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【発明の名称】 発泡層被覆銅材質管及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 忍

【氏名】小林 勝範

【氏名】河野 浩三

【要約】 【課題】銅材質管の外周面上に、発泡ポリエチレン層と表皮としての非発泡樹脂層とを順次積層形成してなる発泡層被覆銅材質管において、その銅材質管における腐食及び黒変色の発生を効果的に抑制乃至は回避することの出来る技術を、提供すること。

【解決手段】発泡層被覆銅材質管10における発泡ポリエチレン層16を、低密度ポリエチレンをベース樹脂として、化学発泡剤に4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いて、銅材質管12の外周面14上に形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 銅若しくは銅合金からなる銅材質管の外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に該発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管を製造するに際して、該発泡ポリエチレン層が、低密度ポリエチレンをベース樹脂として、前記化学発泡剤に4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いて、前記銅材質管の外周面上に形成されるようにしたことを特徴とする発泡層被覆銅材質管の製造方法。
【請求項2】 前記発泡ポリエチレン層が、前記化学発泡剤に対して、低級カルボン酸を含有せず且つそれを発生せしめることのない、発泡の核となる核剤を組み合わせて、形成される請求項1記載の発泡層被覆銅材質管の製造方法。
【請求項3】 前記核剤として、クエン酸塩と酸化亜鉛とが併用される請求項2記載の発泡層被覆銅材質管の製造方法。
【請求項4】 前記核剤が、1種の場合には、それ単独において、又は2種以上の場合には、それぞれにおいて、前記化学発泡剤の100質量部に対して10質量部以上の割合において用いられる請求項2又は請求項3記載の発泡層被覆銅材質管の製造方法。
【請求項5】 前記化学発泡剤が、前記ベース樹脂に対して0.5〜1.0質量%となる割合において用いられる請求項1乃至請求項4の何れかに記載の発泡層被覆銅材質管の製造方法。
【請求項6】 銅若しくは銅合金からなる銅材質管の外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に該発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管にして、該発泡ポリエチレン層が、低密度ポリエチレンをベース樹脂として、前記化学発泡剤に4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いて、前記銅材質管の外周面上に形成されてなり、且つ0.5mm以下の最大気泡径を有していることを特徴とする発泡層被覆銅材質管。
【請求項7】 前記表皮としての非発泡樹脂層が、非発泡ポリエチレン層である請求項6記載の発泡層被覆銅材質管。
【請求項8】 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の方法によって得られた、請求項6又は請求項7記載の発泡層被覆銅材質管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【技術分野】本発明は、発泡層被覆銅材質管及びその製造方法に係り、特に、建築用配管材等として好適に用いられ得る発泡層被覆銅材質管、並びにそのような発泡層被覆銅材質管を有利に得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来より、給水・給湯用配管や冷媒,ガスの搬送管等といった建築用配管材としては、銅若しくは銅合金にて形成される銅材質管が、広く用いられてきていることは、よく知られているところであるが、近年においては、銅材質管の用途の多様化に伴って、銅材質管における各種特性の向上が強く求められていることから、このような要請に答えるべく、その要求される特性を有利に発現し得るような所定の被覆を、銅材質管の外面や内面に施したものが、これまでに、各種提案されている。そして、そのような被覆が施されてなる銅材質管の一つとして、銅材質管の損傷や腐食の防止、施工性の向上等を目的として、管外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に外観の向上や取扱性の良好なもの等とするために、かかる発泡ポリエチレン層の外面周に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管が、知られている。
【0003】ところで、かくの如き発泡層被覆銅材質管において、発泡ポリエチレン層を銅材質管の外周面上に形成するに際しては、通常、発泡ポリエチレン層を与える原料として、低密度ポリエチレンに、適当な熱分解性の化学発泡剤を配合せしめてなるものが、用いられるのであるが、かかる化学発泡剤としては、発泡ポリエチレン層における気泡(セル)を微細なものと為すことが出来ると共に、比較的に安価であることが望まれており、従来から、アゾジカルボンアミドや炭酸水素ナトリウム等の発泡剤が、一般に、使用されてきている。
【0004】因みに、それら発泡剤の中で、アゾジカルボンアミドは、安価であることに加えて、他の発泡剤に比して、その熱分解によるガスの発生量が多く、また、自己核化作用を奏することにより、発泡ポリエチレン層における気泡の微細化を有利に図ることが出来るという利点を有しているところから、現在、発泡層被覆銅材質管だけでなく、各種発泡成形品を製造するに際しても、化学発泡剤として広く用いられているのである。
【0005】しかしながら、本発明者らが検討したところ、アゾジカルボンアミドを発泡剤として用いて発泡体を形成すると、その発泡体からは、蟻酸等の酸成分が浸出して、検出されることが、判明した。一方、住友軽金属技報、Vol.30,No.3(1989),123〜128において明らかにされているように、そのような蟻酸等を含む直鎖状低級カルボン酸(炭素数が1〜4程度のもの)は、水分との共存下で、銅材質管において、腐食を惹起する可能性を有するものであるところから、アゾジカルボンアミドは、発泡層被覆銅材質管の発泡ポリエチレン層の形成に際して使用する発泡剤としては、余り好ましいものではないといった問題を内在していることが、判明した。なお、上記において、蟻酸の発生メカニズムについては、本発明者らの検討によれば、アゾジカルボンアミドの分解残渣の一成分たるバイウレアが、熱分解してホルムアミドが生じ、そしてそのホルムアミドの加水分解により蟻酸が発生するものと、推定されている。
【0006】一方、炭酸水素ナトリウムは、古くより、無機系化学発泡剤として好適に用いられており、その熱分解においては、ガス成分として二酸化炭素と水とが放出される一方、副生成物として炭酸ナトリウムが生成されるものであることから、それら分解生成物からは、上記したアゾジカルボンアミドの如く、銅材質管の腐食成分たる低級カルボン酸が何等発生することはないのであるが、前記副生成物として生じる炭酸ナトリウムは、大気中の水分により容易に加水分解して、水酸化ナトリウムを生ぜしめ、以て強アルカリ性を発現することとなるところから、発泡層被覆銅材質管の発泡ポリエチレン層の形成において、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを用いると、形成された発泡ポリエチレン層から水酸化ナトリウムが浸出して、銅材質管の黒変色を引き起こすという問題があったのであり、それ故に、炭酸水素ナトリウムの使用が、好ましいとは、到底、言い難いものであったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、特に、建築用配管材等として好適に用いられ得る発泡層被覆銅材質管、並びにそれを有利に製造する方法を提供することにあり、また、他の解決課題とするところは、銅若しくは銅合金からなる銅材質管の外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に該発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管において、その銅材質管における腐食及び黒変色の発生を効果的に抑制乃至は回避することの出来る技術を、提供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、銅若しくは銅合金からなる銅材質管の外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に該発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管を製造するに際して、かかる発泡ポリエチレン層が、低密度ポリエチレンをベース樹脂として、前記化学発泡剤に4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いて、前記銅材質管の外周面上に形成されるようにしたことを特徴とする発泡層被覆銅材質管の製造方法を、その要旨とするものである。
【0009】すなわち、この本発明に従う発泡層被覆銅材質管の製造方法にあっては、ベース樹脂としての低密度ポリエチレンに、熱分解性を有する4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を化学発泡剤として配合せしめてなる原料を用いて、かかる化学発泡剤の発泡作用に基づいて、銅又は銅合金からなる銅材質管の外周面上に発泡ポリエチレン層を形成して、管外周面を被覆せしめ、更にそのような発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けるところに、大きな特徴がある。
【0010】要するに、本発明に従う製造手法にあっては、ベース樹脂たる低密度ポリエチレンを発泡させて、所望の発泡ポリエチレン層を形成するために用いられる化学発泡剤として、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を採用するものであるところから、そのような化学発泡剤の熱分解特性により、その分解生成物の熱分解や加水分解等によって、従来のように、低級カルボン酸や強アルカリ成分が発生するようなことがないのであり、その結果として、最終的に得られる発泡層被覆銅材質管において、銅材質管の腐食や黒変色が効果的に抑制乃至は阻止せしめられ得ることとなるのである。
【0011】従って、このような本発明手法によれば、有効な発泡層の形成によって、銅材質管の保護性や、施工作業性等の所期の特性を有効に発揮し得ると共に、その美観性や取扱性にも優れる、特に建築用配管材として好適な発泡層被覆銅材質管を、極めて有利に製造することが出来るのである。
【0012】なお、かくの如き本発明に従う発泡層被覆銅材質管の製造方法における好ましい態様の一つによれば、前記発泡ポリエチレン層は、前記化学発泡剤に対して、低級カルボン酸を含有せず且つそれを発生せしめることのない、発泡の核となる核剤を組み合わせて、形成されることが望ましく、これによって、銅材質管の腐食及び黒変色の抑制乃至は阻止性能を維持しつつ、更に、発泡ポリエチレン層内部の気泡の大きさを効果的に小ならしめることが出来るのであり、以て、軸方向全長に亘って一定な外径寸法を有する発泡層被覆銅材質管を安定して得ることが、可能となるのである。
【0013】そして、本発明においては、そのような核剤として、特に、クエン酸塩と酸化亜鉛とを併用することにより、前記した優れた効果が、より一層効果的に奏され得ることとなる。
【0014】また、本発明手法において、発泡ポリエチレン層の形成に際し、前述せるように、核剤を用いる場合においては、そのような核剤を、それが1種の場合には、それ単独において、また、2種以上の場合には、それぞれにおいて、前記化学発泡剤の100質量部に対して10質量部以上の割合となるように用いることが、望ましい。核剤をそのような使用量において用いることによって、発泡ポリエチレン層を構成する気泡の微細化を一層効果的に実現することが出来るのであり、以て発泡層被覆銅材質管において、所期の外径寸法を一段と有利に確保することが、可能となる。
【0015】さらに、本発明に従う発泡層被覆銅材質管の製造方法の他の好ましい態様の一つにおいては、前記化学発泡剤は、前記ベース樹脂に対して0.5〜1.0質量%となる割合において用いられるのであり、それによって、化学発泡剤の熱分解に基づくガスの発生量が、適度なものとなる。
【0016】一方、本発明にあっては、銅若しくは銅合金からなる銅材質管の外周面を、化学発泡剤により発泡させた発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめ、更に該発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けてなる発泡層被覆銅材質管にして、該発泡ポリエチレン層が、低密度ポリエチレンをベース樹脂として、前記化学発泡剤に4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いて、前記銅材質管の外周面上に形成されてなり、且つ0.5mm以下の最大気泡径を有していることを特徴とする発泡層被覆銅材質管も、また、その要旨とするものである。
【0017】この本発明に従う発泡層被覆銅材質管にあっては、銅乃至は銅合金製の銅材質管が、その外周面において、所定の化学発泡剤の発泡作用により形成された発泡ポリエチレン層にて一体的に被覆せしめられ、更にその発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層が表皮として設けられた形態をもって構成されるものであるが、特に、かかる発泡ポリエチレン層が、熱分解やその分解生成物の更なる分解,反応により低級カルボン酸や強アルカリ成分を何等生ずることのない、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を化学発泡剤として用い、そのような化学発泡剤にてベース樹脂たる低密度ポリエチレンを発泡させることよって、形成されていると共に、かくして得られた発泡ポリエチレン層を構成する気泡が、0.5mm以下の最大径を有しているところに、格別顕著な特徴を有している。
【0018】要するに、かくの如き発泡層被覆銅材質管にあっては、非発泡樹脂層にて表皮が形成されていることにより、見た目性や取扱性等の特性が良くなっていると共に、発泡ポリエチレン層によって、銅材質管が保護され、また、施工性等の特性が効果的に発現され得るようになっていることに加え、かかる発泡ポリエチレン層が、前述の如き特徴的な性質を有する化学発泡剤の発泡作用に基づいて形成されているところから、銅材質管における腐食や黒変色といった不具合の発生が、良好に抑制乃至は阻止され得ているのであり、しかも、その内部の気泡が前記最大径を有して構成されていることによって、外径寸法が軸方向全長に亘って安定したものとなっているのであり、それ故に、そのような本発明製品にあっては、各種の建築用配管材等として、特に好適に用いられ得るのである。
【0019】なお、この本発明に従う発泡層被覆銅材質管における望ましい態様の一つによれば、前記表皮としての非発泡樹脂層は、非発泡ポリエチレン層であることが、好ましい。この非発泡ポリエチレン層からなる非発泡樹脂層は、前記発泡ポリエチレン層を与えるベース樹脂と同じような樹脂材料たるポリエチレン材料、中でも低密度ポリエチレンを用いて、容易に形成され得るのであり、それによって、発泡層被覆銅材質管の製造コストの低減化が、有利に図られ得るのである。
【0020】そして、このような本発明に従う構成の発泡層被覆銅材質管にあっては、上述せる如き本発明手法によって、極めて有利に製造され得るのである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明の構成について、更に具体的に明らかにすることとする。
【0022】先ず、図1及び図2には、本発明に係る発泡層被覆銅材質管の一例が、軸直角方向及び軸方向の断面にて、それぞれ、概略的に示されている。これら図1及び図2に示される発泡層被覆銅材質管10は、一般に、給水・給湯用配管等の建築用配管材等として、有利に用いられるものであって、銅又は銅合金からなる銅材質管12の外周面14上に、発泡ポリエチレン層16が、所定厚さにおいて、該外周面14を被覆するようにして形成され、更に、そのような発泡ポリエチレン層16の外周面18上に、非発泡樹脂層20が表皮として設けられた形態において、構成されている。
【0023】より詳細には、図示の発泡層被覆銅材質管10において、発泡ポリエチレン層16は、主に、銅材質管12を保護して、損傷,腐食の発生を防止したり、発泡層被覆銅材質管10の施工作業性の向上等を図ることを目的として、設けられるものであって、通常、ベース樹脂としての低密度ポリエチレンに対して、該低密度ポリエチレンの融点よりも高い分解温度を有する化学発泡剤を配合せしめてなる、ポリエチレン発泡原料を用いて、それを加熱することで、低密度ポリエチレンを溶融せしめる一方、化学発泡剤を熱分解せしめて、その熱分解に基づくところのガス発生機構により、銅材質管12の外周面14上において、低密度ポリエチレンを発泡成形せしめることによって、目的とする発泡ポリエチレン層16が、その内部に適当な大きさの気泡(セル)を有し、且つ外周面14全体を所定厚さで覆う形態において、形成されるのである。
【0024】そして、本発明にあっては、そのような発泡ポリエチレン層16を与えるポリエチレン発泡原料に配合せしめられる前記化学発泡剤として、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いるところに、大きな特徴を有しているのである。即ち、この4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)は、その熱分解により、ガス成分として、窒素及び水を放出する一方、その残渣として4,4′−オキシビス(ベンゼンスルフェン酸)を生ぜしめるものであるが、その分解残渣たる4,4′−オキシビス(ベンゼンスルフェン酸)は、更に熱分解して、ジチオフェニルエーテルとチオフェニルベンゼンスルホニルエーテルを生ぜしめるものの、それら分解生成物は、銅材質管12において腐食の要因となる直鎖状の低級カルボン酸(一般に、炭素数が1〜4程度のもの)や、銅材質管12の黒変色を引き起こす強アルカリ性の成分を、何等生じることがないのである。それ故に、発泡層被覆銅材質管10における発泡ポリエチレン層16を形成するに際し、化学発泡剤として、かかる4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)を用いる本発明にあっては、化学発泡剤の分解残渣乃至は副生成物が発泡ポリエチレン層16より浸出して、銅材質管12の腐食や黒変色を惹起するといった、従来の問題を悉く解消し得るものなのである。
【0025】なお、この化学発泡剤として用いられる4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の、ポリエチレン発泡原料中における配合量にあっては、それがガスの発生量に大きく寄与するものであるところから、発泡層被覆銅材質管10(発泡ポリエチレン層16)に要求される施工性等の各種特性や、採用する発泡ポリエチレン層16の形成手法(後述)等に応じて、所望の発泡倍率が得られるように、適宜に設定されるものであるが、一般的には、適度なガス発生量を実現するために、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)は、前記ベース樹脂としての低密度ポリエチレンに対して0.5〜1.0質量%程度となる割合において、用いられることとなる。
【0026】また、このような化学発泡剤と共にポリエチレン発泡原料を構成する、ベース樹脂たる低密度ポリエチレンとは、JISに規定されているように、0.910g/cm3 〜0.930g/cm3 程度の密度を有するものであって、本発明においては、特に、分岐状低密度ポリエチレンの採用が、望ましい。
【0027】さらに、本発明において、そのようなベース樹脂及び化学発泡剤を含んでなるポリエチレン発泡原料には、低級カルボン酸を含有せず、且つ熱分解等によって低級カルボン酸を発生せしめることがないものである限りにおいて、従来と同様に、酸化防止剤等の公知の各種の添加剤を配合せしめることが、可能であるが、本発明では、特に、発泡の核となる性質を有する、換言すれば、核生成機能を奏する核剤の1種又は2種以上を、化学発泡剤に対して組み合わせて、ポリエチレン発泡原料中に配合せしめることが、望ましい。
【0028】すなわち、発泡ポリエチレン層16の形成に際して、核剤を用いることによって、化学発泡剤の熱分解によって生ずるガスは、ベース樹脂内において、核剤を起点(核)として、気泡を形成するようになるところから、そのような核剤の存在量に応じて、気泡(セル)の数が効果的に大ならしめられ得るのであり、結果的に、発泡ポリエチレン層16の各気泡サイズを有利に小さくすることが、可能となるのである。そして、このように小さく且つ細かな気泡を有する発泡ポリエチレン層16が形成されることによって、そのような発泡ポリエチレン層16の外周面18上に設けられる前記非発泡樹脂層20の外表面22も滑らかなものとなるのである。
【0029】また、一般に、発泡ポリエチレン層16の形成に際して、気泡が局部的に乃至は部分的に肥大化し、更に、その肥大した気泡が破裂(破泡)するようになると、例えば、非発泡樹脂層20の形成を、発泡ポリエチレン層16を形成し、更に水冷した後において行なう手法を採用するような場合においては、その水冷の際に、そのような発泡ポリエチレン層16の外周面18表面で破泡した気泡内に侵入する水分は、エアブロー等による水切り操作にても、完全に除去することが出来ないために、かかる気泡内に残留した水分が、非発泡樹脂層20の形成時の加熱操作によって、水蒸気化されて、それにより、非発泡樹脂層20の膨れが惹起されることとなるのであるが、核剤の使用によって、このような問題を招来する気泡の局部的な肥大化や破泡の発生が、効果的に防止され得るのであり、その結果として、所期の外径寸法を軸方向全体に亘って実現する発泡層被覆銅材質管10を、安定して製造することが出来るという利益を享受することが出来るのである。
【0030】なお、この種の核剤は、一般に、発泡ポリエチレン層16の形成時には、固体状態であることにより、その核生成機能を最大限に発揮することが出来るところから、本発明において使用する核剤としては、前記化学発泡剤たる4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の分解温度よりも高い融点や分解温度を有するものであることが、望ましい。そして、そのような核剤としては、例えば、クエン酸モノナトリウム,クエン酸トリナトリウム等のクエン酸塩や、酸化亜鉛等が挙げられるが、本発明では、クエン酸塩と酸化亜鉛とを組み合わせて用いることが、特に推奨されるのであり、それにより、気泡の微細化作用が一段と有効に奏され得、以て、より高い寸法精度をもって、発泡層被覆銅材質管10を形成することが、可能となる。
【0031】また、このような核剤を用いる場合において、その使用量、換言すれば、ポリエチレン発泡原料における配合量にあっては、その種類や数に応じて、目的とするセルサイズが得られるような量が、適宜選定されるのであるが、通常、核剤を1種だけ用いる時には、その使用量(配合量)が、また、2種以上用いる場合は、それぞれの使用量(各成分の配合量)が、化学発泡剤の100質量部に対して10質量部以上の割合となるように、好ましくは20質量部以上の割合となるように、規定されることとなる。これは、10質量部よりも少ない使用量では、核剤による所期の気泡微細化効果や気泡の肥大・破泡防止効果が、充分に発揮され得なくなるからである。因みに、核剤の使用量(1種の場合にはそれ単独、2種以上の場合には各々)が多くなり過ぎると、その量に見合うだけの効果の増大を望み得なくなるところから、その上限は、一般に、110質量部以下、好ましくは50質量部以下とされる。
【0032】そして、本発明に従って、低密度ポリエチレンに対して、上記特定の化学発泡剤が配合せしめられ、更に必要に応じて、前記核剤等の添加剤が配合されてなるポリエチレン発泡原料を用いて、銅材質管12の外周面14上に、目的とする発泡ポリエチレン層16を所定厚さで形成するに際しては、通常の発泡成形手法が何れも採用され得るものであるが、中でも、押出機を用いて、その加熱シリンダ内において、加圧下に、ポリエチレン発泡原料を、それに配合された化学発泡剤としての4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の分解温度以上で加熱することによって、発泡しない状態で混練して、シリンダ先端のダイスの開口部から、銅材質管12の外周面14上に押し出すことにより、加圧状態を解放すると同時に発泡させる押出被覆手法等が、有利に採用されることとなる。
【0033】なお、このような発泡ポリエチレン層16の形成に用いられるポリエチレン発泡原料は、上述の如き本発明に従う配合組成となるように、一般的な調製手法に従って、調製,準備されるものであり、例えば、低密度ポリエチレンに対して、化学発泡剤や核剤等の添加成分を高割合において均一に練り込んでなるマスターバッチを用い、それを更に低密度ポリエチレンと配合せしめて、目的とする組成のポリエチレン発泡原料を調製して、押出しを行なうことも、可能である。また、ポリエチレン発泡原料を発泡させるために必要な加熱温度としては、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の分解温度以上であれば、何等問題はないが、核剤を用いる場合においては、通常、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)の分解温度以上で、且つ用いる核剤の融点及び分解温度以下の温度が、好適に採用されることとなる。更に、銅材質管12の外周面14上に形成する発泡ポリエチレン層16の厚さは、特に限定されるものではなく、必要とされる特性が充分に発現され得るように、適宜に定められる。
【0034】更にまた、前述せるようにして形成される発泡ポリエチレン層16において、それを構成する気泡のサイズとしては、発泡層被覆銅材質管10の用途等に従って要求される各種特性が有利に実現され得るように、化学発泡剤の配合量を調整したり、上記の如く、ポリエチレン発泡原料に所定の核剤を配合せしめたり、或いは発泡ポリエチレン層16の形成時において、ポリエチレン発泡原料の加熱温度やそれに加える圧力等を制御したりすることで、調整されるものであるが、本発明においては、特に、気泡径の最大値(最大気泡径)が0.5mm以下、好適には0.4mm以下であることが、望まれるのである。けだし、最大気泡径が、前記した値を越えるような場合には、発泡ポリエチレン層16の外周面18の凸凹が著しくなったり、局部的な気泡の肥大化や破泡が発生するために、かかる外周面18上において、滑らかな外表面22を有する非発泡樹脂層20を有利に形成し難くなり、その結果、発泡層被覆銅材質管10の外径寸法が軸方向において変化するようになる等の問題が、惹起されるからである。
【0035】一方、本発明に従う発泡層被覆銅材質管10において、上述の如き発泡ポリエチレン層16の外周面18上には、更に、非発泡樹脂層20が設けられているのであるが、それは、発泡層被覆銅材質管10の美観性乃至は見た目性や、取扱性等の向上を図るべく設けられるものであって、所要の樹脂からなる被覆層を押出成形する等の形成操作によって、発泡ポリエチレン層16の外周面18を、所定の厚さにおいて恰も表皮の如く覆う形態をもって、且つ非発泡の被覆層として形成されていると共に、その外表面22は、全体として比較的に滑らかなものとされている。
【0036】ここにおいて、かかる非発泡樹脂層20を与える樹脂材料としては、一般に、発泡ポリエチレン層16との相性が良く、従って、それらの層16,20の一体的な積層形成が容易な、各種樹脂材料の中から、求められる特性や外表面22の表面状態、価格等に応じて、適当なものが選択されて、用いられることとなるが、有利には、ポリエチレンを採用することが、推奨される。そして、そのような非発泡樹脂層20をポリエチレン材料にて形成する場合において、換言すれば、非発泡樹脂層20をポリエチレンからなる非発泡層にて構成する場合においては、特に、ポリエチレンの中でも、前記発泡ポリエチレン層16を与えるポリエチレン発泡原料のベース樹脂として用いられる低密度ポリエチレンと同じものが、好適に採用されるのであり、それによって、発泡層被覆銅材質管10のコストダウンを有利に図ることが可能となる。なお、この樹脂材料には、必要に応じて、顔料の如き着色剤の他、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の如き、非発泡樹脂層20に紫外線吸収性や耐候性等を付与し得る各種の添加剤が配合されていても、何等差し支えない。
【0037】また、このような樹脂材料を用いた非発泡樹脂層20の形成には、樹脂材料を発泡させることなく、目的とする非発泡層を有利に得ることの出来る手法であれば、押出成形等の公知の各種の成形方法を用いることが、可能であり、また、そのような非発泡樹脂層20の形成は、通常、発泡ポリエチレン層16の形成の後に行なわれるものであるが、この他、例えば、上記せるように、押出同時発泡成形操作にて発泡ポリエチレン層16を形成する場合には、二台の押出機を組み合わせた装置や二色押出機等を用いることで、発泡ポリエチレン層16と同時に、非発泡樹脂層20を形成することも、可能である。なお、かくして形成される非発泡樹脂層20の厚さは、何等限定されるものではなく、従来と同程度の厚さとして、適宜に決定されることとなる。
【0038】かかる本発明に従って、銅材質管12の周囲に発泡ポリエチレン層16が被覆形成され、更にその発泡ポリエチレン層16の周囲に、表皮として非発泡樹脂層20が設けられてなる発泡層被覆銅材質管10にあっては、発泡ポリエチレン層16において、銅材質管12の保護性等の所望の特性を充分に実現することが出来ると共に、非発泡樹脂層20によって、その外観等が良好なものとなっているのであり、しかも、銅材質管12の腐食及び黒変色が、効果的に抑制乃至は阻止され得るようにもなっている。従って、本発明に係る発泡層被覆銅材質管10は、建築用配管材等として、特に適したものとなっているのである。
【0039】なお、本発明に係る発泡層被覆銅材質管(10)において、それを構成する銅材質管(12)としては、従来と同様な銅管や銅合金管が対象とされ、例えば銅合金管としては、黄銅管等の所定の添加合金成分を含む銅合金にて形成されるものがあるが、特開平4−45282号公報や、特開平4−99180号公報、特開平4−131384号公報に明らかにされているような、銅管や銅合金管の内周面に、スズ皮膜(Snめっき)やSn酸化皮膜、Cu−Sn層等といった耐蝕性等を発現する皮膜を形成してなるものも、本発明で言うところの銅材質管の範疇に含まれるものであることが、理解されなくてはならない。また、そのような銅材質管の形状、サイズ等については、図1や図2に例示したものに限定されるものでは決してなく、用途に応じて、適宜に変更され得るものである。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0041】−直鎖状低級カルボン酸浸出試験−先ず、本発明に従って、ベース樹脂としての低密度ポリエチレンに対して、化学発泡剤として、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(以下、OBSHと略す)を、下記表1に示す割合において配合せしめ、更に、核剤として、クエン酸モノナトリウムと酸化亜鉛とを、OBSHの100質量部に対して、それぞれ下記表1に示す割合となるように、配合せしめることにより、No.1〜5のポリエチレン発泡原料を、それぞれ調製した。
【0042】一方、比較のために、低密度ポリエチレンに対して、化学発泡剤として、アゾジカルボンアミドを0.3質量%の割合において、添加,配合せしめて、No.6のポリエチレン発泡原料を調製した。
【0043】次いで、上記で得た各種ポリエチレン発泡原料を用いて、それを単軸押出機に導入して、シリンダ内において、180℃の温度で加熱・加圧して、溶融混練したものを、ダイスの開口部から、外径:22.2mm及び肉厚:0.8mmのリン脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)の外周面上に押し出して、発泡させることにより、管外周面が4mmの厚さの発泡ポリエチレン層にて被覆されてなる各種の供試管(No.1〜6)を作製した。
【0044】そして、このようにして得られた各供試管における発泡ポリエチレン層(被覆層)からの、直鎖状低級カルボン酸(蟻酸及び酢酸)の浸出について調べた。具体的には、各供試管から発泡ポリエチレン層の一部を15gにおいて切り出し、次いで、その切出物を20mLの蒸留水と共に、バイアル瓶に収容して密封し、更にそれを90℃に保持されたオーブン内において、24時間加熱した後、冷却して、バイアル瓶中の水層部分を少量採取し、その採取物について、イオン交換クロマトグラフにより分析を行なって、採取物中の蟻酸及び酢酸の含有濃度を調べ、その結果を下記表1に併せ示した。なお、かかるイオン交換クロマトグラフによる分析における対象物の検出限界は、3ppmであり、下記表1において、「<3」とは、対象物の濃度が、検出限界未満であったことを示している。
【0045】
【表1】

*1:低密度ポリエチレンに対する割合〔=(OBSH量/低密度ポリ エチレン量)×100〕
*2:OBSHの100質量部に対する割合【0046】かかる表1の結果からも明らかなように、No.1〜5の供試管を構成する発泡ポリエチレン層からは、蟻酸及び酢酸は検出され得なかったのに対して、比較例であるNo.6の供試管の発泡ポリエチレン層からは、蟻酸が浸出することが、認められる。なお、No.1〜5の供試管に対しては、更に、上記と同様にして、イオン交換クロマトグラフによる分析を実施して、プロピオン酸及びn−酪酸の浸出を調べたところ、何れの供試管についても、プロピオン酸,n−酪酸共に、検出限界未満(3ppm未満)であることを確認した。
【0047】−銅管黒変色試験−先ず、本発明に従って、低密度ポリエチレンに対して、OBSHを下記表2に示す割合にて配合せしめ、更に、クエン酸モノナトリウムと酸化亜鉛とを、OBSHの100質量部に対して、それぞれ下記表2に示す割合となるように、配合せしめて、No.7〜11のポリエチレン発泡原料を調製した。
【0048】また、比較のために、低密度ポリエチレンに対して、化学発泡剤としての炭酸水素ナトリウムを0.7質量%の割合において、添加せしめることにより、No.12のポリエチレン発泡原料を得た。
【0049】次いで、上記で得た各種ポリエチレン発泡原料を用いて、それを単軸押出機に導入して、加圧下、180℃の温度で溶融混練したものを、外径:15.9mm及び肉厚:0.7mmのリン脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)の外周面上に押し出し、同時に発泡させることにより、管外周面が3mmの厚さの発泡ポリエチレン層にて被覆されてなる各種の供試管(No.7〜12)を作製した。
【0050】そして、かくの如くして得られた各供試管の300mmを、それぞれ、80℃×95%RH(相対湿度)に保持した恒温恒湿槽内に仕込んで、72時間放置した後、かかる供試管を取り出して、その各々から、発泡ポリエチレン層(被覆層)を引き剥がした後に、銅管表面を観察して、銅管における黒変色の発生の有無を調べた。その結果を下記表2に併せ示す。
【0051】
【表2】

*1:低密度ポリエチレンに対する割合 *2:OBSHの100質量部に対する割合【0052】上記表2の結果から明らかなように、No.7〜11に係る供試管の何れの銅管においても、黒変色の発生は何等認められなかったのに対し、比較例であるNo.12の供試管を構成する銅管においては、その表面が顕著に黒変色していることを認めた。
【0053】−OBSH配合量試験−先ず、低密度ポリエチレンに対して、化学発泡剤としてのOBSHを、下記表3に示す各種の割合においてそれぞれ配合せしめ、更にクエン酸モノナトリウムと酸化亜鉛とを、OBSHの100質量部に対して、それぞれ100質量部となる割合において、配合せしめて、No.13〜17のポリエチレン発泡原料を調製した。
【0054】次に、上記で得た各ポリエチレン発泡原料を用い、先のNo.1等の場合と同様にして、単軸押出機により、180℃の加熱条件を採用して、温度外径:15.9mm、肉厚:0.7mmのリン脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)の外周面上に、厚さが3mmとなるように、押出同時発泡せしめて、管外周面を発泡ポリエチレン層にて被覆し、更に、別の単軸押出機を用いて、銅管周りに形成された発泡ポリエチレン層の外周面上に、低密度ポリエチレンを厚さ0.5mmにおいて押出成形せしめて、非発泡ポリエチレン層からなる表皮を被覆形成することにより、各種の発泡層被覆銅管(No.13〜17)を作製した。
【0055】そして、かくして得られた発泡層被覆銅管のそれぞれについて、OBSHの配合量による影響を調べるために、その軸方向の任意の5箇所において、外径寸法をノギスにて測定し、その寸法の最小値及び最大値を、最小外径及び最大外径として下記表3に併せ示した。
【0056】
【表3】

*:低密度ポリエチレンに対する割合【0057】かかる表3に示した測定結果からも明らかなように、No.13〜15の各発泡層被覆銅管においては、何れも、22.9±0.9mm程度の外径寸法が全長に亘って実現され得ているのであるが、OBSHの配合量の少ないNo.16の発泡層被覆銅管にあっては、発泡ポリエチレン層形成時のガスの発生量が過少であるために、No.13〜15のものに比して、外径寸法が小さくなり過ぎており、逆に、OBSHの配合量の多いNo.17の発泡層被覆銅管にあっては、ガス発生量が過多であることにより、外径寸法が大きくなり過ぎていることが分かる。
【0058】−核剤効果試験−先ず、低密度ポリエチレンに対して、OBSHを0.7質量%の割合にて配合せしめ、更に、核剤として、クエン酸モノナトリウムと酸化亜鉛とを、OBSHの100質量部に対して、それぞれ下記表4に示す割合となるように、配合せしめて、No.18〜32のポリエチレン発泡原料を調製した。
【0059】次いで、上記で得た各ポリエチレン発泡原料を用い、先のNo.1等と同様にして、単軸押出機により、180℃の加熱条件を採用して、外径:15.9mm及び肉厚:0.7mmのリン脱酸銅管(JIS−H3300−C1220T)の外周面上に、原料を押出同時発泡せしめて、管外周面を3mm厚さの発泡ポリエチレン層にて被覆し、次いでそれを水冷し、水切り操作を行なった後、更に、上記で用いたものとは別の単軸押出機を用いて、発泡ポリエチレン層の外周面上に、低密度ポリエチレンを厚さが0.5mmとなるように押出成形せしめて、非発泡ポリエチレン層からなる表皮を形成して、発泡層被覆銅管(No.18〜32)を、それぞれ一対ずつ得た。
【0060】−気泡径測定−上記で得られた各一対の発泡層被覆銅管のうちの一方をそれぞれ用いて、その発泡ポリエチレン層における気泡径の測定を行なった。即ち、各管を軸方向の任意の5箇所において切断した後、それらの切断面のうちの発泡層全部分を、走査電子顕微鏡により25倍の拡大倍率において観察して、気泡径(長径)を測定し、それら気泡径のうちの最大値を、最大気泡径として、下記表4に併せ示した。
【0061】−膨れの確認と外径測定−上記で得られた各一対の発泡層被覆銅管のうちの他方をそれぞれ用いて、各管における非発泡ポリエチレン層表皮の膨れの有無を、目視により観察し、その結果を下記表4に示した。また、膨れの発生が認められる場合には、ノギスを用いて、その膨れ部分における外径寸法を測定し、その測定結果も、また、下記表4に併せ示した。
【0062】
【表4】

*:OBSHの100質量部に対する割合【0063】かかる表4からも明らかなように、No.18〜26に係る発泡層被覆銅管は、その何れにあっても、最大気泡径が0.5mm以下となっており、膨れの発生が何等認められないことが、分かる。なお、それらNo.18〜26のもののそれぞれについて、外径寸法をノギスにて任意の複数の点で測定したころ、何れも、全長に亘って、22.9±0.9mm程度の外径寸法を実現していることを確認した。これに対して、No.27〜32の発泡層被覆銅管においては、その一部分(数mに1箇所程度)において膨れが生じており、それによって、かかる膨れ部分の外径寸法が、他の部分に比して大きくなっていることを、認めた。
【0064】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明に従う発泡層被覆銅材質管の製造方法にあっては、銅材質管の外周面に、化学発泡剤によりベース樹脂たる低密度ポリエチレンを発泡させて、発泡ポリエチレン層を一体的に被覆形成すると共に、その発泡ポリエチレン層の外周面に、非発泡樹脂層を表皮として設けるに際し、かかる発泡ポリエチレン層を形成するための化学発泡剤として、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が使用されるところから、従来の如く、低級カルボン酸や強アルカリ成分が発生するようなことがないのであり、それ故に、得られる発泡層被覆銅材質管において、銅材質管の腐食や黒変色が効果的に抑制乃至は阻止され得るといった効果が、奏され得るのである。従って、このような本発明に従う製造手法によれば、建築用配管材等として特に好適に用いられ得る発泡層被覆銅材質管を、有利に製造することが出来るのである。
【出願人】 【識別番号】000002277
【氏名又は名称】住友軽金属工業株式会社
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−74198(P2001−74198A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−249004