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【発明の名称】 油圧供給装置
【発明者】 【氏名】榊原 裕一郎

【氏名】佐藤 哲哉

【氏名】服部 雅仁

【要約】 【課題】簡素で安価な部品構成により金属配管に発生する応力を低減できる油圧供給装置を提供する。

【解決手段】油圧供給装置1は、高圧の油圧を発生する油圧ポンプ2と、スイッチブロック4を備え、油圧ポンプ2とスイッチブロック4とは金属配管10を介して接続されている。スイッチブロック4と金属配管10との接続部30の近傍に配管クランプ部材20が設けられ、その配管クランプ部材20により金属配管10が固定される。油圧ポンプ2と金属配管10との接続部31の近傍に配管クランプ部材21が設けられ、その配管クランプ部材21により金属配管10が固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧の油圧を発生する油圧発生装置と、前記油圧発生装置に金属配管を介して接続される他の部材とを備えた油圧供給装置において、前記油圧発生装置及び他の部材と金属配管との接続部のうち少なくとも一方の接続部の近傍に、前記油圧発生装置または他の部材に対する前記金属配管の振動を抑制するための配管クランプ部材を設けたことを特徴とする油圧供給装置。
【請求項2】 請求項1に記載の油圧供給装置において、前記配管クランプ部材は、前記油圧発生装置または他の部材に固定され、金属配管を油圧発生装置または他の部材と同位相で振動させるようにしたことを特徴とする油圧供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車等において優れたブレーキ制御性を確保するために油圧ブレーキブースタが採用されている。この油圧ブレーキブースタには、高圧のブレーキ圧を発生しそれを油圧ブレーキブースタに供給する油圧供給装置が接続されている。この油圧供給装置は、油圧ポンプを有する。この油圧ポンプは、電動モータの駆動によってブレーキフルード(ブレーキ液)の液圧を高めるもので、金属配管を介して油圧ブレーキブースタに接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両走行時において路面から受ける振動やエンジン等の作動振動によって金属配管が振動し、この振動によって油圧ポンプ及び油圧ブレーキブースタと金属配管との接続部に高い応力が作用する。この応力が繰り返し発生すると疲労破壊の原因になってしまうため、接続部における応力を低減させる必要があった。
【0004】そこで従来は、圧力ポンプ取付部に対する油圧ポンプの振動を規制する規制部材を配設することで、金属配管の振動を規制して金属配管の接続部に作用する応力を低減させていた。しかしながら、この規制部材は、油圧ポンプを確実に固定するためにその強度を十分に確保しなければならず、重量や体格が大きくなることに加え高価なものとなるといった問題が生じてしまう。
【0005】本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、簡素で安価な部品構成により金属配管に発生する応力を低減できる油圧供給装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、高圧の油圧を発生する油圧発生装置と、前記油圧発生装置に金属配管を介して接続される他の部材とを備えた油圧供給装置において、前記油圧発生装置及び他の部材と金属配管との接続部のうち少なくとも一方の接続部の近傍に、前記油圧発生装置または他の部材に対する前記金属配管の振動を抑制するための配管クランプ部材を設けたことを要旨とする。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の油圧供給装置において、前記配管クランプ部材は、前記油圧発生装置または他の部材に固定され、金属配管を油圧発生装置または他の部材と同位相で振動させるようにしたことを要旨とする。
【0008】請求項1に記載の発明によれば、油圧発生装置及び他の部材と金属配管との接続部のうち少なくとも一方の接続部の近傍に配管クランプ部材が配設され、その配管クランプ部材によって金属配管の振動が抑えられる。従って、接続部に発生する応力が低減され、金属配管の疲労破壊が防止される。つまり、従来技術では、油圧発生装置を確実に固定しその振動を規制することによって、金属配管の疲労破壊を防止していた。これに対し、金属配管の振動を配管クランプ部材によって規制する構成としたので、油圧ポンプを確実に固定する必要がなく、従来技術と比較して格段に軽量で簡素な部品構成で、金属配管に発生する応力が低減され、金属配管の疲労破壊を防止できる。
【0009】請求項2に記載の発明によれば、配管クランプ部材から油圧発生装置または他の部材までの金属配管は、油圧発生装置または他の部材と同じ位相で振動する。その結果、油圧発生装置または他の部材と金属配管との接続部に発生する応力が低減され疲労破壊が防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。図1は本実施形態の油圧供給装置1の正面図であり、図2は油圧供給装置1の側面図である。油圧供給装置1は、ブレーキの作動に必要な油圧(高圧)を発生させるため装置であり、車両ブレーキ装置のアクチュエータとして適用されている。
【0011】図1に示すように、油圧供給装置1は、電動式の油圧ポンプ2、アキュムレータ3、圧力スイッチブロック4等を有して構成されている。油圧ポンプ2は、電動モータを収容するモータ部2aと、電動モータの回転を往復運動に変換しブレーキフルード(ブレーキ液)を加圧するポンプ部2bとからなる。このポンプ部2bの上部にアキュムレータ3が配設され、同アキュムレータ3によって油圧ポンプ2で発生される油圧が蓄圧される。つまり、油圧ポンプ2は、図示しないリザーバタンクからブレーキフルードを吸入し、そのブレーキフルードを加圧して、高油圧をアキュムレータ3に供給する。
【0012】また、油圧ポンプ2は、金属配管10を介してスイッチブロック4に接続され、油圧ポンプ2で加圧されたブレーキフルードがスイッチブロック4内に供給される。なお、金属配管10の表面は、保護チューブ10aにより被覆されている。また、金属配管10と、油圧ポンプ2及びスイッチブロック4とは、ネジ11,12を用いて連結固定されている。
【0013】スイッチブロック4は、図1及び図2に示すように、ブラケット15の枠部15a上に固定されている。また、スイッチブロック4内に圧力スイッチが形成されており、その圧力スイッチは、油圧ポンプ2からのブレーキフルードの液圧に応じて電気信号を出力する。そして、この信号に基づいて前記油圧ポンプ2が駆動制御される。同制御によって、ブレーキを作動させるための液圧が調節され、車両の制動力が的確に得られるようになっている。また、ブラケット15には、複数の取付部15bが形成され、その取付部15bが車両に固定される。
【0014】本実施形態では、スイッチブロック4の下側に吊り下げた状態で前記油圧ポンプ2が設けられている。詳しくは、図1及び図2に示すようにスイッチブロック4において、一方の端部側に配設されたブラケット16により油圧ポンプ2のモータ部2aが支持され、さらに、他方の端部側に配設された2つのブラケット17,18により油圧ポンプ2のポンプ部2bが支持されている。なお、各ブラケット16,17,18の先端において、油圧ポンプ2との接続部には弾性部材が配設され、その弾性部材により油圧ポンプ2の振動が吸収されるようになっている。つまり、スイッチブロック4に固定されている3つのブラケット16,17,18によって油圧ポンプ2が弾性支持されている。
【0015】従って、車両振動が発生すると、スイッチブロック4に対して油圧ポンプ2が振動し、金属配管10も振動してしまうが、本実施形態では、この金属配管10の振動を2つの配管クランプ部材20,21を用いて抑制するようになっている。
【0016】配管クランプ部材20は、図1及び図2に示すようにスイッチブロック4に配設され、配管クランプ部材21は、図1に示すように油圧ポンプ2のポンプ部2bに配設されている。これら配管クランプ部材20,21は、金属製のクランプ用ブラケット22,23と樹脂製のクランプ24,25とから構成されている。
【0017】ここで、配管クランプ部材20の構造を図3を用いて説明する。図3に示すように、配管クランプ部材20において、クランプ24には前記金属配管10を固定するための配管取付部24aが形成されている。詳しくは、配管取付部24aは、前記金属配管10の外径とほぼ同径の円弧面24bと係止爪(ストッパ)24cとを有している。そして、配管取付部24aの開口側から金属配管10が挿入され、配管取付部24aに金属配管10が嵌着される。つまり、金属配管10の外周面と円弧面24bが密着し、係止爪24cによって金属配管10が外れないように確実に固定される。
【0018】また、配管取付部24aの対向側には、クランプ用ブラケット22と接触する受け面24dが設けられている。そして、この受け面24dの中央部から挿入部24eが延設されている。また、挿入部24eには、その先端側から前記受け面24d側に向けて斜めに延びる2つの支持部24fが形成されている。そして、クランプ24の挿入部24eが、クランプ用ブラケット22に形成されたクランプ取付穴22aに挿入されてクランプ24が固定される。なお、クランプ24には、スカート部24gが形成されており、そのスカート部24によって、クランプ用ブラケット22に対するクランプ24の変位が規制される。
【0019】図3に示すように、クランプ24が固定された状態では、支持部24fの先端面が、クランプ用ブラケット22の一方の面と密着され、クランプ用ブラケット22の他方の面は、受け面24dに密着される。つまり、クランプ24によってクランプ用ブラケット22が狭持された状態となっている。
【0020】従って、スイッチブロック4に配設されるクランプ用ブラケット22に対してクランプ24が固定され、そのクランプ24よって金属配管10が固定される。このように構成された配管クランプ部材20によって、スイッチブロック4に対する金属配管10の振動が確実に抑制される。なお、配管クランプ部材21も同様の構造となっており、油圧ポンプ2に対する金属配管10の振動が確実に抑制される。
【0021】つまり、配管クランプ部材20は、図1に示すように金属配管10とスイッチブロック4との接続部30の近傍に配設されており、その配管クランプ部材20によって、油圧ポンプ2側から伝達される金属配管10の振動が規制される。その結果、同クランプ部材20から接続部30までの金属配管10は、スイッチブロック4と同じ位相で振動する。一方、配管クランプ部材21は、金属配管10と油圧ポンプ2との接続部31の近傍に配設されており、その配管クランプ部材21によって、スイッチブロック4側から伝達される金属配管10の振動が規制される。その結果、同クランプ部材21から接続部31までの金属配管10は、油圧ポンプ2と同じ位相で振動する。
【0022】このように、金属配管10の振動が配管クランプ部材20,21によって抑制されるので、各接続部30,31における金属配管10の応力が低減される。なお、本実施の形態では、油圧ポンプ2が油圧発生装置に相当し、スイッチブロック4が他の部材に相当する。
【0023】以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の特徴を奏する。
(1)スイッチブロック4に固定される3つのブラケット16,17,18を用いて吊り下げた状態で油圧ポンプ2が設けられている。このため、車両振動が生じるとスイッチブロック4に対して油圧ポンプ2は振動してしまうが、配管クランプ部材20,21によって金属配管10の振動が抑制される。具体的には、スイッチブロック4に固定される配管クランプ部材20によって接続部30側の金属配管10が固定され、油圧ポンプ2に固定される配管クランプ部材21によって接続部31側の金属配管10が固定される。この場合、配管クランプ部材20から接続部30までの金属配管10はスイッチブロック4と同位相で振動し、配管クランプ部材21から接続部31までの金属配管10は油圧ポンプ2と同位相で振動する。その結果、接続部30,31に作用する応力を低減でき、金属配管10の疲労破壊を防止できる。また、金属配管10の疲労破壊を防止できることから油圧供給装置1の耐久性を向上できる。
【0024】(2)本実施形態の油圧供給装置1では、金属配管10の振動を配管クランプ部材20,21によって規制する構成とした。この場合、従来技術のように油圧ポンプ2を確実に固定する必要がないため、従来技術よりも格段に軽量で簡素なブラケット16,17,18を採用できる。つまり、従来の油圧供給装置と比較して軽量化が可能であるため、本実施形態の油圧供給装置1を車両に搭載した場合、車両の燃費を向上できる。また、簡素で軽量であるため、油圧供給装置1の車両への組み付けも容易となる。
【0025】尚、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施の形態では、2つの配管クランプ部材20,21を用いて金属配管10の振動を規制するものであったが、いずれか一方のみで金属配管10の振動を規制するものでもよい。勿論、配管クランプ部材20,21の個数に限定するものではなく、3つ以上の配管クランプ部材を用いて金属配管10の振動を規制してもよい。このようにしても、接続部30,31に作用する応力を低減できるので金属配管10の疲労破壊を防止できる。
【0026】・上記実施の形態では、金属配管10を固定するための配管クランプ部材20は、スイッチブロック4に配設されていたが、これに限定するものではない。例えば、マスタシリンダやABSアクチュエータの他の部材に配管クランプ部材を配設してもよい。
【0027】・油圧供給装置1は、ブレーキ装置に適用されるものであったが、これに限定するものではない。例えば、パワーステアリング装置やサスペンション装置等の油圧供給装置として適用してもよい。
【0028】上記実施の形態から把握され、特許請求の範囲に記載されていない技術的思想を、その効果とともに以下に記載する。請求項1又は請求項2に記載の油圧供給装置において、前記油圧発生装置は、前記他の部材の下側にブラケットを用いて吊り下げた状態で設けられることを特徴とする。この場合、軽量で簡素なブラケットを用いることができ、実用上好ましいものとなる。
【0029】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、簡素で安価な部品構成により金属配管に発生する応力を低減できる。
【出願人】 【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2001−82635(P2001−82635A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−264355