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【発明の名称】 免震管継手
【発明者】 【氏名】花岡 威夫

【要約】 【課題】地震が起こっても両端の継手部間に接続された可撓管に捩れが加わらないようにする。

【解決手段】継手部2は,チューブ4が接続固定されるチューブ結合端子11を有し,チューブ結合端子11の外周に他の管のフランジ32とフランジ結合される結合用フランジ部材21が回転自在に配置されている。チューブ結合端子11の外周に形成されたつば部15とフランジ32との間には,Oリング17が介装され,Oリング17の外周には,リング部材16が配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端部の継手部と,両継手部の間に接続された金属製の可撓管とを有し,さらに各継手部は,・前記可撓管が接続固定される略筒状のチューブ結合端子と,・前記チューブ結合端子の外周に回転自在に配置され,他の管のフランジとフランジ結合される結合用のフランジ部材と,・前記フランジ及びフランジ部材を軸方向に沿って貫通してフランジ結合するための固定手段と,・前記チューブ結合端子の外周に形成され,前記両フランジの間に挟み込まれる径小のつば部と,・前記チューブ結合端子の外周であって,かつ前記つば部と他の管のフランジとの間に配置されるOリングと,・前記Oリングの外周であって,かつ前記フランジ及びつば部との間に挟み込まれて前記Oリングを押さえるためのリング部材と,を備えていることを特徴とする,免震管継手。
【請求項2】 少なくとも前記つば部とチューブ結合用端子の各表面,又は前記結合用フランジ部材の表面に,樹脂製の膜が形成されていることを特徴とする,請求項1に記載の免震管継手。
【請求項3】 前記フランジ部材におけるつば部側の内側縁部は丸く成形され,前記チューブ結合端子外周とつば部との角隅部は,当該内側縁部の形状と適合した湾曲面をなしていることを特徴とする,請求項1又は2に記載の免震管継手。
【請求項4】 両端部の継手部と,各継手部の間に接続された金属製の可撓管とを有し,さらに各継手部は,・前記可撓管が接続固定される略筒状のチューブ結合端子と,・前記チューブ結合端子の外周に回転自在に配置され,他の管のフランジとフランジ結合される結合用のフランジ部材と,・前記フランジ及びフランジ部材を軸方向に沿って貫通してフランジ結合するための固定手段と・前記チューブ結合端子の外周に固着され,前記フランジとフランジ部材との間に挟み込まれる径小の回転リングと,・前記回転リングの内側に形成された環状の段部と,・前記チューブ結合端子の外周であって,かつ前記回転リングの段部と他の管のフランジの端面によって囲まれた空間に配置されるOリングと,を備えていることを特徴とする,免震管継手。
【請求項5】 少なくとも前記回転リングとチューブ結合端子の各表面,又は前記結合用フランジ部材の表面に,樹脂製の膜が形成されていることを特徴とする,請求項1に記載の免震管継手。
【請求項6】 前記可撓管は,ステンレス鋼製のフレキシブルチューブであることを特徴とする,請求項1,2,3,4又は5に記載の免震管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免震管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層ゴムや鋼棒ダンパ,鉛ダンパなどの各種ダンパを用いた免震建築物の出現と共に,建築物内部のライフラインである管の免震継手も重要視されている。例えば水道の配管をとってみても,地震によって該配管が破壊されてしまうと,その建築物はもはや本来の機能を果たし得ない。そのため,殊に阪神大震災以降,各種の管の免震継手が提案されている。
【0003】従来提案されている免震継手の材質は積層合成ゴムが主力材料であり,合成ゴムだけでは,必要な強度が得られないたため,適宜金属で補強されている。例えば複数巻き積層加工の中間にスプリング状に鋼線巻きが施され,耐圧,変形防御がなされているが,積層加工は型に順次巻き付ける工法であることから,規格品としての寸法製品であり,高価であると共に広いスペースを必要としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種の製品の品質性能として要求される品質レベルは,築後30年程経過した建物につき震度6強の地震に耐えうる耐震性能を継続して維持可能なことを条件としている。したがって従来の合成積層ゴム製品では信頼性に疑問が残る。
【0005】発明者は,そのような既存製品に由来する各種問題点に鑑み,無理のない軌跡を構成する形状に,例えばステンレスフレキシブルチューブを用いることで,上記問題点は解決できると考えた。しかしながら,単に中間部にそのような材質のフレキシブルチューブを用いただけでは,問題が残る。すなわち,例えばステンレスフレキシブルチューブは,捩れ破壊が起こりやすいのである。したがって単純に両端部の継手部と中間部のチューブとを溶接や圧縮によって結合すると,当該結合部では回転変位を全く吸収できず,捩れ破壊が避けられない。
【0006】本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,中間部にステンレスフレキシブルチューブ等の金属製の可撓管を使用しつつ,かつ両端部の継手部に,新規な構成を施して,前記問題点を解消した免震管継手を提供することをその目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1の免震管継手は,両端部の継手部と,各継手部の間に接続された金属製の可撓管とを有し,さらに各継手部は次の構成を有している。すなわち,前記可撓管が接続固定される略筒状のチューブ結合端子と,前記チューブ結合端子の外周に回転自在に配置され,他の管のフランジとフランジ結合される結合用のフランジ部材と,前記フランジ及びフランジ部材を軸方向に沿って貫通してフランジ結合するための固定手段と,前記チューブ結合端子の外周に形成され,前記両フランジの間に挟み込まれる径小のつば部と,前記チューブ結合端子の外周であって,かつ前記つば部と他の管のフランジとの間に配置されるOリングと,前記Oリングの外周であって,かつ前記フランジ及び回転用のつば部との間に挟み込まれて前記Oリングを押さえるためのリング部材とを備えていることを特徴としている。
【0008】かかる構成を有する免震管継手によれば,まずつば部がストッパとして機能し,チューブ結合端子がフランジ結合部分から離脱するのを防止している。そしてこのつば部が形成されているチューブ結合端子,フランジ結合される結合用のフランジ部材とは回転自在の関係にある。従って,チューブ結合端子に接続固定される可撓管に捩れが加わろうとしても,その回転成分は,このチューブ結合端子がフランジ間で回転することによって吸収される。したがって,可撓管には捩れが加わらない。
【0009】そしてフランジ結合される他の管のフランジとフランジ部材との間に前記つば部は位置し,このつば部とフランジとの間にOリングが介装するので,継手部の水密性は確保されている。そしてリング部材がOリングの外周に位置しているので,前記回転を許容しても,Oリングが位置ずれせず,水密性はそのまま維持される。
【0010】なおフランジ結合するための固定手段としては,この種のフランジ結合に用いられるボルト,ナットを使用することができる。
【0011】このような免震管継手において,請求項2に記載したように,少なくとも前記つば部とチューブ結合用端子の各表面,又は前記結合用フランジ部材の表面に,樹脂製の膜が形成すれば,これら各部材に異なった種類の金属を用いても異種金属間の電蝕の防止が図れ,しかも回転を円滑にすることができる。
【0012】さらに請求項3に記載したように,前記フランジ部材におけるつば部側の内側縁部を丸く成形し,前記チューブ結合端子外周とつば部との角隅部を,当該内側縁部の形状に対応した湾曲面に成形すれば,より円滑な回転が実現される。
【0013】請求項4によれば,両端部の継手部と,各継手部の間に接続された金属製の可撓管とを有し,さらに各継手部は,前記可撓管が接続固定される略筒状のチューブ結合端子と,前記チューブ結合端子の外周に回転自在に配置され,他の管のフランジとフランジ結合される結合用のフランジ部材と,前記フランジ及びフランジ部材を軸方向に沿って貫通してフランジ結合するための固定手段と,前記チューブ結合端子の外周に固着され,前記フランジとフランジ部材との間に挟み込まれる径小の回転リングと,前記回転リングの内側に形成された環状の段部と,前記チューブ結合端子の外周であって,かつ前記回転リングの段部と他の管のフランジの端面によって囲まれた空間に配置されるOリングとを備えていることを特徴とする,免震管継手が提供される。
【0014】この請求項4の免震管継手は,前記した回転用のつば部に代えて,回転リングをチューブ結合端子の外周に固定し,さらにOリングの配置空間として,該回転リングの内周に段部を形成したものである。かかる構成の免震管継手によっても,チューブ結合端子が円滑に回転し,請求項1と同様,可撓管に捩れが加わらない。しかも別途Oリングを押さえるための部材を必要としない。
【0015】この場合も,請求項5に記載したように,少なくとも前記回転リングとチューブ結合端子の各表面,又は前記結合用フランジ部材の表面に,樹脂製の膜が形成してあれば,異種金属間の電蝕の防止と回転の円滑性の向上を図ることが可能である。
【0016】これらの各管継手において,可撓管としては,請求項6のように,ステンレス鋼製のフレキシブルチューブを用いれば,耐久性等の点で好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について説明すると、図1は,第1の実施の形態にかかる免震管継手1の軸方向からみた正面図,図2は側面図であり,この免震管継手1は,両端部に位置して他の管と接続する継手部2,3と,継手部2,3の間の中間部を構成する可撓性を有する可撓管としてのチューブ4とからなる。継手部2,3は同一構成であるから,図3に示した継手部2を例にとってその詳細を説明する。
【0018】この継手部2は,チューブ4が直接結合される略筒状のチューブ結合端子11を有している。すなわち,前記チューブ4は,内側のステンレス鋼のベローズ状の振動吸収チューブ4aと,外側のステンレス鋼線で織ったブレード4bとからなる。そして振動吸収チューブ4aの端部側の平坦部4cがチューブ結合端子11の内周に挿入されて,結合部11aの箇所でバルジ成形によって振動吸収チューブ4aはチューブ結合端子11と一体化されている。なおその際,チューブ結合端子11の結合部11aよりも端部側に形成した環状溝11b内にOリング12が予め嵌められており,振動吸収チューブ4aとチューブ結合端子11との水密性が確保されている。
【0019】一方外側のブレード4bについては,チューブ結合端子11の基部側外周に形成された環状溝11cのところを結合部として,外側に配置されるブレード4bの上から固定リング13によって圧縮固定されている。この固定リング13の外径は,後述のフランジ部材21の内径よりも大きく,フランジ部材21が離脱しないようになっている。つまりフランジ部材21の離脱防止用のストッパを兼ねている。
【0020】チューブ結合端子11の端部側外周には,回転用のつば部15が一体に成形されている。つば部15の端部側の外周には,Oリング溝形成用のリング部材16が配置され,このリング部材16によって形成された環状溝内には,Oリング17が嵌められている。一方つば部15の基部側の角隅部は,丸く成形されて外方に凹の形状に成形されている。
【0021】そしてチューブ結合端子11の基部側外周には,結合用フランジ部材21が配置され,チューブ結合端子11と回転自在になっている。さらに,図3に示したように,結合用フランジ部材21のチューブ結合端子11側の端部側の角部は,前記つば部15の基部側の角隅部と対応するように,丸く成形され,外方に凸の形状に成形されている。そしてつば部15,チューブ結合端子11の表面,及び少なくとも結合用フランジ部材21におけるつば部15と接する部分には,フッ素樹脂(例えばデュポン社の商標「テフロン」)が電着塗装されている。
【0022】そしてこの結合用フランジ部材21によって,既存のフランジ結合と同様に,接続すべき他の管とフランジ結合される。すなわち,図3に示したように,例えば管としての配管接続部31の端部外周に,結合用フランジ部材21と同径のフランジ32を固着し,後は,このフランジ部材21と前記結合用フランジ部材21とを,リング部材16,つば部15とで挟み,後は,ボルト33,ナット34によって,結合用フランジ部材21と同径のフランジ32とを締めつけ固定すればよい。本実施の形態においては,図1にも示したように,周方向に等間隔(中心角90度おき)で4カ所,ボルト33を螺貫させ,突出部分にナット34を螺着している。
【0023】第1の実施の形態にかかる免震管継手1を用いた施工例を図4に示した。図4において,Aは非免震階,Bは免震階を示している。すなわち,免震階Bは,非免震階Aの上に,積層ゴムによる免震アイソレータ41,鋼棒ダンパ42,及び鉛ダンパ43を介して,支持されたような構造になっており,地震の震動が直接伝わる非免震階Aからの振動が免震階Bに伝わるのが抑えられた構造になっている。
【0024】この場合,非免震階Aに配管されている管44と,免震階Bに配管されている管45との間の接続に,免震管継手1が接続される。そして地震が起こった場合,非免震階Aに配管されている管44の接続端部と,免震階Bに配管されている管45の接続端部との間には,水平,垂直,回転等の様々な変位が発生するが,免震管継手1の中間部は,可撓性のあるチューブ4によって構成されているので,まず,水平,垂直の各方向の変位については,このチューブ4が好適にこれらの変位に追随する。
【0025】そして追随するチューブ4は,局所的に過重な破壊力を受けることなくスムースに結合部での回転運動に転換させることができる。
【0026】そしてつば部15とチューブ結合端子11の各表面,及び少なくとも結合用フランジ部材21におけるつば部15と接する部分には,フッ素樹脂電着塗装されているので,チューブ結合端子11の回転は円滑であり,しかも絶縁性を有する樹脂が介在しているので,チューブ結合端子11と結合用フランジ部材21との間の異種金属間の電蝕防止も図られている。
【0027】しかも水密性についてみても,まずチューブ4とチューブ結合端子11とは,振動吸収チューブ4a外側とチューブ結合端子11内側との間のOリング12によるシールによって好適な水密性が確保されている。また配管接続部31とチューブ結合端子11との間は,Oリング17によって好適な水密性が確保されている。特にチューブ結合端子11と配管接続部31のフランジ32とは,回転フリーの関係になっているにもかかわらず,当該フランジ32とチューブ結合端子11の外周に形成された回転用のつば部15との間に前記Oリング17が介装しているので,水密性は強固である。そしてこのOリング17の外側には,リング部材16が配置され,リング部材16自体は,結合用のボルト33の内周に位置しているから,チューブ結合端子11が回転してもOリング17は位置ずれせず,好適な水密状態を維持できる。
【0028】前記実施の形態においては,チューブ結合端子11の端部側外周に,回転用のつば部15を形成して,回転自在性を確保して,チューブ4に捩れが加わるのを防止していたが,これに代えて,図5に示した第2の実施の形態にかかる免震管継手51のように,筒状のチューブ結合端子11の外周に,別途回転リング52を溶接等によって固着するようにしてもよい。なお図中,第1の実施の形態にかかる免震管継手1と同一の符号で示される部材は,第1の実施の形態にかかる免震管継手1のものと同一機能の部材を示している。
【0029】すなわち,第2の実施の形態におけるチューブ結合端子11の端部側外周には,回転リング52が固着箇所53の部分で溶接固定されている。この回転リング52は,端部側に,段部54を有しており,この段部54とチューブ結合端子11の外周とフランジ32の端面とに囲まれた環状の空間内にOリング17が配置されている。そして前記固着箇所53の溶接部分のクリアランスをとるため,結合用フランジ部材21の当該固着箇所53に面した部分は,斜めに成形されている。すなわち,回転リング52をチューブ結合端子11の外周に固着するには,溶接が適しているが,この溶接部分が回転の支障とならないように,結合用フランジ部材21における前記固着箇所53側が,中心側に向けて肉厚が薄くなるように,斜めにテーパ成形されているのである。
【0030】なおこの第2の実施の形態におけるチューブ結合端子11の表面及び回転リング52の表面,そして結合用フランジ部材21の表面にも,フッ素樹脂の電着塗装が施され,回転の円滑性と異種間金属の電蝕防止が図られている。
【0031】この第2の実施の形態にかかる管継手51によれば,前記第1の実施の形態と同様,チューブ結合端子11がフランジ32とも結合用フランジ部材21とに対して回転自在となっているから,たとえチューブ結合端子11に接続されるステンレス鋼製のフレキシブルチューブが捩れようとしても,その回転変位を吸収することができ,該フレキシブルチューブに捩れの負荷がかからない。しかも前記回転自在性を実現している回転リング52には,段部54が形成されて,段部54とチューブ結合端子11の外周とフランジ32の端面とに囲まれた環状の空間内にOリング17が設けられているから,水密性を確保しつつ,しかもチューブ結合端子11がそのように回転しても,Oリング17は位置ずれせず,水密性を維持できる。
【0032】以上の実施の形態で説明したように,本発明にかかる免震管継手によれば,地震によって垂直方向,水平方向,かつ回転方向の各方向の変位を好適に吸収,追随して,配管の接続部分を地震から保護することが可能である。また構造的にみても,全体として簡易な構成であり,特殊な加工,複雑な部材,専用工具等は不要である。また管との接続の通常のフランジ結合で行えるので,作業者の熟練も要しないといった利点がある。
【0033】
【発明の効果】請求項1〜6の免震管継手によれば,地震によって可撓管に捩れが加わろうとしても,継手部との結合部においてスムースに回転することができるから,可撓管が金属製であっても,損壊することはない。そして水密性を担っているOリングは,位置ずれしない。特に請求項2,5の場合には,異種金属間の電蝕の防止が図れ,しかもチューブ結合端子の回転を円滑にすることができる。さらに請求項3の場合には,より円滑な回転が実現される。請求項4の場合には,回転リングが請求項1のつば部として機能し,そのうえリング部材を用いることなく,Oリングの位置ずれを防止できる。請求項6のように可撓管としてステンレス鋼製のフレキシブルチューブを用いれば,耐久性が良好である。
【出願人】 【識別番号】599124895
【氏名又は名称】花岡 威夫
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男 (外2名)
【公開番号】 特開2001−74179(P2001−74179A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−248795