トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 鋼管用キャップ
【発明者】 【氏名】安部 道弘

【氏名】竹下 邦子

【氏名】浦松 真一

【要約】 【課題】鋼管用キャップとして必要な適度の弾性、耐水性や耐油性を備えたものであって、しかも、比較的低い燃焼カロリーで焼却でき、特殊な廃棄処理が不要で、環境適応性に優れた鋼管用キャップの提供を図る。

【解決手段】外部からの埃等の物質進入や内部の液体の漏れ等の物質の内外流通を防止するために鋼管2の端部を封緘する装着・脱着可能な鋼管用キャップ1において、50重量%を越える紙と50重量%未満の樹脂とを含有した複合材によって、この鋼管用キャップ1を成形する。上記の樹脂には、ゴム弾性樹脂、若しくは、ゴム弾性樹脂とこれよりゴム弾性の低い非ゴム弾性樹脂とを用いる。この紙と樹脂との複合材の物性は、引張破壊伸び5〜35%、より望ましくは15%以上であり、且つ、曲げ弾性率1,000〜20,000 Kgf/cm2とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部からの埃等の物質進入や内部の液体の漏れ等の物質の内外流通を防止するために鋼管の端部を封緘する装着・脱着可能な鋼管用キャップにおいて、50重量%を越える紙と50重量%未満の樹脂とを含有した複合材によって成形され、キャップの脱着時に、脱着不能となる破損が生じない弾性を備えたことを特徴とする鋼管用キャップ。
【請求項2】 上記の樹脂は、その少なくとも1種がゴム弾性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の鋼管用キャップ。
【請求項3】 上記の樹脂が、ゴム弾性樹脂と、このゴム弾性樹脂よりゴム弾性の非ゴム弾性樹脂との少なくとも2種からなることを特徴とする請求項1記載の鋼管用キャップ。
【請求項4】 紙と樹脂との複合材の物性が、引張破壊伸び5%以上であり、且つ、曲げ弾性率( Kgf/cm2)1,000〜20,000 Kgf/cm2であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の鋼管用キャップ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、鋼管用キャップに関するもである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼管用キャップは、鋼管の端部に装着・脱着可能に取り付けられ、外部からの埃等の物質進入や内部の液体(水や油)の漏れ等、物質の内外流通を防止するために用いられている。その代表的な形状を、図1に示す。このキャップ1は、鋼管2の内面に嵌入される有底筒状部3と、その端部に外方向に張り出すように形成されたフランジ4とを備える。有底筒状部3は、底部5と、この底部5から徐々に径が大きくなるテーパ部6と、テーパ部6とフランジ4との間のストレート部7とを備える。そして、底部5から鋼管2の端部内に嵌入され、ストレート部7が鋼管2の内周面に密接して、物質の内外流通を防止する。このキャップ1は、鋼管2に一時的に嵌め込まれ、使用後は、ペンチ等で引き抜き、廃棄される。このキャップ1は、通常、1つの大きさのキャップ1で、内径が数mm異なる複数種類の鋼管2に対して使用されるため、これらの内径の異なる鋼管2の内面との間で密着性を保つことができ、適度の剛性、ゴム弾性、耐水性や耐油性を備えたものであることが必要となる。また、ペンチ等で引き抜く際に、キャップ1が破損してしまい、キャップ1を引き抜くことが出来ないものであってはならず、さらに、必要に応じて再利用も可能なように、破損が全く生じないことが最も望ましい。
【0003】このような要求を満たすために、従来の鋼管用キャップには、合成樹脂が用いられていた。ところが、鋼管用キャップは、通常、使用後は廃棄されるため、廃棄が容易であることが望ましいにもかかわらず、合成樹脂は廃棄性が悪く、環境を損なう問題があり、廃棄処理コストが高くなってしまう。逆に、環境適応性に優れた紙や古紙をキャップ材料に使用すると、加工性が悪く、強度が低く、ゴム弾性に欠け、耐水性がないため、これらの材料は鋼管用キャップに使用することが困難である。
【0004】他方、紙と樹脂、特に熱可塑性樹脂と混練して、成形原材料として利用する技術は、古紙のリサイクルの一つの方法や燃焼カロリーの低減策として着目され、また、紙成分が50wt%を超える場合には紙として一般ゴミの扱いとなり廃棄性の観点からも注目されている。
【0005】ところが、この複合材は、紙との配合をなすため、全体としての物性が、剛性が強く、引張伸びが低く、いわゆる硬くて脆い材質となってしまい、鋼管用キャップには適するものではなく、紙と樹脂との複合材製の鋼管用キャップの開発はなされていなかった。より詳しくは、剛性が高くても、脆く、衝撃緩衝性の低いものしか得ることができず、その傾向は、樹脂の量を少なく紙の量を多くすると、一層顕著に現れる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンと、紙との複合材については、樹脂を60重量%とすると、引張破壊伸びが約3〜7%を越えるのに対して、樹脂を50重量%未満とすると、引張破壊伸びが約2〜3%以下となる。さらに、伸びと強度が高く、適度の剛性を有することが最も望ましいと考えられるが、紙による易廃棄性、伸びと強度、剛性、の3つの要求を同時に満たすことは極めて困難であり、鋼管用キャップには通常の合成樹脂製のものしか実用化されていなかった。
【0006】ここで、紙と樹脂との複合材の製造方法について、若干説明を加えておくと、その製法は、紙を小片状として樹脂と混練する方法と、紙を解繊し、この繊維状の解繊物と樹脂と混練する方法とに大別し得る。前者は小片状の紙の存在が成形品内で見える場合があり外観上の点から使用用途が限られる場合があるが、後者は、そのような外観上の制約は殆どなく、さらに、解繊物の植物繊維が樹脂の強化材として作用し、樹脂単体に比して機械的強度を向上させることができるという利点がある。
【0007】後者の方法については、紙を小片状に粗砕し、この小片状の紙を溶融した樹脂液中で叩解して解繊することにより、叩解による解繊と混練とを一つの工程で行う方法が知られている。ところがこの方法では、叩解を溶融した樹脂液中で行うため、叩解中に大きなせん断力と熱とが加わり、繊維が劣化してしまう。後者の他の方法としては、紙を予め解繊し、この解繊した紙と樹脂とを混練する方法があるが、この方法については、解繊を大量の水を用いて溶解させる湿式法と、溶解のための水を用いない乾式法の2つの方法がある。
【0008】湿式法の場合得られた繊維を公定水分量(8〜9%程度)に乾燥すると繊維間の水素結合力が大きくなり、物理的な力で混練分散させることが困難となったり、熱エネルギーを大量に必要とすると言った問題が指摘されている。
【0009】乾式法としては、特開平5−269736号公報に記載の方法が提案されている。この方法は、溶解のための水を用いない乾式法により紙を解繊し、これに分散性改良剤を加えて造粒し、この粒状とした解繊繊維を樹脂とを混練するものであるが、品質の安定や生産性の点で問題を残すものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑み、本願発明は、鋼管用キャップとして必要な適度の弾性、耐水性や耐油性を備えたものであって、しかも、比較的低い燃焼カロリーで焼却でき、特殊な廃棄処理が不要で、環境適応性に優れた鋼管用キャップを提供することを目的とする。また、本願発明は、解繊された紙と樹脂との複合材であって、易廃棄性、適度の弾性、並びに機械的強度を担保する剛性、の3つの要求を同時に満たすことのできる鋼管用キャップを提供することを目的とする。本願発明のさらに他の目的は、安定した品質を有しており、しかも、高い生産性のもと低コストで生産され得る鋼管用キャップを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで本願発明は、次の構成を特徴とするものを提供することにより、上記の課題を解決する。本願の第1の発明は、外部からの埃等の物質進入や内部の液体の漏れ等の物質の内外流通を防止するために鋼管の端部を封緘する装着・脱着可能な鋼管用キャップにおいて、50重量%を越える紙と50重量%未満の樹脂とを含有した複合材によって成形され、キャップの脱着時に、脱着不能となる破損が生じない弾性を備えたことを特徴とする鋼管用キャップを提供する。本願の第2の発明は、上記の第1の発明に係る鋼管用キャップにおいて、上記の樹脂は、その少なくとも1種がゴム弾性樹脂であることを特徴とするものを提供する。本願の第3の発明は、上記の第1の発明に係る鋼管用キャップにおいて、上記の樹脂が、ゴム弾性樹脂と、このゴム弾性樹脂よりゴム弾性の非ゴム弾性樹脂との少なくとも2種からなることを特徴とするものを提供する。本願の第4の発明は、上記の第1乃至第3の何れかの発明に係る鋼管用キャップにおいて、紙と樹脂との複合材の物性が、引張破壊伸び5%以上であり、且つ、曲げ弾性率( Kgf/cm2)1,000〜20,000 Kgf/cm2であることを特徴とするものを提供する。
【0012】鋼管用キャップの形状としては、図1に示すものと同様のものとして実施することができ、前述の従来の技術にて説明した構造とすることができる。そして、その製造に際しては、本願の各発明の複合材を用いて、樹脂成形の常法に従って製造することができる。勿論、図1に示すもの以外の形状であっても、鋼管の端部に装着・脱着でき、鋼管端部を封緘することができるものであれば、その形状は適宜変更して実施することができる。
【0013】本願発明の実施に際して用いられる紙は、新しい紙であってもよいが、資源の再利用の観点からは、古紙を利用することができる。古紙の種類も特に問わないが、紙管等の厚みの大きな古紙を利用することも可能である。また、焼却時にダイオキシンの発生を防止する観点からすると、上質紙等の塩素系の漂白剤等の薬剤を用いて処理された紙を除いて、言い換えれば、塩素化合物を含まない紙を利用することが望ましい。
【0014】この紙は、解繊されるが、この解繊の能率を高めるために、粗砕装置によって数mmなしい数cm角状の粗砕片に粗砕しておくことも望ましい。解繊は、必要に応じて粗砕処理を施した紙を、綿状の繊維になすもので、溶解のために水を用いた湿式法によるものであってもよいが、溶解のための水を用いない乾式法によりなすことが好ましい。この解繊によって得られる繊維の繊維長は、一定長さの繊維群に揃えることが望ましい。
【0015】次に、解繊繊維を、必要に応じて、紙の公定水分量より少ない含水率に乾燥する。乾燥方法としては特に制限はないが、熱風を利用した熱風循環乾燥方式の他、時間短縮のために有利な高周波加熱乾燥方式や赤外線照射加熱乾燥方式を用いることができる。
【0016】この乾燥後の解繊繊維は、樹脂と調合され、混練される。この樹脂は、1種又は2種以上の樹脂を用いることができるが、その少なくとも1種にゴム弾性樹脂を用いる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EDPM)、アクリル−ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレンゴム(SR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム等を例示でき、これらのゴム弾性樹脂を1種又は2種以上用いることができる。このゴム弾性樹脂を用いることによって、従来のポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を用いた場合に比して、飛躍的に、複合材の物性(特に、伸びと衝撃耐性)を向上させることができる。より具体的には、紙を50重量%を越える値で配合した場合において、引張破壊伸びを5%以上とし、好ましくは10%以上とする。これによって、鋼管キャップをペンチ等で引き抜いて脱着する際、キャップの引き抜きが不可能となる程度の大きな破損が生ずることを防止し得る。最も望ましくは、引張破壊伸びを15%以上とすることによって、鋼管キャップをペンチ等で引き抜いて脱着する際、キャップに破損が生ずることなく無理なく引き抜くことができ、再利用も可能となる。また、鋼管用キャップとしては、引張破壊伸びが高くとも、適度の剛性を備えていることが望ましく、具体的には、曲げ弾性率1,000〜20,000 Kgf/cm2であることが望ましい。
【0017】上記のゴム弾性樹脂に加えて、ゴム弾性樹脂よりゴム弾性の低い非ゴム弾性樹脂を併用することもできる。この非ゴム弾性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLPE)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂を例示し得るが、熱硬化性樹脂を併用することもできる。これらの樹脂を併用することによって、伸び、強度を保ちながら、剛性を付加することができる。
【0018】樹脂と紙の調合と混練とは別工程としてもよく、同じ工程としてもよい。また、繊維長の異なる複数の繊維群を、調合してもよい。解繊繊維と樹脂との配合比率は、重量比率(以下同じ)で5:95〜90:10程度とすることが好ましいが、解繊繊維を50%を越える値とする(51:49〜90:10程度とする)ことによって、得られた製品が紙として焼却し得る点で特に好ましく、物性を考慮すると、51:49〜75:25程度とする。ゴム弾性樹脂は、全体の4%以上を加えることが望ましく、より望ましくは、10%以上とし、最も望ましくは、30%以上とする。これにより、伸びと強度を向上させることができる。非ゴム弾性樹脂は必須ではないが、加えるとすると、非ゴム弾性樹脂(特に、直鎖低密度ポリエチレン)は、全体の45%程度以内の範囲で加えることが望ましく、より好ましくは、20%程度とする。余り低いと添加する意味が失われ、逆に多く添加すると、伸びを向上させることが困難となる。尚、この解繊繊維と樹脂との他に、着色剤、安定剤等の添加物を加えることもできる。
【0019】解繊繊維と樹脂の混練は、混練装置によってなすことができる。この混練装置は、加熱しながら樹脂を溶解させ、攪拌することによって、樹脂を解繊繊維と混合させるもので、これにより解繊繊維と樹脂との複合化が図られる。
【0020】さらに、混練に際しては、圧力を加えながら攪拌する、加圧攪拌式混練製造方法を用いることができる。この方法では、圧力を加えながら攪拌するため、時間短縮、混合の良好性、物性の安定化、紙繊維体積の低減を図ることができる。
【0021】尚、焼却時にダイオキシンの発生を防止する目的から、上記のように、利用する紙の種類を選択するのも一つの方法であるが、確実に選択し得ないおそれもあるため、混練開始までの段階、即ち、粗砕、解繊、乾燥、調合の段階で脱塩素処理を行っておくことも望ましい。また、樹脂に関しても、ダイオキシンの発生の抑制の観点からは、再生樹脂を使用しないことやポリ塩化ビニル樹脂等の塩素化合物を含む樹脂を用いないことが好ましい。
【0022】混練によって得られた、解繊繊維と樹脂との複合材(以下、単に本件複合材と言う)は、合成樹脂の常法によって、成形され、鋼管キャップが製造される。即ち、通常は、造粒処理によってペレット状にし、各種の樹脂成形機によって鋼管キャップの形状に成形される。成形の方法と、これに用いられる成形機の種類は、合成樹脂成形に利用されるものから種々選択して使用できる。
【0023】
【実施例】以下、本件発明の実施例を比較例と共に表1〜4に示すが、本件発明はこの実施例に限定して解釈されるべきではない。
【0024】実施例1は、紙管を粗砕装置によって10〜30mm角の粗砕片に粗砕し、乾式解繊装置によって解繊し、紙の公定水分量より少ない含水率に乾燥した。得られた解繊繊維を51重量%と、ゴム弾性樹脂であるEVA49重量%と共に加圧攪拌式混練装置によって混練し、得られた実施例1に係る複合材を造粒機によって造粒し、ペレット状とした。この複合材を1ケ月放置した後、射出成形機で図1に示す鋼管キャップを成形した。尚、射出成形機に投入時の複合材の含水率を示す成形前含水率は、1.13%であった。また、以降の説明における実施例及び比較例に係る鋼管キャップ1は、内径40〜42mmの鋼管2用のもので、全長(軸方向長さ)26.5mm、底部5の外径40mm、ストレート部7の外径42.4mm、ストレート部7の内径40.2mm、ストレート部7の軸方向長さ8.0mm、テーパ部6の軸方向長さ17.0mmとされている。表1に、この実施例1の原材料と機械的物性を示す。同様に、実施例2〜5についても、同様の製造方法で製造し、その原材料と機械的物性を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】表1以降の各表における各実施例も同様の方法で製造されたものであり、各表における原材料物性試験の引張破壊伸びは、JISK7113に準拠し、曲げ強度と曲げ弾性率は、JISK7203に準拠する。また、表1〜表4のキヤップ物性試験は、下記の方法で試験した。偏平耐圧強度は図2(A)に示すように、キャップ1を水平面上に横向きに載置して、上方から押圧体aを介して速度10mm/minで圧力を加えて、最大荷重を測定したものである。軸耐圧強度は図2(B)に示すように、キャップ1を水平面上に縦向きに載置して、上方から押圧体aを介して速度10mm/minで圧力を加えて、最大荷重を測定したものである。軸耐圧強度は図2(C)に示すように、キャップ1を内径41mmの鋼管2にセットし、上方から押圧体aを介して速度10mm/minで圧力を加えて、最大荷重を測定したものである。透水透油試験は、キャップの凹面に水及び油を入れて半年間放置し、液体浸透によるキャップ底から漏れの有無を確認したものであり、漏れのなかった場合には、表に「なし」と表示した。低圧水圧試験は、鋼管にキャップを嵌めて、キャップに0.05kgf/cm2(50cmAq.)の圧力がかかるように水をパイプ内に入れて接合部分からの漏れの有無を確認したものであり、漏れのなかった場合には、表に「なし」と表示した。引抜試験は、一旦鋼管に嵌め込んだキャップを幅2.5mmのペンチにて引っ張って抜き取り、その時の作業性や破損などの欠点の有無を調べたものである。表において、Aは、破損なく円滑に引き抜くことができた事を示す。Bは、円滑に引き抜くことができたが、キャップに少し破損が発生した事を示す。Cは、引き抜くことができたが、キャップに破損が発生した事を示す。Dは、引き抜くことが困難で、キャップに大きな破損が発生した事を示す。最後に、燃焼カロリーは、JIS M8814に準拠した。
【0027】表2は、実施例6〜10を示すものであり、実施例6については、解繊繊維60重量%と、ゴム弾性樹脂であるEVA40重量%とを表2に示す配合量で配合し、同表で示す機械的物性値を得た。また、実施例7及び8については、表2に示すように、解繊繊維の配合率を実施例6より多くし、逆にゴム弾性樹脂であるEVAの配合率を少なくしたもので、同表で示す機械的物性値を得た。さらに、実施例9及び10については、解繊繊維51重量%と、ゴム弾性樹脂であるEVAと、非ゴム弾性樹脂であるLLPEとを表2に示す配合量で配合し、同表で示す機械的物性値を得た。
【0028】
【表2】

【0029】表3は、実施例11〜15を示すものであり、実施例11〜13については、解繊繊維51重量%と、ゴム弾性樹脂であるEPRと、非ゴム弾性樹脂であるLLPEとを表3に示す配合量で配合し、同表で示す機械的物性値を得た。また、実施例14及び15については、解繊繊維51重量%と、ゴム弾性樹脂であるNBRと、非ゴム弾性樹脂であるLLPEとを表3に示す配合量で配合し、同表で示す機械的物性値を得た。
【0030】
【表3】

【0031】次に、比較例1及び2として、紙繊維を用いずに樹脂100重量%を配合した場合の原材料と機械的物性を表4に示す。また、比較例3乃至6として解繊繊維を51重量%、非ゴム弾性樹脂(HDPE又はLLPE)49重量%で実施した場合の原材料と機械的物性を表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】以上の実施例及び比較例から明らかなように、引張破壊伸び(%)は、全ての実施例1〜15において、紙繊維51%と非ゴム弾性樹脂49%とを配合した複合材である比較例3、4より2〜7倍以上の高い値を示す。比較例5、6に示すように、紙繊維と非ゴム弾性樹脂との配合で引張破壊伸び5%以上を得るためには、紙繊維を40%と低くする必要があり、これでは、易廃棄性を満足させることができない。ちなみに、この特性は、EVAのみの特性に基づくものではなく、紙繊維との配合並びに上記の製造過程に基づくものであると考えられる。即ち、樹脂100%の比較例1、2に示すように、引張破壊伸びについては、2種の樹脂の内、低い値であり、LLPEよりも劣るものである。次に、曲げ弾性率( Kgf/cm2)については、全ての実施例1〜15において、1,000〜20,000以下に対し、紙繊維51%と非ゴム弾性樹脂49%とを配合した複合材である比較例3、4は20,000以上と高すぎる値を示す。また、紙繊維を40%と低くした比較例5、6も比較的に剛性が高すぎる。
【0034】上記の比較例1は、現在使用されている鋼管用キャップに相当するものであるが、LLPE樹脂のみであり、廃棄性が悪い。比較例2は、EVA樹脂のみであり、廃棄性が悪いことは勿論、柔らかすぎるという問題もある。比較例3は、紙繊維51%とHDPE樹脂49%の複合材製の鋼管用キャップであり、強度が高すぎて、硬くてゴム弾性や、伸び特性がない。その結果、キャップの引き抜きが困難であり、破損が生じてしまう。比較例4は、紙繊維51%とLLPE樹脂49%の複合材製の鋼管用キャップであり、やや強度が高く、硬くてゴム弾性や、伸び特性に劣る。その結果、キャップの引き抜きに際して、やや破損が生じてしまう。比較例5は廃棄性が悪い上、伸び特性に劣る。比較例6は伸びが良いが廃棄性が悪い。
【0035】これに対して、本願発明では、各実施例に示すように、燃焼カロリーが低く、廃棄性、焼却性が良好であることは勿論、適度の硬さで、ゴム弾性や、伸び特性が良好であり、キャップ引き抜きに際しても、大きな問題がない。さらに詳しくは、紙繊維51%とEVA樹脂49%、若しくは、紙繊維51%とEVA樹脂とLLPE樹脂との複合材製の鋼管用キャップである実施例1〜4については、引張破壊伸びが15%以上であり、キャップ引き抜きに際して、全く問題なく、破損も生ずることがない。また、曲げ特性も現状品(比較例1)より高い値を示し、その剛性も改善されたものであり、比較例2のように、柔らかすぎるという問題も生じない。さらに、実施例6のように、紙繊維60%とした場合でも、実施例1〜4と同等の原材料物性を示し、鋼管用キャップとして適当である。尚、実施例5及び7〜15については、曲げ強度並びに曲げ弾性率については問題がないものの、引張破壊伸びが、実施例1〜4及び6の15%より低く、5%以上或いは10%以上程度に止まるため、キャップ引き抜きに際して小さな破損が生ずるおそれがあるが、使用が不可能ではない。
【0036】
【発明の効果】本願の第1の発明は、鋼管用キャップとして必要な適度の弾性を備えたものであって、しかも、比較的低い燃焼カロリーで焼却でき、特殊な廃棄処理が不要で、環境適応性に優れた鋼管用キャップを提供することができたものである。また、紙100%の場合には、成形が困難で精度や形状保持性が悪いが、樹脂との複合材として成形することにより、これらの問題を解決し、しかも、耐水、耐油性も良好なものを得ることができたものである。本願の第2の発明は、紙繊維と共に配合する樹脂の少なくとも1種に、ゴム弾性樹脂を用いることによって、上記の第1の発明に係る鋼管用キャップを得たものである。本願の第3の発明は、紙繊維と共に配合する樹脂として、ゴム弾性樹脂と、このゴム弾性樹脂よりゴム弾性の低い非ゴム弾性樹脂との少なくとも2種を採用したことによって、易廃棄性、適度の弾性、並びに機械的強度を担保する剛性、の3つの要求を同時に満たすことのできる鋼管用キャップを提供することができたものである。本願の第4の発明は、適切な物性を備え、上記の各発明の効果を奏する鋼管用キャップを提供することができたものである。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【識別番号】391050101
【氏名又は名称】日本紙管工業株式会社
【識別番号】000005913
【氏名又は名称】三井物産株式会社
【出願日】 平成11年9月3日(1999.9.3)
【代理人】 【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
【公開番号】 特開2001−74195(P2001−74195A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−250246