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【発明の名称】 断熱シート
【発明者】 【氏名】唐川 和雄

【要約】 【課題】断熱塗料の層状物への接着親和性を改良して剥離の虞れを解消するとともに、施工性を向上させた、より薄く軽量な断熱シートを提供することを目的とする。

【解決手段】断熱塗料層2の表面に化粧材1を積層するとともに裏面に接着層3を積層してなる断熱シート10において、前記断熱塗料層2が布部材2Aに断熱塗料5を含浸させて構成されたことを特徴とするもので、きわめて薄い層が得られる断熱塗料の利点をそのままに、該断熱塗料を巧妙に封じ込めることで、断熱塗料の剥離の虞れのない高品質の断熱シートによって、施工スペースに制限されることなく高い自由度にて迅速かつ容易に施工され、被保護物を外気の酷暑や酷寒から長期間にわたって確実に保護することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 断熱塗料層の表面に化粧材を積層するとともに裏面に接着層を積層してなる断熱シートにおいて、前記断熱塗料層が布部材に断熱塗料を含浸させて構成されたことを特徴とする断熱シート。
【請求項2】 前記断熱塗料層における布部材内に補強部材を埋設したことを特徴とする請求項1に記載の断熱シート。
【請求項3】 前記補強部材がパンチングメタルにより構成されたことを特徴とする請求項2に記載の断熱シート。
【請求項4】 前記接着層が剥離紙により保護されるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱シート。
【請求項5】 前記化粧材、断熱塗料層および接着層からなる3層を厚さ方向に圧縮して構成してなる請求項1ないし4のいずれかに記載の断熱シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外気の寒暑から保護するために水道管やプラント配管等に巻き付けられ、あるいは外壁等に貼り付けられ、もしくはあらゆる断熱部に貼付されて使用される断熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】水道管やプラント配管あるいは外壁等を風雪から保護するために断熱材や様々なカバー体によって被覆することが行われている。従来、寒冷地等においては、図6に示すように、水道管やプラント配管14等に発泡ウレタン等の断熱材15を被覆し、さらに断熱材15の外周にビニールテープ16を螺旋状に巻き付けて固定してカバー体を構成していた。ところが、断熱材15の外周にビニールテープ16を螺旋状に巻き付けるものでは、ビニールテープ16の巻付けに多大の時間と労力を要する他、発泡ウレタン等の断熱材15の嵩が大となり、配管スペースに制約を生じて不都合であった。
【0003】そのような中で、図7に示すような、セラミックス系断熱塗料が開発された。このものは、水道管やプラント配管17等に直接に断熱塗料18を吹付けなどにより塗布するだけで、高い断熱効果を発揮するものである。例えば断熱塗料0.38mmの厚さで塗布することによって、ほぼ50mm厚さのロックウール等のウレタン製断熱材による断熱効果に匹敵することから、航空機や宇宙機材の断熱材として注目を浴びてきている。しかしながら、このように母材に断熱塗料を塗布するものでは、発泡ウレタン等の断熱材のように嵩高くなることがなく、配管施工の自由度も高くなったものの、母材に直接に断熱塗料が塗布されることから、常に外気に晒される断熱塗料は剥がれ易い上、障害物によって損傷を受け易いものであった。
【0004】そこで、図8に示すような特開平11−36473号公報に開示されたような断熱耐火シートが開発された。このものは、表面層21と裏面層22にて芯層23をサンドイッチして積層したシートAであり、表面層21と裏面層22とは少なくとも無機繊維と黒鉛成分とを合成樹脂にてバインドして形成し、また、芯層23はラテックス樹脂を基剤としこれに残留モノマー、珪酸塩、真珠塩、酸化亜鉛、エマルジョン樹脂、エチレングリコール、水、アンモニアを混合したセラミックス系断熱塗料層としたものである。このような構成によって、軟弱な断熱塗料層を確実に保護することが可能となり、薄くて断熱効果に優れる断熱塗料の長所を活かしたまま、高い自由度にての各種断熱施工が確保できることとなった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来例においては、断熱塗料層の表裏を無機繊維と黒鉛成分とを合成樹脂にてバインドして形成した表面層21と裏面層22にて保護するものであるため、このような断熱耐火シートを配管や外壁に施工するには接着材等を介在させて行う必要があって、接着材の塗布作業に時間を要する他、本来、外気環境に対する断熱塗料層の保護の観点からはさほど必要でない裏面層22を配設していることで、断熱耐火シートの厚みが増大してしまっていた。また、芯層23を構成する断熱塗料層と表面層21ないしは裏面層22との間は広い面接触部を形成しており、これらの間の接着親和性が充分とは言えず、施工時の変形によって、芯層23と表面層21ないしは裏面層22との間において剥離を生じる虞れがあった。
【0006】そこで本発明は、上記断熱シートの諸課題を解決して、断熱塗料の層状物への接着親和性を改良して剥離の虞れを解消するとともに、施工性を向上させた、より薄く軽量な断熱シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、断熱塗料層の表面に化粧材を積層するとともに裏面に接着層を積層してなる断熱シートにおいて、前記断熱塗料層が布部材に断熱塗料を含浸させて構成されたことを特徴とするものである。また本発明は、前記断熱塗料層における布部材内に補強部材を埋設したことを特徴とするものである。また本発明は、前記補強部材がパンチングメタルにより構成されたことを特徴とするものである。また本発明は、前記接着層が剥離紙により保護されるように構成されたことを特徴とするものである。また本発明は、前記化粧材、断熱塗料層および接着層からなる3層を厚さ方向に圧縮して構成してなるもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【0008】
【実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜5は本発明の断熱シートの1実施の形態を示すもので、図1(A)は布部材に断熱塗料を含浸させて断熱塗料層を構成する様子を示す図、図1(B)は断熱シートの全体断面図、図2はロール状に巻き付けられた断熱シートの斜視図、図3は断熱シートの要部斜視図、図4(A)は化粧層の斜視図、図4(B)は断熱塗料層の斜視図、図4(C)は接着層の斜視図、図5は断熱シートが配管等に巻き付けられて使用された状態を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の断熱シート10は、断熱塗料層2の表面に化粧材1を積層するとともに裏面に接着層3を積層してなる断熱シートにおいて、前記断熱塗料層2が布部材2Aに断熱塗料5を含浸させて構成されたことを特徴とするものである。図1(A)に示すように、布部材2Aに断熱塗料5を含浸させる方法としては種々の方法が考えられるが、図示の例のように、セラミックス系の断熱塗料をスプレーガンによってフェルト状あるいは織物ないしは編物状の布部材2Aに吹き付けてもよいし、前記形態の布部材2Aをセラミックス系の断熱塗料槽内に沈めて含浸させてもよい。
【0009】このようにして構成された断熱塗料層2の裏面に、図1(B)に示すように、接着層3を積層し、さらにその裏面に剥離紙3Dを接着して接着層3の使用前の保護がなされ、本発明の断熱シート10が完成する。図2に示すように、このようにして製造された断熱シート10は、ロール状に巻き付けられて出荷に供される。図3は断熱シート10の要部斜視図で、断熱塗料層2の表面に化粧材1が積層され、裏面に接着層3が積層された状態が明瞭に示されている。断熱シート10のより具体的な積層状態を示したものが図4の各部材の分解図である。図4(A)に示すように、化粧材1は断熱塗料層2を外気から保護するもので、好適にはケブラー(登録商標:芳香族ポリアミド)等の耐候性の高い適宜の素材の表面部材1Aが採用され、該表面部材1Aの裏面には接着部材1Bが塗布される。
【0010】図4(B)に示すように、断熱塗料層2は、断熱塗料5が含浸された布部材2A、2Cを基本層とし、これら布部材2A、2C内に補強部材2Bを埋設したことを特徴とする。布部材2A、2Cは断熱塗料5と親和性が高いものであれば、同じ素材であってもよいし、異なった素材であってもよい。また、布部材2A、2Cは、フェルト状あるいは織物ないしは編物状のいずれの形態であってもよいし、それらの適宜の組合せが採用され得る。また、これらの布部材2A、2C間に埋設される補強部材2Bとしては、厚さ0.1mm 〜0.2mm程度のSUSステンレスパンチングメタル等が採用されるが、施工の際の曲げ、引張り強度が確保できるものであれば、適宜の補強部材が採用され得る。SS(鋼材)、Cu(銅板)、アルミ材等の素材やパンチングメタルの他に板材も採用され得る。このようにして構成された布部材2A、2Bおよび補強部材2Bは、ミシン等により縫い合わせられて、断熱塗料層2として一体化される。
【0011】図4(C)に示すように、接着層3は、表面に接着部材3Aが塗布された中間部材(紙等から構成される)3Bの裏面に接着部材3Cが塗布されて構成され、その裏面に剥離紙3Dが貼り付けられて、接着部材3Cの使用前の保護がなされる。つまり、接着層3はいわゆる両面テープの形態を呈する。このようにして構成された化粧層1、断熱塗料層2および接着層3を厚み方向に圧縮することによって、接着部材1Bおよび3Aが3つの層を確実に接着してより薄い断熱テープ10が完成する。断熱塗料層2と化粧層1および断熱塗料層2と接着層3とは、これらの層と接着親和性に優れるところの断熱塗料層2における布部材2A、2Bが接着部材1B、3Aを介して接着されるので、従来の断熱塗料が直接に表面層ないしは裏面層に接着されるもののように、剥離を生じる虞れがなく、高い品質にて断熱塗料を巧妙に封じ込めた断熱シートが完成する。
【0012】かくして、図5に示すように、きわめて薄い断熱シート10は、現場において剥離紙(図4(C)における3D)が剥がされて、建築物の外壁に貼り付けられたり水道管やプラント配管4等に巻き付けられて施工スペースに制限されることなく高い自由度にて迅速かつ容易に施工され、これら配管4を外気の酷暑や酷寒から長期間にわたって確実に保護することが可能となる。このように、きわめて薄い層が得られる断熱塗料の利点をそのままに、該断熱塗料を巧妙に封じ込めることで、断熱塗料の剥離の虞れのない高品質の断熱シートが提供される。
【0013】以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、化粧材、接着層および断熱塗料層の形状、材質、布部材への断熱塗料の含浸方法、断熱塗料の成分、断熱塗料層における布部材への補強部材の埋設形態、補強部材の構造(補強部材と布部材がミシン等で縫合可能な構造)およびその材質、剥離紙の形状、化粧材、断熱塗料層および接着層の圧縮形態等については適宜選定できるものである。
【0014】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、断熱塗料層の表面に化粧材を積層するとともに裏面に接着層を積層してなる断熱シートにおいて、前記断熱塗料層が布部材に断熱塗料を含浸させて構成されたことにより、きわめて薄い層が得られる断熱塗料の利点をそのままに、該断熱塗料を巧妙に封じ込めることで、断熱塗料の剥離の虞れのない高品質の断熱シートによって、施工スペースに制限されることなく高い自由度にて迅速かつ容易に施工され、被保護物を外気の酷暑や酷寒から長期間にわたって確実に保護することが可能となる。しかも、断熱塗料層と化粧層および断熱塗料層と接着層とは、これらの層と接着親和性に優れるところの断熱塗料層における布部材が接着部材を介して接着することを可能にするので、従来の断熱塗料が直接に表面層ないしは裏面層に接着されるもののように、剥離を生じる虞れがなく、高い品質にて断熱塗料を巧妙に封じ込めた断熱シートを製造することができる。
【0015】また、前記断熱塗料層における布部材内に補強部材を埋設した場合は、断熱シートの施工の際の曲げ、引張り強度が確保できる。さらに、前記補強部材がパンチングメタルにより構成された場合は、多数の孔を通じて接合には比較的不向きな金属板等の補強部材と布部材とがミシン等により縫い合わせることができて、断熱塗料層として容易に一体化される。さらにまた、前記接着層が剥離紙により保護されるように構成された場合は、断熱シートにおける接着部材の使用前の保護がなされる。また、前記化粧材、断熱塗料層および接着層からなる3層を厚さ方向に圧縮して構成して場合は、断熱シートを構成する3つの層を確実に接着してより薄い断熱テープが製造できる。このように、本発明によれば、断熱塗料の層状物への接着親和性を改良して剥離の虞れを解消するとともに、施工性を向上させた、より薄く軽量な断熱シートが提供される。
【出願人】 【識別番号】595024515
【氏名又は名称】ヤマト工業株式会社
【識別番号】599058154
【氏名又は名称】秋葉 英夫
【出願日】 平成11年9月6日(1999.9.6)
【代理人】 【識別番号】100102565
【弁理士】
【氏名又は名称】永嶋 和夫
【公開番号】 特開2001−74197(P2001−74197A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−251318