状部12のフランジ部14と管端のフランジ部201とがボルト・ナットなどの締結具17を用いて接続されている。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る樹脂管の穿孔方法及び樹脂管の穿孔装置によれば、切削時の発熱や樹脂の軟化を抑えて切削屑が回転切削刃の刃部に絡みつくという事態が生じにくくなるので、穿孔作業効率が向上する。また、切削によって生じる切削屑が回収されるようになるので、切削後に仕切り弁の管状部の水通路といった管路に切削屑が詰まるといった事態が起こりにくい。さらに、穿孔作業が終了した後に、迅速に分岐管を接続することができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000231121
【氏名又は名称】日本鋼管継手株式会社
【識別番号】592142050
【氏名又は名称】大肯精密株式会社
【出願日】 平成11年9月8日(1999.9.8)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82662(P2001−82662A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−254229