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【発明の名称】 管接合部の構造
【発明者】 【氏名】人見 誠一

【氏名】山本 和芳

【要約】 【課題】大きな曲げ応力や軸応力がかかっても、高密度ポリエチレン管がフランジ管継手から抜落しない管接合部の構造を提供する。

【解決手段】外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪2が受口11に挿嵌されたフランジ管継手1に、先端にインコア7が挿嵌された高密度ポリエチレン管6の挿口が内挿され、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリング4と外周に段部を有するリテーナ5の小径部51とが、奥部が斜めに縮径されている凹陥部31内にこの順に挿嵌された押輪3が高密度ポリエチレン管6に外嵌され、ゴム輪2と押輪3との間にリテーナ5の大径部51を挟持して、フランジ管継手1と押輪3とがT頭ボルト8とナット9により締結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪が受口に挿嵌されたフランジ管継手に、先端にインコアが挿嵌された高密度ポリエチレン管の挿口が内挿され、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリングと外周に段部を有するリテーナの小径部とが、奥部が斜めに縮径されている凹陥部内にこの順に挿嵌された押輪が高密度ポリエチレン管に外嵌され、ゴム輪と押輪との間にリテーナの大径部を挟持して、フランジ管継手と押輪とがT頭ボルト、ナットにより締結されていることを特徴とする管接合部の構造。
【請求項2】外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪が受口に挿嵌されたフランジ管継手に、先端にインコアが挿嵌された高密度ポリエチレン管の挿口が内挿され、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリングが凹陥部内に挿嵌された押輪が高密度ポリエチレン管に外嵌され、押輪の凹陥部の内径からロックリングの厚みの倍数を減じた値が、高密度ポリエチレン管の平均外径の下限値の85〜99%となされており、ゴム輪と押輪との間にリテーナを挟持して、フランジ管継手と押輪とがT頭ボルト、ナットにより締結されていることを特徴とする管接合部の構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管接合部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、軽量で耐蝕性、耐寒性に富む高密度ポリエチレン管が給水管に汎用されており、高密度ポリエチレン管同士の接合には、フランジ管継手に管の挿口が内挿され、押輪が管に外嵌され、フランジ管継手と押輪とがT頭ボルト、ナットにより締結されるドレッサージョイントが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高密度ポリエチレン管は線膨張係数が大きく、気温の変化により外径寸法が大きく変化する為、環境温度の変化により大きな曲げ応力や軸応力がかかると、ドレッサージョイント部分から抜落し易いという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の問題点を解消し、大きな曲げ応力や軸応力がかかっても、高密度ポリエチレン管がフランジ管継手から抜落しない管接合部の構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の管接合部の構造は、外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪が受口に挿嵌されたフランジ管継手に、先端にインコアが挿嵌された高密度ポリエチレン管の挿口が内挿され、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリングと外周に段部を有するリテーナの小径部とが、奥部が斜めに縮径されている凹陥部内にこの順に挿嵌された押輪が高密度ポリエチレン管に外嵌され、フランジ管継手と押輪とがT頭ボルト、ナットにより締結されていることを特徴とする。
【0006】請求項2の発明の管接合部の構造は、外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪が受口に挿嵌されたフランジ管継手に、先端にインコアが挿嵌された高密度ポリエチレン管の挿口が内挿され、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリングが凹陥部内に挿嵌された押輪が高密度ポリエチレン管に外嵌され、押輪の凹陥部の内径からロックリングの厚みの倍数を減じた値が、高密度ポリエチレン管の平均外径の下限値の85〜99%となされており、ゴム輪と押輪との間にリテーナを挟持して、フランジ管継手と押輪とがT頭ボルト、ナットにより締結されていることを特徴とする。
【0007】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、フランジ管継手及び押輪の材質は、引張り強さが450MPa以上、耐力が280MPa以上、伸びが10%以上の球状黒鉛鋳鉄が好適に用いられる。
【0008】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、ゴム輪の材質は、特に限定されず、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等の耐熱性に優れたゴムが好適に用いられる。
【0009】請求項2の発明の管接合部の構造に於いて、高密度ポリエチレン管のX℃に於ける平均外径の下限値Lxは、23℃に於ける平均外径の下限値から次の式により算出される。
Lx=L23/(1+(23−x)×1.39×10-4
【0010】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、高密度ポリエチレン管の挿口に挿嵌されるインコアの材質は、引張り強さが450MPa以上、伸びが10%以上であれば特に限定されず、例えば、鋳鉄、鋼、ステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム鋳物、銅、銅合金鋳物等の金属、硝子繊維、炭素繊維等のウィスカーを補強材とした繊維強化樹脂等が挙げられ、銅、銅合金鋳物が好適に用いられる。
【0011】インコアの長さは、ロックリングやゴム輪の締付けによるコールドフローの発生を抑制出来るよう、高密度ポリエチレン管の管端から押輪の外嵌箇所迄の長さよりも大である必要がある。
【0012】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、ロックリング及びリテーナの材質は、引張り強さが370MPa以上、降伏点が215MPa以上、縦方向の伸びが30%以上で横方向の伸びが25%以上の機械構造用炭素鋼が好適に用いられる。
【0013】ロックリングの内周には、断面略三角形状の周方向の突条が並設されるのが好ましく、突条の一面は軸方向に対して直角となされていてもよい。突条の傾斜角は、30〜80°の範囲であれば特に限定されず、30〜60°とされるのが好ましい。突条の数は4〜6とされるのが好ましい。
【0014】請求項2の発明の管接合部の構造に於いて、押輪の凹陥部の内径からロックリングの厚みの倍数を減じた値が、高密度ポリエチレン管の平均外径の下限値の85〜99%となされている。
【0015】85%未満であると、ロックリングの内周の突条が高密度ポリエチレン管の表面に食い込んで切削する結果、離脱防止機能を果たさなくなり、99%を超えると、突条が高密度ポリエチレン管表面に密接しなくなって、初期係止力の安定性が劣化するからである。
【0016】請求項1の発明の管接合部の構造に於いて、リテーナの形状は、外周に段部が設けられた円筒状であって、大径部の外径は押輪の内径よりも大、小径部の外径は押輪の内径よりも小となされている。
【0017】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、フランジ管継手、押輪、ロックリング及びリテーナの塗装に用いられる塗料は、使用上有害な成分を含まないもので、乾燥後は水に溶けず、且つ水質に悪影響を与えないものでなければならず、エポキシ樹脂粉体塗料が好適に用いられ、電着塗装をすればよい。
【0018】請求項1及び2の発明の管接合部の構造に於いて、T頭ボルト、ナットの材質は、特に限定されないが、球状黒鉛鋳鉄もしくはステンレススチールが好適に用いられる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、請求項1の発明の管接合部の構造の実施例を図面に基いて説明する。図1は請求項1の発明の管接合部の構造の一例を示す断面図、図2は図1に示されている請求項1の発明の管接合部の構造に用いられるゴム輪の切断端面図、図3は同じくロックリングの切断端面図、図4は同じくインコアの切断端面図、図5は請求項2の発明の管接合部の構造の一例を示す断面図である。
【0020】図1に示されている請求項1の発明の管接合部の構造に於いて、1は両端に受口11が設けられたフランジ管継手である。受口11には、図2に示されているように、外周面が略円錐状に傾斜され、小径部先端が断面略円形状に膨出されたゴム輪2が挿嵌されている。
【0021】3は一面に奥部が斜めに縮径された凹陥部31が設けられた押輪であって、凹陥部31には、軸方向の切れ目を有して縮径可能なロックリング4と外周に段部を有するリテーナ5の小径部51とが、この順に挿嵌されている。
【0022】ロックリング4の内周面には、図3に示されているように、断面略三角形状の周方向の突条41が等間隔に4個並設されており、外周の一半部は斜めに面取りされている。
【0023】6は高密度ポリエチレン管であって、先端にインコア7が挿嵌されている。インコア7は、図4に示されているように、一端に鍔縁71が周設され、鍔縁に隣接して周方向に設けられた凹溝72には、鰭状突条73がインコア7の周壁より外方に突設されている。
【0024】図5に示されている請求項2の発明の管接合部の構造に於いては、ロックリング5の外周には段部が設けられておらず、押輪3の凹陥部31の内径からロックリング4の厚みの倍数を減じた値が、高密度ポリエチレン管6の平均外径の下限値の85〜99%となされていること以外は、請求項1の発明と同様であるので、説明を省略する。
【0025】〔実施例1〕先ず、インコア7が挿嵌された口径75、100、150、200mmの2本の高密度ポリエチレン管6の挿口に、ロックリング4と外周に段部を有するリテーナ5の小径部51とがこの順に挿嵌された押輪3を外嵌した後、フランジ管継手1の受口11に挿口を内挿した。
【0026】次いで、フランジ管継手1のフランジ12の透孔13と、押輪3のフランジ32の透孔33とに、T頭ボルト8を挿通してナット9を螺合し、ゴム輪2と押輪3との間にリテーナ5の大径部52を挟持せしめて両者を締結し、高密度ポリエチレン管6同士を接合した。
【0027】前記互いに接合された高密度ポリエチレン管6の両端部を引張治具に固定し、−15℃の環境下で 100mm/分の引抜速度で引張り、引抜試験を行った。結果は、何れも高密度ポリエチレン管は接合部から抜落せず、原管が破壊された。
【0028】〔実施例2〕インコア7が挿嵌された口径75、100、150、200mmの2本の高密度ポリエチレン管6の挿口に、凹陥部31の内径から挿嵌されたロックリング4の厚みの倍数を減じた値が、高密度ポリエチレン管6の平均外径の下限値の85〜99%となされている押輪3を外嵌した後、フランジ管継手1の受口11に挿口を内挿し、フランジ12とフランジ32とに挿通されたT頭ボルト8にナット9を螺着して接合し、実施例1と同様に、引抜試験を行った。結果は、何れも高密度ポリエチレン管は接合部から抜落せず、原管が破壊された。
【0029】〔比較例〕インコア7が挿嵌された口径75、100、150、200mmの2本の高密度ポリエチレン管を、押輪の内周面に周方向に断続的に連続する突条が複数個並設された抜け止め機構付塩化ビニル管用ドレッサージョイントを用いて接合し、実施例1と同様に、引抜試験を行った。結果は、高密度ポリエチレン管は接合部から抜落された。
【0030】
【発明の効果】請求項1の発明の管接合部の構造は、叙上の通り構成されており、リテーナによってロックリングが凹陥部内を奥部に押入されるので、大きな曲げ応力や軸応力がかかっても、高密度ポリエチレン管がフランジ管継手から抜落しない。請求項2の発明の管接合部の構造は、叙上の通り構成されており、ロックリングの内周の突条が高密度ポリエチレン管の表面に適度に密接するので、大きな曲げ応力や軸応力がかかっても、高密度ポリエチレン管がフランジ管継手から抜落しない。
【0031】
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−82653(P2001−82653A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−257508