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【発明の名称】 低温流体輸送配管の断熱支持装置
【発明者】 【氏名】菊池 四郎

【氏名】岡本 和久

【氏名】松尾 知範

【要約】 【課題】断熱支持体に配管支持板の固着用ネジ部材が存在していても、断熱支持体の低温収縮に起因する亀裂の発生を確実に回避することができる低温流体輸送配管の断熱支持装置を提供する。

【解決手段】硬質ウレタンフォームで成形した断熱支持体4の上面部分にあって、配管1を支承する金属製支持板6をネジ部材7で固着するためのネジ穴を、ネジ軸部の挿通を許容する長穴6aと、ネジ軸部の挿通を許容するが、ネジ頭部の挿通は許容しない長穴6bとからなる段付き穴に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 断熱性および耐圧縮性を有する材料で成形された断熱支持体と、前記断熱支持体の上面部分にあって、断熱支持体にネジ部材で固着され、かつ配管を下から抱き支えた状態で結合される金属製支持板とから成る低温流体輸送配管の断熱支持装置において、前記ネジ部材が断熱支持体の低温収縮に同伴して変位可能に前記金属製支持板のネジ穴に挿通されていることを特徴とする低温流体輸送配管の断熱支持装置。
【請求項2】 前記金属製支持板のネジ穴が、ネジ部材の軸部の挿通を許容する長穴と、ネジ軸部の挿通を許容するが、ネジ頭部の挿通は許容しない長穴とからなる段付き穴で形成されている請求項1に記載の低温流体輸送配管の断熱支持装置。
【請求項3】 前記金属製支持板のネジ穴が、ネジ部材のネジ軸部と同心で所要の径に拡大された丸穴と、前記丸穴と同心で、それよりさらに拡大された丸穴とからなる段付き穴で形成され、この段付き穴の段付き面にネジ部材のネジ頭部を受ける座金が組み込まれている請求項1に記載の低温流体輸送配管の断熱支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LPG,LNG等の低温流体輸送配管の断熱支持装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図5〜図7に、従来の低温流体輸送配管の断熱支持装置の代表的構造例を示している。図5〜図7において、1は配管、2はその外周を被覆する低温流体断熱材、3は金属外装板である。
【0003】配管の断熱支持装置Aは、配管の軸方向に沿って所要の間隔をとった部位に配置され、配管を直接支持している。断熱支持装置Aは、断熱性および耐圧縮性に優れた硬質ウレタンフォームからなる断熱支持体4を主要部としている。5は断熱支持体4の底面に設けられた箱形の滑り体、6は断熱支持体4の上面部分にあって、配管を直接支持するべく、配管と同心円弧状に湾曲された金属製の支持板であり、この金属製の支持板6は多数の皿形ネジ部材7により断熱支持体4に固着され、かつ配管1には溶接または低温用接着剤によって結合される。前記断熱支持装置AはH型鋼でなる受台8上に自由に動き得る状態で載置されている。
【0004】上記構成の断熱支持装置Aは低温流体輸送配管に一体的に結合されているので、配管の軸方向の低温伸縮に同伴して変位可能である。したがって、配管の低温伸縮による応力の発生はなく、安定した支持力が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記断熱支持装置Aの構成にあっては、断熱支持体4に低温収縮による亀裂が発生し、それが破損につながる不具合がある。上述した亀裂の発生は、図7の矢印に示すように、断熱支持体4の幅方向の両端側から中心に向けて収縮する断熱材部分が、支持板6の固着用ネジ部材7に阻止されることから、その阻止部分で亀裂が発生しやすい。
【0006】この場合、断熱支持体4の幅方向の中心にネジ部材7が存在する構造では、中心部位に向けられる収縮作用は相殺されるので、亀裂の発生は起こり得ないが、中心から離れた部位にネジ部材が存在する構造では、上述した亀裂の発生は避けられない。
【0007】本発明は、上記問題を解消するためになされたものであって、前記断熱支持体に金属製支持板の固定用ネジ部材が存在していても、断熱支持体の低温収縮に起因する亀裂の発生を確実に回避することができる低温流体輸送配管の断熱支持装置を提供することを主たる目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、断熱性および耐圧縮性を有する材料で成形された断熱支持体と、前記断熱支持体の上面部分にあって、断熱支持体にネジ部材で固着され、かつ配管を下から抱き支えた状態で結合される金属製支持板とから成る低温流体輸送配管の断熱支持装置において、前記ネジ部材が断熱支持体の低温収縮に同伴して変位可能に前記金属製支持板のネジ穴に挿通されていることを要旨としている。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態としては、図1〜図2に示すように、硬質ウレタンフォームで成形された断熱支持体4の上面部分にあって、低温流体輸送配管1を下から抱き支えた状態で配管に溶接で結合された金属製支持板6を断熱支持体4に皿形ネジ部材7で固着し、断熱支持体4の下面に金属製の滑り体5を設けて構成する断熱支持装置Aにおいて、前記金属製支持板のネジ穴を、皿形ネジ部材7のネジ軸部の挿通を許容する長穴6aと、ネジ軸部の挿通を許容するが、ネジ頭部の挿通は許容しない長穴6bとからなる段付き穴に形成する。
【0010】上記構成によれば、皿形ネジ部材7は断熱支持体4へのネジ結合力を保持した状態で、断熱支持体の幅方向への低温収縮(矢印の方向)に同伴して変位可能になり、断熱支持体の幅方向への低温収縮に起因する亀裂の発生を回避することができる。そして他方で断熱支持装置Aは、滑り体5の作用により配管1の軸方向への低温伸縮に同伴して変位が可能であり、配管1にそれ自体の低温伸縮に起因して応力が加わることが防がれる。
【0011】
【実施例】図1〜図2に、本発明の一実施例を示す。なお、図5〜図7と同一または類似する部材には同じ符号が付されている。
【0012】図1〜図2において、4は硬質ウレタンフォームで成形された断熱支持体、6は断熱支持体4の上面部分にあって、断熱支持体4に皿形ネジ部材7で固着され、かつ配管1を下から抱き支えた状態で溶接で結合される金属製支持板、5は断熱支持体4の下面に設けられた金属製滑り体である。
【0013】前記金属製支持板6に皿形ネジ部材7を挿通させるネジ穴は、断熱支持体4の幅方向に沿った段付き穴である。この段付き穴は、皿形ネジ部材のネジ軸部の挿通を許容する長穴6aと、ネジ軸部の挿通を許容するが、ネジ頭部の挿通は許容しない長穴6bとからなる段付き穴に形成されている。
【0014】上記のように、ネジ穴を段付き長穴とすることにより、皿形ネジ部材7は断熱支持体4へのネジ結合力を保持した状態で、断熱支持体の幅方向への低温収縮に同伴して変位可能となる。したがって、上記構成によれば、断熱支持体4中にネジ部材が存在していても、断熱支持体4の幅方向への低温収縮に起因する亀裂の発生は回避される。
【0015】図3〜図4に、本発明の他の実施例を示す。図1〜図2では、皿形ネジ部材を断熱支持体4の幅方向に一次元的に変位可能としたのに対し、本実施例では、皿形ネジ部材を二次元的に変位可能としたものである。
【0016】本実施例では、前記支持板6の段付き穴は、皿形ネジ部材7の軸部と同心で所要の径に拡大された丸穴6cと、前記丸穴6aと同心でそれより径がさらに拡大された丸穴6dとからなる段付き穴とされ、この段付き穴の段付き面にネジ部材のネジ頭部を受ける座金9が組み込まれている。
【0017】上記のように金属製支持板6のネジ穴を丸穴6a,6bからなる段付き穴に形成し、それに座金9を組み付けた構成によれば、皿形ネジ部材7は、断熱支持体4の幅方向の低温収縮のみならず、他の方向への低温収縮に対しても二次元的に同伴して変位可能となる。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、低温流体輸送配管の断熱支持装置において、断熱支持体に配管支持板の固着用ネジ部材が存在していても、断熱支持体の低温収縮に起因する亀裂の発生を確実に回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
【出願日】 平成11年9月9日(1999.9.9)
【代理人】 【識別番号】100072383
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 武三郎
【公開番号】 特開2001−82634(P2001−82634A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−255446